- 報道発表資料
令和8年度予算の執行について(依命通達)
東京都副知事
栗岡祥一
宮坂学
松本明子
山下聡
(公印省略)
我が国の景気の先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるものの、中東情勢の影響を注視する必要がある。また、金融資本市場の変動の影響や、米国の通商政策をめぐる動向などに注意する必要がある。
加えて、都の歳入の根幹をなす都税収入は、法人関係税収の占める割合が高く、元来、景気動向に左右されやすい不安定な構造にあることから、現時点では、都の財政環境の先行きを見通すことは困難な状況にある。
このように、社会経済情勢が不確実な中、世界は変化のスピードを早めている。時代に合わせて、従来の仕組みを変革する必要に迫られており、変化を恐れず、課題の本質を捉え、真正面から取り組んでいかなければならない。少子高齢化への対応や熾烈化する都市間競争、都市活動の基盤となる安全・安心の確保など、直面する課題の解決に向けて、日本をリードする政策を先手先手で展開し、明るい未来への挑戦を牽引していくことが求められている。
とりわけ、成長の原動力となる「人」の力を最大限高めていくため、一人ひとりの自己実現を全力で応援していくことが重要である。次代を担う子供・若者の成長を支える教育の充実や、結婚・出産・子育てを希望する方の「叶えたい」を強力に後押しするシームレスな支援など、チルドレンファーストの取組を一層強化することが不可欠である。同時に、女性活躍推進の更なるレベルアップや高齢者施策の強化など、誰もが自分らしく活躍できる環境を整備し、一人ひとりがもっと輝く東京を創り上げていかなくてはならない。
また、国際競争力の強化に向け、日本の原動力とも言える東京が、国とも連携しながら、世界の変革と成長を牽引することが重要である。イノベーションを創出するスタートアップの育成や、国際金融都市としての地位確立、デジタルの力で都民が質の高い生活を送る「スマート東京」の実現が不可欠である。あわせて、人や地域の個性を大切にしたまちづくり・住まいの充実をはじめ、東京グリーンビズの推進や農林水産業の活性化、江戸の歴史・文化の発信や多摩・島しょの振興など、成長と成熟が両立する東京の多様な魅力を更に向上させる取組も着実に進めていかなくてはならない。
さらに、未来へ目を向けるためには、都市のレジリエンスを高め、都民の命と暮らしを守る「首都防衛」の取組が重要である。激甚化、頻発化する風水害をはじめ、大規模地震や火山噴火等への備えとして強靱な都市を創り上げていくとともに、治安対策など都民の安全・安心の確保に取り組むことが必要である。また、物価高騰の影響から都民や事業者を守るため、社会経済情勢等を踏まえながら、重層的な支援策を着実かつ迅速に実施していかなければならない。
加えて、エネルギーの安定確保と脱炭素化の両立に向け、あらゆる取組をアップデートし、世界のモデルとなる脱炭素都市を実現しなければならない。とりわけ、今夏も厳しい暑さが見込まれるため、エネルギー消費量を抑えながら、快適な都市環境を構築するとともに、現下のエネルギー危機については、都民や事業者への影響など、状況の変化に応じて柔軟に対応することも重要である。
一方、令和8年度税制改正における地方法人課税や固定資産税に係る不合理な見直しの動きに対して、都は断固として反対である。地方の責任と役割に応じた地方税財源全体の拡充に向けて、国に働きかけていかなければならない。
このような状況にあって、都がなすべきことは、「2050東京戦略」及び「シン・トセイX 都政の構造改革QOSアップグレード戦略2.0」に基づき、成果重視の観点から、東京の新たな目指す姿を実現する施策の推進や都政の構造改革を一層加速するとともに、創意工夫を凝らして無駄を無くす取組を徹底することである。
こうしたことから、令和8年度予算は、「2050東京戦略」の迅速かつ確実な実行に向け、大都市東京の強みを遺憾なく発揮し、明るい未来を実現する予算として、第一に、将来にわたり東京が世界の成長を牽引し続けられるよう、「人」が輝き、活力が溢れ、安全・安心な東京へとさらに進化させるための施策を、時代の変化を捉えた新たな視点で、スピード感を持って積極的に展開すること。
第二に、AIの徹底的な利活用などにより、都民が真に「実感」する行政サービスの向上を図るとともに、より成果重視の視点から、社会の変化への的確な対応と施策の効率性・実効性の向上に向けて、事業の見直しを徹底し、強靱で持続可能な財政基盤を堅持すること。
を基本として編成した。
令和8年度予算の執行に当たっては、持続可能な執行体制の構築に向け、各局・各現場において、AI等を徹底的に活用して行政の新たな形のモデルを積極的に検討し、実践していくとともに、職員一人一人が、日々の業務において不断の改善を図ることで、一層効率的・効果的な執行となるよう取り組む必要がある。あわせて、政策評価、事業評価及びグループ連携事業評価を通じ、社会の変化への的確な対応と効率性・実効性の高い施策構築へとつなげていくことが重要である。
加えて、事業の迅速な執行はもとより、施策の内容を確実に周知し、利用されるものとするため、全庁を挙げ、都民目線に立った「伝わる広報」を戦略的に推進した上で、施策の展開を図ることが特に重要である。これらの取組による改善を令和8年度予算の執行のみならず、後年度の予算にも確実に反映させていかなければならない。
よって、貴職におかれては、現下の都財政の状況と課題を職員に十分周知徹底し、下記の事項に留意の上、予算の執行に万全を期されたい。
この旨、命によって通達する。
記
第1 全般的事項
1 都の行う全ての事業について、予算執行の過程においても、政策評価、事業評価及びグループ連携事業評価の取組などを通じ、より成果重視の視点から施策の効率性や実効性を高める努力や工夫を徹底して行い、導き出された改善の方策等を事業計画や執行などに的確に反映していくこと。
