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令和5年(2023年)6月6日更新

令和5年第二回都議会定例会 知事所信表明

令和5年第二回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。

去る2月16日、名誉都民である北浦雅子さんが逝去されました。改めて、ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。

1 新型コロナ対策の節目を反転攻勢の転機に

新型コロナ対策への協力に感謝

先月、新型コロナウイルス感染症が5類に位置づけられ、大きな転換点を迎えました。都内で最初の感染が確認されてから1200日。経験したことのない変異株との闘いの日々は、「都民の命と健康をどのようにしたら守れるか」という試行錯誤の連続でありました。こうして新たな段階へと移行できたのも、都議会議員の皆様をはじめ、都民・事業者の皆様、医療従事者など関係者の皆様、ご尽力・ご協力いただいた全ての皆様の努力の賜物でございます。心より感謝を申し上げます。一方で、ウイルスは消えたわけではありません。築き上げてきた東京モデルをベースに、今後も安心して医療を受けられるよう取組をしっかりと進める。そのために、本定例会には、約2000億円に上る補正予算案を提案いたしました。都内では3年ぶりにはしかが発生し、梅毒やエムポックス、いわゆるサル痘も増えつつあります。困難の中で培ってきた経験を活かし、未知の感染症にも揺るがぬ都市を創り上げるよう全力を尽くします。

東京がポストコロナの反転攻勢を牽引する

さて、社会が本格的に動き始めています。都内では、八重洲や歌舞伎町、としまえん跡地をはじめ賑わいを生み出すコンテンツが次々と姿を現し、至るところで多くの外国人旅行者の姿を目にするようになりました。株価もバブル期以来33年ぶりの高値を更新するなど、少しずつ回復の兆しも現れています。日本の成長は、東京に活力をもたらし、東京の成長がまた、日本にも活力をもたらします。時機を逸することなく、首都・東京がポストコロナの反転攻勢を牽引し、成長の兆しを大きなうねりへと育て上げなければなりません。我が国の様々な構造的課題から目を背けることなく、問題の根幹を見極めて為すべきことを為す。この覚悟で都市力をあらゆる視点から磨き抜きます。

2 持続可能なエネルギー基盤を有する安全・安心な東京を創り上げる

反転攻勢に不可欠なもの、それは持続可能なエネルギー基盤と、安全・安心です。都民・事業者が存分に力を発揮できますよう、活発な都市活動の土台を固めます。

脱炭素とエネルギー安定確保に果敢に挑む

再生可能エネルギーの実装を加速

今年の世界のエネルギー投資額で、初めて石油開発を上回ると言われている太陽光発電。その導入は、人々のマインドチェンジを促し、再エネへのシフトを加速する呼び水です。フィルム型のペロブスカイト太陽電池や円筒形太陽電池など、設置場所の拡大が期待できる新技術の研究開発を連携・協働して進めます。さらに、都民のおよそ半分の世帯が暮らす既存マンションへの設置も支援し、スペースが限られる大都市での実装を強力に推進いたします。東京に留まらず、積極的に取り組む自治体や業界団体とも連携して、日本全体に太陽光発電のムーブメントを広げます。
4月には、水素トラックを都内の配送に利用するプロジェクトが始まりました。脱炭素化の行方を左右するのが水素社会の実現であります。臨海部で進めるグリーン水素を使った地域熱供給のモデルは、研究機関等と具体的な技術開発をスタートしています。パイプラインを含め、将来の需要を支える供給体制の構築を目指し、川崎市及び大田区と連携を強化する協定も締結いたしました。こうした取組に加え、昨日、国に対しまして、水素の利用拡大に向けた具体的な道筋を早急に明らかにするよう、緊急の要望も行ったところです。国の水素基本戦略改定も踏まえながら、官民一体となって早期の社会実装を実現いたします。
これら太陽光や水素など、再エネ由来電力の供給安定化に欠かせないのが蓄電池であります。脱炭素社会を支える重要なインフラの一つと言っても過言ではありません。電力系統に直接繋がる蓄電池。この整備を推進する50億円規模の官民連携ファンドの創設に向け、運営事業者の選定を進めます。金融の力も駆使して、クリーンエネルギーへの転換を確かなものといたします。

ZEV普及に弾みをつける

脱炭素に貢献するZEVの普及に一段と弾みをつけるため、魅力を体感できる機会を増やしてまいります。新たにEVバイクのシェアリングサービスを開始し、気軽に利用できるようにいたしました。順次、設置場所を拡大し、身近なモビリティとして活用シーンを広げます。さらに、「TOKYO ZEV ACTION」と銘打ち、戦略的なPRも展開します。多くの方々に、観て、触れて、乗っていただく、そのことで次の時代を担うZEVを社会に浸透させます。

