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令和7年第二回都議会定例会 知事所信表明

更新日

令和7年第二回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。

1 はじめに

出口の見えない紛争、予想もつかないアメリカの経済・外交政策。株価は乱高下し、我が国の発展を支えた基幹産業の足元が揺らいでいます。AIや半導体など新産業の創出でも、国際競争をリードするのは、桁違いの資金力とスピード感を擁する海外勢であります。不確実で不安定という現実。我が国が直面するのは、変化に取り残された常識や既存の枠組みがもたらすリスクであります。
一方、激動の中にこそ生まれるチャンスもあります。今、問われているのは、流れを大きく変えていく国家としての戦略と意志の強さであります。産業や雇用をどう守り育てるのか、食料やエネルギーをどう確保するのか、人口減少スパイラルをどう食い止めるのか。東京一極集中論の如く実態を無視した内向きの思想や、それを国全体の人口減少と安易に結び付けるような的外れな議論の先に、明るい未来はありません。我が国が幾度ものピンチを経ながらも弱みを強みに変えてきたダイナミズムを、今、改めて思い出してみましょう。世界における日本の存在感を取り戻す。例えば、国連安保理やWHO、OECDの機能を東京に移し、そして、国際的なイニシアティブを握るぐらいの外交的なゲームチェンジを打ち出してはどうか。政府がこうした動きに打って出るのであれば、都はためらうことなく全面的に協力してまいります。
要はスピードです。国際社会の大きな動きを読み解きながら「2050東京戦略」に掲げる政策を先手先手で展開する。そして、大都市東京の強みを遺憾なく発揮し、明るい未来への挑戦を牽引してまいります。

2 国難とも言うべき危機を乗り越えるべく首都防衛に全力を尽くす

まずは首都防衛です。明日はどうなるかといった不安を安心へと変えて、未来に目を向けていかなければなりません。関税問題や厳しい物価高騰、リスクが高まる気候変動の影響や自然災害など、国難とも言うべき危機から都民を守り抜いてまいります。

関税や物価高騰の影響から東京の経済・産業を守る

先の読めない関税措置の影響が続いています。都内中小企業の経営や資金繰りに関する特別相談窓口を直ちに設置したほか、グローバルなサプライチェーンの変化に迅速に対応できるよう支援してきました。また、将来への不透明感は、事業の存続・発展という中小企業の課題を先鋭化させています。石破総理や赤澤担当大臣には、アメリカ政府との交渉や事業者への支援に加え、日本経済の発展を見据えた対策を行うよう直接要望を行いました。今後も影響を注視しながら企業自身の取組もアップグレードできるよう後押しし、この難局をむしろ次なる成長に繋げられるようにしてまいります。
物価高騰も重くのしかかっています。事業者や福祉施設・医療機関等の負担軽減、賃上げの後押し、秋にも予定しているアプリの普及と生活応援とを重ねたキャンペーンなど、既に予算に手厚く盛り込んでいる重層的な対策を着実に推進します。加えて、今年も既に各地で真夏日が記録されています。物価高騰の影響により実質賃金がマイナスの状況が続く中、暮らしへの不安からエアコン等の利用をためらうことがあってはなりません。そこで、都民の皆様の命と健康と暮らしを守るため、この夏に限った臨時的な特別措置として、家庭の光熱水費への支援を行う補正予算案を編成いたしました。一般的な家庭におきまして、4か月で一世帯当たり5千円程度の水道料金の負担軽減に繋がるものであります。よろしくご審議お願いを申し上げます。

深刻化する気候変動の影響から都民の命を守る

こうした緊急的な取組だけでなく、もはや災害級とも言える暑さから命を守るには、体を徐々に暑さに慣らす「暑熱順化」や、近年男性にも広がりつつある日傘の活用など、様々な工夫が必要であります。都は、断熱性が高い二重窓や高効率エアコンへの買い替えなど、電力消費を抑えながら暑さをしのぐための充実した支援策を整えております。さらに、スタートアップが開発した熱中症のリスクを知らせてくれる腕時計型のデバイスにつきまして、消防庁で試験的に導入するほか、高齢者や学校の子供たちなどリスクが高い方々を念頭に活用を図ってまいります。本格的な夏が訪れる前に、しっかりと備えを固めていただきたいと思います。
気候変動によって、年々激甚化・頻発化する風水害への対策にも着実に取り組んでおります。稼働済みの調節池29か所、総容量約268万立米に加えまして、今月から、新たに石神井川の城北中央公園調節池で約9万立米の取水を可能といたしました。区と連携した水防訓練の実施や、地下街の浸水対策に係るガイドラインの改定なども実施しておりまして、ソフト・ハード両面の取組で被害の軽減に繋げてまいります。

