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令和元年(2019年)12月3日更新

令和元年第四回都議会定例会 知事所信表明

令和元年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対します所信の一端を述べさせていただきます。

10月22日、名誉都民である緒方貞子さんがご逝去されました。また、10月24日、同じく名誉都民である八千草薫さんがご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。

1 都民の生命と財産を守り抜くための都市力の強化

時機を逸することなく効果的な施策を講じる

この秋、日本に接近、上陸した台風は、各地に記録的な大雨や暴風をもたらし、都内においても、河川の氾濫や道路の崩落、ライフラインの寸断など、深い爪痕を残しました。今もなお、被害に苦しまれている方が数多くおられます。改めまして、亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災されました皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
都はこれまで、私自身も現場の状況をこの目で確かめながら、インフラの復旧、都営住宅の一時提供、農林水産業の再建に向けた支援など、迅速に対策を講じてまいりました。そして、本定例会に提案いたしました補正予算案には、被災された方々に一日も早く日常を取り戻していただくための取組や、日本各地で甚大な風水害が毎年のように発生している中、緊急に進めるべき防災事業を盛り込んでおります。
具体的には、国の支援の対象とならない被災住宅につきまして、補修に係る補助制度を新設するとともに、被害を受けた市町村に対し、特別交付金による財政支援を実施をいたします。また、災害時における電源確保のため、全ての都立一時滞在施設にスマートフォン等の充電用機材を配備し、家庭に対しましても、非常用電源となる蓄電池等の購入を補助いたします。さらに、ブルーシートや土のう袋の備蓄を強化するほか、迅速な情報収集のためのドローンを導入するなど、幅広く対策を進めます。
被害からの早期の復旧を期すとともに、頻発する災害から都民の皆様をしっかりと守るべく、時機を逸することなく効果的な施策を講じてまいります。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

為し得る限りの備えを固める

続けざまに猛威を振るう自然災害を前に、今、為すべきは、いつ牙を剥くかも知れない次なる脅威に対しまして、これまでの常識や経験に囚われることなく、為し得る限りの備えを固めることであります。

浸水被害の軽減に効果的な調節池の整備

今回、浸水被害の軽減に奏功しました調節池につきましては、現在整備中である環状七号線地下広域調節池におきまして、年度内にトンネルの掘進を開始いたします。時間当たり100ミリの局地的かつ短時間の豪雨にも効果を発揮をする、国内最大の地下調節池の完成に向けまして、着実に工事を進めてまいります。また、昨年の緊急総点検を踏まえまして、早期の検討に着手するとした8つの河川の新たな調節池につきましても、候補地や構造形式の選定を進めておりまして、今後、さらなる具体化を図ってまいります。

島しょ地域の無電柱化の促進

島しょ地域では、電柱の倒壊や倒木による停電が相次ぎ、多くの島民の方々が不自由な生活を余儀なくされました。かねて取り組んでまいりました無電柱化につきましては、台風の通り道である島しょでの取組を加速しなければなりません。今年度中には、甚大な被害を受けた大島町の都道において早期に事業に着手するほか、その他の地域につきましても、地元町村と連携しながら、具体の設計や整備箇所の検討を進めてまいります。

命を守るための的確な避難を促す

このたびの台風におきましては、風水害時に取るべき行動をあらかじめ地域で共有していた町会において、適切な避難がなされたケースが見られました。都といたしましても、都民一人ひとりが避難に必要な知識を習得しながら、自らの行動を事前に整理するための「東京マイ・タイムライン」につきまして、引き続き積極的に普及を図ってまいります。併せて、情報発信の一層の強化や、先月、親子向けに公表いたしました「とうきょうぼうさいえほん」による啓発など、都民の皆様の的確な避難を促す取組を推進してまいります。

防災事業のさらなるグレードアップのために

年々激甚化する風水害は、発生するたびに、新たな問題を浮き彫りにいたしております。このたびの台風被害によりまして、どのような課題が明らかとなり、今後いかに改善を図るのか。災害対策に万全を期していくべく、先月、副知事をトップといたしました「大規模風水害検証会議」を立ち上げまして、全庁を挙げて速やかな検証を進めてまいりました。今般、その結果を取りまとめたところであり、来年度中に予定している「地域防災計画」風水害編の修正と併せまして、防災事業のさらなるグレードアップへと繋げてまいります。

