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令和5年(2023年)2月16日更新

令和4年度 入選作品 映像部門

最優秀

荒川区「荒川区伝統工芸技術記録映像 伝統に生きるーあらかわの工芸技術ー漆塗 角光男」

主な内容

令和2年度区指定無形文化財・工芸技術(漆塗)の保持者である角光男氏の優れた技術と職人としての人となりを紹介する。
「絶対に損はさせない」職人としての矜持を胸に、親方から引き継いだ伝統的な技で木製の食器などに漆塗を施す角さんの作品は、丈夫さだけでなく、そのデザイン性の高さが人々に愛されている。本作品では椀の漆塗を完成させる過程を丁寧に追いながら、独自のセンスが光る模様付けや角さんが考案した陶製の漆塗ビアカップなどを紹介。

審査員コメント

  • 相変わらず荒川区さんの伝統職人シリーズは、引き込み方の腕力がすごいです。やはり人は見たことのないものに興味が惹かれます。16歳から60年近くずっとこの仕事がやれている幸せをさりげなく語る角さんの佇まいや人柄もいい。職人がいなくなるからどんなに下手でも日本一の漆塗になれると思ってたとイタズラっぽく微笑む角さんの表情もいい。息を殺す作業映像と時々挟み込まれる青空や風に揺れる草花の映像のコントラストも心地いいです。高橋恵子さんのナレーションもさすがです。本当にこういう職人がいることは地域の人々の誇りにもなりますね。(阿部)
  • 荒川区の無形文化財保持者角光男さんを追って、漆塗りの全工程を見せる企画。先ず、武生出身だという少し福井訛りのある喋り方に魅せられる。この方の人間的魅力を抜きにしてこの企画は成立しなかったかもしれない。塗師の意地に懸けた忍耐強い作業工程、模様付けのデザイン性と一発勝負の筆さばきも見逃せない。卓越した技の連続で木地だけの素の椀が見事な塗椀に仕上がるのは最早驚きである。この番組は技術の公開・普及のため区内図書館やYouTubeでも公開しているそうだが海外でも反響を呼ぶに違いない。(高橋)

一席

墨田区「吉川正洋・廣田あいかのすみだ電電車車!東武亀戸線で出発進行!」(YouTubeリンク)

主な内容

多くの鉄道会社が乗り入れている街 すみだを、乗務員のダーリンハニー 吉川正洋と”ぁぃぁぃ”こと廣田あいかが、区内を走る電車を通じてすみだの魅力を再発見していく。
この回では、都内最強のローカル線と呼ばれ、多くの鉄道ファンから愛される東武亀戸線について紹介する。
現在、走っている車両のカラーや過去に供用されていた駅の跡、一日に一度だけ見ることができる珍しい信号表示など、下町すみだにふさわしい路線に迫り鉄分を補給していく。

審査員コメント

  • 目鱗でした。最初はなんだこれ、と思って見始めましたが、すぐに引き込まれてしまいました。豆知識も楽しいし、二人の掛け合いについ吹き出したり、読後感は、墨田区って面白いなぁと、立派な広報になっていました。吉川さんと廣田さんのプロを使ったことで、メジャー感が出ているのはいうまでもないのですが、今年は他の市区町村でも有名人の案内役を使った企画がありましたが、墨田区さんの企画力や構成力がとても心地よく、頭ひとつ飛び出ている感じでした、電車という切り口ですが、この街に暮らす人々の気持ちの中にしっかりとした墨田愛が増幅していくことでしょう。(阿部)
  • スカイツリーのお膝元でもある墨田区を走る東武亀戸線。自ら都内最強のローカル線というだけあって多くの鉄道ファンが注目しているという。番組はバラエティ仕立てでの沿線案内や車両紹介がメインだが、PRなのに初見の人から鉄オタまで楽しめる。車両の色によって愛称が「ハロウィン」「オムライス」「緑亀」なども面白いし、ホームでのアナウンス体験も笑えた。ともすれば忘れられ、取り残されてゆく下町のローカル電車の渋い魅力がいっぱいである。(高橋)

二席

千代田区「わがまち千代田 保護猫 ~いのちの赤い糸をつなげ~」(YouTubeリンク)

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主な内容

千代田区は、平成23年に全国で初めて猫の殺処分ゼロを実現しました。以来、11年連続で猫殺処分ゼロを継続しています。
それでも、保護される猫が後を絶たないのはなぜなのか。保護猫はどこへ行くのか。ドキュメンタリー形式で紹介しています。

