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平成30年(2018年)9月19日更新
平成30年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。
6月に大阪府北部を震源とする地震が発生して以降、西日本を中心とする集中豪雨、25年ぶりに非常に強い勢力のまま上陸した台風21号、そして北海道胆振東部地震など、この間、日本各地で大規模な災害が頻発しております。改めて、亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
都はこれまで、被災地への職員派遣や物資提供等を迅速に行ってきたところであり、今後ともできる限りの支援を進めてまいります。そして、東京におきましても「災害がいつ起きてもおかしくない」、さらには、「従来の想定を超える事態が生じかねない」ことを肝に銘じまして、都民の生命と財産を守るべき知事として、引き続き十全の備えを講じてまいることを、改めて強調しておきます。それは、私が目指す「セーフ シティ」の実現に他なりません。
首都・東京を守るための備えに、万全を期す。この決意の下、引き続き、建築物の耐震化、木造住宅密集地域の改善、無電柱化の推進、広域的な雨水対策等により、災害に強いまちづくりを推し進めるとともに、自助・共助・公助の連携による防災力の向上を図ってまいります。
さらに今般、災害の激甚化を念頭に、風水害や地震への対策全般にわたる総点検を緊急に実施し、先日、その結果を公表いたしました。今後、充実させる取組として、区市町村や住民が災害時の行動を時系列で整理し、適切な避難に繋げるための「タイムライン」の普及拡大や、新たな調節池整備の検討などを進めてまいります。先の大阪北部地震での痛ましい例のように、倒壊の危険性があるブロック塀については、都有施設において、通学路に面した塀を最優先で撤去するとともに、一部の施設では、多摩産材等の国産木材を使った塀を試行的に設置をいたします。加えて、土砂災害対策、発災時の停電対策、外国人への情報発信の強化など、今回の総点検に基づき、防災事業のスピードアップとグレードアップを着実に図ってまいります。
なお、木製の塀の試行を契機に、国産木材全体のさらなる活用を図るべく、庁内に検討体制を設置したほか、全国知事会におきましてもご賛同をいただき、41もの都道府県が参加する、大規模なプロジェクトチームが発足いたしました。11月に、全国から約5千名の方々を招いて開催する「全国育樹祭」などの機会も捉え、国産木材の魅力発信と需要喚起を図り、災害防止の観点からも極めて重要な全国の森林再生、すなわち治山の取組へと繋げていきたいと思います。
また、今般、民間事業者との連携により、岡山県、愛媛県、北海道の各被災地へ迅速に届けることができた乳児用液体ミルクは、国に対するこれまでの働きかけが奏功し、先月、規格基準等が定められました。これにより、国内での液体ミルクの製造・販売が可能となり、育児中の方々のさらなる安心に繋がると確信をいたしております。引き続き、「備えよ、常に」の精神できめ細かく施策を積み重ね、ハード・ソフトの両面にわたって、東京の災害対策を進化させてまいります。
この夏の災害級の猛暑や記録的な豪雨、頻発した台風などは、地球温暖化の影響が指摘されており、「スマート シティ」はもとより、「セーフ シティ」実現の観点からも、気候変動対策は待ったなしであります。その一環として、東京2020大会の開会式と閉会式の計4日間、都内の全てのCO2排出量をオフセットし、ゼロとする取組を開始いたしました。併せて、組織委員会が、大会開催に伴い発生するCO2のオフセットを目指す取組にも、ホストシティとして協力してまいります。これらの取組にご賛同いただける事業者の皆様と共に、官民連携でゼロエミッション都市を目指す東京の姿を、世界へとアピールしたいと思います。また、CO2を出さないゼロエミッション・ビークルについては、事業者を対象に電動バイク導入への補助を新たに開始するなど、幅広く普及を後押ししてまいります。
加えて、猛暑から命を守る取組も欠かせません。特に、体温調節機能が未発達で、熱中症になりやすい児童・生徒を守ることは喫緊の課題であります。都はこれまで、学校への冷房設備の設置を進めてまいりましたが、今後、学校におけるさらなる暑さ対策に取り組んでまいります。
