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舛添前知事「知事の部屋」

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活動の紹介

平成28年1月4日更新

職員に対する新年あいさつ

 平成28(2016)年1月4日(月曜)、職員に対し新年あいさつを行いました。

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はじめに

 皆さん、明けましておめでとうございます。
 今年の年末・年始は、非常に休みが短うございましたけれども、それぞれ英気を養っていただいたと思っております。一方、福祉・医療、それから警察、消防、交通、上下水道など、現場は、これはもう本当に休みなしで、24時間・365日、お正月も関係なしということで、働いてくださっていたと思いますので、本当に、ご苦労様でございました。

東京のグランドデザインを考える

 さて、昨年を振り返りますと、パリで悲惨なテロ事件がありました。その直後、開催されましたCOP21では、2020年以降の地球温暖化の枠組み「パリ協定」を採択して、閉幕をいたしました。非常に私もハラハラして見ておりましたけれども、全ての参加国が取り組むルールができたということは、大いに評価できるというふうに思います。その中の目標の一つとして、「産業革命以降の温度上昇を、今世紀末の時点で何度に抑えるか」と、こういうことが議論されました。発展途上国、先進国、それぞれ利害を抱えておりますけれども、その中で、長期的な地球規模での認識を共有したということは、非常に大きな成果であったであろうというふうに思っております。
 翻りまして、我が都政におきましても、やはり広い視野と長期的な視点で、東京の明るい未来をつくっていくという考え方が必要であります。昨年から、2040年代の東京のあるべき姿を、「東京のグランドデザイン」として描く検討を始めております。25年、30年先の東京ですので、どうなっているかというのは、非常にこれは想像は難しいわけであります。我々は今、インターネット、パソコンを当たり前のように使ってますけれども、25年、30年前っていうのは、私の記憶が正しければですね、まだネットはなかったと思いますので、ネットのある時代とない時代で、これだけ時代が変わる。同じような変化があり得るというふうに思います。

情報の重要性をしっかりと認識せよ

 そういう先を見据えた戦略をつくるというのは、一人ひとりの能力もありますけれども、我々の持っている力っていうのは、組織全体で当たるということでありますので、それぞれの局、部局の垣根を越えまして、情報をお互いに共有して、そして、アイデア、知識、知恵、そういうものを出し合っていただきたいというふうに思います。
 日本にとっても、今年は参議院選挙もございますし、今日は国会がこの4日から開かれるということで、様々な安全保障法制を巡る問題、それから消費税の軽減税率の問題、大きな課題の議論が、今から国会で行われますけれども、そういう中で、日本経済をしっかり立て直していかないといけない。デフレから脱却していかないといけない。そういう中で、この日本の発展を支えていくのは、そして、日本全体に先行して発展するのは東京であると、こういう視点を失ってはいけないというふうに思います。国としっかり連携して、前に進んでいくとともにですね、他の自治体との連携も必要であります。いつも申し上げますけれども、被災地の復興なくして、2020年の大会の成功はありませんので、そういう意味で、被災地のことも一時も忘れてはならないというふうに思います。東京だけではなくて、他の自治体、日本全体を見る。そういう鳥のような目でもって、日本全体を俯瞰するということが必要だというふうに思います。
 昨年末、税制改正、みんなで力を合わせて、不合理な特別税、これは廃止することができました。しかし、この問題を超えて、今の税制のどこをどう変えればいいんだと。東京都にとってだけではなくて、私たち日本国民にとってどう変えればいいかと。こういう視点で、我々も仕事をするということを忘れてはいけないというふうに思います。
 そういう中で、都民の皆様の協力っていうのは、我々都政を前に進めるときには、どうしても不可欠であります。そのためには、情報をできるだけ早く、できるだけ広く公開して、都民と共有するということが必要でありますので、とりわけ、都政の広報のあり方、それからオープンデータの活用なども含めまして、都民が協力しやすい、そして、都民が都政に参加しやすい、そういう環境をどのようにして作るのかということを、しっかりと考えていただきたいというふうに思います。
 情報の共有とともに、一つ強く申し上げておきたいことは、情報の管理、これを徹底していただきたいというふうに思います。漏れてはいけない情報が事前に漏れる。そういうことであれば、我々の仕事はかなわないわけであります。悪意があってということでなくても、常に情報はしっかり管理するという日頃の訓練がなければ、ぽろっと出てしまう。こういうことがあれば、厳正に対処するという決意であります。情報共有、情報管理ということを申し上げたのは、「情報」、これがいかに大事であるかということでありまして、そのことをしっかりと、感度を研ぎ澄まして日頃から情報に当たっていただきたいというふうに思っております。

