- 報道発表資料
東京都消費者被害救済委員会付託 「ロードサービスの契約に係る紛争」の解決を付託しました
都内の消費生活センターには、インターネットで検索して依頼したロードサービスの契約に関する相談が、多く寄せられています。
本日、知事は、東京都消費者被害救済委員会(会長 村千鶴子弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に、標記紛争の解決を新たに付託しましたので、お知らせします。
付託案件の概要
申立人
20歳代 給与生活者
契約内容
ロードサービスの契約(契約金額約15万円)
申立人の主張による紛争の概要
車を車庫から出そうとしたところ後輪がロックして動かなくなった。インターネットでロードサービスを検索し、「約3,000円~」と広告に表示されていた事業者に電話をしたところ、担当者を向かわせると言われた。事業者は到着すると車の状況を確認し、「整備工場に出す必要がある。15万円ほどかかる。」と言い、「このまま路上に車を出していると警察に車両を移動させられる可能性があるので、すぐに対応しないといけない。」とせかされた。その後、「整備工場に依頼した。これからレッカー車がくる。」と言われ、契約書への記入を促された。作業や金額の内訳について説明はなく、修理代だと思ってデビットカードで15万円を支払った。しばらくして、レッカー車が到着し、車を整備工場に運ぶと、事業者は帰っていった。整備工場で車を見てもらったが、整備士からは、「サイドブレーキが上がっていただけではないか。」と言われ、修理することはなかった。
レッカー移動だけで15万円支払ったと分かり、翌日に消費生活センターに相談し、クーリング・オフ通知を出したが、応じてもらえない。
消費者被害に関する注意喚起
- インターネットで検索して依頼したロードサービスに関する契約トラブルが増えています。広告に表示された料金等をうのみにせず、事前に作業内容や料金を確認しましょう。
- 自動車保険にロードサービスが付帯している場合もあります。まずは契約している保険会社や保険代理店に問い合わせましょう。
- 想定外の高額な請求に困ったり、トラブルになった場合は、早めに消費生活センターにご相談ください。(消費者ホットライン「188」局番なし)
付託理由
自動車のトラブルは消費者自身での対処が困難なことが多く、事業者に依頼することが一般的ですが、近年、インターネットで検索して依頼したロードサービスに関する相談が増加しています。相談の多くは、広告に表示された安価な代金を見て事業者に依頼したところ、実際には事前に説明のなかった高額な費用を請求されたというものです。
本件を解決することにより、解決に当たっての考え方を広く示し、同種の消費者被害の防止と救済を図るため、本件を付託しました。
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主な問題点
- 申立人は検索したインターネットの「約3,000円~」という広告を見て、せいぜい1万円くらいだろうと思い、当該事業者にロードサービスの作業を依頼した。このとき、約15万円もの金額になることやレッカー移動が必要になるとまでは思っていなかったという。また、電話で依頼したときには、「担当者から折り返す。」と告げられたのみで、作業内容や料金、キャンセル料などの説明がなかったこともあり、契約内容は不確定であった。
本件では、消費者が広告を見て、ロードサービスの契約をするために事業者に来訪を請求【注】している。しかし、その時点ではどのような作業内容となるかは確定しておらず、また消費者が想定していた金額と実際の請求額にかい離があり、それについて事前に説明がなかったとすれば、特定商取引に関する法律の規定する訪問販売におけるクーリング・オフが可能となるのではないか。
【注】販売業者等が自らの意思に基づき住居を訪問して販売を行うのではなく、消費者の「請求」に応じて行うその住居における販売等は、クーリング・オフ等の規定が適用除外となる。 - 突然の自動車の故障など、急を要する事態が発生すると、慌ててインターネットで検索し目についた事業者に依頼してしまうことがある。消費者が冷静に判断することが難しい状況では、事業者は契約を急がせたりせず、役務内容や料金について分かりやすく丁寧に説明すべきではないか。
東京都消費者被害救済委員会における今後の処理
東京都消費者被害救済委員会とは
東京都消費生活条例に基づき設置された知事の附属機関で、弁護士や大学教授などの学識経験者、消費者団体の代表及び事業者団体の代表で構成されています。
都内の消費生活センター等の相談機関に寄せられた消費生活相談のうち、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行います。
委員会に付託すると
委員数名による部会を構成し同部会で審議を行います。両当事者から話を聴き、公正な解決策を検討し、両当事者にあっせん案として提示します。両当事者が受諾すれば解決となります。あっせん案の考え方は当該紛争だけでなく、他の類似紛争の解決にも役立つことから、東京都消費生活条例に基づき、広く都民の方々や関係者にお知らせしています。
委員
別紙(PDF:119KB)のとおり
紛争処理実績
こちらから
詳しくは「東京くらしWEB」をご覧ください。