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令和元年(2019年)12月27日更新

小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和元年12月27日)

知事記者会見
2019年12月27日(金曜)
14時00分~14時48分

知事冒頭発言

1 「『未来の東京』戦略ビジョン」の策定について

【知事】今年最後の記者会見となります。よろしくお願いいたします。
この度、「未来の東京」戦略ビジョンを策定いたしました。そのお知らせであります。
まず、ご覧いただきたいと思いますが、これが「戦略ビジョン」の表紙、これは今年の夏、将来、どんな東京がいいですか、どんな東京になっていますかということで、小中学生の皆様を対象に「わたしが大人になった時の東京」絵画コンクールということで募集いたしましたら、たくさんご応募いただきました。最優秀賞の作品をこの場で用いさせていただきました。小学校1年生の生徒が描いたもので、車に羽根が生えているとか、小学校まで羽根が生えて飛んでいます。それから、地上は緑でいっぱい、家は地下にあるといったような、とても夢のあるような絵を描いていただきました。
そして、この中身ですけれども、まず最初のほうに、これ、私、よく講演などでも取り上げているのですが、20世紀冒頭、1901年の正月号、皆様も多分、元旦用の記事をいろいろ用意されているのだろうと思いますけれども、その1901年に出された記事で、未来予測記事で大変有名です。「二十世紀の豫言」というものがありまして、この内容が極めて面白い。当時、うそ、こんなことはないというような、とんでもないような話と思われる、夢物語だったような話が、科学技術が飛躍的に進展しましたので、実はその予測の多くが、この100年間で現実になっているということがわかります。
例えば、この中の1つを取り出しますと「写真電話によりて遠距離にある品物を鑑定し、かつ売買の契約を整え、その品物は地中鉄管の装置によりて瞬時に落手することを得ん」という、こういう言葉になっていますけれど、要はネットショッピングです。自宅にいながら、様々なものを手に入れられる社会が来ますよと。それから、たしかドローンで品物を飛ばしたり、イーロン・マスクあたりは土管で物を運ぼうとしていますので、うそという社会ではもうなくなっていることがたくさん書いてあって、荒唐無稽とも思えるようなアイデアでも、人の英知や情熱や努力を注ぎ込めば、実現できるということを、ある意味歴史が証明している1つではないかと思います。大胆な未来の展望こそが未来を切り開いていくということかと思います。
そこで、この令和元年、どういう状況に私たちはあるかというと、まさしく歴史的な転換点に直面していると思います。例えば、世界の政治や経済、それから防衛、軍事の枠組み、大きく変化しています。それから、第4次産業革命のうねり、世界的な気候変動の危機、少子高齢化と人口減少、といった変化、変革に、今、正面から向き合っているところであります。
そういうことを認識した上で、こうした時代を切り開いて荒波を乗り越えるために、4つの基本戦略を掲げています。まず、バックキャストの視点で将来を展望するということ。それから、民間企業などの多様な主体と協働、ともに働いて政策を推進していこうということ。デジタルトランスフォーメーション、DXと呼んでいますが、それでスマート東京を実現すること。時代や状況の変化に弾力的にアジャイルしていくこと。
ここで、たくさん片仮名が出てきますが、このバックキャストというのは、2050年、こうあるべしということで逆算して、今、何をすべきかということです。これまでの行政というのはフォーキャストといいまして、これまではこうだったから今度はこうしましょうというような、過去からの積み上げで前例踏襲主義、これは行政とすれば確実でもあるけれども、今の世の中にどうですか。逆に、逆算する方が必要ではないですかということが、まずバックキャストであります。
それから、アジャイルという言葉は、よくこれもIT関係でも使われる言葉ではあるのですけれども、常に改善している状態とか、より良いものに常に改善を重ねていくということで、昔から三全総とか、四全総とか国土計画などがあって、そういう中で、もう世の中のことは大きく変わっているのに、そのまま決めたからといってやっているような、それではだめで、必要なときに必要に応じて、より良い行政のために変えるべきものは変えていくという、そういう姿勢のことを言います。

