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令和2年(2020年)8月6日更新

小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和2年8月6日)

知事記者会見
2020年8月6日(木曜)
17時00分~17時59分


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知事冒頭発言

1 新型コロナウイルス感染症への対応について

【知事】それでは本日、モニタリングの分析結果などをお伝えしてまいります。先ほど第5回のモニタリング会議を行いました。そして、このモニタリングの項目については、専門家の皆様方からのご報告をいただきまして、都としての対策を議論したというところでございます。
まず、専門家の方々からは、感染状況について新規陽性者が3日で1000人を超えるペースで増加をしていること、また、前の週と比べますと134%の増加と速度が上がっているということから、4段階のうちの最高レベルで赤色「感染が拡大していると思われる」との総括コメントをいただいたところであります。
それから、下の方は医療提供体制を示しておりますが、重症化リスクのある中高年者、そして、中等症の入院患者の増加、そして、重症の患者数が横ばいで推移していることなどから、引き続きの警戒が必要であるとして、4段階のうち、上から2番目にあたりますオレンジ色の「体制強化が必要であると思われる」との総括コメントをいただいたところであります。本日のモニタリング会議におけます専門家の総括コメント、先週と同じ赤とオレンジということで、この総括のコメントは変わっておりませんが、専門家の先生方のご意見を踏まえますれば、現状は、引き続き「感染拡大特別警報」という非常に厳しい状況であることには変わりがない。また、都として最大限の警戒をする必要があると認識いたしているところであります。
都民・事業者の皆様、行政、それぞれが強い意識を持って取組を進めていかなければならないということから、「感染拡大特別警報」を引き続き発信してまいります。
それを踏まえまして、都における対策でありますが、まず保健所への支援についてであります。都におきましては、特別区などの保健所を支援する。そのために、これまでも都の職員を派遣してきたところでございます。
しかし、新規の陽性者がさらに増えているということを鑑みまして、保健所の業務が増大をしていることから、昨日付、8月5日(水曜日)でありますが、追加の派遣を行っております。合わせますと約120名の職員を配置したところであります。それから、都内において、広がりが見られます感染拡大の防止のためにも、区市町村と連携をいたしまして、メリハリのある対策が重要でございます。そのために、新たに都と区市町村で協議会の設置をいたしまして、第1回の会議を開催いたしております。その協議会の中で都と区の、また市町村とが、これまでの取組や知見、そしてそれぞれの地域の抱える課題の共有を改めてしたところであります。また、今後も協議会の場を通じまして、さらに東京が一体となった取組を進めてまいります。
次に患者の受入体制でありますが、現在は合わせますと2400床、中身が、重症者用100床と中等症用2300床を確保いただいているところであります。専門家の先生方のモニタリングの分析、先ほどお伝えしましたが、それを踏まえまして、重症の患者さんは病床の占有の期間が長くなるということから、さらに病床の確保に向けた準備を進めてまいります。
それから、現在、重症化リスクの高い60代以上の高齢者への感染が拡大しつつあるという、そのような数値がございますが、高齢者への感染の拡大、これが医療提供体制の逼迫に繋がるというおそれがございます。
また、高齢者のうち、感染経路が特定された方の4割は家庭内感染によるものとなっておりまして、既に都民・事業者の皆様方には、これまでも大変なご協力をいただいていることについて、まず感謝を申し上げると同時に、改めて都民の皆様方には、この夏の過ごし方についてお願いをさせていただきます。
3つあります。1つ目ですけれども、高齢者の方々に対するお願いであります。
高齢者の方々につきましては、梅雨が明けて急に暑くなりました。熱中症にもお気をつけいただきながら、マスクの着用、手洗い・消毒・換気を徹底していただくこと。それから、お買い物など生活に必要な外出をされる際にも、混雑時間帯を避けていただいて、3つの密の回避をお願いしていただくこと。それから、スーパーなどの買い物でありますけれども、高齢者への感染拡大防止のための取組を、かねてよりお願いをいたしております。
