小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和2年12月30日)

更新日

知事記者会見
2020年12月30日(水曜)
14時00分~14時53分

知事冒頭発言

1 新型コロナウイルス感染症への対応について

【知事】はい。先ほど、今年最後のモニタリング会議が終了いたしました。今日が26回目でございまして、この体制で進めてきたのが7月9日(木曜日)からでありました。この一年、振り返ってみますと、皆様とともに、新型コロナウイルスとの戦いを続けてまいりました。改めて、皆様方のご協力に深く感謝を申し上げたく存じます。しかしながら、今年最後のこの記者会見ではございますが、事態は大変厳しいということをお伝えしなければならない、そのような会見になりました。普段、モニタリングの際は、その後、立った形でお答していたわけでありますけれども、今年最後であるということ、そしてまた、今、重要な局面にあるということから、この会見の形を取らせていただきました。そして、モニタリング会議におきましては、感染状況・医療提供体制とも、引き続き、赤が点っております。専門家の皆様方から、新規陽性者数は急速に増加している、医療提供体制はひっ迫している、それは危機的状況に直面している、このようなご指摘がありました。都内の感染者数ですが、1週間平均で700人を超えておりまして、日々最多を更新をいたしております。そして、現在のペースで増加いたしますと、2週間後には、日々1000人を超えるペースで新規陽性者が発生していくことになる。そして、さらに新たな課題が出てきております。それは前もお伝えしましたが、先日のイギリス、ジョンソン首相が発表された際の課題であります。「最大で7割感染力が強い変異種」に感染した陽性者が出ているということ、その陽性者が日本国内で確認されたこと。また、南アフリカ共和国においても確認された別の変異株が、日本国内で確認されたという報告もあるわけでございます。危機管理の観点から、今、私たちは2つの未知に直面していると考えています。まず第一に、新型コロナウイルスのこの変異種が出てきているということ。第二に、コロナ禍で初めて経験する冬の寒さであります。私達はこれらの未知の課題に対しまして、最大級の警戒、そしてその備えをする必要があると考えております。
東京は今、非常に厳しい状況にございます。かつてない大きさの、いわゆる第三波が襲いかかっている。そして、いつ感染爆発が起きてもおかしくない。さらに、誰が感染していてもおかしくない、こういう状況にあることを私たちは改めて確認しなければなりません。年末年始のここで感染を抑えなければ、私たちは、ますます厳しい局面に直面する。そして、緊急事態宣言の発出を要請せざるを得なくなる。こうした事態をぜひとも、何としても回避しなければならないのです。
今、世界中でワクチンの接種に向けた取組、進められておりますね。そして、そのワクチンが皆さんに行き届くまでには、今しばらくの時間が必要になってくる。それまでの間、私たち一人ひとりの行動によって、感染拡大を食い止めなければならないのです。そのためには徹底して人の流れ、人流を抑えていかなければならない。人と人との接触を避けていく、そのことが最も重要なポイントであります。都民・事業者の皆様には、人の動きを抑えるための、徹底した取組をお願いいたします。そして、この年末年始、命を優先してください。いつものお祝い事、楽しみ、年末年始は沢山あるはずですが、今回はどうぞ諦めてください。
年末年始は、「家族でステイホーム」、これを是非徹底していただきたい。お友達を呼んでのホームパーティ。そして、親族が集まっての飲み会。こうした集まりはお避けください。アメリカで11月の下旬、これ、いつもサンクスギビングが、感謝祭が行われる時期でありますけれども、そのサンクスギビングで人々が移動した上で、親族が家で大集合した後に、感染が急増した、との指摘もございます。お正月のおせちを召し上がる際も、どうぞいつものご家族のメンバーにしていただきたい。そして、高齢者、既往者、持病のある方と一緒にお暮らしのご家庭においては、おうちでも、このマスク着用お願いを申し上げます。
忘年会・新年会、今回はナシ。会食・飲食は感染拡大リスクが高まります。楽しい時間を過ごした後には、それ以上に辛くて苦しい時間が待っている。だから絶対に、ナシです。そして、企業・官庁・学校などでも、社員の皆さんや職員、学生それぞれ「飲み会はナシ」と呼び掛けてください。帰省もナシ。初詣は、感染状況が落ち着くまで、お待ちください。初日の出でありますけれども、これについては都庁の展望室からのオンライン配信がございますので、そちらを是非、ご覧いただきたい。年明けに社会経済活動、再開しますよね。しかし、ポイントは人流を最大限抑えること。そのためにも、テレワークやオンライン授業を、さらに強力に推進をしていただきたいと思います。年が明けますと受験シーズンも始まります。受験に関わる皆さんで感染防止対策を万全にして、受験生が心置きなく十分な実力を発揮できるように、体制を整えていきましょう。そして、受験生の皆さんご本人たちも、体調の管理を万全にして受験に臨めるよう、頑張っていただきたいと思います。