現場からの視点で政策を前に進める

 次は、現場が大事だといつも申し上げていることでありますけれども、今、「東京都長期ビジョン」に基づきまして、都政を行っておりますけれども、さらに昨年には、真の地方創生を目指すということで、「東京都総合戦略」、また、「2020年に向けた東京都の取組」をまとめました。少子高齢・人口減少への対応、成長戦略、都市づくり、観光振興、水素社会の実現、グローバル人材の育成、芸術文化の振興など、将来に大きな花を開かせる、そういう政策の種を、数多く蒔いております。既に芽が出たものもありますし、これからまた、咲かせていかなければいけないものもあると思いますので、一人ひとりがどうするかということが、大きな花が開くかどうかの成否にかかっていると思います。
 その花が開く場所っていうのは、皆さん方の現場であるわけでありますので、最前線で働いている職員が、「こうすればいいんじゃないか。ここがおかしいんじゃないか。」こういう情報が必ず上にあがるようにすることが必要でありますので、是非、気が付いたことは遠慮なく、忌憚ない意見を、上司・同僚に伝えていって、それが私の耳にまで届くようにしていただきたいというふうに思います。
 また、同時に皆さん方職員の能力を伸ばしていくということも、非常に重要であります。振り返ってみますと、都市外交、危機管理、国際金融、こういう分野での人材が足りません。やはり、新しい課題が出てきます。2020年にオリンピック・パラリンピック、2019年にラグビーのワールドカップがある。世界中の支援がなければ、この二つの大会は成功しないんです。世界中の人たちと、通訳を入れないで対等に話せる人材が、どれだけいるか。特に若い人は、「じゃあ私がやってやろう」という思いでやってもらわないといけない。
 要するに、自前の、これだけの人間がいて、外の組織に頼らないと都政が直面する課題に対応できないということは、人材養成を今までやってこなかったということであって、それは反省しないといけない。もちろん外の組織の力を借りるというのは決して悪いことではありません。しかし、そのことを10年後も、20年後も、30年後も続いていて、それで、組織として活性化するのか。
 やはり、特に若い世代の皆さん方に申し上げたいのは、新しい分野に果敢に挑戦して、自ら伸びていく。人に頼らなくてもやれる組織にしていく。世界の上から数えて十番目くらいの大きさにあって、国と同じ規模の人員も予算もあるわけですけれど、その中で、新しい課題に挑戦できないというのは、恥ずかしいと思わないといけないというふうに思っております。

ワーク・ライフ・バランスで仕事の生産性を上げる

 それから、いつも申し上げておりますけれども、だらだら仕事をしない。ワーク・ライフ・バランスということを、しっかりと心掛けていただきたいと思ってます。
 我々が誇りにしているのは、職員の三人に一人が女性である。管理職も16%いる。国が2、3%しかいない。民間でも5、6%しか管理職がいない。そういう中で、突出して先をいっているのが都庁であります。しかし、その中で働いている女性が結婚する、子育てする、そういう時に挫折するようなことがあってはならないというふうに思いますので、是非ですね、ワーク・ライフ・バランスをしっかりやって、もう時間内にピシッとやる。そのためには効率を上げないといけない。短時間で効率を上げる。みんなに笑われているんですけれども、私は週休三日ということも申し上げているのは、それくらいの気持ちで効率を上げていかないと、国際社会に取り残されていくというふうに思っております。
 そして、仕事は仕事でしっかりやってもらうけれども、オフになったときは自分の趣味なり、家族なり、好きなことをやるなりして、英気を養うということは、また次の仕事に携わる上で、非常にプラスになるわけであります。

2019年大会と2020年大会の成功に向けて

 先ほども申し上げましたけれども、2019年のラグビーワールドカップ、2020年のオリンピック・パラリンピック大会、おそらく、こういう機会は我々が生きている間に、もう二度とないというふうに思っております。そして、いよいよ、もうあと8か月に迫りました。リオの大会が開かれます。ちょうど8か月。リオが終われば、次は東京だ。全世界の目が東京に集まります。
 3年間、4年間、大変な思いで頑張らないといけないと思いますけれども、我々が努力した成果は国際社会がちゃんと見ているというふうに思っていただきたいと思います。イギリスの『モノクル』というマガジンがありますけれども、生活の質について世界の主要都市を評価しておりますけれども、昨年は、東京都が第1位に躍り出ました。また、フィナンシャル・タイムズ紙のグループがですね、アジア太平洋で「最も将来性のある都市」ということを2年ごとに調査しているんですけれども、東京は163都市中2位に躍進して、1位はシンガポールなんです。しかし、1000万以上のメガシティでは、我々がトップであると。
 特に、どの都市に投資した方がいいか。投資という観点から見たとき、圏外にあったのが今度は東京が上の方に出てきたということは、我々が頑張ってグローバル化をやったことの成果を国際社会も認めてくれたということだと思っていいと思います。我々は、他の世界中の大都市と競争していかないといけない。負けてはいけない。そして、我々が勝っていくということは、日本がこれからさらに発展していくことになるというふうに思いますので、国や組織委員会、それからその他の開催都市、全国の自治体、民間団体などと、心を一つにして、この成功に向かって努力をしたいというふうに思います。

東京の明るい未来のため、実りある年に

 私が知事に就任して、もうすぐ2月9日になると、ちょうど半分の2年が終わります。皆さん方と率直に胸襟を開いた議論をしていく。そして、できるだけ現場にも足を運ぶということをやってきました。私の国政の経験でも、静かに2年間、皆さん方の資質、能力、その他を眺めていれば、だいたいわかる。人事についても、予算についても、2年というのは一つの取りまとめの時期だというふうに思っております。そして、先ほど申し上げましたように、リオが終われば東京だということで、これからのあとの2年というのは、東京のこれからの発展、ひいては日本の発展に決定的な意味を持つ2年だというふうに思っております。慎重に事を進めておりますけれども、しかしながら、常に申し上げておりますように、信賞必罰と言うことで、予算・人事をはじめ、都庁組織の見直すべきところは、大胆に見直してまいりたいというふうに思っております。
 今日から、早速、来年度予算の査定が始まります。東京の明るい未来を予算という形でまとめまして、都議会にもしっかりと説明してまいりたいというふうに思っております。この新しい1年が充実した、実りあるものとなるように、皆さんと共に、一緒に頑張っていきたいと思います。どうか健康に留意して、私が今、申し上げましたことをしっかりと念頭に置いて、都民のために、我々はしっかり仕事をするんだと、そういう思いで共に頑張っていきたいと思います。以上で、私の新年の挨拶を終わります。


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