舛添知事定例記者会見
平成26年5月30日(金曜)
15時00分~15時33分
知事冒頭発言
1 「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」の作成について
【知事】私のほうから2点ございます。まず最初は「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」の作成についてお知らせをいたします。都内の認知症高齢者、増加しておりまして、昨年実施しました実態調査をもとに行った新たな推計では、何らかの認知症の症状がある高齢者は、2013年の約38万人から、2025年には約60万人まで急増すると見込まれております。認知症も他の病気と同様に、早期発見・診断・対応が重要であります。
東京都は、認知症の研究治療拠点であります東京都健康長寿医療センターの研究成果を活用しまして、医師・看護師等による専門的な訪問調査を踏まえた認知症のチェックリストを作成いたしました。このチェックリストは全部で10項目からなっておりまして、高齢者本人や家族等が認知症が疑われる症状の有無を簡単に確認できるものとなっております。
このチェックリストは、新たに作成したパンフレット「知って安心 認知症」や都のホームページなどに掲載いたします。都民の皆様にはぜひ積極的に活用していただきたいと思っております。
今後とも認知症の早期発見、診断、対応の取組をはじめ、様々な認知症対策の施策を展開してまいりたいと思っております。詳細につきましては、福祉保健局に聞いてほしいと思います。
私も母親の介護の体験がありますので、確か20点以上あると疑わないといけないんで、私はやってみまして大丈夫でしたけれども、皆さんも大丈夫だと思いますが、ぜひ、ご家庭の中でご両親とかおじいちゃん、おばあちゃんで、ちょっと最近は変わった形の物忘れだなとか思われたら、これを活用していただければというふうに思います。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
2 「携帯電話の通話環境やWi-Fiの接続環境の改善に向けたヒアリング」の開催について
【知事】続きまして、第2点のテーマですけれども、これは携帯電話の通話環境やWi-Fiの接続環境の改善に向けたヒアリングを開催しますということであります。
都内では、ほぼ全域が携帯電話のサービスエリアとしてカバーされておりますけれども、ビルの影響とか複数の電波の干渉等によって、車で移動中などに通話が途切れることがありますし、これは皆さんも経験があるというふうに思います。私も、都内視察なんかで走り回りますけど、一番大事な話をしてるときに、ぷつっと切れちゃう、こういうことがありますんで、これは危機管理の都知事が移動してるときに電話が通じないということでは話になりませんので、そういう面からも改善をするべきだと思います。
また、空港やJR、都営バスなど、無料でWi-Fiが使える環境が整備されておりますけれども、アクセスポイントをもっと増やしていくべきだと思いますし、使い勝手もさらによくしていきたいと思っております。
携帯電話の通話環境やWi-Fiの接続環境の改善を図りまして、平常時の利便性の向上をはじめ、緊急時の連絡の強化、さらには2020年大会に向けて増加する外国人旅行者への快適な通信サービスの提供を目指すことを努力してやりたいと思います。このことによって東京を世界一の都市にしていきたいと思ってます。
多くの観光客、外国人観光客から「Wi-Fiがつながらないよ」って、そういう話を聞きましたけれども、急速に今これを整備しておりまして6割以上の方が「大変満足している」ほぼ9割以上の方は「ほぼ満足」という一番直近のアンケート結果もありますので、さらにこれを進めていって2020年大会にはWi-Fi全然全く問題ないような環境、通話環境をつくりたいと思ってます。
そういうことの問題意識がございますので、携帯事業者3社と無線LANの団体計4社のトップにお越しいただきまして6月3日にヒアリングを実施いたします。私も出席いたしまして、様々な意見交換を行いたいと思いますので、この点の詳細は産業労働局にお尋ねいただければと思います。
質疑応答
【記者】テレビ東京の石井です。来月いよいよ虎ノ門ヒルズが開業しますけれども、オリンピックも控える中、あの辺りがどのようなエリアになることを知事は望んでいらっしゃるかというのと、戦後、都市計画、68年かけてここまでこぎ着けた思いを改めてお聞かせいただければと思います。
