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報道発表資料
東京都人事委員会

令和7年人事委員会勧告等の概要

1 ポイント

例月給、特別給ともに4年連続の引上げ改定

  • 公民較差(13,580円、3.24%)解消のため、給料表を職級によりメリハリをつけた上で全級全号給引上げ改定
  • 人材確保の観点から、初任給を大幅に引き上げるなど、若年層に重点
  • 管理職について、全体の平均改定率を上回る重点的な引上げ、監督職も職責に応じた処遇の強化による引上げ改定
  • 特別給(賞与)は年間支給月数を0.05月分(4.85月→4.90月)引上げ

給与制度の改正

  • 管理職の職責の高まりを踏まえた給与のアップデートとして、課長級の給料表を見直すとともに、給料の特別調整額(管理職手当)の改定について意見
  • 住居手当について、採用における競争力向上の観点から、新規学卒者を主な対象として、27歳までの職員に対する支給額を30,000円に引上げ

2 職員と民間従業員の給与比較

(1)比較の方法

  • 企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上の都内11,494事業所を調査母集団とし、そのうち1,292事業所を無作為抽出して調査
    (調査完了795事業所 調査実人員63,994人)
  • 公民比較に当たっては、国の見直しを踏まえつつ、都内民間事業所の状況、都職員の職責の高まり及び人材獲得競争における競争力向上の観点から、比較対象企業規模を50人以上から100人以上に見直し

例月給

職員と民間従業員の4月分支給額を調査し、ラスパイレス方式により、主な給与決定要素である役職、学歴、年齢を同じくする者同士の給与を対比させ、職員の人員数のウエイトを用いて両者の給与水準を比較

特別給

民間従業員に対する直近1年間(昨年8月から本年7月まで)の賞与の支給実績を調査し、職員と比較

(2)比較の結果

例月給

(平均年齢 41.3歳)

民間従業員 職員 公民較差
432,157円 418,577円  13,580円(3.24%)

(注)職員給与は、本年4月の行政職給料表(一)適用者(新規学卒採用職員を除く。)の給与

特別給

民間支給割合 職員支給月数
4.90月 4.85月 0.05月

3 給与の改定

(1)改定の考え方

  • 民間従業員の給与が職員の給与を上回っていることから、給料表を引上げ改定
    配分[給料11,295円、はね返り(地域手当など)2,285円]
  • 特別給についても、民間の支給割合が職員の年間支給月数を上回るため引上げ

(2)改定の内容

ア 給料表

区分 内容
行政職給料表(一)
  • 人材確保の観点から、初任給を大幅に引き上げるなど、若年層を重点的に引上げ
  • 管理職について、全体の平均改定率を上回る重点的な引上げ、監督職も職責に応じた処遇の強化による引上げ改定
  • 全体の平均改定率3.4%
  • 初任給は、多様で有為な人材確保のため、国の初任給の改定状況等を踏まえ引上げ
    1類B+16,500円(225,500円→242,000円)
    2類+14,100円(199,700円→213,800円)
    3類+12,300円(188,000円→200,300円)

※その他の給料表については、行政職給料表(一)の改定内容を基本として改定
※指定職給料表については、国に準じて改定

イ 特別給

  • 民間の支給状況を踏まえ、年間支給月数を0.05月分引上げ
  • 引上げは期末手当及び勤勉手当で実施

ウ 初任給調整手当

  • 医師の処遇確保の観点から初任給調整手当の支給限度額を326,900円に引上げ

(3)実施時期

  • 給料表及び初任給調整手当の引上げは、令和7年4月に遡及して実施
  • 特別給の引上げは、令和7年12月支給の期末・勤勉手当から実施

4 給与制度の改正

(1)管理職の給与のアップデート

  • 都政課題の多様化・複雑化に伴う管理職の職務の困難度・職責の高まりに対応するため、管理職の給与のアップデートとして、給料表及び給料の特別調整額(管理職手当)の見直しを実施
  • 課長昇任時の職務・職責に見合った給与上昇を確保し、管理職への早期昇任のインセンティブを高めるため、課長の級における給料月額の初号の水準を引上げ
  • 給料の特別調整額(管理職手当)について、これまでの給料表の改定状況や区分による職責差を適切に支給額に反映する見直しを行うことが適当

(2)人材確保に資する処遇の改善

ア 住居手当の見直し

  • 人材確保の困難さが増す中、採用における競争力向上の観点から、現在の枠組みを維持しつつ、新規学卒者を主な対象として、27歳までの職員に対する支給金額を30,000円に引上げ

イ 初任給決定における経験加算の見直し

  • 民間企業等における多様な経験を適切に給料に反映できるよう、職種や雇用形態で異なる換算率としている経験換算方法について見直すとともに、加算限度号給(経験等を換算して給料に加算する号給数の上限)についても見直すことが適当

