- 報道発表資料
令和6年度 地方独立行政法人東京都立病院機構業務実績評価結果
〔別紙4〕
東京都が設立した地方独立行政法人東京都立病院機構(以下「法人」という。)の令和6年度業務実績評価について、お知らせいたします。
1 評価制度の概要
- 知事は、法人の各事業年度の業務実績について、地方独立行政法人法第28条及び東京都地方独立行政法人評価委員会条例第2条の規定に基づき、附属機関である東京都地方独立行政法人評価委員会(以下「評価委員会」という。)の意見を聴いたうえで、評価を行うこととなっています。
- 評価委員会は、大野高裕氏(早稲田大学理工学術院創造理工学部教授)を委員長とし、計24名の外部有識者で構成されています。当法人については、福井次矢氏(日本薬科大学学長)を分科会長とする都立病院分科会に意見を聴いています。
2 評価方針と手順
- 知事が定め法人に指示した4年9か月間の中期目標の達成に向け、法人が作成した中期計画の事業の実施状況を確認すること、法人の業務運営の改善・向上に資することなどを評価の基本方針とし、法人から提出された業務実績等報告書をもとに、法人に対するヒアリング等を実施するとともに、評価委員会から意見を聴取しました。
3 評価結果の概要
- 評価は、「項目別評価」と「全体評価」とで実施しました。
- 項目別評価は、「行政的医療や高度・専門的医療等の安定的かつ継続的な提供」「災害や公衆衛生上の緊急事態への率先した対応」などの分野における、令和6年度計画の計21項目について、事業の進捗状況・成果を5段階で評価しました。
- 全体評価は、項目別評価を基礎とし、法人の中期計画の進行状況全体について評価しました。
項目別評価(21項目)
- 評定S(年度計画を大幅に上回って実施している)・・・1項目
周産期医療 - 評定A(年度計画を上回って実施している)・・・7項目
がん医療/精神疾患医療/救急医療/小児医療/総合診療の提供/地域包括ケアシステム構築に向けた取組/業務運営の改善及び効率化に関する目標を達成するためとるべき措置 - 評定B(年度計画を概ね順調に実施している)・・・12項目
災害医療/島しょ医療/感染症医療/難病医療/障害者医療/その他の行政的医療、高度・専門的医療等の提供/災害や公衆衛生上の緊急事態への率先した対応/健康増進及び疾病予防に向けた普及啓発/患者中心の医療の推進/質の高い医療の提供/診療データの活用及び臨床研究・治験の推進/その他業務運営に関する重要事項 - 評定C(年度計画を十分に実施できていない)・・・1項目
財務内容の改善に関する目標を達成するためとるべき措置 - 評定D(業務の大幅な見直し、改善が必要である)・・・なし
全体評価
1 総評
- 全体として年度計画を概ね順調に実施しており、中期計画の達成に向け着実な業務の進捗状況にある。
- ハイリスク妊産婦、新生児等への高度で専門的な医療の提供や、一般医療機関では対応が難しい未受診妊婦等への対応、精神科救急患者、精神科身体合併症患者、小児の重篤患者の積極的な受入れなど、行政的医療を着実に提供したほか、医療的ケア児に対するレスパイト入院の受入れを拡大することで、患者家族への支援を強化した。
- 地域の医療機関のニーズを適切に捉えながら連携の強化を図り、入退院支援システムや医療介護用SNS、東京総合医療ネットワーク等のICTを活用した取組を推進した。
- 即戦力となる人材の確保やライフ・ワーク・バランスの推進等、働きやすい環境整備に加え、厳しい経営状況の中、救急患者や初診患者の受入体制強化など、収支改善への取組について、法人全体で積極的に推進した。
2 都民に提供するサービス及びその他の業務の質の向上に関する事項
- がんゲノム医療やCAR-T療法などの質の高いがん医療を提供するとともに、積極的な患者受入れを行い、手術、放射線治療、外来化学療法の各種治療に取り組んだ。
- 各病院において、精神科救急医療、精神科身体合併症医療、依存症や認知症患者に対する医療等、専門性の高い精神疾患医療を着実に提供するとともに、患者の療養環境改善等に積極的に取り組み、精神疾患医療の質の向上に努めた。
- 広尾病院での東京都立病院機構総合診療専門研修プログラムの試行実施において、救急応需率向上への貢献などの成果があったことに加え、様々な取組により、総合診療医の育成に積極的に取り組んだ。
3 法人の業務運営及び財務状況に関する事項
- 即戦力となる人材の確保やライフ・ワーク・バランスの推進等、働きやすい環境整備に加え、厳しい経営状況の中、救急患者や初診患者の受入体制強化など、収支改善への取組について、法人全体で積極的に推進した。
- 医療を取り巻く環境が非常に厳しい中においても、採算の確保が困難な行政的医療の安定的かつ継続的な提供を行いながら、法人を挙げて経営改善に取り組んだものの、医業収支比率などは目標に届いておらず、計画を大きく上回る239億円の純損失を計上した。
4 中期目標・中期計画の達成に向けた課題、法人への要望
- 令和7年度は、法人設立から4年目となる。中期目標・中期計画の達成に向けて、職員一人ひとりが有する専門性を一層発揮しながら、一丸となって取組を進めていく必要がある。
- 引き続き収入の確保と適切な支出の徹底に努めながら、行政的医療及び専門的医療等の提供や地域医療の充実への貢献といった役割を将来にわたり安定的かつ継続的に果たしていくことを期待する。
記事ID:000-001-20250917-043383