【知事】来月いよいよ竣工ということで、虎ノ門ヒルズができます。私も工事中のときに中を見せていただきまして、素晴らしいものができて、特に耐震、免震というシステムが揃っている。それからもう1つは、道路をまたぐ形で建物をつくるという規制緩和が実現したということです。
今後、地上部の整備を含めて道路の建設をやらないといけないし、都道の部分は方向が決まってますけど、あの周辺に区道もあれば国道もありますんで、こういうところがまさに特区を活用することによって規制緩和をやってもらえればというふうに思ってます。
「東京シャンゼリゼ計画」というのを言ってますように、幅員13mの非常に広い歩道ですから、これを最大限活用して散歩しながらちょっと立ち寄ってお茶1杯飲めると、そういう環境をつくりたいと思ってます。
それからもう1つは、環状2号線は有明、豊洲、特にオリンピックの競技施設、選手村、こういうところにつながりますし、さらにそれをずっと走っていけば新しい国立競技場ができる地域にも近いということで、先般開通したのは新橋と虎ノ門の頭をとって「新虎通り」といいますけど、私はこれはやっぱり全体を通じて環状2号線というのは、通称「オリンピック道路」というふうに呼ばれるようになるんじゃないかと思いますし、つい私も「オリンピック道路」ともう言ってしまうような状況です。
もう1つのご質問ですけども、都市の整備というのは非常にやはり大変なんで地権者の方々68年かかったというのは、それだけのご苦労があったと思いますし、あそこは森ビルさんですけども、我々が見たところで大丸有については三菱地所、日本橋室町は三井不動産、住友不動産はまたいろんなところというふうに、それから東急が渋谷と、こう棲み分け的なことをやってそういう民間のデベロッパーの方々も相当努力をして地権者とお話をしてくださったりしてるんで、そのまちづくり協議会とかエリアの協議会が大きな力を持ってるんで、彼らのイニシアチブがここまで活きてきたんで大変なご苦労であったというふうに思っております。
しかし、地権者の方々のご賛同もこれも大変ありがたいんで、そういう努力に68年かかったということを考えれば、これからの道路づくり都市づくり、相当粘り強い作業が必要ですし、東京都の職員もそういう担当の職員は本当に毎日汗をかいて地権者の皆さんのところに行く、例えば1000人住んでるマンションでしたら、1000人の皆さんと話をしないと片づかないわけです。
それから、先般多摩ニュータウンに行きましたけども、結局、皆さん方が例えば20代、30代で若いときにマンションをお買いになって入る。で、30年後の50になったときに、ないし60になったときに、マンションが老朽化して建て替えないといけないといったときに、その30年、40年で同じ入居者でお金持ちになる人とお金持ちになれない人が分かれちゃうわけですよ。そうすると、建て替えるといったとき、「ああ、喜んで」って言えるお金がある人と、「いや、そんなに余分にお金かかるなら、私はこの古いままでいいから嫌だよ」という方おられるんで、そういう問題もあるわけです。
ですから、規制緩和っていうのは、そのときに容積率を緩和することによって、この前の多摩のように、5階建てが15階建てになればただでそれだけスペース広まっちゃったわけですから値段安くなるわけですよ。だから、実を言うと規制緩和っていうのは、そこに住んでる方々の利便性にもなるという。例えば容積率の緩和を時系列的に有効に利用したりエリア的に有効に利用したりするという手法をやりながら前に進めていくわけですから、まさにそういう現場からの声をいつも言うように積み上げた形が本当の都市開発だと、そういう思いです。
【記者】あのエリアの今後なんですけど、アジアヘッドクォーター特区にもなっている場所なんですが、今後、どのような発展を遂げていってほしいというイメージされていますでしょうか。
【知事】例えばですね、医療のセンターのようなものをつくるとすると日本橋であるとか有明のがんセンターの近くもありますね。金融について言うと、例えば金融についてのセンターの一つにあの地域はなり得ると思います。例えば虎ノ門、六本木、このあたりは六本木ヒルズや何かができて様変わりしましたから、映画館もあったり。だからやっぱり市民が生活を楽しむとともにたくさん外国企業がやってきて自由な活動ができる。どういう企業であれ。そういうセンターにするというそういうイメージ。特に、やっぱりオリンピックの競技場、幾つかの競技場を結ぶ幹線道路になると思いますんで、そういうスポーツの振興ということともかかわりのある大きな町になれると思っています。
