知事の部屋

 
猪瀬都知事「知事の部屋」
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記者会見

平成25年11月15日更新

猪瀬知事定例記者会見
平成25年11月15日(金曜)
15時00分〜15時47分

知事冒頭発言

1 国の見直すべき事業について

【知事】まず、先週の金曜日に、政府主催の全国知事会に出席しましたが、安倍総理に対して、国の財政規律が非常に緩くなっている。そうした中で、現在、検討されている法人事業税の暫定措置や法人住民税の一部国税化については考え直していただきたいと、こういうふうに申し入れをしました。
 そこで、今日は、国の事業にはまだまだ見直すべき事業が多々あると、相当無駄遣いしてるじゃないですかということをですね、ちょっと国の予算執行がずさんであるということの例を、こういうですね、国の予算の執行状況等を含めた財務省のデータを分析しました。
 まず、分析するとですね、ここなんですが、歳出の予算の中で、実際に決算で不用額が3兆円あると。毎年2兆、3兆不用額あるじゃないか。これ、1つ1つチェックしていくとですね、まず不用額で、99%執行しているところもあれば50%以下のところもあると。それをですね、調べていくと、0.3%しか執行していないものとか、まず50%以下の執行率を見ると、大体16%が50%を下回っている執行率である。そうすると、その事業は大体どのぐらいかというと、1兆1300億円になる。1兆1300億円も使ってないじゃないかと、これを分析すると分かる訳です、全部。
 これは、皆さんね、財務省のホームページのぞくと、全部ありますからね、調べられますよ、公開してるから。それを、ただ調べる人はいない、執行状況を。こういうことで、1兆1300億円も、50%以下ですよ、冗談じゃない。1129事業ある、50%以下が。
 1例を挙げるとですね、国土交通省の事業で、借り上げ住宅の建設改良や空き家対策などへの補助を行う公営住宅整備費補助、これ、1112億円も計上されていて、決算で見たら0.3%、ほとんど使っていない、余っている。これだけで1112億円ある。こういうふうなずさんな予算の状況が、国の歳出であります。
 もう1つ、ちょっと小さいものでも、例ですから、これは。中小企業最低賃金引き上げ支援対策費補助金、これ、執行率20%。17億円使ってない、不用額。これがどんどん、これは出てくるわけです、これ見ていけばね。
 繰り返すが、決算で見ると、国の歳出は90兆円近いわけだ。その中で、これだけ、50%の執行率が1兆円以上ある、50%未満。財務省自身も、決算で不用額3兆円だと、こう言っているわけですね。この金をどうするか。この金をきちんと、財源が足りない地方に回せばいいじゃないですか。まず、それが第1点。
 そして、予算は執行されているものの、当初の計画が過大になって、今となっても施設自体が無駄になっているもの、分かりやすい例を挙げるからね。長崎県の大村市にある大村入国管理センター、これは強制退去される外国人のうち、早期送還が困難な者を、そういう人を収容する施設で、定員800人の立派なものを造っている。しかし、その活用実績、調べてみると、2011年度の収容されている人の数というのは、1日20人しかいない。一番直近で20人、職員数は49人。職員が49人いて、800人用の建物を造って、20人しか収容されていない。何をやっているんですかと。
 ここがまず、2008年が分岐点ですがね、職員の数と収容者の数、逆転です、ここから。もう職員の数が圧倒的で、収容者が20人、職員は49人。こういうものは、もうやめるか、どこかに合併するか、すればいいわけです。この建物、何でこんなのを造って、これだけのでっかいものを造ったのかという、まず見積もりが間違っているでしょう。800人収容のものを造って、幾ら多い時だって130人ですよ、最初の頃でも。こういうこと。こんな無駄がある。
 この件に関しては、財務省の予算執行調査においても、収容体制の見直しや維持管理費の縮減が指摘されています。費用の見直しはある程度行っているようですが、抜本的な対策はやってない。
