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報道発表資料  2019年08月21日  労働委員会事務局

〔別紙〕

命令書詳細

1 当事者の概要

  1. 申立人X1(以下「X1」という。)は、昭和54年4月28日、東京地区(関東地方並びに長野県、山梨県及び新潟県)における私立大学(短期大学及び高等専門学校を含む。)の教職員によって組織された労働組合の連合体であり、本件申立当時、申立人組合を含め69組合が加盟しており、その組合員数は約10,000名である。
  2. 申立人X2(以下「組合」といい、X1と併せて「組合」ということがある。)は、肩書地を所在地として、法人に雇用された坂戸キャンパス及び浦安キャンパスの教職員により平成17年4月2日に結成された労働組合であり、X1に加盟している。本件申立当時の組合員数は少なくとも7名である。
  3. 被申立人法人は、肩書地に法人本部を置き、四年制の大学を設置運営する学校法人である。
    法人は、肩書地の坂戸キャンパスに大学の歯学部及び同附属Y1病院、大学院の歯学研究科並びに事務部を置き、121名の教員及び197名の職員が常時勤務している。また、千葉県浦安市の浦安キャンパスに大学の外国語学部、経済学部、不動産学部及びホスピタリティ・ツーリズム学部、大学院の応用言語学研究科、経済学研究科及び不動産学研究科、別科として日本語研修課程並びに事務部を置き、125名の教員及び98名の職員が常時勤務している。また、法人は、東京都渋谷区代々木に所在するビルの5階フロアの一部を賃借して東京事務所を設置している。この東京事務所には、法人Y2理事長及びY3常務理事並びに6名の職員が常時勤務している。

2 事件の概要

平成17年4月2日、組合が結成され、同日、組合は、X1に加盟した。
これ以降、29年1月13日の本件申立てまでの間に、組合と法人との団体交渉は56回、うち26回がY1の東京事務所、28回が大学の浦安キャンパス、2回が大学の坂戸キャンパスで開催された。しかし、24年度以降は、団体交渉が東京事務所で開催されたことはなく、組合は、東京事務所での開催を要求し続けたが、法人は28年1月14日の団体交渉において、開催場所に関する議論は進展がないから打ち切ると回答した。
組合は、その後も、1月14日付け、3月7日付け、6月7日付け、同月17日付け、7月13日付け、9月12日付け及び11月11日付けで、東京事務所を開催場所とする団体交渉を申し入れたが、法人はそのいずれに対しても、開催場所を浦安キャンパス又は坂戸キャンパスに限定する旨の回答をし、結局、2月23日、4月13日、7月8日、10月3日及び12月7日には浦安キャンパスで、8月25日には坂戸キャンパスで団体交渉が開催された(以下、上記6回の団体交渉を「本件6回の団体交渉」という。)
組合は、浦安キャンパスの非組合員を含む約200名の教職員宛てに、3月1日付「X2ニュース」(以下「本件組合ニュース」という。)が入った封書を郵送した。3月3日、法人が、当該封書を教員についてはそのメールボックスに、また、職員についてはその所属部署に引き渡し始めたところ、職員から、封書の中に組合ニュースが入っているとの指摘があったため、法人は、当該封書を各教職員に引き渡すことを中止して、既に教職員に引き渡した封書については回収するなどした。
そして、法人は、3月10日、上記組合ニュースの郵送は就業規則に違反する行為であるとして、組合及びその執行委員長、副執行委員長、書記長及び執行委員(以下「執行委員長ら」という。)に対し厳重注意を行う旨の「通知書」を交付した。
本件は、1)法人が、団体交渉の開催場所を浦安キャンパス又は坂戸キャンパスに限定する旨を回答し、東京事務所での開催を受け入れなかったことは、正当な理由のない団体交渉の拒否及び支配介入に当たるか否か(争点1)、2)法人が、本件組合ニュース入りの封書を各教職員に引き渡さず、また既に教職員に引き渡した封書を回収したこと並びに組合が浦安キャンパスの教職員宛てに組合ニュースを郵送したことについて、3月10日付けで組合及びその執行委員長らに対し厳重注意を行ったことは、それぞれ支配介入に当たるか否か(争点2)が争われた事案である。

