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平成31年(2019年)1月25日更新

小池知事「知事の部屋」/記者会見(平成31年1月25日)

知事記者会見
2019年1月25日(金曜)
14時00分~14時51分

知事冒頭発言

1 平成31年度予算案等について

【知事】まずは、予算案がまとまりましたので、そちらから始めさせていただきます。
平成31年度の予算案がまとまりました。概要でございます。メリーちゃんとハリーくんがまた登場しますけれども、今年は、平成の時代が終わりを告げて、そして、次なる時代の幕開けとなる節目の年に当たるわけであります。新しい元号で生まれたお子さんたちが成人する頃には、例えば、待機児童とか介護離職とか孤独死とか交通渋滞だといったような言葉が、「ああ、そんな言葉が昔あったんだね」と思えるような、そんな都政にしていくための予算と捉えていただければと思います。こうした決意を胸にしながら、東京そして日本の未来への道筋をつけ、そして、今申し上げましたように、これから生まれてくる子供たちが歩む未来を切り拓く予算を創り上げるべく、知事査定にも臨んだところでございます。
世界経済を見ますと、米中の貿易摩擦の激化であるとか、日韓関係もぎくしゃくをしたりとか、それから、産業革命のように、自動車産業などは本当に日進月歩、変わりつつある。情報通信産業、これも大変熾烈な競争が行われているという一方で、人口の動態を考えますと、日本においては人口減少、そして高齢化の進展、頻発・激甚化しております自然災害、そしてまた、今般の不合理な税制の見直しなどで、都政をめぐる状況も刻一刻と厳しさを増しているという認識を持っております。
その中で、改めて東京を見つめ直しますと、やはり活力の源泉となるのは「人」だということで、「人」の持つ無限の可能性を、苦難に打ち勝つ「都市」の力へと昇華させて、東京、日本の確かな成長へとつなげていく。かなりこう大きな観点から申し上げると、そういった位置付けになるのかと思います。
このことを実現するのが、まさしく首都東京の責任ではないか。だからこそ、この難局を大胆に切り拓いて、未来に向けた道筋を描く「政策」、そして、その実行力の基となる「予算」に、より一層磨きをかけていきたいと考えています。
都議会の各会派の皆様や、それから区市町村の代表の方々、さらには各種団体の皆様方からのご要望、そして、もう既にご承知のように、都民の皆様、それに加えて、大学の研究者の皆様からのご提案ということで、まさしく都民の皆様とともに創り上げる、そんな予算ではなかったかなと思います。7日間、知事査定の場を設けまして、議論を尽くし、東京の「知」、「知恵」の「知」でありますけれども、これを未来につなげる予算案を練り上げたと自負いたしております。
平成31年度予算でありますけれども、ちょっとご紹介いたしておきますと、「東京2020大会を推進力とし、東京が成熟都市として新たな進化を遂げ、成長を生み続けられるよう、未来に向けた道筋をつける予算」、ちょっと長いですけれども、「未来を切り拓くための予算」、一言で言えば、そういったことにはなります。編成方針は、スライド資料のとおりになっております。
次に、予算案のフレームをご紹介しておきますと、一般会計の総額は7兆4,610億円になりまして、過去最大の予算となっております。この中には、東京2020大会開催の準備、これはもう総仕上げの時期に入ります。三つのシティの実現に向けた施策を展開するために、411件の新規事業を立ち上げます。
一方で、1,208件の事業評価を行いまして、それを精査して、900億円の財源を確保するというように、財政の健全性を確保しながら、都政を力強く前進させる予算になったと考えております。
過去最大の予算となりました背景は、先ほど申し上げましたように、東京2020大会の開催準備、特に競技施設の整備が佳境を迎えるということがございます。31年度中に、多くの施設が竣工することになりますので、多くの整備費を計上したということであります。
それから、「歳入の確保」の点でありますけれども、都税収入は、堅調な企業収益などで、過去最高の水準に迫ります5兆5,032億円となっております。今般の不合理な税制度の見直しの影響は、32年度以降に受けることになります。それに加えて、元来、税収構造は法人税に頼る部分も多いわけで、不安定であるということも踏まえて、先ほどのさまざまな世界情勢、国際的な経済の概観についても触れさせていただきましたけれども、これらの動向には、慎重に注視が必要かと考えております。
それから、オリ・パラ準備の総仕上げに加えて、三つのシティの実現に向けての基金が5,577億円、これを取り崩すということになります。
一方で、都債の発行額ですが、2,096億円と、前年度からさらに削減いたしまして、財政の健全性の確保に気を配ったところでございます。
それから、今回の予算のポイントをちょっと説明しますと、まず、気候変動などに対しまして「都市力の強化」、持続的成長に不可欠な「稼ぐ力の強化」、そして、都市の活力の源泉は、さっきも申し上げました「人」で、この「『人』と『人』とを繋ぐ」という、この3点でもって予算の編成に当たったわけであります。
来年度からのこの予算には、「大学研究者・都民・職員による事業提案制度」を、今年度の予算にも既に盛り込んでおります。大学研究は除きますけれど。新たな発想に基づいた、さまざまな素晴らしいご提案をいただいておりますので、まずは、お寄せいただいた皆さんに御礼申し上げます。
そして、初めてでありますが、「大学研究者による事業提案制度」には、1億7,000万円、それから、都民からご提案には4億7,000万円、職員からの提案もございまして、1億円の予算を措置したところでございます。
今回、こうした31年度予算の内容を、メリーちゃんとハリーくんが楽しく、わかりやすく紹介する動画を作成しておりますので、ちょっとご覧いただこうと思います。