若い人に、特に、申し上げたいことがあります。コロナを甘く見ないでください。夜間の外出も、しばらくはナシ。一般的に言われておりますように、若者の皆さんは軽症や無症状、そして「若いから大丈夫だ」と思われがちですけれども、でも、若い方でも、入院・重症化することがあります。それから、長引く後遺症に悩まされている方も多い。実際にその体験している方も、沢山いらっしゃいます。軽症・無症状のまま行動して、結果として感染が拡大いたしますと、コロナの患者さんのために医療がさらに逼迫します。ひいては、コロナ以外の救急医療や通常医療も圧迫されてくるんです。受けられるはずの医療が受けられなくなる、助かるはずの命が助からなくなる。だから、「若いから大丈夫」では、決してありません。「こんなはずではなかった」そう思った時には、もう遅いんです。皆さん自身の将来を守るために、日々の行動を改めて見直してください。
もし、この年末年始の期間に、体調がおかしいと感じられた方、どうぞためらわずに、すぐに、かかりつけ医、そして東京都発熱相談センターにご相談をください。この相談センターの回線数も増強しております。そして、重症化を防ぐためには、早期の発見が何よりも重要ということは、既にご承知かと思います。ご自身の体に気遣って、「おかしいな」と感じられたら、すぐにご相談ください。それが、東京の医療を守ることにも繋がってまいります。
現在、国においては、新型コロナウイルスワクチンの接種をする順番や、また、有効性・安全性の検討が進められております。国におきまして、ワクチンが承認され次第、優先順位を踏まえまして、必要な方に速やかに接種を開始できますように、区市町村や関係機関と連携しながら、準備を進めてまいります。また、接種が開始された際には、接種方法や健康被害への懸念などにつきまして、都民の皆様方からの相談に対応できる、そのような体制も整備してまいります。
先ほど、賀来先生からモニタリング会議の場でお話がございました。東京iCDCでは、イギリス、そして南ア(南アフリカ共和国)で発生した変異株のウイルスの都内での発生状況を把握するために、新たな検討チームを立ち上げたというお話をいただいております。すでに東京都健康安全研究センター、いわゆる健安研で、ウイルスの遺伝子解析に取り組んでおります。
政府におきましては、入国時の検査体制、検疫体制の強化、そして入国者の行動管理の徹底など水際対策をよろしく、しっかりとお願いいたします。そして、罰則規定や財政支援などを盛り込んだ特措法の早期改正については、改めて強く要望するものであります。事態は切迫しております。立法府である国会の皆様方には、一刻も早く、実効性のあるコロナ対策ができますような、そのような体制を築いていただきたい。
そして、都民・事業者の皆様方には、この一年、多大なるご協力をいただいてまいりました。医療従事者の皆さん、保健所の皆さん、エッセンシャルワーカーの皆さん、昼夜を分かたず、そしてこの年末年始も必死にご尽力いただいております。改めて深く感謝を申し上げる次第でございます。ありがとうございます。
そして、一方で、感染は今この瞬間も勢いを増しております。この年末年始は、感染拡大、食い止められるか否かの分水嶺であります。都民の皆さんお一人おひとりの行動が、コロナの感染動向を左右いたします。お一人おひとりの行動が来年を決めると言っても過言ではございません。「コロナで失う命」を抑えるための対策は、すなわち「経済苦、生活苦で失う命」を抑えることにもつながってまいります。そのことを改めて心に刻んで、「感染しない、感染させない」、そういう年末年始にしていただきたい。自分のためだけではありません。周りの大切な方々の命や家族の命、親戚の命、恋人・友人の命、どうか皆さんの手で守ってください。危機感を共有して、力を合わせて、何としても、この難局を乗り越えてまいりましょう。
今日は、モニタリング会議にご協力いただいております、東京都医師会副会長の猪口先生、国立国際医療研究センターの大曲先生、そして、東京iCDC専門家ボード座長の賀来先生にも、この場にご出席をいただいております。どうぞ、この年末年始、分水嶺であります。一人ひとりの行動がこの分水嶺を静かな方向に行くのか、それとも、厳しい方向に行くのかを決めていくことになります。医療従事者の皆様方には年末年始にも関わらず奮闘していただいている、その皆様方への心遣いも忘れず、どうぞこの年末年始、静かなお正月「家族でホームステイ」、よろしくお願いを申し上げます。以上です。

