職員に対する新年あいさつ

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令和7年 知事の新年あいさつ

はじめに

皆さま、令和7年、新年の幕開けでございます。少し長い年末年始のお休みで、心身ともにリフレッシュされたことと思います。
一方で、福祉・医療、警察、消防、交通、上下水道など、この間も安全・安心を守る最前線で都民生活の基盤を支えました職員の皆さんも多数おられます。大変ご苦労様でございました。
振り返りますと、コロナ禍を経まして、昨年は、能登半島地震、そして日本各地で発生した豪雨被害など、災害の脅威を目の当たりにいたしました一年でした。過激な闇バイト強盗による体感治安の悪化もあります。年は変わりましたが、平和な世の中、1400万都民の安全・安心、暮らしを守るため、「首都防衛」の四文字を改めて胸に刻みたいと思います。

デジタルによる新時代の幕開け

これから三つのキーワードを申し上げたいと思います。
第一にデジタルです。今年は昭和が始まりましてちょうど100年の節目であります。そして私たちは今、デジタルの波によって全く新しい時代の幕開けを迎えております。
ましてやコロナ禍の前と後では人々の意識、行動、またライフスタイルも大きく変わりました。好むと好まざるにかかわらず、政治・経済・社会などあらゆる場面でDXが加速することを念頭に置いた都政運営が求められております。
気候変動、人口減少、AI、さらには、日本経済を牽引してきた大企業をも飲み込む産業構造の変化など、世の中の流れは極めて激しく、急です。
デジタルの力を有効に活用して、課題解決のスピードアップを図る。そして東京の底力を生かし、未来を確かなものにしてまいりましょう。

「手取り時間」を増やす

第二に、「時間」です。
1日24時間0分0秒の時間をいかに節約し、スムーズな流れのなかに都民の自分時間、「手取り“時間”を増やす」か。ここもデジタルの力が有効です。
例えば、子供DXの保活ワンストップサービスは、面倒な手続きを一気に短縮できると、仕事に、子育てに忙しいカップルから大変好評をいただいております。これを局や分野を越えた「政策DX」とし、さらには、国や都、区市町村といった組織に横串・縦串を刺す業務改革、すなわち「BPX」を当たり前にすることであります。生成AIも徹底的に使いこなしてください。職員の皆さんの“時間”も、これによって有効に活かせます。

女性活躍の輪は社会に拡がる

そして第三のキーワード、それは「WA」です。
人口の約半分を占める女性が持つパワーは、社会を動かします。昨年のベンチャー技術大賞を受賞した企業では、女性役員がプロジェクトをリードしていました。また、国の調査では、昨年上半期の女性の正社員数が約20年ぶりに非正規を上回りました。こうした流れを力強く後押しするような条例もしっかりと検討したいと思います。
「Women in Action」、頭文字をとりまして「WA」です。これをキーワードに、女性活躍の「輪」を東京から日本全体に広げていきましょう。そしてそれはすなわち、男性活躍の力ともなります。
2025年と言いますと、団塊世代が75歳以上となる本格的な超高齢社会を迎えます。歳をとっても地域社会との繋がりを持ち、いつまでもいきいきと活躍できる東京。介護人材の不足など2025年問題の解決に真正面から取り組んでまいります。
そして、いよいよ世界陸上とデフリンピックの開催も迫ってまいりました。全庁を挙げて、国内外の人々をお迎えする準備を万全に整えるようにお願いをいたします。両大会を弾みといたしまして、もっと多様で、調和のとれた、そして、誰もが輝く共生社会づくりを加速していきたいと思います。

先人たちの礎の上に東京を再構築

先人たちが築いた礎の上で、より高みへ成長を続ける都市へと東京をリ・ビルド、再構築していきます。
例えば、エネルギーです。先月、国の基本計画の素案が示されましたが、これまでも都は、エネルギーの大消費地として、脱炭素化の取組、牽引してまいりました。これをさらに加速させて、グリーン水素の活用や次世代型ソーラーセルの実装拡大、浮体式洋上風力発電の導入など、世界をリードしてまいります。
東京グリーンビズも官民連携で取組を広げながら、水と緑の存在をより身近に感じられるようにしてまいります。
伝統と革新が共存する東京の個性に一段と磨きをかけることも大切です。江戸の歴史、そして文化、地域ごとに異なる街の個性に光を当てる一方で、臨海部では新たな賑わいづくりを推進しまして、様々な表情をもつ東京の魅力に深みと奥行きを加えてまいります。
AIや自動運転、空飛ぶクルマなど凄まじい勢いで進化を続けるのがテクノロジーです。社会に技術革新の波を呼ぶスタートアップの成長も一層後押しし、より便利で、よりスマートな都民の暮らし、これを実現してまいりましょう。

職員の想いを都政の力に

民間の調査機関によります最新の世界都市ランキングにおきましては、東京は9年連続の3位。ちなみにナイトライフ部門は昨年の30位から9位(正しくは、8位)へと、成長の明るい兆しがはっきりと現れております。東京大改革の最前線に立つ職員の皆さんの奮闘の賜物に他なりません。そうした様々な取組や成果を都民の皆様に知ってもらい、そして実感していただくよう、一層工夫をしてまいりましょう。
ひとえに、都民サービスを磨き上げるのは、職員一人ひとりの意欲と想いであります。昨年末には、長期戦略の策定や都市づくりを担う職員の皆さんと、この先の東京がどうあるべきなのか、直接議論をいたしました。都庁の女性職員の皆さんとも、ざっくばらんな意見交換を始めています。現場を支える皆さんとのコミュニケーションを通じまして、「東京はもっと良くなる」という可能性を大いに感じたところであります。「都民のために」という皆さんの想いを、共に形にしていこうではありませんか。

都庁から働き方のモデルを創る

そのためにも、日頃から自己研鑽や趣味を楽しむ時間を持つ。計画的に休暇を取得する。その上で、蓄えた力を都民のための仕事にしっかりと還元してください。
フレックスタイム制を活用した週休3日や女性職員のキャリアップを後押しする仕組みなど働き方の選択肢もどんどん広げてまいります。
そして、職員一人ひとりが主役となるオープン&フラットな職場づくり。それはここにいる皆さんの手腕にかかっています。自己実現を応援するような新しい働き方のモデルを都庁から創り上げてまいりましょう。期待しております。

おわりに

さて、「時間」を遡ってみますと、アメリカ同時多発テロが起こったのが2001年、天安門事件、そしてベルリンの壁崩壊の1989年、さらには、ぐっと古くなりますが、かつて「大化の改新」の語呂合わせで覚えた645年。これらはいずれも巳年というふうに言われております。社会の大きな転換を呼ぶ、まさに節目を刻む年であります。
2025年、国内外の嵐が吹き荒れても、私たちが為すべきことは変わりません。今都民が何を求めているのか、時代の変わり目に東京に何が必要なのか。鳥の目で考え、挑み、「都民ファースト」「都民が第一」の視点で課題を爆速で解決していく。それに尽きます。2050年、さらにその先をも睨みながら進めていきましょう。
時代を牽引する、国を牽引する、それができるのは自分たちだ。こうした矜持を持ち、都民が豊かな「時間」を過ごせるよう、新たな一年に全力で取り組んでまいりましょう。

以上、私の新年の挨拶を終わります。本年もみんな元気で、頑張ってまいりましょう。

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