令和7年度入選作品 広報紙部門
- 更新日
受賞作品一覧
- 最優秀
- 一席
- 二席
- 奨励賞
広報誌部門 受賞作品 講評
最優秀賞 武蔵野市「市報むさしの」10月1日号
講評
特集テーマは「環境にやさしいごみ捨てアクション」。マンガという手法でごみ収集のプロセスがわかりやすく表現されています。ごみ捨てや環境問題に関心が高くない人でもおもわず読んでしまう仕掛けです。収集現場のリアルをはじめて知った読者も少なくないでしょう。また、1人当たりの1日のごみの排出量が年々減少していることもわかりやすく表現されています。ごみ減量によって費用とエネルギーをどれだけ節減されたのか、環境問題への関心を高める記事になっていると思います。(金井)
ゴミやリサイクルのテーマは多くの自治体で見られましたが、こちらは企画の切り口が素晴らしいと感じました。
「捨てかた」ではなく「捨ててから始まる」に視点をスイッチし、捨てたあと始まる清掃員の方の1日の流れを見ていくことで、逆に「捨て方」をしっかり知ることができる。バックストーリーは、表のストーリーをより強く見せてくれます。行政と市民の連携の必要性が、気負うことなく等身大で親しみをもって伝わりました。また、漫画表現を使うことでユーモアを交えて見せる清掃員さんのお姿がなんともかわいらしく、とても共感できて、なんだかじーんとしました。丁寧に出さなきゃと思う。手紙書こうかな。メモ書きが便利なんだ。など自発的に思わず行動したくなる紙面だと思いました。記事の主人公は清掃員さんでしたが、あくまで主役は住民の方々。住民の方にどう主体的に行動を起こしてもらうか、つきつめて考え形にされた。そんな紙面だと感じました。(田中)
一席 杉並区「広報すぎなみ」5月15日号
講評
特集のテーマは「ローカルガイド」。ローカルガイドとして活躍するオーストラリア人のアンディさんへのインタビュー記事です。ローカルガイドとは地域の情報や自身の体験を共有することで多くの方に新しい場所を見つけてもらうサポート活動であり、アンディさんが「外国人の目線」で語る杉並のまちの紹介は地域で生活する人たちにとっても気づきや発見につながります。掲載されたどの写真も被写体や視点がとても新鮮です。アンディさんの杉並のまちへの思いが感じられる紙面です。(金井)
外国の方の視点で街を表現することで、自然とそこにある共生の芽を探る、テーマに対する切り口・視点のスイッチが企画として素晴らしいと感じました。
記事の内容も素敵です。ミラーさんの視点やお人柄でまちの魅力や空気が温かく伝わると共に、様々な見せ方の工夫で何気ない小さな日常に日本や高円寺のまちの丁寧な日常、暮らしが垣間見え気づかされる。日本人の区民の方も誇らしくまちへの愛がさらに深まる内容だったのではと感じました。またミラーさんがツアーを始めたきっかけのエピソードが意外と身近で、区民としてまちのために何か行動できることがありそうな感覚にさせてくれる気がしました。
デザインやライティングのこだわりも、魅力のひとつでした。見出しの文字の質感へのこだわりや、毎号タイトル隣に書かれた編集意図の短い文章がすっきりと美しく、中身が気になる効果的な導入になっていました。(田中)
二席 板橋区「広報いたばし」11月1日号特集号
講評
特集テーマは「聴覚障がい」。聴覚障がいをもつお二人へのインタビューから、日常生活や職場においてどのような困りごとを抱えているのかが具体的に伝わってきます。また、聴覚障がいの解説記事では、わかりやすいイラストとサポート方法が掲載され、相手にあわせたコミュニケーションの大切さが理解できます。読者は聴覚障がいについての新たな気づきや発見ができたと思います。(金井)
デフリンピックが東京で行われた2025年。いくつか同テーマを扱う企画がありましたが、こちらの企画は強く共感と行動に繋がるものだと感じました。聴覚障害当事者の方のインタビュー記事も素晴らしかったのですが、「こんなことに困っています」のコーナーが、個人的にはとても魅力的に感じました。わかりやすく、共感と親しみを感じさせる表現の中、私自身も誤解や気付きもいくつかあり、具体的な行動につながるのではと感じました。
4ページ構成でシンプルな紙面ですが、細かい行政情報やお知らせは他の媒体に任せ、有用な特集に絞る構成がすっきりして好感が持てました。また毎号の表紙デザインや写真がとても印象的で美しかったです。(田中)
二席 足立区「あだち広報」3月10日号
講評
特集テーマは「地下鉄サリン事件から30年」。若者世代が知らない地下鉄サリン事件の一連の経緯が丁寧に編集されています。規制に関する法律はできましたが、現在も足立区、警察署、公安調査庁、地域住民がともにまちの危機管理に取り組んでいることが伝わってきます。反社会的団体による凶悪事件を二度と起こさないための足立区の取り組みをこの記事ではじめて知った人もいると思います。(金井)
