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令和5年(2023年)12月5日更新

令和5年第四回都議会定例会 知事所信表明 

令和5年第四回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対します所信の一端を述べさせていただきます。
去る10月2日、高島なおき議員が逝去されました。ここに謹んで追悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。

※高島なおき議員の「高」は、正しくは「はしごだか」です。

1 はじめに

先般、国際通貨基金IMFから、2023年の日本のGDPがドイツに抜かれ4位に後退するとの見通しが発表されました。私たちは常に厳しい国際競争の只中にいることを忘れてはなりません。日本経済の復活に向けた本気度が問われる、まさに正念場であります。
深刻化する気候危機や少子高齢化、国際競争力の低下など、我が国が先送りしてきた課題が先鋭的に現れています。不確かな時代において、都民が将来に希望を持ち、安心して暮らせる都市を実現する。そして、日本の牽引役としての役割を果たす。そのために、東京は、先手先手で持続可能な都市への変革に取り組んできました。この手を緩めることなく一歩も二歩も前に進めていく。時代のその先に目を向け、「何が都民ファーストになるか」、これを第一に考えながら、未来を切り拓く政策を全力で推し進めてまいります。

2 人や投資を呼び込み、次なる成長への道を突き進む

東京の強みを磨き上げることで、人や投資を呼び込み、厳しい国際競争を勝ち抜かなければなりません。成長が次の成長を呼ぶ持続的なエコシステムの創出が求められています。

東京をアジアナンバーワンのイノベーション都市へ

イノベーションで東京をさらなる高みへ押し上げる

都市が抱える多くの課題を解決し新たな価値を生み出すために欠かせないイノベーション。その原動力がスタートアップです。先日開催した若手起業家を輩出するコンテストでは、ファイナリストの大半が女性でした。新たな視点や発想は次々と生まれています。こうした未来を拓く力を支援する拠点、Tokyo Innovation Base、通称TIBが、先週、国内外のキーパーソンをお迎えしてプレオープンいたしました。全国各地に点在するスタートアップ拠点を有機的に結び付け、そして世界と繋がるグローバルなハブとなり、東京を核にした大きな一つの生態系を生み出します。既に、大学やアクセラレーター、大企業など約30の多様なプレイヤーがスターティングメンバ―として参画しています。来年5月の本格オープンに向けまして、若者をはじめ国内外の意欲溢れる挑戦者を全力でサポートする仕掛けづくりを進め、世界と肩を並べるエコシステムを創出いたします。
今や中小企業の技術力が宇宙への道も切り拓こうとする時代です。昨年開設した「東京たま未来メッセ」を中心に、中小企業の強みを活かして新たなビジネスを生み出します。来月には、多摩地域で最大級となる展示会「たま未来・産業フェア」を初めて開催します。熱意と創意工夫で磨かれた優れた製品やサービスを知ってもらい、企業同士の新たな繋がりを生むことで、イノベーションを促します。
こうして進化を遂げる技術は社会を変えます。例えば、自動運転や空飛ぶクルマはもはや空想の世界ではなく、腕を伸ばせばもう少しで手が届く現実的な未来の話です。戦略的なロードマップを描き、次世代モビリティの実装化を着実に進めます。

国際的なビジネス環境の構築

国内外から投資を呼び込む国際金融都市としての環境整備も不可欠です。資産運用立国を目指す国に対し、国内企業の英文でのIR情報開示や機関投資家のアクティブ運用促進など35項目に及ぶ政策提言を行いました。国と連携することで、世界有数のビジネスインフラを備えた東京の優位性を余すことなく発揮し、国際社会から選ばれる都市にします。

都民サービスのDX

「都政のDX」は、「都民サービスのDX」へと次なるステップに挑みます。重要なのは、デジタルでサービスの質が上がったと実感できること。すなわちDXの「X」、トランスフォーメーションの実現です。関係者の力を結集し、切れ目のないサービスを都民に届けます。変革の突破口として、子供や子育て世帯を社会全体で応援する「こどもDX」を、国、区市町村、民間の推進団体と共に推し進めます。必要な情報が先回りで届く「プッシュ型子育てサービス」や手間のかかる入園手続きがオンラインで完結する「保活ワンストップ」を、2025年度末までに実現します。今月、「東京こどもDX2025 つながる子育て推進会議」を発足し、GovTech東京と共に、全国に展開できるサービスの実装を加速します。