(動画を上映)

職員が作った動画になりますけれど、やはり税金を納めていただいている皆さんに、できるだけわかりやすく説明していきたいということで、タックスペイヤーの皆さんとのコミュニケーションがとれるように、その工夫をさせていただいたところでございます。これは、1分間バージョンで、10分間バージョンもホームページ上に載せてありますので、是非ご覧いただければと思います。
ちょっと次に、テーマごとにご紹介いたしますが、まず、「セーフ シティ」の実現であります。安全・安心というのは全ての優先、大前提となるわけで、「防災事業の緊急総点検」を行いました、その結果を踏まえて、都民の命を守る取組をソフトとハードの両面から総合的に展開してまいります。
そして、そのために、「水害・地震に強いまちづくり」として、総額3,008億円を計上、それから、その中に、新たな調節池の整備。それから、流域間での相互融通が可能な「環七地下広域調節池」の延伸に向けた検討を進めていきます。
それから、私のこだわりでもありますが、無電柱化の方は、災害拠点病院につながる道路など、防災に必要な路線を整備する場合には、補助率を拡充する仕組みで加速させていきたい。それから、通常のポンプ車などが進入できないような、狭い道路のところなどですけれども、災害などに迅速に対応する「ファーストエイドチーム」を創設いたしまして、災害から都民を守る「都市力」の強化を図るというものであります。
この他、救急活動体制を充実させる意味で、まちの安全・安心の確保など、ひっくるめて「セーフ シティ」ですけれども、その実現に向けた取組をしっかりと進めてまいります。
次に、「スマート シティ」の中からいくつかご紹介しておきます。
先ほどから申し上げているように、国際経済、それから国際政治、非常に激動を続けている中において、国際間競争を、この首都東京は勝ち抜かなければならないということから、我が国の発展を主導する「稼ぐ力」を育んでいかなければならないということであります。今、拡がりを見せております「Society5.0」のコンセプトに焦点を当てまして、「稼ぐ力」の強化に向けた施策展開を検討する。また、先行モデルといたしまして、「デジタル地域通貨」や次世代の移動サービス、最近、よく聞かれるかと思いますけれども、「MaaS」と呼んでおりますが、この実証実験などを行っていきます。それから、「国際金融・経済都市の実現」ということも含めまして、3,260億円の計上といたします。
次に、ゼロエミッションの関係でありますけれども、「さらなる省エネルギー」と「再生可能エネルギーの利用拡充」を軸としました「ゼロエミッション東京の実現」に、259億円を計上いたしております。省エネ性能の高い住宅を普及させるため、都が定める水準を満たす住宅の新築の際には、必要な経費を補助いたします。「東京ゼロエミ住宅導入促進事業」という名目の中で、新たな開始を行います。
そして、「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業」を新たに立ち上げてまいります。FITの見直しであるとか、今、この点についての環境も変わりつつありますけれども、どうやって、この太陽光発電という、まさしく再生可能エネルギーを、それぞれ地域で、個人で活用するために必要な対策は何なのか。また、リースなどにより太陽光発電を設置する事業者への補助で、初期費用ゼロで、電気代を3割程度削減することができることになります。それから、蓄電池などと併用しまして、災害時の非常用電源も確保できることから、地球温暖化防止にも貢献できる、一石三鳥の取組を進めてまいりたいと考えております。
それから、「暑さ対策」でありますけれども、これは、先の補正予算で、この「暑さ対策」のさらなる加速化を進めたわけでありますけれども、これをさらに強力に進めていく点、それから、世界的な潮流を踏まえた使い捨てプラスチックへの対策など、快適で豊かな都市環境の形成を図るための予算が盛り込まれております。
それから、ここで初めてご紹介する名称でございますけれども、「スムーズビズ」を始めます。始めるというか、これまで新しいワークスタイルを提唱してきたわけでありますけれども、それと企業活動の東京モデルをひっくるめて「スムーズビズ」とまとめて呼びたいと思います。これは交通需要マネジメント、それから、テレワーク、時差Biz、こういった取組を一体的に推進するものであります。鉄道の朝のピークの混雑緩和に資する、ハード面での検討も開始いたします。それから、鉄軌道については、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎延伸でございますが、今、地元の街づくりや導入空間となります新青梅街道の整備を進めておりまして、課題となっている点についての検討を、さらに深化していくということであります。
