知事の部屋

 
猪瀬都知事「知事の部屋」
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記者会見

平成24年12月19日更新

猪瀬知事記者会見
平成24年12月18日(火曜)
14時10分〜15時05分

知事冒頭発言

【知事】新しい都知事として、本日、都知事になりました、という紙をいただきました、選管のほうから。石原都政の継承、こういうふうに言われていますが、今回の、皆さん、新聞やテレビでご存じのように、今回の434万票の票の分析をしますと、石原都政の継承、5割ぐらいあって、さらに4割以上が石原都政の刷新というふうにもあります。つまり今回、投票してくれた人は、石原都政を継承し、さらに新しい政策をやってほしいと、こういうふうに僕自身も思っています。
 当然、石原さん、とてもおもしろい人でした。で、僕は普段いつも話して、こんな一緒に話していておもしろい、楽しい人はいないと思いました。それも知事を辞任して、田中真紀子さんに暴走老人と言われていますが、暴走して、そのうちに国政でもうすぐ国会に現れるはずですが、新しい都政、石原都政を継承し、なおかつスピードアップした改革、これが新しい都政です。そして、もちろん、石原さんより僕は14歳若いので、その若い部分をもっともっと表現していくつもりです。
 例えば、羽田空港の国際化や地下鉄一元化や、当然、東京電力の改革や、これはもうやっていることですが、これをもちろんスピードアップするんですが、積極的な広報、自分たちが、東京都の職員が今やっている仕事をすぐに伝える。情報公開という言葉はもう古いんです。今はSNSの時代です。ツイッターやフェイスブックの時代です。さらに今、テレビの皆さん、いらっしゃるけれども、ニコニコ生放送とか、そういうネットも加わって、新しいメディア空間が生まれているわけです。

 そこで、今ちょっと1枚、紙持ってきたんですけれども、これは、3・11、東日本大震災までは、東京都にツイッターのアカウントがありませんでした。@inosenaokiと、猪瀬副知事個人のアカウントはありました。そこで、その後、今、13のアカウントがあります。知事本局、総務局、生活文化局、スポーツ振興局、環境局、交通局、水道局、その他、11の局に13のアカウントが今できています。30余りの局に全てツイッターのアカウントを持っていただきます。新聞の中に挟んである東京都広報の紙がありますが、都庁職員に聞いてみても、2人に1人は新聞をとっていない、それはとったほうがいいんですよ。だけれども、その現実があるから、新聞の中に挟まっているものだけで広報活動はできません。
 もちろん、あの3・11の日に避難場所、みんなアクセスしました。そしたら、ホームページがパンクしてしまいました。そこで、キャパシティーを広くしました。でも、ホームページも、ある意味では受け身です。ですから、あの3・11の晩、僕がツイッターのアカウントで都営交通の地下鉄は、9時か9時半か、そのぐらいに出ますよということを打ちました。そうすると、1万以上のリツイートがどんどん拡散していきました。
 これからは、いつ、首都直下型地震が起きるか分からない。そういうときに、危機管理としてのSNS、これは当然必要になります。ですから、地下鉄に、あの地下鉄の中で、もし地震が起きたら、真っ暗闇になる。そのときに、皆さん持っていると思いますが、こういうスマートフォンで自分がどこにいるかということを相手に伝えることができるし、外の情報をつかむことができる。チリの岩盤事故も通信線があったから、自分たちが生きているぞ、何とか食料を、水を運び込んでほしい、こういうことを伝えることができました。
その地下鉄でメールをということは、そもそもツイッター上で、孫正義さんが、何で都営地下鉄や東京メトロはツイッターを、メールを入れてくれないんだとつぶやいていたので、すぐその場でツイッターで連絡をとり、ダイレクトメッセージで携帯電話番号を聞いて、そして電話して、4日後に孫正義さんとお会いして、都営地下鉄はすぐ入れると、工事を始めると。そうしたら、東京メトロもそれに追随して工事を始めました。
 この12月いっぱいで都営地下鉄は新宿から光が丘だけ除いて、全線、この12月いっぱいでメールが可能になります。光が丘までの分は、来年の3月までに可能になります。まずは、そういう危機管理としてのSNS、そしてもう1つは、日常的な情報発信としてのSNS、それをやっていきたい。
 例えば、何月何日にどこでイベントがあります、あるいはこういうお祭りがあります。これは東京都が関係しているスポーツの祭典もありますというふうなことをですね、それぞれの局で、まずお知らせする。今までだと、結局、生活文化局の広報広聴部に連絡して、広報広聴部がそれをお知らせすると、こういう形態でしたが、局ごとに伝えるべきことはすぐ伝える。そうすると、今度はどうやったらわかりやすく伝えられるかということを考えるようになります。
 皆さんはジャーナリストですから、文章を書くときに5W1Hを入れなければいけない、こういうふうに先輩から言われてきたと思いますが、やはり説明というのは140字でもきちんとわかりやすく説明できなければいけません。ふだんからそういう言葉の訓練、言葉の力を養っていけば、今度は仕事でそれぞれ、司司で連絡をとり合うときも手短にできますし、何か起きたときにも、すぐに対応できます。まず、今日、都庁に来て、指示を出したことは、全局でツイッターのアカウントを持てと。今、もう早速準備に入りました。
 今回は、副知事5年5カ月の経験を生かしながら、都知事として仕事を進めるということに尽きますが、新しいことをさらにスピードアップして提案し、また実行していくというつもりです。そもそも小泉首相のもとで道路公団民営化5年5カ月やり、そして石原前都知事のもとで5年5カ月副知事をやり、小泉さんも石原さんもかなりの変人でしたが、そういう変人から仕事を依頼される僕もかなりの変人だと思っております。今日は、登庁初日ですので、まずは、最初にやるべき、今日すぐ指示したことについてお伝えしました。
 皆さんからご質問があれば受け付けます。