【記者】読売新聞の山村と申します。消費税の関係でお伺いしたいのですけれども、6月1日からですね、都営地下鉄が値上げになるわけなんで、8%になるわけなんですけれども、ほかの大手私鉄さんとかですね、JRさんですと4月1日にもう値上げになっております。まず、都営交通で議会とかいろいろあったとは思うんですけれども、2カ月遅れとなったことについてどう思われるかということについて1点と、もう一つは、6月1日になることで私鉄さんが運賃の運賃表とかを張りかえるのは、私鉄さん持ちになってご迷惑をかけるということにもなりかねないという指摘がありまして、その点についてどう思うか2点お願いします。
【知事】消費税の最終決定が時間がかかったわけです。それで、条例がきちんと通らないとできないことですから見切り発車はできない。今の私の知事と議会との関係だったら恐らく見切り発車ができたと思います。しかし、ご承知のような状況でしたから、とてもじゃないけどもそういうことができるような政治的な状況じゃなかったっていうことは、これは理解してあげてください。それで結局バスについては、さほど複雑じゃないので間に合いましたけども、これはやっぱり鉄道のほうは間に合わなかったと。
それから、2点目のほうについて言うと、ほかの鉄道会社の方々も全部ですね、いつ何どきいろんな事情で自分のところだけ運賃値上げをしないといけないような状況が起きるかもしれない。起きれば全てに迷惑をかけるわけです。だからお互いさまですよという協定があるんで、例えば都営とつながっている鉄道が、これはけしからんという声は上げていません。というのは、逆のことを向こうがやってくる可能性があるので。そこは、お互いの共通の理解があるというふうに思っています。
でも、当然のことながら消費税の分は交通局の中できちんと処理をするということですから、サービスを向上して自分たちがしっかり儲けて都民に迷惑かけないようにと、そういう方向で指示をしております。
【記者】その関連でですね、全国の自治体の中でも首長さんと前知事のことではあるんですけれども、議会と首長さんの中で緊張関係があるところもあると思うんですけれども、全国27の公営交通のうち、東京と横浜と札幌と函館と名古屋の5都市だけが間に合ってないという状況でして、それについてはいかが思われますでしょうか。
【知事】よその都市については知りませんですけど、東京のこれだけ大きな鉄道網は、持っているところはほかにないと思います。だから、例えば大阪市と比べることは、規模からいって、ほとんど違うというふうに思います。
【記者】共同通信の船木です。迎賓館構想の関係でちょっとお伺いしたいんですけども、先日、赤坂離宮を見学なさるという趣旨のことをおっしゃっていたと思うんで、もし行かれていたのであればそのご感想と、今現在、迎賓館構想についてこういった建物がいいなという考え方があるのであれば、それもお伺いできればと思います。
【知事】時間の余裕や先方の都合があって、皆さん方をお連れすることはできなかったんですけど行ってまいりました。そして、見てまいりましたけど、西洋風の建物とともに、戦後になって和風のものができてましたんで、それは非常に和風をつくるとするとこういうものもあるなという参考にはなりました。その上で、迎賓館構想は着々と、例えば浜離宮について図面の復元をしたらどうかというようなことも進めております。最終的には予算措置が必要ですけど、迎賓館構想というのは、やはり、これは東京都としての迎賓館を持ったほうがいいという考えは変わっておりませんですから、あらゆる角度から検討しながら、実現に向けて歩を進めているというのが今の状況です。
【記者】毎日新聞の竹内と申します。新国立競技場の建設のことでお伺いします。先日の有識者会議でですね、日本陸連のほうからサブトラックが必要だというような意見が出ました。この席で、組織委員会の会長を務められている森喜朗元首相からですね、東京都がやるべきことなのか私ども組織委員会がやるべきことなのかというような発言があってですね、ちょっと都に検討を促したような、というような聞き方もできるんですが、サブトラック整備について知事のご見解を伺えますか。
