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報道発表資料  2019年06月10日  労働委員会事務局

〔別紙〕

命令書詳細

1 当事者の概要

  1. 申立人組合は、個人加盟のいわゆる地域合同労働組合であり、本件申立時の組合員数は、約900名である。
  2. 被申立人会社は、ITサービス等を業とする株式会社で、本件申立時の従業員数は、約2,700名である。

2 事件の概要

組合と会社とは、組合員X2の平成30年2月からの定年後再雇用の労働条件について、29年に団体交渉を3回行った。
30年1月9日、同月24日及び2月16日、組合は、会社に対して、X2の再雇用後の労働条件について団体交渉期日の候補日を記載した「通知申入書」を提示した。しかし、会社は、協議が調う見込みはない、申入れ事項には回答済みである、書面で十分で直ちに団体交渉を行う必要がないなどと回答し、団体交渉は開催されなかった。
本件は、上記通知申入書に対する会社の対応が、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たるか否かが争われた事案である。

3 主文(全部救済命令)

  1. 文書の交付
    要旨:東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されたこと及びこのような行為を繰り返さないよう留意すること。
  2. 前項の履行報告

4 判断の要旨

  1. 会社は、組合の通知申入書は、団体交渉開催を求めたものではなく、団体交渉開催について意向を尋ねたにすぎないと主張する。しかし、組合は、表題こそ通知申入書としたものの、会社が団体交渉に応じたそれまでの要求書と全く同じ書式で、団体交渉の候補日を記載して応諾について回答を求めているのであるから、組合は会社に対して明確に団体交渉を申し入れているというべきである。
    会社は、労使双方平行線のまま協議が調う見込みはない、申入れ事項は事実誤認や社内規則の誤解に基づいてなされたものであったり、内容の一部が不明確で、これまでの団体交渉や、書面における回答で十分説明を尽くした、などと書面で回答している。しかし、組合が30年1月に雇用契約書が交付されてから次回団体交渉期日を決めたいと述べ、会社が了解している経緯があり、労使双方平行線のまま協議が調う見込みがなくなっていたものとはいえない。また、組合は、通知申入書により改めてX2の労働条件について要求し団体交渉を申し入れているのであるから、社内規則等について見解の不一致や、不明確な要求などがあるとしても、会社は、団体交渉において社内規則等について説明し、要求を確認し、妥結の道を探り、組合の要求を受け入れられないのであればその理由を説明すべきであって、団体交渉の必要がなく、書面による回答で十分であるとはいえない。
    組合は通知申入書により団体交渉を申し入れており、会社が団体交渉に応じていないことに正当な理由は認められないのであるから、会社の対応は、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たる。
  2. 会社は、本件申立て後の団体交渉の要求に誠実に応じたことなどから、救済の必要性等はないと主張する。確かに、会社は、本件申立て後、団体交渉に応じ、労働条件について協議し、組合の要求に対応していることが認められる。
    しかし、団体交渉の開催が、X2の再雇用開始から4か月後である30年6月まで遅れたこと及び会社が団体交渉を拒否したとは本件結審日現在に至るまで一切認めていないことから、将来に向けて円滑な労使関係を築くための救済の必要性等が全て失われたものとはいえない。

5 命令交付の経過

  1. 申立年月日 平成30年5月25日
  2. 公益委員会議の合議 平成31年4月23日
  3. 命令書交付日 令和元年6月10日

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