また、政策評価、事業評価及びグループ連携事業評価の取組については、歳出はもとより、歳入や特別会計(準公営企業会計を含む。)についても、多面的な検証を行い、その結果を執行、歳入確保などに的確に反映していくこと。
2 「シン・トセイⅩ 都政の構造改革QOSアップグレード戦略2.0」に掲げる「政策DX」の理念を踏まえ、組織や分野を越えたDX、AIの徹底的な利活用などにより、課題解決のスピードアップや業務の効率化を推進すること。また、前提となる社会経済環境や制度・仕組みの根源に遡って、そのあり方を見直す構造改革の視点を十分に踏まえ、執行などに的確に反映していくこと。
3 予算の執行に当たっては、都民から信頼される都政の実現に向けて、適切な事務処理を徹底するなど法令等を遵守することはもとより、より良い都政の実現というコンプライアンスの観点から、事業内容について十分に検証し、その結果を的確に反映していくこと。
第2 歳出について
1 「令和8年度予算編成方針」を基本に、効率的な予算執行の観点から更に精査を行った上で、年間執行計画を策定すること。また、「2050東京戦略」に基づく取組や物価高騰対策など、予算に計上した事業について、施策の効果を速やかに発現させ、一日も早く都民・事業者へ還元するため、あらゆる工夫を凝らし事業の迅速な執行を図るとともに、その目的が確実に達成できるよう、原油価格の高騰やエネルギー供給の不安定化などにも留意しつつ、着実な執行を図ること。
2 事業の実施に当たっては、最少の経費をもって最大の効果が図れるよう、その経済性、効率性を確保することはもとより、都民ファーストの視点に立ち、あらゆる創意工夫により経費の一層の節減と都民サービスの更なる向上を図るなど、各局の責任の下で不断の見直しを行うこと。
加えて、施策の実効性の向上に向けて、都民や事業者等に確実に施策の内容を周知するため、政策企画局と連携し、以下の点に留意し広報を推進すること。
- (1)広報の目標設定や効果検証を通じた取組の促進
- (2)局横断的な発信に向けた総合的な取組の促進
3 投資的経費については、都市強靱(じん)化に向けた取組や、便利で快適な交通・物流ネットワークの形成に向けた取組などに対し重点的に財源を配分したところであるが、執行に当たっては、品質の確保や事業者間における円滑な価格転嫁の促進に向けて、資材価格の急激な変動など、市場の動向を踏まえ予定価格を適正に設定するとともに、工夫を凝らして工期を設定し、迅速な事業着手や施工時期等の平準化に加え、デジタル技術の活用など計画的な事業執行に努めること。
なお、国庫補助事業については、都への配分状況に十分留意すること。
4 政策連携団体については、多様な視点から経営改革を進めるとともに、効率的かつ効果的な事業執行を図るよう、適切な指導監督を行うこと。
また、都と政策連携団体が協働して実施している事業については、グループ連携事業評価と政策評価及び事業評価を一体的に行い、これまでの取組状況、成果等の分析・検証を進め、その結果を執行などに的確に反映していくこと。
さらに、政策連携団体以外の団体を通じて実施している都事業についても政策評価及び事業評価を行い、その結果を執行などに的確に反映していくこと。
5 不測の事態に備えるとともに、経費の更なる効率的執行を図るため、局において必要な経費の一部を保留すること。
第3 歳入について
1 都税収入については、経済の動向に留意しつつ、課税対象を的確に把握し、脱漏のないように努めることはもとより、区市町村との連携や機動的な組織運営によって、より一層滞納整理を促進するなど、税収確保に向けた取組を推進すること。
2 国庫支出金については、都市基盤の整備をはじめ、ハード・ソフト両面において首都東京が推進すべき取組の重要性を踏まえ国に十分な働き掛けを行い、需要に応じた配分が得られるよう努めること。
また、関係省庁に対し、財源調整措置の廃止など国庫支出金制度の改善合理化について引き続き強く要望することで、国庫補助金の内示に際し、不交付団体に対する特別な調整を行うことのないよう働き掛けること。
3 その他の収入についても、予算計上額を確保することはもとより、政策評価、事業評価及びグループ連携事業評価を行い、更なる収入確保の取組を進めることで、増収に向けて最大限の努力を図っていくこと。
また、貸付金に係る元利収入などの債権については、債権管理の一層の適正化を図ること。
第4 特別会計
特別会計(準公営企業会計を含む。)については、施策の効率性・実効性を一層向上させる観点から、政策評価、事業評価及びグループ連携事業評価を行い、その結果を執行などに的確に反映させていくこと。
第5 予算関係事案の処理について
1 予算関係事案のうち、次の各号のいずれかに該当するものを決定しようとする場合は、財務局に協議すること。
- (1)次に掲げるものに係る事案
- ア 都政運営に関する一般方針の確定
- イ 都が執行すべき事務事業に係る基本的な方針及び計画の設定、変更及び廃止
- ウ 成立した予算に係る事務事業についての基本的執行方針の決定
- エ 成立した予算に係る局の事務事業についての執行計画の設定、変更及び廃止
- (2)委託料の支出に係る事案のうち、調査委託等で別に財務局長が指定する事案
- (3)落札差金及び設計差金の使用に係る事案
- (4)用地会計による用地取得に係る事案
- (5)前各号に掲げるもののほか、別に財務局長が指定する事案
2 財務局への協議は、知事決定事案については財務局長、局長決定事案については財務局主計部長、部長又は課長決定事案については財務局主計部各課長(財政課長、予算各課長及び公債課長)に対して行うこと。