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舛添前知事「知事の部屋」

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記者会見

平成28年6月6日更新

舛添知事記者会見
平成28年6月6日(月曜)
16時00分~17時08分

知事冒頭発言

1 政治資金等に関する調査報告について

【知事】本日は、急なご連絡にも関わらず、お集まりいただきましてありがとうございます。このたびは、私の政治資金などにつきまして、様々なご指摘を頂き、都民の皆様をはじめ多くの方々にご心配をおかけしていることを心からお詫び申し上げます。また、都庁に多数の苦情のお電話を頂くなどして、都庁職員の皆様にも多大なご迷惑をおかけしていることも心からお詫びを申し上げます。
 お願いしておりました第三者による調査が終了し、昨日、その報告書を頂きました。先ほど、議長招集の会議におきまして、議長さんたちに調査報告書を提出し、その概要を説明してまいりました。そしてこの記者会見では、調査していただいた弁護士の先生方から調査結果の内容をご報告いただき、その後に私からお話をさせていただきます。
 まず、調査をしていただいた弁護士さんをご紹介いたします。佐々木善三先生、森本哲也先生です。まず、佐々木弁護士は、既にマスコミの皆様もご存じの方が多いと思いますが、仙台と水戸の地方検察庁検事正、そして東京地検特捜部で副部長を歴任されるなど、検事としてのご経歴はもとより特捜部時代には多くの政界疑獄事件を捜査され、政治資金の実務に精通されている方であります。弁護士になられてからは多くの企業団体の第三者委員会のメンバーとしても活躍をされておられます。次に、森本弁護士は、弁護士に登録された後、アメリカやヨーロッパの大学に留学され、その後、検事に任官し、埼玉地検特別刑事部時代には財政経済関係を担当するなど、政治資金の実務にも精通されております。
 この問題が生じましてから、当初は私自身が知っている事柄などでもありましたことから、事務所などに事実関係を調査させ、私自身からご説明をさせていただいておりました。しかし、身内による調査では納得できないというご意見がありました。また、報道などで私が知事に就任する前の国会議員時代の政治団体などへの支出につきましても、疑問を指摘されるなど、相当な過去に遡り、多岐にわたる事実を調査し、報告しなければならなくなりました。そして、ご指摘の内容は、主に政治資金に関わることでもありました。
 そこで、この際、私や私の事務所関係者とは全く無縁の第三者の方に調査をしていただこうと、そして、できれば政治資金の実務に精通した法曹の方にお願いしようということになりました。私も、知人や友人に多くの弁護士さんがおられますけれども、今回は、第三者の目で客観的に見ていただくことが肝心でありますので、そのような友人、知人を通じて候補者を上げていただき、その中からこの調査をお引き受けいただける弁護士の方にお願いをいたしました。したがいまして、私は今回の調査で直接ヒアリングを受けるまで、お二人の先生方とは面識もありませんでした。
 このように報道が先行している中では冷静な調査ができないなどとの理由から、ご紹介いただいた何人かの弁護士さんたちに断られました。そのような厳しい中で、このお二人の弁護士さんには調査をお引き受けいただくことをご了解いただきまして、心から感謝を申し上げます。このようなことから、第三者の弁護士さんを選任するまで、多少の時間がかかってしまったことをご容赦いただければと思います。また、第三者が決定した際に、調査が終了するまでの間は弁護士さんの氏名等は公表できないとお話しさせていただきました。私といたしましては、この都議会の中で、都民の皆様方にご説明しなければならないと、そういう思いから弁護士の先生方に何としても都議会の審議に間に合うように調査をしていただきたいとお願いした次第であります。
 このような時間的制約のある中で、集中的に調査をしていただくための条件として、先生方から「調査が終了するまでは調査に集中をしたいので、氏名等の公表は差し控えさせていただきたい」というご要望がございましたので、そのようにさせていただきました。
 そして昨日、調査が終了し、報告書をお届けいただいたことから、明日の代表質問に間に合わせるべく、本日、急ではありますが、こうしてご説明をさせていただくことにいたしました。
 先ほど、まずは都議会の皆様方に報告書の内容をご説明いたしました。そして、これから調査結果について、調査していただいた弁護士さんから説明していただきたいと思います。それでは、先生方、よろしくお願い申し上げます。