それから、次に「ダイバーシティ」の実現でありますが、東京の活力の源泉は「人」だと何度も申し上げておりますが、この「人」が輝き続けられる東京であるように、都民に寄り添いました、きめ細かな政策を展開してまいります。不妊検査、それから不妊治療などに対しての助成を大幅に拡充いたしまして、結婚、出産、子育てと、あらゆるライフステージにシームレスな支援策をするということで、これまでもやってまいりましたけれども、さらに強化して、子供を安心して産み、育てられる環境を整備してまいります。こちらは2,206億円の計上となります。
中でも、今年の10月から開始されます幼児教育の無償化に関しまして、都としても、しっかりと対応してまいります。
加えまして、たくさん子供がおられる家庭、多子世帯に対しまして、都独自の支援を講ずることといたします。子育て世帯を強力に支援していくというものであります。
具体的には、保育サービスの利用者負担が、国の多子支援の仕組みの対象外の世帯に対しまして、第2子が半額、第3子以降が実質無償化というものでありまして、こちらの方は、都独自の支援策を新たに開始することとなります。これによって、希望どおり子供さんを産み育てられる環境整備へとつなげてまいりたいと考えております。
それから、今度は人生100年時代、何度かご紹介してまいりましたけれども、この100年時代を豊かに過ごせるためには、シニア、それからシニアの予備群の皆さんに対して、介護、そしてフレイルを予防する普及啓発など、誰もが健康増進できる、これを「ウェルネス」と呼んでいますけれども、いきいきと活躍できる環境づくりを推進するというものであります。
それから、あらゆる「人」が、その可能性を活かして活躍できる社会を創り上げるためにも、ライフ・ワーク・バランス、働き方改革は不可欠でございます。近年、学校の教員の働き方に注目が集まっておりますが、教員は、将来に輝く「人」を育む重要な役割を担っていただいて、児童・生徒と向き合うことに、もっと多くの時間を割けるようにしていただきたいと願っております。
では、そのためにどうするかでありますが、多角的に学校を支援する新たな財団を設立いたしまして、教育の負担を軽減する、そして、それによって教育の質の向上を図っていくというものであります。
それから、首都大学東京でございますが、東京2020大会、これは五輪という五つの輪になるわけで、「五大陸国際学生シンポジウム(仮称)」を開催することといたします。学生、そして留学生、海外大学の学生さんなどと交流を図って、国際的なネットワークの形成を図るなど、「人」と「人」との繋がりを東京の活力創出につなげていくというものであります。
それから、あと、今日で546日となりました「東京2020大会の成功に向けた取組」でございます。
冒頭に、大会競技施設の整備の方は着々と進んでいて、また竣工を目指しているということで、お話しさせていただきました。そちらの方もしっかりと進めていく。それから、伝統文化から最先端の現代アートまで、東京の多彩な芸術文化の魅力を国内外に発信いたします「Tokyo Tokyo FESTIVAL」の推進をしてまいります。
東京2020大会、今年のラグビーワールドカップ2019の開催に向けましての準備、いよいよ総仕上げでございますので、しっかりと行っていくということでございます。
それから、「多摩・島しょの振興」についてでありますが、多様な方々に島しょ、島を訪れて、また、多摩地域を、電動バイクでなくても結構ですが、訪れていただいて、綺麗な海、そして豊かな緑、島の多彩な魅力を感じていただくということで、上質な宿泊施設を誘致する町村の取組に対しまして、必要な経費を補助するという、多摩・島しょ地域のさらなる発展に向けた施策でございます。これを積極的、かつ効果的に展開していくということでございます。
そして、日進月歩で進化を重ねている先端技術の世界でありますけれども、これはまさしく東京2020大会のレガシーともなり得るわけで、ICT、IoT、AIなどの最先端技術について、例えば、生産性向上を課題とする中小企業に対する普及啓発であるとか、導入の後押しなど、都政が抱えております課題の解決に最大限活かしていくという考え方であります。
最後ですが、最終補正予算案として、築地市場跡地に関します平成30年度最終補正予算案についてご説明いたします。