ゼロエミッション都市を目指す施策の効果を高めるためには、都民の皆様の「もったいない」意識の向上が欠かせません。先月、事業者やNGO等と共に立ち上げた「チームもったいない」において、食品ロスの削減やエネルギーの有効活用など、環境に優しい行動を都民一人ひとりに広げてまいります。
また、海洋汚染を引き起こし、世界で対策が加速している使い捨てプラスチックについて、その一例として、現在、ストローの利用削減に繋がるアイデアを広く募集しており、利用抑制の気運を高めていきたいと思います。こうした、必要性の低い使い捨てプラスチックの大幅削減に向けては、先月、その仕組み等について廃棄物審議会へ諮問をしたところであり、今後、条例による対策の推進も視野に、都として進めるべき施策を検討してまいります。
次に、東京2020大会及びラグビーワールドカップ2019について申し上げます。
東京2020大会の成功に向けては、最重要課題である暑さ対策、働き方改革、ボランティア活躍、バリアフリー推進の4点について、全体を俯瞰し、スピーディーかつ強力に施策を推し進めるため、副知事をトップとした全庁的な検討チームを立ち上げました。特に暑さ対策につきましては、引き続き、道路の遮熱性舗装や街路樹の緑陰拡大を進めるほか、競技会場周辺の駅から会場入り口までのラストマイルにおける取組など、ハード・ソフトの両面から一層の対策を講じるべく、オール都庁で知恵を絞ってまいります。
また、働き方改革につきましては、大会を機に、ライフ・ワーク・バランスを大切にしたテレワークの導入など、新たな働き方の普及を進め、大会期間中の交通混雑の緩和にも繋げます。先月には、大会中の交通量抑制に向け、組織委員会及び国と共に、交通需要マネジメントを推進するプロジェクトも立ち上げたところであり、経済界とも連携しながら、円滑な大会運営と都民生活、経済活動の両立を図ってまいります。
先日幕を閉じたインドネシアでのアジア競技大会は、我が国史上2番目となる75個の金メダルを獲得し、東京出身の池江璃花子選手が最優秀選手に選ばれるなど、オリンピックに向けて幸先の良い結果となりました。選手の皆さんに、大いに敬意を表したいと思います。来月開催されるアジアパラ競技大会でも、日本選手が力の限り躍動し、列島中でパラスポーツ応援の気運が益々高まることを期待をいたしております。
パラリンピック開会2年前にあたる先月25日には、「パラリンピックカウントダウンイベント」を開催し、多くの方々に、パラスポーツを実際に体験していただきました。こうした取組を通じて、会場での声援が一段と大きくなり、選手一人ひとりが最高の力と技を発揮する後押しとなる、そのようなパラリンピックを実現したいと思います。
大会に向けたオールジャパンの一体感を一気に高める聖火リレーと、史上最多の33競技を実施するオリンピックの熱戦は、共に福島県からスタートすることが決まりました。大会の熱気と共に、復興が進む被災地の今を、福島から日本全国、そして世界へと伝えてまいります。引き続き、復興オリンピック・パラリンピックという大会の原点を胸に刻んで、その成功に向け、為すべきことに邁進してまいります。
アスリートと並ぶ大会の主役であるボランティアにつきましては、いよいよ今月の26日から募集を始めます。年齢、性別、障がいの有無にかかわらず、広くご参加いただくため、広報や説明会を積極的に実施をいたします。併せて、都立高校生等が主体的に社会貢献活動への意欲を高める「ボランティアサミット」を開催するなど、大会レガシーとしてのボランティア文化の定着も見据えながら、都民・国民の皆様の大会参加への気運を醸成してまいります。
大会を彩る文化プログラム「Tokyo Tokyo FESTIVAL」につきましては、一昨日、クラシックとダンスの融合など、年齢を問わず誰もが楽しめる「サラダ音楽祭」を開催いたしましたほか、この秋、「東京大茶会」など様々なイベントを実施し、充実させてまいります。11月には、パリ市との文化交流事業「パリ東京文化タンデム2018」の一環として、風呂敷をテーマとしたアートイベントをはじめ、日本文化を紹介する多彩な催しを、パリにて実施いたします。私自身も現地に赴き、2024年大会の開催を控えるパリ市と連携を深めながら、文化、観光、環境など、大会開催都市としての東京の魅力を広く発信してまいります。
