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令和6年(2024年)5月29日更新

令和6年第二回都議会定例会 知事所信表明

令和6年第二回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。

1 はじめに

全身全霊で挑んだ8年間の都政

都知事に就任し、初めてとなる所信表明の場で、私は、こう申し上げました。「今の都民のために、そして未だ見ぬ100年後の都民のために働かなくてはいけない」「もっと東京は良くなると、都民が希望を持てる都政を展開する」。この決意は、一瞬たりとも揺らいだことはありません。とりわけ、新型コロナウイルスとの1200日に及ぶ闘いは、都民の命と健康を守り抜くために全身全霊を傾けた日々でございました。いち早く立ち上げた東京iCDCが核となり、試行錯誤で築き上げた東京モデルによりまして、100万人当たりの死亡者数はOECD加盟国でも極めて低い水準に抑えられました。これは、医療従事者をはじめ都民や事業者、全ての関係者の皆様のご尽力・ご協力の賜物であります。そして、コロナ禍の下で開催いたしました東京2020大会、まさに東京が一つになり世界中に勇気と感動を届けられたと、このように考えております。
この間、エネルギーや自然災害、国際競争力など様々な不安が都民に襲い掛かってきました。国際情勢も様変わりいたしております。不透明で困難な局面だからこそ、私は、「人」を縦糸に都政を幅広く俯瞰をし、「成長」と「成熟」が両立した持続可能な都市にするための大改革に邁進をしてまいったのでございます。待機児童はほぼ解消させ、DXを爆速で進める体制を構築し、都市の強靭化も強力に推進をしております。同時に、こうした都民第一の施策を展開し続けるため、無駄をなくす取組を徹底し、毎年約1000億円、8年間で約8100億円に及ぶ新たな財源も生み出してまいりました。

都政が今為すべきは何か

都政に全力で向き合ってきたからこそ意を強くしたのは、東京には、我が国の発展はもちろん、世界有数の大都市として、人類共通の課題を乗り越え国際社会をもリードする力があるということでございます。足元では、少子高齢化や人口減少といった社会の根幹を揺るがす問題が先鋭的に表れています。東京の底力を掘り起こし、未来を切り拓く役割が今まで以上に求められているのを感じます。
時代が変化する兆しを見逃してはなりません。大改革の芽をさらに大きく花開かせ、一つの成功モデルを示し、社会を構造から変えるダイナミックな流れを起こしていく。そのためにも、今必要なのは、為すべきこと、東京だからこそできることを実行するスピード感。すなわち都政の動きを加速していくことであります。

2 東京を世界の成長を牽引する都市へ

まずは、再びアジア、そして世界の成長を牽引する都市へと飛躍する、また飛躍させる取組についてであります。

イノベーティブな都市へと進化

世界の至る所で生み出される技術やアイデアの混ざり合いが、都市課題を解決する新しいビジネス、新しい価値を生み出し、明るい未来を創り上げていく。東京をそのハブへと引き上げるSusHi Tech Tokyo 2024が、先日、大盛況のうち、幕を閉じたところでございます。昨年スタートさせ、わずか2年であるにも関わらず、期間中は、430社を超えるスタートアップ、45もの世界の都市の代表が参画し、さらには、延べ60万人を上回る皆様にも足を運んでいただき、既にアジアを代表するような催しの一つとなりました。都市同士の連携や革新的なテクノロジーによって切り拓かれる持続可能な社会の姿を、多くの人に実感いただけたのではないでしょうか。「東京に来れば課題解決のヒントが見つかる」「東京で起業したい」「東京にはチャンスがある」、そうした期待も高められたと思います。このイベントは、ゴールではなくスタートであります。都市とスタートアップの具体的な協働の動きも始まりました。今回生まれたネットワークやイノベーションの種を、より良い未来に向けて、しっかりと根付かせ花開かせていかなければなりません。
そうした挑戦の一つの核となるのが、機能を一層充実させて、先日グランドオープンを迎えました「Tokyo Innovation Base」であります。先般訪れたアメリカのシリコンバレーは、世界中から様々な人が集まり、多様性によって互いに刺激し合うような場所でありました。SusHi Tech Tokyoを梃子にして国際的なネットワークも強化し、多様なプレイヤーの結節点として進化させていきます。金融・資産運用特区を進める国と緊密に連携を図りながら、投資とイノベーションの好循環を生み出します。
イノベーティブな都市にとって欠かせないインフラの一つ、それはデジタルであります。その力で都民が利便性を実感できるようにする東京DXを、昨年立ち上げたGovTech東京を推進力にして加速させます。この間の取組で早くも成果は現れています。例えば、施設予約のデジタル化など自治体が共通して抱える課題を伴走型で支援してきたほか、デジタルツールの共同調達で、事務負担の軽減と約20億円ものコスト削減を実現いたしました。今後は、区市町村との間で、共同化のメニューの幅を広げるとともに、GovTech東京に登録している専門的なスキルを持つ人材とのマッチングを進めてまいります。子育てサービスの変革に挑む「こどもDX」につきましても複数の自治体での先行実施が始まっております。区市町村のニーズに即した支援と、DX全体を引っ張る取組を両輪で進め、都民サービスの質を格段に高めてまいります。