災害現場における初期対応の迅速化に向けて

災害現場での初期対応をさらに迅速化するべく、東京消防庁におきましては、来月、機動性と環境性に優れる電動トライクを活用した「ファーストエイドチーム」を立ち上げます。進入困難な狭隘地におけます早期の応急救護等を可能とするとともに、そのフットワークの軽さを活かして、平時におけます事故の被害軽減を図るなど、「セーフ シティ」を確立する対策を一層充実させてまいります。

待ったなしの気候変動対策

近年の猛暑や豪雨を通じまして、私たちは改めて、日常を脅かす地球温暖化の影響の甚大さを実感をいたしております。気候変動への対策は待ったなしでありまして、こうした認識を都民の皆様と共有しながら、ゼロエミッション東京の実現に向けた施策を推進してまいります。

気候変動から都民を守る強靭な都市の構築

省エネルギーの推進や、再生可能エネルギーの利用拡大。電気自動車など、ゼロエミッションビークルの本格的な普及。さらには、革新的なイノベーションの誘導。脱炭素社会の実現に向けましては、幅広い分野の多様な取組を、気候変動対策として進化させなければなりません。そのための具体的なロードマップを提示して、2050年、東京が、世界のCO2排出量実質ゼロに貢献するための「ゼロエミッション東京戦略」を、年内に発表をいたしてまいります。
併せまして、都内における気候変動の影響を踏まえて、災害、健康、農業など、多岐にわたる分野におきまして、被害を回避・軽減するための考え方を示す「気候変動適応方針」を策定をいたします。これらを基に、気候変動の緩和と適応の両面から総合的に施策を展開をいたしまして、極端な気象変化から都民を守る強靭な都市を築いてまいります。

「プラスチック削減プログラム」の公表

プラスチックの持続可能な利用に向けましては、10月、廃棄物審議会から提出されました最終答申におきまして、長期的な目標と当面の対策が広く示されたところであります。廃プラスチックの国際的な輸入規制を受けまして、国内における適正処理や有効利用を図るための緊急対応にも触れられておりまして、こうした様々な提案を踏まえて、年内には、今後の具体的な施策を示す「プラスチック削減プログラム」を公表してまいります。

2 「未来への投資」を推し進め、成長と成熟を為す

「長期戦略ビジョン」及び「新たな都政改革ビジョン」の策定

災害や気候変動への対策をはじめとする「都市力の強化」に加えまして、「稼ぐ東京」の実現や「人と人を繋ぐ」取組など、「未来への投資」を幅広く推進して、東京の成長と成熟を為す。その方向性を明らかにするのが、年末に公表いたします「長期戦略ビジョン(仮称)」であります。8月、「未来の東京」への論点といたしまして、目指すべき将来のイメージや、その達成に向けての課題をお示しをいたしました。この間、ビジョンの策定に向けまして、都民の皆様からの意見募集や、区市町村、大学、各種団体との意見交換など、まさに東京の智恵を結集する取組を行ってきたところでございます。未来を拓く子供たちからも、まだ見ぬ東京の夢溢れる姿を描いた絵画が、数多く寄せられております。これらを踏まえまして、引き続き柔軟かつ大胆に検討を進めまして、「都民が主役」である東京の、明るい未来への羅針盤となる「長期戦略」の取りまとめへと繋げてまいります。
また、変化の激しい時代におきましても、従来の延長線上ではない新たな発想を常に生み出して、目指すべき東京を築き上げていくためには、都自らも大きく変貌しなければなりません。都はこれまで、生産性向上や機能強化のための「2020改革」を推進し、職員にも改革マインドが着実に根付いてまいりました。こうした成果を継承しつつ、戦略的な政策展開を支える都庁の実現に向け、さらなる都政改革を進めていく。その指針となる「新たな都政改革ビジョン(仮称)」につきましても、この年末に公表をしてまいります。