卸売市場を取り巻く環境の変化を踏まえて、中央卸売市場会計の中長期的な「収支試算結果」、そして将来の東京全体としての価値の最大化を目指す、今後の「築地まちづくり」を見据えて、築地市場跡地について、中央卸売市場会計から一般会計に、いわゆる有償所管換をすることといたしました。そして、5,423億円を補正予算に計上いたします。31年度予算案と、30年度の最終補正予算案の概要は、今、ご説明をザッとさせていただいたわけでございます。
この予算案に盛り込んだ一つひとつの施策を梃子として、東京と日本が持続的な成長を遂げられるように、都民の皆さんの理解・共感をいただく、そして、その歩みの確実な一歩一歩を進めていきたいと考えております。
少々長くなりましたけど、予算案なので、時間を使わせていただきました。
詳細は、財務局にお聞きください。
それから、続けまして、三つのシティの実現に向けて、この予算案に合わせまして、「2020年に向けた実行プラン」の政策の強化版を策定いたしておりますので、そのお知らせをさせていただきます。
「実行プラン」は、平成28年12月に策定いたしました4か年の総合計画でございますけれども、今、どこにいるかというと、その2年度目にいます。今も予算案に盛り込んだ三つのシティ、「セーフ シティ」、「ダイバーシティ」、「スマート シティ」を実現するために、都庁一丸となって取組を進めているものであります。ただ、計画というのは、一度作ったらそのままということではなくて、実行していく中で、さまざまな明らかになった課題であるとか、それから社会情勢が変化をするとか、そういったことを敏感に捉えながら、常に政策を進化させていくということは、もう言うまでもなく不可欠でございます。
そのために、毎年度、先ほどご紹介している予算編成と連動させる形で、「実行プラン」に新たな要素を加えながら、三つのシティの実現に向けた政策の強化をしていくこととしております。つまり、予算案と、この実行プランというのはいつもセットでございます。今回は、予算と同様に、「都市力の強化」「稼ぐ力の強化」「人と人とを繋ぐ」を三つの軸にしまして、実行プランの政策をブラッシュアップしたものでございます。
政策目標は、これまでの546からさらに増やしました。576。30の増になっております。それで、既存の目標のレベルアップも行っております。目標達成に向けました具体的な施策も一層充実させて、来年度の予算には、実行プラン関連で、前年比で1,700億円増で1兆7,200億円を計上いたしております。
また、今回の政策の強化版では、二つのテーマで特集のページも設けておりますので、ご覧いただければと思います。一つが、東京と全国がどうやって「共存共栄」していくかという取組について。東京と他の地域が互いに協力し合うことで、共に栄え、成長することが真の地方創生ではないか。私は確実にそうだと思っていますけれども、都が実施する全国各地の発展に結びつく取組の紹介をしています。
もう一つは、国連が採択して、最近、よくバッジを着けておられますけれど、世界共通の目標でありますSDGsと実行プランの関係についても、少し整理させていただいております。このSDGsの達成は、国家レベルだけでなくて、自治体レベルでの取組も期待されているところで、実行プランが示します政策の方向性は、実はこのSDGsとも軌を一にしている部分が非常に多いわけでございまして、都におけます施策の推進が、すなわちSDGsの達成に直接つながっているものだと示していると存じます。
年が明けまして、2020年まであと1年という段階に入りました。今回、さらに磨きをかけましたこの実行プランの下で、都庁一丸となって取組を加速させ、そして、三つのシティの実現をより豊かなものにしていくということで、今回、これで私も予算編成も3回目になりました。最初は、PDCAサイクルで言うならば、「チェック」から入った部分も、「プラン」から入った部分もあります。そして、「ドゥ」があって、そして「アクション」というところもあります。
詳細は、政策企画局にお聞きください。
大きく時代が動いている中で、ときには微調整、ときには大胆にまたそれを加速させるとか、額を増やすなどの工夫をしながら、今回の予算を創り上げたものであります。しっかりと都民の皆さんにもご説明し、そして効果のある予算としていきたいと考えております。
今日は、これが一番大どころでございまして、以上です。
(会見で使用したスライド資料1は、こちらをご覧ください。)(PDF:4,264KB)
(会見で使用したスライド資料2は、こちらをご覧ください。)(PDF:393KB)
(「平成31年度(2019年度)東京都予算案の概要」は、こちらをご覧ください。)
(「「3つのシティ」の実現に向けた政策の強化(2019年度)」は、こちらをご覧ください。)
(動画は、こちらをご覧ください。)

