- 報道発表資料
障害のある方の外出をサポートするスマートサービスの体験ツアーを実施
外出を支援するアプリ(袖縁、アイコサポート)を竹芝で体験いただきました
東京都は「2050東京戦略」において、「最先端技術の実装で、障害や言語などの壁は打破され、いつでも誰とでも交流ができ、行きたい場所へは自在に行けるインクルーシブシティ東京」を掲げています。
この実現に向けて、令和7年9月10日から11月30日まで、デジタルサービスを活用して障害のある方や配慮を必要とする方の外出を支援する実証を行いました。
本取組について広く知っていただくため、体験ツアーを行いました。参加者の皆様から直接、貴重なご意見を多くいただき、非常に有意義なツアーとなりました。
体験ツアー概要
実施内容
障害のある4名の方(視覚に障害のある方2名、車椅子を利用していて発話が難しい方、不安を感じやすい方)に外出を支援するアプリ(袖縁、アイコサポート)を使用して、「竹芝新八景」の体験をしていただきました。
利用体験の内容
当日は、1名の視覚に障害のある方が、「アイコサポート」で遠隔オペレーターによる移動サポートを受けながら会場まで向かいました。
その他の方々は、「袖縁」を使用し、施設スタッフに障害特性やお願いしたい対応を事前に連絡することで、受付や入場をスムーズに行うことができました。また、「竹芝新八景」の紹介や、建物外スキップテラスにある「香の景」にて香りや手触りなどの体験を受けていただきました。
体験者のコメント
体験者の方からは、「これらのアプリにより、視覚情報のサポートを得ることができるので、1人で行動できる範囲が広がる」「障害特性を事前に伝えられることで外出やコミュニケーションの不安が減る」などの声が寄せられました。
この体験ツアーに協力いただいた一般社団法人竹芝エリアマネジメント様からは、「このような取組がさらに広がると良い」という意見をいただきました。
体験ツアーの様子
「アイコサポート」利用体験
体験者
視覚に障害のある方
体験内容
「アイコサポート」を活用し、オペレーターから音声で道順等の案内を受けながら、目的地まで到達する方法を体験いただきました。
受付での「袖縁」利用体験
体験者
視覚に障害のある方
車椅子を利用していて発話が難しい方
不安を感じやすい方
体験内容
施設に伝えたい情報(障害特性やお願いしたい対応)を事前にアプリに登録していただくことで、施設側がそれぞれの障害特性等に応じた対応を行うことができる「袖縁」を使用し、施設での受付対応を体験いただきました。
竹芝新八景の体験
体験者
視覚に障害のある方
車椅子を利用していて発話が難しい方
不安を感じやすい方
体験内容
袖縁で施設に伝えた情報に基づき、わかりやすい説明や障害特性等に応じた対応を受けられることを体験いただきました。
香の景(ハーブガーデン)では、視覚に障害のある方が収穫されたものに触れたり、香りを楽しんだりするといった体験をしていただきました。
参加者からの主なコメント
体験者
視覚に障害のある方
- 見えないことで情報を得ることにハードルを感じることがあるが、このようなアプリがあることで、外出先で気兼ねなく、視覚情報のサポートを得ることができる。これが最後の一押しとなって1人で行動できる範囲が広がり、自信や達成感、更には自立に繋がる。
- 社会が障害者に一層寄り添ってくれるようになり、それに伴いさまざまなシステムも構築されてきている。私はスマートフォンの操作に不慣れだが、アプリを活用するようになって、それが私の目の代わりになることで新たな活動につながると感じている。今後はこのようなアプリが一般化していくといいと思う。
- この施設は都心にあるが、自然豊かで、立体的な公園のように感じた。誰でも安全に散策できるこのような施設がもっと増えると良い。
車椅子を利用していて発話が難しい方
- 外出先でのコミュニケーションが難しいと感じることがあるが、事前にアプリで店舗や施設に障害特性をお知らせしておくことで、スタッフの方と安心して会話ができる。また、このアプリを通じて、これまで言葉にできなかったお願いを伝えることができ、本当に求めているサポートを受けることができる。
不安を感じやすい方
- 外見からは分かりづらい障害特性のため、体調が悪くなった際に適切に対応してもらえるかなどの不安があり、外出を控えてしまいがちだった。このアプリにより前もってお店の方に障害特性を理解してもらっているという安心感があることで、行きづらいと思っていたカフェやお店に行くことができる。
施設スタッフ(一般社団法人竹芝エリアマネジメント様)
- この施設は皆さんが自由に訪れることができ、五感で自然を感じることができる。色々な方に楽しんでいただける施設になっているので、さらに良い施設にしていきたい。
- これまでお困りの方をサポートしたいが、どのように対応すればいいか悩むこともあった。このアプリにより必要とされているサポートを事前に知ることができ、適切な対応につなげられるので、とても良いと思った。このような取組がさらに広がると良い。
参考1 体験ツアー実施内容
令和7年11月27日(木曜日)に、東京ポートシティ竹芝で、障害のある方の外出をサポートするスマートサービスの体験ツアーを実施しました。
実証及び体験ツアーで使用したアプリ
店舗や施設とのコミュニケーションをサポートするアプリ
アプリ名(事業者名)
袖縁(株式会社袖縁)
対象
肢体不自由、高次脳機能障害、視覚障害、聴覚障害、言語障害、知的障害、精神障害、発達障害、内部障害、ベビーカー利用
サービス内容
- 障害のある方等が、店舗スタッフ等に伝えたい情報(ご自身の障害特性やお願いしたい対応)をアプリに事前登録
- 目的地でアプリをタップすると、その情報を店舗等の端末に送ることができ、障害特性等を説明する必要がなくなります。
- 店舗スタッフ等とビデオや音声通話、テキストチャットでのやり取りもできます。
紹介ページ
外出時の移動等をサポートするアプリ
アプリ名(事業者名)
アイコサポート(株式会社プライムアシスタンス)
対象
視覚障害
サービス内容
- 視覚に障害のある方がアプリを起動すると、カメラ映像や位置情報を基に、遠隔のオペレーターが対応
- 必要な情報をオペレーターが音声で伝えることで、外出時の移動や買い物など、様々なシーンでの困りごとの解消をサポートします。
紹介ページ
竹芝新八景について
東京ポートシティ竹芝の2~6階にあるスキップテラスを中心に、生物多様性の保全のため「空・蜂・水田・菜園・香・水・島・雨」の8つの景からなる「竹芝新八景」が設置され、生物多様性について知ってもらう活動や情報発信などが行われています。
参考
参考2 本実証事業について
障害のある方等の外出時の困りごとの解消をサポートするアプリの有用性や活用可能性等を検討するために、障害者団体等と連携して、令和7年9月10日から11月30日まで、都内で2つのアプリを活用し、実証を行いました。
- 令和7年度の実証の詳細については、8月29日報道発表障害のある方等の外出をサポートするスマートサービス実証をご参照ください。
- これまでの取組状況については、デジタルによるスマートインクルーシブシティ実現をご参照ください。
本件は、「2050東京戦略」を推進する取組です。
戦略11 デジタル「都民のQOLに貢献するスマートシティの実現」