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舛添前知事「知事の部屋」

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記者会見

平成28年2月9日更新

舛添知事定例記者会見
平成28年2月9日(火曜)
14時00分~14時28分

知事冒頭発言

1 「第10次東京都交通安全計画」及び「改定自転車安全利用推進計画」の中間案について

【知事】冒頭、3点ございます。
 まず、最初のテーマですけれども、幹事社さんが自転車に自分でお乗りになったっていうので、自転車から行きたいなと思っております。この度、「第10次東京都交通安全計画」と「改定自転車安全利用推進計画」の中間案がまとまりましたので、お知らせをいたします。
 まず、昨年の都内の交通事故の現状ですけれども、減ってはいるのです。23年が200人を超えていたのですが、161人まで減っております。ただ、150人という目標を立てていたので、目標にまで行かなかったっていうのは残念であります。特に、なぜこれだけになっているかというと、65歳以上の高齢者、こんなにいるのです。それから、減っているときもありますけれども、自転車に乗ってるときの死者ということなので、こういうことを念頭に置きますと、新たに策定します「第10次東京都交通安全計画」では、こうした課題の対策を充実させて、平成32年までに死者数を125人以下、死傷者数を2万8000人以下を目指したいと思います。本当は100人以下としたいのですけれど、なかなか一気にそこまで行かないということで、こういう数字であります。
 ただ、この死者数が125人以下となったら、世界の主要大都市の中で、人口当たりの交通事故死者数が最も少ないレベルの都市に東京がなるというとこで、これも東京を世界一とする一つの動きの方向になると思います。具体的なことを言いますと、高齢者の歩行中の死者が多いことから、速度規制などの生活道路対策や、「ゆとりシグナル」などの歩行者信号の高度化を図るということで、外国にもいろいろないい例があって、あと何秒ですよ、と出ますね、あれを見て歩くことができるのと、それから、生活道路は、時速30キロを超えるかどうかで非常に安全度が違ってきます。
 それで、私は自分の股関節を手術してわかったので、速く歩くなと言われるので、今は大分速く歩けていますが、そうすると、今までの気持ちで渡っていると、向こうに行かれない間に赤になってしまうということがあるので、そういう自分の体験から見ても、加齢に伴う身体機能の低下などを踏まえて、参加体験型の交通安全教育、それから、この前からやっています「ながら見守り」という、子供たちや高齢者を地域の方々が見守っていただくということを充実していきたい。
 そのほかにも、自転車、二輪車、それから飲酒運転の根絶、これを重点課題として対策をやっていきたいと思います。高齢者、それから、特に自転車。この前おっしゃっていただいたヘルメット着用ということ。それから二輪車のプロテクターとか、それから、酒を飲んだら乗るな、ということであります。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)
 次に、「改定自転車安全利用推進計画」をまとめました。これは平成26年に、「東京都自転車安全利用条例」に基づき策定した計画を、先ほど紹介しました「第10次計画」の策定に合わせて、変えるということです。どういう取組をやるかというと、亡くなった人の7割が頭部損傷ということで、「ヘルメットをちゃんと着けてください」と。それから、街頭で、自転車利用者に啓発指導する自転車安全利用指導員を導入する。これは、制服を着た指導員が、マナー違反して、相当赤信号なのに無視して走っている自転車がいるので、そういうことをちゃんと指導する。
 それから、事故数の減少に向けた取組の強化として、子供たちは学校でいろいろとそういう教育をやるのですけれども、成人層というのは交通安全教育の受講機会が少なくて、せいぜい免許更新のときにやるぐらいなので、それを、一般事業者によって、つまり、会社で会社の従業員に対してやってもらうというようなことを入れたいというふうに思っております。こういう内容の中間案につきまして、今日からパブリックコメントを募集いたします。それで、いただいた意見や、第1回定例会における都議会での議論もありますので、そういうものを踏まえた上で計画を策定したいと思っています。
 この件の詳細につきましては、青少年・治安対策本部の方に聞いていただきたいと思います。
 ちなみに、主要都市と我々が世界中と競争しているのですけれども、死者数の比較を、10万人当たりで30日以内の死者数の直近の数字で言うと、ロンドンが1.51人、ニューヨークが2.92人、パリが1.71人。それから、東京が1.58人で、ロンドンに0.07人負けているのです。今、世界一の順番に言った。ロンドンが世界一、ニューヨークが2位、3位がパリ、東京は4位というランキングなのですけれども、直近の死者の比率から言うと、ロンドンがやはり一番いい。2番が東京、3番がパリ、ニューヨークは一番悪いとなっていますので、これを是非トップに、一番良くしたいということであります。それが自転車の安全と交通安全ということであります。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