そして、いよいよ1年後に迫ったラグビーワールドカップ2019は、本日より、観戦チケットの一般抽選販売が開始となりました。来週開催する大会1年前イベントや、SNSによるキャンペーンなどを通じて、多くの都民・国民の皆様に大会を身近に感じていただき、共に盛り上げていきたいと存じます。
約1万人の募集に対し、大会史上最多となる3万8千人を超える応募がございましたボランティアの皆様の支えをいただき、復興スタジアムがオープンした岩手県釜石市など、全国11の開催都市と十分に連携をしながら、大会の成功に力を尽くしてまいります。
次に、豊洲市場の開場についてであります。
開場から83年、都民の台所を担い、まさに人と人との繋がりの中で育まれてきた築地市場の活気は、来月、豊洲へと引き継がれます。これまで、都民の皆様に豊洲市場の安全・安心を実感していただくための対策を推し進め、専門家会議からは、将来のリスクを踏まえた安全性が確保されたとの確認をいただきました。市場開設者として安全宣言を行い、農林水産大臣による認可も受けて、新市場の環境が万端に整う中、先週には開場記念の式典を挙行いたしました。
引き続き、安全・安心のための管理と正確な情報発信を徹底し、人々が集う賑わいを生み出しながら、市場業者の皆様や地元区と共に、多くの方々に親しまれる日本の中核市場へと育てていきたいと存じます。加えて、築地再開発や環状第2号線の整備など、東京のポテンシャルをさらに引き出す一連の取組について、全庁一丸で着実に進めてまいります。
さて、2年前の夏、都民の皆様の厳しい目が注がれていた都政の舵取りを任されて以来、「東京大改革」と「都民ファースト」を揺るがぬ信条とし、都政の見直しと新たな種蒔き、そして水遣りを進めてまいりました。都民の明日の希望のため、東京の輝く未来のため、今、何を為すべきなのか。常に都民の目線に立ち、都民のための都政を前進させてきた、そう確信しております。
先にも述べたとおり、東京は、これからの2年間、ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックを相次いで開催をし、都市としてさらなる進化を遂げるべき重要な時期を迎えます。アスリートと観客が一体となる舞台を整え、記録と記憶に残る祭典として大会を成功に導く。大会を通じて被災地の今を世界へ発信し、さらなる復興を後押しをする。そして、2020年の先に迎える東京の人口減少と一層の高齢化を見据え、大会を機に、あらゆる都民が希望と活力に溢れる、より高度な成熟都市へと飛躍する。150年の歴史を紡いできた首都・東京が、200年、300年と輝き続けるためのこれらの命題に、強い覚悟を持って取り組む決意であります。
これまで、幅広く蒔いてきた施策の種の数々は、芽を出し、少しずつ花を咲かせ始めております。例えば、女性が育児に仕事に、共に輝くための待機児童対策により、都内の待機児童数は、4月1日時点で昨年度より3172人減少し、10年ぶりに5千人台となりました。
生産年齢人口の減少が見込まれる中、多様な人材の活躍や生産性向上に向けては、現在、都と共に2千を超える企業が働き方改革を進め、この夏、1か月にわたり実施した時差ビズにも、昨年の2.5倍となる約800社にご参加いただいたところであります。従業員30人以上の都内企業におけるテレワークの導入率も、昨年の6.8%から19.2%へと上昇するなど、誰もが意欲と能力を発揮できる多様な働き方が広がりつつあります。
また、都民の健康を守るための長年の懸案であった受動喫煙防止対策については、先の定例会において「健康ファースト」の条例を提案をし、可決をいただきました。さらには、国際金融都市としての東京の再活性化、自動運転技術の開発の加速化など、東京のこれからを見据えた成長戦略にも果敢に取り組んでおります。
これらは、暮らしやすく、働きやすく、安全で快適な都市へと、東京がその質を高め、「人」の力で持続的に成長を生み出していくための取組の一端でございます。引き続き、これから次々と開き出す施策の花が、それぞれ大輪となり大きく実るまで、丹念に育て上げてまいります。そして、東京2020大会を跳躍台として、「セーフ シティ」「ダイバーシティ」「スマート シティ」を実現し、「新しい東京」へと力強く飛躍する。都民の皆様の負託に応えるべく、精励恪勤、一日一日を大切に積み重ねてまいります。