東京の多様な魅力を武器に、都市競争力を高める

夜ならではの魅力を発信

インバウンドが急速に回復する今こそ、観光を経済成長の突破口にするチャンスです。先月からお台場で開催している国内最大級のビーチプロジェクション「CONCORDIA」は、AIやAR等の最先端技術を活用した光と音の幻想的な体験が好評を博しています。これに続き、大晦日には都民広場でカウントダウンイベントも開催します。弧を描く壁面に映し出すプロジェクションマッピングや新年への想いを込めたランタンを空に浮かべる演出など、光を使った東京の夜の魅力をアピールしていきます。

都市のポテンシャルを農業に活かす

海外でも注目される日本の多彩な「食」。豊かな食文化を支える農作物の栽培において、肥料の安定確保は大きな課題です。水再生センターから発生する下水汚泥に含まれるリンを取り出し、肥料として有効活用する取組に挑みます。我が国は、リンのほぼ全量を輸入に依存しています。全国の下水処理量の1割を占める東京が肥料の国産化に乗り出せば、食糧安全保障上も大きなインパクトとなります。JA全農と協定も締結し、東京のリンを全国で利用いただけるよう連携して取組を進めます。

SusHi Tech Tokyoの発信

バラエティに富む東京の取組を世界に向け強力に発信する機会となるのが、来年春に開催する「SusHi Tech Tokyo 2024」です。五大陸の都市のリーダーをお招きするほか、目玉の一つとなるスタートアップピッチコンテストの挑戦者も国内外から募っています。最先端技術を通して未来の都市の可能性を体験できるプログラムも展開するなど、これを機に、東京のプレゼンスをグンと引き上げ、イノベーションに繋がる多様な結びつきが次々と生まれる都市にしたいと思います。開催100日前に合わせ、デジタル空間を活用したPRも実施し、バーチャルの世界で江戸東京の多彩な文化や産業の魅力に触れてもらうことで、SusHi Tech Tokyoへの期待を一層高めます。

3 持続可能性という都市の新たな価値を追求する

気候危機へ都市の責任を果たす

「21世紀は都市の時代」と言われています。人類に立ちはだかる気候危機を前に、エネルギーの大消費地として、その責任を果たしていかなければなりません。今、中東のUAEで開催中のCOP28では、各都市のリーダーが招待されるサミットが開催されました。共通の危機に立ち向かう国際社会にとって、まさに歴史的な一歩であります。
こうした世界の動向を踏まえれば、都が掲げる2030年のカーボンハーフ、その先のゼロエミッション東京の実現を確かなものにしなければなりません。先日、私も会議に出席をいたしまして、太陽光発電設備の設置義務化やペロブスカイト太陽電池など東京・日本の先進的な取組を強く発信し、そして、2030年に都内の再エネ設備を3倍に拡大することを宣言してまいりました。パリ協定で掲げる1.5℃目標を達成する。この強い覚悟の下、「団結」「行動」「実現」が世界に求められています。持続可能な未来のため、具体の行動を重ねてまいります。

社会実装を積み重ね、ゼロエミッション東京へのさらなる気運を醸成

水素普及を先導

COP28では、東京が水素エネルギーの普及に向けて国際社会を牽引するべく、水素の製造や利活用を推進する世界有数の機関と連携し、国内初となる水素取引所を立ち上げる構想を明らかにいたしました。加えて、海外都市とのアライアンス締結も推し進め、国際的なサプライチェーンの構築や技術開発に繋げます。身近な取組として、意欲ある自治体を対象に、燃料電池で動くごみ収集車の導入も支援するなど、需要と供給を掘り起こし、脱炭素の切り札とされる水素の利活用を活性化させます。

東京のポテンシャルを活かした再エネ実装

「隗より始めよ」で、都は率先して、再エネの実装を推し進めます。長く地域で親しまれる東京さくらトラムを、来年度から水力発電由来のグリーン電力で運行するほか、庁有車に太陽光パネルを搭載した車両を導入し、太陽電池活用の裾野を広げます。令和7年度からの「建築物環境報告書制度」の開始に先駆け、環境性能の高い建築物の普及に力を入れる事業者の表彰制度も創設いたしました。さらに、使用済み食用油などを使った次世代の航空燃料のSAFは、全国で初めて定期便での継続的な使用に取り組みます。先月の有識者等の会議におきましては、電力の需給状況に応じたデマンドレスポンスなどエネルギーマネジメントに関する助言をいただきました。今後も検討を深め、我が国のエネルギー構造の転換を牽引してまいります。