成長と成熟に不可欠な「TOKYO Data Highway」

これらのビジョンに基づいて、未来の東京を創り上げていく一つの礎となりますのが、超高速のインターネット網であります。特に、この日本の新たな時代が幕を開けました令和元年は、国際的には「5G元年」と言われる年でありました。アメリカや韓国をはじめ各国で普及が進む中、東京は、次世代の通信規格であります5Gネットワーク競争で世界をリードし、新たな価値を創出することで、成長を加速度的に推し進めなければなりません。また、5Gは、遠隔医療の実現等、どこにいようとも誰一人取り残されることのない、より高度な成熟社会の確立にも寄与いたします。人口減少・超高齢化が進む中、先端技術により経済発展と社会的課題の解決を図る「Society5.0」を実現し、成長と成熟の両立を目指す東京にとりまして、超高速の電波の道、「TOKYO Data Highway」は、まさに不可欠な基幹インフラなのであります。
道路や鉄道など「目に見える」インフラに加えまして、この新たな「目に見えない」インフラを、世界に後れることなく構築し、東京のデジタルシフトを牽引していく。そのためには、都自らが最先端のテクノロジーに精通していなければなりません。今月半ばには、高度な専門性と豊富な経験を有するICT人材を10名、管理職として採用することといたしております。併せまして、ICT人材に関する職種を新設をいたしまして、来年度から採用選考を開始するなど、デジタル施策の推進体制を強化してまいります。
先月には、我が国のインターネットの第一人者を座長に迎えまして、通信各社のトップの参加を得た「TOKYO Data Highwayサミット」を開催をいたしまして、次世代のネットワークをスピーディーに整備するための具体策について意見を交わしました。都は、アンテナ基地局の設置を促進するべく、都有施設のデータベースの公開やワンストップ窓口の創設等を通じまして、民間の取組を大いに後押ししてまいります。引き続き、東京をアップデートし続けるための英知が結集するこのサミットを軸といたしまして、民間と強力にタッグを組んで、「未来への投資」となる世界最速のモバイルインターネット網の構築を加速してまいります。

3 東京が誇るインフラや資源の価値を高め、持続可能な成長へ

東京の発展に向けた新たな基盤の整備を進める一方、今あるインフラや資源の価値をさらに高め、都市の活性化を図ることで、時代の変化に対応しながら、東京の持続可能な成長を実現してまいります。

東京の成長を支える道路ネットワーク

東京の潜在力を引き出し、成長を支える道路ネットワークにつきましては、一昨日、首都高速道路の中央環状線と小松川線を繋ぎます小松川ジャンクションが、新たに開通いたしました。これによりまして、埼玉方面と千葉方面を結ぶルートの選択の幅が広がりまして、都心部の混雑緩和にも繋がります。同じく今月には、首都高渋谷線下り方向における渋谷入口が開通をいたしまして、郊外へのアクセス性が向上するほか、渋谷駅周辺の慢性的な渋滞の緩和も期待されるところであります。今後とも、東京、ひいては首都圏全体の生産性の向上や防災力の強化を見据えまして、高いストック効果を発揮する幹線道路ネットワークの形成に着実に取り組んでまいります。

豊かな都民生活の基盤となる卸売市場の活性化

東京の卸売市場もまた、多彩な食文化など、豊かな都民生活の基盤となる重要なインフラであります。私もこれまで10の市場を巡り、さらなる発展に向けまして奮闘されている市場業者の皆様に、直に接してまいりました。その姿に改めて敬意を表し、都といたしましても、卸売市場全体の一層の活性化に取り組んでまいります。
その一つの鍵となるのが、本定例会に提案いたしました「中央卸売市場条例」の改正でございます。物流や商取引の多様化が進む中、引き続き卸売市場が生鮮食料品等の流通の核として機能していくためには、法の改正も踏まえまして、多くの取引関係者が利用しやすい環境を実現することが欠かせません。本改正によりまして、公正な取引や食の安全・安心を確保する仕組みを維持する一方で、取引の活性化を図るための規制緩和を行ってまいります。関係者の創意工夫を凝らした取組を全力で後押しをして、引き続き都民の皆様に、豊かで安心できる消費生活を享受いただけるよう尽力してまいります。