質疑応答

 【記者】1月幹事社の朝日新聞の井上です。ありがとうございました。それでは、幹事から、まずいくつか質問させていただきたいと思います。
まず、予算についてですけれども、今回のポイントの一つが、過去最大規模の予算になったということで、ご説明あったとおり、オリンピック・パラリンピックに向けた準備費用が大きく積み上がった点があるのはそのとおりなんですけれども、改めて、歳出規模がここまで大きくなったこと自体を、知事としてはどのように捉えていらっしゃるのか、ちょっとお伺いできますでしょうか。

【知事】基本的には、やはり2020大会の支出が、この時期、一番高くなっているということがあろうかと思います。それから、2020年大会のためだけでなく、その先を見越していくためにも、先ほどから申し上げている「都市力の強化」、「稼ぐ力の強化」、「人と人とを繋ぐ」、今、やっておかなければ、その後、より課題が大きくなってしまう。よって、今、この時期にしっかりと種をまいておくものもございます。そういったことから、平成最後の予算であり、新しい元号の最初の予算ということになったわけであります。これらは、最大規模といいましても、今、申し上げましたような背景にあって、単に規模の問題でなく、質を高めた予算になったものと考えております。

【記者】これも冒頭の知事の説明でもありましたけれども、今後は偏在是正による影響というものがより大きく出てくるという点があるのと、世界経済、これから先行き不透明な部分も残されている中で、税収もこのままの状況が維持されるかどうかというのが見えにくいところもあると。一方で、インフラの老朽化ですとか、高齢化社会の対応ですとか、避けられないような財政支出というものも、これから増えていくことが予想される中で、今後、将来的には、都としての財政運営というものを、どのように進めていきたいのかをお伺いできますでしょうか。

【知事】今回の税制の見直しも含めまして、いかにして健全性を保つかということで、今回も都債の発行額は極めて抑えたものとなっております。いかにして健全性を保っていくかということと、ワイズスペンディングと、これからのニーズをしっかりと把握しながら、それをどう効果的に進めていくのか。また、時代が大きく変わる中で、AIや、また、ICT、IoTといった新しい技術などによって、これまで莫大に掛かっていた予算などが、劇的とは言わないかもしれないけれども、大きく変化していく可能性もあるということから、「Society5.0」という予算も盛り込んだのも、そういった今後の社会の変化、それからさまざまなツールの変化によって都市運営、自治体運営も変わっていくことなども考えながら、今回の予算編成を行ったということです。

【記者】すみません。話が変わりますけれども、厚労省の毎月勤労統計の問題なんですけれども、先日、厚労省の方の、特別監察委員会の調査中間報告書が出まして、その中で、全数調査から抽出調査に切り替えた際のきっかけとして、企業から苦情があったということと、大都市圏の都道府県からの要望というものも踏まえて、そのように切り替えたというようなことで、名前は出てないですけども、想定されるのは、東京都からの要望があったというような言いぶりにも捉えられるようなものでして、改めて、都としてのその関係の辺りの事実関係の確認と、今回の調査、東京都の方におそらく調査、来てなかったと思うんですけれども、厚労省の特別監察委員会の方から。こうした調査方法にもまた批判が出てまして、結果を急ぎ過ぎているような、早く閉めたいというような意向があるんじゃないかというような意見も出ているわけなんですけども、その調査のあり方については、知事としてはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