脱炭素化に向けて金融の力を活かす

クリーンエネルギーの拠点整備等を目的に設立したサステナブルエネルギーファンドから、北海道の3万キロワット級の風力発電事業に第一号となる投資を行いました。脱炭素社会の実現には、こうして金融の力を上手に活かし、民間の取組を促すことが肝要です。都内企業の大部分を占める中小企業を対象に、持続可能性に配慮した経営の視点を浸透させるためのセミナーも金融機関と連携して開催いたしました。サステナブルファイナンスを活性化し、脱炭素化を強力に後押しいたします。

緑と生きる都市の礎を築く

世界的にも自然環境と都市機能の調和が重要視される中、大きな転換点を迎えているのがまちづくりであります。緑が溢れ、人が憩い、楽しく歩ける。100年後に胸を張って継承できる、「暮らし」や「潤い」を大切にした都市を築き上げます。例えば、西新宿エリアでは地元の区や企業と協力して、道路や公園などエリア一体となった「人が中心」のウォーカブルな空間を創出し、青空の下、多くの方々に目指すまちづくりの魅力を体感してもらいました。さらに、世代を超えて人々に寄り添う安らぎの場として、国立競技場に臨む都立明治公園に新たなエリアをオープンいたしました。開放感のある芝生広場で誰もが思い思いの時間を過ごせるほか、子供たちをはじめ地域住民の皆様と植樹も行った木々を豊かな森へと大切に育て上げていきます。
虎ノ門や麻布台、日本橋や品川。今、都心では各地で大規模な再開発が進んでいます。都市に息づく緑をまもり、増やし、つないでいく。例えば、先日開業しました麻布台ヒルズでは、街全体が四季折々の草木で彩られ、都心とは思えない憩いの空間が創出されています。まちづくりを通じて多くの緑が新たに生まれているのであります。今後、専門家の皆様や、これからの東京を背負って立つ若者たちの意見をしっかりと取り入れながら施策を強化し、東京グリーンビズを次のステージへ進めてまいります。

4 次世代を育み、誰もがいつまでも輝き続ける成熟社会を実現

続いて、「人」を育み、誰もがいつまでも輝ける真の成熟都市を実現する取組について申し上げます。

都民・事業者の力を引き出す物価高騰対策

海外紛争や円安などに起因する物価高騰が、都民生活に影響を及ぼしています。こうした社会経済情勢の中、都民生活・東京の経済をしっかりと守っていかなければなりません。
これまで講じてきたエネルギー価格高騰等への対策に加えまして、都民生活を下支えし、消費を喚起するための新たな取組を実施するなど、物価高騰の影響を受ける都民・事業者への支援を速やかに講じてまいります。今後、こうした支援策を盛り込んだ補正予算案を提案いたします。

チルドレンファーストを推進し、子供が主役の社会へ

チルドレンファーストの推進こそ、都市の持続可能性を支える重要な要素です。子供が主役の社会を創り上げなければなりません。

子育て世帯を全力でサポート

今日の子育て環境の下において、子育て世帯は、将来への不安など様々な悩みを抱えています。国に対し、その責任において、子育て世帯への支援の充実・強化、早期実現を図るよう、強く働きかけを行っていきます。同時に、都として先行して、特に大きな負担となっている教育費、とりわけ、高校授業料の実質無償化や学校給食費の負担軽減に大胆に踏み出し、スピード感を持って子育て世帯を全力でサポートしてまいります。

子供の育ちを支える

0歳から18歳までの子供たち一人ひとりの成長を等しく支える018サポートは、いよいよ来月から支給が始まります。都立大学等の授業料を免除する新たな制度も来年度から開始し、子供たちを安心して育める環境を整えます。
「もっと知りたい」「もっと上手くなりたい」という生徒たちの意欲に応え、能力や才能を伸ばす後押しをします。先月から開始した都立高校1年生を対象としたプログラムでは、芸術分野の第一線で活躍する大学教育陣の講演や特別指導を受けるなど、学びを深める機会を提供しております。生徒たちの若き感性を刺激し、次なる才能を育てます。都内の高校生等を対象にして、身近な課題解決をテーマにしたアプリの開発を競うコンテストも開催しました。優秀な作品は、来月、表彰を行い、社会の中で必要性が一層高まるプログラミングへの興味・関心を育みます。
一方、不登校の児童・生徒の数が増加し続けています。子供たちが安心して学び、力を伸ばせる環境を整えなければなりません。校内の別室で学習指導や相談を行う支援員の配置も後押しをし、きめ細かなサポートを行います。さらに、仮想空間を活用して居場所や学習の場を提供するなど、多様な学びのための環境整備を着実に進めます。

