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令和8年第三回都議会定例会 知事所信表明

更新日

令和8年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。

名誉都民である美輪明宏さんが去る6月に、室井摩耶子さん、加藤一冑さんが7月に、草間彌生さんが8月に逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。

1 はじめに

知事就任から10年。コロナ禍を経て、婚姻数、出生数が増加に転じました。「人」を中心とした数々の政策は都民の共感を呼び、国をも動かしています。一方、複雑に絡み合う国際情勢の下、エネルギー、資源の確保は不安定なままです。さらに、国内外における自然災害の激甚化、頻発化は極めて深刻であります。熊本地震、千葉豪雨など、各地に甚大な被害をもたらしました。亡くなられた方々に深く哀悼の意を表し、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
また、30年ぶりに日本の長期金利が3%を超えました。利上げペースの加速と共に経済環境は激変しております。
10年前、私は所信表明でAIについて触れました。昨今の驚異的なAIの進化は、人類の様々な活動に変化をもたらしています。
私たちを取り巻くあらゆる環境の激変、それはすなわち、従来の延長線上の施策だけでは対応できないことを意味しております。想像を超える変化の荒波を捉え、成長に繋げられるか。我が国全体が問われております。
その答えを導き出すのは、首都東京の役割です。東京が持つ強みを戦略的に活用し、国と連携して日本の成長を牽引いたします。また、DX、AXや規制改革を強力に進めることで、成長を確かなものとし、日本全体を輝かせてまいります。
危機感を原動力に現状を打破し、東京をその先の高みに導くことこそ、我が国の成長に不可欠であります。首都強靭化やエネルギー構造の転換など先駆的施策を展開し、「世界で一番の都市・東京」を実現してまいります。

2 あらゆる危機から都民を守る、強靭で持続可能な都市を創造する

災害対応力を高め、都市のレジリエンスを磨き上げる

熊本地震、千葉豪雨では、都は発災直後から、連絡調整要員の派遣や、都営住宅への被災者の受入れを行っております。また熊本県には、避難所運営支援や暑熱対策に資するスタートアップ製品、液体ミルクの提供など、被災自治体のニーズを踏まえた迅速かつ的確な支援を講じております。今後も被災者に寄り添い、きめ細かな対応を続けてまいります。
熊本地震では、避難生活上の暑さ対策やトイレをはじめとした衛生環境の確保、千葉豪雨では、帰宅困難者対策やアンダーパスの危険性などの課題が浮き彫りとなっております。先月は都内でも震度5弱を観測し、漏水等が発生いたしました。この間、災害時の情報提供の重要性も改めて認識したところであります。一連の災害を踏まえまして、都の防災対策の総点検を実施しており、ハード・ソフトの両面から取組をさらに強化してまいります。
災害時の停電対策として有効な無電柱化を進めます。八丈島では、7月から掘削によらない新たな整備手法に着手しており、課題であるコストと工期の縮減を図ります。6月に公表した新たな無電柱化計画の下、来月施行する宅地開発の無電柱化条例と併せて、取組を加速させます。
この夏は、伊豆諸島をはじめ全国各地でレベル5特別警報が、また善福寺川等でもレベル4氾濫危険警報が度々発表されました。風水害対策はまさに喫緊の課題であります。今週末にも台風25号による警報級の大雨が予測されています。神田川などにおきましては、今年度改定する河川整備計画に新たな調節池や地下河川を盛り込むほか、渋谷川・古川では新たな分水路の事業化に向けた検討を進めます。また、東部低地帯の河川におきましては、10年以上進めてきた水門など22施設全ての耐震化・耐水化が今年度中に完了し、津波・高潮対策が強化されます。東京港では、防潮堤の嵩上げやトンネルの冠水対策によりまして、風水害への備えを強力に進めてまいります。

