知事の部屋

 
猪瀬都知事「知事の部屋」
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記者会見

平成25年4月26日更新

猪瀬知事定例記者会見
平成25年4月26日(金曜)
15時00分〜16時00分

知事冒頭発言

1 フェイスブック版「知事の部屋」の開設について

【知事】はい。まず、ホームページに知事の部屋というコーナーありますけれども、これをフェイスブックで改めてやることにしました。フェイスブック版知事の部屋、これを新たに開設します。
 僕は、知事になったその日にツイッター、全局にアカウントを持つように指示いたしましたが、これは140字以内で説明するということで、職員の言葉の力が鍛えられる、もちろん情報はホームページで待ってるのではなくて、出前でやるということでね、どんどんどんどん発信するようにということでやりましたが、今度は、知事の部屋でも、今度はフェイスブックで出前の情報をどんどん出していく。
 このフェイスブックの場合は、知事の部屋は動画情報も入れることができますから、どんどんその内容を充実させていきたいと、こういうふうに思っております。
 試しにこんな感じですね。こういう知事の部屋があって、そして、こういうものが出てくると。これは国枝選手とテニスやってる絵ですけど。ちょうど今開設ですから、後でのぞいてみてください、フェイスブックを。まずは、この話はこれで終わりです。

2 東京電力株式会社への株主提案について

【知事】次、行きます。東京電力株式会社への株主提案についてであります。東京都は、先頭に立って東電改革を推し進めてきたわけですけれども、昨年の株主提案では、樫谷隆夫公認会計士を社外取締役として選任できました。さらには、社内カンパニー制の導入と、これは電力自由化に向けた競争原理の導入によってコスト削減を図る、そういう提案をして大きな成果を得たわけですが、今回は、現在進捗している改革の度合いに応じて、もう一歩踏み込んださらなる株主提案を行いたい。
 提案内容は、定款に経営の透明性を確保するということを盛り込んで、具体的な経営情報の開示を行っていくということであります。東電改革を進める上で、最優先課題の一つは、かねてから申し上げてますが、老朽化した火力発電所のリプレース、これを今、東電は、その信用リスクによって、みずからリプレースを行うことができない、そういうことが困難な状況なので、現在ある老朽火力の売却を含めて、他の事業者が参画しなければ、これは電力の安定供給はできません。
 東電は、カンパニー制を導入してるんですが、経営情報を公開する、そういう動きはあるんですが、発電所ごとの個別の収支は公表されていない。結局、発電所は発電所、送電網は送電網、そして小売は小売というふうに、大きくこういうカンパニーに分かれているけれども、本当は発電所ごとに1つ1つ収支がないと、それはだめなんですね。個別収支で出してないんです。これをそのままにしておきますと、リプレースすべき発電所の優先順位、採算性を考慮した事業計画を立てることが困難。外部からリプレースをする、その実現可能性の検証ができない。だから、電力の自由化が進まない。
 詳細な経営情報が開示されれば、開かれた中で議論ができ、都民、国民の利益につながる具体策が見つかるはずです。さらには、東電内部での競争性も高まります。発電所ごとに競争性が出てくる。
 一昨日、東電改革本部と定例会合を行いました。さらにきのう、茂木経済産業大臣に提案、東電改革についての提案、電力改革についての提案をしましたが、その、きょうは3日連続ですが、その締めくくりとして株主提案を行います。ということを発表します。
 東電は、ぜひこの提案をですね、真摯に受けとめて、電力自由化に向けた経営情報を積極的に公開して、みずからの改革を進めてもらいたい。これは、詳しいことはですね、今回、4月1日から新しく新設した都市エネルギー部に、都市エネルギー部ができましたので、そこで聞いてください。