20の「ビジョン」と20の「戦略」、それから合わせますと120の「推進プロジェクト」、およそですけれども、これを表示しております。
まず、戦略のビジョンでありますけれども、これは2040年代に目指す東京の姿として20のビジョンを設けました。そして、2030年に向けて取り組むのが20の戦略であります。さらに、その戦略を実行するために、推進プロジェクトで約120積み上げています。戦略ビジョンを通じまして、私が以前から言っておりますセーフ シティ、ダイバーシティ、スマート シティ、この3つのシティをさらに進化させて、「成長」と「成熟」が両立した未来の東京を実現していくということで、もう力作で300ページを超える中身になっています。
2040年代に向けまして目指す東京の姿として、20のビジョンを示しているところでありますけれども、そこの背骨は何かというと、いつも言っておりますけれども、「人」であります。人がいてこそ、東京ということであります。「人が輝く東京」、これを基軸としていたしております。

ビジョンの1でありますが、まず「Children」、子供の笑顔でいっぱいのまちが実現して、子供を産み育てることが社会全体の喜びとなること。そして、出生率、2.07といたしております。2.07というのは現在の人口を維持するために必要な数字であります。今は1.2というような状況であります。ちなみに、1989年のときに日本の合計特殊出生率が1.57という数字になったときは、このときは日本中大騒ぎでした。「1.57ショック」といって、様々少子化のことについて色々言っていたら、あまりにも当たり前のようになって、先日も、合計特殊ではなくて出生数全体で、90万を切ったと皆様も記事でお書きになっているかと思います。毎年、ネットで50万人の人口が減っているという日本ということでありまして、出生率2.07ということで目指す、その姿を描いています。
ビジョン2でありますが、新たな東京型の教育モデルを根づかせて、言葉の壁を越えてグローバルに活躍しているという東京の姿。
ビジョン4では、「長寿(Choju)」、これを世界共通語としまして、平均寿命や健康寿命ともに90歳を超えるというビジョンを持って、また、介護離職も死語になるようにしていくビジョンであります。
ビジョン7では、様々な人が集って交わる居場所が至るところにあるといったような姿を示しています。
ほかにも、東京のまちから電柱が姿を消すとか、都市全体がスマート化して完全デジタルガバメントが実現したり、それから、4月からは東京都立大学になりますけれども、そこからはノーベル賞の受賞者を輩出するなど、もっと、環境について言えば清流が復活したり、外堀でホタルが舞うとか、夢のような話ばかりかもしれませんけれども、夢を描くということは極めて重要だと考えています。都内のCO2排出量実質ゼロ、これについては後ほど詳しく述べます。そして、真の共存共栄の社会が実現するといったビジョンを示しているところであります。

