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令和4年(2022年)9月20日更新

令和4年第三回都議会定例会 知事所信表明

令和4年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。

名誉都民である三宅一生さんが8月5日に、同じく森英恵さんが8月11日に、同じく笹本恒子さんが8月15日に逝去されました。
都議会議員である西山賢さんが8月18日に逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心より皆様のご冥福をお祈りを申し上げます。

さて、このたび、三宅しげき議員は、栄えある永年在職議員表彰をお受けになりました。都政の発展に尽くされました25年間のご功績に対しまして、深く敬意を表しますとともに、心からお喜び申し上げます。

1 はじめに

元総理の冥福を祈る

来週、安倍晋三元総理の国葬が執り行われます。世界からも深く慕われる稀有な政治家が、民主主義の根幹をなす選挙の最中に凶弾に倒れるなど、断じて許せません。我が国はテロには屈しないことを世界へ伝える必要があります。改めて追悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。

都市の連携を深めることが、持続可能な未来への近道

先人たちの弛まぬ努力により築かれたこの平和で豊かな社会を、次世代へと引き継いでいく。それが今を生きる私たちの責任です。
ところが、世界を見渡せば、片や記録的な干ばつに襲われ、片や未曽有の大洪水に見舞われています。この異常とも言える事態は、地球温暖化に歯止めをかけられない人間社会に対する警告とも言えるでしょう。さらには、出口の見えないウクライナ情勢が国際的な資源の獲得競争を招き、脱炭素化への歩みも停滞を余儀なくされています。
気候変動をはじめ、地球的問題に国境などありません。だからこそ、世界を俯瞰する目を持ち、持続可能性を追求する国際社会が連帯を深めることが不可欠であります。先日、ジャカルタやクアラルンプール、ニューヨークを訪問し、互いの知恵や経験を持ち寄り共通の危機に立ち向かうことが、サステナブル、持続可能な未来を手にする近道であると確信をいたしました。都は、自らイニシアティブを取り、新たな国際ネットワーク「G-NETS」を築くとともに、来年2月には世界の主要都市トップを東京にお招きする予定であります。国際情勢が緊迫する今こそ、都市と都市が連携を深め、その力を十二分に発揮していかなければならないのであります。

イノベーションの発想で、持続可能な都市への突破口を拓く

もとより我が国は、資源の多くを海外に依存するが故に、これまでも国際社会の動向に翻弄され続けてまいりました。足元がぐらついたままでは、未来は不透明だと言わざるを得ません。加えて、世界から後れを取るデジタル化やジェンダーギャップ、深刻化する少子高齢社会への対応など、積年の課題も重くのしかかっています。この現状を打破するためにも、その影響が先鋭的に表れる首都・東京の行動が鍵を握るのです。
立ちはだかる壁を突き破り、新たな価値を生み出すイノベーション。多彩な主体から生まれる革新的な技術やアイデアが混ざり合う時、東京の課題解決力は格段に高まります。このイノベーションの発想を都政運営に大胆に取り込み、持続可能な都市の実現に向けて突破口を切り拓いてまいります。

2 危機を乗り越え、「サステナブル・リカバリー」を加速

今冬の電力ひっ迫へ備えを固める

この夏、激しい大雨が日本各地を襲い、連日の記録的な暑さで熱中症被害も相次ぎました。その厳しさに拍車をかけたのが、電力の需給ひっ迫であります。皆様の多大なるご協力の下、深刻な事態を回避することができましたが、この先に待つ冬も予断を許しません。節電に向けた企業や家庭の取組をさらに後押しし、都庁の率先行動も加速するなど、この間に実践してきたHTT、「減らす」「創る」「蓄める」、これを磨き上げ、都民・事業者と一体となって、来るべき冬への備えを固めます。

物価高騰等から都民生活を守り、経済回復を後押しする

長期化する燃料費高騰などへの対策も急務です。今月には、円相場が24年ぶりに1ドル140円の大台を突破するなど、歴史的な円安が与える物価高の影響がさらなる重しとなっています。都民の暮らしを守り、経済の回復を力強く後押ししなければなりません。価格転嫁が困難な医療・保育・介護など社会の基礎的機能を止めないために財政支援を行います。中小企業の販路開拓に加え、生産性の向上と賃上げが両立する働きがいのある職場づくりも促進します。同じくコスト増に直面する農林水産業の経営基盤を支えるほか、米や米粉を活用した商品のPRも推進するなど、幅広い手立てを講じてまいります。

