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報道発表資料
福祉局

児童虐待死亡ゼロを目指した支援のあり方について 令和6年度東京都児童福祉審議会児童虐待死亡事例等検証部会報告書

児童虐待の防止等に関する法律第4条により、地方公共団体は、児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例の分析を行うとともに、児童虐待の防止等のために必要な事項についての調査研究及び検証を行うものとされています。
これらの調査研究及び検証に当たっては、個別のケースについて専門的な見地から詳細かつ迅速に検討することが必要であるため、都では、東京都児童福祉審議会児童虐待死亡事例等検証部会(以下「検証部会」という。)を設置し、重大な児童虐待事例の検証を行っています。
この度、都は、検証部会から、検証結果及び再発防止策について、「児童虐待死亡ゼロを目指した支援のあり方について」として、提言を受け取りましたので、お知らせします。

1 検証対象事例及び検証方法

東京都において発生した重大な児童虐待で、令和5年度中に発生した重大な事例等10事例について、総体的な分析・検証を行った。
そのうち1事例について、関係機関に対し、詳細な経過等のヒアリング・調査を行い、事例から明らかになった課題等に関して、検証部会において改善策を検討した。

2 提言の内容

(1)調査票による分析・検証結果(10事例)

  • 子どもの年齢は、0歳児が7事例で半数以上を占めている。
  • 10事例のうち、きょうだいの児童相談所等への通告歴が4事例あり、そのうち2事例は0歳児の事例であった。
  • 虐待や養育困難等できょうだいに関係機関の関与がある家庭においては、新たな子どもの出生によって負担やリスクが非常に高まるため、出産前から特定妊婦として支援を行い、家庭での養育が可能かどうかのアセスメントを慎重に行うべきである。

(2)詳細な調査・ヒアリングによる検証(1事例)

1)内容

特定妊婦である母が医療機関の入院指示を拒否、関係機関が連絡を取れないまま、一人で自宅出産していたため本児を一時保護。家庭復帰後、養育支援ヘルパー等により支援を行っていたが、母から本児の反応がないと救急要請。本児は急性硬膜下血腫で一命はとりとめたが、障害が残る可能性あり。原因は不明。

2)主な改善策

  • 特定妊婦の対応困難事例については、早い段階で関係機関が児童相談所と情報共有を行い、連携して母子の安全を確保する必要がある。
  • 一時保護解除の判断に当たって、児童相談所は関係機関との協議を徹底し、関係機関が不安やリスクを感じている場合には、家庭復帰後の十分な支援策を検討することや、状況によっては一時保護解除の時期を見直すことが必要である。
  • 行政機関に対して拒否的で、自ら困りごとを相談しない保護者に対しては、ニーズを汲み取り、個別の状況に合わせた、きめ細かなアプローチ方法を検討するなどして、信頼関係を構築していくことが必要である。

※詳細は、別添「報告書(全文)」(PDF:1,063KB)を御参照ください。

3 提言を踏まえた都の対応

  • 特定妊婦に係る情報が児童相談所と区市町村で共有できるよう、「東京ルール【注】」について見直しを行う。
    【注】区市町村の子供家庭支援センターと児童相談所との間における連携・協働のための基本ルール
  • 国制度のこども家庭センターにおける児童相談部門と母子保健部門が連携した虐待の未然防止の取組支援を強化していく。
  • 不安や悩みを抱く妊産婦を対象とした広報活動・普及啓発を実施していく。
  • 本事例を踏まえたケースワークを行うため、本報告書を用いた研修を実施するとともに、様々な会議体で共有していく。
記事ID:000-001-20251224-044862