インクルーシブな都市を実現

いよいよ開催を来年に控える世界陸上とデフリンピック。多くの方々に夢と希望を届けるスポーツの力で、インクルーシブ、すなわち包摂的な都市の実現に弾みをつけていきたいと思います。開幕まで500日を切った世界陸上につきましては、東京大会を象徴するロゴマークの下、ボランティアの募集をはじめ準備を加速させ、世界中の期待を高めてまいります。デフリンピックは、大会期間中、運営や輸送、選手同士の交流など様々な機能を集約した拠点「デフリンピックスクエア」を国立オリンピック記念青少年総合センターに設置をいたします。さらに、みんなで大会を創り上げていきたいという願いを込めまして、クラウドファンディングを開始いたしましたほか、聴覚障害や言語の壁を乗り越え意思疎通を図れるユニバーサルコミュニケーション技術の実装も進めてまいります。成功裏に幕を閉じました東京2020大会は、鉄道駅や宿泊施設はもとより、あらゆる面で段差の解消が進む契機となりました。来年開催いたします二つの国際スポーツ大会を通じまして、この流れを加速させ、共生社会の実現に繋げます。

多彩なポテンシャルを引き出し世界を魅了する

強みを魅力へと高める

東京が持つ強みを新たな魅力としてどんどん引き出してまいります。ゴジラが登場するコンテンツも大好評をいただいております都庁舎のプロジェクションマッピング。これまで国内外から20万人を超える方々に楽しんでいただきました。何もないところが、開始からわずか3か月で観光スポットになっているのです。今後も、地元の団体や民間事業者とも連携しながら、新たな夜の名所を生み出してまいります。工事現場の仮囲い等を彩るプロジェクトのさらなる推進に加えまして、来年度ベイエリアで開催する予定の東京の国際芸術祭、トリエンナーレを起爆剤に、アートの街としても一層磨きを上げてまいります。さらに、江戸の記憶が息づく日本橋川の周辺では、先日新たに立ち上げました検討会が中心となって、地域の歴史や文化、緑を活かした水辺の賑わいを創出していきます。

メリハリのあるまちづくり

臨海部では、今、最先端のまちづくりが加速しています。恵まれたロケーションや歴史・文化資源などのポテンシャルを有する築地市場跡地では、いよいよ新たなプロジェクトが始動いたします。地域に息づく食文化を活かしながら、場外市場をはじめベイエリア全体を連携した築地ならではの賑わいを進化させてまいります。一方、長い年月を経まして醸し出される個性や味のある街並みも、「東京らしさ」を形作る大切な要素の一つであります。江戸情緒溢れる街並みづくりを新たに支援いたします。さらに、建築安全条例の改正に着手しまして、安全性を確保しながら既存ストックを地域の魅力創出に活かしていくなど、今後、リノベーションによるまちづくりにも力を入れてまいります。
街と街を結び付け都市全体に活力をもたらす、それが交通インフラです。知事就任以来、東京の持続的な発展を牽引する鉄道網の充実に力を入れてまいりました。来月には、地下鉄8号線の延伸や品川地下鉄の新設について都市計画を決定いたします。鉄道新線に係る計画決定は、およそ四半世紀ぶりとなります。都心とベイエリアを結ぶ臨海地下鉄につきましても早期事業化に向けて取り組み、交通ネットワークの充実を推進をいたします。