【佐々木弁護士】それでは、弁護士の佐々木の方から調査結果についてご報告いたします。まず、皆さんのお手元に報告書があると思いますが、1ページの第2のところを見ていただきたいのですが、調査の方法としまして、資料が残存している平成21年以降、収支報告書が公表されている平成26年までを対象期間として調査をいたしました。必要に応じまして、平成20年以前、あるいは平成27年のことについても調査をしております。
 次に、調査の具体的な進め方ですけれども、これは、関係者のヒアリング、もちろんこの中には知事も含まれております。それから、関係者から資料の提出を受け、さらには、私と森本弁護士とで自分たちで調査できるところは調査したりもして、調査を行っております。
 調査結果につきまして、ご報告いたします。2ページを見ていただきたいのですが、政党交付金についてでありますけれども、3ページ真ん中のところに(2)調査結果が記載してあります。自由民主党支部に関するものでありますが、自由民主党支部から舛添氏本人に寄付された資金、これは資金の使途を調査しました結果、舛添氏の選挙運動費用に充てられておりまして、適法、適切であると判断いたしました。それから、新党改革支部に関するものでありますが、新党改革支部から舛添氏の政治団体でありますグローバルネットワーク研究会及び舛添要一後援会になされました各寄付は各政治団体の経常経費及び政治活動費に充てられておりまして、この中には物品購入、宿泊、飲食代金に充てられたものがあります。それらにつきましては、追ってご説明いたします。
 今回の問題点といたしまして、5ページのイのところ、上から10行目ぐらいのところにイというのがありますけれども、新党改革支部からグローバルネットワーク研究会及び舛添要一後援会に対する各寄付に係る支出は政党助成法には違反しておらず、それらの寄付は支部報告書等に記載されていることから、政党助成法の罰則規定の適用もないと。なお、平成26年1月に寄付がなされておりますが、これが解散直前の支出であり、特に1月31日の寄付は解散日当日の支出でありますことから、これらの寄付は新党改革支部における支部政党交付金の残余金の返還を免れるための処理だったのではないかというご指摘を受けております。しかし、政党交付金の使途に関する制限がない以上、同支部の解散前に支出された寄付が違法性を帯びることはありません。
 次に、事務所賃料について申し上げます。6ページをご覧いただきたいのですが、6ページのイのところをご覧いただきますと、各政治団体の賃料支払い状況が記載してございます。これらを見ますと、各政治団体から株式会社舛添政治経済研究所に支払われました賃料の月額は、常に44万2500円であります。
 この賃料額が高過ぎるのではないかというご指摘がなされております。それに関する説明が7ページのウのところであります。舛添政治経済研究所は、賃料額の決定に当たりまして横浜市内の会計事務所に相当な賃料額は幾らかという算出を依頼しまして、その結果が記載してあるのが、その次の表であります。賃料本体とその他のものに分かれておりまして、それらを合計して44万2500円となっておりますが、賃料本体の合計額は29万2000円であります。賃料の相場が大体30万円程度、もう少し高いかというくらいと言われておりますので、そういう意味では、この金額は賃料の相場とされている金額と比較して割高とは言えない金額であります。
 次に、賃料の二重支払いなどがなされていたのではないかという指摘についてでありますけれども、これにつきましては、かなり細かい説明になりますので、報告文を後でお読みいただければよろしいかと思いますが、二重支払いというようなことは、結果的には全くないということで確認できております。
 次に、宿泊費、飲食費でありますが、これにつきましては後で森本弁護士がまとめてご説明をいたします。
 次に、自動車の購入であります。自動車の購入につきまして、11ページの真ん中ぐらいに「以上述べたとおりであり」と、始まる文章がありますが、新党改革支部が購入したトヨタ・エスティマが湘南ナンバーで登録されていた事実はありません。そして、それが専ら湯河原の別荘で使用されていたという事実もありません。これは舛添政治経済研究所が、平成18年にトヨタ・エスティマを別に購入しておりまして、その登録番号が湘南ナンバーでありまして、それと誤解されたものと認められます。
 次に、書籍の購入についてご説明いたします。書籍につきましては、政治団体が購入した書籍、これを全て網羅はできませんでしたけれども、こちらの方で書名が確認できたものにつきましては一覧表に記載してございます。これを見ていただいても明らかなように、政治関係の資料が大半でありますが、この表は後でご覧いただきたいと思います。
 33ページをご覧ください。問題となり得る書籍についての検討であります。美術書・美術展カタログの購入でありますが、舛添氏は議員外交、首都外交などを遂行するに当たって政治家の素養として日本や西洋の絵画に関する知識が必要であると考えております。同氏は特に、同氏が得意とするヨーロッパにおいては、文化芸術を共通の話題とするところから、政治家同士の人間関係を深める要素として重要であると考えており、その知識習得の一環として、美術書・美術展カタログを購入しているとのことであります。後で絵画等についても説明しますけれども、舛添氏は、これらの知識を政治活動に生かしているということもありますので、それらを購入するために政治資金を支出したことをもって不適切とも言えないし、もちろん、違法とも言えないという結論にしております。
 次に、34ページ、(ウ)のところを見ていただきたいのですが、平成21年に購入した時代小説・ミステリー小説というのがあります。具体的な図書名はここに記載してあるとおりですので、後でご確認いただきたいと思います。この点につきまして、舛添氏は、江戸時代の風俗研究のために時代小説を購入していたというようなことをおっしゃっておりまして、この説明に合理性がないとまでは言えないものの、娯楽性の強い小説でありますことから、政治資金を用いてこれらの小説を購入したことが適切であったとは言いがたいと考えております。もちろん、違法ではありませんが、そういう結論であります。
 それから、平成23年10月に福岡県内の書店で購入した書籍、この中には「クレヨンしんちゃん」が含まれておりますが、舛添氏は、これにつきまして、従来、マスコミ等で説明しておられるような説明をしています。我々としましても、舛添氏の説明をよく聞きましたけれども、それを前提としても、これらの図書が政治団体及び舛添氏の蔵書目録には記載されていないこと、それから、舛添氏は平成23年10月8日から9日にかけての福岡県出張に家族を同伴しておりまして、その際にこれらの図書が購入されていることから、家族のために購入したものと見られてもやむを得ないというような点を考慮いたしますと、政治資金を用いてこれらの図書を購入したことが適切であったとは言いがたいという結論であります。もちろん、違法ではありません。
 次に、絵画・版画等の美術品の購入でありますが、舛添氏はこれらの絵画・版画を購入した理由につきまして、ここに4点掲げてありますが、第1点としまして、海外では政治家の素養の一つとして絵画・版画等の芸術に関する知識・理解を有することが挙げられていると。
 それから、2番目としまして、世界の都市の分野別ランキングによれば、東京は文化・歴史・伝統への接触機会で先進国の主要都市に比べて低いランクになっており、それを変えていかなければいけないと。
 それから(3)(※丸付き数字の3)としまして、皆さん、ご承知かどうか分かりませんけれども、「展覧会における美術品損害の補償に関する法律」というのがあります。この法律は、資金の少ない公立の美術館や小規模美術館にとっては有用な制度であると思われますけれども、これの制定に尽力をしているということが挙げられます。これも、美術館を訪れたりして絵画・版画に対する理解を深めていることによって、こういうふうな尽力ができたと。
 それから4番目、購入した絵画・版画等の一部を東京都庁の知事の執務室、応接室、それに接続する廊下などに展示しておりまして、それらの絵画・版画等を海外の要人との話題作りにも活用しているということで、この状況を撮影した写真等も確認をいたしました。
 舛添氏の説明には首肯できるものがありまして、納得できるものがありまして、絵画・版画等を購入することが政治活動と関わりがないとは言えないとは考えました。しかし、舛添氏が政治団体の資金で購入した絵画・版画等の点数はあまりにも多過ぎる、比較的安価な作品が多いとはいうものの、合計金額も多過ぎるというようなことを検討いたしまして、政治資金の使途に法律上の制限がないことから、違法ではないものの、政治資金の支出としては不適切であったというほかはないという結論を出しております。
