- 報道発表資料
東京都消費者被害救済委員会付託「無料体験を契機としたパーソナルトレーニングの定期コース契約に係る紛争」の解決を付託しました
パーソナルトレーニングは、近年、一般消費者向けサービスとして普及し、市場が拡大しています【注】。
市場の拡大とともに、都内の消費生活センターに寄せられるパーソナルトレーニングに関する相談は、年々増加傾向にあり、特に2025年度は、前年度比約1.7倍と急増しています。相談内容は、解約やそれに伴う返金に関するものが多く見られます。
標記紛争を解決することにより、解決に当たっての考え方を広く示し、同種の消費者被害の防止と救済を図るため、本日、知事は、東京都消費者被害救済委員会に、新たに標記紛争の解決を付託しました。
【注】令和8年5月27日付「消費者事故等調査報告書 パーソナルトレーニングにおける事故(概要)」より
※1 スポーツジム等に関する相談のうち、1対1等で指導を受けるもの
※2 2025年4月~6月の件数
※3 2026年4月~6月の件数(速報値)
付託案件の概要
申立人
2名(A:20歳代 給与生活者 女性/B:50歳代 給与生活者 女性)
契約内容
- パーソナルトレーニングの定期コース契約(12か月/月額約3万円)
- エステ契約(役務提供期間4か月/契約金額 A:4万円弱、B:5万円弱)
申立人の主張による紛争の概要
申立人A 「勧誘時の説明と異なり、解約時に追加費用を請求された…」
「短期集中、月8回、1回3,000円」という事業者のSNSの広告を見て、無料体験を申し込んだ。トレーニングを体験した後、入会金等がキャンペーンで無料になる、中途解約しても特別な料金はかからないと定期コースを勧誘されたので、12か月の定期コースを契約した。また、セットだと言われたため、エステも契約した。
数か月後、予約が思うようにとれないので、解約を申し出たところ、契約締結時に無料とされた入会金やオプション料金等の合計約8万円を差額金として請求された。勧誘時の説明と違うので、差額金を支払わずに解約したい。
申立人B 「解約できたと思っていたのに、月額料金が引き落とされ続けていた…」
事業者のホームページからパーソナルトレーニングの無料体験を申し込んだ。トレーニングを体験した後、12か月の定期コースを勧誘された。キャンペーン無料分を差額金として支払えば、いつでも中途解約できると説明されたが、具体的な金額や内訳の説明はなかった。毎月通える回数の説明もなかったので、通い放題だと思い、契約した。キャンペーンの適用にはエステ契約が条件だと言われ、不要だと思ったが、割引を受けるため契約した。後日、サプリメントの定期購入も強く勧められ契約した。
数か月後、予約がとれないので解約を申し出た。事業者からメールが届いたので、解約できたと思っていた。半年後、事業者からのメールに返信しなかったという理由で、解約申請を取り消したと連絡があった。解約できたと思っていたのに、半年以上、月額料金が毎月引き落とされていた。解約申出時点に遡って精算はできないと言われ、納得がいかない。
主な問題点
- 1 パーソナルトレーニングの定期コース契約(以下「本件定期コース契約」という。)の勧誘において、「中途解約した場合に精算金として支払を求められる金額」や「予約の空き状況」について、事業者が申立人に対し、事実と異なる説明をする、不利益となる事実を告げないなどの行為が認められる場合は、消費者契約法第4条第1項第1号(不実告知)又は第2項(不利益事実の不告知)に基づき、契約を取り消すことができるのではないか。
- 2 本件定期コース契約において、通常価格が実質的に存在しない場合、中途解約時に無料分を「差額金」として請求する条項は、違約金的性質を有すると考えられることから、消費者契約法第9条第1項第1号(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効等)に該当し、「平均的な損害の額を超える部分」は無効ではないか。
- 3 本件定期コース契約の退会に関する条項には、未精算金がある場合は精算後に手続完了となると規定されている。本件定期コース契約は準委任契約であり、いつでも契約を解除できる。当該条項は、実質的に中途解約の妨げとなり得ると考えられ、その場合は、消費者の利益を一方的に害する条項の無効を定めた消費者契約法第10条により無効となるのではないか。
- 4 本件定期コース契約の契約条項は、エステとセットで契約することを条件としていないにもかかわらず、事業者は、本件定期コース契約の勧誘に際し、エステはセットであるなどと説明している。そのため、申立人は、本来希望していなかったエステ契約の締結に至っている。申立人に選択肢を与えていなかったとすれば、その勧誘方法に問題はなかったか。
東京都消費者被害救済委員会における今後の処理
委員会に付託すると
委員数名による部会を構成し同部会で審議を行います。両当事者から話を聴き、公正な解決策を検討し、両当事者にあっせん案として提示します。両当事者が受諾すれば解決となります。あっせん案の考え方は当該紛争だけでなく、他の類似紛争の解決にも役立つことから、東京都消費生活条例に基づき、広く都民の方々や関係者にお知らせしています。
東京都消費者被害救済委員会とは
東京都消費者被害救済委員会(会長 宮下修一・中央大学大学院法務研究科教授)は、東京都消費生活条例に基づき設置された知事の附属機関で、弁護士や大学教授などの学識経験者、消費者団体の代表及び事業者団体の代表で構成されています。
都内の消費生活センター等の相談機関に寄せられた消費生活相談のうち、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、公正かつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行います。
委員名簿
別紙(PDF:81KB)のとおり
紛争処理実績
ホームページから
消費者へのアドバイス
- 無料体験だけのつもりで店舗に出向くと、体験後に契約を勧められることがあります。キャンペーン等で様々な特典や割引があると勧誘されても、その場で決めずに慎重に対応しましょう。
- 長期・継続的なサービスの提供を受ける契約をする場合は、どのようなサービスが、いつ、何回提供されるのかなどの契約内容や料金、中途解約時の手続や条件等について、説明をしっかり聞いた上で、十分に検討しましょう。
- 解約時に納得のいかない請求を受けたり、トラブルになった場合は、すぐに消費生活センターにご相談ください。(消費者ホットライン「188」局番なし)
詳しくは東京くらしWEBをご覧ください。