多摩・島しょの魅力発信

東京の魅力を語る時に欠かせない多摩・島しょ地域。そのブランド価値を高め、多くの人が住み訪れたい場所にしたい、こう思っています。
そこで、多摩地域では、国内で開催される大規模な観光イベントでのPRや、多様なメディアを活用した情報発信など、誘客キャンペーンを展開いたします。社員の生産性等を高めるためのワーケーションに活用してもらうべく企業単位の誘致活動も行いまして、様々な角度から多摩地域の魅力をアピールしてまいります。
島しょ地域では、複数の島にまたがる新たなサービスの事業化などを支援する「東京宝島チャレンジプロジェクト」を展開し、広域的な魅力の創出に繋げます。また、青い海に囲まれ独自の生態系が息づく小笠原諸島では、先般、振興開発計画の素案を取りまとめました。地域資源を活用した産業振興や自然と調和したインフラ整備など、小笠原の特殊性を踏まえながら、住民生活の安定や福祉の向上を図ります。

3 都市から持続可能な社会のモデルを創り上げる

気候変動という危機を前に、エネルギーの大消費地である都市から、持続可能な社会のモデルを創り上げていかなければなりません。

脱炭素化の歩みを加速させる

多くの都民・事業者の皆様にご理解とご協力をいただき全国に先駆けて成し遂げた太陽光発電設備の設置義務化が来年度から始まります。環境技術は日進月歩であり、世界がしのぎを削っています。その一つが、薄く、軽く、曲がる次世代型ソーラーセルであります。都庁展望室や住宅供給公社の施設に続きまして、先日、東京国際クルーズターミナルにも新たに設置いたしました。これから発展していく技術だからこそ、都が率先してその「見える化」に取り組み、社会実装の流れを加速させて、「発電する未来都市」への道を拓いてまいります。
今年の3月に開催を実現いたしました世界最高峰の電気自動車レース「フォーミュラE」を弾みに、脱炭素に貢献するZEVをモビリティの主役にしていきたいと思います。そのために欠かせないのが充電インフラであります。都はかねて住宅等への充電設備の設置を支援してまいりました。加えて、公道におきましても、東京駅や増上寺周辺で急速充電器を新たに2か所設置するとともに、さらなる増設も検討いたします。充電設備等を備えたマルチエネルギーステーションを増やす支援など、様々な取組も通じまして、ZEVの普及を見据えた環境の整備を図ってまいります。
さらに、持続可能なまちづくりを先導する臨海副都心におきましては、2050年カーボンニュートラル実現に向けまして、官民連携による新たな戦略を策定いたします。これに合わせまして、主要交通機関でありますゆりかもめの100%グリーン電力による運行も8月から開始をするとともに、エリア内のCO2排出量の約9割を占めますオフィスビルなどの業務部門におきまして、事業者と協働して脱炭素化を進めてまいります。

脱炭素化の切り札となる水素エネルギーの普及に果敢に挑む

世界に先駆けた水素社会の実現も推し進めてまいりました。水素エネルギーの普及拡大には、需要と供給を両輪とした戦略的な取組が不可欠であります。燃料電池トラックや燃料電池ごみ収集車の実装を強力に推進するとともに、我が国の玄関口であり世界へのPRにもなります空港臨海エリアでの需要拡大を図るべく、航空機の支援車両への導入も進めてまいります。JR東日本が中心となりまして南武線で試験走行を実施しております水素電車でございますが、この度、都内区間での実証が決まりました。こうして、まずは水素エネルギーの強みを活かせる商用分野での利活用を広げてまいります。
供給網も整えていかなければなりません。海外から受け入れるグリーン水素を活用するため、パイプラインを含む供給体制の構築に向けました協議会、新たに設置をいたしました。空港臨海エリアで実装に取り組みます民間や自治体等と将来のロードマップ、描いてまいります。先月には、大田区平和島で全国初となるトラックターミナル内の水素ステーションも営業を開始するなど、将来を睨んで、先手の取組を展開をしてまいります。