2 「東京都における情報通信施策の展開に向けた現状・課題と今後の方向性(素案)」について

【知事】2番目は、先端技術の話です。これは東京都の今後のICT政策の指針となります「東京都における情報通信施策の展開に向けた現状・課題と今後の方向性」の素案をまとめましたので、お知らせをいたします。
 ICTの進歩は非常に著しくて、多言語翻訳や農業分野など、さまざまな分野でICTやロボットが活用されておりますけれども、日常生活や外国人の滞在環境の向上に大きく貢献しております。昨日の防災訓練でも、日本語で言ったら英語で出てくるというメガホンとか、アンドロイドの観光案内のお嬢さんとかありますし、多言語での同時通訳アプリとか、そういうものがございます。
 またICTは2020年東京大会の開催に向けてさらに進歩のスピードが加速することが見込まれております。こうした技術革新の流れをつかんで利活用しようということでありまして、ただ、問題は、経費が非常にかかるということ。それから、せっかく入れてもどんどん陳腐化して、スマホやパソコンを見てもそうなのだけれど、入れたと思ったらすぐ古くなると、そういうことがあります。それから、サイバーセキュリティーを含めて、セキュリティーの問題もありますので、セキュリティー対策です。
 そこで都は長期ビジョンに掲げたさまざまな取組にICTを効果的に利活用していくための指針を設けることといたしました。指針には、ICTを「有効」に使う、そしてまた「適切」に使う、さらに「安全」に使うと、こういう留意点などが示してあります。
 今回の素案では、こうした理念に加えて、具体的な取組としまして、幾つかの技術につきまして、「東京都版ICT導入・利活用モデル」をまとめました。例えばデジタルサイネージ、都庁の玄関に大きなものが今できました。さまざまな場所にこういうものを置いているのですけれども、送受信の仕組みが統一されてないということで、即時に一斉情報の発信ができないので、これは統一する必要があるのではないかと。ここは出るのだけれど、別の所は出ない。だから、一斉に発信して、全部都民に一気に行けるようにする必要がある。
 こうした課題を解消するために、デジタルサイネージの端末についての「東京都版共通仕様」を作って、今後はこれに基づいた整備を進めて、一斉に情報発信できるようにしたい。
 それから、今後、国や民間団体とも連携して、先ほど言った「有効」、「適切」、「安全」という形でICTを取り入れて、成熟都市をさらに目指していく。
 今回まとめましたこの素案につきまして、これも同様に今日から来月8日までパブリックコメントを実施しますので、是非幅広くご意見をいただければと思っております。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

