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舛添前知事「知事の部屋」

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平成28年1月18日更新

庁議

 平成28(2016)年1月15日(金曜)、平成28年度の予算、組織・定数の原案がまとまったことを受け、庁議に出席し、職員に向け訓示しました。

平成28年1月15日 庁議知事発言

 平成28年度の予算、組織・定数の原案がまとまりました。この後、記者会見もございますので、この場では、原案に込めました私の考え方を中心に、お話しをしたいと思います。

 間もなく、私の都知事としての任期も、折り返し地点を迎えます。この2年間は、基礎的なところ、緊急に手当てが必要なところに対処してきた2年間でありました。そして、この基礎の上に、着実に花を咲かせていくという強い決意で、今回の予算をまとめました。

 今年は、リオ大会が開催されるオリンピック・パラリンピックイヤーであります。ラグビー・ワールドカップまであと3年、オリンピック・パラリンピック東京大会まであと4年となりました。私は、様々なところで「2020年大会が、日本再浮上のラストチャンス」だと言ってきました。日本再生を進める時期は、今をおいて他にありません。東京と日本の発展に向けた「未来への投資」を、果敢に実行しようと考えております。
 平成28年度予算は、「『世界一の都市』の実現に向けた取組を加速化・深化させ、力強く前進させる予算」と位置づけております。東京と日本全体の成長に繋げる先行投資として、「東京都長期ビジョン」による事業展開に1兆2500億円を計上いたしました。

 とりわけ、人に関する投資が重要であります。安倍政権は、「一億総活躍社会」を打ち出しております。都民・国民一人ひとりの活躍が、日本の持続的な成長を支えます。女性の活躍、元気な高齢者の活躍、誰もが意欲と能力に応じて存分に活躍する社会を、東京から作ってまいります。
 そうした中で懸念されますのが、貧困の連鎖、格差の拡大という問題であります。貧しい中で育ち、満足な教育を受けられず、望まないのに非正規雇用として働く。これは、その人が持っているはずの能力を、ほとんど活かしていないということでありまして、社会にとっても、大きな損失であります。
 貧困の連鎖という、将来の成長へのマイナス要因に、今ここで対処しておかなければなりません。子供たちへの学習支援、不登校・中途退学対策、非正規雇用対策、こうした施策をオール都庁で展開していきます。

 また、パラリンピックの準備を進める中で、障害のある方が活躍できる環境の整備も、加速化させてまいります。
 障害者の安定的な雇用を進めるため、今回、国に先んじた、都独自の支援制度を構築いたしました。実際の処遇の向上を図る、新たな取組であります。ボランティアにつきましても、希望する方に幅広く参加いただけるよう、仕組みや環境を整えてまいります。さらに、障害者スポーツ振興基金を新たに設けました。2020年までの集中的・重点的な取組を担保し、その先の障害者スポーツの普及・発展に繋げたいと考えております。
 街のバリアフリー化など、生活しやすい都市づくりも進めてまいります。こうした取組が、2020年とその先に、必ず大きな効果を発揮いたします。「オリンピックを開催して、東京が変わった」と、そう後世の人々が言うことができるように、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 少子高齢・人口減少といった社会構造の変化に対しまして、保育士や介護職員といった人材が不足しております。政府の掲げる「介護離職ゼロ」実現のためにも、こうした問題が最も重くのしかかっているのが東京でありまして、その東京が率先して対応する必要があります。処遇や職場環境の改善に取り組み、社会が必要としている人々の活躍を支えてまいります。

 今回、職員定数は740人の増としております。数多くの課題に的確に対処するために、必要な人員は確実につけてまいりたいと思っております。しかし、これはあくまで数字上の話でありまして、増えた人員をきちんと育てなければ、戦力とはなりません。都民サービスを担うのは、一人ひとりの職員であります。職員の学んだ知識・経験は、都民共有の財産であります。これを肝に銘じて、職員育成には特に力を注いでもらいたいと思います。若い職員は、新たな分野にも果敢に挑戦し、そこで得た知識や経験を、将来の都政にしっかりと還元して欲しいと思っております。

 景気変動の影響をまともに受ける都では、重要施策の確実な推進を担保するために、必要な額を基金に積んでおります。昨年も、防災街づくり基金や、おもてなし・観光基金などを創設いたしました。
 今回さらに、これら基金の政策目的を機動的に達成するため、対象事業を局横断で幅広く抽出し、施策を展開するようにしております。常に関係する部署同士で連携して取り組み、具体的な成果に結び付けるように心掛けてもらいたいと思っております。

 高度経済成長の中での1964年大会とは異なりまして、今回の2020年には「成熟社会」でのオリンピック・パラリンピックというものになります。「成長」の過程では、画一的、みんなが同じ方向で進んでいくことが社会の推進力になりましたけれども、一方、これからは、社会がより良く成熟していくために、一人ひとりの個性、そして多様性に目を向けていかなければなりません。そして、住民生活にきめ細かく向き合うのは、地方の仕事であります。
 昨年末の国の税制改正大綱では、暫定措置が撤廃されると同時に、新たな「偏在是正」なる措置の導入が決まりました。しかし、今後の地方の重要性に鑑みれば、地方同士で限られた税収を奪い合うよりも、日本の税制全体をどのように考えるのか、その中で、地方の安定財源をいかに確保するのか、そういう議論こそが今必要だという思いを強くしております。そして、こうしたことは、全国知事会議などの場でも、議論を興していきたいと考えておりますし、国との協議の場においても、そういう発言を今後とも続けていきたいというふうに思っております。

 我々の未来に横たわる様々な課題に、今、取り組まなければ、日本は沈没する、こういう危機感を持っております。本来は、国が担うべき役割であっても、我々東京都が現場から先行的にやる、先鞭をつける、そのことが都民・国民の具体的な活躍に繋がるというふうに思っております。
 日本を明るくするには、何といっても経済が元気にならなければなりません。インフラの整備による都市機能の向上、それから水素社会の実現、中小企業の海外展開、起業・創業の促進、ロボット技術、ライフサイエンス、国際金融センターなど、東京の成長を支える政策を、着実に前へと進めてまいります。観光を一大産業と捉えて、多くの旅行者を呼び込んでまいります。
 そして、こういう取組は確実に世界中から高い評価を受けておりまして、いつも申し上げますように、イギリスのモノクルマガジンにおいて一番生活のしやすい街に東京が選ばれた。それからファイナンシャルタイムズの調査でも、ぐんぐんとこのアジア太平洋における将来性のある街として、いろんなポイントが上がってきているということで、努力をすれば国際社会がちゃんと見ているというふうに思っておりますので、今回の予算編成もそういう観点を念頭において行ったわけであります。
 さらに、全国の自治体との関係をいっそう密にして、そのパイプを太くして、東京の成果が速やかに日本全体、津々浦々に波及するようにしていきたいと思っております。こういうことをやって、初めて真の地方創生ができると思っております。

 私の任期の後半2年に合わせて、これからの東京を形づくるスタートの予算を組めたと思っております。来月からは都議会の審議の中でしっかりと説明をして、また、都民・国民の協力を得ながら、「世界一の都市」の実現に向けた取組を力強く進めて参りたいと思っております。
 予算につきまして、私の方から以上のお話をいたしますので、都庁一体となって都民のために働きたいと思います。以上です。

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