3 東京メトロへの株主提案について

【知事】次にですね、東京メトロへの株主提案についてであります。東電の株主総会も6月末、東京メトロの株主総会も6月末、ですから、今から提案するということですが、地下鉄一元化に関しては、ご存じのように、2010年8月に国交省、財務省、東京メトロ、そして東京都の四者協議をもって、正式な名称は、「東京の地下鉄の一元化に関する協議会」というものを設置して協議を開始しました。そして、ご承知のように、九段下のバカの壁を壊しました。それから、地下鉄に、全ての地下鉄にメールのための電信線を設置して、3月いっぱいで都営もメトロもメールができるようになりました。それから、乗りかえ駅の追加設定、改札通過サービス、そういうことで、ある程度、サービスの改善はできたんですが、さらにこれからは、その成果を踏まえて株主提案を行いたい。つまり、これまでは、株主としては提案してこなかった。で、46.6%の株主ですから、この株主提案の内容は、東京メトロの定款にですね、ちゃんと経営理念として安全・安心を追求し、お客様の視点に立ったサービスを提供していくと、基本的なことを盛り込みたい。あわせて、経営体質の改善や株主に対する透明性の向上を図るため、東京メトロと株主等で構成する経営改革会議を設置し、それに対応する東京メトロの社内体制の整備を求めていくということです。
 そもそも東京都は、主要株主であると。これまでの協議会では、主要株主であるという観点では、あえてやらなくて、まず話し合いでということでやってきましたが、今回は主要株主として提案すると。「地下鉄は誰のものか」という本を僕は出していますから、ご存じだと思いますが、東京都は既に、東京メトロに対して、2750億円の資金を供給してきました。国もほぼ同じ金額で、両者合わせると5500億円の公的資金が東京メトロに投入され、営団地下鉄時代以降、投入されてます。つまり、東京メトロの総建設費の4分の1は公的資金によってつくられてきた。なぜならば、ご存じのように、地下鉄は普通の私鉄と違って、都心でトンネルを掘る、非常にコストがかかる。同時に、普通の私鉄の場合は、郊外に線路を延長して、住宅を建てたりデパートを建てたりすることによってビジネスモデルをつくってきた。いわば、私鉄は不動産業のビジネスモデルでありましたから、地下鉄の場合には資金が膨大にかかる。同時に、一度、つくれば、私鉄の場合には都心のターミナルステーションから、それこそ1時間、2時間果ての郊外までずっと延びていくので、お客さんは最後は減っていくわけですね。地下鉄の場合には、山手線の内側を、ほぼ走っているから、必ずお客さんが来る。したがって、最初の投資はかかるけれども、必ず利益は得られる。そういう意味で、金城湯池にある。
 そういうことで、メトロはほぼ建設が終わっておりまして、減価償却も進めば必然的に利益が生じていくわけですから、平成23年度でも550億円の利益が発生しています。しかし、その利益は、利用者に対して十分に還元されていない。都営地下鉄と歩調を合わせ、バリアフリー化やホームドア、ホーム柵ですね、設置など、強力に進め、より一層サービスの向上を図らなければいけません。実際には、ホームドアの設置率は都営地下鉄が61%、東京メトロは44%にすぎません。まずは、お客様に利用しやすい運賃体系の実現に取り組むことと、そういうバリアフリー化にきちんと取り組みながら、東京都の今後の総合的な交通体系を考えていく中で、都心における公共交通の根幹である東京メトロの果たすべき役割をきちんと明確にしたい。東京メトロは、今回の株式提案を真摯に受けとめ、一層の経営改革に取り組んでもらいたい。細かいことについては、これは都市整備局に聞いてください。

4 都営大江戸線ホームドアの全駅整備完了について

【知事】次に、今、ホームドアの話、しましたが、都営大江戸線のホームドア、ホーム柵、これが一昨年4月から整備を進めてきましたが、あす4月27日土曜日、このすぐ隣の西新宿五丁目の運用開始をもって、全長41キロメートルに及ぶ大江戸線全38駅の整備が完了することになったので、お知らせいたします。当初、6月の完成を目指して整備を進めていましたが、東京に多くの観光客が来るゴールデンウィークの前に前倒しで運用開始をしようという決意のもとで、ようやく、あすホーム柵が、最後のホーム柵、西新宿駅、西新宿五丁目駅、間に合いました。これで大江戸線全線のホームドアは完成です。
 ホームドアは、ご承知のように、お客様の安全を確保する上で、また転落防止に極めて有効な方策であります。もう少し言いますと、平成12年から運用している三田線の27駅と合わせて、都営地下鉄全106駅のうち65駅、61%でホームドアが稼働するということです。整備率は61%、東京メトロは44%であります。残る新宿線や浅草線は、今回の大江戸線とちょっと違って、他の鉄道会社との相互直通運転を行っていることから、車両の改造ということが絡んでくるので、これから乗り入れ各社と調整を図っていきながらやっていきたいと。詳細は交通局に聞いてください。
 オーケー、以上ですね。たくさんありましたが、なるべく順番に聞いていただければありがたい。はい。はい、どうぞ。

質疑応答

【記者】朝日新聞の岡戸と申します。東電の株主提案なんですけども、経営の透明性の確保は大変重要なことだと思うんですが、これを定款に盛り込む意義というのを教えていただけますか。

【知事】まずは、総合特別事業計画でリプレースについて書いてあるんですが、具体的に我々が、我々というのは民間がですね、投資する場合に、どこの老朽火力に投資できるのか、それがわからないと、その収支が見えないとですね、手を挙げられないということで、まずは経営改革本部と会合を重ねていますが、きちんと会社としてそういう方向性を出してほしいということで、透明性を求めていきます。