例えばイオン、そしてイトーヨーカドー、コストコなどの大手スーパーでは、高齢者を優先した買い物の時間帯を決めたり、またレジを設けていただいたりするなど、店舗の実情に応じて工夫をしていただいているところでございまして、高齢の方々のお買い物の際は、そういったことも参考にして買い物に行っていただきたいと思います。
それから、高齢者と同居されているご家族の方々につきましては、家庭内でも長時間の会話をされるときは、ご自宅の中でのマスクということにもなりますが、これもやはり高齢者を守るという、そういうお気持ちで必要なときに、マスクの着用をお願いいたします。
それから、お食事ですけれどもできるだけ、高齢者と普通、食卓を囲むということになるわけでございますけど、高齢者の方々を守るという意味で時間をずらしていただく。
それからお料理は、一人一人を小皿で分けていただくとか、一人一人のお皿にするなどの工夫、それから、タオル・コップ・歯磨き粉などは別にしていくなど、非常に細かいことでありますけれども、十二分にご注意をいただきたい。これも高齢者の方々が感染しない、そしてまた高齢者は重症化しやすいといったようなこれまでの知見から、このようなお願いするところでございます。
2つ目、これは、今度は若い方々へのお願いになります。
若年層につきましては、活動が大変活発、行動範囲が広くて、大変活発に動かれるわけですけれども、それに加えまして、無症状、軽症の方が多いわけです。
本人が気づかないうちに、高齢者などにも感染させるおそれがあるということ、それから専門家の皆様からは、若い方々でも重症化するケースや、また後遺症が残るケースもあると伺っております。そこで「自分も感染しない、周りにも感染させない」という強い意識をお持ちいただいて、慎重な行動を改めてお願い申し上げます。
2つ目、若い方々へのこのようなお願い、ぜひとも励行していただきたい、守っていただきたいと思っていただきたいと存じます。
3つ目、年代を問わず、いわゆる夜の街、そして会食による感染も多数発生しているところでございます。
そこで、長時間の飲食やそれからお酒、大声で話す、至近距離での会話といったようなケースが感染事例として報告されております。夜間の繁華街への外出を控えていただくこと、またお酒を酌み交わす飲酒を伴う会食でありますけれども、これは夜10時まででお願いをしているところでございますので、このことをよく踏まえた上でご協力をお願いします。
次に事業者の皆様方へのお願いを申し上げます。
今も申し上げましたように、今週この3日(月曜日)からですけれども、酒類の提供を行う飲食店、それから各カラオケ店の皆様方には、今月31日(月曜日)までの間、営業の時間を短縮していただくように要請をしております。時短であります。これは感染リスクを下げるため、徹底していただきたいと思いますし、また、改めて事業者の皆様方のご理解ご協力をお願い申し上げます。
それから、職場内での感染も増えてきております。最近は、お仕事中だけではなくて、例えば、休憩室での同僚同士のランチであったり、ロッカールームなどでの会話を通じて、感染したと思われるような例も報告されております。この機会に、会社ごとに色々な創意工夫をしていただければ、またコロナ対策の実施をお願い申し上げます。例えば、夏季休暇とテレワークを組み合わせて従業員の方々の出勤を抑制していただく。これはステイホーム週間のときなどは徹底していただいた部分もありますけれども、ぜひとも、お盆休みも活用して、テレワークと働き方の改革、これも改めてお勧めいただく。このお盆休みを活用して、店舗内の感染防止対策を、この際、集中的に実施していくことも1つあります。企業ごとにテーマを決めて取組を進めていただければと思います。
その際は、都が多摩地域に設置をしました、テレワーク・モデルオフィス、つい先日、視察をしたばかりでございますけれども、これらのサテライトオフィスの活用であるとか、ガイドラインに基づく感染防止対策への支援、これもぜひご活用いただきたいと存じます。
都としてそれだけの予算も組み、またそのサポートをしっかり進めておりますので、ぜひご活用いただきたいと思います。
それから改めまして、ガイドラインの遵守、そしてステッカー掲示についてのお願いをさせていただきます。事業者の皆様のご協力を得まして、現在では、約16万3000枚のステッカーが掲示されております。