強い課題感・使命感をベースに作り上げられたジャーナリズム的広報紙。もしかすると広報紙の企画としては強すぎると感じる方もいらっしゃるかもしれないと思い、不安を最終的に安心感や個人のアクションにどう繋げていかれたのか、気になりながら読み進めました。
本紙と合わせて特設サイトのインタビューフルバージョンも拝読し、その密度の高さに驚きました。特に心が動かされたのは「親思う心にまさる親心 今日の訪れなんと聞くらむ」多くの優秀な若者たちが心をとられてしまった悔恨。私はここに大切なメッセージを感じました。区民として重要なのは知ること、そして大切な人が巻き込まれないよう何かおかしいと思った時に助け合えるまちを作ること。強い防御壁だけでなく、1人ひとりが大小様々な主体性を持ち寄り柔らかな層のような予防線を何重も作って、こぼさないように、後手に回ることがないように。そんな強い願いをインタビューを読みながら感じました。また情報の取捨選択、構成・ライティングが素晴らしかったです。読みやすくコンパクトに必要な情報がまとまっていて、情報の重量を感じさせず一気に読めました。(田中)
奨励賞 千代田区「広報千代田」12月5日号
講評
特集テーマは「エンターテイメントは時代を超えて」。日本のエンターテイメントの中心であった地域特性を活かした6頁にわたる特集です。東京宝塚劇場をはじめ、3つの劇場の歴史物語を通して“劇場のまち・千代田”の魅力が伝わってきます。雰囲気を伝える写真も読者の目をひきつけます。日比谷図書文化館の特別展に興味をもった読者は少なくないでしょう。(金井)
美しい写真、デザイン、読み応えのある記事で、千代田区の劇場の魅力がよく伝わりました。
ひとつひとつ丁寧に取材をされていて、具体的なエピソードの深掘り、特に村野氏のエピソードが興味深く、読み応えがありました。特別展やイルミネーションのページや裏面の「美術館・博物館に出かけよう」など、まちを知って→出かけたくなる、行動の設計も素晴らしく、まちでの楽しく文化的な時間を感じる紙面でした。(田中)
広報千代田:紙面(PDF:7,344KB)(外部サイトにリンク)
奨励賞 中野区「なかの区報」10月20日号
講評
特集テーマは「中野発世界に広がるアニメ文化」。普段目にするアニメが一体どのように制作されているのか。どれだけ多くの人たちの熱意によって制作されているのか。その制作者の思いが伝わる記事です。2000年ごろからはじまった中野区のアニメ文化が今では制作会社のみならず、その他の区内企業や地域の方がかかわる文化になってきました。あらためて地域の文化振興に関心をいだいた読者も少なくないでしょう。(金井)
読んでもらうのが難しい広報紙。その中で「SNSで話題になる広報紙」「保存したくなる広報紙」は、大変参考になるコミュニケーションのお手本のような好例で、戦略として素晴らしいと感じました。アニメの作り方や座談会記事など、記事の企画はどれもとても楽しく、純粋に夢中になって拝読しました。また本紙はタブロイドではなくA4ページ仕様で、今号の企画とも相まって読み物として読みやすく、保存もしやすいと感じました。仕様も大切なひとつの伝え方だと感じました。(田中)
奨励賞 武蔵村山市「市報むさしむらやま」12月1日号
講評
特集のテーマは「障害者週間」。障害のあるお子さんを抱える保護者とサポートする施設の方へのインタビュー記事。障害のある方とのコミュニケーションから生まれる楽しさや喜びが伝わってくる紙面です。裏表紙は市民期待の「モノレールの市内延伸事業」。この事業を継続的に伝えていくことが、まちづくりに関心を持つ人を増やすきっかけになると思います。(金井)
まずこの企画に挑戦したお母様お子様、および職員の皆様に心から拍手をお贈りしたいです。ご出演には多少なりとも勇気が必要だったのではと想像します。でもご自身の体験を語ろうと決められた勇気、それを支えた職員さんやそうしても大丈夫と思える町の心理的安全性がすごいと感じました。
また表紙が美しい。お写真1枚と「ひとりじゃない」手書き文字。シンプルですが、母子の関係や重ねてきた時間を感じ、骨太な強さに心が動きました。インタビュー記事は読んでいて涙が出ました。飾らず、そんなことまで?というような内容も真っ直ぐ語ってくださっていて、お母様、お子様の勇気に心から尊敬の気持ちです。そういう親子だからこそ、応援したくなる力があるのだと思いました。
全体として飾らないトーン、でも微力ながら何かできることはないかと探したくなる気持ちになる、暮らす人の温かさ強さを感じる紙面でした。(田中)