中東出張の概要・成果
- 更新日
令和7年10月下旬から11月上旬にかけて、小池知事が、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ及びドバイ、サウジアラビア王国リヤド及びジッダ、クウェート国クウェート並びに、エジプト・アラブ共和国カイロ及びギザを訪問しました。
1 出張概要
期間
令和7年10月25日(土曜日)~11月3日(月曜日) ※日程表はこちら
出張人数
8名
総経費
7,516千円 ※出張者及び経費の内訳はこちら(PDF:70KB)
2 主な出張成果
アラブ首長国連邦(UAE)
- アブダビにおいて東京観光プロモーションイベントに出席。イベントでは、日本を代表する漫画『キャプテン翼』の作者・高橋陽一氏がゲストとして参加し、漫画家を志す若者向けワークショップを開催。これを視察するとともに、会場に集まった市民に東京の多彩な魅力を紹介し、訪問を呼び掛けた。
- ドバイでは、「2025年アジア太平洋都市サミット及び市長フォーラム(APCS2025)」において2度登壇。基調講演では、グローバル社会における都市の役割と多都市間連携の重要性を強調。続くパネルディスカッションでは、女性の視点を都市政策に反映することが持続可能な都市づくりに不可欠であると訴えた。
サウジアラビア王国
- リヤドでは、世界的に注目を集める「第9回未来投資イニシアティブ(FII9)」に出席し、東京のイノベーション戦略、国際金融施策、コンテンツ産業の魅力を発信し、東京への投資を呼び掛けた。さらに、GX関連中小企業・スタートアップと現地企業との商談会において、トップセールスを実施。中東市場での協業促進や新たなビジネスチャンス創出を後押しした。
- ジッダでは、同県知事と面会。投資・ビジネス交流に加え、スタートアップやエネルギー分野での連携可能性について協議。さらに、ジッダ商工会議所を訪問し、地域経済や産業の現状説明を受けるとともに、東京都との産業振興やスタートアップ分野での協力に関する意見交換を行った。
クウェート国
- 皇太子殿下と面会し、幅広いテーマで意見交換を実施。続いてクウェート大学で講演を行い、東京都の取組や将来ビジョンを紹介。また、クウェート科学研究所を訪問し、再生可能エネルギー分野等における先進的な取組を視察した。さらに、直接投資促進庁では、同行した東京のスタートアップ企業のピッチの場でトップセールスを行い、現地でのビジネス展開を後押しした。
エジプト・アラブ共和国
- 友好都市提携35周年を迎えた節目の年に、エジプト政府の招待を受け、大エジプト博物館開館式典に出席。世界各国の王族や皇室、政府代表者が参列する国際的に注目度の高い場で、両国及び両都市の良好な関係や東京の国際的プレゼンスを広く示した。さらに、エジプト首相及びカイロ県知事と面会し、長年にわたる友好関係を振り返り、今後の継続的な交流と協力を確認した。
3 出張先での主な行動
アラブ首長国連邦(UAE)
10月26日(日曜日)
東京観光プロモーションイベントに出席【於:アブダビ】
- 観光消費や旅行客の増加が期待されるUAE・アブダビの大型商業施設で開催された東京観光プロモーションイベントに出席。日本を代表する漫画『キャプテン翼』の作者・高橋陽一氏がゲストとして参加した、漫画家を志す若者向けワークショップを視察。また、アブダビ首長国文化・観光庁長官や在UAE日本大使が出席する中、ステージで江戸から続く伝統と最先端の文化が共存する東京の多彩な魅力を発信し、東京への訪問を呼び掛けた。
2025年アジア太平洋都市サミット及び市長フォーラム(APCS2025)オープニングセレモニーに出席【於:ドバイ】
- 2020年開催のドバイ万博会場跡地を再開発したExpo City Dubaiで行われたAPCS2025オープニングセレモニーに出席。会場では、主催都市であるオーストラリア・ブリスベン市をはじめ、APCS2025に参加した各都市の代表者と挨拶や懇談を行った。
10月27日(月曜日)
2025年アジア太平洋都市サミット及び市長フォーラム(APCS2025)での登壇【於:ドバイ】