3 主文の要旨

  1. 法人は、組合が団体交渉を申し入れたときは、開催場所を浦安キャンパス又は坂戸キャンパスに限定することなく、これに応じなければならない。
  2. 法人は、組合が浦安キャンパスの教職員宛てに郵送する組合ニュース入りの封書を各教職員に引き渡さず、また、上記郵送行為について同組合及びその執行委員長らに対し厳重注意をするなどして、同組合の運営に支配介入してはならない。
  3. 文書掲示
    要旨:1)団体交渉の開催場所を浦安キャンパス又は坂戸キャンパスに限定し、東京事務所での開催を受け入れなかったこと、2)本件組合ニュース入りの封書を各教職員に引き渡さず、また既に教職員に引き渡した封書についてそれを回収したこと、並びに3)組合が浦安キャンパスの教職員宛てに組合ニュースを郵送したことについて組合及びその執行委員長らに対し厳重注意を行ったことが不当労働行為であると認定されたこと。今後このような行為を繰り返さないよう留意すること。
  4. 履行報告

4 判断の要旨

  1. 団体交渉について
    • ア 一般に、団体交渉の開催場所等の団体交渉のルールは労使間の話合いにより決定すべきであるから、双方が互いの希望を提示し合うこと自体は特に問題がない。しかし、話合いによりルールの決定に至らなかった場合に、使用者が合理的でないルールに固執し、また、それが組合を弱体化する意図をもってなされたと認められるのであれば、そのような使用者の対応は不誠実な団体交渉及び組合の運営への支配介入に該当するというべきである。
    • イ そこで、本件における団体交渉の開催場所についての折衝の経緯をみると、組合が結成された当初から坂戸キャンパスに勤務する教職員から選出された執行委員が公然化した21年11月頃までの間(通算回数第1ないし33回)は、組合は、団体交渉の開催場所として「東京又は浦安」を希望したり、「東京も候補とするが、講義の都合上浦安を希望」したりすることが多かった。
      これに対し、法人は、18年7月28日の団体交渉(通算第12回)においては、開催場所については双方に都合の良い所でやっていきたい、例えば、相互に希望する場所を出して、できるだけ相手の主張を尊重し、交互に場所を指定することも考えてよいと述べていたが、基本的には「東京」と回答することが多く、結局、この間の団体交渉は東京事務所で22回、浦安キャンパスで11回開催されている。
      もっとも、坂戸キャンパスに勤務するX5の解雇問題が起きた際の4回の団体交渉(通算第14、15、17及び18回)については、法人は、それまでの13回の団体交渉の申入れに対しては、開催場所を指定しなかった3回を除くと、9回は東京事務所を、1回は浦安キャンパスを指定していたにもかかわらず、浦安キャンパスを指定し、組合が同人の出席の都合から東京事務所での開催を求めても、これには応じなかった。
      そして、通算第38回以降の団体交渉については、組合は、坂戸・浦安両キャンパスに勤務する執行委員の団体交渉への出席を確保するためとして、毎回東京事務所での開催を希望するようになった。これに対し、法人は、浦安キャンパス又は坂戸キャンパスでなければ応じないとの姿勢を一貫して取り続け、組合が、団体交渉の日取りがいたずらに先に延びることを避けるため、やむを得ず浦安キャンパス又は坂戸キャンパスでの団体交渉に応じてきたことが認められる。本件6回の団体交渉についても、5回が浦安キャンパス、1回が坂戸キャンパスで開催され、東京事務所では1回も開催されていない。
      この間、組合は、法人の事情に配慮して、東京事務所と浦安キャンパス又は坂戸キャンパスとのどちらかで交互に開催するという譲歩案を提示したり、資料を示して、浦安キャンパス又は坂戸キャンパスでの開催に支障があることを説明したりしているが、法人は、勤務場所での開催は普通のことであるとの理由を述べるのみで、浦安キャンパス又は坂戸キャンパスでの開催を譲らない姿勢を示している。
    • ウ そこで、団体交渉の開催場所に関して、まず、組合が主張する事情について検討する。