脱炭素化を加速し危機を乗り越える

太陽光発電設備等の整備義務化に向けて

化石燃料の多くを海外に依存する我が国において、脱炭素化の追求こそが、エネルギー安全保障を支える要諦であります。その命運は、大消費地・東京の行動にかかっています。だからこそ、HTTの観点から都の政策を抜本的に強化・徹底するべく、「環境確保条例」の見直しを図ります。産業部門・運輸部門に比してエネルギー消費量が膨らむ家庭部門の対策が重要です。そこで、住宅等の新築中小建物に対する太陽光発電の整備等を大手住宅供給事業者などに義務付ける全国初の制度の創設を掲げました。この制度は、住宅供給事業者と住宅の施主や購入者等とが共に建物の環境性能の向上を進めるものであります。新築住宅への義務化の動きは、カリフォルニア、ベルリン等でも拡大しており、国際社会の潮流です。これに乗り遅れることなく、人にも地球にも優しい未来に誇れるまちを残してまいります。
この制度の導入に当たっては、都民・事業者の理解と共感の下、共に力を合わせながら進めなければなりません。様々な問い合わせにお答えする相談窓口の充実や、住宅関係団体と連携した普及啓発など、きめ細かく対応していきます。今後、初期費用や付帯設備の更新費用の軽減に加え、パネル設置後のアフターフォローやリサイクルの促進などについても検討を深めます。さらには、円滑な制度施行に向け、ハウスメーカー等の率先的な取組を促し、実効性を高めてまいります。

あらゆるエネルギーによる総力戦で挑む

太陽光だけに留まりません。水素、地中熱など次世代の多彩なエネルギーの可能性を伸ばし、まさに総力戦で立ち向かいます。
製造段階でCO2を排出しないグリーン水素の活用は、脱炭素化への貢献はもとより、国際競争力を高める好機であります。先月、初開催した「東京グリーン水素ラウンドテーブル」では、業界トップランナーである企業と意見交換を行ったところであり、今後、官民を挙げて水素の普及に向けた具体の検討を深めていきます。
我が国の産業界では、バイクの完全EV化を目指す動きも出てきました。世界各国で環境規制が厳格化する中、ZEVへのシフトをさらに急がなければなりません。その起爆剤ともなり得る世界最高峰の電気自動車レース「フォーミュラE」の2024年の開催を目指し、関係者と協議を進めてまいります。
今、世界では、化石燃料中心からクリーンエネルギー中心の社会へと転換し、経済成長との両立を図るGX、グリーントランスフォーメーションが広がりを見せています。これまで述べてきたHTTはもとより、都が実現を目指す「サステナブル・リカバリー」に向けた取組こそ、
GXの推進と軌を一にするものであります。現下のエネルギー危機を転機として、東京の経済を支える中小零細企業を含め、より良い未来への取組を加速してまいります。