(会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。)(PDF:776KB)

【事務方】続きまして、専門家の先生にご発言をいただきます。まず、大曲先生よろしくお願いいたします。

【大曲委員】それでは、私からは感染状況についてご報告いたします。総括としては、感染が拡大していると思われるというところで、色としては赤でございます。新規の陽性者数、これ7日間平均でみていきますと3週連続で急速に上がってきてるというところです。
感染の拡大防止策を行ってその効果が出始めるには、これまでの経験からしても、2、3週間どうしてもかかりますので、より強い対策を今直ちに実行する必要があるということを今回は申し上げました。
もう少し具体的なところにいきますと、新規の陽性者数でありますが、前回は617人でしたけれども、今回は751人であります。19日連続で最大値の更新というところであります。こちらですけども新規の陽性者数を累計しますと5000人を超えると、週あたりで5000人を超えるという状況でありまして、感染の拡大は続いてるという状況です。
通常の医療が逼迫する状況はさらに深刻となっておりまして、新規の陽性者数を抑え込むための対策、徹底的に防御しなければならないと報告しています。増加比が今123%というところでございますが、2週間継続しますと、1日当たりの患者さんの数が1.5倍、約1.5倍、1日当たり1136人いたんですね。入院率が今、陽性の方のうち25%が入院になるわけなんですけども、このまま増えていきますと、2週間を待たずして、確保した4000床を超える数の入院患者さんが出るということになりかねません。破綻の危機に瀕しているというところであります。ですので、今から強い対策を必要とするというところです。
もう一つは、先ほど知事もおっしゃいましたが、感染力が強いと言われている英国そして南アフリカ共和国から発生した変異株、これに感染された方が確認されています。その影響というものはまだよく分かっておりません、日本の中ではですね。そちらに関しては調査が必要というところです。
年齢別で見ていきますと、今回の特徴としては、これまでは高齢の方の比率が高まってきたということを申し上げてきたわけなんですが、少し傾向が変わってきてます。20代が26.9%、30代が20.3%ということで、今回は20代30代の割合が増加してるという状況でありました。とはいっても、高齢の方の感染者数は多くて、65歳以上で見ていきますと、前回が572人だったのが、今回の599人というところであります。まあ、微増でありますけれども、やっぱり多い数で感染されているというところです。このように重症化リスクの高い高齢の方の新規の陽性者数、そして7日間平均が非常に高い値で推移してます。ですので、家庭、施設をはじめとして、高齢者への感染の機会をあらゆる場面で減らすということが必要であります。
あとは、濃厚接触者に関して見ていきますと、感染経路はですね、同居する人からの感染が、前週から増えて49.3%と最も多いという状況ではあります。その後は施設がきて、職場がきて、会食そして接待というところになっているわけなんですけれども、申し上げておきたいのは、同居する方の数が多いのは、これは調査が比較的しやすいとか、そういうこともあって多くなりがちなんですけども、これはあくまで結果であってですね、問題は家庭にこれ持ち込まれるということが問題ですので、家庭の外での感染、これをいかに防ぐかということが非常に重要であります。このように感染経路、本当に感染の場といいますか、様々なところにございます。日常生活の中で感染するリスクが高まっているということが言えると思います。70代以上に限って言いますと、施設での感染、これ先週151人だったわけなんですが、今回123人と減ってはいます。ただし、同居する人からの感染が逆に77人から114人に増えてるというところがあります。繰り返しになりますけども、高齢の方と同居するその家族が家庭に新型コロナウエスを持ち込まないように、最大限に注意を払っていただくという必要がございます。