手を緩めることなく脱炭素化を進める

歴史的合意となったパリ協定から10年。気候変動対策は正念場を迎えています。この人類共通の課題に国内外で連携して挑む決意を示すため、先般、デンマーク王国、福島県、北海道、東京都の四者で「クリーンエネルギー宣言」を発表いたしました。臨海部を舞台に2日間に拡大して行われた電気自動車のF1「フォーミュラE」や、同時開催したGXを体験できるイベントでは、多くの皆様に脱炭素の取組に理解を深めていただきました。優れた循環型社会を実現していた江戸のDNAを受け継ぐ東京から、世界のモデルとなる脱炭素都市の姿を示していきます。
環境負荷の少ない航空燃料であるSAFは、国内での製造・供給が始まったこの機を捉えまして、各都立病院や世界陸上財団と連携し、原料となる使用済み食用油の確保を推進しています。国産SAFを供給する事業者への支援も開始するなど、生産拡大と利用促進の両面で取組を進めます。
世界では、大気中や工場などからCO2を回収し、資源として活用するカーボンリサイクルの技術も次々と生まれています。民間事業者などと研究会を立ち上げ、都市における活用モデルの創出に挑戦いたします。また、下水汚泥由来のCO2と京浜島に整備中の水素製造拠点で作られますグリーン水素を原料とし、カーボンニュートラルなグリーンメタンの製造にも挑んでまいります。

あらゆるリスクへの備えを固める

あらゆるリスクを想定した都市の強靭化も欠かせません。今年度さらに充実させた「東京とどまるマンション」への支援策につきまして、区市町村や関係団体との連携を強化し、その活用を積極的に働きかけていきます。いつ起こるかわからない火山噴火に備えて、先月、地域防災計画を修正いたしました。火山灰の仮置き場の確保や島民の皆様が円滑に避難できる体制の整備など、具体的な取組を加速いたします。「暑さ」や「ミサイル攻撃」など新たな危機も視野に入れまして、TOKYO強靭化プロジェクトのさらなる充実にも取り組みます。国や区市町村と一層の連携強化を図り、「100年先も安心」な東京を創り上げてまいります。

3 時代の激動をポジティブな変革の流れへと変える

そして、ピンチをチャンスに。経済・産業・社会を大胆にアップデートし、時代の激動をポジティブな変革の流れへと変えていきます。

東京のポテンシャルを活かし、国内外を繋げる結節点となる

それを牽引する取組の一つが、SusHi Tech Tokyo 2025であります。国内外のスタートアップ拠点とも連携し、出展したスタートアップは30を超える国・地域から600社以上、全体の参加者も目標を上回る5万7千人に上りました。スタートからわずか3年で、名実ともにアジアを代表するスタートアップカンファレンスへと育っています。会場は、AI、宇宙産業、モビリティ、量子技術など多彩な才能が出会い、チャンスを掴もうという熱気に溢れていました。セッションに登壇した世界的に著名な経営者から若手起業家へのメッセージをいただいたほか、新たに設けたパブリックデイは大変多くの親子連れで賑わい、最先端の技術が拓く未来に目を輝かせる子供たちの笑顔も印象的でありました。学生チームITAMAEをはじめ、困難や課題に「面白い」「やってみよう」と挑戦する若い力は足元で確実に育っています。新しい産業、世界で戦える産業を、様々な国と一緒になって作っていく土台が東京を中心にできつつあります。フロアを大きく拡張したスタートアップの拠点TIBを結節点に、今後も、技術やアイデア、人材の様々な結びつきを後押しし、イノベーション創出の取組をセカンドステージへと押し上げてまいります。
そして、「東京は面白い」「東京は凄い」という期待も追い風に、世界の資金を呼び込みたいと思っております。金融市場の一大拠点であるシティ・オブ・ロンドンとのさらなる連携強化に向けた検討を進めます。資金の充当先を都市の強靭化に特化した「TOKYOレジリエンスボンド」の新規発行など、サステナブルファイナンスも活性化します。国内外の著名な有識者の助言も得ながら、グローバルな資金が集まる流れを作り、国際金融都市としての地位を確立させてまいります。

