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令和6年(2024年)9月18日更新

令和6年第三回都議会定例会 知事所信表明

令和6年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。
去る6月16日、石川良一議員が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
本日早朝、北朝鮮より複数発の弾道ミサイルが発射されました。相次ぐミサイル発射、我が国の平和、安全にとりまして重大な脅威であり、断じて容認できません。武力攻撃等の脅威から都民の命、生命を守るという都の責務をしっかりと果たしてまいります。

1 はじめに

三期目に臨む覚悟

先の東京都知事選挙におきまして、多くの都民の皆様からのご支持を賜りまして、三期目の都政の舵取りを担うこととなりました。改めて、身の引き締まる思いでございます。「東京大改革3.0」の下、課題に答えを出し、行動を起こし、結果を残していく。都政のダイナミックな動きを加速させ、東京を世界で一番の都市にしてまいります。
世界の動きは、これまでの経験や常識を遥かに超えています。自然災害やエネルギー、国際情勢、さらには少子高齢化や人口減少。とりわけ、昨今の生成AIの進化のスピードは、1年が10年、20年にも匹敵するかのようです。今までのような感覚で、物事を考え、進めていては、もはや私たちの暮らしは守り抜けません。
都民の皆様が「東京は良くなった」と実感できるよう全身全霊を尽くします。これは都知事に課せられた使命であります。その大きな期待にしっかりと応えるべく、選挙を通じて都民の皆様にお話ししてきたお約束につきまして、早速、副知事を筆頭に、全庁横断で積極的に取り組む体制を構築いたしました。東京が時代を引っ張っていく覚悟で実現に臨み、都民の皆様の明るい未来を確かなものにしてまいります。

大きな国家観に基づく戦略が必要だ

人口は国の基、国力を決定づける重要な要素であります。人口問題への取組が、国家の未来の姿に直結すると言っても過言ではありません。昨今、我が国の人口減少を東京一極集中と強引に結び付け、活力の源泉たる東京の力を削ぐ全く的外れな主張が、まことしやかになされています。
都の人口増加の大部分は、実は外国人の増加によるものです。東京は地方の若者を一方的に奪っているのではありません。都の婚姻率も全国トップ。結婚している女性に着目した有配偶出生率を見ましても全国平均を上回っています。これらはデータが示すとおりです。そもそも、人がどこに住むかは個人の自由であります。一人ひとりの人生をシームレスに応援する環境が何より大切である。そう確信し、都は、望む人の誰もが「結婚したい」「子供を産み育てたい」という願いを叶えられる社会づくりに知恵を絞り、努力を重ねています。大きな国家観に基づく戦略もなく、国内でパイを奪い合うような短絡的な発想のままでは、日本は衰退します。パイそのものを大きくするにはどうしたらよいかを考え、一刻も早く行動に移すことこそが求められています。

新たなビジョンを描き、改革をスピードアップ

時代を追いかけるのではなく、時代を追い抜く。一歩も二歩も先を行こうとしなければなりません。私たちは、政治、経済、社会、あらゆる面で、新たなモデルをデザインすべき時代を今、迎えているからです。より先の未来を大胆に予測し、東京の目指すべき姿を「シン東京2050(仮称)」といたしましてアップグレードしてまいります。AIも活用して都民の参画を促しながら、古い発想や先入観に囚われず、2050年代の東京の新たなビジョンと為すべき戦略を練り上げます。
そして、戦略実行の梃子となるのが都政のさらなる構造改革です。複雑化・多様化する社会課題を、局や政策分野を越えてデジタルの力で解決に導く「政策DX」に挑みます。その中では、BPR、すなわち業務プロセスの最適化を徹底していきます。GovTech東京という心強い専門家集団と共に、都民が便利になったと実感できる行政サービスの質の向上や技術力を活かした開発、AIの積極的な活用など、デジタル社会への歩みを一段と加速させます。

2 「人」を育み「人」が輝き続けられる明るい未来を築く

東京を世界で一番の都市にするためには、都市の活力の源泉である「人」がいつまでも輝き続けられる未来に向けた取組が欠かせません。

切れ目のない支援で子育てしやすい東京へ

卵子凍結に関する支援や018サポートなど様々な切れ目のない支援は、ママ、パパ、そしてこれから結婚しようと思っている方々の大きな希望になっていると感じています。子育てに係る負担をもっと軽くできるよう、学童保育の待機児童解消と質の向上に向けた都独自の認証制度の創設を目指し、先月から有識者による議論を始めました。また、今や4人に1人がマッチングアプリで結婚する時代へと変わっています。都が運営するAIマッチングシステム「TOKYO縁結び」も、いよいよ今月から本格稼働させ、良いご縁を結ぶ後押しをしていきます。さらに、転落防止など子供の安全が確保された集合住宅を認定する「東京こどもすくすく住宅」は、戸建て住宅にも広げるよう制度のあり方の検討を進め、安心して快適に子育てができる住宅の普及を推進します。