多様化するリスクを踏まえ、首都東京の強靭化をアップグレード

都は、首都機能のバックアップを担う立川広域防災基地に新たな防災拠点を整備するなど、レジリエンスの向上に着実に取り組んでまいりました。その上で、さらなる強靭化を図ります。災害級の暑さやエネルギー情勢を踏まえまして、避難所や帰宅困難時の一時滞在施設となる都有施設の断熱化や太陽光発電・蓄電池の設置を加速しまして、強靭化と脱炭素化を両立させてまいります。首都東京を守る海岸保全施設につきましては、発災時の施設点検や被害状況の把握を少人数で迅速に行えますよう、AIが操船を支援するシステムを、都の船舶に導入いたします。
都が積み重ねてきた取組は、想定被害の大幅な減少など、首都東京のレジリエンスを着実に高めております。一方、気候変動により激甚化・頻発化する風水害をはじめ、厳しさを増す暑さや高速化・巧妙化するサイバー攻撃など、都を取り巻くリスクは深刻化・多様化しております。自然災害への対応力を一層高めるとともに、顕在化している危機として、暑さやサイバー攻撃への対策を強化し、TOKYO強靭化プロジェクトをさらにアップグレードしてまいります。都民の命と暮らしを守る「首都防衛」、それは東京のみならず、首都圏全体が共に連携し、レジリエンスを高めていく必要があります。我が国全体のレジリエンスにも直結しております。東京はその牽引役として、首都の責務を果たしてまいります。

エネルギー構造の転換を進め、持続可能性を高める

中東情勢の影響が長引く中で、エネルギー構造の転換を進め、持続可能性を高めてまいります。気候危機への対応とエネルギー安全保障の両面で切り札となるのが水素であります。来月開催する水素の国際会議HENCA Tokyoでは、国内外の企業やスタートアップ、自治体の取組を発信する展示会を初めて開催いたします。この成果を山梨県の国際会議でも発信をし、水素活用の具体的な行動に繋げてまいります。また、脱炭素施策を牽引する全国初の取組として、大規模建築物の建設から解体までに発生をするCO2の算定を義務化しまして、内容を評価・公表することでその抑制を図ってまいります。そして来月のTIME TO ACTフォーラムでは、再エネの拡充や東京クールビズの取組を発信し、世界の脱炭素化を東京から加速させてまいります。
身近にある資源の有効活用を進めてまいります。CO2を廃棄物ではなく、建築資材などの資源として再利用するカーボンリサイクルにつきまして、回収・利活用に向けたサプライチェーンづくりを新たに開始いたします。東京油田・東京鉱山の取組もさらに推し進め、集積するストックを最大限活用する大都市ならではのモデルケースを構築いたします。

3 東京・日本の持続的な成長を実現する

世界の潮流を捉えた先駆的施策で、持続的な成長を実現いたします。

AXにより、東京の成長に向けた道筋を描く

AIによる変革、AXを強力に進め、東京・日本のポテンシャルを高めてまいります。フィジカルAIについて、日本の強みを活かし、研究から実装までを一体的に支援し、あらゆる分野での活用に繋げます。都民と都政を繋ぐ東京アプリはダウンロード数700万件を突破いたしました。7月からは対面サポートを開始し、きめ細かな支援を行っております。今後はAIによる行政手続の案内やアプリでの申請手続も見据えまして、さらなるQOS向上を図ってまいります。7月にTIBで開催したイベントでは、石川県、山梨県、広島県、香川県の各知事と、自治体のDX・AXについて最新の取組や課題、連携のあり方など議論を深めました。東京の知見の共有や各地の連携も牽引し、全国のAX実現に貢献をいたします。そして、来年のSusHi Tech Tokyoにおきましては、国内外のトッププレイヤーと共にAX時代の都市の未来や、人間とAIの関係性のあり方を世界に発信してまいります。データセンターは、AIやデジタルを活用する上で不可欠なインフラであります。地域や環境に配慮した施設の認定を進めるとともに、省エネ効果の高い冷却設備の導入や排熱を有効活用できる技術の支援など、環境負荷の低減と地域共生の両立を図ってまいります。

東京の強みや魅力を世界に発信し、都市の成長に繋げる

東京のさらなる成長に向け、戦略的に投資を呼び込みます。7月のニューヨーク出張では国際金融イベントに登壇いたしまして、気候変動対策をはじめ都の先進的な取組や、強靭な都市基盤など投資先としての魅力を発信いたしました。東京に高い関心が寄せられるとともに、海外投資家等とのネットワーク強化に繋がりました。12月には、世界的な金融メディアによるイベントが東京で開催され、国内外から著名な投資家等が招聘されます。東京の投資機会を世界に発信することで、金融ビジネスの呼び込みに繋げてまいります。物価上昇や円安など景気動向が不透明な中、日本のみならず欧米におきましても金利上昇は加速しております。そして、つい先ほどですけれども、日銀も利上げペースを加速しまして、政策金利が1.25%引き上げられたところであります。世界的に環境変化が激しいからこそ、企業の資金繰りや適切な価格転嫁の支援等、経営安定化に向けました取組も着実に行う。そのことで成長のモメンタム、勢いを活かし、金融・経済都市としての東京の存在感、一層高めてまいります。
世界の都市間連携をリードいたしまして、課題解決を進めてまいります。私が議長を務めておりますOECDチャンピオン・メイヤーズにつきまして、来年の東京総会開催を目指してまいります。都市課題の解決策に出会える国際拠点としての地位を確立してまいります。昨年都が発行しましたレジリエンスボンドは投資家から大きな関心が寄せられております。そこで、世界のレジリエンス強化を加速するため、様々な危機に適応した、自治体や企業等の資金調達に活用できる共通原則を策定しまして、国内外への浸透を図ってまいります。