都の職員もそれぞれ各地に出向きまして、普及啓発活動を行っているところであります。全ての事業者の皆様方に、都民に「選ばれるお店」になっていただきたい。
そして、まだ掲示していない事業者の皆様方にはチェック項目がございますので、それをチェックした上で掲示をしていただいて、感染の防止にお努めいただく。
そして、そのことを利用者に知らせることによって「選ばれるお店」として、むしろ経営にプラスになるように、こちらの方のステッカーを掲示していただきたいと思います。私もいつも通る道で、今度またそこで増えたとか、色々この皆様方のご登録、ご協力の成果も確認をしながら、今日は16万枚以上ということで報告を受けておりますが、これをさらに拡大していきたいのでお願いを申し上げ、掲示の方のご協力というか、掲示が目的ではなくて、感染拡大を防ぐことが目的で、かつそうやって事業を進めることのむしろプラス材料として活用していただきたいと思います。
それから、先日というか、先週この場でもご紹介いたしましたが、日本相撲協会のご協力をいただきまして、大相撲7月場所で、「告知旗」を掲出させていただいたところであります。非常に大きなご協力でございます。そして、そのご協力に関しましては、日本相撲協会に、八角理事長に対しまして、感謝状を贈呈させていただくことといたしております。
改めてこのようなご協力に対しまして、日本相撲協会の皆様方に、心から御礼申し上げたいと思います。
それから、何よりも、お盆、そして夏休み期間でございます。旅行、帰省のシーズンであるわけでございますが、例年ですと、ご家族やご親族で一緒に過ごされる機会が多いわけでございますが、この夏は、都外への旅行、帰省についてはお控えいただきたいと思います。
離れて暮らすご家族やご親族などとは、ぜひこの際、電話、オンラインなどを通じてお話をしていただきたいと存じます。
例えばちょっと1つ紹介しておきますけれども、2月に、都が主催して、「ダイバーシティTOKYOアプリアワード」という催し物をいたしまして、これはそれぞれコンペをしていただくわけでありますけれども、その中で最優秀賞を受賞されたベンチャーの企業があって、そのシステムがあります。これはインターネット環境が、たとえ実家などでそれがなくても、テレビにケーブルを繋いで、スマートフォンから送信したお孫さんの動画であるとか、写真を、実家のテレビで見ることができるというシステムであります。とても簡単な仕組みでできていまして、こういったことも活用していただきたい。様々な形で思いを伝えていただきたい。そのように大切なご家族を守るために、色々なサービスの利用の検討もお願いしたいということであります。
それから、前に都で「コロナ対策東京かるた」というのを作りましたけれども、代表するのは、「あ」は、「愛してる 家族のために 距離をあけ」、そして、「か」では「帰らない 両親のため 地元には」というメッセージもかるたに寄せたところでございまして、これも都民の皆様方から寄せられたメッセージをベースに作ったものでございます。
今年の夏は、コロナに打ち勝つ、このことが最優先となる夏であります。1日でも早く安全、安心の生活を取り戻してまいりましょう。そして大切な人、大切なご家族、医療現場を守るためにも、この夏は「特別な夏」として「旅行や帰省」を控えていただきたい。また、「夜間の会食」を控えましょう。「遠くへの外出」もお控えいただきたい。
これは、今年がこの夏は「特別な夏」だから、申し上げているわけでございます。
こうしたお盆・夏休みの最中にありましても、医療現場では医療従事者の皆様方が、今この瞬間でも厳しい状況の中で患者さんの対応に努力していただいております。
改めて心から感謝を申し上げます。そして先週も申し上げましたが、今後、状況がさらに悪化した場合には、東京都独自の緊急事態宣言を発することも考えざるを得ません。そのようなことにもならないためにも、何としてでも、この夏は感染拡大を食い止めていかなければなりません。
都民・事業者の皆様、そして行政が一体となってこそ、コロナとの闘いに打ち勝つことができます。また、打ち勝たねばなりません。この点、よろしくお願いを申し上げます。
さて、この後、モニタリングの分析にご尽力いただきました東京都医師会副会長の猪口先生にもご出席をいただきまして、本日のモニタリングの分析などについて、お伝えをしてまいりたいと思います。
もう一度繰り返します。この夏は「特別な夏」であります。旅行、帰省、夜間の会食、遠くへの外出、皆様方、ぜひお控えいただきますように、改めてお願いを申し上げまして、本日のモニタリング会議の私からの報告とさせていただきます。