【記者】昨年も知事、副知事時代にですね、株主提案されまして、東電側としては、確かに言っていることはごもっともだが、定款に盛り込むまでもないという、たしかそういった意見だったと思うんですが、それで、当時、副知事の猪瀬さん、大株主に賛同を要請されたと思うんですが、今回、改めて可決に向けてどのような取り組みをされたいとお考えですか。

【知事】この場合はですね、具体的にコスト削減の例示をしました。東電病院とか。今回は、リプレースをメーンにして透明性を求めていくということです。コスト削減については、おとといも改革本部から報告、受けました。コスト削減はコスト削減で進めているわけですけれども、今、非常に急がれているのが、東電の老朽発電所のリプレースです。株主総会そのものではなくて、今、もちろん提案するんですが、株主総会に向けて今、これを株主総会へ提案するということを今、言うことが大事。5月、6月にどういうリプレースの現実性が出てくるのか、そういうことを言うためということも、この中に含まれています。つまり、何度も言うけど、株主総会、可決か、否決かって、あんまり問題ではない。そこまでが勝負、中身が勝負なんです。はい。

【記者】東京メトロの提案について聞きたいんですけれども、経営改革会議を設置されるということなんですが、これまでも一元化の協議会やられたと思うんですけど、具体的に、これに対してのプラスアルファとなるのか、促進していくものなのか、もうちょっと具体的に教えていただけますか。

【知事】まずですね、今までの話し合いというのが、行政として話をしていた。財務省であり、もちろん財務省は株主だから出てくるんですがね、国土交通省は鉄道監督権限がある、東京都は都営地下鉄を持っている。そして、東京メトロは当事者であるということで、都営地下鉄と東京メトロの一元化の話をしてきました。しかし、さらにもう一歩、今回、踏み込んでですね、株主としての役割をきちっと果たしたいと。今まではそれをやらなかったんですね。この間、ニューヨーク出張で、都営バスの24時間、渋谷から六本木、やると言いましたよね。もちろん、都営地下鉄は複々線ではないので、ニューヨークのようにはできませんが、しかし、都営とメトロが一元化しながら全体的な交通体系、都バスも含めて、それは行政として責務がある。やり方はいろいろ考えられる。つまり、今まで、株主として言わなかった。言わなかったという……、株主だからっていう……、ま、要するに話し合いの場というのをつくってきただけなわけで、今度は、この間の西武、西武鉄道に対してサーベラスは結構強い態度で臨んでましたよね。やっぱり46.6%って、過半数ではありませんよ。しかし、その株主の持ってる力というものはやはり見せていく必要がある。
 それから、今、先ほど24時間化という話をしましたが、地下、現状の東京の地下鉄で24時間化はすぐに実現できるというのはちょっと違う部分があるが、時間を延ばすことはできなくはない、いろいろ相談しながらね。
 そして、大事なのは、その、グローバルな社会で都市の交通機関のあり方がどうなのかという、そういう問題、つまり例えば、ヘッドクオーター特区に東京は今認定されていますが、さらには国家戦略特区として、東京がですよ、今後どういう交通体系を持つかということは非常に重要だと思っています。当然ながら特区の話というのは……、そこまで今、話がね、広がるつもりはないが、あえて言えば、救急救命士が英語しゃべれるとかね、そういうところまで考えないといけないわけですよ。そういうことを含めて、交通機関も外国のビジネスマンが日本に拠点を置くということも想定しながら、交通機関について考えていかなきゃいけない。そのときに、株主としてきちんと言うべきことを言って、メトロと都営の一元化というものを考えていきたいと、こういうふうに思っています。ちょっと次のステージに行きたいなということです。
 はい、どうぞ。

【記者】NHKです。金城です。知事は副知事時代に、2つの、このメトロと東電の株主総会にご自身みずから出席なさっていましたが、今回は、知事になられて、日程もあると思うんですけれども、ことしの株主総会、みずからのご出席はどのように考えていますか。

【知事】オリンピックの関連もありますから、海外出張とか、そのあたりで日程をよく調整しながら、できるだけ考えてみたいが、本人が出れない場合も副知事が出るとかいうことで考えていくことはできます。
 既に何度も申し上げましたが、株主総会というのは株主総会までのプロセスが大事なんですね。そのために、いろいろと国との根回しとか、いろんなことやらなければいけないと思っているんです。そういうことは先頭に立ってやりますのでご心配なく。

【記者】メトロで言うと株主は2つしかなくて、東京都以外は国しかいないわけで、今おっしゃった、この根回しというんですか、要するに東京都の提案を通すために国という株主の協力というか理解も必要かと思うんですが。