東京の未来を担う子供・若者の活躍を後押し

子供たちの力を育む環境づくり

未来の主役である子供たちが、予測困難な時代をしなやかに生き抜く、その力を身につけられる環境こそ、「人」が輝く社会の根幹であります。実践的な英語力の向上や、創造性を育むデジタル体験の機会を一層充実させます。一方、時代の変化の波は、教育の世界にも容赦なく押し寄せています。その荒波の中、グローバルな環境で力を発揮できる国際人をいかに育て上げていくかが、持続可能な未来の鍵であります。様々な思いや考えを持つ子供たちが、自ら学びを選択し、逞しく社会に羽ばたけるよう、多彩な都立高校のノウハウやネットワークを存分に活かしながら、大胆な発想で都立高校の新たな教育のスタイルを創り上げてまいります。
国の調査によれば、不登校の小中学生が過去最多を更新しています。子供たちの声に耳を傾け、社会全体で成長を支えるチルドレンファーストな態勢も整えなければなりません。本定例会には、不登校経験があるなど多様な生徒を応援するチャレンジスクール「立川緑高等学校」の開校に係る条例案を提案いたしております。加えて、困難を抱えた都立高校の生徒たちの学習・教育環境を充実する新たなプランも今後策定いたします。さらに、東京都医学総合研究所と連携し、科学的なエビデンスの下、子供に居心地の良い学校風土の創出にも取り組み、いじめ・不登校の減少、そして心の健康等に繋げてまいります。
児童虐待への地域の対応力向上も極めて大きな課題です。新たに目黒区内に都児童相談所を令和13年度までを目途に設置するよう検討してまいります。

若者の活躍を後押し

若者が将来に希望を持っていきいきと暮らせるようにする取組も重要です。多くの若者が訪れる「東京しごとセンター」と同じ建物内に「職業能力開発センター」を30年ぶりに新設いたしました。幅広いリスキリングのニーズに応え、その力を存分に発揮していただけるよう支援します。人手不足が深刻化する企業では、従業員の奨学金返還を支援する都や国の制度を活用し、優秀な人材の確保に繋げていく取組が広がっています。そうした企業と若者を橋渡しする合同就職面接会を開催するなど、ライフステージの選択に大きく影響する経済的基盤の安定を図っていきます。

誰もがポジティブに活躍できる社会への変革に挑む

女性活躍基本条例(仮称)

女性が自らの希望に応じたキャリアを歩めるよう、先日、青山に「はたらく女性スクエア」を開設いたしました。我が国の今後の成長の鍵を握る女性活躍。時代が大きな転換点を迎える今こそ、世界から大きく後れを取った現状を打破するゲームチェンジャーとして、女性活躍基本条例(仮称)を制定したいと思います。新たに「東京くらし方会議」の下で、学識経験者等により条例化の議論を進めてまいります。

自分らしく暮らせる長寿社会を創る

来年には都内高齢者の6人に1人の割合で発症が見込まれる認知症。昨日、シンポジウムを開催し、都民の皆様に正しい理解を広める機会となりました。都庁職員食堂では、認知症の方が接客する「注文をまちがえる料理店at東京都庁」も実施いたしました。こうした取組を通じて、認知症になっても周囲の理解でいつまでも元気に活躍できるということを社会全体に力強く発信していきます。

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例案

社会全体でカスタマーハラスメントを防止するため、全国初となる条例案を本定例会に提案いたしました。専門家をはじめ多くの方々のご意見を踏まえながら、実効性を確保するガイドライン等の検討も進めております。誰もが等しく豊かな消費生活を営み、働く全ての人が力を存分に発揮できる社会を、東京が先頭に立って切り拓いていきます。