(会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。)(PDF:1,025KB)

【猪口委員】東京都医師会の猪口です。
我々がモニタリング指標を分析した細かい内容をお話しします。もう既に要点は、知事から、そして、我々の考えている対策等も知事からお話がありましたが、細かい内容を、お話させていただきます。
まず、感染状況です。感染状況の平均は、新規陽性者数、先週が258.1人から346.3人になっております。新規陽性者数は3日間で1000人を超えるペースで推移しておりまして、先週との比較でも増加比約134%増加と、速度が上がっております。8月1日(土曜日)には新規陽性者数が472人と過去最高の報告数となっています。これだけをとっても、感染が全然収まっておりませんので、総括コメントとしては、「感染が拡大していると思われる」ということになるわけですが、内訳を見ていきますと、7月28日(火曜日)から8月3日(月曜日)までの報告では、10歳未満が1.1%、10代が2.7%、20代が43.2%、30代24.0%、40代12.6%、50代8%、60代4.3%、70代2.3%、80代1.3%、90代0.5%でありまして、全年齢層に感染が拡大しつつあります。40歳以上の陽性者が575人から685人に増加しています。これは非常に今後注意しなくてはいけないと考えております。
7月28日(火曜日)から8月3日(月曜日)までの感染経路は、調べてみますと、全世代合計で同居する人からの感染が26.0%と最も多く、次いで接待を伴う飲食店等からは19.3%、職場が17.9%、会食が13.8%の順となっております。感染経路が多岐にわたっているのは、無症状や症状の乏しい感染者の行動に影響を受けている可能性があります。
年代別で見ると、7月28日(火曜日)から8月3日(月曜日)までにおける感染経路は、20代および30代は接待を伴う飲食店等による感染が24.1%と最も多く、次いで職場での感染が20.0%と多い傾向にあり、40代および50代は同居する人からの感染が33.5%と最も多く、次いで接待を伴う飲食店等による感染が19.3%と多かったです。60代は同居する人からの感染が40.5%と最も多く、次いで会食の感染が16.7%と多くて、70代以上は同居する人からの感染が51.0%と最も多く、次いで施設での感染が35.3%と多い結果でした。
また、7月1日(水曜日)から31日(金曜日)の累計では、80代以上の約3分の2が施設内で感染していました。濃厚接触者に占める感染経路が会食である人の割合は、8月4日(火曜日)は20.0%でした。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイケア施設、訪問看護、病院等、重症化リスクの高い施設において、無症状や症状の乏しい職員を発端とした感染が見られており、引き続き医療・介護・施設内と業務における感染防止対策の徹底と検査体制の拡充が必要であります。
ここまでのところ、この分析を見ますと、キーワードがかなり限定的になってきておりまして、同居、職場、施設内、接待を伴う飲食店、それから会食といったようなキーワードが出てきておりますけれども、職場、家庭同居、それから施設内というのは、その中のアクティビティの高い方が外に出て、そして感染して戻ってくるということで感染しています。その感染の広がりのところを考えながら、知事がおっしゃっているような対策ということになります。
少人数であっても、人と人が密に接触する環境で、マスクを外して会話をしながら飲食を行うと感染のリスクが高まります。このような環境を避けることが新規陽性者の発生の減少につながると考えます。
それから、グループ旅行に陽性者が含まれていて、同行者等の感染が広がる事例が複数発生しております。7月後半より増加傾向にあります。7月28日(火曜日)から8月3日(月曜日)までの届出保健所別陽性者数を見ると、最多の新宿区が13.9%を占めますが、島しょを除く都内全域に広がって新規陽性者が発生しています。こういう新規陽性者の分析内容です。
2番目が、#7119における発熱等の相談件数です。#7119は感染拡大の早期予兆の指標の1つとしてモニタリングしています。第1波、3月1日(日曜日)から5月25日(月曜日)の緊急事態宣言解除までの時期では患者の急速な増加の前に#7119における発熱等の相談件数が増加しました。#7119の7日間平均は先週と比べ減少しました。それでも高止まりというか、高い数値で推移しておりますので、下向きの矢印にはなっておるんですけれども、赤色で表示をさせていただいております。
それから、新規陽性者における接触歴等不明者数および増加比です。接触歴等不明者数は7日間平均で約210名となり、急増しております。この接触歴を調査する保健所への支援が必要と考えます。非常に数が多くなっておりまして、この接触歴不明者が、どこで感染したのか、接触歴を一生懸命調べているのは保健所がやっているんですけれども、この労力というのは結構大変で、これだけ数が増えてきていますと、保健所の負荷が相当高いというふうに聞いております。
8月4日(火曜日)時点での新規陽性者における接触歴等不明者の増加比は先週より増加し、約140%となり、高い数値となっています。接触歴不明率の増加比がこのまま4週間継続すると、接触歴不明の新規陽性者が約4倍、840人/日、程度に発生しますが、さらに4週継続すると、接触歴等不明の新規陽性者数は現在の約16倍、3360人/日になるという分析であります。
この3つをまとめまして、先ほども言いましたけれども、総括コメントは赤色、感染が拡大していると思われるということにしました。
今度は医療提供体制です。最初の検査の陽性率、PCR検査の陽性率は、検査体制の指標としてモニタリングしています。迅速かつ広くPCR検査等を実施することは、感染拡大防止と重症化予防の双方に効果的と考えます。先週の平均が3140件、それから今週の平均が、4158件、1日当たりですけれども、その数が増えているにもかかわらず、6.5から6.9%に陽性率が増えているわけです。(検査件数は)1.3倍に増加しました。陽性率は先週に比べて増加しており、都内全域で感染が拡大している状況が危惧されます。陽性率が6.9%に増加したことを踏まえますと、十分なPCR検査等を行うために、引き続き検査体制の強化が求められます。