      • (ア) 公共交通機関を利用して移動すると、坂戸キャンパスと浦安キャンパス間の所要時間は2時間20分程度、坂戸キャンパスと東京事務所間は1時間40分程度、浦安キャンパスと東京事務所間は1時間程度であり、加えて、法人は教職員に対し勤務時間の繰上げを認めていないのであるから、坂戸キャンパスに勤務するX3執行委員が午後6時台の最も早い電車を使って浦安キャンパスに向かうと、午後8時に開始する浦安キャンパスでの団体交渉に間に合わないことになる。
        また、浦安キャンパスに勤務するX4執行委員は、同キャンパスで団体交渉が開催される場合、帰宅時の終電の時刻が同キャンパスの最寄駅である新浦安駅午後9時36分となるため、上記X3執行委員の同駅到着時刻が午後8時6分であること及び駅と団体交渉の開催場所との間の移動時間を考え併せると、交渉可能時間は1時間30分に満たないことになるので、十分な交渉時間を確保することはできない。また、交渉時間が延びれば、X4執行委員は、最終電車に間に合わず帰宅することができないから、宿泊代等の財政的な負担が発生することになる。こうした点について組合が懸念するのはもっともなことといえる。
        一方、東京事務所で団体交渉が開催される場合には、X3執行委員は、東京事務所の最寄駅である代々木駅に午後7時28分に到着することができ、また、X4執行委員の帰宅時の終電の時刻が代々木駅午後9時46分となるから、駅と団体交渉の開催場所との間の移動時間を考え併せても、交渉時間を2時間前後確保することができ、浦安キャンパスで団体交渉が開催される場合より相当長く交渉時間を確保することができる。
        以上のとおり、組合にとって、浦安キャンパスで団体交渉が開催されることには、移動に伴う組合員の体力面、宿泊代等の財政面及び十分な交渉時間が確保できないという内容面での不都合があるということができる。
      • (イ) この点について、法人は、坂戸の執行委員も勤務終了時刻の午後5時00分に坂戸キャンパスを出れば団体交渉の開始時刻である午後8時00分に、また、川角駅までタクシーを利用すれば午後7時半に浦安キャンパスに到着できるし、仮に開始時刻に間に合わないとしても、坂戸の執行委員は坂戸キャンパスに関する事項についての団体交渉のみに参加すればよいので、当該事項を団体交渉の中盤にもってくればよい、団体交渉の終了は何時になってもよい、団体交渉は日曜日でもよい、執行委員全員がそろわなくても団体交渉を開催することが可能であるなどとも主張する。
        確かに、就業規則によると、常時勤務する教育職員、研究職員、事務職員等の終業時刻は午後5時00分であるが、教職員は、勤務終了後に残業を命じられる可能性もあるのであるから、午後5時00分に坂戸キャンパスを出られるとは限らない。
        そして、東京事務所ならば交渉時間を確保できるにもかかわらず、浦安キャンパス又は坂戸キャンパスでは、組合にタクシー代や宿泊代等追加の財政的負担が発生し、組合執行委員が団体交渉の全体に参加できず、さらに、組合執行委員全員がそろった状態で団体交渉に臨むことができないなど、組合側の支障が大きいといわざるを得ない。
        よって、この点についての法人の上記主張を採用することはできない。
    • エ 次に、法人が主張する事情について検討する。
      • (ア) 法人は、過去に組合と26回にわたり団体交渉を開催した507号室の使用について、同室の賃借人であるZ1から、年間単位で予定している会議についてのみ承諾が得られており、団体交渉はそれに当たらず、組合との団体交渉に使用することはできないと主張する。
        しかしながら、法人は、この理由を団体交渉において一切主張しておらず、また、本件6回の団体交渉開催に当たっても、Z1に対し507号室の使用に関して許可を一切求めていないのであるから、このことが東京事務所で団体交渉を開催できない理由となっているとみることはできない。
      • (イ) 法人は、東京事務所で団体交渉を開催する場合には、1)浦安キャンパスから東京事務所に資料を運搬する多大な負担、2)同キャンパス事務部庶務課長が同キャンパスを不在にすることによる業務への支障、3)同キャンパス事務部庶務課職員の時間外労働の発生等の不都合が法人に生ずるとも主張する。
        確かに、組合との団体交渉に係る事務は、法人の浦安キャンパス事務部庶務課の職員が担当しているので、東京事務所で団体交渉が開催される場合には、上記の不都合が生ずるとの主張は理解できるところである。
