知事の部屋

 
猪瀬都知事「知事の部屋」
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記者会見

平成25年10月25日更新

猪瀬知事定例記者会見
平成25年10月25日(金曜)
15時00分〜15時35分

知事冒頭発言

1 台風27号の接近に関する伊豆大島における対応等について

【知事】台風27号の接近に関する伊豆大島における対応、最新情報をお知らせしたいと思います。
 台風26号による伊豆大島の土石流により、今日の午後2時現在ですが、既に31名の方の死亡が確認されています。改めて心から哀悼の意を表すとともに、現在も行方の分からない13名の方の捜索に全力を尽くしたいと思っております。
 ご存知のように、現在、台風27号が伊豆諸島に接近しております。これによる強い雨や強風、高波、土砂災害に対して厳重な警戒が必要であります。大島町は、本日12時05分、元町地区と泉津地区の2地区に対して避難勧告の呼びかけを始めました。さらに、今、たった今ですが、15時現在、その対象を拡大して、島内全域に避難勧告を発令しました。大島町の皆さんには、落ち着いて町の指示に従っていただくようお願いいたします。
 また、防災無線や警察・消防等からの情報にも十分にご注意下さい。東京都は、これに先立ち、島外への避難を希望した高齢の方や障害のある方、妊産婦の方など、23日、24日の2日間で127名を受け入れました。国立オリンピック記念青少年総合センターや都内の福祉施設等において、宿泊や食事の提供はもとより、相談窓口の設置などの生活支援を実施していきます。現地に対しても、肌着、日用品などの避難所用の物資を提供して、避難所の運営を支援する東京都の職員40名を派遣しております。
 また、都立大島高校、都立大島海洋国際高校も避難所等として提供するなど、島内における避難を全力で支援しております。
 また、二次災害を防ぐため、国土交通省や東京都建設局の専門家などによる知見に基づき、民家や道路などに対する被害を防止するための緊急対策を決定して、自衛隊の協力を得て工事を行ってきました。まだ容量が残っている八重沢堆積工、崩れた所の南側の砂防ダムですね、この砂防ダムに今後流れてくる土砂を誘導するため、この前も言いましたが、100メートルの土嚢をそこに設置すると。もう一つ、元町に近い大島一周道路のところに440メートルの大型の、やっぱり土嚢を設置して土砂の流入を防ぐと、こういうことで、あわせて540メートルの工事はいずれも22日火曜日現在で全て完了いたしました。
 また、これと並行して行ってきた大金沢、こっちの側の方ですね、大金沢の堆積工、砂防ダムにたまっている土砂を撤去することで、水曜日までに全ての流木、流木は全部どかした。土嚢を堰の中に70メートル設置しました。ま、設置しているところですね。で、その、だから、砂防ダムの堰と、もう一個、土嚢で70メートル内側にもう1個堰をつくると、二重の堰をつくるという形になります。今後、流入する土砂をそこで止めるスペースを確保した。70メートル土嚢をつくったのは、堰の方の所にべちゃべちゃの泥なので、すくうのに時間かかるから、まず先に70メートル土嚢をつくって、その辺を空けて、とにかく溜められるようにすると、こういうことですね。引き続き、ただ、土砂の撤去を続けています。
 それから、22日の火曜日から長沢、八重沢の、長沢はこっちですね、八重沢のダムの所にある流木や土砂の撤去も工事を進めております。ただ、台風27号接近するので、今日からは一時工事を中断、物理的に中断せざるを得ないということで、その部分についてはそうしています。