東京グリーンビズ・ムーブメントの醸成

経済性と効率性を優先するまちづくりは過去のものとなり、東京は緑豊かな都市としてさらなる進化を続けています。最近の大規模民間開発では、合わせまして6万平方メートルを超える緑の空間が創出されましたほか、この任期中に新たに整備された都立公園は、東京ドーム約7個分に上ります。緑を「まもる」「育てる」「活かす」。ゆとりと潤い溢れるまちを未来に継承していくため、都民はもとより区市町村や企業などあらゆる主体を巻き込み、東京グリーンビズを大きなムーブメントへと育て上げてまいります。その土台となるのが、「グリーンビズマップ」であります。都内の公園など緑溢れるスポットの情報を分かりやすく発信してまいります。さらに、緑への都民の関心を高められますような、そんな機能も盛り込むなど、段階的にバージョンアップを図ってまいります。また、ベイエリアにおいて緑化率を引き上げるなど基準の改定等を行いました都市開発諸制度の活用を通じて、民間開発による緑の充実を効果的に誘導してまいります。
動植物や自然との共生も推進いたします。緑豊かな環境を有する保全地域の指定目標を1000ヘクタールに拡大するとともに、区市町村やボランティアと連携・協力するための拠点「東京都生物多様性推進センター」を先月新たに設置をいたしました。8月に開催する「山の日」全国大会も、東京グリーンビズが掲げる「みどりと生きるまちづくり」への共感を育む契機としてまいります。

4 迫りくる課題を乗り越え、都民へ安全・安心な暮らしを届ける

続いて、一人ひとりの暮らしを支える安全・安心についてでございます。

備えを固め強靭な都市を創る

災害への備え

元日に起きました能登半島地震をはじめ、各地で地震が頻発をし、大規模災害への不安が高まっています。安心して在宅避難できる「東京とどまるマンション」につきまして、今年度から、防災備蓄資器材の支援を通じまして、登録の促進だけではなく町会等と合同で防災訓練を実施するインセンティブを導入いたしました。都民の約3分の2が暮らすマンション等の防災力の向上と、地元との繋がりの創出。この二つの相乗効果で地域全体の共助の力を強化いたします。
気候変動の影響により激甚化・頻発化する風水害への備えも万全にしなければなりません。海に面する都市として高潮への対策を強化するため、学識経験者等による検討委員会を立ち上げ、今年度内に、河川ごとの最適な整備手法等を定めます対策方針を策定いたします。さらに、環七地下広域調節池等を連結しまして東京湾まで繋げる、いわば新しい川を地下に一本作る取組も、今年度から着実に推進していきます。
かつて静岡県熱海市の市街地で発生した土石流災害。これを教訓に制定されました盛土規制法に基づく運用、7月から始まります。都民の安全を確保するため、都内のほぼ全域を規制区域といたしまして、都独自に人工衛星データや都民投稿ツールを活用した盛土の監視を行ってまいります。

熱中症対策

この夏も例年以上の暑さが見込まれております。毎年多くの方の命を奪う熱中症は、もはや災害の一つという認識に改めまして、対策の徹底が肝要でございます。HTT・ゼロエミッション推進協議会でも危機感を共有し、官民がしっかりと連携をいたしましてきめ細かな情報発信など幅広い取組を展開いたします。クーリングシェルターの設置、また普及啓発も区市町村と協力して進めるなど、都民一人ひとりに命を守る行動を促してまいります。