また先ほど知事からお話がありましたけども年末年始であります。いわゆる初詣ですとか、新年会ですとか、あるいは成人式ございますけど、これ非常にリスクが高いです。人と人が密に接しますし、マスクも外すことでしょう。外してしまうこともあると思います。長時間または深夜に渡って飲食をする、あるいは飲酒をする、はしごをすると、複数店またがって行く、ついつい酔っぱらって注意が足りなくなって大声で話してしまうといったことがどうしても起こってしまいます。これ非常に感染リスクの高い行為であります。こうしたことに関して、ちゃんと感染対策を行わないでやっていくと当然感染してしまいますので、これに関してはいかに避けるかということが重要かと思っています。
また、私達気にしているのは、いわゆる病院で勤めている、医療の現場にいるということもありますので、医療機関あるいは高齢者施設の状況でありますけども、実際にこうした施設で職員や患者さん、そしてデイサービス等で利用される方は、この感染が多発しています。こうした院内感染あるいは施設内感染が増えますと、その病院そのものの医療提供体制はガクっと低下します。それだけではなくて、残念ながら重症の方ですとか、亡くなる方も出てきます。周りの医療、あるいは介護のシステムにも、影響が出るということがございますので、いかに広げないかということが非常に重要だと思っています。
また、広がりに関してなんですけども、都内の保健所、モニタリング会議では順に数を申し上げましたが、ただ一番大事なのは都内の全域で広がってるってことなんですね。あの大きな区だけではないというところです。地図を見ていただければ、もう赤だ黄色だ紫だと色がついてるとお分かりいただけると思います。そして、感染の場は様々でありますので、日常生活の中で感染するリスクはどこにいても高まっているということは言えると思います。繰り返し注意が必要です。
また、いわゆる#7119、発熱相談、この件数を報告してきています。今回は前回が60.1件から67.9件ということでした。この動きは、今までの動きとは少し違っているなと思って見ているんですが、大きく動きがあるのは、都の発熱相談センターの相談件数です。これが7日平均で見ますと12月の初旬に2日の時点でやっぱ1004件だと。
それが27日(日曜日)時点では約1543件ということで、約1.5倍に上がってます。ということで、発熱されてそして相談される方が、都民の方ですけど、増えてると。我々としては、この様子に関しては注視していますし、必要に応じて相談体制を強化していくことも必要と考えています。 私達の話になりますけども、実際に熱が出てどうしよう、どうしたらいいかっていう、確かに問い合わせの電話等が増えておりまして、どこに受診すればいいかわからない方は、この発熱相談センターにご連絡されることを私もおすすめしたいと思います。
また接触歴等不明の方が端的には増えてます。7日間平均でみていきますと、前回は363人、今回は約476人なんですね。実はこれまでの最大値であります。増加比で見ていきますと、前回と比較し約134%ということです。高い水準のまま動いています。さらに増加することに関して厳重に警戒していく必要があると考えています。また新規の陽性の方で、接触歴等不明者の方の割合は約62%なんですけども、これも上がってきているというところがあります。特に20代から60代、この方々で接触歴等の不明の方の割合が50%を超えていると。非常にこの世代というのは外で仕事をする社会活動が活発な世代であるわけですけども、彼らのその活動が活発化していることを反映していると思ってみていますし、数もこれだけいらっしゃいますので、その結果、感染経路が不明になっている可能性があると考えております。
ということで、感染の状況としましては、先ほど知事もおっしゃいましたけれども、本当に経験したことのない状況だと思っていますし、これから非常にこわい状況といいますか、を迎えていると思います。この寒さは非常に脅威でありますし、イギリス、南ア(南アフリカ共和国)から入ってきてる可能性のある変異株が、どういう振る舞いをするのかといったところは本当に心配してるところです。そういう意味では、私たち現場のいる者としては非常に身構えてますし、心持ちとして私は4月と同じような心境でおるというのが、すいませんちょっと離れた話になりますが正直なところでございます。以上です。