3 攻めの姿勢で国際競争に果敢に挑む

続いて、一分一秒を争う厳しい国際競争を勝ち抜くための取組についてであります。時代の先を読み、攻めの姿勢で新たな価値の創造を追求してまいります。

社会課題を解決する技術を次々と生み出す都市へ

ベイエリアを舞台に最先端の技術を社会に送り出す東京ベイeSGプロジェクトでは、取組の発信や交流を促す新たな拠点を日本科学未来館に設置します。高齢化や人口減少に伴いまして期待が高まる自動運転技術につきましても、社会実装を都が独自に後押しする推進区域を設定いたしました。先般区長との意見交換を行った港区、江東区、品川区をはじめ周辺自治体と連携を深め、社会課題をテクノロジーで解決する動きを加速いたします。
国内外の挑戦者や支援者の交流拠点「Tokyo Innovation Base」、通称TIBでは、毎日のように交流イベントを開催し、既に訪れた方々は5万人を超えました。開設から1年も待たずに結節点としての存在感が一気に高まっています。このTIBと、持続可能な都市を高い技術力で実現する「SusHi Tech Tokyo」とを核にしまして、世界に変革を呼ぶユニコーンを東京から生み出してまいります。例えば、ライフサイエンスなど東京が強みとする領域に焦点を当てまして強力に支援する集団、いわゆる「イノベーションクラスター」の創出をサポートします。さらに、起業などに興味・関心を持つ学生や若者のコミュニティ形成を促進する新たなプロジェクトも始動し、スタートアップの裾野も広げます。そして、来年5月の「SusHi Tech Tokyo 2025」では、スタートアップが海外都市との交流や投資家との商談を行う機会を一層充実させ、オープンイノベーションを加速いたします。都市の未来についての議論や最先端技術に触れる体験も通じて、より良い未来に向けた人々の「行動」にも結び付けていきたいと思います。

持続可能なまちづくりを推進

今後のまちづくりについて

先を見通し、「百年の計」で進めなければならないのが都市づくりです。私たちは今、まさに100年に一度とも言われるような劇的な変化の只中にいます。これを東京が新たなステージへ踏み出す大きな節目としなければなりません。これまでの東京を築き上げてきた取組を着実に進めながら、江戸から続く歴史や伝統・文化など世界に誇る魅力を引き継ぎ、活かす。このことが、個性の際立つまちを創出する力となります。さらには、AIや最先端技術など、都市のこれからの発展を支えるイノベーションも東京の随所に組み込んでまいります。活力と緑、まちに住まう人々、響き合う多様な個性。それらが織りなす東京ならではの魅力で彩られた唯一無二の都市を目指し、今後の都市づくりを進めてまいります。

水と緑のまちづくり

ゆとりと潤いをもたらす水と緑を、大都市東京のまちづくりにもっともっと取り込んでいきます。昨年始動しました東京グリーンビズの下、例えば、ベイエリアの緑化率を引き上げまして民間開発を誘導するなど、緑をまもる・育てる・活かす取組を展開してまいりました。このムーブメントの裾野を広げるため、都内の緑溢れるスポットやイベント情報を発信する新たなデジタルマップを公開いたしました。都民の皆様に緑への愛着を深めていただけるよう、年内に、利用者目線でさらなる機能の拡充を図ります。令和8年春の開催が決定した「全国『みどりの愛護』のつどい」も通じまして、都民や、取組に賛同する企業、様々な関係者と連携しながら、みどりと生きるまちづくりの輪を広げます。さらに、舟旅通勤の一層の定着のため、日本橋・豊洲間、晴海・日の出間ルートに続きます3つ目の航路について年内運航開始を目指すなど、身近な移動手段としての舟運を活性化してまいります。これらを通じて、水と緑がネットワークのように張り巡らされた持続可能な都市を築き上げてまいります。

4 世界を惹きつける魅力を次々と生み出す

さて、東京の魅力の源泉、それは多様性ではないでしょうか。スポーツや芸術文化、そして伝統から最先端まで、東京の多種多彩な顔をもっと磨き上げて世界中を惹きつけてまいります。

次世代と創る世界陸上・デフリンピックへ

この夏のパリオリンピック・パラリンピックでは、女子フィールド種目で日本初となる金メダルに輝いた北口榛花選手をはじめ、代表選手の奮闘に多くの都民・国民が勇気と感動をもらいました。スポーツの力をしっかりと継承し発展させていきます。その絶好の機会となる世界陸上とデフリンピックの開催が来年に迫ってまいりました。チケット販売も始まりました世界陸上では、先月、国立競技場で子供向けのワークショップを開催したほか、デフリンピックでは子供たちによるメダルデザインの投票を実施するなど、次世代の担い手と共に大会準備を進めていきます。