【知事】基本的には、国立競技場ですから、国がしっかりやるべきだというのが基本だと思います。国がつくる国立競技場にサブトラックがないならば、それは国の責任でつくる必要があると、それに尽きるんだと思います。だから、森委員長がどういう趣旨でお話になったか私はその現場におりませんでしたから、ご発言の内容は、今おっしゃったようなことは聞いておりますけどもそこは森さんがどういうご意図であったかはちょっとわかりかねますけども、私は、基本は国がやることは国がやることだというふうに思っています。
【記者】日本経済新聞の細川と申します。東京国際金融センター構想についてお聞きします。昨日第1回のタスクフォース会議があったと思いますが、まず、それを終えての感想をお聞きしたいのが1点と、それから、昨日の会議にも指摘があったと思うんですけど、東京の金融機能の強化という面では、都ができることと、それから都が直接関与できないものがあると思うんですけれども、そのセンターの実現に向けて改めて知事が考える都の役割とは何なのか、その辺のお考えをお教えいただけますでしょうか。
【知事】昨日は、銀行、証券、それから渡辺総裁まで個人の立場で来ていただいたので、非常に活発な議論ができてよかったと思います。そして、さまざまな、例えば生活環境とかいうことも含めて、英語の問題とか出ましたんで、大変参考になりましたんで、とにかく、非常に難しいのは、税制含めて、結局、国会で国の税制決めますから、その中で、東京都で何ができるんでしょうかというのは限られてくるわけです。だから、当然そういう限界がありますけれども、例えばワンストップサービス的なものをですね、東京都が認可しなければならないような書類についてやるということは既に言ってますから、そういうことをやっていきたいなというふうに思ってます。生活環境の改善にしても、どれだけのニーズがあるのかというのはもうちょっとよく聞いてみたいというふうに思ってますけれども、昨日の発言の、特に渡辺総裁の発言の中で、「できることからやったほうがいいんじゃない」というのは、私も非常にそうだなと。あんまり、東京がやないからけしからんみたいなそういう国の言い分につき合ってたら、いかに不毛かというのもよくわかりましたので、そういう方向でやっていきたいと思ってます。
【記者】毎日新聞の武本です。先ほど、新国立競技場の話に戻ってしまうんですけれども、本体の建設費のほうでですね、昨年末、下村大臣のほうから、500億円は都のほうにという趣旨の話があったと思うんですけども、それについて、その後何か、動きというか変化というか協議というのはなされているんですかね。
【知事】まずですね、500億円、都という話は、完全に白紙です。ということは確実で、その後全くまだ話がありません。というのが今の正確な情報です。
【記者】時事通信です。今のお話で、500億円なり何なり、その負担に関していつまでには決めたいというようなタイムスケジュール感はありますでしょうか。
【知事】それは、私が決めたり私が願うことではなくて、基本は国立競技場ですから国がおやりくださいと。終わりです。何も言われてませんから、都民の税金をどうして使うんですかということなので、タイムスケジュール感も何も私にはありません。言われてから考えますということです。
【記者】朝日新聞の後藤です。最初にお話しあったWi-Fiのことなんですけれども、知事、これまで、例えば、外国特派員協会で講演された際に、外国人の記者の方から、WiFiがあまりにつながらないということをお話しされてですね、知事のほうで、いろいろ指示はしているとおっしゃっていますが、実際、今、知事のほうでですね、Wi-Fi整備に関して、どのような指示をされているのかということを、まず1点とですね、常々、ご就任されてから、Wi-Fi環境についてはいろいろご発言をされていらっしゃると思いますので、今後、Wi-Fi整備に関して、都が主体的に何か進めていくのか、助成金なんかの制度を使ってですね、業者のほうにWi-Fiの整備の環境を促していくのか、どういう大きな方針があるのか伺いたいんですが。
【知事】あのですね、まず、Wi-Fiに対する外国人の方々の反応なんですけども、平成23年10月の段階で、約2000カ所しかありませんでした。もう昨年の年末段階で1万5000カ所まで増えてます。これ、今どんどん増えていってるんで、基本的には。ですから、例えば、喫茶店でも、うちは通じますよっていうの、ありますね。で、それぞれが自分でやることであって、そんな多額のお金がかかるわけでありませんので。つまり、無料Wi-Fiを設置することによって、お客さん呼んで、隣のカフェより自分のところがいっぱいお客さんが入るなら、それは誰でもやるわけなんで、そういう方針でやりたいというふうに思ってます。