【知事】最初に、東京都からの要望があったからではないかというような記事もございましたが、今のところ、東京都から公式にそのような旨を要望した文書など、確認はされておりません。そして、当時の経緯について、当時の担当者に聞き取りを行っております。しかし、そういう中でも、現時点で要望したエビデンスなどは確認されておりません。それから、過去の書類の確認なども含めて調査を、さらにその昔も含めて行っているところであります。調査結果については、公表する予定といたしております。
私も昔、総務庁の政務次官をやっておりまして、統計局というのが大きな建物でございます。地下には、もう本当にアーカイブ、すごいものがございます。統計というのは、やはり全てそれをベースにして、さまざまな政策を練り上げるもの、また、それに対して社会的なサービスを行うものでありますので、この調査のあり方も含めて、信頼性をどう取り戻していくかというのは、極めて大きな課題だと思います。
あくまでも東京都の調査につきましても、国が定めた形で、法定受託事務として行っているものであるということが1点、それから、それに従ってさまざまな対応をしてきているということは言うまでもありません。
それから、今回、このような、また調査が出たことによって、都としての必要な、都の統計で見直すべきところはあるのかないのかについても調査してまいります。

【記者】最後にしますけれども、築地の跡地の再開発についてなんですけれども、先日、まちづくりの方針の素案が出まして、その後の囲み取材でも質問が出ておりましたけれども、改めて、今回、MICE中心に整備をしていく案が示されたということ、この内容の評価と、一方で、その内容として、大規模集客施設ですとか交流施設というような話はあるんですけれども、具体的にどのような施設とするのかというのが、なかなか記されていないところで、イメージが湧きにくいところではあるんですけれども、知事としては、どのような施設のイメージが望ましいかなと考えられますでしょうか。

【知事】あの23ヘクタールという大規模な、某新聞社の真ん前にある素晴らしいロケーションでございます。前からもあるように、浜離宮があって、そしてこの築地の跡地があって、本願寺があって、がん研があって、新橋があって、銀座があってと、本当にこれ以上ないというようなロケーションでございます。そこをどう活用するのか。都として活用するパブリックの部分と、それから国際的なさまざまな、「舞台」と称していますけれども、「都民に開かれた舞台」ともなります大規模集客・交流施設という形で築地まちづくりの素案に書いてあるわけでございます。そこは、今申し上げたようなことを中心として、ウェルネスであるとか、それから文化・芸術など、さまざまな取組を行うというような形で、東京ブランドが創造・発信されるMICEであるべきと考えて、その考え方が盛り込まれたということであります。
あまり詳しくということであると、考え方を狭めてしまうのではないかという、これからも民間の皆さんにも募って、パブリックコメントも含めてお聞きするわけでございまして、いろいろなアイデアが出てくることを期待しているところであります。

【記者】関連なんですけれども、これもそのときの囲み取材でも出てましたけれども、知事の元々のご発言では、一昨年の、6月の段階では食のテーマパーク機能を有する新たな市場として整備するというようなご発言があって、そことの整合性がどうなっていますかというようなことが常々言われているわけなんですけれども、先日の囲み取材の中では、知事の方からは、食のテーマパークというものを越えてウェルネスや文化、伝統などを含めた形で展開していきたいということだったんですけれども、当時、やはりイメージしたのは、築地にも改めて、その市場機能というものが残るのではないかということを、皆さん、多くの人が思ったかと思うんですけれども、今回、やはり、そういった市場機能というもの、魚介や青果を取引するような市場機能というものを持たないのであれば、やはりそれとは違う形になるのではないかと指摘されているところなんですけれども、この辺りを改めてご説明をお願いできますでしょうか。

【知事】これにつきましては、今申し上げましたように、市場機能ということについては、豊洲市場を中核的な卸売市場にしていくということをかねがね申し上げてまいりました。また、市場移転に関する関係局長会議の中では、将来、築地に戻ることを希望する仲卸業者に応えるための方策に関しての検討を、豊洲市場移転後の状況を踏まえながら行うと、このように発言がございます。
そういう中で、豊洲市場には移ったばかりでございますし、今、わずか2か月ということでございます。中核的な卸売市場としての豊洲市場、今、こちらで皆さん、新しい市場に慣れるべく、この活動を続けておられるということでございます。まずは市場の状況を見る必要もあろうかと思っております。
それから、食のテーマパークというのは、いろいろ捉え方にもよることだと思いますけれども、ウェルネスの部分でも、食というのも一つの課題ではないかと思います。むしろ大きな発想でもって、この築地という地域をしっかりと活用していただければと思っております。
それから、忘れてはならないのは、場外市場がございます。それはそのまま残っておりますし、むしろあそこをどうやって活性化するかというのも一つのテーマかと思い、今回の予算案の中にも、この大規模な施設の移転に伴う支援ということで、昔ながらのというか、雰囲気を残す場外市場の皆さんにも頑張っていただきたいということで予算を盛り込んだところでございます。