東京の強みを伸ばし、新たな魅力も掘り起こす

昨年に都内を訪れた外国人旅行者は、過去最高となる約1954万人。インバウンドをさらに呼び込む新たなキラーコンテンツとなるのが東京の強みを活かしたプロジェクションマッピングです。その制作の腕を競い合う国際大会「TOKYO LIGHTS」を開催いたしまして、多彩な光の演出を多くの人に楽しんでいただきました。国内外の注目が高まりつつある東京の魅力をもっと磨いていかなければなりません。既に10万人を超える方々にご来場いただいた池袋のアニメ東京ステーションは、来月、1周年イベントを開催しまして、インバウンドをはじめ訪れる多くの人に魅力を存分に発信をいたします。臨海副都心でも、令和7年度末の完成を目指し、東京の新たなランドマークとなる世界最大級の噴水「ODAIBAファウンテン(仮称)」の整備を進めます。
東京のポテンシャルに光を当て、新たな魅力として引き出す取組も重要です。現代に息づく江戸の歴史・文化を新たにブランド化し、国内外に広くPRしてまいります。有識者との議論も重ねながら、世界遺産に匹敵するような素材や隠れた歴史的魅力も掘り起こすなど、世界の「EDO」として強力に印象づけていきます。

5 都民の命と暮らしを守り支える

言うまでもなく、現在も未来も、都民の命と暮らしを守り支える土台は安全・安心です。セーフシティの実現を全速力で推し進めます。

災害から都民を守る

豪雨対策

猛烈な台風や、連日のように発生する局地的な集中豪雨など、ここ数年で、雨の降り方が以前とは確実に変わったと感じる都民の皆様も多いのではないでしょうか。新宿では急激な増水の圧力でマンホールの蓋が吹き飛ぶ事態も発生しています。危機管理は、大きく構えて、万全の備えを講じることが肝要です。先日の台風10号では、災害即応態勢を速やかに構築するとともに、安全確保を最優先し総合防災訓練の中止も決断するなど、先手先手で対応したところであります。備えよ常に、都民の皆様には、ハザードマップを確認するなど日頃からの心掛けをお願いいたします。
歴史を振り返れば、昭和の時代は10万棟を超す浸水被害に度々悩まされ、平成になっても、時間100ミリを超す豪雨により約6000棟に及ぶ甚大な浸水被害が発生した例もありました。都民の命を守ることを最優先に対策を積み重ね、この夏の一連の豪雨では、整備した調節池が延べ約115万立方メートルもの水を取り込み、被害を最小限に抑えています。調節池につきましては、一層の整備や地下で連結するネットワーク化とともに、東京湾まで繋ぐ地下河川の事業化にも着実に取り組んでいきます。都民の皆様のご理解、ご協力も欠かせません。個人住宅への雨水浸透ますの設置等を促進するとともに、対策の重要性を身近に感じてもらえるよう、グリーンインフラであるレインガーデン等を都内の公共施設30か所で整備していきます。

次なる巨大地震への備え

この夏、宮崎県日向灘を震源とする地震が発生し、南海トラフ地震をはじめ大規模災害が現実味を帯びつつあります。津波被害が想定される東京の島しょ地域では、直ちに避難施設の緊急点検を実施いたしました。とりわけ、都におきましては約900万人が暮らすマンション等の共同住宅の防災力向上を急がねばなりません。災害時に安心して在宅避難できる「東京とどまるマンション」を対象に、非常用電源等への補助を開始したほか、新たに専門家を派遣しまして、給排水管の老朽化対策や発災後の対応について助言等を行います。また、分譲に比べ住民の入れ替わりが激しい賃貸マンションの防災力向上も大きな課題です。発災時に住民が初動対応に迷わず助け合えるよう支援していきます。
先般、発生から半年以上が経過した能登半島地震の被災地を視察してきました。現地の様子をこの目で確認し、復興の妨げとなっている災害廃棄物を、区市町村や一部事務組合の協力を得まして、都内で受け入れることとしました。また、能登半島地震での知見は東京の災害対策にも活かしていきます。災害時のトイレ環境の向上など、区市町村と連携しながら、避難生活の環境改善に向けた取組を推進し、首都直下地震への備えを万全にいたします。

世界をリードして気候危機に挑む

経験がないような豪雨や、命を脅かすほどの猛暑。「気候地獄」とまで言われる地球温暖化を前に、脱炭素のさらなる取組は、私たち一人ひとりに課せられた責務と言っても過言ではありません。
いよいよ来年度から全国初の太陽光発電設備の設置義務化がスタートいたします。住宅の屋根という大都市のポテンシャルを活かし、いわば地域で自立したエネルギーを創出していく。これはまさに首都の暮らしを守る知恵でもあります。多様なメディアや様々な手法を駆使して、都民の皆様への普及啓発のギアを一段も二段も引き上げてまいります。住宅用太陽光パネルの循環利用に取り組む事業者を支援するなど、使用済みパネルのリサイクルルートの確立も推進いたします。軽量で薄く、柱や壁などに曲げて設置できる次世代型ソーラーセルの開発事業者を力強く後押しをするほか、都営バスへのEVバス導入モデルの構築につきましても、来年度早期の運行開始に向けた準備を具体化します。こうした需要と供給の両面の取組で、東京から日本の再エネシフトを先導していきます。
11月にはCOP29が控えています。水素の国際会議「HENCA Tokyo」、そして気候危機行動ムーブメント「TIME TO ACT」、この二つの国際会議を梃子にして、気候危機という人類共通の課題の解決に向け、東京がリーダーシップを発揮してまいります。