真に必要なのは、成長の障壁となる「仕組み」の見直しだ

激変の時代、東京・日本の成長を確かなものとする鍵、それは躊躇なき規制改革であります。とりわけ、場所だけを理由とする不合理な23区の大学定員規制は、多くの大学や若者から懸念の声が寄せられています。若者の将来や国の成長戦略の足枷となるこの規制は、一刻も早く撤廃すべきであります。また、東京から何かを取れば物事が解決するという安易な発想からの脱却こそ、日本の成長に不可欠であります。都の財源を狙い打ちにした地方税制度の不合理な見直しについては断固として反対であります。税収の水平調整では地方は豊かになりません。自治体独自の取組と成長を後押しできるよう、地方交付税制度の大胆かつ前向きな見直しを進めるべきであります。地方全体、ひいては日本の成長に向け、地方交付税制度を含む地方税財政制度全体の抜本的な見直しを、あらゆる場面で国に働きかけてまいります。

4 多彩な魅力を磨き上げ、成長と成熟が両立した都市を構築する

東京の魅力を高め、成長と成熟が両立した都市を構築いたします。

世界を惹きつける観光都市を確立する

世界最高の観光都市・東京の魅力をさらに磨き上げるとともに、持続可能な受入環境の整備を進めます。都は、世界の都市総合力ランキングでナイトライフ充実度1位を獲得。都庁舎のプロジェクションマッピングは、これまでに延べ160万人以上が観覧しています。今年度は、若洲海浜公園におきましてゴルフリンクスのナイター利用の試行を進めておりまして、今週から本格利用に向けた取組を開始いたしました。今後も、日中とは趣の異なる様々な夜の楽しみを提供してまいります。
訪都外国人旅行者数は3年連続で過去最多を更新をし、昨年は2865万人が訪れました。持続可能な観光の発展には、地域生活との調和が重要でございます。観光地や繁華街ではごみのポイ捨てが問題となっています。都は、区市町村や事業者と連携しまして、オール東京でまちを綺麗にする呼びかけを行うとともに、スマートごみ箱の設置等を支援しています。さらに、専門家等を交えまして、清潔で快適な都市環境を維持するため、そのための実効性のある対策について、条例化を含め検討してまいります。多くの外国人旅行者に利用されている民泊については、騒音など近隣住民とのトラブルが課題となっております。来月から区市や関係機関と連携しまして、運営ルールに関する啓発や指導等を集中的に行います。

芸術・スポーツの力で東京をさらに輝かせる

世界中で分断が起こり、自然災害が猛威を振るう中でも、芸術やスポーツには人の心を癒やし、繋ぐ力があります。来月はいよいよ、二大アートフェスティバルの幕開けであります。国際美術展「TOKYO ATLAS」では、草間彌生さんをはじめ世界的なアーティストの作品が、東京の新たな風景を描きます。国際文化芸術祭「ARTE TOKYO」は、多彩な文化芸術を結び、秋から冬の東京を一つの芸術祭として彩ります。銀座を走るかつての高速道路、KK線でもアートイベントを実施するなど、東京に新たな価値を生み出してまいります。東京から発信される魅力を多くの人々に届け、世界の芸術都市としてプレゼンスを高めてまいります。
そして、明日開幕する愛知・名古屋2026アジア競技大会でありますが、水泳など一部の競技が都内で実施されます。選手が自らの可能性を信じて挑み続けるその姿は、人々に大きな感動と活力を与えます。子供たちを会場に招待しまして、その迫力を間近で体感してもらうとともに、都庁舎ではパブリックビューイングを行います。先月、ロサンゼルスパラリンピックの出場に繋がる二つの国際大会の東京開催が決定をいたしました。開催から5年の節目を迎えた東京2020パラリンピックのレガシーも活かしまして、大会を盛り上げてまいります。2年後に控えるオリンピックQシリーズや、2030年の女子バスケットボールワールドカップなど、スポーツから生まれる感動やレガシーを力に、東京をさらに輝かせてまいります。