こうした未来の実現はもちろん容易ではありませんけれども、目指す姿を共有して、都庁の総力、さらには社会全体で取り組んでいくことは重要と考えております。そのために、今後10年間で取り組むべき内容は何か、2030年に向けた20の戦略がこれからご紹介するものであります。
まず、戦略1ですけれども、3つのCをよく申し上げていますが、1つ目が、先ほども申し上げた「Children」。子供の笑顔のための戦略であります。子供が笑顔で、子育てが楽しいと思える社会の実現に向けて、子供の目線に立ったまちづくり政策を区市町村と連携しながら進めるということであります。
それから、出産前から巣立ちまで切れ目なくシームレスに子供そして家庭を支えるための支援を徹底する。そして、社会のマインドチェンジを図るということで、先ほどから申し上げている2.07ですが、「チーム2.07」をつくっていくということで、ムーブメントを起こしていこう、様々なプロジェクトの立ち上げということになります。
戦略の2でありますが、「子供の『伸びる・育つ』応援戦略」と呼んでおります。学び方、教え方を転換して、新たな「東京型教育モデル」を推進する。そして一人一人の個性、成長に応じた教育を提供するということで、そのツールとして教育のICT化を進め、「TOKYOスマート・スクール・プロジェクト」を展開するというものであります。
戦略4ですが、これが2つ目のCで、「Choju」であります。誰もが元気で心豊かに自分らしく暮らせる、そんな地域を実現するということで、区市町村の取組を都が強力に支援をしてまいりたいと考えています。この「Choju東京プロジェクト」を2030年までに都内全域で展開をしていくという考え。また、首都大にありますプレミアムカレッジなど、大学などと連携しまして、アクティブシニアの皆様の学びの場を充実させていくということ。
戦略7は、3つ目のCでありまして、「Community」、地域です。様々な人が集って、交わって、悩みを分かち合える「居場所」を地域の至るところに創出するプロジェクトの立ち上げであります。例えば、都営住宅などにおいても「おとな食堂」というか、「みんな食堂」というか、ネーミングは考えたいと思いますが、100カ所設置をしていきたいと考えています。また、新たな住宅戦略を展開しまして、安心して暮らし続けられる住環境の形成、これ、とてもこれからの東京にとって重要なアジェンダでございます。
戦略8が、安全・安心な東京の実現のために防災対策であります。豪雨や豪雨災害が日常化してきているということで、ハード、ソフトの両面から国などと連携した取組を推進していく。例えば、今回もとても効力を発揮しました調整池でありますけれども、現在整備済みの調整池が256万立米のこのスケールを有しています。もう既に工事に着手している110万立方メートル、それに加えて、新たに2030年度までに150万立方メートルの事業化を図るということで、豪雨対策のアクションプランの策定といたしたいと思います。
それから、無電柱化。首都直下地震などの脅威に備えまして、あらゆる施策の展開の中で、死者や負傷者、避難者、建物被害を最小化するということで、都道はもとより区市町村道や民間開発における無電柱化を進めていって、そして面的に展開をする。これらの取組を加速化する戦略を策定するということであります。
それから戦略10、「スマート東京・TOKYO Data Highway戦略」ですが、これは皆様ご承知のように、「電波の道」であります。いつでも誰でもどこでも「つながる東京」ということを実現するという戦略であります。西新宿、ベイエリアなど、先行実施エリアとしまして、様々な先端サービスの都市での実装プロジェクトを順次実施をしていく。都内の全域や全国へとホップ・ステップ・ジャンプで展開していくという戦略。
それから、戦略の13番目ですけれども、「水と緑があふれる東京戦略」で、こちらは都市計画公園や緑地、農地を含めて、都心から多摩地域まであらゆる方策で緑を生み出す、また保全をするということと、冒頭申し上げましたように、外堀の浄化などに取り組んでいくという戦略です。
戦略17が「多摩、島しょ振興戦略」。こちらは高い技術力を有する中小企業と先端技術、またスタートアップを融合することで、世界有数のイノベーション先進エリアとする「多摩イノベーションパーク構想」、仮称ですが、これを推進していくという戦略。それから、体験型の英語学習施設で、とても人気の「TOKYO GLOBAL GATEWAY」というのがありますが、これを多摩地域でも展開していくということで、世界に羽ばたいていてグローバルに活躍する人材を育成するとともに、多摩や島しょの地域特性を生かした観光振興も進めていくという戦略であります。
18番目が「オールジャパン連携戦略」であります。距離を変えた連携によって、日本全体の成長につなげていくために、日本各地と様々な連携を強力に進めていくというもので、地方連携の専管ポストを中心としまして、SDGsの達成に向けた取組であるとか、被災地の復興に向けた支援などに取り組んでいくというものです。
戦略20でありますが、これらの戦略を推進していくためには何が必要かというと、都庁自らが変わっていく、変貌を遂げていくという必要があります。戦略ビジョンにおいて、「新たな都政改革戦略」として、「新たな都政改革ビジョン」を策定いたしました。都政改革ではこれまで様々な成果も上げてきましたけれども、ペーパーレスとか、その数値もかなり上がってきております。これまで2020改革をさらに発展をさせる、そして改革を次のステージへとジャンプさせるということが必要になってきています。
都庁が果たすべき使命、ミッションを突き詰めますと、結局のところ、安全、安心、健康、快適といった都民の方々の幸せを実現することで、そのミッションに向けてまずCS、これはCustomer Satisfactionの略になりますけれども、都政に対する都民の皆様の満足度の向上を追求するというものであります。そのためには、CSのためにはESが必要だ。ESは何かといったら、Employee Satisfaction、つまり、都の職員の働きがいとかモチベーションを高める必要があるということで、新たな都政改革で、このCSとESの相乗的な向上を目指していくということで、先ほども都政改革本部でこの点を確認したところであります。
都民のニーズを敏感に捉えて、都庁自ら未来を切り開いていく。そのために、今の現行の法律や制度にとらわれない抜本的な改革を進めていくというものであります。
方向性ですけれども、「民間とのスクラムで政策イノベーションを生み出す都庁へ」、これを中心的なコンセプトにしまして、民間の発想や技術、知見を融合させた行政運営を目指していくということであります。そのためには人材マネジメントや組織運営、行政サービスの3つのアプローチで改革を展開していくということであります。
新たな都政改革ですが、環境やニーズの変化に弾力的に対応するということで、先ほど申し上げました「アジャイル」という発想を大切にしていくということです。また、政策サービスをユーザー目線でつくり上げるというデザイン思考を徹底して進めていくというものであります。行政は、どちらかというと、かちっとしたもので、これはある種安定でもあるのですが、それだけではなく、もっと都民のニーズを先に汲み取りながら、必要な政策を打ち出して、実行していこうというものです。