【知事】そうですね。

【記者】そのあたり、国への説得というのはどのように考えていらっしゃいますか。

【知事】まずは、国は、財務省が株主ですが、公共交通機関を実際に運営しているのは東京メトロであり、国土交通省が監督権限があるということですよね。東京は、直接、都営地下鉄を動かしてますよね。そうすると公共交通機関のあり方とは何かということがテーマですから、公共交通機関のあり方については、国土交通省とよく話し合ったほうがいいと思っているんですね。で、財務省は、財務省で有力ですが、株主総会でも財務省はただ出席しているだけでありまして、ほとんど発言はしません。実際に当事者であるのは国土交通省と東京メトロと都営交通です。そういうところで公共交通について話し合いたいと、こう思っているわけです。
 はい。

【記者】時事通信ですが、この2つの株主提案は、おっしゃられたかもしれませんが、いつ提案するのかということでですね、提案というのは、この議案内容のところだけなのか、それとも提案の理由に含まれているその具体的な発電所ごとの経営情報を公表しろってのも求めたり、メトロのほうであれば、経営改革会議を設置しろっていう具体的なところまで求めるのか、いつ出して、どこまでが求める、正式に求める内容なのかと。
 あと、可決、否決はどちらでも構わないということをおっしゃられていましたけれども、そこのところを詳細にもう一度説明をお願いします。

【知事】まずは、昨年の東京電力の株主総会に向けてのプロセスを、ちょっとご記憶してるかな? あれはね、株主提案はね、4月27日締め切りだったんですよ。株主総会の8週間前。だから連休前にとにかく間に合わすと。今回は、8週間前っていうのは5月の1日か2日ぐらいになるんでしょうかね。いずれにしろ、連休前とか、そういう時期が株主提案の時期なんですね。そこからが勝負なんですよ。樫谷公認会計士が社外取締役に認められたのは5月です。つまりそういうものを掲げていきながら交渉を進めていくと。株主総会はあくまでも、何か大会みたいな感じなんですね。

【知事】締め切りはちょっと余裕があるんだけど、きょう提案するわけ。一応、営業日としては、金曜日でしょ、きょう。ただ、連休の真ん中までは本当は締め切り間に合うんですが、前回は4月27日の後、もう連休になっちゃって間に合わなくなる、だから4月27日の金曜日だった。きょうは二十、4月26日の金曜日ですから、あと1日、2日、5月の頭に日にちはありますが、きょう、両方とも出しちゃう。出しちゃというか提案しちゃうということです。どうせ同じですから。はい。

【記者】じゃ、この議案2つをたたき台に、この提案の理由のところを交渉の中で求めていくっていうことですか。

【知事】だから、まずは、何をしたいかっていうことを示さないといけない。そして交渉していくということですね。
はい、どうぞ。

【記者】東京新聞の安藤です。リプレースの関係で、これは、リプレースの実現可能性などを第三者は検証するということを、例えばできないかという提案と読み取れるんですけど、これを実際に東京都のほうで行っていこうというお考えになるんでしょうか。

【知事】民間事業者を前提にしながら東京都もかかわるということが考えられます。なぜならば、東京都は官民連携ファンドをつくって、既に袖ヶ浦に10万キロワットの発電所の建設を進めております、この民間事業者が。ただ、東京都のつくったファンドをうまく使ってやっていくわけですね、それはね。で、それは10万キロワットなんで規模は小さいですが、これから東京湾の中で、幾つかいけるぞというところがあるわけですね。ところが東電側はもう投資余力がない。で、投資余力がなくて、じゃあ、どうやってリプレースするんですかということで、自分たち自身が困ってるわけですね。つまり誰も決めないんです、物事を。だから、具体的に東京都がこうだよと問題提起をする。
 実際、きのう、茂木経産大臣が、ある程度前向きの答えを言いました。つまり、新電力あるいは他の、よその電力会社ですね、東京電力以外の、以外の電力会社、あるいはファンド、そういうものが、どこに投資をするかというときに、どの発電所がどういう収支の状況なのかということがわからないとですね、投資できないじゃないかということを言ってるわけですね。
 それともう一つは、東電は分社化する、カンパニー制にする。だけど、カンパニー制にしても、発電所同士は同じカンパニーに入ってて、発電所同士の収支が見えない。そうすると、内部で競争が起きないっていうことで、できたらそこまでやってほしいよねと、こういうことを言っているわけですね。はい。

【記者】それで、これまでにですね、こういう定期会合などの中でこういう提案などをされたことというのはありますか。

【知事】この間の定期会合でも具体的にこういうことを言ってます。ですから、正式な言い方をまた別に株主提案としてします。してます、こういう形でね。また、この株主提案として出してるものをまた改革本部とも会合を重ねていくということになります。

