1. 都庁総合トップ
  2. お知らせ
  3. 報道発表
  4. 2025年
  5. 3月
  6. 令和7年度予算の執行について(依命通達)
報道発表資料
財務局

令和7年度予算の執行について(依命通達)

東京都副知事
中村倫治
宮坂学
栗岡祥一
松本明子
(公印省略)

我が国の景気は、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されるものの、物価上昇、海外経済の動向と政策に関する不確実性や金融資本市場の変動等の影響など、今後の景気動向には、引き続き注視が必要である。
また、都の歳入の根幹をなす都税収入は、法人関係税収の占める割合が高く、元来、景気動向に左右されやすい不安定な構造にあることから、現時点では、都の財政環境の先行きを見通すことは困難な状況にある。
こうした中、国際情勢はその変化のスピードを早め、足元では人口減少社会や少子高齢化、自然災害への備えなど、構造的な課題も先鋭化してきている。都政を取り巻く環境が一層厳しさを増す中、「首都防衛」を図るとともに、希望あふれる東京の未来を切り拓いていかなくてはならない。
とりわけ、東京の持続的な成長には、活力の源泉である人への支援が重要である。東京の未来を担う子供・若者を支援するチルドレンファーストの取組を一層強化するとともに、結婚・出産を望む人が、安心して希望を叶えられる社会を実現することが不可欠である。同時に、女性や高齢者などが自分らしく持続的に活躍できる環境を整備することで、誰もが将来の夢や希望を叶え、一人一人が輝く東京を実現しなくてはならない。
また、東京が世界の変革と成長を牽引するため、国際競争力の強化を図ることも重要である。スタートアップの育成や企業の成長支援に加え、国際金融都市の環境を整備するとともに、都民が利便性を実感できる行政サービスの質の向上を図るため、「東京アプリ」の積極的な活用など、社会課題を解決する政策DXを推進することが不可欠である。自然と都市機能が調和した持続可能なまちづくりをはじめ、多摩・島しょの振興、世界陸上・デフリンピックの成功に向けた取組等も着実に進めていかなくてはならない。
さらに、近年、頻発化、激甚化する風水害や迫りくる大規模地震への備えとして強靱(じん)な都市を創り上げていくとともに、治安対策などあらゆる危機から都民の命と安全・安心な暮らしを守り抜いていくことが重要である。また、長引く物価高騰により、都民生活等が厳しさを増す中、社会経済情勢等を踏まえながら、重層的な支援策を迅速かつ着実に実施していかなくてはならない。加えて、気候危機への対応として、再生可能エネルギーの実装やグリーン水素の普及拡大など、東京の先進的な技術により、世界の省エネ・脱炭素化を先導していく必要がある。
このような状況にあって、都がなすべきことは、「2050東京戦略」及び「シン・トセイX 都政の構造改革QOSアップグレード戦略2.0」に基づき、東京の新たな目指す姿を実現する施策の推進や都政の構造改革を一層加速するとともに、創意工夫を凝らして無駄を無くす取組を徹底することである。
こうしたことから、令和7年度予算は、不確実性が高まる社会情勢の中、「成長」と「成熟」が両立した持続可能な都市の実現に向けて、全ての人が輝く東京の未来を切り拓く予算として、
第一に、東京のポテンシャルを最大限活かし、「ダイバーシティ」、「スマート シティ」、「セーフ シティ」の3つのシティを進化させ、「世界で一番の都市・東京」の実現に向けた施策を積極的かつ着実に展開すること。
第二に、都民が実感できるクオリティ・オブ・サービスを向上させるため、DXなど新たな視点で業務の見直しを進め、持続可能な執行体制の構築を図りつつ、無駄を一層無くす取組を強化し、強靱(じん)で持続可能な財政基盤を堅持すること。
を基本として編成した。
令和7年度予算の執行に当たっては、持続可能な執行体制の構築に向け、各局・各現場において、DX等を活用して業務の見直しを積極的に検討し、実践していくとともに、職員一人一人が、日々の業務において不断の改善を図ることで、一層効率的・効果的な執行となるよう取り組む必要がある。あわせて、政策評価、事業評価及びグループ連携事業評価を通じ、成果重視の視点で事業の見直し等へとつなげていくことが重要である。
加えて、事業の迅速な執行はもとより、施策の内容を確実に周知し、利用されるものとするため、全庁を挙げ、都民目線に立った「伝わる広報」を戦略的に推進した上で、施策の展開を図ることが特に重要である。これらの取組による改善を令和7年度予算の執行のみならず、後年度の予算にも確実に反映させていかなければならない。
よって、貴職におかれては、現下の都財政の状況と課題を職員に十分周知徹底し、下記の事項に留意の上、予算の執行に万全を期されたい。
この旨、命によって通達する。

第1 全般的事項

1 都の行う全ての事業について、予算執行の過程においても、政策評価、事業評価及びグループ連携事業評価の取組などを通じ、より成果重視の視点から施策の効率性や実効性を高める努力や工夫を徹底して行い、導き出された改善の方策等を事業計画や執行などに的確に反映していくこと。
また、政策評価、事業評価及びグループ連携事業評価の取組については、歳出はもとより、歳入や特別会計(準公営企業会計を含む。)についても、多面的な検証を行い、その結果を執行、歳入確保などに的確に反映していくこと。