長くなって恐縮ですが、このビジョンを踏まえまして、2020年度の早期に実行方針、これ第1弾になりますが、その改革の具体策を取りまとめていくというタイムラインになります。それから戦略のビジョンに基づく施策を実行する上で、その土台となるのはやはり財政基盤であります。中長期的な財政見通しをもとにしまして、計画的かつ戦略的な財政運営を行うと、そのために未来の東京に向けた政策の実行について財政面からの考察を行うということで、東京都の財政収支の長期推計を取りまとめています。この推計ですけれども、例えば人口減少、そして超高齢化といったような変化も組み込んで、新たな政策を行っていく上でのベースとなる財政面からの推計となっております。経済成長率の注意シナリオで、真ん中の緑でありますけれども、実は決して楽観的ではありません。そのような結果になっておりますので、戦略ビジョンによる未来への投資で、こうした厳しい環境を乗り越えて、そして成長が財源、新たな財源を生む、そしてさらなる政策へとつながるような好循環を生み出していくということは重要かと思います。さらに新たな都政改革ビジョンの方向性を踏まえまして取組を深掘りしていくことなどによって2020年のその先を見据えて、さらに強固で弾力的な財政基盤の構築へとつなげてまいりたいと思います。これは戦略ビジョンの策定であり、新たなスタートにすぎないわけであります。数多くの推進プロジェクトを展開していくわけですけれども、区市町村の皆様とも連携をしっかりとしていくということ、そして緊密に連携するということと、国、首都圏の自治体、また大学や民間企業との連携を深めながら、効果的な施策の展開をしていきたいと考えております。
プロジェクトを展開する中で、政策を練り上げて、東京2020大会のレガシーを、その後、反映しながら、長期戦略の策定に結びつけていくというのが、これからの計画でございます。
詳細は、政策企画局、総務局及び財務局にお聞きください。

(会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。)(PDF:4,148KB)
(「「未来の東京」戦略ビジョンを策定」は、こちらをご覧ください。)
(「「わたしが大人になった時の東京」絵画入賞作品を決定」は、こちらをご覧ください。)
(「「新たな都政改革ビジョン」策定及び実行方針の意見募集」は、こちらをご覧ください。)
(「東京都の財政収支の長期推計」は、こちらをご覧ください。)