安心で快適な都民生活を力強く支える

物価高騰の長期化に苦しむ都民・事業者への支援

長引く物価高騰の影響に苦しむ都民や事業者の現状を見過ごすことはできません。そこで、医療機関等の物価高騰対策や運輸事業者を対象とした燃料費高騰対策、LPガスを利用する家庭等への支援を緊急的に実施いたします。加えて、都民生活や事業活動を応援し、経済の好循環にも繋げるため、都内店舗でQRコード決済を行った利用者にポイントを還元するキャンペーンも展開いたします。来月から開始される高齢者等を対象とした新型コロナワクチン定期接種につきましても、接種率の向上を図り感染拡大を防ぐため、接種に係る自己負担を軽減するよう、都が独自に支援いたします。さらに、食材費の高騰が続く中、全ての市町村で給食費の無償化が実施できるよう、国が無償化について自らの責任で実施するまでの間、市町村総合交付金を拡充することとしました。本定例会には、こうした取組を盛り込んだ補正予算案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
なお、市町村をさらに後押しし、子育てしやすい環境を一層充実させるため、子供の医療費助成につきましても、来年10月からの所得制限撤廃を目指し、総合交付金による対応を念頭に置きました市町村との協議を加速してまいります。

ホームドアの整備促進

大切な命を守る駅のホームドア。2月に全駅で整備を完了した都営地下鉄では、その後の転落事故は0件です。JRや私鉄での整備も促進するため、先月、鉄道事業者や関係行政機関からなる協議会を立ち上げました。職員のアイデアで課題を克服した都の経験をはじめ、各社の創意工夫を持ち寄り、官民一体となって早期の整備を目指してまいります。

6 名誉都民の選定

このたび、名誉都民の候補者として、澤井伸さん、仲代達矢さん、両川船遊さんの三名の方々を選定させていただきました。
澤井伸さんは、多摩織の伝統工芸士として、その卓越した技能で、織物の創作や後進の育成など地元織物産業の発展に尽力されてきました。
仲代達矢さんは、幅広い演技力で舞台・映画など多方面で長年活躍され、無名塾の主宰や能登演劇堂での公演も精力的に行ってこられました。
両川船遊さんは、伝統ある江戸糸あやつり人形の人形遣いとして、古典から新作まで国内外で公演され、その継承と発展に貢献されてきました。
お三方につきまして、都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いいたします。

7 おわりに

さて、数えてみれば、今年は、島国日本が鎖国を解いた日米和親条約から170年。さらに、近代国家の幕開けから150年以上が経つ中、来年、令和7年は昭和100年に当たります。まさに歴史の妙とも言うべき節目を迎えているのであります。先人たちが長く激動の歳月を繋いできたバトンを手に、私が強く想いますのは、「首都の重み」であります。
江戸末期に生まれ、東京の黎明期を見つめた文筆家・幸田露伴が、首都をして「一国の運命の枢機のかかるところ」と評したように、今に至るまで東京は大都市という以上の使命と役割を担い続けてきたのだと思います。その重責を象徴するかのような多様な集積の力を最大限に活かし、避けて通れない様々な社会課題に正面から挑んでまいります。
「首都防衛」。それは危険や災害から都民の命と暮らしを守るという意味に留まりません。使い古した時代遅れの発想から抜け出せず活力を失った社会に新たな息吹を吹き込み、一国の進むべき道を示す。すなわち、東京のみならず日本全体の明るい未来をも守り抜く首都の役割を果たすことであります。
我が国が重大な岐路を迎えた今だからこそ、都民の幸せと国家の繁栄という大きな命題を胸に、首都東京をもっともっと良くしていく。課題に答えを出し、行動を起こし、結果を残す。都議会の皆様、都民の皆様のご理解、ご協力をよろしくお願いを申し上げます。

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案1件、条例案59件など、合わせまして90件の議案を提案いたしております。よろしくご審議お願いを申し上げます。

以上をもちまして、私の所信表明を終わります。

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