 次に、残された問題としまして37ページの(3)をご覧いただきたいのですが、新党改革支部およびグローバルネットワーク研究会が既に解散しております。そうすると、これらの政治団体が購入した絵画がどうなったのかと、舛添氏個人がこれを所有しているのではないかというような問題があります。この問題につきまして、舛添氏は、「この二つの政治団体が解散した現在となっては、全て別の政治団体である泰山会が所有しているというのが自分の認識で、それらが個人の所有だと認識したことはない」と述べております。ただし、「所有関係が不明瞭になっていることは否定できない」と。今後それらの所有関係を明確にするとともに、政治資金を用いて購入した版画・絵画を私物化したとの批判を招かないような措置を講じていく必要があるだろうとは思えると考えております。この点につきまして舛添氏に確認いたしましたところ、舛添氏ご自身も「そのような批判を招かないように適切な措置を講じていきたい」と。「私物化したと言われないようにきちんとした措置を講じる」と言っております。
 次に、「書」の購入につきましてご説明いたしますと、最初に、購入した「書」の目録といいますか内容が表で記載してありますが、39ページ(3)調査検討結果を見ていただきたいと思います。舛添氏は書道を趣味としているが、他方においてそれを政治活動にも生かしておりまして、舛添氏の書道というのは趣味と政治家としての実利実益を兼ね備えていると考えられます。明治時代の政治家など、それから書家、中国の政治家らの「書」を購入しているのは、点数、金額ともに多過ぎる感は否めません。ただし、自己の書道の参考とする意味も有しておりますので、そのような「書」の購入は、政治活動とは関わりがあると言えると判断いたしました。よって、「書」に関しましては、不適切とも言えないし、違法でもないと判断をしております。
 次に、書道用品や落款印等の購入でありますが、舛添氏は、今申し上げましたように、書道を趣味としておられまして、40ページの最後の下の方の文章のところを見ていただきたいのですが、舛添雙光(そうこう)の雅号を用いて書をしたためております。この雅号を用いた「書」も確認しておりますが、そして、それを政治活動にも舛添氏は生かしていると認められます。
 例えば、中国の要人とともにお互いに色紙に文字をしたためて落款印を押して、その絵が公式の施設に掲げられたりもしております。そのほかにも訪日した中国の要人、学生らに孫文などの「書」を見せながら歓談したりもしておりまして、これらの状況の写真もあります。
 それから、舛添氏は、築地大橋という橋がございますけれども、そこの親柱の「つきじおおはし」の文字も揮毫をしております。このように書道用品とか落款印等は、一面においては趣味であるものの一面においては、政治活動に役立っているということで、それらの書道用品、落款印を購入するために政治資金を使ったからといって不適切とも言えないし、違法でもないと考えております。
 次に、額縁等の購入でありますが、42ページに記載してありますが、絵画や版画等の購入が不適切であるとしても額縁の購入が、ただちに不適切であるとは言えないということで、直ちに不適切とは言えないものの、妥当性は相当に低いと言わざるを得ないが、違法ではないという、こういう結論であります。
 次に、舛添氏の似顔絵入りの饅頭の購入でありますが、この饅頭は、政治資金パーティーの出席者に記念品として配られたもの、それから、舛添氏と付き合いのある会社が購入を希望したために、グローバルネットワーク研究会、泰山会が購入した上で、その会社に売却したもの、それから、外国の要人、親しい国会議員、福岡県内の友人らに記念品として渡したものなどがありまして、これらを見ますと政治資金を用いて、これを購入したことについては違法でもないし、不適切とも言えないという結論であります。
 次に、神奈川県湯河原町内の商業店舗での物品購入であります。44ページに、その購入した店舗と購入した物品が書いてありますが、最後の44ページの下から2行目から結論文が書いてありますけれども、舛添氏は、湯河原町内の総合ディスカウントストア、これは、商店名などは出しておりませんが、いずれにしても、皆さんご承知のような店舗ですけれども、東京都内よりも2、3割安い価格で場合によっては半額程度の価格で商品が販売されており、東京で購入できるが、割安で購入できることから経費節約のためにそういった店舗で文房具や茶葉や飲料、その他いろいろなものを、日用品をまとめて購入していたということであります。これらの日用品を議員会館の事務所や政治団体事務所に持ち帰って使用していたとのことでありまして、秘書からも同様の説明を受けております。
 これらの商業店舗で購入した商品の中には、「下着やパジャマなども含まれていることは事実だ」と舛添氏は言っております。ただし、「それらの購入資金は、政治資金からは支出しておらず、家計から支出しており、公私混同はしていない」と言っておりまして、秘書からも同様の説明を受けました。
 なお、このことを直接的に裏付けているとは言えませんが、舛添政治経済研究所の帳簿を見ますと、湯河原町の商業店舗から多数の消耗品等を購入しておりますので、調査の結果の整理としては、この湯河原町内の店舗では、政治団体が使うもの、それから会社が使うもの、それから個人が使うものを購入しているけれども、それぞれ分けて支出がなされていると、そういうふうに考えております。
 次に、その他の物品の購入でありますが、45ページから記載してありまして、46ページ以下に表があります。この中で、ICレコーダー、それからノートパソコン等がありますが、それらについては省略いたしまして、平成22年9月4日、9月5日、9月7日、これは海外の店舗での購入。
 それから11番、空港内の物品販売店、上海での購入、13万9000円余り、これがあります。
 それから、31番、ブランド品販売店でバッグを購入しております。これらについて説明をいたします。まず、23年3月12日に上海で購入した物品、これは東日本大震災の翌日でありますが、この領収書に服装と記載されております。その金額が13万9178円と多額でありますことから、それが何かということでありますが、舛添氏に確認いたしましたところ、その購入物品は、シルクの男性用中国服2着、合計価格3万5000円程度、筆、硯、墨などの書道用品ということでありました。同行した秘書は、ヒアリングの際に、「領収書にきちんと書いてもらおうと思ったけれども、大震災の翌日で欠航便が多くて、ようやく座席を確保した飛行機の出発時刻が迫っていたために服装とのみ記載された領収書になってしまった」という説明をしております。
 ところで、このシルクの中国服というのは何なのかということを舛添氏に確認しましたところ、「書道の際に着用すると筆をスムーズに滑らせることができるため」ということでありまして、実際に、どういう点がスムーズなのかということを実際に行為で示していただいたところ、それについては、非常に説得力がある具体的なものであったということです。
 なお、中国服、これが当日購入されたものかどうかは分かりませんけれども、舛添氏の持っている中国服が墨汁で汚れていることも確認できております。
 書道につきましては、一面においては、舛添氏の趣味ではありますけれども、それが政治活動にも役立っているものと認められますから、これに政治資金を使用したからといって不適切とは言えず、違法でもないと考えております。
 次に、番号4、5、6の物品でありますが、これにつきましては、舛添氏が必ずしも明確な記憶を有しておりませんでしたので、私たちとしましては、政治資金の支出としては、不適切であったと判断せざるを得ませんでしたので、収支報告書の訂正なども含めた是正措置が必要であるというふうに考えております。
 それから、番号31のブランド品販売店におけるバッグの購入について一言申し上げますと、48ページの小文字のaのところに番号31のバッグというのが書いてありますが、この番号31のバッグは、ヒアリングの際に舛添氏が持参しておりまして、重要なメモとか書類を折りたたんで収納しておりました。セカンドバッグではありますけれども、そういうふうな用途に用いているということであり、これは執務のために必要な物品と確認しております。
 次に、政治資金以外の問題ということで、公用車の使用問題、美術館の視察問題についても公私混同に当たるか否かを判断するように依頼されました。しかし、これらの事柄についての調査、検討は法令の解釈適用というよりも、知事の行為の当否という政治的な問題でありまして、私たちが判断を述べる立場にはないということで、ただし一般論としてということでここに記載してあります。これは、皆さんが大体考えるようなことだと思いますので、説明は省略いたしたいと思います。
 それでは、次に森本から宿泊と飲食について、ご説明いたします。