 次に、民間と比較していかに非効率的な運営をしておるのかという例を挙げましょう。これです。皆さんよく知っているように、大学の入試センターの試験。1万8000円、受験料が。普通の民間の予備校、駿台予備校とか色々な予備校ありますけども、大体5000円。つまり、3倍の値段つけてやっているんですね、民間のコストが。それはどうしてかというと、たくさんの職員天下りして、そして緩い給料でやっているからですよ、コスト意識もなくて。こういうことで、民間の3倍の値段でやっていて、これでいいんですかと。センター試験は国から116億円の出資を受けている独立行政法人大学入試センターというのが運営している、大学入試センター、独立行政法人。毎年10億円程度の人件費がかかっている。高コスト体質、割高な受験料、おかしな話です。
 最後に、あとね、事業内容というものを調べてみる。そうすると、例えばこういうのがある。地域グリーンニューディール基金。地域グリーンニューディール基金、これ、リーマン・ショック対策で始めた。地球温暖化対策事業の推進というのを目的に、2009年度の補正予算で創設された、リーマンの。で、自治体に活用しろと言われて、こういうものをやれよと、やったらお金くれるよ、こう言うんです。例えば、ここに書いてある県や市庁舎へのLED照明の導入、それから公民館の省エネの改修にこの基金が充てられるから、どうぞこのような事業で使ってくださいねといって各自治体に配った、配るといっている基金なの。全額国の補助金でできてしまうよと、これこそばらまきです。
 ところが、みんなやる必要ないものだから、これ、使ってないんです。東京都も、最初の年に使おうと思って、わずかな金額、ちょっとやってみたけど、使いようがないんです、これ。だから使わない。これが、国の予算が2950億円もある。この基金積んだまんま。だから、本当にその地方が欲しいというものを渡せばいいんです、裁量に任せて、お金を。そしてそうじゃなくて、こういう事業だったらつけるよといって、何も、結局使い道がないから残っている。
 こういうふうにですね、国には事業の見直しや再構築など歳出削減の余地があるものが多々あります。地方の財布に手を入れる前に、自らの歳出削減努力をすべきである。で、僕は第1次安倍内閣で地方分権改革推進委員をやりましたからね、地方分権について随分議論を積み重ねてきました。
 当時、先週も言いましたが、我々の課題としてやってきたことは、国と地方の歳出の比率です。国が4割、地方が6割歳出があるけれども、税源は国が6割、地方が4割と。この2割の差が、国が地方へ仕送りする根拠なのね。それではおかしいから6対4を5対5に持って行こうということで、地方分権推進委員会でやって、ほぼ5対5に近づいたら、法人事業税の暫定税率で国が地方から金を召し上げるということになったから、また6・4になっちゃったと、こういう、さらに法人地方住民税を国税化すると、これは6・4に固定してしまう、地方の財布に手突っ込んで、国、地方の基幹税を国が持っていくとなれば、地方分権に全く逆行する。
 まあね、だから先ほど言った6・4だった。それを2009年度で何とか税源割合を5・5に近づけた、53対47まで、地方は47まで近づいた。そしたら今は、57対43で、また6・4に近づいてると、こういうことですね。法人事業税暫定措置でね。一旦決めた方針が時間たつと簡単に覆されていってしまうというのは、覆されていってしまうというのは、その場その場のつじつま合わせ、ご都合主義、そういうことであります。
 だから、国が地方財政の困窮の原因を都市と地方の財政力格差に問題をすりかえていることは明らかで、前の法人事業税の暫定税率の時に言われたけれども、今ちょっとね、自治体、とにかく地方の自治体で、国がぶら下げる毒まんじゅうを食べないようにすることが大事だと。法人事業税の暫定税率の時に、毒まんじゅう議論が出たの。これ、危ないよと。これ食べちゃうと毒まんじゅうだよということなんです。今回もまた毒まんじゅうをぶら下げられてるのに、今、慌てて食べようとしているところが多い、おかしな話だ。財源がないから地方にそのしわ寄せをするんじゃなくて、自分、まず国は歳出の抑制、規律、財政規律をきちんと持って、3兆円も不用額が出ているということについて、まず反省しなければいけない、その金をどうするんだということをまず、先決だということですよ。
 あと、今日4時から、東京都・神奈川県・愛知県・大阪府と共同で、総務省に今回の税財政制度の見直しに関して、緊急要請を行う。愛知県の大村知事が行きますが、東京は安藤副知事に行ってもらいます。まずは先週、きちんと問題提起しまして、今日は皆さんがご理解しやすいように、この問題提起をしましたので、ぜひこれ、この今の結果をよくご覧になってください。これ、非常に大事なことですから。