【事務方】ありがとうございました。続きまして、猪口先生よろしくお願いいたします。

【猪口委員】医療提供体制について説明させていただきます。総括コメントとしては、「体制が逼迫していると思われる」ということで、入院患者数は2000人を超える非常に高い水準、実際には2200人を超えています。医療提供体制が逼迫し、危機的な状況に直面している。このまま、新規陽性者数が増加していきますと、重症患者数の増加は防ぐことができません。是非、この増加を防ぐことが最も重要であると思われます。
PCR検査等の検査の陽性率ですけれども、前回の7.3%から8.4%と連続して増加しております。7日間平均の検査等の人数は、7818人から8085人と8000人を超えております。このPCRの陽性率の増加に関しましては、まだ分析がきちんと進んでおりませんけれども、きちんと検査が届いているのかっていうことも心配ですし、それからそれ以外の要素もあるのではないかなということで、今後分析していくことが大事だと思います。
救急医療の東京ルールの適用件数です。7日間平均で前回は55.4件、今回は60.9件と増加しました。12月3日(木曜日)の39.1件から約4割も増加しております。これは、救急が混乱しているかどうかということが非常に問題となっておると思います。しっかり注視していく必要があります。
入院患者数です。12月29日(火曜日)時点の入院患者数は増加傾向が続き、前回の2103人から2274人と増加しました。今週、入院患者数は非常に高い水準でありまして、医療提供体制が逼迫し、危機的な状況に直面しております。大曲先生の方からもお話がありましたが、この増加比が2週間連続すると、1日当たりの患者さんは1136人と1.5倍になります。このまま2週間続きますと、その入院患者さんが4000人を超えていく事態になる可能性もあります。直ちに強い対策を実行する必要があると考えます。都では、レベル3の1、重症患者用病床250床、それから中等症病床を3750床の病床の確保を医療機関に要請して、約3500床のうち、都立・公社病院で1110床確保しております。また、都はすでに依頼している都立・公社病院に加えまして、その他の感染症指定医療機関8病院に対し、中等症等病床の倍増、約70床を依頼しております。
保健所からの入院調整本部への依頼件数は、新規陽性者数の増加にともない、1日当たり150件を超える非常に高い水準で推移しており、医療機関の受け入れ体制は逼迫しております。
入院患者の年代別の割合はですね、60代以上が全体の6割を占めてます。12月以降では80代の割合が増加してきました。検査陽性者の全療養者数は増加傾向が続き、12月29日(火曜日)時点で7652人と大幅に増加しております。内訳は入院患者が2274人。宿泊療養患者が宿泊療養者が1118人、それから自宅療養者が2768人、調整中として自宅におられる方が1492人という具合であります。自宅療養者の急激な増加に伴いまして、健康観察を行う保健所業務が急増しております。これに対して、都は、自宅療養者のコールセンターによる健康相談を都内全域に拡大するなどフォローアップ体制の充実を図っています。保健所と共同して、東京iCDCのタスクフォースにおいて整備した入院判断フローを改訂して、基礎疾患がない70歳未満の方も宿泊療養を可能といたしました。
重症患者数です。前回の69人から84人に増加しました。12月28日(月曜日)時点で集中的な管理を行っている重症患者に準ずる患者は、人工呼吸器またはECOMの治療がまもなく必要となる可能性の高い状態の患者98人、離脱後の不安定な状態の患者34人という具合です。
新規陽性者数の増加、これが128%ですけども、このまま推移すれば、2週間後、1月13日までに新たに発生する重症患者数は約143人となります。新規陽性者として約1%の方が重症化するという、そういう同様の状態であればですね、そのような数になります。重症用病床の不足が顕在してくる可能性がございます。
12月29日(火曜日)時点の重症患者数は84人で、30代が1人、40代が4人、50代が8人と、少ないわけですけれども、60代は24人、70代は32人、80代が14人、70代以上特に60代以上が目立っておりますが、30代も1人、40代に4人ということは忘れてはならないことだろうと思います。
今週報告された死亡者数は46人であり、そのうち70代以上の死亡者が42人でした。前々週の21人、前週の29人から大幅に増加しております。
新規重症者数の7日間平均は1日当たり6.3人から7.1人と増加しております。新規陽性者数は週当たり約50人と高い水準になっており、12月24日(木曜日)は、1日で、新規の人工呼吸器を装着した患者さんが15人にも上りました。例年、冬季は、脳卒中・心筋梗塞など入院患者さん増加する時期であります。現状の患者動向が継続すれば、新型コロナウイルス感染症の重症者だけでなく、これ重症患者さんは今言った脳卒中と心筋梗塞の患者さんとベッドは取り合いになる訳ですね。ですから、こういった心筋梗塞・脳卒中の病気と重症患者の受け入れが困難になる可能性があります。多くの命が失われる可能性がありますので気を付けなくてはいけない。何とか今までやりくりをしてきたところなんですが、ちょっとやりくりが難しくなってきて、局所局所によっては、もしかして時間をかけなくちゃいけない状況になっているかも知れない。で、2週間このまま発生増加率が続きますと、非常に医療提供体制は危機的な状況になるということが考えられます。
以上であります。