より強靭な都市へ

安全・安心な都市の実現。それは、東京の持続的発展の根幹をなす命題であり、備えを高める取組を不断に講じていかなければなりません。

新型コロナ対策

まずは、新型コロナウイルス対策についてであります。先日、コロナとの共存に向けた方針を決定をいたしました。都が築き上げてきた保健・医療提供体制の枠組みを活かしながら、さらに工夫を重ねて、都民の命と健康を守る体制を充実させる。そして、この見えざる敵に的確に対応し、感染拡大防止と社会経済活動の回復との両立を推進する。こうした二つの方針の下、保健・医療提供体制の充実、ワクチン接種の促進、感染防止対策の徹底、この三本柱で新たなステージへと進めてまいります。
全国一律で適用される発生届の全数見直しにつきましては、かねて要望しておりましたマイハーシスによる健康観察や経口薬の利用が可能となったことなどを踏まえ、都も、来週26日から実施することといたしました。発生届の対象外となる方々が不安を感じないよう、希望すれば健康観察サービスを受けられる体制を整えます。「うちさぽ東京」や「フォローアップセンター」の機能を最大限発揮し、体調急変時にも迅速に対応していきます。加えて、命を守る上で重要なことは、重症化を防ぐことであります。リスクが大きい高齢者への対策を強化するべく、介護度の高い方も受入可能な医療施設を青山に開設をし、医療と介護の一体的実施を図りながら、救急要請にも対応いたします。
重症化を防ぎ、感染の連鎖を断ち切るワクチン接種も進めます。「オミクロン株対応ワクチン」について、現行の4回目接種の対象である高齢者や医療従事者等から開始します。今週から、都の大規模接種会場では警察・消防などのエッセンシャルワーカーにも対象を広げるとともに、来月以降、全ての3回目・4回目接種対象者へと拡大をしてまいります。
コロナと共存する生活も定着させていく。「ワクチン」「換気」「マスク」、この感染防止対策の徹底が社会経済活動との両立に不可欠です。引き続き、都民・事業者の皆様のご協力をお願いいたします。
そして、コロナはもとより、次なる感染症危機への備えのあり方は、国全体として対応するべき問題であります。国と自治体が一体となって実効性ある対策を講じていくためにも、感染症法等の見直しに当たっては、都がこれまで築き上げてきた「東京モデル」などを踏まえたものとなるよう、今後も国に強く働きかけてまいります。

災害に負けない強靭な都市づくり

災害にも負けない強靭な都市づくりも進めてまいります。いつ起きてもおかしくない巨大地震を見据えた新たな被害想定の下、帰宅困難者対策の実施計画の見直しに着手いたしました。地域防災計画の修正と併せ、今年度末を目途に取りまとめます。無電柱化については、木密地域の私道での取組を早期に進めるほか、利島・御蔵島では、「島内完全無電柱化」を具体化する新たな整備計画を策定いたしました。島しょ地域の特性に応じて整備手法を工夫するなど着実に推進します。また、大規模風水害の発生時には、国や区市町村との緊密な連携が不可欠です。先般、広域避難先の施設運営や、適切な情報発信のあり方などについて中間のまとめを公表いたしました。議論を一層深め、避難対策の充実強化に繋げます。
さらに、猛威を振るう自然災害、手強い感染症への対策など、都民を脅かすリスクの高まりを踏まえ、防災施策のレベルアップに向けた方向性を取りまとめました。都民・事業者・有識者などと共通の目線に立って知恵を寄せ合い、年度内を目途に「都市強靭化プロジェクト(仮称)」を策定してまいります。

3 オープンイノベーションで未来を拓く

東京が直面する様々な困難を克服するためにも、都庁は変わり続けます。行政の世界では得難い知恵や技術、マインド。こうした新鮮な外部の空気を取り込むことで新たなサービスを生み出す、いわゆる「オープンイノベーション」こそ、未来を切り拓く鍵となります。

スタートアップ支援の新たなステージ

その重要な役割を担うのが、スタートアップです。共に新しいステージへと駆け上がる。そのキックオフを、先月、経団連副会長と迎えたところであります。都庁は西新宿を飛び出し、虎ノ門のシェアオフィスに「出島」を構えました。顔の見える空間で、同じ空気を吸い、マインドを共有する。都庁各局の精鋭たちが常駐し、密度の濃いサポートをワンストップで提供します。新たに担当局長を設置し、11月には「スタートアップ協働戦略」もバージョンアップして、都庁一丸、ワンチームとなって革新の萌芽を育て上げます。さらに、来年2月には、国内外の企業や投資家などが一堂に会し、スタートアップの挑戦を後押しする国際イベントを開催いたします。東京都も自らの都市課題を乗り越えるための多彩なアイデア、テクノロジーなどを「Sustainable High City-Tech.Tokyo」、その頭文字をとって「SusHi Tech Tokyo」をコンセプトとして、世界に戦略的に発信してまいります。