- 基調講演では、都市は人類発展の原動力であり、複雑化する課題に積極的に取り組むべきと強調した。市民を守れるのは最前線に立つ都市であり、「都市こそがリーダーシップを発揮すべき時」と訴えた。東京の豪雨対策など具体例を示し、多都市間連携によるレジリエンス強化を提唱。G-NETSを通じた技術交流や知見共有を進め、世界規模の課題解決を牽引する決意を表明し、明るい未来の創造を呼びかけた。また、このサミットが初めて中東・アフリカ、南アジア地域での開催となる節目に触れ、同地域への期待がかつてないほど高まっていると述べた。
- 都市や政府の女性リーダーと共に登壇したパネルディスカッションでは、ジェンダー平等を目指す国際ネットワーク「CHANGE」の設立を紹介し、女性リーダー育成や多様性反映に都市間連携が不可欠であることを強調した。また、東京の切れ目ない子育て支援、STEM分野での女性活躍促進、公共交通の車内に子育て応援スペースを設けた包摂的施策を説明。さらに、COVID-19対応や豪雨対策など危機管理に女性視点を組み込む重要性を示し、次世代の女性リーダーには広い視野と柔軟な発想で未来を切り拓く必要があると訴えた。
ドバイ首長国との合意書締結【於:ドバイ】
- ドバイ首長国との都市間連携を一層強化するため、ハムダーン・ビン・ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム皇太子立会いのもと、アブドゥラ・アル・バスティドバイ執行評議会事務局長と合意書を締結。これまでG-NETSへの参加や都市の強靭化、防災、スタートアップ支援など幅広い分野で実務的な交流を重ねてきた両都市が、互いの市民にとって価値ある協力関係を築くことを確認した。
ドバイ文化芸術庁長官との面会【於:ドバイ】
- ラティーファ・ビント・ムハンマド・アール・マクトゥーム王女(ドバイ文化芸術庁長官)と面会し、APCSのドバイ開催について祝意を表した。日本のアニメや漫画の国際的な人気と創造性について意見交換を行い、文化交流を通じた都市間連携の重要性を確認した。さらに、東京都が進めるスタートアップなどのイノベーション施策を紹介し、来年開催予定の「SusHi Tech Tokyo 2026」への参加を呼び掛けた。
ジュベル・アリ港の視察【於:ドバイ】
- 中東最大のジュベル・アリ港を訪問し、港湾運営企業DPワールドのスルタン・アフメド・ビン・スライエム会長兼CEOから、港の先進的な運営や成長戦略について説明を受けた。最先端の自動化技術やデジタル化の取組を視察し、効率的かつ持続可能な運営を確認。東京港の施設整備や運営高度化に向け、多くの示唆を得る有意義な機会となった。
サウジアラビア王国
10月28日(火曜日)
サウジアラビア公共投資基金総裁との面会 【於:リヤド】
- ヤーセル・ビン・オスマン・アル・ルマイヤーン総裁と面会し、FII9への招待に対し謝意を表するとともに、FIIが世界をリードする投資プラットフォームであることを踏まえ、投資・イノベーション・GX分野での連携強化について意見交換を行った。さらに、東京都の国際金融施策やスタートアップ支援、グリーンボンドやレジリエンスボンドなど、気候変動に伴う自然災害対応に関する都の先進的な取組を紹介した。加えて、11月30日・12月1日に東京で開催予定の「FII PRIORITY Asia 2025」に向け、緊密な協力体制を構築していくことを確認した。
都内のGX関連中小企業・スタートアップのトップセールス 【於:リヤド】
- 優れた技術を持つ都内のGX関連中小企業・スタートアップと現地企業との商談会“GXビジネスマッチング”において、集まった経済関係者や企業に対し、都内企業が持つ技術や可能性を直接PRするトップセールスを実施。中東市場での協業促進と新たなビジネスチャンスの創出に向け、都内企業の海外展開を後押しした。
第9回未来投資イニシアティブ(FII9)での登壇【於:リヤド】
- FII9のプレナリーステージで、知事は世界的なビジネスリーダーや投資家、政府関係者に東京の国際金融都市としての魅力をPR。世界初の国際認証レジリエンスボンドである「TOKYOレジリエンスボンド」の発行により都市の強靭化プロジェクトを加速する方針を説明し、東京への投資を呼びかけた。さらに、「SusHi Tech Tokyo」や「Tokyo Innovation Base」など、イノベーション戦略を発信し、スタートアップの成長を後押しする取組を紹介。加えて、GX技術を持つ都内企業の海外展開支援にも言及し、エネルギー需要が増加する地域で脱炭素化と経済成長の両立に貢献する東京の役割を強調した。