(3)その他の手当について

ア 通勤手当

  • 人事院は、自動車等使用者に対する通勤手当について、距離区分の見直し、支給金額の引上げ及び駐車場等の利用に対する手当の新設等について報告・勧告
  • 都においては、国の改正内容や通勤の実態を踏まえ、適切な対応を検討する必要

イ 特地勤務手当等

  • 人事院は、特地勤務手当等と地域手当等他手当との減額調整の廃止や特地勤務手当に準ずる手当の支給対象の拡大等の見直しについて報告・勧告
  • 都においては、都独自に改正してきた経緯等を踏まえ、国の改正内容や島しょ在勤者の実態等を考慮し、適切な対応を検討する必要

ウ 職員の月例給与水準を適切に確保するための措置

  • 人事院は、月例給与水準が地域別最低賃金に相当する額を下回る場合に、その差額を補填するための新たな手当の措置について報告・勧告
  • 国が措置する手当の内容や東京都の最低賃金の状況、職員の給与水準の実態等を踏まえ、今後の法改正の動向を注視

(4)教員給与の見直し

  • 本年、教員の処遇改善を盛り込んだ法改正が行われたことを踏まえ、都として教員給与について適切な対応を行う必要

ア 教職調整額の引上げ

  • 法改正に基づき、教職調整額を現行の給料月額の4%から10%まで引上げ。令和8年1月から毎年1%ずつ段階的に引き上げ、令和13年1月に10%とする。

イ 教育管理職に対する加算措置

  • 校長及び副校長の給料月額に、教職調整額の引上げ分に相当する加算額を措置。令和13年1月に24,800円となるよう、令和8年1月から、毎年段階的に引上げ

ウ 学校教育法改正による新たな職への対応

  • 都が平成21年から設置している主任教諭について、法改正により新設された主務教諭との職の位置づけや給料表における級の適用等について整理する必要

エ 義務教育等教員特別手当の見直し

  • 国における義務教育等教員特別手当の見直しに伴う学級担任に対する加算等の措置については、都における厳しい教員採用の実態を踏まえ、適切な対応を検討する必要

(5)実施時期

(1)及び(2)のアについては、令和8年4月1日から実施し、(4)のア、イ及びエについては、令和8年1月1日から実施することが適当

5 今後の課題

(1)職務給の更なる進展

  • 今後も、職務・職責の給与への反映を徹底するため、都の実態に即したあるべき給与制度について研究・検討

(2)国の新たな人事制度検討への対応

  • 人事院は、新たな人事制度の構築に向け、給与、勤務時間、任用について一体的に見直し、令和8年夏に措置の骨格、令和9年夏に具体的な措置内容を報告できるよう検討を進める旨報告
  • 都においても、国の動向に留意しながら、都の実態を踏まえ検討

(3)定年の段階的引上げを見据えた給与制度の検討

  • 人事院が進める65歳定年を見据えた給与水準の在り方や給与カーブの在り方の検討状況を注視し、都における定年引上げ等に伴う任用実態の変化や民間における高齢層の給与の状況等を継続的に把握し、給与制度の在り方について研究・検討

6 人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)

  • 社会経済の変化やAI等の技術革新により、労働市場や雇用制度、働き方にも大きな変革。柔軟かつ戦略的な人材マネジメントも必要
  • 都は時代の変化・変革を的確に捉え、人事・給与や人材育成等に係る制度を更にアップデートしていくことが重要
  • 職員が都政の課題解決に貢献するやりがいや達成感を実感し、誇りを持って働ける都庁を実現することが、政策の質の向上やイノベーションの創出につながることから、今後とも人材の力を最大限に引き出す不断の取組を推進

(1)多様で有為な人材の確保

  • 人材の確保が一層困難となる中、都では令和5年度以降、採用制度の見直しに集中的に取り組んできた。Ⅰ類B採用試験(新方式)や経験者採用選考等で受験者・申込者数が大幅に増加するなど明るい兆し
  • 取組の成果を持続させるため、採用状況を経年で評価・分析するなど、多様で有為な人材を安定的に確保できる採用制度へ継続的なアップデートが重要
  • 採用後のサポートとして、新規学卒者については、採用時の能力実証が多様化している現状を踏まえ、基礎知識等の早期習得に向けた研修の充実と、職場内でのきめ細かなサポートの強化が必要
  • 職務経験者には、早期のギャップ解消と定着支援により専門性を発揮できる環境を整備するとともに、適切な配置や任用等を通じて、都庁以外で培われたキャリアも十分に尊重されることが重要

