令和7年度入選作品 映像部門
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受賞作品一覧
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受賞作品 講評
最優秀賞 羽村市「羽村×人(はむらびと) 木工工芸家 五十嵐誠さん」
羽村市 「木工家 五十嵐誠さん」(YouTubeリンク)(外部サイトへリンク)
内容
シリーズ【羽村×人(はむらびと)】は、市内で活躍する人にフォーカスを当てて、市の魅力を発信することを目的としている。今回は市内在住の木工芸家、五十嵐誠さんに密着。五十嵐さんは、「指物」という組み手を見せず、金釘も使わずに組み立てられた木工品を制作し、「第68回日本伝統工芸新賞」を受賞するなど、高く評価されている木工芸家である。繊細で細かい作業工程を見せつつ、素材である「木」や作品に対する五十嵐さんの想いなどをお伝えする。
講評
地域で活動するクリエイターの情熱と、羽村市という土地が持つ穏やかな空気感が見事に調和した作品でした。派手な演出に頼らず、被写体である五十嵐さんの「手」や「眼差し」を丁寧に追うことで、視聴者に制作者の哲学を静かに、かつ深く浸透させる構成が素晴らしいです。
行政が発信しがちな「賑わい」や「利便性」といった記号的な広報ではなく、地域の静かな熱量にスポットを当てた点に、羽村市の広報としての「眼力の鋭さ」が表れていると思います。
「自分の街にこんなに素晴らしい職人がいる」という事実は、市民にとって大きな誇りとなると思います。映像全体から漂う落ち着いたトーンは、羽村市の住環境の良さや文化的な豊かさを間接的に表現しており、都市プロモーションとしても極めて優秀だと感じました。(柴田)
企画はドキュメンタリー構成、カメラルックととても素敵に仕上がっていて、尺感もとてもよくまとめられていたと思います。(高木)
一席 武蔵野市「【七転さらさの健康ちゃんねる】第11転 栄養バランス 七転はあやしいカレーをつくる」
武蔵野市 「第11転 栄養バランス 七転は怪しいカレーをつくる 」(YouTubeリンク)(外部サイトへリンク)
内容
転生を繰り返している健康系VTuber「七転さらさ」シリーズの第11作目。本作品は「栄養バランス」について、さらさが肉ばかりの高カロリーカレーを作ったうえで「こんなのばっかり食べてはいけないわけです」と語り掛け、その後、栄養バランスの重要性について説明する。(料理のワイプ動画はAIを利用して作成しており、実際には調理していない。)
講評
自治体特有の硬さを排除し、YouTubeのメインユーザー層に馴染みのあるVTuberフォーマットを採用したことは、視聴完了率(レテンション)を高める戦略として非常に理に適っています。「七転さらさ」というキャラクターが、専門家(栄養士等)と市民の「中立ち」として機能しており、情報の伝達や拡散がスムーズに行われるのではないかと思います。
情報に「感情」が乗っているのも素晴らしいです。
単なる広報誌の読み上げではない、双方向性を擬似的に生み出すYouTubeメディアの特性を理解した賢明な演出判断であると感じました。(柴田)
Vチューバーのキャラクターもきちんと設定されていて、視聴ターゲットが分かりやすく、簡潔に、エンタメ性高く、見ていて飽きない動画でした。他のシリーズもあるようなので、他も見て見たいと思いました。(高木)
二席 江東区 「こうとう現代人 舞踊家 石井清子」
江東区 「こうとう現代人(いまじん) 舞踊家 石井清子」(YouTubeリンク)(外部サイトへリンク)
内容
戦後の日本バレエ界で多くの役柄を生き、プロバレエダンサーを育て、名作を生み出してきた石井清子氏。
江東区・深川に生まれ育ち、93歳となった今なおバレエへの愛情を絶やさず活躍する石井清子氏の足跡を、番組が所蔵する30年前からの貴重な映像とともに紹介。東京大空襲を経験した彼女が何を思ってバレエにのめりこみ、バレエ文化を育て上げたのか。バレエにかける思いや教え子たちの笑顔を通し、「バレエの街」となった江東区の魅力を伝える。
講評
江東区深川が生んだ舞踊家・石井清子の生涯を通じ、一つの芸術が地域に根付くまでの軌跡を見事に描き出していると思います。「文化は人が作り、人が育てるものである」という普遍的なメッセージを、江東区という土地が持つ「情の厚さ」を交えて表現できています。
一人の情熱がいかに都市の風景を豊かに変え得るか。その真実を、深く静かに語りかける秀作でした。(柴田)
石井さんの熱量がよく伝わる映像でした。内容を踏まえて、10分~15分くらいにショートした編集にできると、より多くの人に見てもらえる作品になると思いました。(高木)
二席 稲城市 「稲城市消防本部プロモーションムービー」
稲城市 「稲城市消防本部プロモーションムービー」(YouTubeリンク)(外部サイトへリンク)
内容
出場要請、出場現場での活動、点検、各種訓練等の緊迫したシーンに、隊員の声や現場の音を多く取り入れ、臨場感にこだわった動画です。訓練や体力錬成、日夜共にする環境ならではのブレイクシーンも取り入れ、都内唯一(島しょ地区を除く)の単独消防である稲城市消防本部のリアルを紹介するプロモーションムービーです。
講評