 また、東京都が定めた土砂災害危険箇所について、国土交通省が緊急点検を実施して、危険度を評価しております。その結果、警戒避難体制や対応の検討に今活用されているところであります。大島以外の区部や多摩地域、島しょ地域においても、大雨や強風による災害が発生する恐れがあります。都内の各市町村に対しては適切な体制を確保するとともに、今後の台風情報や土砂災害警戒情報等の情報を収集して迅速な対応を努めるよう、既に連絡してあります。
 東京都は、東京都防災というTwitterのアカウントがありますが、東京都公式ホームページなど、様々な防災情報を随時提供していっております。都民の皆様も地元区市町村からの連絡に注意するとともに、台風に関する情報を収集するなど、自らの身を守るために行動していただきたいと思います。都庁東京都防災というTwitter、東京都のホームページ、各区市町村の役場の情報、これを常に収集して、見つけることはできますから、注意していただきたいと。もちろんメディアの皆さんも、様々な情報を新聞やテレビ等を通じて流して下さっていますから、住民の方は、とにかく情報に対する感度を磨いていることが身体生命を守ることだというふうにご理解下さい。
 二次災害の防止を防いでいくということが一番大事でありますが、既に被災に遭った件についてですが、台風26号の住宅で被害を受けた方の速やかな生活再建を支援するため、住宅金融支援機構の「災害復興住宅融資」を借り受けて住宅を建設・購入または補修する場合に利子補助を行うことにいたしました。住宅金融支援機構というのは、昔の住宅金融公庫ですね。そこでお金を融資してもらうという所で、1.28%の金利負担ですが、その1.28%の金利を東京都が負担いたしますということで、本人負担分はなくなります。ただし、これは当初5年間で、6年目から、6年から10年目までは1.28%に対して1%分は東京都が負担いたします。殆どゼロに近いと思ってもらえばいいと思いますね、本人負担は。さらに、この利子補給や生活再建支援金の受給など、様々な手続きに必要となる罹災証明の発行を迅速に行うため、建物被害の状況を速やかに調査するための職員を大島町に派遣することにしています。罹災証明というのをね、すぐにとらないと、今の申請ができませんから。
 具体的には、建築職や建物等の固定資産税評価経験者を中心に、東京都の職員32名、区市町村職員32名、合わせて64名が11月5日から9日の間、5日間派遣して、台風が去った後ですね、派遣して、そして概ねこの調査が終了できる形にしたいと、5日間でね。
 調査件数、棟の数、棟数ですね。調査の1棟、1棟回って行くわけですが、これが大体1000棟ぐらいある。大島全体の建物は7000棟ありますが、1000棟回るんですから、1チーム2人で回って行くのはかなり時間がかかるんですが、この64名投入しますので、5日間ぐらいでできるということで、罹災しているおうちと、罹災していないおうちも全部その周辺をやらないと、罹災、この人は罹災してます、これしてませんというところまでちゃんとやらないといけないんですね。ですから、ちょっとだけ、少し床に泥が入ったとか、かなり崩れてるとか、大きく全壊してるとか、いろんなことをやると、7000棟のうち1000棟が調査対象になるということです。
 今後とも現地のニーズに応じて、ハード、ソフト両面にわたる支援をできる限り迅速に全力を挙げて実施していきます。以上であります。
 はい、ご質問あれば。