救急医療の東京ルールの適用件数は45.3から41.9、ほぼ横ばいであり、7月29日(水曜日)以降40件前後で推移しています。また、7日間平均の件数もほぼ横ばいです。
それから入院患者です。入院患者は1106人から1475人に増加しています。1日当たりの新規陽性者数の漸増は長期間継続して、収束の兆しが見えない中、医療従事者の緊張は続いております。7月26日(日曜日)から8月1日(土曜日)の新規入院患者数が688人、一方で、退院者数が364人となっており、先週に比べ、重症化リスクのある中高年者や中等症の入院患者が増加しつつあります。新型コロナウイルス感染症の患者の入院と退院には、共に手続き、感染防御対策、検査、調整、消毒など、通常の患者より多くの人手、労力と時間が必要である。病院ごとの当日入院できる患者の数には限りがあります。確保病床数イコール当日入院できる患者数でないことをご理解ください。短期間で通常の患者より煩雑な入院と退院の作業が繰り返されることも医療機関の負担の要因となっています。
また、陽性者以外にも、陽性者と同様の感染防御対策と個室での管理が必要な新型コロナウイルス感染症と疑われる患者を、1日当たり都内全域で100人から200人受け入れています。病床の稼働には、人員確保、患者の移動、感染防御対策の拡充を含め、2週間程度を要します。新規陽性患者数の急増を踏まえ、救命救急医療やがん医療などの通常の医療も維持できるよう配慮しながら、さらに病床確保を進めていく必要があります。
入院の話ですけれども、逼迫していますかという質問をよく受けます。逼迫には、私の考えですけれども、2種類ありまして、本当に病床数に対して患者数が非常に増えて、病床がなくなっていく逼迫、これが本当の逼迫だと思いますけれども、入院させるのに、先ほどから、ずっと話しておりますけれども、入退院にはものすごく時間がかかるんです。その時間がかかるのに、マッチングをして、そして、都内100病院ぐらいのところに入院させていく、調整をするというのが非常に追いつかなくなってくる。この追いつかなくなってくると、新規患者さんを入院させるのではなくて、待機させなくてはいけないのですが、この状態が逼迫しているという感覚は確かにあります。ただ、重症の患者さん、中等症の患者さんは先に優先順位で入院していただきますので、待っている患者さんたちは、次の日には大体解消しております。この逼迫は、一時的なものでありまして、本当の病床の逼迫とは違うということで、たくさん質問を受けますので、こういう説明を加えさせていただきます。
7月29日(水曜日)から8月4日(火曜日)までの陽性者2411人のうち、無症状の陽性者が13.5%を占めていますので、宿泊療養施設を増やしているのですが、運営に当たる医師等は通常の医療現場から人員を確保しているため、充足に苦労しています。感染拡大防止、医療提供体制の確保、宿泊療養施設の確保とともに、安全な自宅療養のための環境整備を早急に進めなければならないと考えます。そのため、検査陽性で重症化リスク者に該当せず、入院が必要でないと医師が判断した場合、宿泊療養、自宅療養の対象となる者の要件を定め、統一した運用を図る必要があります。自宅療養に当たっては、配食サービス、それから地域医療、例えば、かかりつけ医であったり、それから訪問診療のナースであったり、地元の地域医療の資源ですね、そうした地元医療が、支援する体制などの環境を整備するとともに、ITを活用した健康観察システムの導入など、保健所業務を支援する必要があります。
保健所から入院調整本部への調整依頼件数は、1日150件を超える日もあり、特に中等症患者に関する依頼件数が増加しており、保健所と入院調整本部による入院調整が難航しています。また、調整の末、入院先医療機関が決定した後に、症状の改善や患者さんの希望でキャンセルする事例が1割程度発生しています。これはどういうことかというと、入院を決めます、調整するのにすごく時間をかけて決めるんですけれども、例えば、入院の施設に、入浴施設がないとかWi-Fiがないとか、そういう事情で、入院をキャンセルするというか、拒まれる方がいるということも事実です。だから、調整機能が逼迫するのは、そのスピードの問題だけじゃなくて、結構こういう幾つかの効率的ではない部分がございまして、都民の皆様の理解と協力をぜひ必要となっている事態でありますので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、重症患者数です。重症患者数は、その時点で人工呼吸器またはECMOを使用している患者数であり、数は1週間前とほぼ同数ですが、傾向としては、一度減少してから、今、ちょっと増加してきているというところです。矢印としては、赤の横線、横向きになっております。ですが、数はそれほど多くなく、22人から21人なんですけれども、一度減ってから増えているというところは、やはり注目しなくてはいけないです。第1波では、ピーク時に医療機関は予定手術や救急の受け入れを大幅に制限せざるを得ませんでしたが、特に重症患者数の増加は、新型コロナウイルス感染症患者のための医療だけでなく、それ以外の疾患の重症患者に必要な集中治療の提供体制を圧迫することになります。第1波では、新規陽性者数の増加から約14日遅れて重症患者数が増加したので、引き続き警戒が必要です。重症患者の救命のためには、集中治療室等の病床確保が不可欠です。重症患者においては、病床の占有期間が長期化することを念頭に置いた病床確保の取組が必要です。
色々逼迫している様子をちょっとずつ呈してきてはいるんですが、先ほども言いましたように、入院病床が足りなくて、入院できないという事態には至ってない。それから、重症の患者さんが集中治療室等で治療を受けられないという事態にもなってないということで、だいだい色、上から2番目の「体制強化が必要と思われる」というふうに判断しております。以上です。