2 京浜港の「港湾運営会社」への国出資について

【知事】次に行きますが、これもですね、国と地方の問題なんですが、これも大問題なの。今ね、将来に禍根を残すような問題が港湾の分野で起きている。今、政府は国、まあ、これは国土交通省ですがね、東京、川崎、横浜の3港でつくる京浜港の統合会社の経営を、経営権握ろうとして出資を行うと、10月30日に突然発表した。これも僕は地方分権委員会で、2008年の2月6日の地方分権委員会の議事録を見てもらうと分かるが、国の出先機関のあり方を議論してる。国は港湾の整備はするが経営には口を出さない、そういうことでよいかとちゃんと確認したら、国土交通省の役人が、今のところ、私どもはそういう考えを持っていないと、そういう回答をした。今のところっていうのは怪しい。それで言ったの、怪しいじゃん、そういう言い方はと、どういうことだよと、将来やる可能性あるぞ、気を付けろと、こういうことですね。
 今まさにその危惧が現実のものとなってきていまして、東京、横浜、川崎の3港の埠頭会社に対して、これは出資すると、こう言ってきている訳ですね。民間の出資はいいんですよ。今まで結局ね、港湾局というのは、国の、全国に港湾を、47都道府県、みんなに造るといって造ってきて、結局それは釣り堀になってるんだよ。今はハブの時代なの。だから、空港でもハブですよね。港湾もハブなの。ハブの時代になってきてる。ということで、東京港の圧倒的にハブ化が始まってきているところに、今度は口を出してくると。便乗ですね。大都市港湾を牛耳ろうと、こういうことで国が出資すると、こう言い出してきているんですが、それは国際競争力の強化に繋がるということではなくて、自分たちの権限を維持したい、もうあちこちに港湾造り尽くして、そして、東京港、横浜港、そういう所で自分たちの権限を強化したい、そういうことで、港湾運営会社に対して支配権を握ろうと、こういうことで出資をやると言ってきてる。これは地方分権に逆行するものです。これも国に対して早急に東京都の考えを申し入れて、これは、後で財務局、港湾局から詳しく聞いてください。
 僕は地方分権委員会、先ほど言った議事録見てください。きちんと言ってます。こういう国が主導権握るということは、何かハブ機能が強化されると錯覚してるわけですね。そうじゃないんですね。また、硬直的な港湾運営を始めると。自分たちの権限、天下り先、そういうものをつくるためにやっていることですから、とんでもないことです、これは。

3 教育の国際化と英語教育の改革について

【知事】次に、今度は少しいい話ですが、東京都は教育の国際化と英語教育の改革を行います。2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定を機に、東京の教育の国際化と英語教育の抜本的な改革を、改革を進める必要があります。このため、今後次のような取り組みを進めていくのでお知らせします。

 初めにJETプログラム、JETプログは、外国人青年を日本に招致する。そして、JETプログラムで海外から来る若者を日本の学校で、外国語の指導者として都道府県、区市町村が任用すると。これはもう、日本で既にやってきているんですが、これまで都立高、これはわりと地方にJETプログラムへ行くという形だったんで、東京は都心なので、外国人がいっぱいいるということで、普通は地方で行く。東京の多摩とか島嶼部で、5人ぐらいだった。今度、来年から100人にします。再来年には200人にします。外国人指導者が非常勤の職員として都立高校に勤務して、授業のほかに学校行事などで指導すること、高校生が日常的にネーティブスピーカーと接することが可能になり、より実践的な話す力や聞く力を向上させると。
 今年の4月に、僕はニューヨーク行きましたが、ヤンキースタジアムを見学して、イチローと面会することになって、そのときにヤンキースタジアムを端から端まで案内してくれたアメリカ人は、日本語が流暢なのでどこで覚えましたかといったら、JETプログラムですと。福島県の相馬市に、の高校にいましたと、こういう話でした。そういう形で日米のかけ橋になっていくこともこれから期待したいし、東京の中学校、高校生の英語教育にも寄与できると、こういうことです。
 1987年から現在までJETプログラムにより日本に招致された外国人は5万人以上、JETプログラム終了後、在日大使館や日本の在外公館、各国の政府や大手メディアの職員など、国内外で活躍している職員が多いです。
 彼らは東京や日本の魅力を十分理解し、日本と母国のかけ橋となる人材であります。東京のみならず日本の外交の一翼を担うもので、これからさらにお招きして、どんどん増やしていきたいと。