3 「東京の観光振興を考える有識者会議」の開催について

【知事】3点目は観光に関する話でございます。「東京の観光振興を考える有識者会議」の開催についてお知らせをいたします。観光を一大産業にしようということで、「東京都観光産業振興アクションプログラム(仮称)」を来年度を目途に策定をします。この観光のアクションプログラムの策定に向けて議論をしようということで、この1回目の議論を2月16日(火曜日)に、1週間後ですけれども、開催をいたします。観光政策に関する専門家、それから関連事業の経営者、情報サービス、音楽、芸能、照明デザイナーなど、すごい人たちがメンバーになってくださいまして、初回は14名の委員の方が参加してくださいます。
 このような私が出る大きな会議で、いろいろな検討会議がありますけれども、みんなすばらしいタレントを持った人が来られるので、1人のしゃべる時間が短くなって、もう少し聞きたいなと思うのですけれど、2時間、3時間とやるのだけれど、少しもったいないなという気がしますので、今回はあえて14人おられるのだけれど、テーマを最初三つに絞るということで、私がしょっちゅう言っている三つなのですけれど、まず「水辺」、水辺をどうするか、これが1つ。それから、「ライトアップ」。これはロンドン、ニューヨーク、パリとかと比べて東京は劣っているというのは、ライトアップ、夜の街が明るくないという、これが二つ目。それから、民泊の話がありますから、宿が足りないという、「宿泊」の話。この三つをまず議論の俎上にのぼらせたいと思っております。
 15名おられますから、5回程度開催する予定なので、3つずつテーマやれば、プレゼンターを1人決めて、その方が「ライトアップ」であれば「ライトアップ」の専門家がやると、「水辺」の専門家が話をする、あとみんな議論をする、私ももちろん入ってやりますけれど、そこでこういう議論を5回ぐらいやって、5月を目途にこの方向性を示す素案を公表して、その後も議論重ねて、11月ぐらいに中間まとめをやりたい。そして、年度内にアクションプログラムを公表して、これで一気に観光を一大産業にしていく。この点の詳細は産業労働局に聞いていただきたいと思っております。
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

質疑応答

【記者】幹事社、朝日新聞の吉浜です。幹事社から質問は3点あります。1点目は、先ほど、冒頭でお話がありました「改定自転車安全利用推進計画」。少し聞かせていただきますが、今回出ていましたけれど、やはり成人層の教育というか、啓発というのは足りないなと思っていたところで、取り組まれるということなのですが、具体的には、どのようなことを成人層に学んでほしいということ。

【知事】いろいろあるのですけれども、自転車を買いに行きます、自転車屋さんとか、いろいろなところに。そのときに、今から作ろうと思っているのですが、自転車の販売店に協力をしてもらって、例えば吉浜さんが自転車を買ったときに、1枚紙でリスト表をお渡しする。それで、「ちゃんとヘルメットを購入していますか」「きちんとタイヤの空気が入っているかチェックしていますか」「ベルが鳴るようになっていますか」「バッテリーはどうですか」というようなことをチェックリストで一応説明している。そうすると、買うときに警察に登録するではないですか、盗難防止に、500円ぐらい出して。あのような感じで、「どうぞ、これを見てください」ということで必ず渡す。そうすると自分で、「あ、そうだ、私はまだヘルメットを買っていなかったわね」と。ついでにそこでヘルメットが売っていたら買ってもらえるということになるからお店もいいのかもしれない。一つは、自転車の販売店に協力してもらって今のようなことをやりたい。
 それで、先ほども少し言ったのですけれども、なかなか会社勤めをしていて、免許更新でもなければ、車の安全にしてもやらないので、企業の皆さんにお願いをして、企業内で研修をしてもらう。それはいろいろ私たちもお手伝いをして、おそらく自転車で通勤をしている社員が1人や2人は必ずいると思うので、その人たちは自分が経験していますから、そういう人にその会社の自転車のリーダーになってもらって、実際に実験してもらうとか、企業内でやる。やはりヘルメットがあるということは非常に安全なので、そういう取組を成人層向けにはやりたいと思っています。先ほどの計画の中で、販売時における啓発と、会社に従業員やってもらうと、そういうことをやっていきたいと思っています。

【記者】関連してもう1点なのですけれども自転車推奨ルートなのですけれども、一部整備されているとは思うのですけれど、車がルートの上に停まったりしていて、やはり車のマナーというところを啓発するというのが重要なのかなと思ったりするのですが、その辺は何か考えていますか。

【知事】私もよく自転車に乗るので、全く同じ感想で、腹立ってしょうがないのは、せっかく自転車レーンを走っているのに、車道に出るか、歩道に乗り上げないといけなくなっているので、これは警察にも徹底して取り締まりをやってもらわないと、自転車レーンの意味がないのです。ただ、そう言うと、「いや、ちょっと荷物の積みおろしでトラック停めていたので、これはこれで商売で困ります」というようなこともあるので、そういう調整をやる必要があるのだけれど、これはやはり車の方もしっかりマナーを守ってもらわないとだめなので、そういうことを含めて全体的に対策とりたいと思っています。