【記者】今のところ、東電側としては、この提案に対してはどういう反応をしているかということなんですけど。

【知事】これは今、正式にきょう出したところですから、これから改革本部と、それについて詰めていきたいというふうに思っています。
 はい。

【記者】毎日新聞の清水です。知事がニューヨークで表明されました都営バスの24時間化について質問します。
 知事は著書の中で、この東京というまちが発展した経緯についてですね、各鉄道会社が都心部から放射状に鉄道を延ばし、ここに合わせて沿線の都市開発も進めて、郊外に人が住むようになったと、それで満員電車に乗って通勤するという東京独特のライフスタイルができたというふうな解説をされてますね。

【知事】はい、そうですね。

【記者】そうしますと、深夜に、もう終電も終わった時間に都心部で人が移動するというのはあまり需要がないんでないかと思いました。もし、いたとしても、それは現在のタクシーで十分可能なのではないかとも思うんですけれども、ここら辺、公共の交通機関が24時間都心部で動くということの都民にとってのメリットというのはどういうふうにお考えなんでしょうか。

【知事】1つはね、公共交通機関が動くことで新しい需要は発生するということがあります。既に、乗り遅れた人を救済するということのイメージではなくて、よりいろんな産業がそこによって起きていくということですね。それから、海外の駐在している人は、東京が、向こうが夜でも東京が昼間であったら、それに合わせてタイムシフトして仕事をこなしたりしていますが、逆に、日本が夜であっても向こうが昼間であるというときには、タイムシフトをやっぱりやって仕事をしたりしていますよね。つまり、地球は24時間、どこかの市場が開いているということで、それに対応できるようなグローバル化というか、グローバル化に対応できるような交通体系が必要であろうと。
 それともう一つは、今回は六本木から渋谷までですが、渋谷から午前1時にバスが出てるんですよね。あるいは、これが、京王線と東急線のバスがやはり1時20分とか1時30分とか、何本か出ているんですね。そういう形で24時間にまでは至らないが結構、電車の時間より延長してバスが動いている、そういうサービスを行っています、既にね。そうすると、民間はそういうサービスを行っているときに、都心をエリアとする東京都の路線バスがそれに対応することも必要になります。
 それから、これは常識として知っておいてほしいんですが、ニューヨークでは24時間は当たり前です。バスは。ロンドンでも同じです。24時間は当たり前。パリでも、ベルリンでも24時間のバスが動いています。東京都だけはなぜか、多分、これはいろんな規制とか、あるいは、何だろうね、新しいやっぱり、動きをしないというかね、非常にそのグローバルな時代に提案を誰もしなかったということで、世界の都市に遅れをとっているんだというふうに思います。はい。

【記者】タクシー業への圧迫になるという懸念はないですか。

【知事】タクシーのお客さん、逆に増えるかもしれませんよね。さらに、仕事が24時間いろんな形でそれぞれの需要が増えていくとね、仕事の。よく、あの、テレビは飲み屋さんの例だけしか出さないから、みんな、お酒を飲んでいるわけじゃないからね。仕事をやったりして、それで、タイムシフトでやって、フレックスタイムでやって、いろんな形でやっているわけですよね。はい。

【記者】読売の小林です。関連なんですけれども、今のを論で言うと、基本的には東京のですね、交通体系としては、特に、公共交通機関は、基本的には24時間に向けてですね、動いていくというのが望ましいということでしょうかね。そうすることによって需要が喚起されるということなので、動きとしては他の大都市並みにですね、向けて、延長もしくは24時間という流れを目指すということで……。

【知事】つまり、インフラはね、やれる範囲でみんなやっているということですよね。つまり、先ほど言いました、ニューヨークは複々線だから地下鉄24時間できるけれども、そうじゃないところは24時間できないが、しかし、バスは24時間にするとかね、それぞれの今、先ほど挙げた有名な都市はみんなやっているわけですね。だから、それは当然、東京もやらない理由がないでしょうということですよね。

【記者】需要は喚起されると思いますけども、やはり今現在の実績を見ても、やっぱり夜間のほうが利用者が若干、少ないようなんですね。

【知事】終電、満員じゃないの。

【記者】だから、終電に合わせて皆さん帰るんで、そうなんでしょうけども。

【知事】だから、終電がほとんど朝のラッシュみたいになるでしょう。こんなのおかしいんですよ、普通じゃないんですよ。普通は、もっと分散して、時間が、帰れる時間があるはずですよね。そういうことで、日本独特の終電現象ですよ、混雑してるっていうのは。24時間、あるいはバスでも、とにかく、その都度その都度、分散型で皆さんが乗っているわけですよね。はい。

【記者】関連。

【知事】関連なの、本当に。

【記者】関連です。

【知事】はい。

【記者】新宿新聞の喜田です。今のことなんですが、六本木と渋谷というふうに限定されるということはですね、将来はまたどういうふうに考えたらいいんでしょうか。もっと広げるというふうな方向も考えなくちゃいけないことなんですか。