 それから、これは受け入れるほう、2番目は英語科教員の海外派遣研修でありますが、毎年4人ぐらいですね、教員を派遣しているんですけども、海外研修、今度は中学校、高校の先生、採用3年目の英語の先生を全て、毎年200人ですが、全て英語圏の国に3カ月間派遣します。
 派遣先では、英語圏で開発された実践的な英語教授法や大学に学ぶほか、現地校の生徒に英語で指導する学習や、教育機関でのインターンシップなどを行います。
 教員は現地で英語漬けの生活を3カ月送るということですね。英語の自信を持ってもらうということですね。日本と異なる外国の生活や文化に直接触れて、帰国後それを役に立てていただきたい。
 この事業と海外から人材を招くJETプログラムと一体的に実施することで、相乗効果が生まれます。

 3番目、国際バカロレアの導入です。先ほどセンター入試の話がありましたが、バカロレア、つまり大学の受験資格、これが国際バカロレアというのがあって、これは海外の大学へ進学する際に、公立高校で初めて国際バカロレアの認定を得るという、そういう学校を今1つ指定します。それは目黒区駒場にあります都立国際高校で、2016年度から国際バカロレアの授業を始めます。来年度から数学などの他の科目についても英語による授業を始めます。
 この取組は、東京の日本人生徒だけじゃなくて、日本人生徒が海外の大学に行くときにバカロレアがあれば行けるわけですが、外国人生徒、つまり、今、アジアヘッドクォーター特区とか、いろいろ、我々、海外のビジネスマンを東京に来てもらおうといろいろやっておりますが、その子弟ですね、その子弟もこの高校に入ればいいわけですね。特に外国人は単身で来ないので、家族と来ます。そうすると自分の息子や娘の教育をどうするのかと心配になります。しかし、この都立国際高校に入れば、国際バカロレアの資格がとれますから安心してどうぞと、こういうふうに言えます。
 それから、昨年度から高校生を海外に1年間に留学させる「次世代リーダー育成道場」を開始いたしましたが、これらの3つの取り組みに加えてですね、中学、高校の6年間を学んで、多くの日本人が英語を話せないという日本の英語教育を東京から抜本的に変革して、誰もが使える英語を身につけていくことを目指していきます。去年始めた次世代リーダー養成道場、これも今の3つに加えて見てください。
 先ほど教育委員の皆さんと、今後の教育の重要施策について懇談を行いまして、これらについても有意義な意見交換ができました。詳細は教育庁に聞いてください。

4 キウイフルーツの新品種「東京ゴールド」の販売開始について

【知事】最後に、キウイフルーツ、キウイって皆さんご存じですね。このキウイなんですけども、色が緑じゃなくてゴールドなんですね。黄色じゃなくてゴールドね。いいね。これは甘いんです。キウイというと、レモンみたいに舌が、こう、つばが出てきちゃいますね、酸っぱいから。これは甘いから、そういう酸っぱいつばは出てきません。これはどういうものかというと、東京都農林総合研究センターと都内の農家が協力して開発したキウイフルーツの新しいブランドで「東京ゴールド」。今、実りの時期を迎えたのでご紹介しています。お時間があれば、皆さん、後でちょっとお試しください。
 このキウイフルーツは、この果肉の部分が黄色で、金色で甘みが強くて酸味がほどよい、切るとハート型であると。7月29日に新品種として農林水産省の登録を受け、今月から三鷹市や小平市などにある農家の直売所で販売を開始しました。この秋が初めての出荷でありまして、生産量は1万個程度、まだ少ないんですが、今後生産量を増やしていきたい。新しい東京名物ということです。
 それから、既に東京都では皆さんご存じの豚肉の「TOKYO X」や、それから柿の「東京紅」など消費者の嗜好に合わせて、さまざまな新品種の開発を行ってきました。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、こうした東京ブランドの食材もアピールしていきたいと思っております。
 今後とも、東京の持つ多彩な魅力の1つとして、農業振興もしっかりと取り組んでいきたいと、これは産業労働局に詳しくは聞いてください。
 以上です。