質疑応答

【記者】後ろにもオリンピックの旗がたくさん掲げられています。来月7日には、立候補ファイルの提出がもうすぐ控えておりますが、世論というのが、1つ鍵になってくると思います。これから、都知事として、どのように盛り上げていこうとお考えでしょうか。

【知事】これは、今言ったように、ツイッターとかフェイスブックをきちんとやる。それは、当然オリンピックにかかわる事柄についても積極的にやることになります。JOCもアカウント持っています。それから、スポーツのチカラ、こういうアカウントも別にあります。それから、東京都のスポーツ振興局もアカウントを持っています。そういうものをさらにどんどんどんどん数多く伝え合って、そして、オリンピックは、JOCがやるだけではない、東京都がやるだけではない、みんなが、都民が、あるいは国民がやりたい、こういう思う気持ちを言葉や心で響き合っていくことによって広がっていくものだと思っています。ですから、すぐにも、ツイッターをやるということも含めて、世論をさらに喚起していきたいと。

【記者】知事はですね、今まで石原知事という類まれなぐらい強力なリーダーシップのもとで仕事をされてきたわけですけれども、今度は、自らがトップになって命令をされることもあります。その違いというのをどのようにお感じになっているか。また、石原さんの強力なリーダーシップというのがなくなったわけですけれども、その辺の障害というのは何かお感じになっていますでしょうか。

【知事】これからリーダーシップを僕が示していくということになります。石原さんがおられたので、石原さんのリーダーシップと僕自身が副知事としてさまざまな政策を立ち上げてプロジェクトをつくって、具体的に実践してきたわけですから、今度は、一つ一つ、石原さんの了解をとらなくても話は進められるわけであって、それが、リーダーシップということです。
そして、リーダーシップのもとになるものは何か。それは、言葉の力です。思想があるかないか。これがリーダーシップです。僕は選挙で、決断、突破、解決力と書きましたが、なぜ、決断や突破や解決力と書いたか。これは、日本の近代化とか、東京の歴史とか、そういうものを僕なりに、『ミカドの肖像』の著者でありますからね、分かっていて、そして、何が壁があるか、何が問題かということを理解しているので、具体的なターゲットをちゃんと見つけてありますから、その壁を崩すときにリーダーシップが発揮できるようにして。
 秀才は、隣の秀才を見て、また隣の秀才を見るから、結局、自分のオリジナリティーがない。オリジナリティーがリーダーシップです。そのうちに慣れてくると思います。

【記者】人事の件でお伺いしたいんですが、先ほど、議会を回られていたときに、もう、既に、新しいSS(特別秘書)が、一緒にご挨拶が、挨拶に回られたと見受けました。

【知事】はい。

【記者】猪瀬知事のほうから、新しいSSの紹介等、抜擢された狙いなどについてお話いただけませんでしょうか。

【知事】これまでの石原都政で高井さんと兵藤さんが特別秘書でした。で、石原さんがお辞めになったので、高井さんと兵藤さんも辞めていただくことにしました。そして、鈴木さん、鈴木重雄さんですけれども、会社に長く勤めた経験があり、そして、実際にはマネジメントをしていて、そして、特に、大阪で、大阪維新の立ち上げにもいろいろ協力し、それから、それとは別に国に対して太いパイプを持っている、そういうことで、鈴木重雄さんを、まずは1人選びました。はい。

【記者】石原さんのですね、もともと秘書をされていらっしゃったというふうにも聞いているんですけれども、今、お話の中では刷新をしていくというふうなお話もありましたが、引き続き、やはり、それは、石原さんの影響を受けるんじゃないのかなというふうに見れなくもない、そのあたりについては、どういうふうにお答えをしますか。