【森本弁護士】それでは、森本から宿泊、飲食の順に説明させていただきます。
 宿泊と飲食につきましては、皆さんのお手元にある報告書の末尾の別表に詳細に記載してありますので、それをよく読んでいただければと思うのですが、ここではかいつまんで、概略を説明させていただきます。
 まず、宿泊です。現在、大きく報道されている千葉県木更津市のホテルでの宿泊も含めて、合計6件について是正の必要性があると判断いたしました。ここでは、時間が限られておりますので、詳細には説明できませんが、この6件の不適切と判断したものについて説明させていただきます。
 別表1の項番4番、平成22年8月20日、下関市のホテルでございますが、これは、舛添氏は家族を同伴しております。この際、支援者である友人も合流しておりますので、支援者との会合という側面はございますが、主たる目的は家族旅行であったと解釈するのが合理的でございますので、政治資金を用いたことについては適切であったと認めることは困難だというのが結論でございます。
 続きまして、項番5、大阪市内のホテルでございます。これも舛添氏は家族同伴で大阪に赴いております。テレビ出演、支援者との会合等、それらの行事があったことからすれば、政治活動に無関係であるとはまでは言えません。しかしながら、家族同伴で行っていること、支援者との会合というものが娯楽施設で行われていたという事実に鑑みますと、主たる目的は家族旅行であった、と解するのが合理的でございますので、政治資金を用いたことは適切であったとは認められないという結論であります。
 続きまして、項番9でございます。横浜市のホテルでございます。これも、舛添氏が家族を同伴して平成23年1月1日から1月3日まで宿泊したものでございます。
 舛添氏の説明によりますと、宿泊期間中、神奈川県の政治家との会合を行ったとのことでございます。この説明を前提にすれば、政治活動と全く関係がないとはまでは言い切れません。しかし、客観的には、家族旅行期間中に短時間だけ他の政治家と意見交換等をしたということに過ぎず、全体として考察しますと、私的な宿泊であったと言わざるを得ないため、政治資金を用いたことは適切であったとは認められないという結論でございます。
 続きまして、項番16でございます。栃木県日光市の旅館での宿泊でございます。こちらも家族同伴で赴いておりますが、舛添氏の説明によりますと、日光市内にある美術館の館長から芸術家の展覧会に招待され、関係者とともにこの展覧会を鑑賞後、家族とともに旅館に宿泊した、というものでございます。
 この芸術家というのが、舛添氏が得意とする日仏交流、この観点から重要な人物であるという意味で、政治活動に無関係と断言することはできません。しかし、やはりほかの宿泊と同様に、主たる目的は家族旅行であったと解釈するのが合理的でございますので、政治資金を用いたことは適切であったとは認められないという結論でございます。
 続きまして、皆様が注目されている木更津市内のホテルでの宿泊でございます。平成25年1月1日から1月3日まで宿泊しておりますが、家族同伴でございます。
 舛添氏の説明によりますと、平成24年12月実施の第46回衆議院議員選挙で結果を出せなかったことを踏まえ、政治家としての今後について判断しなければならない状況に置かれていた。そのため、マスコミ等に注目されている中、宿泊期間中に付き合いが長い、かねてより、相談相手に乗ってもらっていた方に、この方は、出版会社社長、元新聞記者でございますが、その方を客室にお招きして、今後の政治家としてのあり方について相談をしたと舛添氏は説明しております。面談については、数時間程度であったとのことであります。
 この説明を踏まえますと、今回のこの宿泊ですが、政治活動に無関係であったとは言えません。しかしながら、ほかの宿泊と同様に、全体として見れば、家族旅行の間に数時間程度、政治的な会話をしたということで、家族旅行がメーンであると理解するほかなく、政治資金を用いたことが適切であったとは認められないという結論でございます。
 最後になりますが、項番18、こちらも木更津市内のホテルでの宿泊でございまして、平成26年1月1日から1月2日まで宿泊したものでございます。
 舛添氏から事情聴取したところ、前都知事の突然の辞職により、平成25年2月に実施されることになった都知事選に出馬すべきかどうかを検討している時期でありまして、先ほど説明した方と同様に、宿泊期間中に、先ほどの相談相手の方を客室に招き、出馬について相談したとのことでございます。面談は1時間程度であったとのことです。
 この説明内容を踏まえますと、政治活動にやはり無関係とはまでは言えませんが、全体として見ると、家族旅行であったと判断するのが合理的でございますので、政治資金を用いたことが適切であったとは認められないということでございます。
 続きまして、飲食でございます。こちらも大きく報道されている自宅や別荘近くでの飲食店での飲食の一部を含めて、合計14件について是正の必要性があると判断いたしました。また、大きく報道されておりました喫茶店での1万8000円の支出でございますが、これはコーヒー45杯分ではなく、一覧表に記載しましたとおり、早朝の勉強会として開催された政治資金パーティー、こちらの出席者や関係者に朝食として提供されたサンドイッチ代であったことが確認できております。
 飲食店につきましては、舛添氏と家族だけで利用する、舛添氏がご家族抜きで政治活動の一環として利用する、舛添氏と政界関係者や支援者が会食した際にご家族も同席する、こういったパターンがあります。このうち、ご家族抜きで政治活動の一環として利用したと認められる場合についてのみ、政治資金の使途として不適切ではないという判断をしております。
 時間の制約もございますので、是正の必要性があると判断された14件について、簡単に説明いたします。
 項番12、13、14、こちらは、理由については時間の関係がありますので、そちらを読んでいただければと思いますが、中華料理店、銀座のてんぷら料理店、それと自宅近くのてんぷら料理店の飲食について、この3つについては是正の必要があると判断しております。
 続きまして、項番でいいますと29番、大阪でのレストランの飲食でございますが、こちらは、先ほど宿泊でも出てきましたが、大阪出張の際の家族同伴の飲食と見るのが合理的ではないか、という判断で是正の必要があるという結論でございます。
 続きまして、項番45、46、47、この3つも是正の必要があると判断しております。いずれも別荘近くでの飲食でございます。
 続きまして、項番51、54、55、56、別荘近くの回転寿司、ご自宅近くのてんぷら料理店、イタリア料理店につきまして是正の必要があるという結論でございます。このうち、幾つかにつきましては、既に舛添氏のほうで返金を表明しているものでございます。
 続きまして、59と61、こちらについても是正の必要性があると判断しております。いずれも自宅近くのてんぷら料理店でございます。
 最後になりますが、項番64、ご自宅近くのイタリアレストランでございます。こちらについても是正の必要があるという結論でございます。具体的な理由、検討結果につきましては、別表に詳細に記載してありますので、そちらをご覧ください。
 以上でございます。