2  「シン・トセイX 都政の構造改革QOSアップグレード戦略2.0」に掲げる「政策DX」の理念を踏まえ、組織や分野を越えたDXにより、課題解決のスピードアップや業務の効率化を推進すること。特に、DX共同化構想推進プロジェクトを踏まえたAI開発・活用を進めるとともに、利便性や効率性を高める観点から、アプリの共同化やポイント制度の一元化を推進するなど、「東京アプリ」の積極的な活用を図ること。

3 予算の執行に当たっては、法令等の遵守はもとより、より良い都政の実現というコンプライアンスの観点から、事業内容について十分に検証し、その結果を的確に反映していくこと。

第2 歳出について

1 「令和7年度予算編成方針」を基本に、効率的な予算執行の観点から更に精査を行った上で、年間執行計画を策定すること。また、「2050東京戦略」に基づく取組など、予算に計上した事業について、施策の効果を速やかに発現させ、一日も早く都民・事業者へ還元するため、あらゆる工夫を凝らし事業の迅速な執行を図るとともに、その目的が確実に達成できるよう着実な執行を図ること。
 また、物価高騰等対策については、今後も、状況の変化を適切に見極めながら、都民等にその効果を早期に還元していくこと。

2 事業の実施に当たっては、最少の経費をもって最大の効果が図れるよう、その経済性、効率性を確保することはもとより、都民ファーストの視点に立ち、あらゆる創意工夫により経費の一層の節減と都民サービスの更なる向上を図るなど、各局の責任の下で不断の見直しを行うこと。
加えて、施策の実効性の向上に向けて、都民や事業者等に確実に施策の内容を周知するため、政策企画局と連携し、以下の点に留意し広報を推進すること。

  • (1)広報の目標設定や効果検証を通じた取組の促進
  • (2)局横断的な発信に向けた総合的な取組の促進

3 投資的経費については、都市強靱(じん)化に向けた取組や、便利で快適な交通・物流ネットワークの形成に向けた取組などに対し重点的に財源を配分したところであるが、執行に当たっては、品質の確保や事業者間における円滑な価格転嫁の促進に向けて、資材価格の急激な変動など、市場の動向を踏まえ予定価格を適正に設定するとともに、迅速な事業着手や施工時期等の平準化に加え、デジタル技術の活用など計画的な事業執行に努めること。
なお、国庫補助事業については、都への配分状況に十分留意すること。

4 政策連携団体については、多様な視点から経営改革を進めるとともに、効率的かつ効果的な事業執行を図るよう、適切な指導監督を行うこと。
また、都と政策連携団体が協働して実施している事業については、グループ連携事業評価と政策評価及び事業評価を一体的に行い、これまでの取組状況、成果等の分析・検証を進め、その結果を執行などに的確に反映していくこと。
さらに、政策連携団体以外の団体を通じて実施している都事業についても政策評価及び事業評価を行い、その結果を執行などに的確に反映していくこと。

5 不測の事態に備えるとともに、経費の更なる効率的執行を図るため、局において必要な経費の一部を保留すること。

第3 歳入について

1 都税収入については、経済の動向に留意しつつ、課税対象を的確に把握し、脱漏のないように努めることはもとより、区市町村との連携や機動的な組織運営によって、より一層滞納整理を促進するなど、税収確保に向けた取組を推進すること。

2 国庫支出金については、都市基盤の整備をはじめ、ハード・ソフト両面において首都東京が推進すべき取組の重要性を踏まえ国に十分な働き掛けを行い、需要に応じた配分が得られるよう努めること。
また、関係省庁に対し、財源調整措置の廃止など国庫支出金制度の改善合理化について引き続き強く要望することで、国庫補助金の内示に際し、不交付団体に対する特別な調整を行うことのないよう働き掛けること。

3 その他の収入についても、予算計上額を確保することはもとより、政策評価、事業評価及びグループ連携事業評価を行い、更なる収入確保の取組を進めることで、増収に向けて最大限の努力を図っていくこと。
また、貸付金に係る元利収入などの債権については、債権管理の一層の適正化を図ること。

第4 特別会計

特別会計(準公営企業会計を含む。)については、施策の効率性・実効性を一層向上させる観点から、政策評価、事業評価及びグループ連携事業評価を行い、その結果を執行などに的確に反映させていくこと。

第5 予算関係事案の処理について

1 予算関係事案のうち、次の各号のいずれかに該当するものを決定しようとする場合は、財務局に協議すること。

  • (1)次に掲げるものに係る事案
    • ア 都政運営に関する一般方針の確定
    • イ 都が執行すべき事務事業に係る基本的な方針及び計画の設定、変更及び廃止
    • ウ 成立した予算に係る事務事業についての基本的執行方針の決定
    • エ 成立した予算に係る局の事務事業についての執行計画の設定、変更及び廃止
  •  (2)委託料の支出に係る事案のうち、調査委託等で別に財務局長が指定する事案
  •  (3)落札差金及び設計差金の使用に係る事案
  •  (4)用地会計による用地取得に係る事案
  •  (5)前各号に掲げるもののほか、別に財務局長が指定する事案

2 財務局への協議は、知事決定事案については財務局長、局長決定事案については財務局主計部長、部長又は課長決定事案については財務局主計部各課長(財政課長、予算各課長及び公債課長)に対して行うこと。

記事ID:000-001-20250331-041053