質疑応答

【記者】最初の法人事業税の国の方針に対する反論のことでお伺いしますが、先日、全国知事会が官邸で開かれたときに、知事は、今後あらゆるところに国は間違っていると言いに行きたいんだとおっしゃっていました。全国知事会、僕も取材しましたが、ほかの知事さんたちにですね、今、東京都のその反論というのが伝わっていない、もしくは理解されてないと感じたんですけれども、この反論、東京都の反論とか考えをですね、こう広げていく、もしくは国に伝えるために今後どんな行動をとっていきたいというふうに思われていますか。

【知事】まずは、今発表しましたよね。これは国の歳出そのものにきちんと向き合って、そして中身をチェックすると、こういうことは今まで地方自治体ではやったことがありません。先ほどの膨大な資料、全部分析しました。そして国が不用額として決算で計上している、形だけ計上しているものを分析し、執行率50%以下、これが1兆2000億円もあるということを、まず明確にしました。
 これがまず皆さんのところに伝えるということが仕事です、これは第1の。つまり、国民に知らせると。それから、当然ながら、東京以外の、府県、市町村にお伝えする、こういうことで国の歳出にこんなに無駄がありますよ、余裕ありますよ、したがって、地方法人事業税の暫定措置はすぐやめる、あるいは法人住民税の国税化はやめる、こういうことをまずやる論理の根拠として、まず示した。これに対して誰も反論できないはずですから、政府はしっかりとこれを考えてもらいたい。いかに緩い歳出になっているか、いかに無駄遣いしているか。こんな無駄遣いをしていて、地方の財布に手を突っ込むとは何事だと、こういうことです。

【記者】今日は副知事が、総務省、財務省に行って要請しますが、ご自身はこの後、先日は官邸で全国知事会に出られましたけれども、猪瀬知事自身は……。

【知事】今日は、総務省は、副大臣クラスのところですから、それで副知事行ってもらっていますが、まだこれから、もちろん、政府の各責任者にきちんと話をつけていくわけですね。まずは議論のベースになる問題を指摘するところから始めていかなければいけない。
 既に先週の金曜日に総理大臣に、まずは財政規律が緩んでるよっていうことをお伝えしたわけだから、今日は実証的にそれを示したということですね。
 それから、地方と国の財源の比率が、地方分権改革を行ったときと比べて、どんどんどんどんまたもとに戻ってきている。地方分権改革は安倍総理が第1次安倍内閣で始めたことですから、これはちゃんとはっきりしとかなければいけないということをまずお伝えしたわけです、この間はね。これからは具体的に指摘していくと、こういうことです。

【記者】日経新聞の舘野です。国と地方の税源配分のところで、6対4、4対6、あるいは5対5という問題なんですけれども、それでまた国が6、地方が4に逆戻りしてしまっているというところで、その大きな論点として、税源移譲を進めていくために、都としてですね、例えば全国知事会なんかは、中身はいろんな意見あるでしょうけれども、地方共有税、地方共同税、あるいは税源交換という案をいろいろ示していますけれども、都として、何かこれから道筋をつくって国に税源移譲を働きかけていくというような……。

【知事】だから、今、道筋は、今はファクトを示すことですよ、間違っているでしょうと。まず、誤っているという認識がないということがまず問題なの。つまり、財政は逼迫してますよという話から始まっているわけですね。財政は逼迫していますよと、だから地方の基幹税から取りますよと。地方法人住民税から取りますよと言っているわけだから、財政は逼迫してませんよと。逼迫しているということはうそですよと。執行率を見なさいよと。これをまず、まずおそらく全閣僚は知りませんよ、総理大臣も含めて、この事実については。
 だから、まず基本的な、予算をつくるのは政府ですから、政府の歳出の根本的な、当たり前のことなんだけれども、そこをまず説明しておかないと。この認識を共有すれば、地方の財源に手を突っ込む理由はなくなります。わかりますね。