【知事】まず、六本木と渋谷でやってみて、そして、もちろん収支の問題もあるし、そうでしょう。お客さん、どのぐらい乗るかとか、そういうことでまずやってみて、その結果、ほかの路線をどういうふうに拡大するか、考えるということになります。

【記者】また新宿の話になりますが、新宿と六本木のほうとをこうつなげるとかっていうことは考えられないですかね。

【知事】だから、まずやってみて、もしかして、それがいいかもしれないとなれば、そういうことも考えられるし、ま、あまりいい結果が出なければ、そこまで考えないということですね。
はい。

【記者】TBSの海野です。大江戸線のホームドアの話で観光客のことがありましたけれども、明日からゴールデンウイークということで、旅行会社の発表ですと、ゴールデンウイーク中の国内旅行客数は過去最高になると。中でも、東京にいらっしゃる観光客の数が前年の2割増しということらしいんですけれども、知事に伺いたいのは、その東京に観光客が増えていることそのものへの感想と、あと、スカイツリーですとか、渋谷のヒカリエ、そういったものが商業施設、開業が相次いでますけれども、観光都市としての東京、今後、どのようにしていきたいか、展望を教えてください。

【知事】これはもう2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向けて、いろんな準備をしていかなければいけない。そういう意味で、東京の持っているホスピタリティ、おもてなしですね、それは海外の観光客だけじゃなくて、国内の観光客も、より、その、味わっていただきたいと、そう思ってます。
 東京、そして、東京を目指して連休で来る人もいるけれども、東京からまた出ていく人もいます。そういう意味で、東京はハブ、空港の羽田も成田も含めてハブ空港であり、同時に、東京駅、新幹線、電車のハブでもありますよね。そういう意味でハブ的な機能を東京は常に持っている。ですから、人がたくさん集まり、また、たくさん出ていく。情報がたくさん集まり、そして、情報がさらにそこに進化して新しいビジネスが生まれていくと。そして、新しい流行の発信、新しい産業の発信が東京から生まれていくと。そして、東京が心臓として、日本の、より強くなればなるほど全国に送る血液の量も多くなるというふうに思っています。
 はい。

【記者】共同通信の中井と申します。ゴールデンウイークの関連なんですけども、この日曜日にですね、28日なんですが、安倍政権が主権回復の日ということで式典を開催するようなんですが、歴史的経緯などから沖縄は非常に複雑な反応をなさっているというか、一部、強い反発もあるようなんですけれども、この、そういう沖縄の反応も含めて、式典について知事の受けとめを教えてください。
 それと、式典自体に知事がご出席されるのかどうかも教えてください。

【知事】式典は出席します。当然、日本がサンフランシスコ条約によって主権を回復した、これは大変なことなんですよ。僕の本を読んでいただければわかるんですが、「東條英機処刑の日」という本がありますが、徹底的に日本軍が解体され、そしてマッカーサーの統治で日本は変わりました、いろんな意味で。そして、マッカーサーがたまたま、ずっとマッカーサーいたんです。たまたま朝鮮戦争で核兵器使うとか、そういうことが、言ったことによって、当時のトルーマン大統領に解任され、それでリッジウェイという次の司令官が来て、それが大体約1年。それで1951年の9月8日にサンフランシスコ条約を締結して、普通だったらその半年後の4月8日が公布ということになるんですが、発布ということになるんですが、4月28日という微妙な日にしたということが、ここはやっぱりちょっと考えると非常に興味深いですね。昭和天皇の誕生日の前日ですよ。
 僕が自分の本で書きましたが、昭和天皇の誕生日、昭和21年の4月29日に東京裁判のA級戦犯が起訴された。そして、翌年の昭和22年の5月3日に、これは東京裁判が開始された日ですから、その翌年の22年の5月3日に憲法記念日にした。そして、翌昭和23年の12月23日、当時の皇太子殿下の誕生日に東條英機を処刑した。こういう1つの占領軍のつくった工程表というのがあるわけ。そういうくびきから解放されたのが、まさに1952年の4月28日である。しかし、その日も、ある意味では非常に計算された日であったかもしれない。
 そういうことで日本が国際社会に初めて、つまり長い占領区から脱して主権を回復した日ですから、これは記念すべき日だというふうに思いますが、もちろん、その当時沖縄も復帰できればよかった、同時にね。それができなかった状況が当時の日本の置かれた現実であった。したがって、佐藤栄作総理大臣の1972年の5月15日に沖縄が復帰した。もちろん、まだ今の基地の現状を見れば、日本は完全に本当に独立国家と言えるのかどうかという疑問は常に生じているわけですね。
 はい。

【記者】IWJの石川と申します。よろしくお願いします。先週の19日、金曜日なんですが、アメリカはワシントンで麻生副総理が講演したんですが、その中で水道事業について触れられていたんですが、麻生副総理が水道について、すべて国営、もしくは市営、町営でできていて、こういったものをすべて民営化しますという発言をされているんですが、知事のご見解をお願いいたします。