【知事】先生方、どうもありがとうございました。極めて短時間の中で、60ページを超えますこの調査結果報告書をおまとめいただきましたことに、心から感謝申し上げます。
 「違法な点についてはない」との結果を聞きましたけれども、他方で、公私の区別が曖昧な支出があって、不適切であるとの厳しいご指摘をいただいた点を大変恐縮をいたしております。
 振り返ってみますと、私が国会議員として自民党に所属していた時代には、税金を原資とします、いわゆる政党助成金につきましては、自民党が独自に作成しました内規に基づきまして、助成金の使い道は極めて限定されておりました。政党助成法上は、この使い道について特に制約はございませんでしたけれども、飲食や会合などの使用については、それは使用しないという内規がございました。毎年自民党支部の助成金が内規に従っているかというのは極めて厳しく党本部からチェックをされておりまして、公認会計士が内部チェックをやっていたことを記憶しております。
 しかし、私が自民党を離党しまして、平成22年4月に新党改革を結成して、代表に就任しました後は、政党助成金以外の政治資金が少ないというようなことがあったり、それから、自民党時代のような政党助成金の内部チェックシステムもございませんでした。また、自分自身が党の代表であるという、そういう慢心もあったと思います。今回の調査で、使い方が必ずしも適切ではないと指摘される支出が多くなったということは、心から反省をいたしております。
 また、多くの方々から、他人には厳しいけど、自分には甘いのではないか、身銭を切ってないのではないかと、それから、公私混同だと、そういう厳しいご批判を受けております。そのことについても、厳しく反省をしたいと思っております。また、これまで私が、著書や取材などでいろいろな発言をしてまいりました。テレビの発言もあります。そういう発言と今やっていることは矛盾しているのではないかと、そういう厳しい批判も受けております。しかし、正にそのような批判を受けるに値するような、極めて恥ずかしい行動を行ってきたということを心から反省をしたいと思っております。
 そこで、今後の対応でございますけれども、このような皆様方の声を胸にしっかりと刻みまして、公私の区別を明確にして、皆様方の信頼を少しずつでも取り戻すべく、粉骨砕身、都政の運営に努めてまいりたいと考えております。しかし、言行不一致ではないかと、信用できないではないかと、そういう厳しいご批判を賜っておることは十分承知しておりまして、自分自身でけじめをつけたいと考えております。
 そこで、まず調査報告で違法ではないが、今、先生方から不適切と指摘を受けた点について、まず申し上げたいと思います。
 まず、宿泊費や飲食費による支出について、そういう指摘を受けましたので、これは返金をいたしたいと思います。その返金につきましては、私の個人資産から返金をいたしたいと思います。そして、私とは全く関係のない慈善団体などに寄附をしたいと思っております。ただ、公職選挙法上、寄附禁止行為というのがありますので、それに抵触しないよう、どういう寄附先について選定すればいいか、これは関係の専門家に相談しているところでございます。
 それから、美術品などにつきましては、弁護士さんから今、公私の区別を明確にせよという勧告がございました。常に申してきましたように、私はこれを財テクとして買ったつもりはありませんし、政治活動のツールとして利用することが終わる、つまり私が政治団体を解散するときには、それらを必要としてくれる、例えば美術館、そういうところに寄附をしたいと思っております。また、では、今、何ができるかということなのですけども、今、これらの美術品は知事室、応接室、廊下などにたくさん展示しておりまして、それに加えまして、例えば東京都の病院とか福祉施設などで活用していただけるところがあれば、是非お願いをしたいと思っております。
 それから、今回の一連の件でございますけれども、発端になりましたのは、私の湯河原への公用車利用でございました。この件につきまして、都民の皆様をはじめ、都議会の皆様、そして都庁の職員の皆様に大変なご心配、ご迷惑をおかけしているところでございます。それで、これからも私が湯河原に行くということがあれば、更に皆様方に無用のご心配をおかけするということを大変危惧をしております。そこでこの度、この施設を所有する会社とも相談いたしまして、この際、この湯河原の施設は第三者に売却するということで、自らのけじめをつけたいと思います。できるだけ早く、この施設を買っていただける方を探して、処置をしたいと思っております。
 最後になりますけれども、皆様にお約束しておりました調査報告をこういう形ですることができました。そして、私なりに幾つかのけじめを表明させていただきました。今後もこの決意を実際に現実的に履行する過程で、今日調査していただいた先生方にしっかりと監督を受けていきたいと思っております。
 明日から、今日のこの調査結果に対しまして、都民の代表であります都議会の先生方から厳しい質問を受けることになります。先生方からの厳しいご意見やご指摘につきましては、今まで自分に足りなかったことを反省させていただける機会だと、強く自分を戒めていきたいと思っております。生まれ変わった気持ちで、新たに都政のために尽くさせていただけるように、明日からの代表質問、一般質問におきまして、都民の皆様への説明責任を丁寧に果たしてまいりたいと思っております。
 今日は調査報告がなされたことをご報告するために、緊急ではございましたけれども、こうして記者会見に多数お越しいただきましたことに、心から感謝を申し上げます。
 私からは以上です。