【記者】それですいません、ただですね、いろいろな議論の経緯を見ていると、やはり国が先に何か仕掛けてきてですね、それに、そこからいろいろ、論点も示しつつですけれども、反論するという順番になっていることがやっぱり多くて、そうではなくて、都のほうから中長期的な、根本的な税源移譲の議論をですね、つくっていくということもあってもいいのかなと思うんですけれども。

【知事】どういうことかわからない、言っている意味が。国の歳出が問題だから、今、問題指摘しているんだ。東京都の歳出については、東京都が責任を持ってやるわけですから。そういうことでしょう。だから、国が議論を仕掛けてきているんじゃなくて、消費税を導入できたと。できたら、どうもその消費税は、地方税の部分で東京に余計に入るなと。そうしたら慌てて、不足米だから、自分とこに寄こせと、こういうことですよ。仕掛けたもヘチマもなくて、ただずるずる、ずるずるとそうなっていくという、思想も何にもないということですよ、それは。ただ不足米ができたから、それを、じゃあ、どうしようという。家計簿みたいなことを言っているわけですよ。とんでもない話ですよ。
 これ、大事な問題だけど、皆さん、ほんとによく頭に入れてほしいんだけど、先ほどの説明は、公開資料だから、やろうと思えばできるんですよ、メディアだって、全部。いっとき、何とかの仕分けとかはやったけど、あんなもんじゃなく、ちゃんとやればできるの。実際に、先ほど言ったように、財務省自身が不用額って書いている。執行率も全部明らか。

【記者】朝日新聞の別宮です。すいません、知事がおっしゃられたことは、今、国の歳出の話だと思うんですけど、今回、財務省や総務省が言っていることは、地方間のいわゆる税収格差をなくそうということで、東京からさらに財源不足、財源があまり足りない地方にお金を移そうという話で、国の歳出とちょっとずれたところでお話、国の歳出とはまた違うところでの……。

【知事】違うよ、何を言っているんですか。全然違うじゃないか。国の歳出がね、地方に回す分が足りないから、だから地方間で融通しろって言っているわけだから。それは、地方は、それぞれ自治体が、それぞれの収入で経営しているわけですから。全然違うじゃないですか。
 国が、交付税というものを送っているわけでしょ、交付税に送る金が足りないよといって、地方間で回してくださいよって言っているわけじゃない。だから、国には金あるじゃないかと。
 それから、国自身の財政規律が問題なわけで、これ、単に地方税だけの問題じゃなくて、1000兆円も借金あるんですよ。こんな財政っていったら、日本が破綻しますよ。そういう問題をなおざりにして、地方間の税収の格差がどうだという話にすりかえているわけですよ。これが一番問題なの。
 ほんとに1000兆円の借金、どうするつもりですか。それをメディアの皆さんが、1000兆円の借金と国の歳出についてどれだけ分析したんですか。それをやらないから、メディアの役割はできてないということになるんですよ、そしたら。1000兆円の借金に対するこの歳出の財政規律がいかに緩んでいるかというね、いろんな社会福祉のためにお金を使うとか、いろんなために使うのはいいんですよ。そうじゃなくて、先ほどもわかりますように、借り上げ住宅のために一千何百億円積んで、0.3%しか使ってない。それ、積んだままになっている、予算で。だったら、その予算つけなきゃいいわけでしょ。そういうことをチェックするのがメディアの役割ですよ、本来は。そうでしょう。
 だから、東京都は、もちろん東京都の立場でチェックしたわけですけどね、当然これは。そういう問題、まず論理としては、財政規律が緩んだところから全ては始まっているわけですから。
 この前も言いましたように、ずっと国の歳出は83兆円だったんですよ。リーマン・ショックで補正が必要だと、当然必要ですよ。その後、民主党政権で90兆円そのまま補正乗っけて当初予算になってるわけですよ。7兆円ぐらい増えちゃったまま。現在の安倍内閣は、民主党内閣の予算をとりあえず使わざるを得ないからやっているわけでしょう。これから新しい予算を組むときに、こういう問題を指摘しておかないと、地方税収の問題だけじゃないんだよということを言っておかないと。その上で、不足米だから、地方が、どこかから余ったらどこかへ回せとかって、そういう発想だとおかしいわけですから。とんでもない話だよ、はっきり言って。
 質問は? この問題について質問してほしいね、もっと。