映像美と「熱量」が伝わる作品でした。単なる組織紹介の枠を超え、市民の日常を守るという崇高な使命を、力強いカット割りで描き出せていると感じました。
訓練に打ち込む隊員たちの表情。飛び散る汗や、無駄のない機敏な動きからは、一分一秒を争う現場の厳しさと、それに対する徹底した備えが伝わってきました。
稲城市の穏やかな街並みと、緊迫感あふれる出動シーンを対比させることで、彼らの活動が平穏な暮らしの「最後の砦」であることがうまく伝わる作品でした。
若者へのリクルート効果はもちろん、地域住民との信頼の絆をより強固にする、非常に完成度の高い広報作品だと思います。(柴田)
プロモーションビデオとして、かっこよくまとめられていました。カメラアングルや、実際の隊員さんが役者さんのような表情されていたり、かなり、ドラマティックに描かれており、とても良い映像と思いました。とにかくかっこいい映像にしたかったんだなというのが、とても伝わったし、その通り、かっこいい映像に仕上がったと思います。(高木)
奨励賞 墨田区「サルゴリラのすみだ銭湯(フロ)巡礼 #1 薬師湯」
墨田区「サルゴリラのすみだ銭湯巡礼」(YouTubeリンク)(外部サイトへリンク)
内容
墨田区には、個性的で魅力的な銭湯が数多く存在している。そんなすみだ自慢の銭湯を、銭湯好きの芸人コンビ「サルゴリラ」が各回1か所ずつ巡礼していく。
この回では、スカイツリーから徒歩126(いい風呂)秒の立地にある、「薬師湯」を紹介。実際に入浴しながら、タイル絵に込められた女将さんの思いや、珍しい日替わり湯など、お店のこだわりを体験レポートしていく。幼馴染コンビによる仲睦まじい掛け合いにも心温まる、ゆったり癒しの番組。
講評
墨田区が誇る「銭湯文化」の多様性を丁寧に紹介している番組でした。
芸人特有の騒がしさを抑え、店主や常連客との交流を重んじる姿勢に好感が持てました。
湯気越しに映る建築美や、風呂上がりの一杯を楽しむ姿は、視聴者の「整いたい」欲求を心地よく刺激するのではないでしょうか。
単なるグルメや観光紹介に留まらず、地域のコミュニティとしての銭湯の価値を再発見させてくれる、心温まるローカル番組に仕上がっていると思います。(柴田)
普通に楽しんでみられる番組でした。風呂とご飯の紹介という単純な内容ですが、サルゴリラのお二人のほのぼのした感じや、柔らかい笑いの世界を、ゆったりと見ることができました。(高木)
奨励賞 調布市「調布市制施行70周年記念映像「古今調布のよいところ」」
調布市 調布市制施行70周年記念映像 「古今調布のよいところ」(YouTubeリンク)(外部サイトへリンク)
内容
調布市制施行70周年を記念して制作した映像作品です。市内で25年以上暮らしている落語家の立川晴の輔さんが、軽快な語り口で調布の歴史や魅力を「落語風」に紹介しています。
調布の今と昔を比べられる歴史的な映像や、思わずクスッとする「調布あるある」も登場。
是非ご覧ください!
講評
深大寺などの歴史的遺産と映画のまちや都心に近い利便性を対比させつつ、それらが分断されず地続きにある調布の多層的な魅力を鮮やかに描き出している作品でした。
単なる観光案内にとどまらず、そこに住まう人々の体温が伝わるような演出が、郷土愛を刺激すると感じました。「歩いてみたい」と思わせる、説得力と愛にあふれた良質な広報映像になっている点を評価しました。(柴田)
落語家晴の輔さんの軽快な語りと、しっかりと構成された、映像の流れが、とても気持ちよく、しっかりとした番組として見ることができました。私も昔から撮影でお世話になってる場所なので、調布市の昔と今を知れて良かったです。(高木)
奨励賞 小笠原村 「戦後80年 平和への誓い 日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式」
小笠原村「戦後80年 平和への誓い~日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式~」(YouTubeリンク)(外部サイトへリンク)
内容
日米双方で3万人近くが戦死した硫黄島の戦いから80年。今なお遺骨が眠るその地で、今年3月、かつて戦火を交えた元軍人と遺族、政府関係者が集い、合同慰霊式が行われた。悲惨な戦いを二度と繰り返さないよう、平和を誓い合う姿を伝える。さらに、戦争を直接知る世代が少なくなる中、家族で参列した遺族の慰霊巡拝に同行し、その思いを見つめる。
講評
一般人の立ち入りが制限されている硫黄島の「今」を映し出す貴重な記録であり、行政資料の枠を超えた高い価値を持っている番組です。
現地の風音を活かした演出で、視聴者に「考える余地」を与える構成は素晴らしいです。
単なる式典の報告に留まらず、遺族の表情や若者の参列に焦点を当てることで、「風化への抵抗」というメッセージが伝わりました。(柴田)
島を守る小笠原村だからこそ撮れる「誠実な視点」が貫かれた良作でした。
なかなか見ることのできない、硫黄島の式典の様子を、ナレーションとともに、素敵にまとめられていました。米国の元兵士の方の献花シーンは、元兵士の方のお話しと相まって、感動しました。最後の井上靖さんのお言葉も、今のこの状況で身にしみるお言葉でした。このような歴史に残したいものを、伝えていくのが、本当の意味でのドキュメンタリー映像だと思いました。(高木)