新たな団体と政策イノベーションを生み出す

都政の構造改革もオープンイノベーションにより爆速で前に進めます。デジタル技術を梃子に、都はユーザー目線のサービスに磨きをかけてきました。この先、DXの恩恵を最大限発揮し、激増するデジタルニーズにスピード感を持って質・量ともに対応していくためには、東京のDXを次なるステージへと引き上げる新たな仕掛けが欠かせません。
区市町村を含めたオール東京でのサービス向上を目指し、高度な専門性を活かして共に施策を推進する新団体、「GovTech東京」を設立する構想を打ち出しました。来年の立ち上げに向けて着実に準備を進め、都庁の内部と外部、2つの力の結合で政策のイノベーションを生み出してまいります。

4 世界を惹きつける、未来を見据えた魅力的な都市へ

続いて、世界を魅了する、未来を見据えたまちづくりについてであります。

ベイエリアのポテンシャルを最大化

ベイエリアでは、ポテンシャルを大いに引き出す取組を展開します。
環状第2号線は、12月、全線開通し、臨海部と都心部を結ぶ大動脈が完成します。アクセス性の向上はもとより、個性溢れる東京のまちを一筆に繋げ、都市の魅力を格段に引き上げます。
それぞれの地区でも将来への種蒔きが進んでいます。例えば、晴海の選手村跡地では、実用段階で日本初となるパイプラインを通じた水素の街区供給を目指し、水素ステーションの整備に着手します。築地市場跡地の開発に向けては、都心部の広大な土地を活かし、世界を惹きつける魅力的なまちづくりを推進します。既に策定した実施方針の下、年内に事業者の募集要項を公表します。そして、2024年春には、「東京ベイeSGプロジェクト」の一環として、持続可能な都市像を世界へと発信する大規模なショーケースイベントを開催します。実装が加速する先端テクノロジーや、フードテックの活用をはじめとした食の新たなスタイルなど、臨海部を舞台に世界に開かれた東京の未来を映し出してまいります。

神宮外苑地区のまちづくり

かの渋沢栄一翁らが尽力し、国民からの献金・献木によって創建された神宮外苑。その再整備に向けた都民の皆様の声、それを踏まえた都の要請に対し、事業者からは、きめ細かな情報発信や関係者一体となった樹木の保全などに加え、献木により植樹を行う新たな構想が示されました。創建時の先人たちの想いを大切に引き継ぎ、100年先の未来に繋げるまちづくりに取り組んでほしいと思います。

多摩地域の魅力をもっと高める

子育てしやすい環境が整い自然の豊かな多摩地域は、新たな成長のポテンシャルに溢れています。賑わいと活力に満ちた多摩の明るい未来の実現に向け、さらなる魅力向上に取り組みます。
八王子では、MICE開催も可能な多摩エリア最大規模の展示会場を備える「東京たま未来メッセ」が来月いよいよ開業します。大学・研究機関等の集積を最大限活用し、広域的な産業交流の中核機能を担うとともに、新たなイノベーションの発信拠点として、産業のさらなる活性化を図ってまいります。また、立川では、「東京しごとセンター多摩」と「労働相談情報センター」の機能を集約した雇用就業の支援拠点を開設します。ハローワークと一体となったワンストップ支援に加え、障がい者のための専用窓口を設置するなど、一人ひとりに寄り添ったきめ細かなサポートを展開してまいります。
さらに、南大沢では、検討を進める駅周辺のまちづくりについて、先般のパブリックコメントを踏まえ、年度内に方針を策定します。多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への延伸に向けましては、来月、都市計画等の手続きを開始し、沿線自治体の住民向け説明会を開催してまいります。

5 一人ひとりが輝ける、さらなる成熟都市へ

子供の笑顔溢れる都市を創る

この夏、官民様々な主体が知恵を出し合い、子供の笑顔を作る200を超えるイベントが企画されました。子供の笑顔は、守るべき社会の財産です。これをしっかりと育んでいかなければなりません。