質疑応答

【記者】文化放送の高橋民夫です。この台風26号によります伊豆大島の被害、被災というのは大変悲しい出来事でもありました。きっと島しょ部として伊豆大島の三原山は御神火とか言われて、とても観光にもですね、貢献していた島でもあり、噴火災害が何度も繰り返され、島を覆っていたのは噴煙とか砂とか、そういった灰が表面を覆っていたから、大雨が降ったらこういう被害が起きるんではないかって随分考えられていたと思うんですが、その点でやっぱり知事もじくじたる思いがおありになるんではないかと思うんですが、その点についてどういうふうに今考えておられますか。

【知事】これは今までの危険地帯の想定みたいなものでいうと、今回、国土交通省がいろんな所危ないよという所をランキングを先ほど付けたんですね。ここは赤ですよとかね。ここは黄色ですよと、そういうランキングを付けて、今回、赤いマークが2地区に付いて、そういうことで今回の結果、そういうことができるようになったということでありますね。
 火山灰というのは確かに流れやすい。伊豆大島の場合は火山と溶岩流ですね、あるいは津波、こういう対策は十分にやってきたということですが、1日の総雨量が800ミリと、これはやっぱり想像を絶することだと思いますね。伊豆大島の中でも北側の岡田港周辺だと400ミリで、南側の波浮の港周辺だと400ミリ。ですから、極めて局地的に800ミリになるということは、今回の土石流の原因ですね。
 ですから、ただ、僕は、砂防の堰は予想以上にたくさんあるんだなということが上空から分かりました。ですから、かなり未然に防ぐ用意はしてあったというふうには思いますが、さすがに800ミリの雨には対応できてなかったと。非常にそれは残念なことだというふうに思ってますが、これからそれをどうやって生かすかということに尽きると思いますね。

【記者】まさに自然の持つエネルギーがですね、人間の人知を超えるような力を示してしまったということにもなると思うんです。今、二次災害を防ぐということが急がれていて、検証はまだ先になると思うんですが、今回は台風に伴う大雨の被害でした。これが大きな地震災害とかというふうになりますと、やれ停電とかライフライン全てとか、そういった複合災害になってきますので、東京全体を考えてみて、あるいは首都圏を考えてみたときに、これが大いに教訓になるんではないかと思うんですが、どういうふうに受けとめておられますか。

【知事】それはね、非常にいい教訓になると思いますよ。で、東日本大震災で帰宅困難者について、350万人あふれたわけですね。これについて帰宅困難者対策を始めましたよね。もちろん不燃化特区を10ケ所から50ケ所に増やす、ね、それから備蓄をですね、民間も72時間義務付けると。こういう形であの震災の教訓を安全・安心に生かす努力はしてきました。
 で、あとは、今回の教訓で特に大島町の役場に、例えばファクスを送りましたと。送りましたといっても、送って、着いたかどうかは電話しなきゃいけませんね。もちろん、普通はそれで機能していくはずです。で、町長が不在だったと。不在の理由はともかく、トップに連絡しない限りは、やはり緊急事態というものは、やっぱり1人の職員に連絡しても、それは指揮命令系統としては、やっぱりトップに連絡すべきことになると思いますがね。
 そういう台風が接近してるというときに、町、町長から気象庁に問い合わせが入るとか、入らないとか、そういうこともやらなきゃいけないことですが、結論を言いますと、62区市町村あります。23区プラス市町村全部入れて、62区市町村のトップの携帯電話と防災担当者の携帯電話をその直後に全部一覧で把握しました。すぐトップに連絡しなければ、基礎自治体のね。まずはそういうことが必要であるなということですね。
 まさかその日にいないということは考えられないことなんです、普通は。普通は考えられないことでも、考えられないことが起きるということもよく分かった。普通はあり得ない、それは。

【記者】優秀なリーダーの存在が求められるところなんですけれども、人的なバックアップみたいなものもやっぱり求められているなというふうに今回……。

【知事】とにかく電話をまずトップにすれば、トップが外にいても役場に指示できるということになると思いますがね。ですから、それは全部そういうふうに今回はすることにしましたよ。

【記者】産経新聞植木と申します。知事が今おっしゃった防災担当職員との携帯電話の連絡の取り合いの件なんですけど、都の要請に対して一旦ですね、都内の一部、ちょっと地域が個人情報に抵触するということで拒否した自治体があったみたいなんですけども、こういった事態に対してですね、そういうことを理由に一旦であっても拒否した、その危機管理意識みたいなことについては知事はどう思われますか。

【知事】とんでもない話だね、はっきり言いまして。つまり、自分の個人情報が大事なのか、そこに住んでいる住民の命が大事なのか、どちらが大事なのかということですね。ですから、そういう危機管理意識のないトップがいてはならないと思いますね。
 普通当たり前ですが、東京都の組織としては、緊急連絡網全部ありますからね。僕は普通の携帯やスマートフォン持ってますが、それと別に、音を消さない、常にオンである、音が鳴るように、サイレントモードにならない携帯を必ず持ってます。いつ何時でも音が出る。普通寝るときはサイレントモードにしますよね。だから、そうじゃない携帯を必ず持ってるということと、要するに無線が僕の住んでる所に入ってます、防災の無線がね。それは副知事時代からずっと入ってます。そういう無線を、今、都の幹部はみんなそれ入ってますから、何かあったときにぱっとこう連絡とれるような体制に、危機管理体制は東京都の場合はできてます。
 ただ、そういう町役場レベルでどのくらいのそういう危機管理体制を敷くかという問題はありますが、少なくとも台風が接近していたら、巨大台風の場合ですね、普通の台風じゃなくて、あれほど巨大な台風が接近してる場合は、携帯電話はオンにしておかなければいけないと思いますね。