生活基盤を揺るがすリスクから都民を守る

働き方改革と生活を支える様々なサービスの両立が求められています。2024年問題への対応であります。国や事業者と連携しまして、再配達の削減に向けた消費者の意識改革等に取り組む「東京物流ビズ」を始動いたしました。また、物流の要である東京港では、かねてターミナル利用に予約制を試験導入しておりまして、その結果、大幅な待ち時間の削減に成功いたしました。今後、これを東京港全体に広げるほか、トラックによる輸送力の低下に備えて、鉄道や船舶へのモーダルシフトも加速いたします。物流のみならず、建設や医療の分野でも働き方改革が本格化しております。デジタルツールを活用した効率的な業務体制の構築など、生産性の向上に資する取組、しっかりと後押しをしてまいります。
長期化する物価高騰から都民生活や企業活動を守り抜く。こうした覚悟で、今年度予算には、住宅困窮者支援や中小企業の経営下支え、さらには、企業の賃上げ後押しなど重層的な手当てを講じたところであります。低所得世帯を対象にした世帯当たり1万円分の商品券等による生活支援につきましては、来月にも申請受付を開始いたします。こうした様々な取組が、必要とする都民の皆様の下に届きますよう、着実に施策を実行に移してまいります。それに加えまして、都民の命と生活を守る。東京を持続可能なまちとし続ける。それこそが都政を預かる者の最大の使命でございます。

5 未来に希望溢れ「人」が輝く社会を実現する

いつの時代も、主役は「人」。人々が制度や仕組みに合わせて生きるのではなく、その生き方に制度や仕組みの方を合わせて、「人」が輝く社会を実現していかなければなりません。

子供を産み育てやすい社会の実現を先導する

人口減少は我が国の構造的課題の最たるものであります。人口は国力そのものであり、本来ならば、国家としての大方針があってしかるべきであります。人口減少に大きな影響を与える少子化。その要因は複合的で、子供を持つことは一人ひとりの人生の選択の結果であります。問題の根っこにあるのは、子供を持つ、それが一つの幸せな生き方に繋がると確信を持てるかどうかではないでしょうか。だからこそ、私は、望む人が安心して子供を産み育てられる社会の実現を都政の最優先課題に位置づけて取り組んできたのであります。卵子凍結に関する支援、018サポートに象徴されるように、出会いから結婚、妊娠・出産、子育てまで切れ目のない支援を国に先駆けて推し進めてきました。こうした取組には、多くの方々の共感をいただけたと、このように感じております。都民・国民の皆様が、「一人ひとりの自己実現を応援してくれる社会に変わった」と実感できなければなりません。ライフステージを通じた取組をスピード感を持って積み重ねてまいります。
将来の妊娠に向けた男性への検査の支援も新たに開始をいたしました。また、育業を社会全体で応援する気運の醸成、職場の環境づくりにも取り組んだ結果、都におきましては、今や働く男性の約4割が育業する時代となりました。これを一層推進するため、従業員の後押しに力を入れる中小企業への支援制度を充実・強化いたします。
申請手続きに当たり大きな反響と様々なご意見をいただきました018サポート。今年度新たに対象となった方の受付、来月から始めます。マイナンバーカードを活用し、手続きの負担を劇的に改善いたしました。様々な行政サービスを、国、東京都、区市町村が一体となって、簡単に、確実に届けていく。そのような子供を産み育てやすい環境づくり、都が先頭に立って進めてまいります。

女性が力を発揮できる社会を創る

女性が存分に力を発揮できる社会への転換も加速していかなければなりません。隗より始めよで、都庁では、審議会等の女性任用率が約46%と大幅に拡大をし、女性管理職の比率も民間企業の平均を上回っています。覚悟を持って取り組めば変わる、そう確信しています。これまで築き上げた、想いを同じくする企業同士のネットワークを活かしまして、都立高校生のキャリア形成や女性リーダー育成に取り組みます。さらに、「はたらく女性スクエア」を9月に開設するほか、投資家のネットワークと女性起業家を結び付ける機会を設けるなど、自ら望むキャリアを歩み、自分らしく輝けるようにしていきます。
そして、昨年立ち上げました「東京くらし方会議」では、いわゆる「年収の壁」など女性の前に立ちはだかる壁を意識して、その活躍を引き出す社会にするためにはどうしたらよいのか、我が国が抱える課題を洗い出しをしてきました。そして先日には、今年度の第一回となる会議を開催したところであります。多面的な観点から議論を深掘りし、女性の活躍を阻む制度につきましては直ちに見直すよう国に強く求めてまいります。

