- 報道発表資料
オガサワラカワラヒワの飼育を開始しました
恩賜上野動物園(園長 福田豊)では、絶滅危惧種であり、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づく国内希少野生動植物種に指定されているオガサワラカワラヒワについて、生息域外保全事業の一環として、飼育に取り組むことになりましたので、お知らせします。
1.経緯
恩賜上野動物園ではこれまで、母島属島に生息し絶滅が危ぶまれている小笠原諸島の固有鳥類であるオガサワラカワラヒワの保全に貢献するため、本土に生息する近縁の亜種であるカワラヒワを導入し、飼育繁殖技術の確立に努めてきました。また、オガサワラカワラヒワの保全に関する技術の開発や普及啓発に、関係各局や地元活動団体等とともに取り組んでいます。
2021年度から父島の施設においては、生息域内の保全だけではなく生息域外保全の取組として、環境局及び小笠原支庁による捕獲個体の飼育の試みが進められてきました。
しかしこれらの保全の取組にも関わらず、近年の気候変動等による渇水の影響により、2024年度の個体数は再び減少しているとの報告を受け、動物園においてもオガサワラカワラヒワの飼育下繁殖の必要性が高まったことから、このたび、2025年3月18日(火曜日)に父島内の域外保全施設から、2羽を恩賜上野動物園に受け入れました。
2.受け入れた羽数
2羽(オス1、メス1)
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今回受け入れたオガサワラカワラヒワ(左:オス、右:メス)
3.公開について
まずは飼育環境への馴致(じゅんち)と繁殖を目指すため、当面の間は公開の予定はありません。
4.国内の飼育状況(2025年3月25日現在)
- 恩賜上野動物園 2羽(オス1、メス1)
- 父島内域外保全施設 7羽(オス3、メス4)
参考
オガサワラカワラヒワ(スズメ目 アトリ科)
(環境省レッドリスト:CR(絶滅危惧1A類))
学名
Chloris kittlitzi
英名
Ogasawara Greenfinch
分布
東京都小笠原村の一部
生態等
全長は130ミリメートル。外見は本土に生息するカワラヒワに似ていますが、翼や尾がやや小さく、くちばしが相対的に大きいです。また、オスはより鮮やかな色彩をしています。種子食で、時期に応じて多彩な植物の種子を食べますが、近年は外来種であるトクサバモクマオウの種子を多く食べていることが確認されています。外来のネズミ類やノネコ、気候変動などによる餌資源の枯渇、渇水などの影響により個体数が急激に減少しており、絶滅が危ぶまれています。
※「絶滅危惧1A類」の数字の正しい表記はローマ数字です。