【記者】東京新聞永山です。土砂災害警戒区域のほうの話なんですけれども、危険箇所が都内1万5000カ所くらいあって、既に今5800カ所ぐらいの指定が終わっていると。その全てが現在多摩地域に集中していたと。それは多摩地域が圧倒的に危険箇所が多いというのが理由だということなんですけども、今回、多摩を優先した結果、島しょ部でこういった災害が起きました。

【知事】いや、それは違うよ。多摩を優先した結果、島しょ部がおろそかになったわけじゃないですよ。伊豆大島はヘリコプターで見たらこんなに砂防ダムがあるのかくらいあって、かなり手厚く投資して、130億ぐらい投資してる。とにかくですね、これだけの砂防堰をよくつくったなというぐらいつくってありますよ。

【記者】ハード面に関してはもちろんそうだとは思うんですけど、この土砂災害警戒区域の限定した話なんですけども、結果、多摩地域ばかりになっていたと。平成32年度にかけて終える予定だというんですけれども、指定をですね、全て1万5000カ所のですね。それをですね、区部、島しょ部と、並行して、これからやっていったほうがいいんじゃないかというような知事のお考え、あるでしょうか。

【知事】それはね、例えば優先順位はどうなのかということを、きちんと、もう一度、検討して、優先順位が高いか低いか、これによってスピードが違ってくると思いますよ。順番に、ただやっていくのではなくてね。だから、そういうことで、きちんと優先順位を見きわめていくことが一番重要じゃないでしょうか。

【記者】今回の大島はですね、その1万5000カ所の中に入っていたということなんですけれども、今回の対応が一段落した後にですね、大島のほう、優先してやったほうがいいんじゃないかというふうな話になるんでしょうか。

【知事】それは、これからですね。大島の、先ほど言いましたように、砂防の堰は、想像以上にきちんと、要所要所、固めていましたね。ですから、面として崩れるという部分について、今回の教訓は生かしていかなければいけませんね。ですから、先ほど言いましたように、危険地域を2地区、ランキングつけて、ここは赤印っていうか、赤点ですよっていうところを決めました。そこの場所は、既にご存じだと思いますが。だから、そこのところを、きちんと、これから。だから、あそこの岡田地区の少し上のほうのところに、少し、崩れる可能性のあるところがあると。それはもう、この台風が去った後に、何らかの対策を講じる必要があるかと思われます。

【記者】時事通信の増渕と言います。話題は変わるんですけれども、今週、総務省が、地方法人課税に関する検討会で、報告書案を示しました。この中で、都道府県税、市町村税である法人住民税を国税化して、地方交付税の原資とするというような考え方が示されています。これが実現しますと、都が大きな減資を強いられる可能性があるほか、あと、都区財政調整制度の見直しも考えられます。
 ここで2点お伺いしたいのですけれども、知事は、今回の総務省検討会の報告書案について、どのような受けとめを持っているのかという点が1つ。
 もう1点は、2008年度税制改正のときに導入された地方法人特別税をめぐりましては、当時の福田総理と石原都知事が直接会談して、政治決着させたという経緯がありますけれども、今回、猪瀬知事は、今回の地方法人特別税の問題をめぐって、安倍総理、あるいは、菅官房長官といった政府・与党の幹部と、直接、交渉したりするのか、どのような働きかけを行っていくのか、この2点について、お願いします。