質疑応答

【記者】東京新聞の小倉です。よろしくお願いします。小池知事は、夏休み中の都外への帰省、旅行を控えるように都民に呼びかけられたと思います。一方で、安倍首相が本日の会見で、「お盆の帰省については基本的な感染防止策を徹底するように」と述べるにとどまっています。Go To キャンペーンが実施されている中で、都と国とで多少の温度差というか、方向性のずれみたいなものも感じますけれども、感染者が増えている東京都の知事として、受け止めをお聞かせください。

【知事】今のご質問がそのまま答えかと思います。というのも、Go To キャンペーンから東京は外れております。感染者は増えております。そして今、分析いただいたような状況でございます。ということは、都民の皆様方の自身のご家族を守り、また、例えば、ご実家、地方に帰省をされるということがあっても、やはりご家族を守るということも必要になってくるし、例えば、帰省先の医療体制がどうなっているのかということにも思いをはせますと、今年の夏は「特別な夏」だということで呼びかけをさせていただいたということです。それぞれ地域によって事情が違いますでしょうし、そこは国としてこのキャンペーンを行っておられる中で、総理がご発言をされたものということで承知をしております。

【記者】日経新聞の亀です。PCR検査、検査体制について2点伺います。世田谷区の方が、プール方式という方式を用いて、今、色々アイデアを練っているそうですけれども、このプール方式について、都として何か研究なりをされているのかということと、そういうのを実施する区市町村に対して何か支援をお考えなのかということをお願いします。
それと、東京都医師会で、1400カ所のかかりつけ医による拠点というのを今、構想も出されているんですけれども、それに対する支援について都としてどのようにお考えなのか、お伺いします。せっかくの機会なので、PCRのプール方式について、猪口先生のご見解も伺えたらと思っております。よろしくお願いいたします。

【知事】プール方式、世田谷区で今、東大の研究所と連携してなさるという件、それから、1400カ所、都の医師会でおっしゃっている件、それぞれ担当の福祉保健局長からお答えして、あとは先生も、よろしくお願いします。

【福祉保健局長】プール方式については、皆様ご存じのように、中国とか韓国などで導入されておりますが、今、知事からお話のあったように、日本国内ではまだ検証段階であるというふうに伺っております。東京都としては、世田谷区の取組も注視して、今後の対応を考えていきたいと考えてございます。
あと、東京都医師会の皆様には、これまでPCRセンターの設置、運営に当たりまして大変なご尽力をいただきました。今回、打ち出された1400カ所でのPCR検査というのは、より身近な地域で受けられるようになるということで、都民にとっても非常に心強い取組だと思っておりますので、先生とも一緒に連携しながら、そういった取組を推進していきたいと思っております。

【猪口委員】では、私から。プール方式に関しては、確かに外国でそういう例をやっていて、効率よく多くの方の検査をできると聞いております。日本のそのシステムがそれに合っているかどうかとか、そういうところの検証が全部済んでいるわけではございませんので、注視して、場合によっては世田谷区の場合も、多分、世田谷医師会が、協力していることだろうと思いますので、そちらと一緒に相談しながら、必要ならば相談して考えていきたいと。しっかり検証されることが大事だろうと思います。
それから、東京都医師会が1400カ所の拠点を設けるということに関しては、病院で、今まで新型コロナ感染症外来として、PCRをやっていた施設に加えて、それから、診療所でPCRをするようにすると。今、集団契約で、集合契約で、それで大規模検査を始めておりますけれども、その数をどんどん増やしてやっていくと。この感染症を抑えていくのに、PCRの検査数というのは非常に大事なものだと思っておりますので、1400カ所、ぜひ東京都医師会としては、東京都と一緒に、ともに協力しながら進めていきたいと思っています。