エネルギー政策で先導的な役割を果たす

広島で開催されたG7サミットでは、差し迫る気候危機を念頭に、脱炭素とエネルギー安定確保の取組を一層前進させることで合意しました。電力の大消費地である東京に何ができるか、どのような道筋を描いて取り組むべきか。新設した「東京都エネルギー問題アドバイザリーボード」で、大局的な観点から意見をいただきながら、エネルギー政策を戦略的に展開します。同時に、「再エネ実装専門家ボード(仮称)」を立ち上げ、技術的・専門的な助言を得ながら社会実装を加速し、再エネの基幹エネルギー化とバイオマスなど再生資源の活用を推し進めます。
この「戦略」と「実装」を支える二つの有識者会議を梃子にして、環境に優しく安定したエネルギー基盤の構築を先導してまいります。

強靭で安心して暮らせる都市を創る

都民の命と暮らしを守る。このことを、いかなる時も忘れたことはありません。様々な危機が押し寄せる厳しい時代にも揺らぐことのない強靭な都市を築き上げます。

災害への備えを固める

先月に石川県の能登地方を襲った大地震をはじめ、東京や千葉、そして、全国各地で大きな地震が相次いでいます。今年は関東大震災から100年という節目の年です。改めて、都民一人ひとりの防災意識を高めなければなりません。来週、防火・防災に関する国際イベントを開催するほか、8月には震災の経験から学ぶシンポジウムを開催し、集中的に取組を展開します。待ったなしの課題であるマンションの防災力強化など東京の実態に即したテーマも取り入れながら、自助や共助の重要性を浸透させます。
また、先週末の台風2号の影響により線状降水帯が相次いで発生し、東京でも6月としては記録的な大雨となりました。都市の中の高台の活用など、激甚化する風水害から命を守ります。本格的な出水期を前に、大規模水害時に高速道路の高架部を避難先の最後の砦として一時的に利用できるようにしました。東部低地帯の5つの区や関係機関と連携しながら備えを強化し、確実に身の安全の確保に繋げます。
迫りくる地震や風水害の脅威はもとより、火山の噴火や大規模な通信障害など、リスクを取り巻く状況は刻々と変化しております。こうした中でも、昨年末に策定したTOKYO強靭化プロジェクトを安全・安心という揺るぎない都市像への確かな道しるべとしていく。そこで、年度内を目途に内容をアップグレードし、東京の「自助・共助・公助」を盤石にします。

ミサイルへの備え

災害だけではなく、相次ぐミサイル発射による脅威を、もはや現実的なリスクとして直視しなければなりません。爆風などの被害から都民を守るため、既に4017か所の緊急一時避難施設を確保しています。今後も、地域特性や施設の偏在状況等を考慮し、戦略的に指定を進めていくとともに、より安全に避難できる施設について技術的な調査を行います。備えよ常に。これが危機管理のあるべき姿であります。あらゆるリスクを想定し、都民の命を守り抜きます。

身近に潜む危険から都民を守る

昨今、特殊詐欺犯行グループとの関係性が疑われる強盗事件、いわゆる「闇バイト強盗」が広域的に発生しています。中には、SNSを通じて、若者が安易に犯罪に加担してしまうケースが明らかとなっています。被害を未然に防ぎ、新たな実行犯を生まないよう、サイバー空間での取組強化や、若者への啓発活動など、行政と関係機関が一体となって対策を講じます。
また、都内では、痴漢や盗撮などで年間約1800件が検挙されており、対策の強化が急務であります。既に庁内横断のプロジェクトチームが中心となり、痴漢撲滅に向けた取組を始めています。今後、都として初の大規模な被害実態調査を実施し、民間事業者等とこれまで以上に連携を深めて、実効性の高い対策に繋げます。