子供を産み育てやすい社会へ

望む人誰もが子供を産み育てやすい社会へ。不妊治療費の負担軽減に向け、これまで都は、国の補助制度の枠を超え、独自の施策を率先して講じてきました。こうした中、国は、この4月から不妊治療の保険適用化へと大きく舵を切ることとなりましたが、先進医療の費用については適用外となっています。今年度、その一部を助成する都独自の制度を創設し、引き続き、子供を授かりたいという都民の切なる願いに、しっかりと応えてまいります。
また、東京都は、育休という言葉に代わり、「育業」の愛称を使っていくことといたしました。家事・育児のワンポイントアドバイスや、無意識の思い込みに気付きを与えるエピソードなど、様々な情報を発信しながら、育業を活用するパパ・ママに全力でエールを送ります。育業を促す奨励金の拡充や、イメージ向上に結びつく登録制度の開始など、育業の経験が人や企業に成長の機会を与える好循環にも繋げてまいります。

子供目線で政策を不断に見直す

今月、静岡県で3歳の園児が送迎バスに取り残され亡くなるという痛ましい事故が起こりました。都におきましても、直ちに全ての保育所や幼稚園などに対する緊急点検を開始しました。今後、ヒアリング等の実施、講習会の開催、各施設の実施する取組への財政支援、これらを組み合わせまして、実効性の高い方策を講じてまいります。
チルドレンファーストの社会の実現には、子供たちの目線に立ち、為すべきことは何かを考えていくことが肝要です。一人ひとりの悩みに応えられているか。最適なサービスが提供できているか。都庁横断のプロジェクトチームの下で、ヤングケアラーなど今日的な課題や、乳幼児期の集団生活といった子供の「伸びる・育つ」をサポートする取組等にもチャレンジします。新しい子供政策を創り上げるべく精力的に検討を進め、子供の笑顔溢れる東京への歩みを加速してまいります。

世界を見据えた人材育成

時代のニーズにしなやかに対応した学び

世界の動きは極めて速く、技術の進化も日進月歩です。目まぐるしく変化する環境の中にあっても、子供たちには、思うままに未来を描き、自らそれを切り拓く力を身につけてほしいと思います。
日本語の高い壁に守られたニッポン。東京は、世界から見て鎖国状態と見られています。グローバルな素養を磨くことは、視野を広げ、将来の可能性を伸ばすことにも繋がります。都立高校では、これまでの北米やオセアニアなどに加え、中東のUAEとの国際交流の道を拓くほか、新たに専門学科高校生の海外派遣もスタートします。さらに、体験型の英語学習施設「TOKYO GLOBAL GATEWAY」も拡大します。来年1月の立川での開設に向け、着実に準備を進めるとともに、島しょ地域では学校にいながら実践的な英語を身につけられるバーチャルプログラムを一足早く開始しました。来月開催する「総合教育会議」で、教育委員の皆様とも議論を深めながら、国際都市・東京から羽ばたくグローバル人材の育成を推し進めてまいります。
また、都立大学では、世界トップの大学で教鞭を執るなど著名な講師達による特別講座を開講しています。これに加え、令和6年度から秋入学制度を導入し、世界に開かれた大学へと一歩を踏み出します。海を越えて学生たちが集い、共に学び合うことで、これからの日本を支える人材を育ててまいります。

世界に羽ばたくファッションデザイナーの育成

亡くなられた森英恵さん、三宅一生さん。東京を欧米と並ぶファッション都市へと押し上げた功績はあまりにも大きいものがあります。稀代のファッションデザイナーに続けとばかりに、来年の3月、学生を対象としたファッションコンクールを開催します。現在、参加者を募集中であり、世界で活躍する若き才能の芽を育て上げてまいります。

オリンピック・パラリンピックのレガシーを展開

この夏、各地で開催した東京2020大会の1周年を記念したイベントには、数多くの観客の姿がありました。1年前に叶わなかった景色を前にして、「TOKYO FORWARD」、この言葉に込めた想いを改めて胸に刻んだところであります。かけがえのない経験とレガシーを都市発展の力に変え、東京をさらなる高みへと導いてまいります。