質疑応答

【記者】日本テレビ「NEWS ZERO」の小正です。弁護士の方、お二人にお伺いします。今回、調査に当たり、舛添知事からの報酬は受けてらっしゃるのでしょうか。また、引き受けられた理由について教えてください。

【佐々木弁護士】報酬につきましては、通常お答えしないことになっておりますので、お答えはいたしません。それから、引き受けた経緯でありますが、親しい知人といいますか、そういう人から話がありまして、最初、舛添氏の秘書の人に会っていろいろと話を聞きましたところ、どうも報道されている内容と事実が違うところもあるというようなこともありましたので、やはりそういうところはきちんと理解してもらったほうがいいだろうと思いまして、これは自分として引き受けてもいい案件だと思いましたので、引き受けました。
 そして、隣の森本弁護士は同じ事務所で一緒に仕事をしている弁護士でありますが、信頼できる弁護士でありますので、森本弁護士に話をして、森本弁護士も引き受けてもいいということでしたので、舛添氏の秘書にその旨話しましたところ、それでは2人にお願いしたいということで、引き受けることになりました。

【記者】今のに関連してなのですけれども、一般的に疑惑を抱える方、本人から依頼されて、調査を行うということに関しては、客観性は確保されるのでしょうか。

【佐々木弁護士】第三者委員会というのは、基本的にはそういうものです。今回はもちろん第三者委員会ではありませんけれども、第三者委員会のことをあまりご存じないと思いますけれども、第三者委員会というのは基本的にそういうものです。

【記者】ニコニコ動画の七尾です。都知事、よろしくお願いします。まず、今回の調査で、今日出ましたけれども、都民は納得するとお考えでしょうか。苦情などがやまない場合、どう都民に対応されていくのか、特に道義的な問題について、今回、十分調査ができたとお考えでしょうか。

【知事】調査は厳正に行っていただいたというのは、今、両先生方からのご説明でお分かりいただけると思います。そして、大変厳しい指摘を受けておりまして、是正しろというようなこともございました。そして、違法ではないけど不適切であるということでありますので、先ほど申し上げましたように、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

【記者】今回配られた報告書なのですが、これは一般の都民などは見ることができるのでしょうか。現段階でですけれども、何か公開するご予定はございますか。

【佐々木弁護士】それでは、知事がお答えしにくいかと思いますので、弁護士の私の方からお答えしますけれども、これは知事に提出したものでありますので、知事が都議会等で説明のために必要があれば、それはお示しになると思いますし、知事が都議会でお示しになった内容が都民に伝わるのは、それは自然の流れかと思いますけれども。

【記者】ありがとうございます。できれば、知事、都民も、例えば都知事のホームページから、この報告書を自由にアクセスできるように公開された方が、都民は良く分かるのではないでしょうか。ちょっとご検討いただければと。

【知事】はい。検討して、どういう形が一番適切か考えたいと思います。ありがとうございます。

【記者】加えまして、都知事へのヒアリングなども、調査に使用した資料もできるだけ公開された方が、いろいろな方の目にとまるかと思いますので、ご検討を……。

【知事】ありがとうございました。検討させていただきます。

【記者】NHKの江頭です。何点かありまして、最初のご質問は、ちょっと佐々木弁護士にお答えいただいても結構なのですけれども、ホテルの宿泊代のことについてお伺いをしたいのですけれども、是正の要否が「要」とされたものがありまして、いずれも理屈としては、政治活動には無関係とは言えないけれども、家族旅行、家族同伴で、家族旅行の色彩が強いという、そういう理屈なのだと思うのですけども、政治活動と無関係とは言えないと結論を導き出した部分についてなのですが、相手側にどういう確認の仕方をされている、要するに出版社の社長と会っていたとか、支援者の方と会っていたというのがあるのですが、どういう確認の仕方をされたのでしょうか。

【佐々木弁護士】よろしいですか。例えばということで、出版社の社長の件に関して申し上げますと、これはいろいろな事情があって、ご本人からはヒアリングをすることはできませんでした。それで、その出版社の社長の周囲の方からヒアリングをしましたところ、それを裏付けるような事実関係は確認できております。