安心で住みやすい都市を構築する

都の住生活を取り巻く環境、それは空き家や単身高齢者の増加など、世代に応じまして様々な課題が山積しております。高齢者が住み慣れた地域で、いきいきと暮らせる環境を整えるため、安全・安心の確保に加え、コミュニティ形成にも配慮された高齢者いきいき住宅認定制度を先月から開始しております。また、新たな住宅マスタープランの年度内の策定に向けまして、今般、都の考え方を公表いたしました。誰もがライフステージや暮らし方に応じて住まいを選び、「安心して住み続けられる東京」の実現を目指し、引き続き検討を深めてまいります。さらに、「都市づくりのグランドデザイン」は、中間のまとめに対する都民の皆様の意見も踏まえまして検討を進めており、時代の変化を見据えたまちづくりを推進してまいります。
日常の安心を確保いたします。クマ対策は、適切な管理に向けた計画を今年度中に策定し、狩猟を解禁するなど対応を強化いたします。また、スタートアップ技術の活用など、地元自治体と連携し、実効性のある対策を講じます。増大する救急需要には、来月に救急隊を増隊するほか、119番通報の際、AIにより緊急度が高い通報を優先して受け付ける仕組みの開発を進め、一人でも多くの命を救う体制を整備をいたします。
火葬については、先月、高市総理と面会をし、火葬場に係る課題に対応するため、法改正に向け連携していく旨の認識を共有いたしました。引き続き、有識者等による検討会の議論も踏まえながら、都民が安心できる火葬体制の確保に向けまして、区市町村と連携して取組を進めてまいります。

地域の魅力と憩いに溢れたまちづくりを進める

自然と調和した持続可能なまちづくりを推進いたします。雨水の貯留や暑熱緩和などの機能を持つグリーンインフラを、都は、都立公園や都民に身近な民間施設等へ導入を進めてまいりました。今年度は、多くの来訪者が見込める商業施設にも導入し、さらなる普及を図ります。東京の緑のあるべき姿を示す「緑の広域計画」は、策定に向けた中間のまとめを7月に公表いたしました。都民の皆様の意見を踏まえ、年度内の策定を目指してまいります。東京の総面積の約36%が自然公園であります。「東京の自然公園ビジョン」、これは策定から10年を迎えます。社会状況が変化する中、豊かな自然を確実に次世代へ継承するため、今年度中に改訂いたしまして、生物多様性の危機への対応など施策の方向性を示してまいります。
多摩都市モノレール延伸の機会を捉えまして、多摩地域のブランド力を強化いたします。この秋から延伸部沿線におきまして、まちの魅力や将来イメージが体験できるプログラムを始動するとともに、武蔵村山市へのニューヨーク大学の誘致に向けた検討を進めてまいります。美しい海に囲まれた島しょ地域においては、その魅力を多くの方が楽しめますように、港湾や漁港施設の有効活用に取り組んでおります。海釣りや地元水産物の食体験など、地域資源を活かした賑わいを創出してまいります。

5 一人ひとりの真剣な「叶えたい」想いを全力で応援する

一人ひとりの「叶えたい」想いを支える取組を強力に進めます。

結婚や子育てに関する「不安」を「安心」に変えていく

結婚や子育ての不安を安心に変え、「叶えたい」を応援いたします。令和8年8月8日は「はちみつ結びの日」に開催いたしましたTOKYO結婚おうえんフェスタにおいて、過去最大規模となる約5万5千人が来場され、一人ひとりの真剣な「結婚したい」という想いが東京全体に溢れておりました。当日、都内で提出された婚姻届は7650件、令和7年7月7日の約2倍であります。国や自治体、企業とも連携しまして、東京からムーブメントを広げてまいります。今年度から助成対象を拡大した不妊治療費の助成は、来月から申請受付を開始いたします。また、育児と就労の両立に資する病児保育の充実に向けて、保護者の多様なニーズを踏まえた拡充策を検討しており、年度内に取りまとめた上で、今後の取組に反映してまいります。