        しかしながら、これらの不都合は坂戸キャンパスで団体交渉が開催される場合にも同様に発生することが明らかであるが、法人は、組合からの団体交渉の申入れに対する「当初の法人回答」において、通算第40回以降は、毎回浦安キャンパスと坂戸キャンパスを並列的に開催場所として指定しているのであるから、上記法人の主張に合理性があるということはできない。
    • オ 以上説示したことを総合すれば、組合側には浦安キャンパス又は坂戸キャンパスでの開催に支障があることが認められ、この点について組合が資料を示して説明しているにもかかわらず、法人は、かつて自身が開催を希望したこともあり、26回の開催実績がある東京事務所での開催を合理的な理由もなく拒んでいるといわざるを得ず、また、組合の交互開催という譲歩案に対してもこれを一顧だにせず拒否しているのであるから、法人は、組合にとって支障のある開催条件を意図的に押し付けようとしているものとみざるを得ない。
      したがって、法人の対応は、不誠実な団体交渉に当たるとともに、組合の運営に対する支配介入にも当たるというべきである。
  2. 法人による組合が教職員宛てに郵送した封書の回収並びに組合及びその執行委員長らに対する厳重注意について
    • ア 法人は、就業規則第43条の(3)において、職員は、勤務時間中は担当する職務の遂行に専念し、みだりに離席してはならない旨を、また、同規則第44条の(6)において、職員は、所属長の承認を受けずに、法人所有の施設内において業務以外の講習、集会、演説、放送又は文書などの配布及び掲示を行ってはならない旨を定めている。
    • イ 一般に、使用者の労働組合に対する便宜供与やその施設の利用に関するルールについては、労使間の話合いにより決定すべきであり、そのようなルールが定められていない場合には、使用者が就業規則によりこれを規制することに合理性がないとはいえない。
      しかし、本件で問題となっている組合の行為は、組合文書を教職員の所属部署宛てに郵送したということであり、組合が勤務時間中に法人の施設内において組合文書を配布したというものではないので、そうした行為が、法人が指摘する上記アの就業規則第43条の(3)及び第44条の(6)の定めに直接抵触するかどうかについては、直ちには断じ難いところである。
      そこで、以下、組合による本件組合ニュースの郵送をめぐる諸事情について順次検討することとする。
      • (ア) 組合ニュースの配布等の情宣活動は、労働組合が非組合員を含む従業員に対し組合活動の実態を知らしめ、組織力の強化を図ったり、組織力を拡大したりする点で、重要な活動といえる。
        そして、本件組合ニュースは、浦安キャンパスの非組合員を含む教職員宛てに郵送され、27年度に開催された組合と法人との団体交渉の内容がA4版の用紙3枚にわたって記載されていたのであるから、同ニュースの配布は重要な組合活動であったといえる。
      • (イ) ところで、従前からの労使関係の経緯をみると、法人は、組合の結成当初から10年以上にわたり、掲示板及び組合用メールボックスの設置等一切の便宜供与並びに学内での組合ニュースの教職員への配布を認めておらず、また、昼休み等の休憩時間中に団体交渉申入書を提出することを含め、勤務時間の内外を問わず、法人施設内での組合活動を一切禁止しているところである。そうすると、組合が、今後も法人がその施設内での組合活動を認めることはなく、非組合員に対して組合活動の内容を知らせることが困難な状況にあると判断して、組合ニュースを、浦安キャンパスの住所を受取人住所とし、非組合員を含む教職員を受取人として郵送する方法により教職員に届けたいと考えたとしても、無理からぬところである。
        そして、この点については、28年1月14日の団体交渉において、組合が大学の個人宛てで郵便物を送付した場合はどうなるかと質問したのに対し、法人は、関与する問題ではない、良いとも悪いとも言わないと回答しており、これは、その真意を措くとしても、組合が大学の個人宛てに郵便物を送付することについて、黙認したと受け取れる余地のある発言であったということができる。