現在、世界の人口の半数以上が都市に居住し、国連によりますと、2050年にはその割合が7割近くになると予測されております。グローバル経済における都市の存在感は高まる一方であり、都市の競争力が一国の競争力を左右する「都市間競争の時代」におきましては、東京をはじめ全国の都市が、それぞれの強みを活かして日本の成長を牽引しなければなりません。そうした状況にあって、国が取り組むべきは、東京から財源を奪い続けることではありません。東京を含む地方の真の創生のため、地方税財源の拡充を実現することであります。
アメリカと中国の貿易摩擦の激化をはじめ、国際情勢が日々混沌とする中、国が内向きの姿勢で地方間の対立を煽るだけでは、日本全体が沈んでしまいます。こうした危機感を共有し、国の動きに歯止めをかけるため、私自身、政府・与野党幹部、そして国会議員の方々と精力的に面会し、協力を求めております。引き続き、都議会の皆様と一丸となって、都の主張への理解を広げてまいりたいと存じます。そして、東京は全国との共存共栄を図りながら、我が国の発展の源泉となるべく、次の3つの鍵により、活力と成長力を向上させてまいります。
第一の鍵は、「人を繋ぐ」。「人」と「人」との繋がりが生む相乗効果・シナジーは、東京の活力・エナジーをより大きなものといたします。こうした確信の下で定めたビジョンこそ、「Tokyo ともに創る、ともに育む」と銘打った、今年度の重点政策方針であります。「人の繋がり」を軸とした新たな8つの戦略を柱とし、東京の活力を、日本の成長を牽引する力へと最大限に高めてまいります。
第二は、「知恵を集める」。昨年度より開始した都民による事業提案制度は、今年度、対象分野や募集期間を拡大をいたしました。加えて、新たに大学研究者から、研究成果等を踏まえた事業をご提案いただく制度を始めております。さらに、先月には初の取組として、都内19の大学の学長等の皆様と、東京の未来や国際競争力の向上などを議論する懇談会を開催し、その幅広い知見から大きな刺激をいただきました。こうした「知」の集積を、東京の課題解決と成長創出に活かしてまいります。
そして第三の鍵は、「改革を成す」。「都民ファースト」「情報公開」「賢い支出」の3つの原則により、都政の手法と体質を変えるために進めてきた都政改革は、これまで、条例改正をはじめとする情報公開の一層の推進や、事業評価の徹底による約1600億円の財源確保など、確実に成果を上げてまいりました。各局主要事業の客観的な分析や、「ペーパーレス」「キャッシュレス」「はんこレス」の推進など、都の組織を筋肉質なものとし、生産性を高めるための「2020改革」も、職員主体で着実に進めております。職員が存分に能力を発揮できる都庁を創り上げ、開かれた都政の下、都民と共に大義と共感のある政策を推し進める。その先に、成長を生み続ける持続可能な東京を築いてまいります。
「人」に焦点を当てることで、都民が輝き、東京がもっと元気になる。これこそが、この2年間、私が進めてきた「都民ファースト」の都政であります。引き続き、誰もがいきいきと活躍できる社会を築くことで、人口減少の中にあっても、「人」の力で成長を続ける東京を創り上げてまいります。
人生100年時代を見据え、高齢者の方々が自らの居場所で、いつまでも輝ける社会を実現してまいります。生涯学べる「100歳大学」として、来年4月、首都大学東京に開講する「TMUプレミアム・カレッジ」では、来月下旬から入学希望者の募集を開始いたします。併せて、記念シンポジウムや模擬授業等を開催し、シニアの学びへの関心を高めていきたいと思います。
意欲ある方々が再び第一線で働く環境づくりに向けては、先月、産業技術大学院大学において、起業に挑戦するシニアのためのプログラムをスタートいたしました。来月からは、新たな仕事にチャレンジするための「リカレント教育」となる学び直しの場や、企業で働きながらスキルを習得できる機会の提供など、高齢者の就業を支援する実効性のある施策を展開してまいります。
一方で、高齢者を支える取組を充実させるため、検討を進めてまいりました選択的介護につきましては、先月、豊島区においてモデル事業が開始されました。介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供できる仕組みにより、多様なニーズへの柔軟な対応や、介護事業者の運営効率の向上が期待されます。今後、区と共に事業の効果等を検証し、来年度以降のさらなる展開へと繋げてまいります。