【知事】石原さんの秘書をやっていたのは、30年前の話です。

【記者】今はもう、じゃ、そのことは関係ないですか。

【知事】あのね、もともと石原さんの影響は、僕自身は受けていないんです。作家の先輩として対等に話し合ってきている。そして、お手伝いをしてきた。それは、僕自身の発想で副知事としてやって、そして、石原さんにこれでいこうねというふうにやってきたわけですね。石原さん自身は僕はすごく尊敬しているんです、作家の先輩として。それと、特別秘書は、30年前に石原さんの秘書だった。それだけのことであって、僕が全て決めていきますから、ご心配なく。はい。

【記者】もう一つすいません。参与についてなんですが。確認にはなってしまうんですが、参与、7人の職について、まず、猪瀬知事はどのように認識されていらっしゃいますでしょうか。

【知事】これは新しい方にいずれなってもらうので、現在は、特に決めてありません。古い人はいずれいなくなっていくということになります。はい。

【記者】任期は来年の3月末ということになっているので。

【知事】ああ、そういうことになります。

【記者】それまでは、じゃ、今の方のままで。

【知事】次の、どういう方々に協力してもらうかということと、いろいろと、人材と、いろいろ考えながら、一定期間猶予を持たせていただくということです。

【記者】そのときには、全員変更されるというふうに考えておいてよろしいでしょうか。

【知事】基本的にはそのとおりだと思います。

【記者】ありがとうございます。

【知事】それは、石原さんの選んだ参与ですから、僕自身が選ぶ参与になります。はい。

【記者】都庁の政策決定の方法についてお伺いします。石原都政になってから、政策、主要幹部による政策会議というのができまして、ここが庁議にかわって政策を形成するという形になっています。これは、形骸化した庁議よりもスピードアップが図れるという声がある一方で、密室による側近の政治になってしまうんじゃないかという懸念もあったようです。この点について、何か改善点等考えていることがあれば、教えてください。

【知事】庁議がね、ご存じのように、30人以上いるわけですから、実質的な会議にはなりませんよね。ですから、都庁には、副知事を含めて、ある部分で執行部というものがありますから、そこで、重要なことは決めていきますが、基本的には、まず、僕が提案して、そして、皆さんに確認して、さらにはもう少し広い場所でまた確認しということでやっていきます。

【記者】政策会議は残していくという形でしょうかね。

【知事】あまり名前にこだわる必要はないと思います。

【記者】それと、一般の職員の意見を吸い上げる何か仕掛けのようなものを考えていらしたら教えてください。

【知事】あのね、言いたいことがあったら、どんどんね、言いに来ればいいんです。いつでも受け付けます。でね、言いたいことをね、言いにこれないやつは大したことないんです。よく会社でもね、役員室にわざわざ言いにいく奴がいますね。悪いことじゃない。ちゃんとね、ところがね、役員室までなかなか行けないで、引き返す人が多いの。ほんとうに自分が必要だったら、役員室をノックしますよ。はい。

【記者】あともう1問です。ちょっと就任に水を差してしまうような質問で恐縮なんですけども。

【知事】水を差す必要なんかないよ、別に。

【記者】選挙期間中に、選管の届け出をしていない、名刺大のビラをですね、お配りになっていた場面があったと思うんですが、あれはその当時、公選法の規定には抵触するという認識はあったんでしょうか。

【知事】そういう事実については知りません。

【記者】私も取材に伺っていて、知事がお配りになっているのを見ているんですけども。

【知事】だから、そういう事実は知らない。認識はないと、ないということです。

【記者】認識はなかったと。

【知事】ビラをあえて配ったつもりはありません。知ってる人がいたから渡したりしていますけども、どの人が知ってる人か分からないときもありますから。はい。

【記者】ビラのつもりじゃなかったということですか。

【知事】はい、そうです。

【記者】はい、わかりました。

【記者】SNSをこれから主に活用していくというお話がありましたけれども、これ、見方によっては、今までの都政であるとか、都の仕事の仕方で決定的に足りないところがあったからそれを補うためではないかという見方もできるんですけれども、そういった部分はどこなのか。また双方向性ですとか拡散できるということを使って都民の声をくみ取る、こういった活用法も考えていらっしゃるということなんでしょうか。