【知事】麻生さんがどうおっしゃってたか、僕、聞いておりません。ただ、水道は、東京水道は公営企業として、公営であっても企業なんです。ですから、経営がきちんとしてなければいけない。つまり、一般会計から補助金をもらわないでも経営できなければいけない。独立した公営企業。都営地下鉄も公営企業。
 公営企業というのは、公営であろうが企業なんですね。だから、簡単に民営化とかいろんな言い方をしてるが、その民営化と言ってる人がどの程度のことを民営化と言ってるかがよくわからないときが多いんです。で、僕は道路公団を民営化しましたが、その民営化について、あれは完全民営化でないとかいろんな言い方がある。その言い方も、それぞれみんな考え方が違っていて、どの民営化がどういうことなのかとかね、それがもう千差万別、いろいろあるんです。
 ですから、一般論で何か言っているということにすぎないと思います。要は、収支をきちんとしなさいと、東京の場合は、それは企業経営として非常に成功している。しかし、地方の水道事業は非常に厳しい状況にある。ただ、だからこそ今、フランスの民営化会社がどんどん日本に進出してる。で、どんどん買収されてる、一部ね。そういうことがあるんです。そういうことを上手に表現できなかっただけだと思います、麻生さんは。
 はい。

【記者】共同通信の堀口です。インフラの老朽化対策についてお伺いします。昨日、東日本、中日本、西日本の道路会社3社がですね、インフラ老朽対策で5兆円から10兆円規模の費用が必要になるという試算を公表しました。このままいくと2050年に無料開放するとしたですね、2005年の償還計画、これもかなり厳しいものになってきます。財源のめどもまだ立っていないということです。当時、委員としてですね、公団民営化などにかかわられた猪瀬知事が今回の結果についてどのように思われるか教えてください。

【知事】それは老朽化対策というのは必要です。基本的には料金収入を前提にしながら老朽化対策を考えていくと。

【記者】当時、ここまで老朽化にかかる費用がかさむというお考えは、その委員の中とかであったんでしょうか。

【知事】建設計画がありまして、新規路線の建設がかなり、もう昔に比べると減っているんです。その減っている新規路線の建設費用が老朽化対策に充てられるわけです。なぜならば今の道路会社は45年間料金徴収権を持っているんです。既に料金徴収権を45年間持っていて、まだ残り37−38年あるんです。したがいまして、その範囲の中でまず考えることが前提です。
 はい。

【記者】日経新聞の舘野と申します。リプレースについてお伺いします。売却ということを知事、1つの案としておっしゃってますけども、その担保の絡みなんか難しいという声もあるんですけど、そのあたりについてどうお考えかということと、もう一つですね、東電と経産省に対して提案されて動き出している感があるんですけども、いつごろまでにですとか、その目標の時期のようなものっていうのは何かお考えでしょうか。

【知事】それは早いにこしたことはないわけでね、東京は今、脱原発状態ですから、いつ老朽火力発電所が故障するかわからない中で、電力の供給、安定供給の義務がやっぱりあるわけです。したがって、一刻も早く市場を活性化し、古いものは取りかえる、そういうその投資をする、そういう会社はたくさんあるわけで、その投資がとまってしまってはいけないわけですね。で、東電自身が投資できなければ、別の会社がやればいいわけですね。そういうことで、時期はあれですが、きのうも経産大臣に会い、おとといは改革本部の会合をやり、そういうことをやって、急いでもらうというかね、そういうことで、役所は、ことしは、来年は、再来年はという言い方になっちゃうからね。とにかく、少しでも、一刻でも早くやるという、そういうことが、前倒しでやってもらいたいということなんですよ。要はね。とりあえず役所っていうのは、ぎりぎりここまでやりますという言い方をするんですよ。この年度までにとか。その年度までにって、その年度の3月なのか、初めの4月なのか全然違うわけですから、そういうことで、できるだけ早くやりたい、やってもらいたいと、やらなければいけないと、そのために東京もいろんなアクションを起こしたいと、こういうふうに思っているわけです。
 はい。

【記者】時事通信の増渕といいます。地方税の偏在是正問題についてお尋ねします。今週の全国知事会議では、その偏在問題に関連して、有識者検討会による中間論点整理というのが示されて、引き続き議論を重ねるということになりました。東京都としては、地方法人特別税の廃止と、あと法人事業税への復元っていうのを目指していると思いますけれども、知事として、その偏在是正の問題についてはどのようにごらんになっているのかお願いします。

【知事】東京の問題は、既にもう要望としては出していますから、この提案要求っていうか要望を7月までに出すわけです。ですから、それはそれで前から、毎年毎年やってるわけで、東京以外のことについては、特に意見ありません。
 もういいですね。
 はい。