【記者】今、知事の方から、豊洲の移転後の状況を踏まえてまた考えていかれるということだったんですけれども、それは翻って言いますと、状況によっては、また築地に戻りたい業者さんに何らかの対応をすると聞こえるんですけれども、それはどのような意味合いでいらっしゃるんでしょうか。

【知事】ただ、基本的に、中核市場としての豊洲市場に移転したばかりでございますので、まずそこをしっかりと育成、そして発展させていくということであります。今、築地市場というのは閉鎖されて、そして、これからオリ・パラの駐車場、デポになっていくということでございますので、こういった役目を果たしながら、次のことを考えていくということだと思います。

【記者】ありがとうございました。幹事社からの質問は以上です。
各社さんからどうぞ。

【記者】MXテレビの白井です。予算の話に戻るんですけども、幼児教育の無償化については、国の無償化の制度の概要などが発表するとか、そういったものを睨みながらの、ギリギリまでの調整が続いていたと伺っていますけども、今回、その多子世帯への支援の拡大ですとか、あと私立幼稚園の話ですとか、これらの全体についての知事ご自身の評価と、あと、ゼロ歳から2歳という最もニーズが多いような部分は、まだ保護者の負担があるということで、こちらについて、来年度以降も見据えて、今後の方針ですとか、今お考えのことがあれば、対策等、よろしくお願いします。

【知事】今回、国がこの子育ての分野で無償化をするということで、10月からということは年度の半分ということになります。この0-2歳というこの枠と、それから、今回、東京都の場合は、多子世帯ということに着目しております。多子世帯というのは、例えば、国の場合ですと、1人目のお兄ちゃんがもう小学校3年生だということになりますと、これはもうカウントされずに、そして、その幼児の部分、2番目のお子さんについては、都の方が半額を持つということ、3人目からは事実上の無償化になっていくということで、この多子世帯の考え方が、東京都の場合は、上のお兄ちゃんなり、お姉ちゃんなりが1人、2人いたら、3人目は事実上の無償化でありますけれども、そこの考え方を若干柔軟にしているということで、より子育てをしたいという皆さんのご期待に応えられるようにしたというものであります。
幼児教育の無償化ということでは、国制度に伴う対応でございまして、既存の取組も合わせて166億円の措置となっています。
こういったことで、希望どおりにお子さんを産み、育てられる体制を整えたということであります。

【記者】産経新聞の大泉です。予算のフレームの部分でちょっと聞きたいんですけれども、税収が現在のところ好調な中で、先行きに対するいろいろな不安定要素もあるからこそ、「稼ぐ力」というものに注力をした予算にしましたというようなご説明があったんですけれども、その税収の部分で、32年度に確実におそらく9,000億円前後の減収ということになることは、税制改正で確実になっていると。プラス、景気の減速の局面も見え隠れしている中で、いつ頃、そういう力が付くかわからない、「稼ぐ力」で何とかするという思いはわかるんですけれども、本当に「稼ぐ力」という予算で対応し切れるのか、それ以外の対応の仕方というのはないのかという、今回の予算なんかを紐解きながら、ご説明いただければと思うんですけれども。

【知事】これにつきましては、企業の経営と同じで、稼ぐ部分と削る部分と両方で考えていくというのは、自治体であれ、経済であれ、企業であれ、同じことだと思います。今後の財政を考えながら、都債についても、今もできるだけ抑えていくということで、財政の健全化ということについては常に念頭に置いて進めていく、であるならば、やはり稼いでいくというのはどうしても必要になってくるし、東京が稼げなくなったときの日本をむしろ想定すべきだと思います。
よって、東京に稼がせるということは、国の方針として、もっとお持ちになるべきではないか。選択と集中があってこそ、国の富は生まれ、国際競争力で勝ち抜けると思っております。ですから、コップの中よりも、世界の中で戦う東京というのを考えながら、「稼ぐ力」を付けていきたいということであります。よろしくお願いします。