アンケート調査も、古い、先ほどの2000カ所ぐらいしかないときのを元にしてるんで、アップツーデートなものは、先ほど言ったように、かなり、みんな、満足度が上がってる。あとは、無料Wi-Fi利用できますよ、ここで利用できますよというようなことの周知徹底が十分できてないんで、そこをさらにやっていこうというのが今からの方針なんで。それで、そのことも含めてですね、6月3日の日に、少しキックオフをやりたいと思いますんで、6月3日16時から、昨日、今日とやった大会議室を使って、事業者の方々に来てもらって、そこで要望があって、こういう補助を出してもらえばやりやすいと言えば、それはもう考えたいと思いますけども。今のところは、それに向かって、今、準備をしておりますので、ぜひ皆さんもいらしていただいて、それでもっと詳細な答えが出る可能性はあると思います。
【記者】新宿区新聞の喜田です。国立競技場のことなんですが、舛添知事のお考えとしてはですね、この程度の、1600億円と言われている建築費の規模ですとか、そういうものについては、これは大き過ぎるというふうに思うのか、それとも妥当なのかですね、感想をお持ちだと思います。
それと、これを改築でやっていけばいいんじゃないかという意見も相当、建築家の中には出ているようですが、そういうものに関しては、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
あと、維持管理費なんかもですね、46億かかると、年間、言われてますが、これはどんなものであるのかというふうなご感想をですね、お願いします。
【知事】規模について言えば、これはもうIOCとの間で、招致の条件として決まったことで、そして、正式にああいう形で決まりましたから、それを、若干、5メートルぐらい下げたというようなことで改善もしていて、それを私のほうから、これが良い悪いということを言う立場にないと思います。そして、コストについて言っても、これは、それぞれの専門家が、技術的にこれだけかかるということを言ってるわけですから、これも私のほうから言う立場にはありません。
ただ、後利用については、やっぱり国民皆で考えて、8万人のスペースを有効に活用して、後年度、皆が負担にならないような、そういう工夫をしていかないといけないんで、後利用について、既に検討を開始するということは、あれは国民的レベルで必要だと思ってます。
【記者】キューバ国営通信日本特派員の稲村です。先ほど、1時半からラテンアメリカの大使、22カ国の大使が表敬訪問で舛添知事をお訪ねし、私も写真など、取材をさせていただきました。何カ国の大使が来られたのか、どんなお話が大使から出たのか、そういうのをお聞かせいただければと思います。
【知事】約20人近くお見えになったと思ってます。それと、もう1つは中身ですか。いろいろですね。今後とも交流を活発にしようということが基本的な観点でありますんで、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、いろいろご協力を仰ぎたいということは私のほうから申し上げました。そして、2年後にはリオに行って閉会式でオリンピックの旗を受け取ってこないといけないですから、そういうことについても話しました。
それから、どうしても地球の反対側で距離的に遠いもんですからなかなか文化的・人的な交流は近隣諸国に比べれば少ない。そういう意味では、文化・芸術含めて、まだ十分紹介されてないんで、是非そういう紹介をしてもらいたいという。そういう話で、今後とも、例えば、環境問題であるとか、いろんなことで協力できればやろうというようなことをお話ししてまいりました。
【記者】NHKの高橋です。最近ですね、冒頭、認知症のお話ありましたけれども、認知症の行方不明の方が最近多くてですね、それを長年見つけられないままでですね、最近テレビの放送とか新聞の報道によって初めてわかる。5年ぶり7年ぶりと。行政と警察の連携ができてなかったり、あるいは個人情報保護というですね、それがかえって手かせになったりと。そうすると、行政なりですね、警察、自治体どうしたらいいのかと、いろいろなテーマになっているんですが、知事のお考え対応も含めて聞かせていただけますか。