【知事】NHKでもアカウントいっぱい持ってるでしょう、番組ごとに。まず初め、NHKも僕見てたらね、NHKは最初にやったところがあるんですよ。それがわりと自由に個人で言っている人がいて、それから慌てて編成局とかいろんな所がやり出したの。そういう自然に、そういうふうにやり出すということが大事だと。だから今回も、11局で13のアカウントは、3・11以降やれと僕が言ったけども、自分からやり出したところもあるわけ。まずそういう気持ちがあるかないか、これが問題なの。あえて今回は30局余り、全部やるように公式に指示をしました。そうすればですね、今度はそれをやることによって試行錯誤ですから、ご存じのように、どうやったらもっと良くなるのかとか、それについて問い合わせあった場合どうしたらいいとか、つまり、やり始めると初めて課題が出てくるわけ。そのやり始める前には課題はわからない。だから、そういう課題が出てきて、NHKでもどこまでこれやったらいいのかなとか、いろいろ悩んでるでしょう。どこまで個人の声にした方がいいのかな、あんまり公式っぽいとフォロワーつかないな、いろいろ悩んだりしてるでしょう。それはやっぱり皆そうやって試行錯誤していくことが大事だと。

【記者】ありがとうございました。

【記者】2点伺います。1点目は財政運営について伺います。石原都政で基金が底をついた状態から再建されたという話を選挙戦でも猪瀬知事も触れられていましたが、財政運営に対する基本姿勢について、まず伺えればと思います。

【知事】税収はね、46兆ぐらいは国ですね。44兆か、今。大体東京は4.1兆ぐらい。これでほぼ、この3年ぐらいですね、4兆、わずかに上回るか上回らないかというふうな推移ですよ。これは国政の税収入とほぼ同じような曲線を描いています。ただ、国と東京都の違いは、国は1000兆円近い借金を抱えていると、東京都はほとんど借金抱えていない。そして基金が8000億円ぐらいあると、これ、大きな違いですね。
 で、大事なことは、基本的には、霞が関がなぜだめかというと、結局ですね、縦割りの中で今までつけてきた予算というのはいろんな業界団体のしがらみがあって削れないんですよ。だから、思い切って新しい政策が打てない。これが霞が関の硬直した縦割りの予算の世界です。財務省がいくら睨み利かせても各省庁がですね、今までやってきたものを外せないんですよ。だから、復興予算の中にも変なものが混じってくる。新しいものをやろうとしたら、復興予算の中に入れちゃうとかね、そういうぐらいに硬直化しているですよ。東京の場合は、もう少し生き生きとした予算を組んでいきたいと思っているんですね。で、実は今日、登庁して、すぐもう予算の話、これからやらなきゃいけないんですが、もちろん副知事でいるときから、今年の予算はこういうふうにしたほうがいいよねという意見は財務局に伝えてありますがね。そういうことでこれから年末まで、あるいは年明けまで休みなく仕事をやらざるを得ない、そういう状況でしたよ。

 で、だから、問題は何度も言うけれども、国が期待できないんだよ。やっぱり東京は日本の心臓だから、ここで中小零細企業が生きていけるような、あるいは高齢者や働く女性がちゃんとやれるような、あるいは障害者がちゃんと生きていけるような、そういう予算を組むと。それはだから、ちょっと選挙の話になってあれだけど、宇都宮陣営が福祉をもっと増やせ増やせって、こういう言い方したけど、ばらまきで増やすんじゃなくて、政策で実現するんですよね。認証保育所もそうでしたよね。高齢者ケアつき住宅もそうですが、結局そんな大きな予算をつけるっていうことじゃなくて、工夫して政策的にやれば、これだけ効果が上がりますよと、こういう予算をつけていくわけです。予算をつけることによって道筋をうまくつくっていく。
 それから、例えば、この間、ファンドを立ち上げましたよね。天然ガス発電所やメガソーラーのためのファンドを。あれも東京都が30億円出しただけですよ。15億円のお皿を2つ出して、1本2000億円の柱が建つんですね、それで。4000億円の柱が建つんです。15億円出すだけで、そういう呼び水効果というものが、これが政策ですよ。そういうことをやっぱりやることですね。ほかの9都県市でそういう話をしたんですけど、実際にはやらないんです。東京都だけがやっている。でも、東京都だけがやってモデルをつくっていけば、いずれ多分他のところもわかってくるだろうと、こういうふうに思っています。はい。

【記者】ありがとうございます。2点目は今の政策に関連しますが、羽田空港の国際化にも絡んできますけど、都市競争力を高めるための政策、都市インフラの整備、首都高の老朽化も進んでいますが、都市インフラの整備について外環道の着工をしましたが、都知事のお考えをいただければと思います。

【知事】当然羽田の老朽化対策、1号羽田線のね、首都高の、これはやらなきゃいけない。で、問題は外環が着工2年遅れましたよね、民主党政権で。中央環状品川線は、再来年の3月できますよね。これで湾岸線につながりますから。
 これ、大事なことはね、大型トレーラーがどこを走るかなんですね。そうすると、都心環状とか中央環状じゃないね、あるいは羽田線のような、1号羽田線のようなところに、どんどん大型トレーラーが入ってこないような交通体系をつくっていくことが大事なのね。老朽化しても、大型トレーラーががったんがったんってやるから、もっと老朽化するんで、直しても直しても、それは老朽化が続いちゃいますから、やはり交通体系を考えながら、しかし、なおかつ1号羽田線の工事を急ぐと、復旧をね、復旧というか、老朽化の工事を急ぐと、こういうことになりますね。だから、その交通体系と、その工事というのは1つの思想の中にあるということですね。はい。