【記者】朝日新聞の別宮です。よろしくお願いします。都営交通の24時間化の話にちょっと戻るんですけれども、ほぼ同時期に国のほうからも同じような話が出てきたんですが、これは知事のほうから国のほうにそういう働きかけをしてたっていうことなんですかね。

【知事】これから具体的に話し合いをするところであって、まずは第一歩は渋谷−六本木の24時間のバスと、バス、やるということで、まず第一歩です。これからもうちょっと特区の問題で詰めていきたいと。
 それからもちろん、先ほど言いましたように、東京メトロに経営改革の会議を持つことによって、東京の交通体系全体をグローバル化した世界に、東京の都市力を高めるためにどうするかという課題を解決していきたいというふうに思っています。
はい。

【記者】霞ヶ関通信の稲村です。24時間サービス、六本木から渋谷までということですが、羽田空港は既に24時間サービスを早朝、深夜、外国からの便が到着しておりますけど、それに対応して、羽田空港、東京都ですけど、公共交通機関で24時間対応の電車またはバスはあるんでしょうか。

【知事】まだ、それ、公共交通機関とは限らない。どういうところを経営するかはともかく、それに応じたバスのサービスは提供されるべきでしょう。いずれね。はい。
 大体いいですね。
 はい。

【記者】テレビ東京の石井です。今の24時間化に絡んでなんですが、先ほど終電の満員電車の話もありましたが、諸外国と違って、日本は労働時間の、何ていうんでしょう、長時間労働をよしとする風潮にあるといいますか、東京は労働人口も多いですし、終電なので帰りますっていうのができなくなるんじゃないかっていう懸念もあると思うんですが、これに関しては、知事はどう考えてらっしゃいますか。

【知事】それはね、非常にね、日本人的質問だね。

【記者】でも、現実はそうなんじゃないかと思っているんですが。

【知事】あのね、イギリス、例えばロンドンに行かれたことあります?

【記者】はい。

【知事】あるでしょう。そうすると、夜10時まで明るいでしょう。そうすると、会社終わって、夕方5時、6時に終わって、それで、そっからテニスをやったり、オペラを見にいったり、新しい別の空間がもう一つできるんだよね。だから、仕事はもう早く終わると。そしてもう一つの仕事、つまり、レジャーであったり、アートであったり、あるいはいろんな趣味、いろんな趣味をやったり、何とかスクールに通ったり、そういうことをやることによって需要が増えていくわけですよね。今のライフスタイルでは、内需は増えませんよ。ですから、考え方や意識を変える、それも含めての24時間だということですよね。
 ですから、夜働いている人も、昼働いている人もいればいいし、昼間スポーツやる人もいればいいし、いずれにしろ、夜10時まで明るいと全然違いますよね。そういう世界ができ上がった中で、例えばよくブロードウエーでも始まる時間がうんと遅い場合もありますよね。終電で帰れないよ、日本的に言えば帰れない時間でもやってますよね。そういうアートなんかは、もう夜やったほうがいい場合もあるんですよ。
 それから、食事の時間も、もう少し夕方の食事の時間をゆっくりすると。ただ、酒飲んでくだ巻いてるだけじゃ、これしようがないね。はい。考え方を変えなきゃいけない。
 もういいだろ。
 はい。

【記者】もう1点よろしいですか。東京電力の関連の話に戻るんですけれども、公営水力発電所の自由化でですね、違約金のほうが52億から下がれば、1つの全国的な突破口になり得るというようなお話されてましたけれどもですね、そのあたり、ほかの自治体にですね、都と同じような動きをするように働きかけるとかですね、そういったお考えというか、ご相談が来てるとか、ほかの自治体の。

【知事】働きかけたいと思います。なぜならば、つい、だから、一昨日の東電の改革本部との会合で、明確にこれは52億円という金額は、改革本部を通過して出てきた数字ではないと。東電も古い体質の縦割りですから、そういうところから出てきた数字だと。だから、大幅にその金額は、もうほとんど……、あることは多少あるけど、ほとんど話題にならないぐらいの金額になるわけですね。ですから、そういうことの話はできてるので、これをほかの9都県市、神奈川県や埼玉県や、そういう周辺の県に、いずれ5月に9都県市あるのかな。5月に9都県市ありますから、そういうところで、皆さん、水力発電の自由化できますよと。条例をちょっと変えるだけで、もう大丈夫なんですよというふうなことを説明します。

【記者】そういう問題を説明されると。

【知事】だから、52億円ということで、誤解がね、ばあっとね、いっちゃってるから、それはもう払拭できるようになったということですよね。はい。
 ということで、じゃ、いいですね。
 はい、どうも。

 以上

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)