【事務方】ありがとうございました。続きまして、賀来先生よろしくお願いいたします。

【賀来座長】東京iCDC専門家ボード座長の賀来でございます。私の方からは3点、お伝えをいたしたいと思います。
まず、都知事が先ほども懸念をされておりました、英国及び南アフリカ共和国で流行している変異株であります。早速12月28日(月曜日)に、この微生物のこのゲノム解析、遺伝子解析に関する検討チームを立ち上げました。私ももちろん含めますけれども、チームリーダーは、東京大学医科学研究所の河岡先生にお願いをいたしました。国立感染症研究所のボードメンバーも入っております。それと、東京都健康安全研究センター、そして東京都医学総合研究所の先生にも入っていただいて、早速様々な議論を重ねております。東京都健康安全研究センターでは、もうすでに遺伝子解析を始めております。12月27日(日曜日)以前の検体120検体を検討しましたが、それでは変異株は検出されておりません。また12月28日(月曜日)の8検体、12月29日(火曜日)の50検体も検討していますが、これでもまだ変異株は今のところは検出されておりません。また現在、東京都では民間の検査センターに、検査そこで受けておられる方もおられますけれども、そこから1週間に200検体から250検体ほど曜日を決めて、国立感染症研究所の方とも協力して、そこでゲノム解析を行うことになっております。この年末、それから年始にかけて、様々なデータが出てくると思います。そういった状況を見ながら、都知事にもお話をさせていただいて、これは本当に広がってくると、非常にイギリスでも、南アフリカでもかなり防ぎにくいということがわかってきていますので、そのことをしっかりと、東京iCDCでしっかりと解析をしていくということを今、行っております。また、データが出ましたら、その都度、都知事にご報告をし、また皆さん方にもご報告出来ると思います。東京大学医科学研究所で9月から12月29日(火曜日)まで73検体の検疫でのいわゆるサンプルですね、そういったもので解析されていますけども、これでも今のところ変異株は出ていないということでございます。ですから、まだはっきりわかりませんけれども、今後、急速に拡大していく可能性は否定できないので、しっかりと東京iCDCの専門家ボード、これは様々なチームが今、加わって対応していますけども、そのチームで解析をこれからもしていきたいと思っております。
また、東京iCDCの感染制御チームからは、もうすでにご存知の通り、年末年始に関して都民の方へのメッセージを出させていただきました。いつもと違う年末年始の5つの約束、「いつも一緒にいる人と過ごしてください」、「人の多いところに出かけないでください」、「常にマスクを忘れないで」、「常に手洗いを行ってください」、「常に換気をしてください」、というようなことでありますが、もちろんこれ以外の様々なメッセージも僕ら、都民の方にお送りをし、ぜひ都知事が今、強調されたように、この年末年始、しっかりと個人個人が感染対策を取っていただく。このことは、先ほど大曲先生、猪口先生からもご報告ありましたように、やはり家庭内感染というのは、結果であります。そこに持ち込んで家庭内感染が起こってくるということですので、それをできるだけ防いでいただきたいということで、初詣のことについても、色んなメッセージを出しているところであります。
また3点目でありますけれども、その感染制御ボードで、これはこういう冊子ですね。実際にはB6判でもっと小さくコンパクトな形で、しっかりとわかりやすく都民の方に感染予防のハンドブックを作成し、実際にはもうすでにホームページでも公開しております。さらに、印刷なども含めてこれから対応していくということと、それに合わせて現在、自宅での感染、いわゆる家庭内感染が非常に多くなっています。家庭で療養するときの、どういうふうな注意が必要なのか。感染を受けたご本人、そして感染を介護する家族の方々向けのわかりやすいパンフレットも今、作成しておりますので、これも出来上がり次第、早速、都民の方に提供していきたいと思っております。
以上、東京iCDCの専門家ボード、今7チーム立ち上がってきていますが、もう1チーム、また改めて人材育成のチームを立ち上げる予定になっております。またいろんな経緯について、ご報告を申し上げたいと思います。以上です。

【事務方】ありがとうございました。それでは、これより質疑に入ります。知事から指名をさせていただきますので、社名と名前を名乗ってからご質問をお願いいたします。

質疑応答

【記者】テレビ東京の吉田です。よろしくお願いします。感染拡大が抑えられなければ緊急事態宣言の発出を要請するとありました。どのくらいの感染者数または入院患者数になると要請するのかということとですね、またもし発出された場合は生活に必要な業種以外は休業要請されることになるのか、お考えをお聞かせください。

【知事】はい。私の方からお答えさせていただきます。まさに、これは都として決めなければならないことでありますし、また国にそれを要請するということになろうかと思います。感染拡大防止対策の実効性の確保に向けて休業要請を行うことになるわけでありますけれども、もちろんそれに対しては経済的な支援措置の明記など、特措法とのどれぐらいのスピードで、どうなるのかにもかかってくるかと思います。そしてまた、これまでのこの特措法っていうのは、結局、今でもお願いベースでありますけれども、29条4項(正しくは24条9項)の形で進めている場合と、それから緊急事態の宣言が行われた場合、ビフォーとアフターではやり方が違ってくるわけです。そういったことなども含めながら考えていかなければなりません。
そして、その感染の、今それが必要なのかどうなのかという判断は、その後するわけでありますけれども、しかし、そのためにもこの年末年始の体制について、皆様方へ強くお願いをしているところであります。
そして、やはり事態は、今、実際に現実問題として、毎日、数百、時には1000近くまで感染者数が出ているわけであり、実際に病床については、かなりの期間、破綻という言葉は、今日は猪口先生もお使いになりました。そういったことなどの状況を考えて、総合的な判断が必要になるかと思います。
いずれにしましても、そうならないために皆さんのご協力をお願いしているというのが、今日の時点であります。それから先ほど、賀来先生の方からお話がありましたように、東京iCDCと関連する皆様方のご協力を得て、新しいこの変異種がどういうものであって、その分析を、ゲノム解析などもお願いをしているわけでありますが、今、例えばイギリスでは、これが解析、発見、発見っていうのでしょうか、研究されてきて、分かったわけでありますけど、イギリスも昨日、28日(月曜日)で感染者数が4万件、そしてそれが、29日(火曜日)で5万3000人、1日で、4万人から5万3000人に増えているっていうのは、ちょっとこれは、それこそ賀来先生に伺いたいところですが、イギリスの専門家によると、これは極めて危険な新段階に突入していると。強い感染力が過去に効果があった対策では効かないということを意味するとおっしゃっておられます。それがために、今回、このような形で年末年始、皆さんにご協力お願すると同時に、解析の方をしっかりしていただくことで、この新しい状況に備えるということからも、皆さんの強いご協力をお願いしているところです。