一人ひとりが力を発揮し活力溢れる社会を築く

一人ひとりが力を発揮し、チャレンジできる環境を整えてまいります。人口の半分を占める女性は持続可能な成長を実現するゲームチェンジャーです。全国初の女性活躍推進条例や、改定した男女平等参画推進総合計画を具体的なアクションに繋げ、都内自治体や企業等との連携、普及啓発など、誰もが輝ける社会の実現に向けた取組をさらに加速してまいります。
活力に溢れた高齢者の存在は、社会全体の活性化に繋がります。シルバーパスを来月ICカード化し、利便性の向上を図り高齢者の社会参画を一層促進いたします。同じく来月に、高齢者の就業を支援するイベントを開催し、経験や意欲に応じて働ける機会を創出いたします。一方で、介護は超高齢社会が抱える重要な課題であります。今月、介護と仕事の両立を応援する相談窓口を新たに設置いたしました。悩みを抱える企業や働く人に寄り添いながら、介護離職の防止に繋げてまいります。

子供が安心して健やかに育つ環境を整える

未来の主役を担う子供が安心して育つ環境を整えることは、今を生きる私たちの責務であります。インターネット環境が劇的に変化し、SNSや生成AIは、学びを支えるツールであるとともに、子供の居場所の一つにもなっています。一方、使い過ぎや犯罪トラブルのリスクなど、負の側面も指摘されております。リテラシーの普及、啓発の強化等を通じまして、デジタルツールを安全・安心に使える環境を整備いたします。子供を性暴力から守る取組も喫緊の課題であります。子供を被害から守るだけではなく、加害者にしない視点も含め対策を進めます。家庭での養育が困難な子供につきまして、社会的養護のさらなる充実を図ります。児童福祉審議会の最終提言を踏まえまして、里親制度の周知のほか、家庭養育をバックアップする施設の機能拡充など、子供の最善の利益を実現する取組を検討してまいります。

社会の変化に対応した人材育成を進める

労働力人口が減少する中、インフラ整備や維持に携わる人材の確保に向けまして、事業者と連携し取組を進めます。バス運転士につきましては、工科高校の生徒に業界への就労意欲を高める取組を行うほか、女性のための職場環境整備の促進、バスの日イベントを通じた魅力発信を行います。建設業界とは、工科高校で、現場の第一線で活躍する人材が最新知識等を教えるカリキュラムを連携して実施し、即戦力の育成に取り組んでまいります。
都立高校の魅力向上につきましては、年内に公表する「都立高校改革構想」の中間まとめに向け、グローバル化やデジタル化に対応できる教育や、不登校など多様な生徒を支える仕組み、専門高校のあり方などの検討を加速してまいります。また、部活動強化プロジェクト対象校につきましては、希望する部活動に取り組める環境づくりを進めます。教員の働き方改革は、有識者会議におきまして、学校のマネジメント機能の強化など検討を進めており、その議論を踏まえまして、子供の成長を見守る教員を後押ししてまいります。

6 名誉都民の選定

このたび、名誉都民の候補者として、角野栄子さん、タモリさん、鳥原光憲さんの三名の方々を選定させていただきました。
角野栄子さんは、世代や国境を越えて親しまれる児童文学作品により、日本の児童文学の発展と国際的な評価の向上に大きく寄与されました。
タモリさんは、奥深い知識と独自の視点や話芸で存在感を発揮され、数多くのテレビ番組の顔として長年にわたり第一線で活躍されています。
鳥原光憲さんは、エネルギー業界の発展のみならず、東京2020パラリンピック開催やスポーツによる地域振興にも貢献されてこられました。
お三方につきまして、都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

7 おわりに

8月、ネパール・中国で発生した大規模な洪水、土石流に衝撃を受けまして、20年前に議論を呼んだ映画「不都合な真実」のシーンを思い出しました。元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏が主演し、アカデミー賞も受賞した作品です。その中で、突然熱湯を浴びたカエルは驚いて飛び出すが、徐々に水温が上がり熱湯になると、カエルは気づくことなく「ゆでガエル」になる描写があります。気候変動は将来の問題ではなく、既に進行している人類共通の危機だと訴え、このままでは「ゆでガエル」になると警告する内容、これは世界中で賛否両論、様々な議論を呼びました。
気候変動だけではありません。我が国を取り巻く状況は厳しさを増しております。少子高齢化、エネルギーの確保、脱炭素化、デジタル化の後れ。いずれも長年議論されてきた国家的な課題であります。
東京は、持続可能な未来を見据えながら、目の前の為すべきことに果敢に、そして全力で取り組みます。今後も、強い危機感の中にも明るい希望を抱きながら、我が国の成長を牽引する首都としての責務を果たしてまいります。

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、条例案11件、契約案18件など、合わせまして44件の議案を提案いたしております。どうぞよろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

以上をもちまして、私の所信表明を終わります。

記事ID:000-001-20260918-095797