苦しむ子供たちを守る

昨今、子供への性加害問題が国内外で大きな波紋を呼びました。性被害や性暴力は、被害者の心身を将来にわたり深く傷つけるものであります。早期の対応や当事者に寄り添った支援が欠かせません。子供や保護者が相談しやすいように、専用のホットラインを設置しました。来月には、SNSを活用した窓口も開設いたします。被害に悩んでいる方々は、どうかためらわず相談してほしいと思います。
また、少子化が叫ばれる中で、児童虐待は増加の一途を辿っています。一時保護の長期化や、心理的ケアのニーズの高まりなど、大都市特有の困難なケースが先鋭的に現れています。児童相談体制の強化、これは急務です。都と区市町村の連携はもとより、最前線を担う現場での対応力、そしてそれを専門性を活かしてバックアップする機能の強化、児童福祉司や心理司など人材の確保・育成も必要です。こうした視点で、かけがえのない子供たちを守り抜く体制をしっかりと構築していきます。

誰もがいきいきと輝ける都市にする

長寿を支える高齢者施策の推進

世界でも高齢化の最前線を走る東京。健康長寿社会を見据えた環境づくりは欠かせません。人生100年時代を生きる高齢者の活躍を後押しするために都立大学に設置したプレミアム・カレッジは大変好評を得ています。また、2025年には約700万人規模になると推測されている認知症への対応は、避けて通れない課題です。都民の約3分の2が暮らすマンション等でも認知症の住民が増えています。管理組合に専門家を派遣して、関係機関との連携方法など助言を行い、対応力向上を図ります。症状の進行を遅らせる効果が期待できる新たな薬が登場し、治療の選択肢も増えています。地域で安心して暮らし続けられるよう、健康長寿医療センター等の知見を活用しながら、早期診断・早期治療など幅広い観点で総合的かつ計画的に施策を推し進めます。

女性活躍

都内企業の女性管理職の割合は1割を超え上昇傾向にあります。それでも世界に大きく後れを取るのが現状です。都政では、審議会等の女性委員の割合が、既に「『未来の東京』戦略」で40%以上としている目標を超え、約46%と着実に増加しています。これに加え、民間企業でも女性の登用を加速するため、企業のトップと共に経営戦略として活躍を推進するムーブメントづくりを行います。また、新たに立ち上げた情報発信サイトによって、女性特有の健康課題に関する職場の理解を広げることで、働きやすい環境も整えます。
この間、東京くらし方会議での議論を通じて、社会の仕組みや意識など多様な視点からのアプローチが必要であることが改めて明らかとなっています。女性が輝く社会に向けまして、東京にできることは何か。引き続き、有識者のご意見もいただきながら政策を練り上げてまいります。

ノーマライゼーションの実現

障がいのある方々の自己実現を応援します。働くことを通じて、人は社会に参画している実感を得られます。そこで、大変好評を得ている大規模な障がい者マッチングイベントを今年度も開催します。企業との面接会や講演・セミナー等を同時開催し、障がい者雇用の裾野を広げるとともに、社会のマインドチェンジに繋げます。
そして、現在、年度末の策定を目指し、障がいのある方々や福祉のまちづくりに関する基本計画の改定作業を進めています。多様な人が互いを尊重し、誰もが輝ける真の共生社会へと続く道しるべとして、実効性あるものにしてまいります。

カスタマーハラスメント対策

サービスの利用者等から過大な要求や不当なクレームを受け従業員が人格を傷つけられる「カスタマーハラスメント」が増加しています。放置すれば、労働生産性を損ない、産業界の活力を削ぐことにも繋がりかねません。「顧客満足」と「働く人の心身の健康」が並び立つ、東京ならではのルール作りを進めます。

スポーツの力で都民の活力を引き出す

2025年に東京で開催される世界陸上とデフリンピックの準備が本格化しています。先月、運営の基本的な方向性を示した開催基本計画がそれぞれ策定されました。世界陸上につきましては、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる舞台を整えるとともに、持続可能性が重視される今後の国際スポーツ大会のモデルを目指します。また、開催まで2年を切ったデフリンピック。この機を捉え期間限定でオープンした「みるカフェ」では、私も聴覚障がいを持つスタッフとデジタル技術を使ったやり取りを体験し、あまりのスムーズさに驚いたところであります。多様な人々の力を結集して大会を作り上げ、デジタル技術によるユニバーサルコミュニケーションが浸透した社会への転換点にいたします。さらに、両大会を通じて、準備段階から子供の参画機会も設けることで、そこで得られる経験をレガシーとして確実に次世代へと受け継ぎます。