デジタル都市への転換を強力に推進する

コロナ禍では、我が国のデジタル化の後れを痛感せざるを得ませんでした。便利で快適な暮らしやいざという時の安心をデジタルの力で実現する次の時代にふさわしいインフラを固めなければなりません。試金石となるのが「東京アプリ」であります。都民生活に役立つ情報の提供や様々な行政サービスとの連携を図るとともに、災害時の安全・安心に繋がる機能も充実するなど、行政の新たな形のモデルとして進化させていきます。また、デジタルに不慣れな高齢者の方々には、区市町村等と連携いたしましてアプリの登録を後押しするほか、安心して使えるようきめ細かなサポートも行います。
医療の基盤となる電子カルテの導入も戦略的な取組で加速させます。令和9年度までの3年間を重点支援期間と位置づけまして、導入後の課題まで視野に入れた伴走型支援を行います。今後、新たに医療DX推進協議会を設置し、医療業界全体を巻き込みながら強力に推し進めていきます。

将来を見据えた都市づくりを進める

東京がこの先も成長を続けるには、将来を見据えた都市づくりによってポテンシャルを存分に引き出すことが必要です。
約60年の長きにわたり経済の成長を支えてきた東京高速道路、いわゆるKK線は、先般、道路としての役目を終え、ウォーカブルな街の象徴となるべく新たな一歩を踏み出しました。時代の変化に合わせた動きが各地で始まっています。首都高の地下化と併せて日本橋川周辺で進むまちづくりでは、江戸から続く文化を継承・発展させた新たな「水の都」の実現に向け、今後、取組方針をバージョンアップしていきます。経済活動や防災性の向上に重要な役割を果たす都市計画道路は、社会情勢等の変化を踏まえ、新たな整備方針の策定に向けて議論を深め、形にしていきます。また、渋滞などを招く踏切への対策も取組の方向性をより具体化し、交通・物流ネットワークの整備を着実に推進します。
実際に空き家を地域の魅力的な資源として改修するプロジェクトも現在進行形であります。都内大学生や都庁の技術系職員が工夫を凝らしたデザイン案の中からふさわしいものを地元の奥多摩町や新島村と共に来月選定する予定でございまして、選ばれた案を基に設計・工事に着手していきます。
今年は訪日外国人旅行者数が過去最速で1000万人を突破しました。この勢いを逃さぬよう、晴海に整備中の客船ターミナルでは、11月の開業を待つことなく昨日から暫定的にクルーズ客船の受入れを開始いたしました。東京国際クルーズターミナルと併せて効率的な運用を行うことで、積極的にクルーズ客船の誘致を進めてまいります。
大消費地に近く、企業・大学の集積や豊かな自然などにも恵まれた多摩・島しょ地域のポテンシャルを、新たな発想でかたちにしていきたいと思っています。先般視察した東京農工大学では、大学の研究を農業や食、エネルギーなど分野横断で組み合わせ社会課題の解決に繋げる取組の最前線を目の当たりにしました。都は今年度、多摩地域にキャンパスを持つ大学と連携し、大島の持続可能な地域産業の創出に取り組んでいるところであります。加えて、いちごの植物工場ビジネスを掲げてアメリカで日本の若者が創業した、まさに日本のスタートアップが、羽村市に世界最先端の研究開発拠点を開設することとなりました。今後も、新産業のモデル創出に積極的に挑むなど、多摩・島しょの存在感を一層高めてまいります。