(2)都職員としてのキャリアを描き、成長できる環境づくり

  • 昇任制度における主任級職については、基礎力確認テストの導入による効果を継続的に検証・評価するとともに、監督職へのステップアップを前向きに捉えられるよう、キャリア形成支援を充実させていくことも有効
  • 管理職については、処遇改善や柔軟な働き方の推進に加え、研修や支援体制の充実を図り、職員が前向きに昇任を自身のキャリアの選択肢として自然に捉えられるようにしていくことが重要
  • 行政専門職を含む管理職選考の実施状況及び任用状況等を検証し、受験者の負担軽減と質の高い人材確保を両立できる選考の検討など、不断の改善に取り組む。
  • 有為な人材の確保・活躍に向け、職員のキャリア形成を支援し、業務を通じた成長機会の提供や主体的に学べる環境を整備することが必要
  • デジタル技術のスキル・リテラシーの向上を図り、生成AI等を駆使し、より高次な業務を遂行できる能力を涵養。国際感覚を磨く学びの機会の提供、国・民間等との人事交流の活発化など、挑戦・成長できる環境づくりが重要

(3)女性の活躍推進

  • 女性活躍に関する新たな条例の制定を見据え、都が率先して、仕事を通じた女性活躍のための環境整備や社会のマインドチェンジを牽引
  • 女性職員が管理監督職に安心して挑戦できるよう、長時間労働の是正や育児と仕事を両立しやすい柔軟な働き方の促進に加え、管理職候補者がライフプランに応じて昇任時期を選択できる猶予制度も活用するなど、キャリアアップを後押し
  • 課長代理級以上になると女性職員の構成比が低下する現状があることから、課長代理昇任を促進しつつ、管理職への登用を戦略的に推進
  • 女性職員が早い段階からスキルを磨き、キャリアアップできるよう、幅広く有益な経験を培える仕事にチャレンジが可能となる人事マネジメントの充実が不可欠

(4)やりがいを実感し、誰もが活躍できる職場づくり

  • 立場や職層を超えて職員が自由に意見を交わし、互いに尊重し合いながら協働できる職場づくりは、政策の質向上や組織の活性化に不可欠。取組を更に発展させ、組織文化として定着させることが重要
  • 職員一人ひとりが抱える多様な個性や事情が十分に配慮され、「DEI」(ダイバーシティ<多様性>、エクイティ<公平性>、インクルージョン<包摂性>)が尊重された都庁を実現していくことが重要
  • 昨年度改定した「障害者活躍推進計画」に基づき、ハード・ソフト両面の環境整備や職場全体の理解促進を通じて、障害を有する職員が能力を十分に発揮できる働きやすい職場づくりを着実に進めていくことが重要
  • 高齢層職員については、定年引上げに伴う制度の丁寧な情報提供や定年後の働き方に関する意思確認など、きめ細かな対応とともに、研修やリスキリングを通じて役割の理解やスキルの維持・向上を支援することが重要

(5)「選ばれる都庁」を目指した魅力の向上・発信

  • 厳しい人材獲得競争の中、公務志望者に限らず幅広い人材から「選ばれる」魅力的な組織を目指し、都職員の仕事の意義や魅力を分かりやすく見える化し、積極的に発信するとともに、職員自身がその魅力を実感し、新規採用者に伝えていくことが、組織の活性化のためにも重要

(6)働き方改革と勤務環境の整備

  • 多様な人材の活躍を後押しするためには、職員が働く時間帯や場所を柔軟に選択できる勤務環境を整備し、生活と仕事の両立を図ることができる働き方を更に浸透させていくことが重要
  • テレワークの満足度は向上しており、今後もコミュニケーションの確保や業務の効率化に留意しつつ、より利用しやすく適切な制度となるよう改善が必要
  • 育児制度の拡充が進む中、男性職員の育業取得は依然として、短期間にとどまる傾向があることから、男性も出生直後から主体的かつ長期的に育児に携われるよう、職場として後押ししていくことが必要
  • 介護については、職員の実態やニーズ等を踏まえた両立支援策の改善に加え、職員の負担に寄り添ったきめ細やかな支援が必要。今後は育児と介護のダブルケアに直面する職員へのフォローアップの検討も必要
  • ハラスメントは、職員の尊厳や健康を損ない、貴重な人材の損失や行政サービスの低下にもつながりかねない重大な問題であり、職員が誇りを持って職務に励めるよう、組織全体で防止対策を着実に実施することが重要
  • 長時間労働の是正に向けて、各職場でBPR(業務プロセスの見直し)やAI等の先端技術を活用した業務効率化を進め、より実効性の高い超過勤務縮減の取組を推進することが必要
  • 心の不調による休職者が多い現状を踏まえ、未然防止から復帰支援までの体制を整備するなど、職員の心の健康保持に向けた取組が重要

(7)公務員としての規律の徹底・職員に期待する行動

  • 全ての職員が都民の信頼に応え、高い倫理観と高潔な使命感の下、誠実かつ公正に職務に精励し、都民生活の質の向上に貢献していくことを強く望む

※別紙 令和7年職員の給与に関する報告と勧告(PDF:3,489KB)

※「1類B、2類、3類」の数字の正しい表記はローマ数字です。

記事ID:000-001-20251017-043851