5 「人」の活躍を力強く支える安全・安心な都市へ

「人」の力を存分に引き出し、活発な都市活動を支える土台は安全・安心に他なりません。自助・共助・公助を三位一体で強化いたします。

自助・共助・公助の三位一体で都市を強靭化

まずは自助・共助についてです。多くの都民が暮らすマンション等では、災害時でも生活を継続しやすいよう備えに取り組む「東京とどまるマンション」への登録が進んでいます。機運を逃さず、訓練や備蓄の重要性などを積極的に発信し、さらなる登録拡大を図ることで、防災力の向上に繋げます。
発災時の都民の活動体制強化にも取り組みます。先日には、東京消防庁の管轄エリア全域を対象に、24時間にわたる実動型の震災訓練を実施しました。区市町村・地元消防団との連携や、町会・自治会等における防火防災を一層強固なものにいたします。
公助の取組も推し進めます。今月、豪雨対策の基本方針を改定し、発生が予測される大部分の降雨に対応できますよう、対策の目標を都内全域で時間10ミリ引き上げます。予測を超える事態を想定してグリーンインフラの導入促進なども盛り込み、今後の河川施設のあり方も踏まえながら、風水害に負けない都市を築きます。また、日の出町と青梅市を結ぶ梅ヶ谷トンネルが、いよいよ来年3月に開通します。これにより、道路網のダブルルート化を図り、地域の防災性を飛躍的に高めます。
近い将来、南海トラフ地震の発生も想定される中、島しょ地域の津波対策は待ったなしであります。一昨日、八丈島や神津島等で津波が観測されましたが、10月に発生した津波では、小型の船が転覆する被害が発生し、その際、都は直ちに観測体制等の強化を国に要望いたしました。加えて、都立大学が中心となり津波検知システムの構築も着実に進めます。さらに、「島内完全無電柱化」に向けて、利島と御蔵島では年明けに工事を開始し、島しょ地域の防災力強化を推進していきます。
首都直下地震を想定して策定している都政のBCP、いわゆる業務継続計画を、「オールハザード型Step.1」として多様な災害にも柔軟に対応できるよう大幅に改定しました。今後、富士山の噴火なども含めたBCPへとさらなるバージョンアップを行い、司令塔の役割を担う都庁の災害対応力を一層向上させます。
重大な脅威とも言うべき弾道ミサイルの飛来に備え、先月は練馬区におきまして、都内で初めて緊急一時避難施設を活用した避難訓練を実施しました。いざという時に命を守る重要なポイントは「逃げる・離れる・隠れる」であります。今後も継続的に訓練を重ねるとともに、周知活動も強化し、都民一人ひとりにミサイルへの危機意識を養います。
こうした様々な取組を踏まえ、TOKYO強靭化プロジェクトを、年内にアップグレードします。豪雨対策やマンション防災に加え、富士山噴火による火山灰対策など、新たな取組の追加や施策の具体化を図ります。施策ごとの中間目標も明らかにすることで、都民の命と財産を守り抜く強靭で持続可能な都市への道筋を確かなものにいたします。

6 おわりに

さて、時代の変遷とともに、都市の姿、社会のあり方も変わります。関東大震災や第二次世界大戦、1964年のオリンピック、振り返れば歴史の節目節目を大転換点とし、数多の先人たちが未来志向でより豊かな都市へと東京を作り変えてきました。経済や社会の姿が大きく変貌を遂げる今だからこそ、その姿勢に学ばなければなりません。自然と都市機能の調和、デジタル化の推進、イノベーションを支える新たなエコシステムの創出。そして何より、都民一人ひとりが輝ける都市の実現。明るい未来を現実のものとする実行力が再び問われているのであります。国際社会の現状に目を向ければ、逡巡している暇がないことは明らかです。私たちの前には無限大の可能性が広がっています。都民ファーストという揺るぎない信念の下、共に東京大改革を推し進めてまいりましょう。

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、条例案8件、契約案6件など、合わせて26件の議案を提案いたしております。よろしくご審議お願いを申し上げます。

以上をもちまして、私の所信表明を終わります。

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