2 「ゼロエミッション東京戦略」の策定について

【知事】次に、「ゼロエミッション東京戦略」の策定についてのお知らせです。
これから年末年始のこの天気がどうなるかとか、先ほどはスキー場に雪がないなど色々なこと、気候についての報道もありましたけれども、今年も、やはり災害が激しかったですし、あの豪雨、一体どうなるかと多くの方が心配されました。また、各地での停電なども、今も様々な爪痕を残しているということで、甚大な被害など、気候変動、危機というのは私たちの身近な問題であって、また世界全体が歴史的な転換点、いわゆる「パラダイムシフト」の時期を迎えていると、このように肌感覚でもわかるわけであります。
このため、今年の5月に、「2050年にCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京」の実現に向けて進めてまいりましたけれども、今日は、そのビジョンと、具体的な取組と、ロードマップ、これをまとめてゼロエミッション東京戦略を策定したということで、ご報告しているところであります。この戦略をもちまして、ここに「気候危機行動宣言」、これを表明したいと存じます。
気候変動の問題に立ち向かうために、危機感を表明して訴えるというだけではありません。そこに「行動」がないと、ただ危機を認識するだけではだめ、危機を宣言するだけでは、次どうするかという方策につながっていかないということで、東京は「気候非常事態」、Climate Emergencyとの表現を超えて、気候危機に立ち向かう行動をより強く表明するために、「気候危機行動宣言」、Declaration of Tokyo's Climate Crisis Mobilizationと、ちょっと長くなりますけれども、気候危機を強く認識して具体的な対策を講じるとともに、全ての都民に共感と行動を呼びかけていくというものであります。
この戦略におきましては、緩和策と適応策というのが2つあるのですけれども、この総合的な展開を図りまして、資源利用に伴います都外のCO2削減への貢献、それから省エネ・再エネの拡大施策など、あらゆる分野の取組を深化、加速するために、6つの分野と14の施策を体系化しまして、ゴールは2050年、そしてそのためのロードマップをお示しするというものであります。
また、今後10年間の取組というのは極めて重要との観点から、2030年、来年2020年です、10年後の2030年に向けまして17の主要目標を設定して、それを上回るような具体的な取組となろうかと思います。「2030年目標プラス・アクション」を大胆かつ速やかに実行していくというものであります。
ゼロエミッション東京の表現には、化石燃料から脱炭素エネルギーへの転換は不可欠でありまして、戦略では再生可能エネルギーの基幹電源化に加えて、再エネ由来のCO2フリー水素を本格活用する、それによって脱炭素社会実現の柱にしていくというものであります。水素は大量、そして長期間のエネルギー貯蔵ができます。再エネ電力の大量導入時の調整力であったり、熱エネルギーの脱炭素化に向けて重要な鍵となると考えております。2050年に向けて様々な分野でのCO2フリー水素の活用を目指していこうというものであります。
また、重点的な対策を必要とする分野につきましては、「気候変動適応方針」、それから「プラスチック削減プログラム」、ZEV、ゼロエミッション・ビークル、車です、などですけれども、「ZEV普及プログラム」の策定をセットで行っておりますので、こちらもご覧いただきたいと存じます。
これからも、科学的な知見や技術開発の動向、また都民や事業者の皆様のご意見をいただきながら、目標や施策をさらに高めていきたいと考えています。多様な主体と力を合わせて、これは一大プロジェクトでありますけれども、これは世界的な競争でもあります。都民の生命と財産を守るという一番基本のところ、そして企業や投資家からも選ばれ続ける、魅力あふれる都市東京を構築していきたいと考えております。
詳細は、環境局にお聞きください。

(会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。)(PDF:469KB)
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