【記者】共同通信の河村です。先ほどの毎月勤労統計の不正問題について、もう少しお伺いしたいんですが、特別監察委の調査というのが結果的に職員同士で聞き取りをしていたとか、案を職員が作成していたということで、国会でもお手盛り調査だ、身内調査だというような批判がありまして、本日、根本大臣が調査をやり直ししますということを明らかにしました。今度は都道府県の人もやりますとか、ちゃんとやりますということなんですが、ちょっとこう、外から見るとバタバタしているようにも映るんですが、こうした一連の厚労省の対応についてどのように感じていらっしゃるかを聞かせていただけますか。

【知事】厚労省の守備範囲というのは大変広い。そしてまた、統計というのは地道な仕事だと理解しております。かつ、人員も減らされてきているという事情もわからないでもありません。ただ、一旦国が決めたということであるならば、そこを我々法定受託で仕事をする方は、それに従っていくということに他なりません。
消えた年金の問題のトラウマというのもおありなのでしょうけれども、むしろ、あのときの課題をもう一度よく吟味されるのが必要なのかな。やはり、信頼ということは重要でございますので、しっかりご対応いただければと思っております。
また、都の統計調査についても同じように、信頼を確保するというのは重要なことでございますので、しっかり対応できるように、課題があるならば、その課題を見つけて解決していきたいと思っております。

【記者】テレビ東京の吉田です。すみません。予算案ではゼロエミポイントなど消費増税後の消費活性化も担った事業がたくさん盛り込まれました。その重要性を改めて教えていただきたいのと、10年前に国が家電エコポイントを実施したときに、需要の先食いになっただけという評価もあったんですけれども、その辺りについてどう考えるか、教えてください。

【知事】ポイントは3点あります。
まず、消費税の税率がアップするということで、むしろ先食いではなくて、腰折れを防ぐという観点。それから二つ目は、ゼロエミを目指しているということで、この10年間でも家電製品の性能というのは年々高まってきておりますので、ちょうど、当時も、買い替え促進というと、それがもったいないではないかとよく叱られたものでありますけれども、しかし、それによって、結果的にCO2の削減につながっていく。それが東京全体で進むとすれば、かなりの規模が大きく削減することにもつながっていくということであります。
それから、家電でも今、製造業、あまり「日本製」というと、WHOの関係になるかもしれませんけど、やはり元々家電の白物とかの辺りは、日本が強かったわけです。是非復活を、心の中では「頑張ってよ」という思いもございます。何よりも、それによって消費者、生活者の方々に改めて、気候変動、去年のあの災害などをご覧になっていて、皆さん結構、「地球が変になっているんじゃないか」とか、科学的な分析で、「いや、気候変動は関係ない」とか、議論はずっと続いているんですけれども、議論は議論でやるとしても、アクションとして、それらの実際の買い替えによって、皆さんの意識が変わったり、それから実際の経済活動が鈍化しないということにつながっていくのではないかと考えております。

【記者】新建新聞社 リスク対策.comの斯波です。来年度予算案についてお願いいたします。昨年の災害の影響と、防災環境を重視される知事のカラーが前面に出た予算案じゃないかと思います。今回、水害対策でタイムライン作成支援が盛り込まれていますけれども、どちらかというと、個人の作成支援に重きを置いた感じがするかと思います。昨年9月の防災政策の見直しで、区市町村への支援も盛り込まれていましたけれども、区市町村のタイムラインというのは、交通機関とか住民も絡んで、かなり調整が大変かと思いますが、区市町村支援についても何かありましたら、是非お願いいたします。

【知事】市町村支援については引き続き行ってまいりますが、一方で、例えば、学校などにおいてマイ・タイムラインをみんなでつくるということの効果というのは、とても大きいものがあるかと。そういう意味で予算として盛り込んだものであります。
結局、1人1人の行動が生死を分けるというのは、これは枚挙にいとまがありません。どのようにして命を守るか、日々の防災であったり、それからマイ・タイムラインの場合には、例えば、豪雨など、急に来る場合もありますけれども、洪水とか、そういった状況のときは、1時間前に何をするか、2時間前は何をしなければならないかということの心づもりを考えておくだけで、また、それに必要な防災グッズを揃えておく、それから、壁を強化するとか、そういったことが進む。それも小さなお子さん、小学生や中学生などが学校で学ぶということは、極めて大きな価値を持っていくのではないか。そういうことで、予算として盛り込んでおります。
もちろん市町村については、タイムラインはそれぞれ地域によって特色が違いますので、それらの作成については、都も連携していきたいと考えています。

(テキスト版文責 政策企画局調整部政策課)

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