- 続く、LAB(特別対話型)セッションでは、漫画『キャプテン翼』作者の高橋陽一氏と共に登壇。知事は、漫画・アニメを中心とするコンテンツ産業の国際的な成長性を強調し、東京がアニメーション映画祭の開催やクリエイター支援拠点の整備を通じた人材育成を進め、コンテンツ産業による「稼ぐ力」を高めていくことを紹介。観光面では、アニメ文化を都市の魅力として活用し、東京全体でアニメ観光を展開する構想を紹介。一方、高橋氏は『キャプテン翼』の作品を通したテーマやビジネス展開を紹介し、若手に向けて 作品づくりへのこだわりと挑戦の重要性を語った。
サウジアラビア皇太子兼首相主催のレセプションへの出席【於:リヤド】
- ムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アール・サウード サウジアラビア王国皇太子兼首相からの招待を受け、FII9開催を記念して催されたレセプションに出席。ムハンマド皇太子兼首相をはじめ、サウジアラビア政府の閣僚や世界各国から招待された要人と挨拶・懇談を行い、東京の取組や魅力を紹介したほか、中東を含む世界情勢について意見交換を行った。
10月29日(水曜日)
イスラム協力機構を訪問【於:ジッダ】
- イスラム協力機構(OIC)を訪問し、サミール・バクル・ディアブ事務総長補と会談。OICの活動状況について説明を受けるとともに、現在の中東情勢について意見交換を行った。また、東京の先進的施策を紹介しながら、地球規模課題の解決には都市間連携が不可欠であることを強調。都市外交を通じて国際課題の解決に貢献する姿勢を示した。
ジッダ県知事との面会【於:ジッダ】
- サウード・ビン・ジルウィージッダ県知事と面会し、サウジアラビア第2の都市ジッダの経済・文化・観光の強みを踏まえ、投資・ビジネス、スタートアップ、再生可能エネルギー分野における連携可能性について意見交換を行った。加えて、日本の漫画やアニメなど文化・観光資源を紹介し、こうした分野を通じた交流の可能性も確認した。また、来年4月開催予定の「SusHi Tech Tokyo 2026」を紹介し、スタートアップ関連の施策などを説明するとともにG-NETS首長級会議に招待した。
ジッダ商工会議所及び現地企業との意見交換【於:ジッダ】
- ジッダ商工会議所を訪問し、サウジ・ビジョン2030に基づく経済多角化の進展、地域産業の現状、観光・物流拠点としての強みについてヒアリングを行った。また、東京都の中小企業振興策や女性活躍に関する取組を説明するとともに、アジア最大級のイノベーションカンファレンス「SusHi Tech Tokyo」など、都のスタートアップ分野の取組を紹介した。
クウェート
10月30日(木曜日)
クウェート皇太子との面会 【於:クウェート】
- サバーハ・アルハマド・アルムバーラク・アル・サバーハ皇太子との面会では、クウェートへの招待に対し謝意を表明し、両国が重要なパートナーであるとの認識を共有。経済・社会情勢について意見交換を行うとともに、東京の国際スポーツ大会、AI活用、女性活躍などの施策を紹介した。また、共通課題の解決に向けた首都同士の交流や、気候変動・災害対策における多都市間連携の重要性を確認した。さらに、アジア最大級のイノベーションカンファレンス「SusHi Tech Tokyo」を紹介し、東京からサステナブル関連のスタートアップ企業が同行していることにも言及し、ビジネス展開への協力を依頼した。
クウェート大学での講演 【於:クウェート】
- クウェート大学を訪問し、ディナ・ムサエド・ユースフ・アル・マイレム学長との懇談や大学関係者からのヒアリングを通じ、同大学の人材育成、研究、海外連携、学生受入などのビジョンや戦略を確認した。続く講演では、東京のビジョンと戦略を紹介し、都市の役割強化を強調。「人が輝く社会」として女性活躍や子育て支援、「活力ある東京」として脱炭素化やイノベーション推進、「強靭な都市」として防災・多都市連携の重要性を示した。また、多様性と国際的視野の重要性を訴え、未来を担う若者に挑戦を促した。講演後、日本人留学生等を激励し、クウェートと日本の架け橋として活躍することへの期待を述べた。