【記者】テレビ東京の吉田です。よろしくお願いします。知事、モニタリング会議で、安心して自宅療養できる環境の整備をしていくとおっしゃいましたが、これまで軽症者は原則ホテル療養でしたけれども、これからは自宅療養も容認されていくということでしょうかということが1点と、もう1点ですね、猪口先生に、自宅療養を整備するに当たって一番大切なことは何か、お伺いさせてください。

【知事】自宅療養につきましては、統一的な見解などもまとめていくこととなろうかと思います。そういう中で、20代、30代の方が約7割を占める軽症・無症状者の状況でありますけれども、例えば、発症日から何日たっているとか、それから、お一人でお住まいなのかどうかなど、色々な確認を保健所でもされているということで、自宅でも療養できるようにするということも、今、既にそのような状況にもあろうかと思います。
それから、介護、育児などの事情で、現在、自宅療養されている方については、健康状態の把握、そして食事の提供などの生活支援に加えて、今、先生から配食サービスという分析もしていただいた、アドバイザーの方々からもそういう声も出ております。既にそれを実施している区などもあります。そしてまた、そのような生活支援に加えて、同居者への感染防止などのサポート体制を、都としても整えるようにということで、担当にも指示をしているところであります。

【猪口委員】自宅療養に関しては、現在モニタリングで見ているとおり、無症状者が13.5%出ています。そういった患者さんを中心にリスクを分析して、まず健康観察を安全にできる方たち、自宅療養でいて重症化するということが見過ごされるようであっては困りますので、まずかなりリスクが少ない方であり、なおかつ健康観察ができる状況をつくるということが1つ。
もう1つは、感染を広げないという視点も大事でありますので、その家庭の環境です。配食サービスというのは、外出をしないでいてもらうためにそういうサービスを考えておりますけれども、我々医師会としては、地域のかかりつけ医であったり、その地域の医療のリソースをうまく使いながら、健康観察と、それから拡大の防止を努めていきたいと思います。こうしたものは、全部医学的知見に基づきながら、色々判断していきたいと考えています。以上です。

【記者】フジテレビの小川です。今日、夏の過ごし方のお願いの中で、夏季休暇とテレワークの組み合わせで出社を大幅に抑制というのがあるんですが、なかなかテレワークも、東京都は他のところに比べて進んでいるとはいえ、やはり行政の側からの強い呼びかけがないとなかなか実践できないという会社もあるかと思います。小池知事は、感染拡大予防のためのテレワークの拡大というのをどのように今後進めていきたいとお考えなのかということと、あと猪口先生がさっきおっしゃっていた、Wi-Fiがなくて入院をキャンセルですとか、そういったそもそも調整が難しい状態の中で、1割キャンセルが発生しているというのもちょっと驚いたんですけれど、Wi-Fi以外にも、こういった事例で何かキャンセルを言われてしまってなかなか入院調整が進まないいうところがあったら、また教えてください。

【知事】では、私から。テレワークについてですが、多摩の方で、都が3カ所ですけれども、サテライトオフィスを設けましたところ、大変ニーズがありまして、多摩地域に住んでおられる方々で、かつテレワークを行われることによって経済活動が継続しつつ、それぞれの働き方を変えることで育児や介護などが両立しやすい、そのようなモデルケースができてきております。
それから、テレワークをするに当たって、まずテレワークの環境を整えなければなりませんので、ハードと、それからソフト、中には、必要なアプリなども、会議用のアプリなども含めて、これまでも補正の予算も含めて、合計すると数百ぐらいだったか、数字的にも100億オーバーの補助をさせていただき、かなり広がってまいりました。むしろこの拡大は進めてきたので、これから改めて定着の部分が必要だと思います。ということで、テレワークやサテライトオフィスなどを使った、おうちでは子供さんがおられて、会議をしているときにも、色々なエピソードが語られるところでありますけれども、それを、サテライトオフィスを活用することなどで、さらに定着をしていきたい。
この夏のお盆のシーズンは、そもそもお休みのところも多いことでしょうから、そういったこと、ハードなどを会社と、それから、テレワークのおうちであったり、企業として、多摩地域にテレワークのオフィスをつくったりなど、そういったことを仕込むには最適なタイミングだと思いますので、そういった意味でも後押しをしていきたいと考えております。拡大から定着へということで、テレワーク、改めて進めてまいります。
それから、急にキャンセルが出るのは、本当に現場を担当している局長、それから先生からも加えていただければと思います。保健所の皆様は、そういうことで色々ご苦労されているので、バックアップ要員を送らせていただいたり、色々なお手伝いをしているということです。

