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報道発表資料  2017年09月13日  生活文化局

東京都消費者被害救済委員会があっせん解決
いわゆる健康食品の定期購入に係る紛争

本日、東京都消費者被害救済委員会(会長 村千鶴子 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)から、「いわゆる健康食品の定期購入に係る紛争」(平成29年1月31日付託)があっせん解決したと知事に報告がありましたので、お知らせします。

紛争の概要

申立人

(消費者)4名(30~50歳代の女性)

相手方

(事業者)2社
甲社:健康食品等のインターネット通信販売事業者
乙社:後払いサービス提供事業者

申立人の主張による紛争の概要

平成28年6月から9月頃にかけて、飲むだけで日焼けを防止するというサプリメントの広告をスマートフォンで見た。「お試し」「モニター」「500円」というフレーズが目にとまり、試してみようと思い、インターネットで購入の申込みをした。
商品代金500円を商品に同梱された請求書で支払った後、2個目の商品が甲社から届いて、定期購入契約であることが分かった。サプリメントを飲むと気分が悪くなるなどして続けられないので、2個目の商品は不要であると、甲社に伝えるため電話をかけたが、なかなかつながらなかった。やっとつながって、解約を申し出ると、解約できない、解約するなら違約金(約2万7,000円)を請求すると言われた。
注文時の確認画面や甲社から注文後に届いたメール等には、「商品個数1」「代金500円」と記載はあるものの、6回(6か月)以上の継続購入が条件であること、その総額、期間中は解約できないなどの記載は確認できなかった。
注文時に後払いサービスを選択すると、売買代金債権が甲社から乙社に譲渡される仕組みとなっており、代金の支払い先は乙社となっていた。購入契約でトラブルとなっていることを乙社に連絡した上で、2個目以降の商品代金を支払わないでいたが、乙社から何度も支払請求があり、さらに乙社からの委任を受けた弁護士からの支払督促まで受けた。

あっせん解決の内容

  • 本件では、サプリメント1個500円で購入する契約が成立したと認める。
  • 2個目以降の送付した商品について、甲社は所有権を放棄し、その返還を申立人に求めない。また、過誤払いした申立人には過誤払い分全額を返還する。
  • 乙社は、売買代金債権を甲社に戻し、申立人への請求を行わない。

消費者へのアドバイス

通信販売で健康食品や化粧品などを購入するときは「お試し」や「モニター」という広告をうのみにせず、購入や解約の条件、返品できるかどうかなど、契約内容をよく確認してから購入しましょう。確認画面や事業者からのメールを保存しておくようにしましょう。少しでも体調不良を感じた場合は使用をやめましょう。
契約内容に疑問が生じたときは、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。

主な審議内容

1 定期購入契約について(甲社との関係)

(1) 締結された契約内容

申立人らは、広告の「お試し」「モニター」「500円」という本件商品の広告に誘引され、定期購入であることの認識に至らないままに、サプリメントを購入している。甲社は、サプリメントを6回(6か月分)以上継続購入する契約としていたが、インターネット通販上の確認画面等に「商品個数1」「代金500円」と表示していた。
電子消費者契約法によると、甲社と申立人らの間で成立した契約は、本件商品を1個500円で購入する売買契約であったと考えるのが妥当である。
※確認画面に事業者が契約内容を適切に記載していない場合に消費者は錯誤による契約の無効を主張できる。

(2) 継続的契約における中途解約権と違約金

定期購入のように期限の定めのない継続的な契約は、長期間にわたり消費者を拘束する点が問題であり、中途解約権が認められるべきである。特に、本件の場合は、6回(6か月)以内に中途解約を申し出た消費者に対して、残りの回数分の商品代金とほぼ同額の違約金を提示・請求して、事実上、中途解約を妨げている。違約金の額に合理的根拠がなければ、消費者契約法9条に反する。

(3) 送り付け(ネガティブオプション)該当性

本件で成立した契約は、本件商品を1個500円で購入する契約のみである。2回目以降に送付された商品は契約に基づかないで送付された商品であるから、特定商取引法59条により、申立人らは商品の返還義務を負わないものと解される。

2 後払いサービスについて(乙社との関係)

(1) 個別信用購入あっせん該当性

一度の契約で6回(6か月)にわたる継続的な商品購入を義務づけた定期購入契約を締結し、商品引渡の都度、受領した商品代金を後払いする場合は、2か月以上にわたる分割払いをすることになる。
本件が、最初の申込みにより6回分の定期購入契約が成立していたと仮定すると、甲社と乙社の関係性からみて、乙社の後払いサービスは、割賦販売法2条4項における「個別信用購入あっせん」に該当する。

(2) 抗弁権の接続について

「個別信用購入あっせん」に該当するのであれば、割賦販売法により、申立人らは、売買契約において甲社に対して主張できる抗弁(契約の不成立、錯誤無効、中途解約など)を乙社に対しても主張しうるので、譲渡された代金債務の弁済を拒絶できる。

本件後払いの仕組み

図

同種・類似被害の再発防止に向けて

1 事業者に対して

(1) 通販事業者に対して

複数回の購入を義務づける定期購入契約の場合は、その回数(期間)や購入総額、中途解約時の条件等を広告に明瞭に表示することが求められる。
また、インターネット通信販売の場合、注文の確認画面や購入申込みを承諾するメールにおいて、複数回の購入が義務であること及びその購入金額の総額等を、消費者が明確に認識できるように表示しなければならない。
健康食品のように、実際に使用してみないと続けられるかどうか分からない商品の継続的取引を行う場合、適切な中途解約条項を設けるべきであるし、食品として摂取する性質上から、消費者からの問い合わせや苦情等に適切に対応することが求められる。

(2) 後払いサービス提供事業者に対して

一度の契約で複数回の購入を義務づける定期購入契約に関して、商品到着毎の後払いサービスを提供する場合、「個別信用購入あっせん契約」に該当しうることに留意し、通販事業者等の加盟店管理を適切に行うべきである。
また、定期購入契約であるか否かに関わらず、消費者からの問い合わせや苦情等に対して、誠実な対応が求められる。

2 行政に対して

通常価格に比し極端に廉価又は無料といった商品について、契約内容をきちんと確認するよう、消費者に対して注意喚起を行うべきである。
また、消費者が誤解しやすい広告がなされた場合、特定商取引法や景品表示法等に基づく行政指導で是正を図るべきである。

東京都消費者被害救済委員会

設置の目的

東京都は、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関として東京都消費者被害救済委員会を設置しています。

紛争処理の仕組み

消費者から、東京都消費生活総合センター等の相談機関に、事業者の事業活動によって消費生活上の被害を受けた旨の申出があり、その内容から都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争であると判断されたときは、知事は、委員会に解決のための処理を付託します。
委員会は、付託を受けた案件について、あっせんや調停等により紛争の具体的な解決を図り、個別の消費者の被害を救済するとともに、解決にあたっての考え方や判断を示します。

結果の活用

紛争を解決するにあたっての委員会の考え方や判断、処理内容等は、東京都消費生活条例に基づき、広く都民の方々や関係者にお知らせし、同種あるいは類似の紛争の解決や未然防止にご活用いただいております。

※困ったときにはまず相談を!!
おかしいなと思ったら、最寄りの消費生活センターにご相談ください。

イラスト

※別添 いわゆる健康食品の定期購入に係る紛争案件 報告書(PDF:890KB)

問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課
電話 03-3235-4155

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