クウェート科学研究所を訪問 【於:クウェート】
- 日本のアラビア石油株式会社により1967年に設立された独立系国立研究機関であるクウェート科学研究所を訪問。エネルギー、水資源、環境分野における先進的な取組について説明を受けた。
また、現地に同行した東京のサステナブル関連等のスタートアップ企業を紹介し、今後のビジネス展開にむけた連携を後押しした。さらに、同機関の研究施設を視察し、太陽光発電など再生可能エネルギーに関する取組を確認した。
クウェート直接投資促進庁を訪問 【於:クウェート】
- クウェート直接投資促進庁を訪問し、ミシャール・アル=ジャベール長官の出席のもと、同庁の概要や取組、投資戦略についてヒアリングを行った。持続可能な社会の実現に向けた都の取組を紹介し、アジア最大級のイノベーションカンファレンス「SusHi Tech Tokyo」をPRした。さらに、同行した東京のサステナブル関連スタートアップ企業によるピッチを行い、水、素材、エネルギー分野で社会課題解決に資する技術を提示するなど、クウェートでの事業展開に向け知事自らトップセールスを実施した。
- その後、クウェート直接投資促進庁長官主催の夕食会にスタートアップと共に出席し、同庁職員等と交流を深め、今後のビジネス展開に資するネットワーキングを行った。
10月31日(金曜日)
Women’s Cultural and Social Societyを訪問 【於:クウェート】
- アムサール・アム・フワイラ社会・家族・児童問題担当大臣の同席のもと、同団体の概要や活動についてヒアリングを行った。クウェートにおける女性の社会参画や活躍の現状を把握するうえで極めて有意義な機会となった。また、女性の社会的地位向上や文化活動への長年の貢献に敬意を表し、さらなる女性の活躍への期待を示した。
クウェート社会・家族・児童問題担当大臣との懇談 【於:クウェート】
- アムサール・アル・フワイラ社会・家族・児童問題担当大臣と懇談し、女性・子供分野における政策や課題について意見交換を行った。知事からは、OECD「チャンピオン・メイヤーズ」副議長就任を報告し、都の女性活躍推進や子供施策など先進的な取組を紹介。女性の社会参画拡大や子供のウェルビーイング向上に向け、国際的なネットワークを通じた連携の可能性を提案した。
エジプト
11月1日(土曜日)
エジプト首相との面会【於:カイロ】
- ムスタファ・マドブーリー首相と面会し、大エジプト博物館が正式開館したことへの祝意と、エジプト政府からの招待への謝意を表した。東京都とカイロ県の友好都市提携35周年の節目を迎え、両国・両都市で様々なレベルの交流・協力が進んでいることを相互に確認。また、都立高校生の交流や特別支援教育など教育分野での取組を報告するとともに次回「SusHi Tech Tokyo 2026」を紹介し、今後もカイロとの幅広い分野での友好・交流を継続的に深化させる意向を示した。
カイロ県知事との面会【於:カイロ】
- イブラヒム・サベールカイロ県知事と、姉妹友好都市提携35周年の節目に面会が叶い、両都市の絆が一層深まったことを首長同士が喜びをもって共有した。また、大エジプト博物館が正式に開館したことに祝意を伝えるとともに、日本の協力により、人類の歴史を新たな形で紹介する博物館が完成した意義を強調。
東京都とカイロ県は文化、スポーツ、教育など幅広い分野で交流を重ね、35周年記念として都庁で都市外交パネル展を開催したことに触れ、今後も多様な分野で連携を深めたいと述べた。
大エジプト博物館開館式典に出席【於:ギザ】
- 大エジプト博物館開館式典に出席。世界各国の王族や皇室、政府代表者等が参列する国際的に注目度の高い場において、両国及び両都市の良好な関係や、東京の国際的プレゼンスを広く示した。また、式典では音楽や映像、ドローン、花火ショーなど多彩な文化プログラムが実施され、都の文化・観光施策の参考となった。