審査員コメント

  • 保護猫を通して千代田区の取り組みと区民の人たちの関係を描いたその企画力は、とても素晴らしいです。レスキュー隊?から始まる導入も視聴者を引き込むのにとても上手でついつい見入ってしまいました。里親になりたい三ツ口さん親子の思いと丁寧に面談をして縁組がうまく実らなかった過程も、とても興味深かったです。やはり区の取り組みにその区民がどう絡むかが具体的であればあるほど、人は見入ってしまいます。惜しいのは少し色々な話を盛り込みすぎたことでしょうか。三ツ口さん親子に応じようとするニャンとなる会側の苦悩を、区の努力として、このエピソード中心に描いても良かったかもしれません。(阿部)
  • 千代田区に於ける猫の殺処分11年続けて0件だそうである。いまだに全国では2万匹近くが保健所によって殺処分されている現状では非常に健闘していると言える。だがコロナ禍で猫を飼う人が増えて、保護猫は後を絶たない。千代田区のシェルターと呼ばれる保護猫の一時収容施設「ちよだニャンとなる会」では現在15匹の猫を保護しており、引き取ってくれる飼い主を日夜探している。これは会の献身的な活動の日常を追いながら社会問題としての捨て猫を扱ったタイムリーなドキュメンタリーである。(高橋)

二席

足立区「足立区制90周年記念 広報番組『1941-1945 -戦後77年- あだちの記憶を語り継ぐ』」(YouTubeリンク)

主な内容

終戦から77年。
実際に戦争を体験した方から話を聞く機会が少なくなってきた。このまま風化してしまい、「記憶」から「歴史」へと変わってしまうのか。
番組では、真珠湾攻撃や足立区内での空襲、区外へ学童疎開など戦争を体験した方々が、当時の記憶を語った。
私たちは戦争を語り継いでいくためその声を聴く。二度と悲劇を繰り返さないために。

審査員コメント

  • 戦争を知っている世代の人たちの話を少しでも聞いておくことはとても大切です。真珠湾攻撃を命じられた104歳の吉岡さんが、初めて話した、なんて言ってるのを見て、この肉声や表情が後世に残せたのは、この足立区の広報のおかげだと思うと、本当に、素晴らしい限りです。さらに近藤区長自らがインタビュアーとなり、眉を顰めて話を聞く姿も共感できます。相川さんと長谷川さんが、長閑な足立区の街を歩きながら、ここで爆音で目と耳を塞いで這いつくばった、なんて話もとても区民にとっては大切な知っておくべき事実だと思います。人こそが区の歴史そのものです。彼らの肉声こそが区そのものだと改めて思いました。(阿部)
  • 区制90周年記念番組。ウクライナへの軍事侵攻が止まらない今、戦後77年にして少なくなった直接戦争体験を語れる足立区内在住の人たちに、それぞれの戦争を語ってもらい語り継ぐという好企画。導入部として、「太平洋戦争、真珠湾攻撃、その記憶を語り継ぐ」、そして本編は「区内の戦火と学童疎開」として番組の制作グループが議論を重ねて作り上げていったという。記憶から歴史になっていいのか、記憶から記録に残し、風化させずに次世代に非戦反戦のメッセージを託していくことが大事だという思いは十分伝わってきた。(高橋)

奨励賞

文京区「ぶんきょう浪漫紀行 大塚のラジオ体操 ―人と四季―」

主な内容

文京区ラジオ体操発祥の地である大塚公園。1年を通して、そこで行われるラジオ体操会の取材を行いました。移り変わる美しい四季を映すとともに、ラジオ体操会に集う方々へのインタビューを通して、その思いや表情、文京区のラジオ体操の歴史と現在をお伝えいたします。

審査員コメント

  • 面白い広報ですね。大塚の公園のラジオ体操を題材に、広報そのものをラジオ体操を枠組みに仕立て上げたアイデアも素晴らしいです。参加してる人たちの声も様々な世代の人たちがいて、さらに春夏秋冬季節の流れも追っていて、立体的な印象がありました。ただ素晴らしいからこそ、もっと良くするためにアドバイスすると、会長の三宅さんにもっと迫った構成にしても良かったかもしれません。軸にはなっているのですが、全部見た読後感が少し総花的な感じがしました。共感してもらうためには、誰か一人を視点にすることは有効です。三宅さんの内面がもう少し見たかったです。(阿部)
  • 文京区のラジオ体操会発祥の地である大塚公園にスポットを当て、四季折々の佇まいをバックに、集まる住民のインタビューが折り込まれる。このラジオ体操会はコロナ禍で中断があったものの再開、90年以上の歴史を誇っている。個人でやるのと集まって皆でやるのでは全然違う!という言葉が印象的だ。老若男女を問わず友達になれるこの様な自然発生的コミュニティがまだ存在出来ているのは貴重である。(高橋)

奨励賞

台東区「心のふるさと坂本小学校 ~共に歩んだ学び舎の記録~」(YouTubeリンク)

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主な内容

台東区下谷の「旧坂本小学校」の校舎は関東大震災後に再建された復興小学校と同じ建築様式で建てられた。建物の老朽化により解体されることが決まり、校舎の姿とまちの皆さんの思いをアーカイブ映像など織り交ぜながら紹介する。 