3 東京の可能性を引き出し、国際競争を勝ち抜く都市力を強化

続いて、国際競争を勝ち抜く都市力の強化についてであります。東京の可能性を引き出し、新たな成長を呼ぶ「未来への投資」を戦略的に進めます。

イノベーションを呼ぶ挑戦者を全力で支援

スタートアップが集い、イノベーションを巻き起こす拠点「Tokyo Innovation Base」の構築に着手します。重要なのは、速やかに行動を起こし、様々な支援を積み重ねることです。まずは有楽町にある施設の一部を使いまして、秋にもプレオープンすべく活動を始めます。少しずつ機能や連携の輪を広げながら、スタートアップ支援の大きなプラットフォームへと育て上げます。加えて、都政現場での協働を通じて成長を支援する「キングサーモンプロジェクト」は、区市町村に協力を呼びかけ、実証の舞台を大きく広げます。さらに、スタートアップとの交流の機会を創出することで自治体職員の官民協働の気運を醸成し、モデル事例を次々と生み出します。

SusHi Tech Tokyo のさらなる推進

こうしたチャレンジを応援する東京の姿、挑戦者の意欲を刺激する東京の多彩な魅力。これを「SusHi Tech Tokyo」の名の下に発信し続けることで、世界を惹きつける都市の磁力を一層高めます。この夏、先ほどのスタートアップ拠点と同じ施設内に、最先端のデジタル技術を体感できる拠点を開設します。さらに、多彩な産業の魅力や江戸から続く奥深い歴史・文化をデジタルコンテンツで発信するなど、リアルとバーチャルの両面で海外に積極的に売り込みます。そして、高まる期待を胸に、再びスタートアップと都市のリーダーが海を越えて出会い、時を超えて未来の都市像と出会う。その場となるのが来年5月の「SusHi Tech Tokyo 2024」であります。今後も、強み・ポテンシャルをワンブランドで展開することで、東京の類まれな価値を国際社会に浸透させます。

オール東京のDX化に向けた基盤構築へ

爆速で進めてきたDXは、この4年間で都庁の仕事の進め方を劇的に変えました。「都政のDX」から「オール東京のDX」へ。都庁を飛び出し、区市町村との協働を加速します。目指すは、世界を牽引するデジタル先進都市の実現です。その推進力となる「GovTech東京」の設立に向け、官民の第一線で活躍する人材を理事に招いて準備を進めています。9月の事業開始に合わせまして都が目指す将来像も明らかにし、都庁の政策立案力とGovTech東京の技術力との相乗効果を発揮して、誰もが「デジタルで良くなった」と実感できる都市へと変革します。また、ChatGPTなど生成AIに世界が注目しています。プラス面とマイナス面を見極めながら、安全で効果的な活用方法の検討や利用上のルール作りを進め、この革新的な技術をより良い都政の実現に活かします。

東京港の機能強化

海を越えてモノが行き交うグローバルな経済活動において、海上物流を巡る国際競争も激しさを増しています。国内最多のコンテナ貨物を取り扱う東京港では、AI技術等を活用したDXを推進し、生産性や防災力を格段に高めます。加えて、ふ頭の整備や水素を活用した脱炭素化など、将来を見据えた戦略的な取組で機能を強化することも必要です。今年度、こうした施策を盛り込んだ新たな港湾計画を策定し、世界から選ばれる東京港を実現します。

4 さらなる成熟都市への礎を築く

東京の強みは、最先端の技術力や高度な都市機能の集積だけではありません。都会の中の水や緑、自然豊かな多摩・島しょなど、多彩な特性を活かし、成熟都市の魅力を磨き上げます。

豊かな自然と共存する持続可能な都市へ

深刻さを増す気候危機に代表されるように、人間の活動によって自然が持つ多様性が失われ、暮らしが脅かされる事態に陥っています。先般、自然と共生する豊かな社会を目指し、新たな戦略を策定いたしました。都の姿勢をアピールし理解を広める絶好の機会として、令和6年の「山の日」全国大会の開催都市にも立候補したところであります。緑溢れる自然を守り、育み、持続的な活用を図っていく。世界有数の大都市として、生物多様性を回復軌道に乗せるという国際社会の目標に、しっかりと貢献いたします。

「人」が主役のゆとりと潤いに満ちたまちづくり

銀座の一等地を走るKK線では、ゴールデンウィークの気持ちの良い青空の下、多くの方々に歩行者中心の空中回廊を体感いただきました。こうした「人」が主役のまちづくりは、東京の新しい魅力です。広々とした水辺空間を満喫できる隅田川では、地域に賑わいを生み出す8つの拠点を設けるとともに、水辺のテラスにスロープや照明を加えることで、川を軸に拠点同士が結び付いたウォーカブルな空間を創出いたします。
都市公園制度が制定されてから150年。時代の移り変わりとともに、公園が果たすべき役割にも変化が求められています。「多様性と調和」を掲げた東京2020大会の経験を存分に活かし、誰もが気軽に立ち寄り楽しめる開かれた場として、都民のより良い暮らしに貢献する。節目を迎えるこの機を捉え、次の時代に求められる進化した都立公園の絵姿を描き上げてまいります。日比谷公園では、いよいよバリアフリー強化に向けた工事が始まります。ぐるりと囲む柵を撤去するなど、周囲のまちと一体感を創出しシームレスに繋ぐ整備を、段階的に進めることになります。木々を大切にしながら、緑豊かな憩いの空間としてさらに磨きをかけ、新たな魅力を生み出します。長きにわたり都民に親しまれてきた歴史と文化も継承し、ゆとりと潤いに満ちた都市を創り上げます。