4 一人ひとりが存分に力を発揮できてこそ東京は変わる

東京を輝かせるのは「人」の力。何にも増して重要なのは、一人ひとりの自己実現を全力で応援し、存分に力を発揮できる都市へと変えていくことです。

女性が自己実現できる社会づくりを牽引する

多様な視点や発想が社会をより豊かにしていきます。だとするならば、人口の半分を占める女性こそ、まさにゲームチェンジャーです。先日、サウジアラビアのリヤドで開催された各界の女性リーダーが集う国際サミットに参加し、「不確実で混沌とする今こそ、女性が自己実現できる社会に変えていこう」と世界に呼びかけてまいりました。国内においても、自治体等の女性リーダーや100社を超える企業とのネットワークを広げるとともに、九都県市首脳会議で女性活躍に関する検討会の設置を提案し、全会一致で賛同を得ております。Women in Action、その取組の輪を国内外に広げ、性別を問わず誰にとりましても活躍しやすい社会づくりを牽引していきたいと思います。
言うまでもございません。大切なのは具体の行動です。4月から「はたらく女性スクエア」内に、女性の健康課題に関する相談窓口を新たに設けました。また、例年より規模を大幅に拡大して実施する女子中高生向けオフィスツアーや、小学生とその保護者をターゲットにしたアンコンシャス・バイアスに関する普及啓発など、性別に囚われず自らの希望や意思に基づいて進路や職業を選択できる環境を整えます。3月に設立した国内初の女性活躍に特化したスタートアップ支援ファンドには、都のファンド事業として過去最多となる反響をいただきました。こうした世の中の関心の高まりを確かな行動変容に繋げられますよう、実効性ある条例の策定を目指し、今後、有識者会議で基本的な考え方につきまして議論を深掘りしてまいります。

これからの時代を担う子供たちの可能性を大切に育む

子供たちは次の時代の主役です。この未来の礎をいかに厚く豊かにできるかは最優先の課題です。例えば、少子化の問題。知事就任以来、東京大改革の下、切れ目のない子育て支援など国に先駆けた大胆な取組を行ってきました。今や、都内の婚姻数や男性の育業取得率の上昇など、出生数の増加に繋がり得る明るい兆しも見えてきています。もっともっとチルドレンファーストな東京にしていかなければなりません。
小学校で進めてきた35人学級への移行を、令和8年度から、段階的に都内公立中学校へ拡大をいたします。子供一人ひとりに寄り添ったきめ細かな教育や先生たちが豊かな専門性を発揮できる学校づくりを行います。
都立高校については、子供たちから選ばれ続ける高校の実現を目指し、抜本的な魅力向上に取り組みます。その一つとして、デジタルとリアルの最適な組み合わせによる「新たな教育のスタイル」の確立に向けて、取組の方向性を今月末に明らかにいたします。さらに、入試のあり方につきましても社会情勢の変化やニーズに見合った形に見直してまいります。教育委員会としっかり連携しながら取組を推進し、全ての子供が将来への希望を持って、自ら伸び、育ち、未来を創る学びの礎を固めてまいります。
子供の主体的な参画も後押しいたします。小学生と一緒に作った「東京都こどもホームページ」は、閲覧数の指標であるページビューが、年間で1億を突破するまでに成長いたしました。今月からは、中高生と共に新たなウェブサイトの制作に本格的に着手いたします。また、子供自身の問題意識を基に構築を進めているのが、職業体験を希望する中高生と企業・団体とをマッチングするプラットフォームであります。夏休みに将来の進路や職業の選択に活かせるようなリアルな体験ができる環境を創出してまいります。
子供や若者たちが、「闇バイト」を通じて犯罪に加担してしまう事態も防がなければなりません。手口が巧妙化する匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウから都民生活を守る体制を強化するため、必要な条例案を提案しています。よろしくご審議をお願いいたします。

健康長寿な社会を実現する

高齢化に伴いまして、長い人生をいきいきと健康的に過ごしたいという願いも高まっています。アクティブなChōju社会こそが、東京が目指す未来の姿の一つであります。ポイント付与やデジタルツールなどを上手に活用して高齢者が積極的に体を動かしたり自ら健康状態を把握できるようにする取組を支援いたします。また、年を取っても気軽に外出できる環境という点では、10月からのシルバーパスの負担軽減はもとより、地域交通の役割も重要であります。不足するバス運転手の確保にも積極的に取り組みます。業務負担軽減に資するDX推進や、女性も活躍できる環境整備、さらに将来を見据えて都営バスへの自動運転の実装にも新たに挑むなど、大切な「地域の足」を守るため事業者や区市町村と連携し複合的な対策を進めてまいります。