【記者】2点目なのですが、観光の有識者会議についてです。テーマ3つに分けて。

【知事】とりあえずは。

【記者】お話聞くということですけれど、知事の目指す会議の狙いというところをもう一度お聞かせいただけたらと思います。

【知事】メンバーにはそうそうたる方々が入っておられるので、とりあえず3つのテーマを。例えば、観光ですからいろいろな要素があるのだけれども、ミシュランガイドで星をつけています。あの会長さんが来られます。東京には、三つ星のレストランが13あるのです。「パリは9つしかない」と威張って言っていたら、昨日誰かフランス人に会ったら「1個増えた」と言っていました。いずれにしても、どういう理由で星をつけるのかというようなことが聞ける。それから、今活躍されているデービッド・アトキンソンさん、隠れた日本の文化を表に出そうということでやっています。それから、照明デザイナーの石井リーサ明理さん、彼女はもう世界的に活躍しています。このような方々とか、星野リゾートの代表の星野さんとか、ぴあの矢内さんとか、HISの澤田さんとか、ぐるなびの滝さんとか、皆さんがよく知っておられるような方々をメンバーにしております。まず当面は、水の都、東京ということを言っているので、水をどう生かすかということをやりたいのと、それから夜のエンターテインメントがないという話をいつもしているのですけれど、世界の都市間競争で東京が最悪というのは、一番負けているのはライトアップがないという、だから、ライトアップをやる。例えば隅田川で船を浮かべて、その上でおいしいものを食べながら両国橋のたもとで花火を見るというのは、浮世絵でも描かれているわけです。そういうすばらしい最高のぜいたくを江戸の人がやっていたのに、今の東京はそれを超えるものがありますかといったときに、超えるものをやろうとすると、私がやりたいのは、隅田川の橋があって、今度、築地大橋ができます。例えば橋のライトアップの色を変えたら、それで一発で分かるわけです。セーヌ川でもどこでも、夜、橋のライトアップをしています。真っ暗です、東京は。これではだめ。例えば、晩ご飯は別に陸の上で食べる必要はないので、一番楽しいご飯というのはナイトクルーズなのです。東京湾の夜景を眺めながら、ボーイフレンドと2人でおいしいご飯を、ワインを掲げながら食べる。目の前を見たときにすばらしいこの東京湾の景色とレインボーブリッジに五輪の輪がかかって輝いている。最高にロマンチックではないですか。それをやりたいと言ったら、船が出せないという、暗過ぎてだめだと。それなら明るくすればいいではないかと。やはり最高のデートスポットにするというのが世界一の観光地につながるので、あまりないです、デートスポットは。私はデートばかりやっているわけではないのだけれども。そういうイメージを描いています。そうそうたる方々が快くお引き受けいただいたので、きっといい会議ができると思います。

【記者】最後の1点なのですが、本日、就任2年になると思いますけれども、この2年を振り返って、首都の知事として、できたこと、できなかったことというのをそれぞれ、お考えがありましたらお願いします。

【知事】それを言い出すと1時間ぐらいかかるので、簡単に、簡単にでもないか。一生懸命やってきましたけれど、1人の人間のやれることには限りがありますので、特にオリンピック・パラリンピックを抱えていますから、それがないときとはまた違う東京の都市のマネジメントがあると思います。だから、そういうことをやってきましたけれども、どれができた、どれができないということではなくて、一応長期ビジョンも作り、今グランドデザインを作っているので、計画をきちんと作って、それに基づいて着実にやっていくという手法はやってきたつもりなので、今後もそういう形で続けたいと思います。
 細かくは朝日新聞のインタビューをお読みいただけばという形で、是非インタビューをよろしくお願いいたします。

【記者】日本テレビの久野村です。先ほどの就任2年の関連で、4年というスパンで見ると折り返し地点なのですけれども、今後2年で特に力を入れていきたいことを教えてください。

