- 報道発表資料
多摩動物公園情報 ボルネオオランウータンの「ジュリー」が死亡しました
多摩動物公園(園長 渡部浩文)で飼育していたボルネオオランウータンの「ジュリー」(メス)が死亡しましたので、お知らせします。
(撮影日:2019年3月19日)
1.死亡したボルネオオランウータン
名前
ジュリー
性別
メス
年齢
60歳
生年月日
1965年5月6日(多摩動物公園生まれ)
死亡日
2025年8月19日
死因
肝硬変
2.経緯
ジュリーは、1965年5月6日に多摩動物公園で誕生しました。2度の出産を経験し、1度目は死産でしたが、2度目の出産で1頭の子を残しました。また、非常に子どもの世話をすることが好きな個体であり、国内初となる代理母として、血縁のない人工哺育の子どもを育て上げることにも成功しました。現在、世界で飼育されるボルネオオランウータンの中で、飼育期間が最も長く、国内最高齢の個体でした。
2025年1月初め頃から、鼻づまりのような症状が見られるようになり、食欲が低下し始めました。1月の終わり頃から、少しずつ食欲が回復していきましたが、3月頃から再び食欲の低下が見られるようになり、嗜好性の低い野菜や果物を残すようになりました。麻酔下での検査も検討しましたが、ジュリーの年齢と体力の低下から、実施を断念せざるを得ませんでした。ヒト用の栄養調整食品を与えるなどして、体調の維持をはかりましたが、7月の終わり頃からそれまで採食していた野菜や果物も食べなくなりました。パンやビスケットなど少しでも食べられるものを試行錯誤しながら与えていましたが、8月19日の朝に飼育担当職員が死亡を確認しました。
3.当園での飼育状況(2025年8月21日現在)
9頭(オス6、メス3) ※今回死亡した「ジュリー」は含みません。
4.国内の飼育状況(2024年12月31日現在)
11施設 26頭(オス14、メス12)
資料:2024年ボルネオオランウータン・スマトラオランウータン国内血統登録台帳【(公社)日本動物園水族館協会】
参考
ボルネオオランウータン(霊長目 ヒト科)
ワシントン条約附属書1、IUCNレッドリスト:CR(絶滅危惧1A類)、東京都ズーストック種
学名
Pongo pygmaeus
英名
Bornean orangutan
分布
ボルネオ島
生息地
熱帯雨林
生態等
寿命は50年程、チンパンジーやゴリラと並ぶ大型類人猿の一種です。樹上生活に適した体をもち、長い腕でゆっくりと枝から枝へ腕わたりをして森の中を移動し、一生のほとんどを樹上で生活します。体重はメスで40~50キログラム、オスで60~90キログラムぐらいで、飼育下ではそれより大型の個体も多く見られます。果実や木の実、種子、昆虫類など、いろいろなものを食べます。基本的に単独でくらしますが、メスは子どもを連れていることもあります。性成熟は7~15歳であり、妊娠期間は 260~275日。母親は8~9年かけて子を育てます。14~15歳で成熟したオスはフランジと呼ばれる頬の張り出しやのど袋に二次性徴が現れることもあります。
※「ワシントン条約附属書1および絶滅危惧1A類」の数字の正しい表記はローマ数字です。