【記者】2点ございます。まずですね、SNSの利用に関連してなんですけれども、SNSやですね、若者カルチャーに精通した人事、あるいはブレーンの登用などを考えておりますでしょうかというのが、まず1つ目です。

【知事】はい。これから考えます。

【記者】わかりました。

【知事】はい。前向きに臨んでいます。

【記者】前向きに臨んでいる。ありがとうございます。それとですね、先ほども選挙中のお話、ちょっと質問ございましたが、今回、実際に知事ですね、選挙を体験されてみて、現行のですね、公職選挙法について、これ、どうお考えでしたでしょうか。

【知事】SNSが使えないというね、そういう選挙法はおかしいですね。つまり、だから、これは選挙法を改正すべきだと、そういうことについても、その当局は総務省だと思いますが、いずれ直談判に行きたいと思っています。役所のつくった世界は昨日の世界なんです。今起きていること、新しい現象を本当はすぐに制度化しなければいけない。そういう対応ができていないということが一番問題だと思っています。

【記者】2点お伺いしたいんですけれども、1点は教育についてなんですが、破壊的教育改革ということで石原さんがおっしゃって、猪瀬さんもメンバーの一員だったかと思うんですけれども、これについて石原さんは、最後の会見でも唯一の心残りだというお話が出てました。一方で、教育委員会を含めて、学校運営が現場のほうで非常に窮屈になっているというようなお話も…。

【知事】何が窮屈?

【記者】管理が非常に窮屈になっていると、学校運営についてですね、そういう声も現場のほうから出ているという、石原都政の間で出てきたということを聞きますが、その点でですね、刷新と継承というお話に先ほどあったんですけれども、教育について今後、猪瀬さんはどのように、知事はどのように進めていくかお考えをいただけたらと思います。

【知事】日本史が高校で選択制になっている、これは文部科学省の問題ですが、これはね、世界中どこの国にもあり得ないことです。つまり、日本史は必修にすべきなんですね。したがって、石原知事の時代に既に、「江戸から東京へ」というね、この400年ぐらいは少なくとも知らないと、つまり、日本史を選択してなくても、実質選択したと同じであるような形で勉強するということが実行されました。それから、あと教育改革では、中高一貫校が増えましたが、さらに小中高一貫校もこれから考えていく必要があるでしょう。
 それから、僕としては「言葉の力」プロジェクトをやっています。この前、10月21日に全国の100大学ぐらいが参加して、ビブリオバトル首都決戦やりましたが、初めは10校ぐらいから始まって、3年目でようやく100校近くなりましたので、本を読んで5分間しゃべる。こういう訓練というか、こういうことを競うということは、非常に重要なことで、若い人たちのプレゼンテーションや言語能力、これをあえて意識的につくり出していくということで、順調に進んでいます。
 それから、教育再生会議は、やって幾つか記録を残してきましたが、さらにその皆さんの英知を生かしてやっていこうと。
 それから、もう1つは、大事なことは、例えば自衛隊とかね、東京消防に1カ月ぐらい体験してね、いろんなことやるといいんだが、インフラがないんだよね。一教室ぐらいはできたとしても、全都立高校生をそういう訓練をする、そんなインフラはありません。そこで、まず僕が今年提案してやることにしたのは、とりあえず、全高校生、都立高校生、学校に一晩泊まれと。これだとお金一銭もかかりません。学校に一晩泊まって、被災者のような体験をする、体育館とかそういうところに泊まってですね、そして、朝起きて近所を見回りする。それだけでも、1つの刺激になります。そんなようなことを幾つか考えながら、ある程度もともとあった我々の持っている脳幹を刺激するような部分の生命力、あるいは共感する力とか、人を助けたいという気持ちとか、そういうものを体験的に育てていきたい、こういうふうに思っています。

【記者】ありがとうございます。もう1点だけ、五輪について、オリンピックなんですけれども、先ほどもちょっと質問出たんですが、今後1月7日に立候補ファイルの提出など、順次始まっていくと思うんですけれども、知事としてですね、これにどのようにご自分が行かれるとか、そういった面も含めて、どのように動かれるか、ちょっと今決まってることがあれば教えてください。

【知事】まだ決めてないんですが、決めようとしていることはあります。来年早々、海外に行く可能性はあります。まだ細かい詰めはやっておりません。

【記者】広報機能の強化って大変結構だと思うんですけれども、そもそもというところで、新しい首都のリーダーとしてですね、東京をどういう都市にしたいのか、そのためにどういう政策を展開していきたいか、その大方針があれば教えてください。