超高齢社会の課題が先鋭的に現れる東京の、あるべき姿を検討するため、昨年設置した有識者懇談会からは、先日、「TOKYO BEYOND 2020 世界に先駆ける長寿社会」と題した政策提言をいただきました。今後の政策展開の方向性など、現場の知見を踏まえた貴重な提言を活かしながら、人生100年時代を豊かに過ごせる東京の実現を目指し、取組を加速してまいります。
女性の活躍推進に向けましては、女性が少ない業種で活躍する方々を招いた懇話会を、6月から順次開催しております。先週は、運輸業で輝く4名の女性と、仕事の魅力や家庭との両立などについて意見を交わしました。様々な業種で活躍する女性にスポットを当て、社会における女性の可能性を一層広げていきたいと思います。
今月には、海外進出や社会的課題の解決を目指す女性ベンチャーの育成プログラムにおいて、三期生となる受講生が新たな学びを始めました。11月には、商店街での開業を目指す女性等が店舗運営を学ぶ「チャレンジショップ」を、新たに多摩地域にも開設するなど、女性があらゆる分野で力を発揮できるよう、多面的に後押しをしてまいります。
東京の未来への投資となる子供たちの教育につきましては、開業前から高い関心をいただいた「東京都英語村 TOKYO GLOBAL GATEWAY」が、先日オープンいたしました。この施設で、子供たちがグローバルなコミュニケーションを楽しく体験をし、世界へ羽ばたくパスポートである英語力を存分に高めることを期待いたしております。
先月開催いたしました総合教育会議では、AI時代において子供たちが身につけるべき「読解力」をテーマに、有識者や都立高校の教員を交えて議論をいたしました。今後、効果的な指導方法等について研究開発を進め、学校での教育に活かしていきたいと存じます。
都立高校の魅力向上のため、来年度からの3年間の展望を示す「都立高校改革推進計画・次期実施計画(仮称)」につきましては、新たな価値を創造する能力や、東京の産業を支える人材の育成などを新たな課題と捉え、意欲的な取組をまとめてまいります。11月には骨子を公表し、都民の皆様のご意見もいただきながら、教育委員会において、来年2月の策定に向けて検討を深めてまいります。
後を絶たない児童虐待は、子供たちの輝きを否応なく奪うものであり、何としても防がなければなりません。年内に児童相談所の体制を緊急的に強化するほか、警視庁との情報共有の範囲を、リスクが高いと考えられる全ての事案へと拡大をし、「LINE」による相談受付を試行するなど、可能な対策から迅速に展開をしてまいります。また、虐待防止に向けた都独自の条例案につきましては、先日、「未然防止」「早期の発見・対応」「子供と保護者への支援」「人材育成」の4つの視点から整理をいたしました、基本的な考え方を公表いたしました。都民の皆様や区市町村等の意見を踏まえた上で、来年の第一回定例会への提案を目指しております。痛ましい虐待から子供たちを断固として守るべく、引き続きスピード感を持って取組を進めてまいります。
あらゆる「人」が輝く社会を実現するため、「オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」を、本定例会に提案いたしました。様々な人権に関する不当な差別を許さないとの姿勢を明確にした上で、性自認・性的指向による不当な差別的取扱いや、本邦外出身者に対する不当な差別的言動につきまして、その解消に向けた取組を推進をいたします。この条例を梃子に、人権尊重の気運を益々高め、都民の皆様と共に、多様な個性が輝く活力溢れる東京を創り上げたいと思います。
東京が「人」の力で成長していく上で、「人」の弛まぬ努力により東京の経済を支え続ける中小企業の振興は、重要な課題であります。その基本的な考え方を明らかにする条例案につきましては、有識者会議において多様な視点から検討をいただいておりまして、第四回定例会への提案を目指してまいります。
また、中小企業の経営力強化や人材確保、東京の成長力の拡大に繋がるイノベーションの活性化など、条例の理念を具体化する施策については、併せて検討を進めている新たなビジョンに盛り込むことといたしておりまして、11月には、その中間まとめを公表してまいります。
「人」が輝く舞台である東京の魅力を高めることによって、「人」の力をさらに引き出して、東京の確かな成長へと繋げてまいります。
首都高日本橋区間の地下化につきましては、7月に国、地元区、首都高速道路株式会社と共に計画案を取りまとめ、実現への大きな一歩を踏み出しました。五街道の起点として歴史と文化の香りを漂わせつつ、国際ビジネスの最前線として発展を続ける日本橋。伝統と革新が交差する東京の象徴とも言えるエリアの価値をさらに高めるため、コストを精査しながら、計画の具体化に取り組んでまいります。