ユニークベニューの幅を広げ、MICE誘致に繋げる

オリンピック・パラリンピックを控えまして、世界の注目が集まる今こそ、国際会議などMICEの誘致を促進をし、成長へと繋げる好機であります。東京には、会議やレセプションの会場として特別感を演出できるユニークベニューが数多く存在しておりまして、こうした魅力的な資源を活かしながら、積極的に誘致を進めてまいります。
10月には、都内で唯一の重要文化的景観であります、葛飾柴又の帝釈天題経寺と参道商店街を一体的に活用することで、ユニークベニューとしての新たな可能性を発信するイベントを開催をし、私も区長と共にその魅力をアピールしてまいりました。本日も、目黒区にあります旧前田家本邸洋館におきまして同様のイベントを開催するところであり、今後ともユニークベニューの活用の幅を広げ、MICEの誘致を加速してまいります。

東京に彩りを添えるプロジェクションマッピングの促進

観光資源としての活用など、東京の魅力向上のためのポテンシャルを秘めるプロジェクションマッピングを促進するべく、「屋外広告物条例」の改正を視野に、規制の緩和を検討をいたしております。景観や交通安全等への影響を検証する実証実験を踏まえまして、先般、規制の見直し案を取りまとめました。まちの活性化のため、プロジェクションマッピングの活用が望ましい地区におきましては、地域が定めたルールに基づく柔軟な実施を可能とするなど、幻想的な光の投影が東京にさらなる彩りを添えますよう、来年の第一回定例会への条例改正提案を目指してまいります。

移動の利便性や付加価値を高める「MaaS」の普及に向けて

鉄道、バス、デマンド交通等を組み合わせまして、目的地までの最適な交通手段を提示するほか、周辺の魅力を発信するなど、移動の利便性や付加価値を高めます「MaaS」は、今、世界で注目を集めるサービスであります。都といたしましても、都心部・臨海部・多摩地域と、特性の異なる3つのエリアで、社会実装に向けた実証実験を開始をいたします。鉄道とバスのリアルタイムの運行データを連携させた全国初の交通案内や、異なる交通手段の予約・決済のワンストップ化などの実施を第一歩といたしまして、「MaaS」の普及拡大へと繋げていきたいと存じます。

4 人と人が繋がり、誰もがチャレンジできる成熟都市・東京

都市の活力の源泉は、「人」であります。人と人が繋がり、誰もが活躍できる活気溢れる都市として、持続的に発展をしていく。そうした新たな時代の成熟都市を築くべく、幅広く取組を進めてまいります。

東京に「ソーシャルファーム」を根付かせる

社会全体で共に支え合う「ソーシャル・インクルージョン」の考えの下、今後の就労支援のあり方につきまして、この間、有識者を交えました検討を重ねてまいりました。一人ひとりが個性と能力に応じて活躍できる社会の実現に向けて、このたび新たに、「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例」を提案をしたところでございます。ここには、就労支援の充実を図ることはもとより、自律的な経営の下、就労に困難を抱える方々がいきいきと働く「ソーシャルファーム」を認証し、その支援を進めることを謳っております。本条例を梃子に、区市町村との連携の下、都民の皆様の就労を力強く後押しするとともに、東京に「ソーシャルファーム」を根付かせ、「人」が輝き続ける都市を創り上げてまいります。

「犯罪被害者等支援条例」の制定に向けて

犯罪被害に遭われた方やそのご家族が、心身に受けた影響から再び立ち上がるための支援を推進する「犯罪被害者等支援条例」につきましては、被害者の御遺族にも検討にご参加いただいて、当事者の立場から貴重なご意見をいただきました。この夏には条例の基本的な考え方を公表をいたしまして、都議会での議論やパブリックコメントを経まして、今般、再被害の防止や、被害者が多数に上る事案への緊急支援等を加えた条例案の概要をまとめたところであります。現在、改めて都民の皆様のご意見を伺っておりまして、丁寧な検討を重ねた上で、来年の第一回定例会への提案を目指してまいります。