【知事】そのあなたの、じゃ質問は、「自分はこういうことを今までやってることを、どういうことを知っているが、それについてじゃあ、どういうふうにやるか」というふうに聞いてくれないと、質問に答えにくいね。

【記者】副都知事としてですね、震災後の東電改革であったり、もちろん地下鉄一元化であったり、いろいろ改革されているというのは、個別のテーマで分かるんですけれども、今度はトップになるわけですから、大きな東京をどういう街にしたいのか、どういう都市にしたいのかという都民に向けてのメッセージも含めて、そういうのがあれば教えていただきたいと思ったんですけれども。

【知事】話すと長くなるぞ。いいか、それは。

【記者】お願いします。

【知事】『ミカドの肖像』読んだか、読んでないか、どっち?

【記者】読みました。

【知事】OK。東京がなぜ、今こういう形になったのかという歴史をまずは認識してるから、それで例えば、地下鉄の改革をやろうとしたのは、東京の発展のプロセスの中で、大正15年に山手線ができてきますね。こうして山手線ができることによって、私鉄が新宿や渋谷や池袋、そういうターミナルステーションができて、人口をどんどん吸収する装置になっていった。これが、まずは大正時代から今日までの東京の膨大な人口を吸収する装置としての鉄道体系。そこに高速道路が加わってきた。そして、今度は、山手からはるかかなたに通勤1時間半という世界ができ上がっていった。そして、そこに住む人たちが高齢者になってきてる。
 同時に、今度は大江戸線ができました。大江戸線ができることによって、下町から山手へという、1つの人口の、人口とか市場の流れが今度はまた豊洲のほうに大きなマンションができる形で変わってきました。この大江戸線という命名はともかく、これは山手線に対して川の手線と本来は命名すべきものなんですね。そういう形で多重な中心がつくり上げられてきた。

 そういう中で、先ほど言いました、首都高速を含め、地下鉄、そしてほかの私鉄を含めた交通体系をきちんとまず考える。非常に交通体系というものが、この首都の、東京の場合、非常に重要な役割を占めているんですね。普通だったら、ロンドンでも、パリでも、そこから15分、20分行くとグリーンベルトになるんです。ところが、東京は果てしなく住宅が建っている。そこで横浜とか、埼玉とか、千葉の境目がない。首都エリアというものは形成されてきた。これ、非常に特異な近代化のケースなんです。しかも、あと日本人の得意技で、1分1秒も狂わず電車は動いている。そういうふうにでき上がった都市です、ここはね。そういうふうにでき上がった都市の中で、当然ながら地下鉄一元化はなぜ必要かということは、当然僕はすぐわかるわけですね。それは、一元化することによって、乗り換えがなくなれば、ショートカットが、乗り換え料とられなければ、ショートカットできますから、混雑率が減ります。今、東西線200%ぐらいになってますからね。そういうふうにスムーズな交通体系というのがこの都市の特徴です。その上で、文化的な伝統というものをきちんとつけ加えていくし、本来、江戸的な伝統が残っている。

 さらには、東日本大震災の問題が起きて、東京の安全、安心ということがね、もう1度強く求められているわけです。これはしかし、関東大震災を経験し、そして東京大空襲を経験し、2度焼け野原になっています、東京は。したがって、その焼け野原になった東京というものが、今回、次に、もし大きな地震があれば、いわゆる木密(もくみつ)と言われるエリア、これが非常に危ない。そこで、木密エリアに対する、木造密集地帯に対して、今まで3つぐらいしかやっていなかった。それを区と都で11以上の特区をつくって、そして木密の対策ですね、そこに道路を通すなり、区画整理するなり、それを急ごうとしています。
やっぱり東京は、大空襲によって燃えて、震災によって燃えて、そしてまた、次に何があるか分かりませんが、非常に火事に弱い、そういう側面を持っています。そこを何とか変えていかなければいけないと。

 それから、当然ながら、容積率を高くできるところは逆に高くする。そして、そこに非常用電源をきちんと置く。この都庁の場合もですね、すぐそこのパークハイアットビルから12月にもう電源が来ます、3000キロワット分がね。これで、防災指令センターもオーケーです、それで。非常用電源。そういった対策を含めて、アジアヘッドクオーター特区というものが、一応民主党政権時代に許可されたので、そこで一部法人税を下げて、外国企業がどんどん集まれるような環境をつくる、そういうことを今、スタートしたばかりです。そういうことで、国際都市として東京は次のステージをどういうふうにつくるかと。もっともっと外国からお客さんが来て、外国の資本が入り、活性化する。
 それと、もちろんそこにオリンピックが重なります。2020年のオリンピックというのは、そういう中で再度、1964年と同じような、あの場合は戦争からの復興、今回はある程度完成した町なんだけれども、さらにそれを緻密に、どのように豊かにするか。内面においても、人々が助け合う、帰宅困難者条例もそうなんですが、そういう輝く町にしたい、こういうふうに思っています。

