- 報道発表資料
小笠原村・株式会社ウェザーニューズ・小笠原支庁が協定を締結 東京都、地域課題解決型スマート東京普及促進事業で支援
AIを活用し、小笠原村の気象予測の精度向上へ
東京都では、「スマート東京」の実現に向け、都内の区市町村が抱える地域の課題に対して、大学や民間企業が有するデジタルの力を活用し、まちのスマート化を通じて解決することを目的とする事業であり、そのための自治体と民間企業等とのマッチング支援、組成された連携体による取組への財政支援や事業遂行支援を行っています。
本日、本事業で支援している小笠原村・株式会社ウェザーニューズ・東京都小笠原支庁が、3者で、地域課題解決型スマート東京普及促進事業を活用した「小笠原を最も気象観測密度が高い気象DX先進エリアへ」プロジェクトに関する連携協定を締結しましたのでお知らせします。
小笠原村は日本で唯一気象レーダーが及ばない地域であるため、ゲリラ豪雨をはじめ降水の捕捉率が低いことが地域課題としてあり、本協定を通じて、課題解決へ向けて取り組みます。
東京都は、プロジェクトの実施にかかる経費を支援するとともに、プロジェクトが円滑に進むよう、知見やネットワークの提供、取組の発信などのサポートを行い、気象予測の精度向上により、住民の豪雨被害に対する備えを強化します。
協定の名称
「小笠原を最も気象観測密度が高い気象DX先進エリアへ」プロジェクトに関する連携協定
協定締結日
令和7年12月4日(木曜日)
協定の内容
本協定により、以下の取組を通じて、近年増加傾向にある豪雨被害の軽減と気象予測の精度向上を目指します。
(1)ソラテナProとソラカメの実装
日本初の補完観測の予報業務利用の承認を取得した高性能気象IoTセンサーの「ソラテナPro」やクラウドに接続された屋外カメラ(ソラカメ)を小笠原各地に実装します。
(2)AIを活用した雨雲レーダーの再現及び気象予測精度の向上
AIを活用した気象予測モデルに観測データを反映することで、気象レーダー観測外の小笠原における気象予測の精度の向上を図ります。
(3)島民や観光客等への効果的な気象情報の発信等
精度向上を図った気象情報の発信に加え、ライブカメラやユーザーからのリポートを通じて取得した空のカメラ画像も取り込み、ゲリラ雷雨を早期に察知し、通知します。
ソラテナ Proについて
「ソラテナ Pro」は株式会社ウェザーニューズとオムロン株式会社が共同開発した、日本初の補完観測の予報業務利用の承認を取得した高性能気象IoTセンサーで、気温、湿度、気圧、雨量、風向、風速、照度などの気象要素を1分ごとに高精度で観測し、クラウドを通じてデータを提供します。また、AIを活用し気象予測モデルにデータを反映することで、気象予測の精度を向上させることができます。
実装イメージ
関係者からのコメント
小笠原村村長 渋谷正昭
小笠原諸島は本土から1,000キロメートル離れた超遠隔離島であるため、従来より気象観測データの収集には大きな課題がありました。このプロジェクトにより父島、母島の気象予報精度が向上すれば、村民の日々の生活、観光業をはじめとした経済活動などに大きく寄与してくれるものと期待しています。
株式会社ウェザーニューズ予報センターテクニカルディレクター 西祐一郎
本州より約1,000キロメートル南に離れた父島・母島は、台風をはじめとした気象現象の予測においても、重要な観測拠点であるといえます。
ソラテナProおよびソラカメによる観測結果、またウェザーリポーターからのリポート等にもとづき、予測の精度向上に取り組みます。これは、地域住民の方々に役立てていただくことはもちろんのこと、日本全体へ影響する現象への活用も考えられ、このモデルの効果が確認されれば、補完観測の応用事例として他への展開等可能性を秘めた一歩になると確信しています。
参考1 株式会社ウェザーニューズ
株式会社ウェザーニューズは、日本を本社拠点とし、世界21カ国、30拠点、45市場に対して気象・気候コンテンツ・リスクコミュニケーションサービスを展開する世界最大の民間気象情報会社です。全世界から集まる膨大な気象観測データを解析し、独自の予測モデルを駆使して精度の高い気象予測を提供しています。
参考2 小笠原村
小笠原諸島は、東京から南約1,000キロメートルの太平洋上に散在する多くの島々の総称で、小笠原群島、火山列島、三つの孤立島から成っています。小笠原村では、村民一人ひとりが超遠隔離島に暮らす上での制約を理解したうえで、自立する力とお互い支え合う力を身に付け、強いコミュニティを形成するとともに、さまざまな環境の変化にきめ細かく対応しながら、暮らしつづけるために必要な環境整備などを進め、「心豊かに暮らし続けられる島」となることを目指しています。
参考3 令和7年度地域課題解決型スマート東京普及促進事業について
東京都は、都内の区市町村が抱える地域の課題に対して、大学や民間企業が有するデジタルの力を活用し、まちのスマート化を通じて解決することを目的とする事業であり、そのための自治体と民間企業等とのマッチング支援、組成された連携体による取組への財政支援や事業遂行支援を行っています。
これらの取組を通じて、住民一人ひとりが安心して暮らせる環境づくりを推進し、地域コミュニティの安全性や利便性が向上することで、住民のQOL(生活の質)の向上にも大きく貢献していきます。今後も東京都は、デジタル技術を活用したスマートなまちづくりを積極的に支援し、誰もが心豊かに暮らし続けられる社会の実現を目指します。
事業スキーム
本件は、「2050東京戦略」を推進する取組です。
戦略11 デジタル「都民のQOLに貢献するスマートシティの実現」