人々を魅了する多摩・島しょへ

続いて、多摩・島しょについてであります。先般、交通インフラの整備を踏まえた多摩のまちづくり戦略の基本的な考え方を明らかにしました。折しも、今年は多摩が東京に移管されて130周年を迎えます。地域ごとに多彩な顔を持つ味わい深い街の魅力を、市町村とも連携しながら強力にPRし、多くのファンを生み出します。
今月、大島では外国籍クルーズ客船の寄港が予定されています。息を呑む絶景や希少な自然環境を持つ宝島。その色とりどりの魅力に海外から熱い注目が集まっています。インバウンドの回復は、地域活性化の起爆剤です。この機を逃すことなく、リピーターの確保にも繋がる戦略的な広報を展開するとともに、サービス品質の向上や自然・文化・アクティビティを活かした体験型コンテンツの開発など、「おもてなし力」を一段と高めます。
共に盛り上げる仲間が増えれば増えるほど、多摩・島しょは輝きます。新たに開設したポータルサイトを通じて、住まいや仕事、様々な支援制度など多彩な情報をきめ細かく発信するなど、「ここで暮らしたい」と興味を持った方が安心して住むことができる環境を整えます。

5 自分らしく一人ひとりが輝く希望に満ちた東京を創る

いつの時代も、未来を切り拓くのは、自分らしく輝く一人ひとりの活力に他なりません。誰もが夢や希望を追求できる多様性に溢れた社会を築くため、「人」を輝かせる取組を展開します。

子供を産み育てやすい社会へ

「結婚したい」「子供を産み育てたい」という想いを応援する。そこで、都の主催で楽しく参加できる交流の場を創出します。さらに、AIマッチングアプリは、まず対象者を限定して利用を開始し、誰もが安心して使用できるツールとなるよう機能の改善を図ります。事業者をはじめ多様な主体との連携も強化して、結婚に興味がある方々が気軽に一歩を踏み出せるようにします。
子育て中のママ・パパのサポートも充実いたします。都営地下鉄の駅構内の一角を使って、授乳室の設置やベビーカーのレンタルのほか、お湯がなくてもそのまま飲める液体ミルクを購入できるようにするなど、子供と安心して外出できる環境づくりを進めます。
多様性に溢れる持続可能な東京の実現に欠かせない視点が、女性の活躍です。先月、企業経営者等が、女性のロールモデルや先進的な取組事例などを発信するカンファレンスを実施しました。さらに、今月には、G7の女性活躍に係る担当大臣の会合に合わせて、自治体の首長や企業経営者など第一線で活躍する女性たちと、地域・経済の活性化策について意見交換を行います。また、将来を担う子供たちのマインドチェンジも大切です。意識が変われば行動が変わり、社会が変わっていく。性別による無意識の思い込みによって夢や可能性を狭めることがないよう、企業とも連携して、学びや気付きの機会を提供します。

子供の無限の可能性を引き出すチルドレンファーストの東京へ

子供の無限の可能性を引き出し、自ら人生を切り拓く力を身につけられますよう、引き続き、チルドレンファーストの視点で、育ちや学びを後押しいたします。

乳幼児期の育ちを支援

乳幼児期は、日々の遊びの中で生まれる「探究」を通じて人格形成の基礎を育む重要な時期とされています。幼稚園や保育所といった置かれた環境の違いにかかわらず、好奇心を刺激する質の高い体験や経験ができるようにする。東京大学の研究機関CEDEPと協働の下、まずは複数の自治体と連携し、現場での実践を通じて、子育ちを支援するプログラムを策定いたします。来年度は、これを都内全域に展開し、子供たち一人ひとりの育ちを応援いたします。