【記者】東京都は超高齢化社会に突入すると思うんですけれども、選挙戦でも高齢者ケア住宅を増やしていくというお話、強調されていましたが、少子化についてなんですが、知事になって、改めてどのような対策を考えていらっしゃるのか、教えてください。

【知事】高齢者についてはね、ケアつき住宅というのをやっていくと。それから、若者がね、ちょっと孤立しているんですね。孤立しているというのは、昔はね、藤子不二雄の漫画でよく知られているトキワ荘とか、ああいうアパートがあって、みんなで集まってわいわいがやがややってたんですね。それがシャワーつきワンルームになって、孤立して、そしてインターネットだけでつながっているような状態。そうすると、人と人との出会いの場ができなくなってくるんですね。ですから、シェアハウスというものを考えていくような、若者たちがお互いに共有する現実的な空間も同時につくっていく必要があるだろうと。
それから、公共施設としての都営住宅がありますが、こういうところに高齢者がいますが、その高齢者と若い人のシェアハウスを組み合わせるとか、何らかの形で世代間のギャップを埋めるコミュニケーション、そういうものをつくっていく。
少子化の問題は、保育所の問題と大きく絡んできますが、単に保育所を充実させたら少子化じゃなくなるかというと、必ずしもそうでない非常に難しい問題だと思いますね。実は、少子化って最近起きたように思っているかもしれませんが、大正時代からずうっと、1人あたりの出生数というのは減っていっているんです。戦前、産めよ増やせよというふうに言って増やしたように思えるかもしれないが、そうじゃなくて、実際のグラフを統計的にとってみると、ずうっと一貫して減り続けているんです。ところが、1970年代に日本は人口増え過ぎるという、そういう統計を霞が関で出した。人口を減らす対策をしなきゃいけない、それは大きな間違いだった。そういうことで、少子化というトレンドはなかなか、これ、ほかの先進国でも難しい問題になっているんですけれども、フランスの場合は、事実婚を認めているんですね。逆に言うと、結婚すると財産分けが大変になっちゃうところがあって、フランスの場合は。そういうことで、ちょっと意味が違うんですね。いずれにしろ、少子化対策はさまざまな政策を組み合わせながら、もちろん認証保育所をさらに増やすと、そういうことを含めて、もっと人々が出会ってコミュニケーションとれるような、そういう若い人たちの、男同士とか女同士ということだけじゃなくて、もっと男でも女でも一緒にシェアハウスができるような、そういう形をつくっていきたいと思っているんですね。僕が見たシェアハウスという、民間のよくあるんですが、男の人も女の人も一緒にみんなでいましたから。そういうコミュニケーションがないと、ネットだけで知り合うっていうのは、まだまだね、なかなか弱いと思うんです。

【事務方】すみません、予定の時間、過ぎていますので、最後の質問にさせていただきます。

【知事】新聞社で大体、やってない新聞社、誰だ? 大体やったよな。同じところは、もう二度、いいだろう。で、最後、ほら、新宿新聞って、オチがあるから、いつも。決まってるから。いいかい、ほかの新聞社。

【知事】やってない? どこだ?

【記者】東京新聞です。

【知事】東京新聞やってないっていうから。最後はいきますから。

【記者】お先に失礼します。副知事人事についてお伺いします。

【知事】あ、その質問、あんまり意味ないね。当面、今の、現行体制でいきますから。

【記者】空き席のお2人についても、当面は埋めないという方向でしょうか。

【知事】そうです。

【記者】2月…。

【知事】だから3月までは何事も起きません、はい。以上です。

【記者】ありがとうございます。

【知事】じゃあ、もう新宿新聞いっていいですか。どうしても、聞いてないところある?

【記者】雇用についてお聞きしたいんですけれども、ハローワークの機能を国から都に移管するという考えを示されていますが、今の段階でどのような流れで進めていくのかとかというお考えがあれば教えてください。

【知事】それはもうあのね、地方分権委員会で、具体的に、後で地方分権委員会の当時のリポートを見てほしいんだが、具体的にどのくらい政府から地方に移管できるかというね、そういう数字を計算してありますから。そのときに、ハローワークを含めて、少なくとも3万5000人は国から地方に移管できるはずだと、国家公務員を。そういう最終答申を書いております。それができる、できたところで、ちょうど民主党政権に変わってしまって、変わったときにできたのかな、最終答申が。そういうことなので、その後、民主党の原口総務大臣が総務大臣になったときに、3万5000人以上を目指すという言い方をした。で、全然何もできなかった、そのままです。以上。