【福祉保健局長】実情を申しますと、まずは保健所で入院が必要なのか、あるいはホテル療養が必要なのかということで、入院が必要な場合は、順番に電話していって、入れますかということをやるわけですけど、それがどうしても保健所で手に負えなくなると、私ども東京都に入院調整会議というのがあって、先生方にご参加いただいてやっているわけですけど、手間暇かかって、時間がかかる間に、さっき、先生がおっしゃったような、ある意味、個人的な事由でキャンセルというのもありますし、あるいは、その間に回復してしまって、特に入院に当たらないという場合もあったり、色々なケースがございます。

【猪口委員】入院が急に決まるという意味においては、僕たちの医療界では不本意入院というような言葉を使いますけれども、救急で入院しなくてはいけなかった患者さんだとか、こういうことで急に入院するという方たちは、やっぱり準備ができていないので、色々なことが気になる。それは、やっぱり精神的に非常に動揺している状況だから、そういうこと起きやすいとは思っています。
他に事例としては、家にペットがいるのでどうしても帰りたい、仕事が気になるとか、そういうような事由です。

【知事】入院や宿泊療養などの場合も、そういう調整をした上で、送りはしないけど、迎えは行きます。宿泊療養のときなど。その車が、やはり特殊なものが必要でありますので、昨今のこの陽性者が増えていることに鑑みて、そういう特殊車両も増やしているところです。
それぞれの地域で、そういう方々を順番に乗ってもらってホテルへ届ける。皆様も取材されていて、よくご存じだと思いますけれども、そういう物理的な足の確保や、それを実際に運転する方、これも色々ご協力をいただいているわけでありますけれど、現実は、そういうことに、日々、陽性者が増えることによって、それだけ事務的な負荷ということも増えているということも、この数字の中に、その背景にあるそれらの現実もあるということであります。
それら、総数だけで見ていると分からない部分というのは、現場で、とにかく頑張っていただいているというのが医療従事者もそうですし、保健所もそうですし、また、都でも、職員も本当に毎日努力してもらっているという状況です。

【記者】毎日新聞の内田です。よろしくお願いします。夏の過ごし方のお願いの部分で、今、やっています営業時間の短縮の要請についてですが、これ、お盆で、また皆様、会食控えてほしいといっても、会食される方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の要請で、一部、大手のチェーン店さんなんかは、今回は協力できないということで、営業時間を短縮されていないところもあるようなのですが、あくまでお願いベースなのでなかなか難しいところだと思うんですけども、今後、感染が拡大したときに、知事も都独自の緊急事態宣言をお願いしないといけないこともあり得るとお話をされる中で、なかなか協力、今回得られないとなると、今後の実効性にもちょっと懸念が出てくると思うんですけども、そういう動きに対して、都として何かさらにお願いをしていこうとか、そういうようなお考えというのは何かございますでしょうか。

【知事】これは法律的な部分、条例的な部分でカバーしきれないところがあるという証左だと思います。ただ、これは今年の夏は「特別な夏」だと申し上げているのは、いつまでも同じこと繰り返すわけにいかないので、皆様、ご協力をよろしくということを申し上げているわけでございまして、色々、実際の経営に当たっている方、ご苦労はよく分かります。そしてまた、特に外食産業というのは、人に来てもらわないといけないという職種というか、そういう現場であろうかと思います。
一方で、都として、中身にもよりますけれども、例えば、出前のような形で、デリバリーを強化していただいたりという形で、色々と後押しをさせていただくわけでありますけれども、今、感染の拡大を防止するという意味で、色々な事例が出ているのは、やはり会食であったり、そのときにお酒でわいわいとやっているうちに広がってしまうという例も多々ある。では一方で、家に帰って、今度、家庭内感染のときには大皿をやめましょうとか、今日も細かい話までさせていただいたわけでありますけれど、やはり、もう感染しない、させないのキーワード、これをこの夏は「特別な夏」なので、皆様、よろしくと、この一言しかありません。
さらには、特措法の改正などは、色々な世論調査を見ましても、もう圧倒的に多くの方々が望んでおられる。それに対して、国の法律を超える条例ができないという中において、東京都の感染者数や、今日、モニタリングの分析をし、総括コメントをさせていただいた中で、都として、また現場としてできることを精いっぱいやっていく上において、皆様方のご協力をお願いしますと、ここに尽きるわけであります。
この夏を「特別な夏」にしていこうということが、今日、この月、できるだけ、それも早くに、コロナに打ち勝つということを進めていきたい、それをメッセージにさせていただきます。

(テキスト版文責 政策企画局政策調整部政策調整課)


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