【記者】時事通信の増渕と言います。地方法人課税のことでお尋ねするんですけれども、来週から、自民党の税制調査会で、来年度、税制改正大綱の策定に向けた議論が始まると思います。それで、12月の第2週には大綱ができ上がる予定だと思うんですけれども、もう1カ月を既に切っていまして、時間がないということがあると思います。
 知事が今日お示しになった資料とかをてこに使って、与党大綱に都の主張を反映させていくと思うんですけれども、こう時間がない中で、既に政治的な、政治家同士による議論の場に移ろうとしている段階で、猪瀬知事は、東京都の政治家として今後どのような動きで、動きをなさって、その与党大綱に都の反映、都の主張を反映させていくのか、そういう取り組みのところについてお願いします。

【知事】これはもう非公式レベルで始めてますから。ただし、大事なことは、ロジックがなければ、ただ陳情みたいなお願いだけでは物事は解決しないんですね。わかりますね。だから、ファクトとエビデンスきちんとそろえて、ロジックできちんと詰めていくことが重要なんですね。
 ただ話し合いしましたって言ったって、そんなものは進展しないんです。それはだから、何が今、まさに今しゃべっていることですよ。何が問題なのかということをもって話をしなければ、これは。それはもう非公式レベルでやっているわけね、それは。だから、結局何が問題点かということがだんだん見えてきているから、それを今ここに問題あるんじゃないかと。それをもって話ししなければ。ただよろしくお願いしますってやったら、そんなの何も解決しませんよ。

【記者】前回の2008年度税制改正のときの地方法人特別税のときには、福田総理と石原都知事が政治的な会談をしまして、13項目のメニューというものと、あと税制的に、不満だけれども、特別税というのを受け入れるというような、そういうバーターの取引で実現となったという経緯があると思います。
 それに実際に果実をどうとるかというのが政治家の段階での議論になるのかなと私なんかは思うんですけれども、そこら辺の政治的な決着に向けて知事はどういうふうに持っていきたいのかというところをお示しいただければと思います。

【知事】それを今から言ったら、政治的決着じゃないでしょう。

【記者】朝日新聞の別宮です。すいません。もう1回。実際にですね、お金、今回の法人住民税の税制改正が実行されてしまった場合の話なんですけれども……。

【知事】いや、たらればはいいよ。

【記者】東京都の財政、知事、これまでもおっしゃってた2020年の東京五輪への影響などなんですが、かなりこれは影響出るということなんでしょうか、改めて伺いますけど。

【知事】あのさ、論理で展開していってくれないかな。たられば言ったってしようがないでしょう。先ほど、今まで説明したことに対して、何がわかって何がわかんなかったのか、まず聞けばいいじゃないですか、そこからしか始まらないでしょう。

【記者】東京新聞永山と申します。ちょっと五輪の話なんですけれども、先週知事がですね、会見で、オリンピックボードの話なんですけれども、4人で、理事長がトップになられるというような発言があったと思うんですけども、それとは違ってですね、4人が公平に権力を分担するような話が出てるみたいなんですけれども、これはどちらが正しいというかですね、どういうイメージで知事はいらっしゃる……。

【知事】まだ正式に発表してないでしょう。

【記者】正式に発表はされてないですけれども。

【知事】だから、別にそんな難しいよ。ロンドンオリンピックの前例にならって、要するに組織図をどうやってやるかということをやってみているというだけの話であって、何かそこで決めてるわけじゃないですから。