【記者】東京のエネルギーですね、エネルギー政策としましてですね、火力発電所がありますね、風力発電のエネルギーも再生可能エネルギーとしてどんどん採用していくと。こういう中において、猪瀬都知事のですね、目指すものは何なのかということなんです。簡単に言いますと…。

【知事】簡単に初めから言ってくれよ。

【記者】簡単に言いますと、脱原発依存社会を目指すのか目指さないのかという問題が1つあると思うんですね。東京のエネルギーをいかにして確保していくかという問題とあわせて、その姿勢を改めてお聞きしたいと思っております。

【知事】東京は、既に脱原発社会になっています。なぜならば、福島から900万キロワット来ていません。新潟から、柏崎刈羽から800万キロワット来ていません。1700万キロワットの原子力発電の電源が失われています、現在。そして、こういう電気がついている。ということは、東京湾に今、老朽火力発電所、35年から40年物だけで1700万キロワットあります。それがフル操業しています。それでこういう状況で、何とか節電効果と相まって電力が供給されていると、こういうことですので、既に新しい火力発電所は幾つかありますが、1700万キロワット分の老朽火力発電所は、リプレイスして新しいものに変えていく。その場合に、民間の資本を入れていく、新電力の参加を促す。それから、お隣の中部電力だって、東京電力エリアで発電所を運営していいんですよ、こういうふうな形で、東京電力改革というのは、電力の自由化の第一歩であります。で、全国で9電力独占体制というのがありますが、新電力の比率は3.5%しかないので、これを少なくとも1割、2割、3割ぐらいになることによって、また9つの電力会社の独占体制の壁を打ち破ることによって、むしろ電力供給は安定化するだろうというふうに考えております。これだけでも大仕事です。で、それを多分、やる人はいないと思いますので、僕は東京都知事になった1つの理由は、そこにもあります。

【記者】そのご努力はですね、最終的に行き着くところというのは、やっぱり原発依存をやめようというところに行き着くんでしょうか。それとも、ただ電力安定供給を、不足している部分を、今、補っていくということだけを考えて、そういうものを考えているんでしょうか。

【知事】だからね、前提が大ざっぱなんだよ。あのね、福島の廃炉まで40年かかる。いいですか。アメリカのスリーマイル島事故、ありました。あれは79年です。ロボットが入れるようになったのが81年か82年です。燃料棒をとり出したのが90年代後半です。レベル4でそれだけかかるわけですから、福島40年というのはかなり厳しい課題だと思います。それは、自前の技術でやらざるを得ないでしょう。フランスのアレバ社に前にお願いしたら、ぼったくりバーみたいに大変高い金を取られて、大して成果がなかった。そうしたら、40年かけて自前の技術で福島を廃炉にしなければいけない。まずそういう前提をきちんと考えながら、じゃあ、どこの原発をやめていくか。火力発電所も40年物はやめていくということと同じように、原発はいずれなくなっていくでしょう。しかし、そのプロセスをきちんと明らかにしていく必要があるでしょう。これは、政府が考えるべき問題です、まずは。もちろん東京都はきちっとした言い方をします、そのときにね。
 そこが、実は明確にならないで、今回の衆議院選とか、いろんな、非常にね、はっきり言ってレベルの低い話し合いが多かったと思う。だから、この電力改革っていうのは、日本の原子力発電というのをどうするかという問題の、もう少し具体的な工程表というものを作っていかないと、とてもなし得ないものです。日本の産業が、電力がなければ日本の産業は守れません。しかし、原発の事故のもたらした被害は、予想以上の被害です。ここをどういうふうに見ていくか。それから、廃炉の技術を40年かかってやった場合に、多分日本はロボットの技術の本当の意味での世界一になるでしょう。そうすると、世界に400から500ぐらいの原発があります。この廃炉の市場は、全部日本のものになるというぐらいのつもりでやらないと、福島の問題は解決しません。以上です。

【記者】はい。あの…。

【知事】もういいだろう。

【記者】ええ。最後に…。

【知事】ちょっと、分かったら分かったでいいじゃない、それで。

【記者】いやいや。猪瀬さんのほうではですね、そうしますと、やはり目指すものは、やはり原子力発電というものをなくしていきたいんだということにつながるわけですね。そうすると…。

【知事】そういうね、あのね、二者択一の話をするからだめだって言ってるでしょう。そういう問題じゃなくて、あなたは、じゃ、福島をどうやって40年かけて廃炉にするのか、あなたの意見を言わなきゃだめだよ。だから、もうそこで終わり。はい。じゃあ、そんな形で、きょうは時間がなくなりましたので。また必ずいろいろご質問に答えますが、なるべく、僕は既に、この間の政策は説明してありますから、その説明に基づいてわからないところを聞いていただくというふうにしたほうが効率がいいと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)