【知事】ちょっと後ろのほうから先に。歴史順に言うと、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの暫定措置と、2008年の福田総理大臣のときの話ですね。これは、社会保障と一体改革ということで、一体改革がちゃんとできてないまま、時間切れになろうとしていると。これは当然、都議会も含めて、一緒に、これ、おかしいよということをやっていかなきゃいけない。
 そして、そういう中で、さらに、今、ずるずると来ているところで、今度は、法人住民税の一部国税化と、こういうことを今やろうとしているわけですね。これはとんでもない話であります。
 つまり、ただね、これね、気をつけなきゃいけないのは、俗論が、俗論というのは、通俗的な議論ですね、俗論が、わりと、メディアにも流れやすいんですね。これ、どういうことかというと、なぜ東京だけが一極集中なのかと。東京だけが一極集中で、地方は疲弊しているじゃないかと、こういう言い方があるんです。
 しかし、これは違う。一極集中しているのは、霞が関なんです。霞が関に一極集中しているんです、権限が。全ての地方は、地方分権であるべきなんです。で、東京は、東京の税収を持って、東京の経営をしています、行政的に。そして、法人税、国税である法人税、それから、所得税、皆さん払っている所得税、会社が払っている法人税、これが国税として国に行きます。国の税収は43兆円です。そのうち東京都の税収は、国に行く税収は17兆円です。つまり、東京は稼いで、国を支えているんです。つまり、17兆円も、東京に住んでいる会社や人は、国に払っている。で、より自由な経済活動をすることによって、より東京は稼いで、そして、国に17兆円を納めている。その17兆円は、ちょうど地方交付税と同じ金額です。つまり、東京で一生懸命、稼いだものが、地方に実質、行っていると思えばいいわけですね。
 つまり、東京は心臓ですから、東京という心臓が自由な経済活動をする。そういうことによって、そして、東京都という行政が、その自由な経済活動、中小零細企業をはじめとして、そういう方たちを支援する、そういう自由な経済活動をきちんと支援していくことによって、心臓の血液を送る能力は高まっていく。これはまず、その前提が、そうあって、その上で、東京は稼ぎ過ぎるから、東京の地方税も、また国によこせと、こういうばかみたいなことを言っているわけですね。
 それで、東京の地方税収入は、地方法人税や皆さんの住民税、そういうもの、法人事業税等入れて、4兆2000億円、大体4兆3000億円とか、4兆2000億円です。つまり、そのお金で、我々は、さまざまなサービスを、行政サービスを行っている。さらに、その今の話というのは、法人住民税の一部を国が召し上げると、こういうことですね。で、4年、4、5年前の話というのは、法人事業税の一部を国税にしたと、地方のね。で、今度は、地方の法人住民税を一部召し上げると、こういうことですね。
 つまり、東京も、自治体としては、一つの地方なんです。地方は、それぞれ、住民に近いところで行政をやる。そして、自由度の高い行政、住民に近いところで、自由度の高い行政をやる。ところが、国が全国に張りめぐらした、ある意味では規制の網、自分たちの権限、出先機関、そういったもので、霞が関に一極集中させて、霞が関がお金を配ると、こういうことをやっている。
 だから、今、俗論だというのを気をつけていただきたいというのは、一極集中は、東京は心臓であって一極集中ではない。一極集中は、行政の権限の一極集中は、霞が関であると、ここが問題なんです。霞が関の権限を地方に分け与え、そして、財源も、地方に分け与えるのが、正しい地方分権であります。これをずっと、そういう議論をしてきたにもかかわらず、ちょっとお金が足りなくなって、財源はどこかというと、東京にあるんじゃないかと、こうなるわけですね。これは大きな間違いです。
 そういうことで、ちょっと長くなりましたが、一極集中は東京であるという言い方は、経済活動が東京を中心に行われているということであって、役所の権限の一極集中は霞が関だと。東京も、その霞が関の締めつけに対して、いろいろな問題を提起しているが、霞が関が東京を締めつけ、全国の自治体を締めつけているんだと、これが権限の一極集中、ここに問題があると、こういうことを理解していただきたいと思います。