【知事】本当にこれは、私も親を介護した立場から見て深刻な問題だと思います。本当は一番良いのは、警察、行政より前に、コミュニティーというか、近隣で保護するのが一番いいんで、私は今、世田谷に住んでますけれども、おじいちゃんとかおばあちゃんが、こう、ぶらっと私の家の前へ歩いてきて何か不安そうにしているんでちょっとお話しすると、ああ、認知症の方だなってわかるんですね。そのときに、たまたまどこか着ている洋服に名前が縫いつけてあるとか、「電話番号は」とか「何丁目にお住まいですか」と言ったら、それは言える方もいるんです。そのときに、お巡りさんに来てもらって何丁目何番地の何という方なんで、ちょっとご連絡してもらえますかって言って、私のところに来られた方、たまたま自分の名前が言えたとか電話番号言えたということができるんで、それで私の親なんかのときには、やはり幼稚園の子供と同じで、こういうあたりに住所、名前を縫いつけておくと。だから、ちょっと家族、目を離したすきに徘徊なさるようなことがあると思うんで、そういうことをご家族もやっていただくし、例えば、「ちょっと、このおじいちゃん、うちの町内で見たことないおじいちゃんだね」と、「ここまで来たね」というときは、やっぱり周りが保護してあげるっていう、それが一番だと思うんです。その上で警察、区役所とか行政にやっていく。
東京はですね、警察からの情報とともに、今、例えば、世田谷区でこういう方がおられたっていうのは、都庁に情報を収集するようにして、それで都庁から、例えば、目黒区から、その方は来られているのかもしれない、狛江から来ているかもしれないんで、全部の都内の区役所、市役所にお知らせすると。できたら神奈川とか、周辺の所にもお知らせすると、それで情報提供やる。それでも年間何百人もそういうケースがあって、やはり今でもちょっと調べますと3名ぐらい、まだ不明などこの方か不明な方、わからなくて保護してってるという状況があるようです。ですから、やはりコミュニティーがなくなったことがこれにつながると思いますんで、行政、警察含めて一生懸命やりたいと思いますけど、こういう問題が起こってくる。
これはもう他人事じゃなくて、みんな間近に自分の家族含めてそういうことが起こり得るんで、行政としても東京都としてもさらにもっとネットワークをよくするような手がないか、引き続き検討させて、努力するようにいたします。
【記者】テレビ東京の石井です。関連なんですが、今、医療・介護法案が、もう間もなく成立という形になっておりまして、認知症の要支援1の人の市町村移行で認知症の早期予防がなされなくなるんじゃないかという懸念がかなりあると思うんですが、これについて、知事のお考えと東京都が何か対策とかを考えていらっしゃるのか、教えてください。
【知事】医療も介護もできるだけケアをしてあげたいんですけども、要するにお金が天から降ってくるわけじゃなくて、やっぱり財源の問題。財源っていうのは皆さんが払ってくれる税金ですから、それをどう有効に使うかということでナショナルサービスとしての介護保険なんですけれども、非常に軽度の要支援の方は、地域の包括サービスで地域で面倒見たほうがいいんじゃないか、より効率的じゃないかという、そういう結論が厚労省の審議会で厚労省の方針で出て、それはご批判なさる方もおられるけど、それはそれで1つの考え方だと思います。あとは、介護される方、介護する家族の立場から見て、制度がどうであれ誰が主体であれ、一番良い介護をされることが必要なんで。やはり今の軽度の認知症の方をどちらが見るかっていう問題を置いてですね、地域全体で包括的なケアをするシステム、動いていかないと。特に東京なんかは特養が足りないっていう状況は、もう一生懸命努力してますけどもなかなか追いつきません。だから、制度が変わったから要支援の方が行かないというのではなくて、それはやっぱり、東京都もそこはきちんとやっていって。だから、そういう国の方針だから、東京は何もしないよともう介護保険の対象外で、そんな人を見ないよというんじゃなくて。やはりきめ細かくケアしていって、要介護度が2から3、3から4に進めば進むほど、財政負担は、つまり国民のみんなの税負担は重くなるわけですから、早期に発見して早期にチェックする。先ほど出したようなチェックリストをつくっているっていうのも、そういう予防対策の一環だと思っていただければいいんで、決してそういう新しい法律が通ったから東京都が手を抜くということはありません。
以上
(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)