質疑応答

【記者】ありがとうございました。朝日新聞の軽部です。今月幹事社です。幹事社から2点お尋ねをさせていただきます。1点目は、今発表いただいた長期戦略についてなのですが、2040年代のビジョン1の中で出生率2.07という野心的な将来像を描いておられます。で、この戦略で出てくるチーム2.07という言葉がありますが、もし現時点で決まっている構想とか人選とか、ムーブメントとおっしゃっておりましたけれども、どのようなムーブメントを巻き起こしたいか、もう少し具体的に何かあればお教えいただければと思います。

【知事】はい。文字どおり野心的な数字であります。ただ1.57ショックを受けたならば、今度は2.07ショックを起こさない限り、毎年50万人消えていくという日本で本当にいいのかどうか。東京はまだ増えていると言われるかもしれませんが、だからこそしっかりと子育てができる環境、そして出産から子育て、そしてもっと前の話である結婚へのムーブメントも含めて考えなければならないと思います。
子育て環境の整備など、子供の目線に立ったまちづくりの政策や、これを区市町村と連携しながら進めていくという点、それから、今申し上げましたように出産前から学校卒業するまで切れ目なく子供や家庭を支援して、あらゆる負担を徹底してサポートをする。
それから、チーム2.07で子供を大切にすることを最優先とする社会へのマインドチェンジを促していく取組を考えております。
そしてまた、目標とすれば、非常に理念的ではありますが、子供が笑顔で、子育てが楽しいと思えるような社会を目指していくということに尽きるかと思います。

【記者】2点目なのですが、IRについて伺います。今週水曜日、江東区選出の衆院議員の秋元司容疑者が逮捕されました。今回の件で、IRをめぐってブローカーや仲介業者の存在が明らかになりまして、そのIRに対するイメージの悪化が各自治体の誘致判断に影響を与える可能性が指摘されています。東京都は、小池知事、メリット、デメリットを検討、研究している最中だとすると、おっしゃっていますけれども、今後の誘致判断にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。
また、小池知事ですね、議員時代にIR議連に属していたかと思いますけれども、議連当時、そのようなブローカーや仲介業者との接触や接点などはありましたでしょうか。

【知事】後の点については全くありません。そしてまた、メンバーではありましたが主要メンバーではございません。ただ、どういうことを考えているのかを学ぶという意味で入っていたということであります。
それから、今回の現職国会議員の逮捕という事態については、これからいろいろ捜査が行われるのでありましょうけれども、逮捕されたこと自体が、そのことだけとってみても大変驚きですし、また、事実であるならば大変遺憾、残念なことだと、また許されないことだとこのように考えます。
メリット、デメリットの部分の検討ということですけれども、デメリットの部分がこのような形で出たことはとても残念に思います。引き続き、東京都としてメリット、デメリットについては今後も検討は重ねていくということに変わりはございません。

【記者】産経新聞の天野です。「未来の東京」戦略ビジョンの件でちょっと根本的な質問になるのですけれども、これだけ社会が激変している中で、来年、再来年という予想も立てにくい中でこうした長期ビジョンを立てるというのは、ややもすると、絵に描いた餅になる恐れがあるのですが、そこでこういったビジョンを掲げる意味合いとですね、画餅に帰さないための方策、あるいはこのビジョンをどうブラッシュアップしていくかというところをお聞かせください。

【知事】絵に描いた餅、100年前の絵に描いた餅が今実現されているわけです。そのことを冒頭申し上げたわけであります。東京はこうあるべきだということはビジョンとして掲げるべきだし、そのために弱みと強みを分析し、またビジョン、そして戦略をこのように立て、またそのためにこのプロジェクトを多数準備したということであります。東京に住んでよかったと、生まれてよかった、そして生活してよかったというようにみんな思いたい、そのことを、1つずつ実現していくというのが一番の基本ですし、それがCS、カスタマーサティスファクションにつながるのだと思っております。今、まさしく種まきをしておかないと、国際都市間競争にも遅れるということでもあります。