チルドレンファーストで未来の担い手を育む

未来の担い手を大切に育むチルドレンファーストの社会の実現、それは、都政における最重点の課題であります。だからこそ、この間、真正面から取り組んでまいりました。
乳幼児のすくすくとわくわくを応援する「とうきょう すくわくプログラム」は、開発から普及拡大のフェーズへと移ってまいります。区市町村も含めた幅広い関係者に対しまして戦略的な周知活動を展開をし、都内全域へと広げてまいります。都立高校の生徒と教師の海外派遣も対象国や規模を拡大いたしまして、多様な個性や専門性、豊かな国際感覚を育みます。
また、学校生活に馴染めない子供の学びや居場所の選択肢を増やすため、フリースクール等の利用者や団体を対象にしまして今年度創設した支援制度について、専用のホームページを来月開設をいたします。また、制度を広く活用いただけますよう周知を図り、多様な学びを支えてまいります。さらに、「中高生 政策決定参画プロジェクト」と銘打ちまして、未来を担う子供たちの目線で政策のバージョンアップに繋げる取組を進めてまいります。
困難や悩みを抱え、居場所を求める若者たちも増えています。こうした昨今の事情も踏まえまして、社会的自立に向けた支援施策の基本方針等を示す「東京都子供・若者計画」の改定に着手いたします。若者の意見を取り込む工夫をするなど、安心して健やかに成長できるようにしてまいります。教育の充実こそ、自己実現を後押しをし、東京の未来の発展に繋がる都政の重要な柱なのであります。

いつまでも活躍し続けられる長寿社会を実現

人生100年時代と言われる今、シニア世代が能力や経験を活かし、いつまでも自分らしく活躍できることを当たり前にしていかなければなりません。これまで、東京リカレントナビや都立大のプレミアム・カレッジを開設をし、学びたい意欲や学び直しのニーズに応える環境を整えてまいりました。これに加えまして、来月、意欲あるシニア人材の多様な働き方の実現を後押しする「プラチナ・キャリアセンター」を虎ノ門に開設いたします。都が発祥のシルバー人材センター、個々のニーズに合った情報を提供できますよう、DXを駆使いたしまして機能強化を図り、企業と地域それぞれでの活躍の場を広げてまいります。
そして、戦後のベビーブーマーが後期高齢者となる来年2025年の備えを加速させてまいります。いざ介護が必要な状況になりましても安心して生活できる社会、その実現に向けまして、介護業界のイメージアップのほか、日本の現場に飛び込む外国人介護人材とそれを受け入れる施設側の双方をサポートいたします。さらには、介護職員やケアマネジャーへの居住支援などきめ細かな施策を展開いたしまして、戦略的に人材の確保・定着・育成を図ってまいります。
今後を見据えますならば、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らせるよう一層の環境整備も喫緊の課題であります。当事者の方の意見を聞きながら、TOKYO認知症施策推進プロジェクトなど都の先進的な取組を盛り込みました新たな計画の策定を進めてまいります。

6 おわりに

さて、「人」が輝き、「人」が未来を創っていく。親から子へ、子から孫へ、その物語に終わりはありません。であるならば、一人ひとりが輝ける舞台をしっかりと次の世代へと引き継いでいくために何をするか、それが今を生きる私たちに問われています。
世界は広いです。時代は激動しています。だからこそ、50年、100年先を想像しながら、自分たちの強みを知り、どのように活かしていくのかを考え、社会をより良いものへと変えていかなければなりません。
為すべきは、江戸から続く知恵や伝統の深み、安全安心に暮らせる都市基盤をこれからもしっかりと守る、そして、思い込みや前例に囚われず視野をグンと広げて東京をさらに磨き上げることでございます。都民が第一、「都民ファースト」で推し進める東京大改革の先にこそ、明るい未来は拓かれていきます。私はそう確信をいたしております。

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、条例案9件、契約案9件など、合わせまして33件、議案を提案をいたしております。どうぞよろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

以上をもちまして、私の所信表明を終わります。ありがとうございました。

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