東京の魅力を高める拠点として存在感を発揮するベイエリアにつきましては、次世代のまちづくりのモデルとなるビジョンを策定をいたします。世界を見据えた将来像を示し、東京・日本の今後の成長戦略に繋げていくため、全庁的な検討会を設置したほか、次代を担う若手による官民連携チームを立ち上げます。行政の枠を超えた自由な発想による提案をいただきながら、検討を進めてまいります。
先月には、都心とベイエリアを結ぶ、バスによる新たな輸送システムであるBRTにつきまして、2020年度から一部運行を開始し、2022年度を目途に本格運行を実現するとの事業計画を公表いたしました。今後の交通需要の増加にも対応しながら、ベイエリアが持つポテンシャルを最大限に引き出し、2020年のその先の、東京の大いなる成長へ結びつけてまいります。
東京の島々が誇る魅力のブランド化に向けては、「東京宝島推進委員会」からの提言を踏まえまして、具体的な施策を展開をいたします。今月から、島の事業者等が、専門家の助言を基に島同士で切磋琢磨し、主体的に地域ブランドの構築を目指す取組を開始いたしました。利島の椿油、青ヶ島の焼酎といった、島のブランド価値を高める産品についても、コンセプトの策定や販路開拓など、きめ細やかな支援を進めてまいります。
知事就任以来、人が暮らす東京の11の島を全て訪れ、先月には、電気自動車の魅力を発信する「東京アイランドモーターショー」を開催した八丈島へ、二度目の訪問をいたしました。地熱による発電も行われている八丈島をはじめ、それぞれの島の特性を活かした再生可能エネルギーの活用や電気自動車の普及を進めることが、「ゼロエミッション・アイランド」実現への道となります。島々が持つ環境面での大きな可能性を、その新たな魅力へと繋げていきたいと思います。
さらに、豊かな自然や産学の集積等を活かした多摩地域の振興を進めるほか、都民の憩いの場である都立公園のさらなる魅力向上なども含め、東京が有する宝物に一層の磨きをかけてまいります。
続きまして、本定例会に提案している主な議案等について申し述べます。
「工業用水道条例を廃止する等の条例」は、工業用水道事業の廃止に伴い、関係する規定を整備するものであります。先の定例会において事業廃止の方針を表明して以降、利用者の皆様の声を丁寧にお伺いしながら、支援計画を検討してまいりました。この計画案を踏まえ、利用者の皆様への支援をきめ細かく進めてまいりたいと思います。
また、このたび名誉都民の候補者として、奥山峰石さん、笹本恒子さん、美輪明宏さんの三名の方々を選定させていただきました。
奥山峰石さんは、高度な鍛金技法を習得し、自然の情景描写に果敢に挑戦しながら、江戸以来の伝統技術の継承・発展に尽力されておられます。
笹本恒子さんは、日本初の女性報道写真家として、自立心を持って生き抜いた女性の撮影等、100歳を超えてなお活動を続けておられます。
美輪明宏さんは、戦後の日本にジェンダーを超えた生き方を示し、趣向を凝らした舞台や巧みな話術で、幅広い世代を魅了されておられます。
以上、お三方につきまして、都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
「妄想するよりは活動せよ。疑惑するよりは活動せよ。話説するよりは活動せよ」。これは、「活動こそ最も真実なるものだ」と唱えた第7代東京市長、後藤新平の言葉でございます。
人口減少と超高齢化の中、持続可能な「新しい東京」を築くための「東京大改革」。その実現には、都議会の皆様、都民の皆様と、東京の明るい未来に向けた想いを共有をし、力を合わせることが不可欠であります。皆様と共に活動し、「東京大改革」を推し進めることで、東京をさらなる高みの成熟都市へと進化させていきたいと思います。引き続き、都議会の皆様、都民の皆様のご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、条例案13件、契約案18件など、合わせまして37件の議案を提案をいたしております。よろしくご審議のほど、お願いをいたします。
以上をもちまして、私の所信表明とさせていただきます。
ご清聴、誠にありがとうございました。
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