        こうしたことからすると、法人が施設内における組合活動を一切禁止している状況の下、組合が郵便物の送付に関する法人の上記回答を契機として、非組合員を含む教職員に組合ニュースを郵送するという方法を執ることにより、従前全く行うことができなかった情宣活動を行うことができると考えたとしても、そのことを強く非難することはできないというべきである。
      • (ウ) 他方、本件組合ニュース入りの封書の郵送によって、法人の業務に具体的な支障が生ずるおそれがあると認めるに足りる疎明はない。
        現に、組合が1月14日の団体交渉において、学内で組合ニュースの配布を含む組合活動が一切禁止されている理由を質問したことに対し、法人は、大学に不利益がある、認めないことは普通である、組合ニュースの配布を認めることは学内秩序を乱すといった、抽象的な回答に終始していたのである。
        それにもかかわらず、法人は、組合が本件組合ニュースを教職員宛てに郵送したことを知ると、理事長及び副理事長が協議を行って同ニュースを回収しており、しかも、マスターキーを使って教員個人のメールボックスを開けたり、教職員に個別に電話を掛けたりするなど、その対応は執拗なものであった。また、本件組合ニュース入りの封書の大半は本件申立時においてもなお受取人である教職員に引き渡されておらず、こうした事態を生ぜしめたことについては、各教職員の通信の秘密との関係でも問題のある対応であったといわざるを得ない。
      • (エ) また、法人は、職員協議会発足のお知らせについては教員のメールボックスに配布する対応を執っていた。職員協議会は、法人の労働者の過半数を組織しており、会員からの会費収入から推計するとその会員数は550名程度になるから、職員協議会発足のお知らせの発送枚数は、組合が郵送した封書の数を大幅に上回るものであったと推認される。しかしながら、法人が、こうした職員協議会発足のお知らせのみならず、それ以外の個人的な郵便物についても、本件組合ニュース入りの封書の郵送に対すると同様の対応を執ったという事実は認められないのであり、法人は、本件組合ニュース入りの封書について、職員協議会発足のお知らせやそれ以外の個人的な郵便物とは異なる取扱いをしたということになる。
        こうしたことを踏まえると、上記のように、理事長及び副理事長が関わって、法人が、本件組合ニュース入りの封書を回収したという対応は、法人の施設内における組合の情宣活動を一切認めず、その活動を抑制しようという意図を推認させるものというべきである。
      • (オ) さらに、組合が本件組合ニュースを郵送した1か月半ほど前の1月14日の団体交渉において、法人が、組合に対し、団体交渉の開催場所に関する議論はこれ以上進展がないから打ち切ると述べるなど、当時、法人と組合との労使関係は相当程度緊迫した状況にあったことがうかがわれる。
    • ウ 以上説示したことを総合すると、本件組合ニュース入りの封書を浦安キャンパスの教職員を受取人として郵送した行為は組合にとって重要な活動であったが、法人は、それを各教職員に引き渡さず、また既に引き渡した封書を回収し、さらに、そうした郵送行為について組合及びその執行委員長らに対し厳重注意を行ったということになる。法人のこのような行為は、組合の本件郵送行為により法人の業務への具体的な支障が生ずるとは認め難い中で、職員協議会発足のお知らせやそれ以外の個人的な郵便物とは異なる取扱いをしたという点で合理性に乏しいものであったといわざるを得ない。
      そうすると、仮に組合の上記行為が法人の主張するように就業規則に抵触しているとの解釈に立ったとしても、法人の上記行為は、かねてから、勤務時間の内外を問わず、法人施設内での一切の組合活動禁止を言明していた法人が、その意思を貫徹するために行ったものとみるべきものであり、法人が、組合の活動を抑制し、弱体化することを意図したものであるとみざるを得ないものであるから、組合の運営に対する支配介入に当たるというべきである。

5 命令書交付の経過

  1. 申立年月日 平成29年1月13日
  2. 公益委員会議の合議 令和元年7月2日
  3. 命令書交付日 令和元年8月21日

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