スポーツレガシー

カヌー・スラロームセンターでは、一般利用が始まり、誰もが水上スポーツを楽しむことができるようになりました。また、パラリンピック1周年記念イベントの会場となった有明アリーナも開業し、ライブコンサートの開催など新たな賑わいを生み出しています。そして、来月16日には、パラリンピックのマラソンコースを活用した「東京レガシーハーフマラソン」が開催されます。ボランティアの皆様による協力の下、「する・みる・支える」、この東京2020大会が紡いだスポーツの喜びを大いに分かち合っていきたいと思います。
健康にも環境にも優しい自転車をもっと身近にしてまいります。11月に開催するレインボーブリッジのファンライドに続き、来年秋には、多摩地域のレガシーコースを活用したロードレースを開催します。たくさんの方々に楽しんでいただき、その魅力を一層広めてまいります。
さらには、2025年、世界最高峰のアスリートが集う世界陸上、デフアスリートのための総合的な国際大会であるデフリンピックが、この東京で開催されることとなりました。躍動するアスリートの姿が、次代を担う子供たちに、スポーツの価値、感動や勇気を届けるまたとない機会となります。デジタル技術も活用してスムーズなコミュニケーションを図るなど、誰もがスポーツを楽しむことを通じて、共生社会の実現に弾みをつけてまいります。

段差のない社会の実現

あらゆるバリアが取り除かれた段差のない社会に向け、「多様性と調和」の理念をまちの隅々まで浸透させていきます。
大会を機に、全国で初めて一般客室の整備基準を条例に定めた宿泊施設のバリアフリー化は、その象徴となる取組です。先月視察に訪れたパーソンズIPC会長からも高い評価をいただきました。今後、電動車いすを含む全ての車いす利用者がより快適に過ごせるよう、都民や関係団体等のご意見を伺いながら、基準の見直しを図ってまいります。
先の定例会で議員の皆様からのご提案により成立した「手話言語条例」が、今月施行されました。東京を一人ひとりが輝く都市にしていく。障がいのある方への情報保障を確立し、誰もが自然に手を差し伸べられる社会を根付かせていきます。
また、いわゆる人権尊重条例に基づく、「性自認及び性的指向に関する基本計画」の次期改定に向けました検討に着手いたしました。11月より開始するパートナーシップ宣誓制度の実効性を高めるとともに、多様な性に関する社会の理解が促進されるよう、当事者に寄り添った施策を盛り込んでまいります。

6 名誉都民の選定

このたび、名誉都民の候補者として、石井ふく子さん、早田卓次さん、本多一夫さんの三名の方々を選定させていただきました。
石井ふく子さんは、テレビプロデューサーや舞台演出家として心を伝える作品を多数世に送り出し、今なお第一線で活躍されておられます。
また、早田卓次さんは、1964年オリンピック東京大会の体操金メダルの獲得をはじめとして、日本のスポーツ界に多大な貢献を果たされました。
本多一夫さんは、下北沢を中心に個人劇場を数多く経営し、40年以上に渡り演劇人の夢を支援し続け、演劇界の発展に寄与されてきました。
お三方につきまして、都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いいたします。

7 おわりに

さて、一人ひとりの心に灯る明るい光、すなわち、夢や希望こそ、人々の背中を押す力となる。私はそう信じています。およそ100年前、関東大震災からの復興を成し遂げたのは、後藤新平の描く壮大な未来図が、人々の心をまだ見ぬ将来へと掻き立てたからであります。また、戦後日本が辿る経済大国への歩みも、豊かな国家を夢見た先人たちの努力そのものであります。大きな危機に直面している今だからこそ、人々の俯きがちな視線を前へと向ける転換点にしていきたい。東京を成長軌道に乗せる政策をスピード感を持って展開することで、「東京はこれからもっと良くなる」「日本ももっと良くなる」、そうした「希望」を一人ひとりの胸に育んでまいりましょう。
私たちは、今まさに、明るい未来の入口に立っています。主役は、ここにいる私たち、そして都民の皆様一人ひとりであります。「東京大改革」、この都政のイノベーションとも言うべき変革を共に前へと推し進め、新たな時代へ切り拓いてまいりましょう。

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案1件、条例案16件など、合わせて32件の議案を提案いたしております。よろしくご審議をお願いいたします。

以上をもちまして、私の所信表明を終わります。
ご清聴、誠にありがとうございました。

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