【記者】新建新聞の斯波です。すいません、長期ビジョンについてです。お願いいたします。かつてもですね、ディーゼル車規制なんかもありましたけど、東京から国を変えるというですね、そういうDNAが都政にはすごくあると考えています。今回ですね、出生率に関してかなり野心的なビジョンを示されてますけど、ほかにもですね、国に先んじて課題解決を図るという意味で強調したい点があればお願いいたします。
あと、もう1点なのですけども、無電柱化についてです。道路のですね、9割が区市町村道である中でですね、チャレンジ支援制度とかですね、いろいろ支援のほうもされているのですけども、コスト削減以外に都の指導力というのが今後問われてくると思いますので、その点についてもお願いいたします。

【知事】まず、都としてのイニシアチブでありますけれども、私も国政において、幾つか、大臣職なども務めたわけであります。それらを全部まとめて明確な大きなビジョンを示すというときは、まさしく国を挙げてやらなければならないのは言うまでもありません。今回は、都を挙げてまとめたものでございまして、若手職員の皆さんが意見交換もしながら、こういう東京があったらいいよねというようなことでみんな、環境も含めてまとめてもらいました。
また、今、夢、希望、ぜひそのようなことが必要だと思うし、私もいつも言うのですけれども、お正月の書き初め大会で一番書かれるの希望という言葉だとも聞いております。そのような中で、東京に希望や夢ということを子供たちが感じてもらうことは必要だし、また、子供たちのみならず、長寿の社会として皆様がそのことを安心として感じていただければと思って、それを形にする東京の戦略ビジョンに、長期戦略ビジョンになったということであります。
ゼロエミッションなどは、各都市が、今、世界のニューヨークや、パリなど、大都市がこぞって危機宣言を行っています。日本でも長崎の壱岐、鎌倉なども危機宣言をされておられるわけであります。東京はむしろその宣言の後のことをどうするかということで、行動という一番重要な部分に的を当てた政策、今回の宣言にまとめさせていただいたということであります。
これからも環境については、大消費地であることを考えると、大きく東京が姿勢を明確に打ち出すというのは必要なことだと、その責任も感じながら、ぜひ実現していけるように、皆様にもご協力をお願いしたいと思っております。
電柱について言うと、これはまだ残念ながら、今年は随分無電柱化についての意識がこれまでと大きく変わってきた年であったと思います。これを進めていくにおいてはコストの削減ということが必要になってきます。今、これら、コストの削減や、それから実際に無電柱化前と後でどれぐらい変わるかというようなモデル地域をあちこちで出していくような、今おっしゃったチャレンジする地域の区市町村においての無電柱化を進めることで、うちもやっていこうというところ、やる気のあるところの後押しをしたいと思います。
特に停電が多かった島の部分ですけれども、来年、今年度の予算でもそうでありますけれども、実際に停電が起こって、それも断線で、木が倒れて断線になったという島については、できるだけ早く進めるようにしていきたいと考えています。

【記者】日経新聞の亀です。昨日、葛西臨海水族園の移設計画案というのが公表されまして、パブリックコメントにかかったわけですけれども、その中で、今、建築家の谷口吉生氏の設計したガラスドームについて、建築的文化的価値があるということで、保存とか利活用というのをしたらどうかという声が有識者や建築関係から上がってるのですけれども、きのうの都の計画では、既存施設については、水族園機能を移設後、施設の状態等を調査の上、そのあり方を検討ということで表現をされているのですが、知事のお考えは、保存とか利活用についてはどのようにお考えになっているのかご見解をお願いします。