【記者】テレビ朝日の鈴木です。よろしくお願いします。2点、お伺いします。今のご発言にも特措法の改正のスピードにかかることということもありましたが、以前から特措法の改正ですとか、水際対策については国に対して繰り返しの要請をされてるかと思うんですが、その中で国との調整状況ですとか、情報共有ですとか、今の連携の状況について教えてください。

【知事】これについてはそれぞれ各党、各会派が国会において、色々と議論されていることかと存じます。都として特措法を改正する場合は、こういったところを強調してほしいなど、西村担当大臣をはじめ、感染症法については、これは厚労大臣になるわけでありますが、これまで様々要望については既にお伝えしております。
また先ほども菅総理とも電話で連絡をいたしまして、これから年末年始、改めて強く、都として都民に呼びかけをする。そしてまた、緊急事態宣言うんぬんにならないための処置を図ると、進めるという旨についてもお伝えをしたところであります。国と連携しながら、実効性のある、そして必要な、さらには危機管理がしっかりとできる、そのような特措法にしていただきたいということ、お願いしているところです。

【記者】すいません。もう1点、すいません、賀来先生にお伺いします。変異種についてなんですが、国の感染研でも分析をされて、さらには健安研でも研究されて、さらに加えて、今回iCDCの方で検討チームを立ち上げたということですが、それぞれの役割分担といいますか、違いと、今後どういうふうにして連携していかれるのか、教えてください。

【賀来座長】ありがとうございます。国立感染症研究所では、全国の様々な株がゲノム解析を行われております。そういう意味で、東京都も民間のセンターからの株のゲノム解析をお願いするということになります。東京都の健康安全研究センターでは、当然、東京都内の様々な検体を取り扱っておりますので、このチームの中ではそういったものを共同で情報共有していく。いわゆる国立感染症研究所である程度変異などが見つかった場合は速やかにこちらに情報を提供していただく。また、都の健康安全研究センターで、そういった変異株が見つかりましたら、それはまた都の方から国の方にしっかりと情報を提供していく。既に都知事が28日(月曜日)付で国に対して、しっかりとこのゲノム解析での対応をしっかり行っていただきたい、あるいは、そういったものをしっかりと、都でも対応していくというようなことを言われておりますので、いわゆる東京iCDCというのは本当に専門家ボードと国立感染研の合同メンバーもおります。あるいは、東大医科研の先生もいます。様々な専門家が集まっておりますので、先日、ウェブ会議で様々な検討を行ったんですけども、そういうふうに集まってきたものを、情報をとにかく共有して、それを皆さんにフィードバックしていくような形になっておりますので、役割分担としては非常にうまくいっているのではないかと思います。

【記者】ありがとうございます。

【記者】TOKYO MXテレビの相模と申します。大曲先生にお伺いしたいんですけれども、今日のモニタリング会議の総括コメントの中で、より強い対策を直ちに実行する必要があると、あるんですけれども、こちら具体的にはどういった対策を想定されてるんでしょうか。

【大曲委員】これは、都のレベルになれば、またそれはそれで議論があると思うんですけれども、僕はそこに関わる立場ではないので、ただ今日の知事のお話からもありましたし、私たちのコメントでもありましたけども、例えば一つあるのは、今、比較的言われているのは会食のリスクということで非常に言われているわけですよね。本当にそこでマスクもしないで長時間でってことをやってると感染するリスクが本当に高いです。それは、こうした研究的な事実でもそうですし、私レベルの身近な状況でもそれはすごくよく分かります。ですので、まずはそこを呼びかけたいというところはあると思います。ただ、なかなかに、何て言うんでしょう、ここから先は私の意見となりますけども、先ほど知事もおっしゃったんですけども、ただなかなかそれが何でしょう、人が集まってしまうがゆえに、どうしても気が抜けてしまうとかっていうことも現実にあるんだろうと思います。
ということは、それを一歩手前からもう避けるということであれば、先ほどお話出ましたけれども、もう忘年会の季節は過ぎましたが、新年会はしないですとか、年末年始は自分の経験でも分かりますけども、やっぱり古い仲間と会ったりして会食をしたりということは多々あり得たわけです、昨年までは。ただ今はもうそういう時期ではないだろうと、とてもとても未曾有の大流行の中で、それやることの意味がどれぐらいあるかというのは疑問ですし、危ないと、実際、思いますので、そうしたところを避けていく、といったところでしょうし、今できることとしては、知事から人流を減らすというお話がありましたけども、現状できることとしては、都としては、やはり出勤する方の数を減らす。たまたま今は休みで、こういう時期なので、なるべく出かけないようにするですとか、あるいは年明けになると、学校はどうするんだって話になったときに、この時期なので、やっぱり対面というのは厳しいんじゃなかろうかと、例えばオンラインで授業するですとか、といったところを考えられるかと思います。そうしたところではないかと思いました。