【知事】やはり国家的なイベントがあるので、2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会、そして、その前のラグビーワールドカップ、これは絶対に成功させないといけないので、そのための基盤をしっかり作るということです。
 それから、やはり経済がよく、福祉がしっかり充実しているということが、東京に住んでいて良かったと思うことなので、そういう生活に根差したところを忘れないようにしっかりやっていくということで、基本的にこの過去2年間やってきた方針は間違っていなかったと思っておりますし、引き続きさらに加速化させて、今のような方針を確実なものにしていきたいと思っています。

【記者】日本経済新聞の舘野です。先日もお伺いしましたけれども、マイナス金利の関係で、今日、10年物国債が初めてマイナス金利に突入しまして、先日の政策決定からの市況の推移も含めて、受けとめを改めてお願いいたします。

【知事】基本的な私の経済学というのは、私はインフレターゲット論者であるし、マネタリストであるわけですから、こういう形でできるだけの政策を動員するということには賛成です。ですから、5対4で分かれましたけれど、仮に私が日銀の政策委員だったら私は賛成に回っています。
 しかし、ものすごい劇薬であることは確かなので、副作用をどうやって起こさないかということで、先般も申し上げましたように、銀行の収益をどうするのかということがあります。最終的にはマネタリーベース、ベースマネーを増やしていく。今、青天井に増えていくので、ここから先は金融政策のみの動員では限界がある。したがって、個人消費をどうやって促進していくのか。一番簡単な例を言うと、いつも申し上げておりますように、日本のGDPの6割の300兆円というのは個人消費ですから、個人消費が伸びないとだめ。皆さん方にお伺いしますけれど、特に皆さん方より私の世代に聞いた方がいいのだけれど、なぜ個人消費をしないのですかと。いろいろなものを、テレビも車もあるから買う物はありませんと言うなら、我々が買いたいもの、消費したいものを作るしかないので、そうすると、旅に行きたいと、もう少し気軽に旅行に行けること、物は持っているから旅というサービスがほしい、それから2020年があるから英会話教室をちゃんとやってくれないかと、これならお金を出すということを、供給側の企業がそういうサービス及びグッズ・アンド・サービスの提供ができるか。
 それからもっと言うと、「そんなこと言っても、年金がどんどん減っているね」「介護保険料上がっているね」「貯蓄しておかなきゃ、年金だけでは食べていけなくなるではないか」と。いつ死ぬか分からないから心配なのではないのです。いつまで生き続けるか分からないから心配なのです。大体もう私の年になったら、昔だったらみんな死んでいるのだけれど、80歳、90歳まで生きられるので、そうするといつまで生き続けるか分からないけれど、どれだけ貯蓄を持っておかないといけないかと思ってしまうわけです。これでは消費をストップすることになるでしょう。そうすると、「どうぞ安心して使っていいですよ、社会保障をしっかりやりますよ」ということが消費の刺激になる。
 だから、金融政策とは違って、社会保障政策で今言ったことは、それから産業政策で横からサポートしない限りは、金融政策で回るものは限られているということなので、総合的な政策をやって、どんなことをしてもデフレから脱却をということをやらないといけないので、金融当局のやり方としては、私は間違っていないと思うのです。
 ただ、金融だけに限って言ったときに、先般申し上げたように、銀行が収益を悪化させるということは、つまり貸し出したとしても誰も儲からないなら、住宅ローンが下がってきているでしょう、下がればいいというものではなくて、「もうしょうがない、貸すものか」と、あれは当座貯金の話ですから、一般の国民ないし企業に対しての融資ということが減っていけば、アブ蜂取らずになってしまう。だから、そういうマイナス面が起きてこないように、金融政策と、金融政策の中だけでも相当注意をしないといけないので、まだ少し株価の乱高下とかいろいろなことが続いているし、株価について言うと、中国経済とか中東情勢とか、北朝鮮がまたミサイルを撃ったりとかいうこともあるので、いろいろな要因があると思いますけれども、非常に劇薬を使ったので、いつどういう形で終わらせるのか、そのことの見通しを相当持って日銀総裁は勝負に出たわけですから、この勝負で失敗してはならないなと、そうに思っています。だから、いろいろな議論が必要なときには、これはもう大変な状況であることは確かなので、金融関係の人ともそういう話はしたいと思っています。

(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)


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