【記者】いずれの、この「要」とされた件は全部そういう反証といいますか。

【佐々木弁護士】必要に応じて調査いたしました。

【記者】してないものもあるということですか。

【佐々木弁護士】必要に応じて調査いたしました。

【記者】あともう一つ、これは舛添知事にお伺いしたいのですけれども、そのホテルの件も含めて、いろいろな多岐にわたって、公私混同とも言えるような指摘がやはりされているわけですけれども、これについて、責任をどうとるかという問題なのですが、進退について問う厳しい声もやっぱり出ております。それを踏まえて、もう一度ちょっと、責任をどう取るかというのをお伺いしたいのですけれども。

【知事】これは都民の代表であります都議会の皆様方と、明日から代表質問、一般質問を通じて、しっかりと議論をしてまいります。そして、真摯にいろいろなご質問にお答えをしたいと思っております。その過程で、どういう対応をとるのかということについては考えてまいりたいと思っております。

【記者】ちょっと前後してしまってすみません。最後、佐々木弁護士にお伺いしたいのですけれども、全体総括という感じのことをちょっとお伺いしたいのですけれども、いろいろな、多岐にわたって、私的な、公私混同の指摘をされているわけなのですけれども、政治家として、こういう政治資金の使い方というのについて、どのような、やはり調査をされた、弁護士の方としてはご見解を抱くかどうかを教えていただきたいのですが。

【佐々木弁護士】これは、トータルとしての評価というのは、なかなか難しいのですけれども、個別の評価で不適切という部分がかなりありますので、我々としては、不適切の部分がかなりありますという、そういうふうなことです。

【記者】日本テレビの久野村です。知事にお伺いしたいのですけれども、知事は、以前の会見で、「言いたいこともいっぱいあるけれども、今は言うべきではない」とおっしゃっていたことがあると思いますが、今回調査結果を受けて、今まで言いたかったことですとか、思われていたことがあったら教えてください。

【知事】極めて厳しい調査結果、そしてご指摘を今頂いておりますので、今はそれを厳粛に受け止めて、しっかりと反省し、改めていきたいというのが今の私の最大の思いでございます。

【記者】もう1点なのですけれども、違法ではないけれども、不適切であったと言うしかないという、このところが何とも表現しがたい、何か、グレーといいますか、そういうところがあるのが、また都民にとっては不信感につながっていると思うのですが、どのようにして都民の信頼を回復していこうと思われていますか。

【知事】不適切という厳しいご指摘を受けた点は、今後そういうことがないように改めてまいりたいということと、本当に生まれ変わった気持ちで都政に全力を挙げる形で、そう一朝一夕には信頼回復できないと思いますけれども、都民のために努力をして、仕事をしていきたいと思っております。

【記者】TBSの藤森です。まずは先ほどもお話に上がりましたが、木更津市でのホテルでのお正月の宿泊について、これは、直接ヒアリングを新聞社の方にはしていないということなのですが、それでも弁護士の方々の調べによれば、これは事実として間違いない、その場にいたと、断言できると捉えてよろしいのでしょうか。

【佐々木弁護士】これは事実認定の問題ですので、我々としてはそういうふうに認定したということです。実際に、知事がそう言っていて、それに沿うような裏付けがあれば、それをやはり疑うことはできないと、そういうふうなことです。

【記者】それから、それ以外の、飲食店なども含めて、この調査報告書によりますと、舛添氏本人や、秘書及び関係者らのヒアリングを行ったとありますが、関係者というのは、あとは具体的にどういう方が含まれているのですか。

【佐々木弁護士】関係者というのは関係者です。

【記者】では、質問を変えますが、飲食店の、例えば、「是正の必要がある」というお店に関しては、直接お店の店員だったり、関係者にヒアリングは行っているのでしょうか。

【佐々木弁護士】そういうヒアリングを行うことによって、どういう意味があるのですか。例えばあなたが、そういう人に質問をしたとして、どういう答えが返ってきますか。

【記者】実際に……。

【佐々木弁護士】この中でも、不適切としているものについては、ヒアリングをしたって不適切だと我々は思っているのですよね。

【記者】どれぐらい具体的に時間をかけて、より詳しい情報、信憑性があるかないか……。

【佐々木弁護士】いやいや、あなた、事実認定というものをご存じないからそういうふうなことを言いますけれども、全てヒアリングをしなければいけないというものではないんです。例えば、古本屋の店主の方に、舛添知事が、例えばここに、「毛沢東大躍進秘録」とかという、17ページの一番上に書いてありますけれども、「そういうのをお買い求めになりましたか」と、というふうに、「舛添さんはそういうものをお買い求めになりましたか」と聞く、「はい、そうです」「いや、違います」と言ったって、実際にそういうものが舛添さんの手元にあるのですよ。で、しかも、買ったという証拠、領収書なんかもあれば、そういうものを買ったというふうに認定するのが当然ですよ。

【記者】でもひょっとしたら、その場に、これが確実な事実とは言えない可能性もあるというふうにとられかねないと思うのですが、いかがでしょうか。十分尽くしたと言えるのでしょうか。

【佐々木弁護士】いや、十分尽くしたと思っています。

【記者】では、舛添知事ご本人に伺いますが、改めて、記憶にない部分もいろいろあるかもしれませんが、木更津市のホテルに宿泊された際に、どなたと一緒に宿泊されたのですか。

【知事】それは今、弁護士の先生方が調査をされたことですので、私からは、言うことは差し控えたいと思っております。そのための調査であります。

【記者】納得のいく、誠実性のある説明というのは、一つひとつに分かりやすく答えていくことだと思うのですが、知事本人からはコメントはありませんか。

【知事】先ほど申し上げましたように、私がいろいろ申し上げましても、なかなか報道が先行する中で信憑性を問われ、「お前の言うことは信じがたい」ということでありますから、厳しい、そして、この問題に精通している弁護士の方々にお願いした、ということでございますので、それは何度も繰り返しているとおりでございます。

【記者】最後に一つだけ。知事、生まれ変わった気持ちでこれから臨んでいきたいとおっしゃいました。例えばこの政治資金の使い方に関して、具体的にご自身で今後やり取りの仕方を変えるなど、今のところお考えがあれば教えてください。