都民の生命と健康を守り続けるために

「人」がいきいきと暮らすための基盤である医療。今後、超高齢社会の本格化や担い手不足に直面するなど、取り巻く環境がさらに厳しさを増してまいります。こうした中、東京の医療のセーフティーネットである都立病院は、これまで以上に安定的な経営基盤を確立し、引き続き、行政的医療の提供や地域医療の充実を為していかなければなりません。都はこの間、都立病院のあるべき経営形態につきまして、経営委員会による提言や、2040年代を見据えた長期的な見地を踏まえまして、従来の延長線に囚われることなく検討を重ねてまいりました。
都民の皆様の生命と健康を守る使命を、着実に果たしていく。そのために、今般、都立病院及び東京都保健医療公社の病院合わせまして14病院を、一体的に地方独立行政法人へ移行すべく、準備を開始をいたします。これによりまして、都立病院については、安定的かつ柔軟な医療人材の確保や、より機動的な運営を可能とし、また、各地域の中核病院として、地域の医療ニーズに応えている東京都保健医療公社の病院につきましては、スケールメリットを活かしながら、地域医療の一層の充実を図ることといたします。新たな体制の下、医療課題に柔軟かつ効果的に対応することで、将来にわたりまして、誰もが安心して質の高い医療を受けられる東京を実現をしてまいります。

「長寿」の時代を心豊かに暮らす

人生100年と言われる長寿の時代におきまして、高齢者が安心して暮らし、生涯現役で元気に活躍できる社会を築く。その一環といたしまして、来月、身近な趣味活動を通じて人と人の繋がりを生み出す「シニア・コミュニティ交流大会」を開催いたします。都内の各地域から多くの参加者が集う大会におきまして、交流の輪をさらに広げ、新たな生きがいを見つけていただくなど、心豊かな長寿の人生を応援してまいります。
また、誰もがいつまでも、安心かつ快適に外出できる環境を整備するため、先月、多摩ニュータウンにおいて、電動車いすを使った移動円滑化の実証実験を行いました。地形の高低差等によります移動の支障を解消するべく、実験の成果を基に、実用化に向けた検討を進めてまいります。

デジタル化・グローバル化の時代を逞しく生き抜く力の育成

未来を担う「人」づくりにも、力を入れてまいります。第四次産業革命のうねりの中、時代の変化に対応しながら社会に貢献できる人材を育てていくためには、多くのものづくり人材を輩出してきた工業高校にも、新たな役割が求められます。高度IT社会におけます工業高校の将来像を描くべく、今月、教育委員会において新たな有識者会議を立ち上げまして、議論を始めることといたしました。先端的なものづくりで社会的課題を解決する人材の育成や、学校の魅力向上など、これからの工業高校のあり方につきまして幅広く検討を重ね、目指す姿を示していきたいと存じます。
世界を俯瞰する広い視野や、課題を探究する力の育成も欠かせません。先月、国内外の大学や研究機関と連携をいたしまして、都立学校の生徒が、再生可能エネルギーに関する世界最先端の取組を学ぶワークショップを実施をいたしました。また、首都大学東京では、20を超える国や地域の学生の参加の下、オリンピックシンボルの由来であります「五大陸」の名を冠したシンポジウムを開催をして、東京2020大会のビジョンであります「多様性と調和」などのテーマについて議論を深めたところであります。今後とも、国際色豊かな取組によりまして、グローバル時代に大きく羽ばたくための実践的な学びを推進してまいります。

5 オリンピック・パラリンピックの成功へ一丸で取り組む

次に、オリンピック・パラリンピックについて申し上げます。

マラソン及び競歩の会場変更について

オリンピックにおけますマラソン及び競歩につきましては、一貫して東京での開催が最善であると主張してまいりましたが、会場は移転されることとなりました。競技を盛り上げるため、様々な準備にご尽力いただきました沿道の自治体、町会・商店街等の皆様、観戦を楽しみにされていた都民の皆様、そして、東京のコースや気候を想定して準備を重ねてこられましたアスリートの方々の気持ちに思いを致すと、残念でなりません。
都は開催都市といたしまして、引き続き前を向いて、大会準備及び気運醸成に全力で取り組んでまいります。組織委員会、国、IOCやIPCをはじめ、関係団体と一丸となって、都民・国民の皆様と共に、東京2020オリンピック・パラリンピックを必ずや成功へと導いてまいります。