【記者】ロンドンでは4人が平等だったという形みたいなんですけれども。

【知事】だからまずは、まだそれ、発表してない問題だから。基本的にはJOCと東京都で、まず基本的な仕事をやるわけですよ。後はこれからきちんとした、まだ時間がありますから、組織のやり方を、あり方を考えていきますけどね。

【記者】先週理事長がトップというふうにありましたけれども、正式に決まってるわけではないということですか。

【知事】だからトップっていうのはないんだよ。

【記者】わかりました。

【知事】役割がそれぞれあるってことだ。

【記者】東京MX朝倉と申します。間もなくハノイに行かれるということで、東京とハノイの懸案の事項、1つお伺いしたいんですが、2011年に浄水場を都が受注して建設するという話があって、本来ならばもう今年度は着工しているんじゃないかという予定になってたと思うんですが、現時点ではまだ契約にも至っていないという状況にあると。この状況について知事、どういうふうにごらんになってるのかっていうのをお伺いしたいと思います。

【知事】僕自身がこれから、自分の目で確かめて来るんですが、ハノイの水道の現状は、今おっしゃられたようなですね、工事着工とかいう以前の状況なんですね。昔のフランス統治時代のいろんな施設を使いながら、ぎりぎり水道というような形をやっているんですが、かなり厳しい状況で、その近代化というものについては、もっとプランニングをきちんとしないとですね、できませんよ。ですから、まずは、人材を供給するところからもう一度組み立て直していく必要があるだろうというふうには考えています。そのためには全面協力を惜しまないというつもりでおります。

【記者】一方でタイでの漏水調査等々の、いわゆる技術協力については、かなり順調にいってるようなんですけれども、今おっしゃったところからいくと、今後その、インフラというよりは、むしろそういう技術的なところとか、そこにシフトしていくというお考え……。

【知事】まず水道の基本技術ですね。水道の浄水場でしょう、それから水道管でしょう、まずそういう、もちろん漏水を含めてね。現在ベトナムの水道は地下水利用がメーンになってましてね、河川からの浄水というのはちょっとまだできてないんですよ。ですから、まずは、つまり基本的なインフラのためには基本的なインフラのための人材技術というものがまずはなければできないということでね、ちょっとその辺を修理修復するというレベルではないなと。それはまず現地で確かめますけども、そういうことで、タイもそうですが、いろんな形で技術的な、人材的なものをまず始めていくことと、現在、JICAのほうで始めているプログラムとの整合性とか、そういうものを考えてみたいと思ってますけどね。

【記者】その辺は市長と、ハノイ市長とお会いになるようですけれども、何かその点についてお話をされる……。

【知事】そういうこと含めて、これから大気汚染の問題もありますから、そういう、やっぱり東京が進んでいる、当然ながらオリンピック・パラリンピック招致で東京の持っている強みというものをプレゼンテーションで何度も表明しましたが、そういう部分ですね。大気汚染の問題、それから水道の水質の問題、こういう問題で、先進国の都市として、ハノイ、これからものすごく発展するだろうハノイにね、どういう形で協力できるかということを、今回はハノイ市長と話し合いたいと思ってます。

【記者】東京MXテレビの風戸と申します。伊豆大島の件について伺いたいんですけれども、明日でですね、伊豆大島の災害から1カ月になるんですが、今日も義援金の分担金について会議があるんですけれども、伊豆大島の皆さんに向けて、知事はどのようなお言葉をかけますでしょうか。

【知事】ちょうど1カ月ですからね。今日自衛隊のトップの、大島支援のね、トップの幕僚、自衛隊のトップの方いらっしゃって、そしてちょうど1カ月、自衛隊、これである程度任務終わりましたということで参りました。大島の方、これから東京都が全面協力しながら復旧復興に努めていきたいと思っております。
 1カ月たつのはとても早いんですが、あともう少しご辛抱いただければ、できるだけ普通の生活に近いものが取り戻せるというふうに思っております。亡くなられた方、改めて、1カ月たっても、やはり戻ってこられないということで、そういう気持ちが、ご遺族の方に大変強くなってくるときだと思いますが、ほんとうにお悔やみ申し上げたいと思っております。
 今後こういうことが2度とないようにね、できるだけ防災に努めていきたいと思っております。

以上

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)