スポーツで「人」の力を引き出す

いよいよ開催が3か月後に迫った世界陸上。大会への想いが詰まったバトンが今まさに都内の全小学校に届けられています。そして、大会を契機に、スポーツの価値というバトンを次世代にしっかりと継承したい、こうした想いから、臨場感の溢れる会場で子供たちが観戦できる機会を提供いたします。大会本番では国立競技場を満員の観客で埋め尽くせるよう準備を万端に整え、スポーツの素晴らしさや互いに尊重し合うことの大切さを一人でも多くの方々に届けたいと思います。また、デフリンピックに向けて、手話をベースに身振り手振りで応援を伝える「サインエール」を開発いたしました。聞こえる人も、聞こえない人も一緒に選手の活躍を後押しするスポーツの新しい応援の形として根付かせていきます。
世界陸上とデフリンピックだけではありません。東京2020大会時のコースを活用し多摩地域を舞台に開催している自転車ロードレースを、ハイレベルな国際大会として来月初めて実施するほか、9月には、水泳の聖地として親しまれた辰巳国際水泳場が、年間を通じましてスケートを楽しめる東京辰巳アイスアリーナとして生まれ変わります。
スポーツを「する」「みる」「支える」そして「応援する」、こうした多彩な楽しさや魅力に触れる機会を創出することで、誰もがいきいきと暮らせる東京にしていきます。

互いを尊重し誰もが安心して暮らせる都市へ

「人」が輝く都市を実現するには、多様性に溢れた社会にしていかなければなりません。先の定例会で都議会の皆様の提案による「東京都障害者情報コミュニケーション条例」が可決されました。この条例で定めた理念の下、全ての都民が障害の有無に関わらず、安心して生活できる環境づくりを進めてまいります。また、最新の人口推計によりますと、2025年の東京の外国人人口は過去最多となる見込みであります。日本人も外国人も共に地域の一員として社会の中で活躍できるような取組を一層推進していきます。
働き手を守るという観点も重要です。全国初となるカスハラ条例の理念を運用の現場にしっかりと落とし込むことが求められています。企業などでの様々なカスハラに関する相談体制を今月から強化するほか、公務員として様々な現場を抱える都職員向けのマニュアルの検討も着実に進めてまいります。特に教育現場におきましては、子供たちが安心して学べる環境を守れますよう、学校と保護者・地域とのより良い関係づくりについてもしっかりと取り組んでまいります。

5 おわりに

さて、今年は戦後80年であり、昭和100年である、まさに時代の節目であります。この間の日本の発展を支えた様々な仕組みや制度がその役割を十分に果たせなくなった今、改めて社会の形を再設計する必要に迫られています。常に中心に据えるべきは「人」。どうすればこの先も私たちはいきいきと暮らせるのか、どうすれば私たちは豊かな人生を送れるのか。そのために、何を守り、何を変えるべきか。二次元、三次元で課題の本質を捉えた大改革によって首都東京からいち早くモデルを示し、我が国の進むべき道を明るく照らし出してまいります。
本定例会は、都議会の皆様にとりまして、現任期の最後の定例会となります。振り返りますと、コロナ禍で挑んだ東京2020大会に始まり、時代の激動という歴史的な渦の中、都民生活を脅かす危機や、先鋭化する我が国の構造的課題と真正面から向き合う、そんな4年間でありました。経験したことのないスピードで進む変化。しかし私たちは、国に先駆けた先駆的な政策を共に練り上げ、道を切り拓いてまいりました。1400万都民の多様な声を都政に届け、日夜、東京の発展に力を尽くされてきた皆様に、心より感謝を申し上げます。
現任期を最後にご勇退される方々には、これまでのご労苦に対しまして、都民を代表して改めて深く敬意を表したく存じます。また、改選を迎えられる皆様には、心よりご健闘をお祈りをいたします。

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案3件、条例案13件など、合わせまして44件の議案を提案をいたしております。よろしくご審議お願いを申し上げます。

以上をもちまして、私の所信表明を終わります。

記事ID:000-001-20250602-042011