世界の期待に応えるべく、大会準備・気運醸成を着実に進める

都が整備を進めております新規恒久施設につきましては、来週、有明アリーナが竣工いたしまして、残る東京アクアティクスセンターも、来年2月に竣工の予定であります。ホストシティの顔となるシティキャストの研修も順調に進んで、先月には、パラリンピック聖火リレーのコースとなる区市町村が公表されるなど、都民・国民の皆様と手を携え、大会を成功へと導く気運も益々高まってまいりました。今月にはいよいよ、オリンピック聖火リレーランナーも決定されます。そして、テストイベントを活用した大会運営の検証につきましても、準備の進展に伴って、本番に近い環境での実践的な段階に入りました。世界のトップアスリートが、その力と技を最大限に発揮できる舞台を整え、そこから生まれる感動と興奮を、全世界へと届けていく。開催都市・東京に寄せられる期待に何としても応えるべく、一日一日を大切に積み重ねてまいります。

交通混雑や暑さへの対策

大会の円滑な運営に不可欠な交通混雑の緩和につきましては、「隗より始めよ」で都が進めますアクションプランを更新をして、都発注工事の前倒し等、新たな取組をお示しをいたしました。併せまして、スムーズビズへの理解の促進や意欲向上を図るべく、一定の混雑緩和効果が見られましたこの夏の「スムーズビズ推進期間」において、優れた取組を実践された企業等の皆様を表彰したところでございます。来月には「冬のスムーズビズ実践期間」を設けるなど、引き続き企業等の皆様に、交通需要マネジメントの定着や多様な働き方の実践を、積極的に働きかけてまいります。また、大会中の首都高の交通分散に向けましては、夜間、全線におきましてETC車両の通行料を割り引くとともに、日中、都内区間につきまして自家用車等の通行料を1千円上乗せすることなどを定めました議案を、本定例会に提案をいたしました。これらの施策を組み合わせまして、都民の皆様、企業等の皆様と共に、「大会時の円滑な輸送」と「経済活動・都民生活」の両立を実現してまいります。改めまして、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
暑さ対策につきましては、この夏の試行の検証を踏まえ、補正予算によるさらなる強化を図ってまいります。暑さの軽減に有効で、観客からも好評でありました休憩所や日よけを増設をいたしまして、競技会場付近を中心に日陰を確保するほか、ネッククーラーの配布規模を拡大をし、新たに飲料等の提供も行います。都民の皆様にも、帽子等の着用などのご協力をいただきながら、ハードとソフトを組み合わせた重層的な対策を講じてまいります。
また、お台場海浜公園の水質改善につきましては、来月より新たに、神津島における浚渫工事で発生する砂を活用した、競技水域の環境改善を開始するなど、引き続き各局連携して取り組んでまいります。

6 スクラムを組み、明るい未来を切り拓く

さて、この秋、列島はラグビーワールドカップ2019TMにおけます日本代表の活躍に大いに沸きました。「ONE TEAM」をスローガンに世界の強豪に立ち向かい、史上初のベスト8まで勝ち抜いたチームは、私たちに、団結が生む無限の力を示してくれたように思います。改めて、選手の方々に心より敬意を表するとともに、大会を共に支えた全国の開催都市の皆様、世界中からのお客様に「おもてなし」を実践していただいたボランティアの皆様、都内各地で大会の盛り上げにご尽力いただきました区市町村及び住民の皆様に、深く感謝を申し上げます。
多くの皆様の繋がりによって、ラグビーワールドカップ2019TMは、一人ひとりの心に確かなレガシーを刻み、成功のうちに幕を閉じました。「人」と「人」の繋がりこそ、まさに大きな力を生む。この大会を通じまして、その確信を新たにしたところであります。今回の大会運営の貴重な経験と、オールジャパンの一体感を、来年のオリンピック・パラリンピックの成功へと繋げてまいります。そして、その先の未来におきまして、安全・安心の中で誰もが輝き、持続的に成長する東京を実現するための取組を、都議会の皆様、都民の皆様とスクラムを組み、力強く推し進める決意でございます。

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、予算案2件、条例案35件など、合わせて53件の議案を提案をいたしております。どうぞよろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

以上をもちまして、私の所信表明を終わります。
ご清聴、誠にありがとうございました。

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