多様な学びの場の創出

近年、いわゆる不登校が増加の一途を辿っています。こうした児童・生徒をはじめ、学校生活に馴染めず生きづらさを抱える子供たちにも、個性や強みを伸ばして人生の中で大きな花を咲かせて欲しいと思います。大切なのは、学校という既存の枠組みに囚われることなく、多様な学びの場を創出することであります。都内のフリースクールや国内外の先進事例を調査し、新たに専門家の意見も聞きながら、ありのままで自分らしく成長できる環境を整えます。

確かな英語力で子供の可能性を広げる

グローバルな現代社会では、英語を使いこなす力の重要性が増しています。子供たちには、世界と繋がる喜びを知ってもらいたい。ネイティブの生きた英語を学べるオンラインレッスンを全都立高校へと大幅に拡大いたします。また、パリ市とのMOUを更新し、海外交流を一層促進します。さらに、スピーキングテストの対象に中学1、2年生も加えることで、教員や生徒が学びの到達度を確認しながら学習を深められるようにしました。実践的なコミュニケーション力を高め、子供たちの可能性を大きく広げます。

スポーツで様々な人へ夢と希望を与える

その日、その時、その瞬間に全てを捧げてきたアスリートの躍動する姿には、人々に勇気と元気を与える力があります。15歳以下で構成される女子ソフトボール・ワールドカップの記念すべき第一回大会が、10月、この東京で開催されます。アスリートが繰り広げる真剣勝負を通じて、同世代の子供たちに夢と希望を届けられるよう、競技団体と協力して大会を成功に導いてまいります。
そして、2025年のデフリンピックに向けましては、運営組織が立ち上がり本格的な準備が急ピッチで進んでいます。この大会を、デフアスリートだけでなく、他のろう者や次世代を担う若者たちが自らのものとして参画できるようにする。そうした想いで大会エンブレムの制作も始まりました。大会開催を好機として、多様性への理解を一層促進いたします。

誰もがいきいき暮らせる共生社会の実現

東京2020大会を機に進展したインクルーシブなまちづくり。これをさらに推し進め、誰もがいきいき暮らせる共生社会の実現に全力で取り組みます。
昨年11月にスタートしたパートナーシップ宣誓制度は、確実に取組の輪が広がっています。これを行政サービスだけに留まることなく、当事者が社会の中でぶつかる様々な困りごとの軽減に繋げていかなければなりません。企業を訪問して性的マイノリティの理解促進に向けたきめ細かな支援を新たに開始するなど、経済団体等との協働を強化いたします。
障がいのある方をはじめ、就労に困難を抱える方の個性や能力に応じた活躍を引き出すソーシャルファーム。認証企業の数も着実に増えております。この流れを大きなうねりへと結び付けるため、今月、東京国際フォーラムで普及啓発のキックオフイベントを実施いたします。これを機に、働く方々と事業者の双方への取組を展開し、自立への想いを社会全体で後押しいたします。
ますます進行する高齢化の現状。この現状に、正面から向き合わなければなりません。現役世代が減少する中で、介護人材の確保や社会保障費の増加など課題は深刻化しています。デジタル技術で体調管理や病気の兆候を察知して健康づくりに活かすほか、単身高齢者の増加を踏まえ、地域と繋がる居場所づくりを進める区市町村も応援します。住み慣れた地域でいつまでもいきいきと暮らすことができるよう、幅広い視点で検討を深めながら、次期高齢者保健福祉計画を策定いたします。

6 おわりに

さて、国際社会の動きは極めて速く、極めて複雑であります。少子高齢化や人口減少に直面する日本。従来の延長線上に解を求め、国内でパイを取り合っていては、国際競争力を失うばかりであります。今、為すべきは、世界の80億人の市場を視野に、確かな戦略を持ってパイそのものを大きくすること。すなわち、本気で産業や経済、社会の構造転換に挑み、全国の自治体と手を取り合って、勢いある日本を取り戻すことであります。
そのためには、まず首都・東京が自らの強みやポテンシャルを研ぎ澄まし、国際都市としての存在感を高めることが大切です。海を越えて人が行き交い、投資を呼び込み、「成長」と「成熟」を加速させていく。ポストコロナを迎えた今こそ、このダイナミックな営みによって、持続可能な都市の発展、「サステナブル・リカバリー」へと突き進む時であります。皆さんと共に、1400万都民の、そして、我が国の明るい未来に挑むチャレンジャーとして、スピード感を持って果敢に行動を起こしてまいりましょう。

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案1件、条例案21件など、合わせまして53件の議案を提案いたしております。よろしくご審議をお願いを申し上げます。

以上をもちまして、私の所信表明を終わります。

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