【記者】知事、重ねてお尋ねしたいんですけれども、今後、11月から、自民党税制調査会で、本格的な議論が始まると思うんですけれども、首相官邸をはじめとした政府、あるいは、与党、そこら辺の幹部に対しては、どのように働きかけるんでしょうか。

【知事】これはですね、当然、僕自身がいろんな形でこの問題について説明しようと思ってますが、東京出身の国会議員、あるいは都議会議員の方々にも応援をいただくし、お互いに協力し合ってやっていきたいと、こう思っております。

【記者】毎日新聞の清水です。国立競技場の建て替えの件で、先日、下村文部科学大臣が国会答弁で、今、コンペティションで最優秀になった作品のとおりにつくった場合は、3000億円かかるという試算を明らかにしました。今後、規模の縮小ですとかコストの削減も検討が進んでいくと思うんですけれども、その中で、東京五輪のためでもあるのでということで、東京にも建設費等の負担をという声が、文科省や財務省等々から出てくる可能性もあると思います。この費用、国立競技場の建設費の費用負担について、知事の考えを改めてお聞かせください。

【知事】今のご質問は、まず3000億円かかるという話から前提で始まっていますよね。3000億円かからないですよ。あれ、デザインですから、あのデザインのままやったらかかるというだけで、あのデザインを生かして基本設計をすれば、それは1500億円だってかかりませんよ。まずそこですよ。
 3000億円、3000億円ってね、最初に言ってた人たちはどういう人たちなのか。そして風船のような話ですが、じゃあ、実際にはもう少し、だって、椅子が全部8万席のわけがない。つまり5万席であって、例えば仮設の部分で、あと2000とか3000やればいいわけですからね、それを恒久化する必要なんか全くないわけですよ。ただ、8万ぐらいの席を入れようと、ロンドンもそうですからね。そういうことをやればいいわけですよ。あと、その後の維持管理、運営、そういうものを考えた場合に、コストがかかり過ぎるものはいけませんよね。
 だから、何でもそれを積み上げていったら3000億円なっちゃいましたっていうのはね、自然現象じゃないんだから。1500億円でできるはずですよ。そしたら、1500億円でやれば、別に東京都に負担を求める必要は全くない、そういうことになりますよね。
 一部の、東京都の道路にかかわる部分は、それは東京都の道路の部分ですから、そこは修理しますよね。基本的にはもう国立ですから、しかも3000億円を1500億円にしてやれば、それは別に東京都に負担を求める必要は全くないでしょうということですね。

【記者】今の質問に関連してなんですけど、午前中の会見で、下村文部大臣がですね、都のほうに資金の負担をお願いしているというふうな発言があったんですが、知事のほうでそれは把握されてますでしょうか。

【知事】正式なお願いはありません。

【記者】正式なというと。

【知事】正式でなくても、お願いはありません。まず、大体3000億円って言ってたのがね、半分でできるじゃないかっていう話になってきているわけですから。まず前提が狂ってる話というのは、話として展開しませんよね。

【記者】共同通信の小柳と申します。知事会見のちょっと前に、江戸城の天守閣の再建を目指すNPOの方が記者会見されて、総工費350億円で経済波及効果が1000億円あると。オリンピックがある2020年のオープンを目指したいというような発表をされたんですけど、知事ご自身のお考えですね、江戸城の天守閣を再建するというのは、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

【知事】それ、全くナンセンスだね。何もわかってない、そういう考え方だね、それは。そんなもの、ちっちゃい天守閣つくったら、皇居全体がね、安っぽく見えちゃいますよ。高層ビルがない時代だったら天守閣は大きく見えますよ。威厳がなくりなりますよ。
 それから、歴史的事実として、江戸幕府が1603年にできて、1657年に、たった50年後ですが、明暦の大火で燃えているんですよ。その後、天守閣はありませんから。ですから、よく時代劇で天守閣がもし出てきたとしたら、それは歴史考証ができてないということですよ。
 いいですか。じゃ、これで。

以上

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)