審査員コメント

  • 台東区のとても優しい視線を感じました。卒業生の人たちの思いをできる限り受け止めてあげて、教室に好きなように落書きさせるかの如く、この広報に収めた感じがしました。その学校がなくなってしまうことで、本当に一人ひとりにとって様々な思いがあると思います。こういうテーマで広報を描くときこそ、そんな区民一人ひとりに、この廃校という区の決断をどう伝えていくのか、その広報の描き方こそが区の思いや眼差しになるのだと思います。あえていうならいろいろなものを平均的に編集してしまったために見ている人が共感する何かが見つけにくいかもしれません。誰か一人を軸にするなど、メリハリをつけた構成にしても良かったかもしれません。(阿部)
  • 台東区下谷の坂本小学校は大正12年の関東大震災後に再建された古い建築様式の校舎である。この度、老朽化によって一世紀にわたる歴史を閉じ、解体されることが決まり、卒業生や街の人達が校舎に集まり最後に交流を持った。卒業生の声楽家による校歌独唱など、様々なイベントであの頃のノスタルジーに浸った大人たち。教室の佇まいなど卒業生でなくとも何故か懐かしさを共有できた。(高橋)

奨励賞

渋谷区「渋谷区の魅力発信 TikTokクリエイターコラボムービー」(TikTokリンク)

主な内容

フリースタイルフットボール、ダンス、スケートボードなどのストリートカルチャーを被写体にした「撮り方」動画です。動画クリエイター、フリースタイルパフォーマーとコラボレーションし、TikTokへの投稿用動画として制作しました。
Z世代や若年層に人気のスポットである、宮下公園をはじめ渋谷区内の魅力的な場所で、躍動感のある撮影の様子を記録した動画で、シブヤらしい活発さや新しさを表現しています。
この動画は、撮影テクニックを記録したもので、撮影した動画がどのように仕上がったのかを、TikTokの別の投稿で見ることができるという企画のうちの1つです。
大がかりな機材を使わず主にスマートフォンなどで撮影されており、臨場感のある動画で、渋谷区の魅力を多角的かつ効果的に可視化した作品となりました。

審査員コメント

  • 渋谷区ならでは、おしゃれでエネルギッシュで発信系の映像で、とても面白いです。この映像で渋谷区とそこに暮らす区民との関係がより深まっていくと尚いいですね。TIKTOKは市町村の広報の可能性だと思っています。いろいろな意味で最先端なものが溢れる渋谷区なので、広報も最先端のトライアルをどんどんしていってほしいです。ただかっこいい、とか、おもろいだけで終わるのではなく、こういう動画を発信している区の思いやメッセージをはっきりさせることが大切で、そのメッセージを区民の人に伝えるためにどういう最先端な映像を作ればいいかを考えていけば、さらにより多くの区民との関係がより太くなっていくと思います。(阿部)
  • 渋谷区の魅力発信という通り、映像的にもインパクトがあり音楽的にも魅力的な動画(ショウムービー)になっている。何回も繰り返し視たくなるほど洗練されたカット割りと音楽のリズムにシンクロした編集、GoProのカメラワークも4Kで美しく国際基準だ。ワイヤーに繋いだカメラを放り投げる映像などは新鮮なテクニックで、これから若者層が渋谷の新たな魅力に気付いていく一助となりそうな予感がする。(高橋)

奨励賞

中野区「2千年後のあなたへ OMOIYARI」(YouTubeリンク)

主な内容

中野のまちでは、たくさんの人々がいきいきと暮らし、働いています。でも、中には仕事がうまくいかず、心の余裕を失ってしまっている人も。小春日和の公園でうなだれる男の人、女の人。突然、彼らの頭に不思議な声が響きます。「ねぇ、こっちにおいでよ」。思いやりを忘れてしまっている人がいたら、古代人がまちの人々の優しさに触れる、時間旅行に連れて行ってくれます。そう、中野のまちならきっと大丈夫。あなたもちょっぴり疲れてしまったら、不思議で優しい中野を訪れてみてください。

審査員コメント

  • 動画そのものはとても荒削りですが、プロジェクトが素晴らしいですね。この動画を見て今後の広報の作り方として、区民が集まって知恵を出し合ってその時その時のテーマを見つけ、広報映像を作っていく、というのはレギュラー化してもいいと思います。思いが伝わらずに悩んでいる人が多いということを歴史民族資料館の古代人とともに中野のまちに「思いやり」を見つけにいくという、テーマ選びもストーリーもとても素敵です。製作費0円というのは、それはそれで問題ではありますが(笑)製作費を少しでも中野区が予算化して区民と作る広報動画を今後もこのコンクールの出品作にするというのはどうでしょう。すみません、おせっかいすぎですかね。(阿部)
  • 中野区にある企業のPRビデオのような気もするが、ほんわかしたマンガチックな構成と素人臭が魅力でもある。二度視ると潜んでいるメッセージが分かったような気がした。「重いヤリ」というおやじギャグのようなダジャレも笑えた。(高橋)

問い合わせ先
政策企画局戦略広報部広報広聴課
電話 03-5388-3087

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