【知事】はい。おっしゃったとおりでありまして、そういうシステム自体についても、しっかりと見直しをやりたいと思っております。

【記者】テレビ朝日の竹内です。どうぞよろしくお願いいたします。違法な点はないという報告を受けて、正直、ほっとしていらっしゃるのでしょうか。どんな心境でしょうか。

【知事】不適切な点がたくさんあるという厳しい指摘を受けているので、正に汗顔の至りでございます。

【記者】適切、不適切と、その違法ではないという違いはどのように考えていらっしゃいますか。

【知事】それはそのとおりです。違法か、適切かということの違いであります。

【記者】違法でなければ、特に辞職を考えるですとか、そういったところまで考えは至らないということでよろしいのでしょうか。

【知事】不適切であるということを数多く、ここまで指摘されましたので、それについてはしっかりと対応を考えていきたいと思っております。

【記者】今、きちっと対応とおっしゃいましたが、例えば給与を一部返納するですとか、給与カットですとか、信頼を取り戻すためにそういったことは考えていらっしゃらないのでしょうか。

【知事】まずは明日からの代表質問、一般質問を通じて、都民の代表である都議会の先生方としっかりと議論をして、そういうプロセスの中で考えてまいりたいと思っております。

【記者】ありがとうございました。

【記者】日本経済新聞の岩村です。佐々木先生にお伺いいたします。あるいは森本先生ですか。飲食費あるいは宿泊費について、是正の必要があるとされたところについては、これは例えばどうでしょうか、政治資金規正法上の虚偽記載に当たると認定することはできないのでしょうか。

【森本弁護士】この一覧表を読んでいただいたとおりの認定でございます。この一覧表に、先ほど説明しましたとおり、飲食につきましては、ご家族抜きで政治活動の一環として利用したのだと認められる場合のみ適切であると判断しておりまして、それ以外のものについては不適切であるという判断をしております。本質的な認定をしているということです。

【佐々木弁護士】ちょっと補足して申し上げますけれども、虚偽記入じゃないかというご指摘ですけれども、きちんと書いたというのは変ですけども、不適切なのをきちっと書いたというのも変ですけれども、書いたからこそ、皆さんはその適切かどうかという判断材料になっているわけです。そういう意味では、虚偽記入には当たらないと思っておりますけれども。

【記者】分かりました。あともう1点だけ。全般的に違法ではないというのは確かなのですが、不適切とまでは言えない、あるいは適切だという、そのあたりの判断基準というのはどういう点にあるのでしょうか。つまり、法律上は、支出については特段の基準はないと思うのですけれども、そのあたりというのは、何ですか、一般的な常識とか、そういう判断基準になってくるのでしょうか。

【佐々木弁護士】正におっしゃるとおりで、最後は常識といいますか、そういうふうなことに照らしての判断です。これは法律家であるからといって、道義的な責任というのは、多分、一般の方々とあまり変わらない基準だと思っておりますので、そういうふうな基準に照らしてということだと思いますけれども。

【事務方】恐れ入りますが、それでは、あとお二人とさせていただきたいと思います。

【記者】NHK「ニュースウォッチ9」の田中です。舛添知事に伺いたいのですけれども、先月20日の会見で、私が、「政治資金とはどういうもので、どういうふうに使われるべきか」と質問したのに対し、知事は、「政治のために、国民のために使われるべきだ」という答えをしていただきました。また、「そういう使い方をしてこられたのか」という質問には、「政治資金に精通した弁護士の調査結果を待ちたい」ということでした。改めて調査結果が出た今ですけれども、知事は自らがおっしゃった、あるべき政治資金の使い方をこれまでしてこられたとお考えですか。

【知事】非常に厳しいご指摘を受けて、適切ではないというご指摘を受けていますので、正に恥ずかしい限りでございまして、今後は二度とそういう批判をいただかないように、全力を挙げて努力をしたいと思っております。

【記者】今のお答えを鑑みたときに、先ほど知事がおっしゃった、これからも知事を続投したいということ、これはどういう判断でおっしゃった言葉なのでしょうか。

【知事】今は反省すべきを反省し、しっかりと今日の厳しいお二方の先生方のご意見を踏まえて、そして、全力を挙げて都民のために働きたいと、そういう思いであります。

【記者】多くの都民が知事に対して、公私混同だと批判しているのですけれども、今回の調査でそれが一部不適切だったと裏付けられたにも関わらず、それでも知事にとどまる資格があるとお考えになるのはどうしてなのでしょうか。

【知事】今は全力を挙げて都民のために働かせていただきたいと、そういうふうに思っております。

【記者】今までのお答え、有権者の方、納税者は納得すると思いますか。

【知事】有権者のご判断にお任せしたいと思っております。

【記者】フジテレビ「とくダネ!」の阿部です。知事に伺います。単刀直入に知事にイエスかノーかでお答えいただきたいのですが、法律上は違法性はないと。しかし、今、問われているのは知事の資質だと思うのですが、知事は今のところお辞めになられる気はないのでしょうか。イエスかノーでお答えいただけますか。

【知事】大変申し訳ありませんが、そういう問題に対してイエスかノーかで答えるような類いのご質問ではないと思っております。

【記者】その理由をお聞かせください。一番都民が知りたいのは、知事の今の意思だと思います。

【知事】先程来、縷々申し上げているとおりでございますので、イエスやノーで簡単に答えるような類いの問題であると考えることは、むしろ都民に対して大変失礼だと思っております。

【記者】今、知事のお言葉で、都民に対して失礼だというお話しがあったのですが、今、世論調査でも8割の方が知事は辞任をされるべきだと言っています。民意が離れている時点で、一度お辞めになられて、そしてもう一度、選挙で民意を問うというご判断もあるかと思いますが、そうはなさいませんか。

【知事】厳しい批判を受けていることを踏まえまして、これを真摯に反省し、全力を挙げて都政のために働くということでございます。

【記者】では、今、一度お辞めになられて、そして、もう一度、民意を問うということは、今のところなさらないということですね。

【知事】先程来、申し上げているとおりでございます。

【事務方】では、以上で会見を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【知事】先生方、どうもありがとうございました。

(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)


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