【事務方】最後の質問とさせていただきます。

【記者】毎日新聞の斎川です。現在行っている時短要請の関係なんですけれども、ちょうど、1か月程度経ちまして、なかなか感染者が減っていない中で、今後、その時短の範囲をより短くするですとか、時短の期間や業種をさらに拡大延長するなどのお考えがあるかどうか、知事にお尋ねします。

【知事】はい。会食が、この感染拡大の率が高いということは、かねてから色々なエビデンスが出ているところであります。そして、それを家に持ち帰ることによって、家庭内感染が広がっているという、そういうサイクルについては、もう何度も申し上げているところであります。では、時短について、どうかということですが、その実効性を確保しなければ意味がないわけであります。そういう意味で、この時短そのものが全てを解決するということではなく、今日は申し上げているのは新しい局面になると、これは「人の流れそのものを抑えなければなりませんよ」という側面の違い、変化を申し上げているわけでございますので、その辺り時短だけで片付くというものではないと。さらに強い対応をしなければならなくなるので、この年末年始ということの行動について皆様方にお願いをしているところであります。以上です。じゃあ。

【記者】朝日新聞の荻原と申します。すみません。知事と賀来先生に1点ずつお伺いをしたいんですけれども、今の知事からさらに強い対応しなければならないということで、お願いの話がありましたけれども、なかなか今までもお願いという意味では非常に強くお願いをされてきたと思うんですけれども、その中での感染拡大ということで、改めてもう少し踏み込んだ具体策というのをお考えでしたらお聞かせくださいっていうのが、知事への質問で、もう一つ、賀来先生にお伺いをさせていただきたいのが、先ほどの変異種のお話がありましたけれども、28日(月曜日)以前の検体を調べても、今のところ変異種は確認されていなかったという話なんですが、一方ですごく都内での感染の勢い、感染者の確認が増えていまして、こういう中で、現状、確認されていないっていう、この結果をどういうふうに見たら良いのかという、都内でも変異種の存在について、現状でちょっと伺いできたらと思います。

【賀来座長】私の方からお答えします。先ほど申し上げました健康安全研究センターの中で、27日(日曜日)以前の株はもちろん調べられていますけども、これは全ての株を調べているわけではありません。ですから、今おっしゃったように都内で、既に英国の流行株が確認されているということについては、今後、ボード、それで新しい検討チームを立ち上げて、とにかくできるだけ多い検体を集めて防いでいこう、そして見ていこう。ただこれはマンパワーも、そういった、いわゆる色々な機器のことも、必ずしも制限はありますので、その中で最大限効果的に調べる方法を含めて、例えば国立感染症研究所、そして健安研、東大医科研を含めた、あるいはそれ以外のチームのメンバーも、大学の先生方も参加してますので、できるだけ都内の検体を多く検査していきたいと思っています。まだ十分ではないというのは当然認識しております。

【知事】はい。皆さんには4月の緊急事態宣言のときからもずっとお願いを続けてまいりました。そして色々なエビデンスなどが揃ってきて、また業種、業界側の方もガイドラインを整えられたということで、あとはそれをいかに実行していくか、確立していくかのところだと思います。ずっとお願いもしてきました。ある意味、コロナ自粛疲れとおっしゃっている方もおられますし、我々は結局、色々な情報があふれる中で、若いのは大丈夫だということで、そのような思いっていうか、そういう若い方々もおられる。
一方で、とても毎日消毒液など、ジェルなどを持ち歩いているような方もいらっしゃいます。本当にここは、特にこの年末年始というのは、特殊な時期でもございますので、これを好機として捉えて、ここで皆さんとともにこのような状況を脱出するための分水嶺にしていく。そんな意味で心合わせしていきたいと思っています。心とか、自粛とか、よろしくとかいうのを超えて、ただ必要なのは、やはり法律的な根拠ということにもなってきますでしょうから、その意味では特措法の、そもそも国では、新型コロナウイルス特措法(正しくは、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」)っていう名前が示すとおり、古いそのままの使っているわけでございますので、これだけ知見も重なり、またその対策も積み重ねてきているわけでありますので、しっかりとした特措法をつくっていただきたい。目の前のことだけではなくて、きちんと大きく捉えた形での特措法にしていただきたいということに尽きるかと思います。
以上です。ありがとうございました。

※テキスト版については、読みやすさを考慮し、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどの整理や補足説明をしています。

(テキスト版文責 政策企画局政策調整部政策調整課)

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