平成23年3月31日更新

東北地方太平洋沖地震・東京都知事発言


発言内容

 大震災から半月余りが経過しました。
 依然、福島第一原発では予断を許さない状況が続いているが、一方で、被災地では、復旧活動が本格化しています。
 また、都内においても、計画停電による都民生活、経済活動への影響がじわじわと拡大しています。
 日々刻々変化する事態に的確に対処しつつ、質量ともに、さらに骨太なものにしていかねばなりません。
 未曾有の被害を受けた被災地の復旧・復興を確かに支えなければならないのと同時に、今回の震災から得た教訓や、今後の電力需給・経済見通しなどを踏まえ、東京を災害に強い都市に生まれ変わらせ、日本を牽引し続けられるように、複合的な手立てを講じる必要があります。
 そのための「基本方針」を五月末までに取りまとめます。
 やるべきことは山ほどありますが、東京に避難を余儀なくされた方々の生活を支えるほか、現地の復興にも本格的に協力する必要があります。
 都民のためには、原発事故の動向や計画停電などの都民生活への影響を踏まえ、打つべき手を迅速に打たねばなりません。
 そこで、速やかに取り組むべきことを「緊急対策」として「基本方針」と同様に五月末までにまとめます。これに基づき、直ちに予算措置が必要な事柄について、第一弾として、都議会第二回定例会に補正予算を提案いたします。その後も、事態の推移に応じて、必要な手立てを追加してまいります。
 「緊急対策」のための財源として、当面、一千億円を確保します。
 本日、事務方に策定に入るよう指示しましたが、今後の都政運営の根幹をなす大事業であり、独り東京のためだけでなく、被災地・そして日本のための取組みだと思っています。
 それゆえに、国には、法人事業税の不合理な暫定措置を直ちに撤廃するよう要求いたします。
 いずれにしても、大震災という国難を乗り越えるために、首都東京が先頭に立ってまいります。

 被災地の一日も早い復旧・復興の一助としてもらうために、阪神淡路大震災や新潟中越大震災の際にも発行された「復興宝くじ」を東京都独自に発行することにしました。
 都が、岩手県・宮城県・福島県などと共同で発行する形をとることで、事務負担は都が全面的に肩代わりして、宝くじからの収益金は被災者にわたるようにいたします。

 多くの都民から、被災地のために何か少しでも役に立てればと、被災地でのボランティア活動を希望する声が寄せられています。
 しかし、個々のボランティアが何の準備もなく被災地に出向いた場合には、宿泊場所や移動手段の確保などで、かえって被災地に迷惑をかけてしまいます。
 そこで、都では、志のある都民に、装備や移動手段を提供し、被災地で自活できる「自立型ボランティア」をまず宮城県に向けて、派遣することにしました。
 その支援拠点として仙台市内に「都民ボランティア支援センター宮城」を立ち上げるため、既に昨日、先遣隊を派遣しました。
 今後、現地の受入態勢が整い次第、他県に対しても都民ボランティアを積極的に派遣してまいります。
 こうした活動を通じて、都としても、被災地が一日も早く復旧、復興することに協力したいと思っております。

 震災の影響によって、休業補償や解雇などの相談が寄せられています。
 都内に避難されている方も含め、広く、こうした労働問題に関する相談に対応するため、東京労働局と連携して、「震災関連特別労働相談窓口」を、三月三十日から、労働相談情報センターに設置いたします。

 また、三月三十一日に、仙台に赴き、村井宮城県知事と会談をすることにしました。  最前線で指揮を執る村井知事と、じかにお会いし、県の被災の現状を聞くとともに、東京として「できる限りのことをする」と申し出ます。
 あわせて、東京都から現地に派遣されている職員を激励してきます。現地での活動にはいろいろ困難があるでしょうが、職員には震災の痛手から被災地をよみがえらせるため、さらに奮起していただきたいと思っています。
 また、宮城と岩手の避難所の支援や、県庁における事務補助の要員として、四月当初から、延べ千人近い行政系職員を交代で派遣する予定です。
 さらに、既に宮城県、福島県に設置した現地事務所を、新たに岩手県にも開設します。  明日、先遣隊を被災地に派遣いたします。これにより、都の現地事務所三か所となります。
 今後とも、被災地と東京都とのつながりを一層強化し、一日も早い復旧・復興に向けて、都庁各局の力を総合して、被災地支援に全力で取り組んでいきます。

 地震後、閉園していた都立動物園・水族館を、節電に配慮して開園時間を短縮しつつも四月一日から再開します。
 なお、被災された方々については、春休み期間中、入園料を無料にいたします。都内の避難所にいらっしゃる方については、お子さんを中心に、バスを仕立てて招待いたします。 ほんのつかの間でありますが、心を癒していただければと思います。
 なお、上野公園で、花見・宴会を規制しています。花を愛する日本人、桜が好きな日本人が、花見をしたいというのは分かるけれども、私は少なくとも夜間、明かりをつけての花見などというのは自粛すべきだと思っております。

東京都知事 石原 慎太郎
本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。