【知事】葛西臨海水族園ですけれども、開園から30年が経っているということで、施設が老朽化したり、また、バリアフリー化が必要だということで、今回、更新に向けた検討を行っているということであります。
外部の有識者の皆様による検討会の議論を踏まえて、昨日、事業計画の素案を公表させていただいて、そして、パブリックコメントを開始したところであります。ぜひ、都民の皆様の声をお寄せいただきたいと思います。
水族園の更新については、希少動物を含めて、約85,000点の飼育動物を仮設の水槽に移すということはなかなか難しいということから、敷地内に新たな建物を建設して、その水族園の機能を移すということで考えているということであります。
それから、ガラスのドームはあれはなかなかすてきで、私、あそこで結婚式とか、ユニークベニューで使ったらいいのではないかなと、そういう意味で、ユニークベニューのパンフレットの中にも入っております。ぜひ水族園の移設をした後ですね、それの、その後で、安全性を含めた施設の状態であるとか、コストなどを調査して、そのあり方を検討したいと思いますが、有効に生かす、また、1つの、東京都としてのアイコンの1つだという認識を私自身は持っております。皆様からいろいろご意見を伺いたいと思っております。

【記者】フジテレビの小川です。知事、今年最後の会見なので、今年1年を振り返って、知事が最も印象に残られたことを、1つでも、2つでもいいのですけど、いただきたいのと、あと来年は、都知事選、オリンピック・パラリンピックなど、非常に大きなイベントがたくさんありますが、来年に向けての抱負もお願いします。あと、冬休みの過ごし方もお願いします。

【知事】はい。まず、今年を振り返りますと、やはり天皇陛下がご即位されて、令和の年に入ったという御代がわりがあったというのが大きな歴史の新しいページが開かれたと、これが1点大きいところです。
それから、先ほども申し上げましたように、今年の災害が、台風15号、19号、21号と本当に都民の皆様も、地域によっては本当に、実際に床上浸水も生じたところもございました。そういう意味で災害というものが現実のものとして皆様に、この避難の方法であるとか、どうすれば家族は助かるかなど、考えられたことだと思います。
だからこそ、これは長期戦略ではなくて、今すぐすべきことということで、防災対策をしっかりしていきたいと思っておりますし、また、少ない人数でも防災教室を開いておりますので、ぜひハローキティの子供さん用の冊子も使いながら、ご家族で防災対策に取り組んでいただきたい。私はやはり、そういう意味で、今回災害が多かったこと、これが都知事としての、都民の皆様の命や財産を守るということで、一番に大きなテーマの1つではなかったかと考えております。
3つ目は、忙しい1年でした。そして、1つ残念なことは、札幌にマラソンが移転してしまったことでありますが、前から申し上げているように、パラリンピックの大会が成功してこそ、東京大会の成功だということから、パラリンピックのマラソンの応援を皆様にお願いをして、そして、また、パラリンピックの大会の会場が埋め尽くされる、その準備をしっかりやっていきたいと。あと、本番までわずかですけれども、それに邁進をしていきたいというふうに考えております。

【記者】時事通信の真島です。お願いします。戦略ビジョンと知事の任期についての関係についてお伺いします。
とても魅力的な内容を盛り込んでいて、これを読んだ都民は、引き続き、知事に都政を担うご意欲があるのかなと思われると思うのですけれども、そこについて見解をお願いいたします。

【知事】今、世界はほんとうに日進月歩で変わっております。今年の後半だけ取って見ても、香港の事態が起こって半年です。また中東においても、様々な変化が起こっております。そのような世界の流れやデジタルトランスフォーメーションの速度、国策で中国などは5Gを進めようとしているわけですから、この間、何もしないでというわけにはいかない。それこそ、責任として、今後の東京のあり方ということを今日お示しさせていただきました。
今日は、このビジョンと、そして、戦略プロジェクトをお知らせさせていただき、これにまた都民の皆様の様々なご意見、それから、連携すべき区市町村の皆様のご意見なども、もうかなり取り入れておりますけれども、それをさらに肉づけしたものをつくっていくという過程に入っていくわけであります。
これらのことを東京都として成していくべきということで、まとめさせていただきました。ぜひ都民の皆様のご協力をお願いしたいと、このように申し上げて、本日、最後の会見を締めくくらせていただきます。
皆様もどうぞよいお年をお迎えください。

(テキスト版文責 政策企画局政策調整部政策調整課)

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