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令和3年(2021年)1月29日更新

小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和3年1月29日)

知事記者会見
2021年1月29日(金曜)
14時00分~14時52分


【字幕版】はYouTube東京都チャンネル(外部サイトへリンク)からご覧いただけます。

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知事冒頭発言

1 新型コロナウイルス感染症への対応について

【知事】すいません。バタバタしたので、整えるのを、口紅してくるのを忘れました。はい。それでは、もうこのままやります。よろしくお願いします。
それではまず、コロナ対策であります。緊急事態宣言の発出から3週間でございます。この間に、外出の自粛、営業時間の短縮、そして都民の皆さん、事業者の皆さんには本当に、ご苦労おかけいたしておりますし、また、この間のご協力、本当に感謝、感謝のひと言でございます。
昨日のモニタリング会議でありますが、その報告では新規陽性者数、減少傾向にありますが、ただ、1,000人という大体あのあたりを前後しているわけですね。他の指標についてもまだ高いということで、全体とすれば「まだ変化は顕著に出ているわけではない」というふうに考えます。特に深刻なのが、高止まりが続く重症者の状況なんですね。昨日も150、一昨日が159人で、昨日は150人という方々でありました。1日も早くご回復されることを願っております。新規の陽性者の中でも、重症化しやすいのが65歳以上の高齢者と言われておりますが、こちらも増加傾向にありまして、さらに新規の陽性者数の世代別の数字を見ておりますと、重症者の増加に繋がる可能性は否定ができないという状況であります。専門家の先生方からは、医療提供体制のひっ迫が長期化している点のご指摘ありました。それはすなわち、もう1年間ずっと医療の現場の皆さんというのは、最初100メートル走だと思ったらマラソンで、かつゴールがまだ見えないというようなお気持ちだろうと思います。医療提供体制は引き続き危機的な状況にあるというご指摘もあったわけです。
感染収束のためには、感染症である限りは、何よりも人の流れ、人との接触、飛沫が飛ぶ距離にいない、ソーシャルディスタンスを守る、この一人ひとりの感染の機会を防ぐということ。そこができるのかどうかにかかっているわけですね。ちょっと前も、去年の時点でもご紹介しましたけれども、感染者数平均して、何人に感染させたかを示すというのが、いわゆる「R」と言いまして、実効再生産数です。これが1を上回るか下回るかで増加する、そして下回った場合には減少するという話になるわけです。そして、どこまで、この今、減少傾向は確かに続いている。どこまで引き下げることができるのか。どれぐらいのスピードで引き下げることができるのかということにかかっているわけです。例えばこちら、現在1,000人感染者がいると。そして5日ごとに新たな感染者を生むというふうに仮定しますと、それぞれの感染者が1人ずつ新たな感染者を、倍々ゲームで産んでしまえば5日後も10日後も新規感染者の数は変わらない。つまり、終わらない、ダラダラ続くということなんですね。1人が感染させる数が、それが0.7になりますと、これは5日後の新しい感染者というのは700人ということになります。そしてそれが、10日後にはさらに感染する人っていうのは、その半分になるということです。さらに、これが「R」が0.5まで下げることができましたならば、10日後、その数は初めの4分の1にまで圧縮することができるわけですね。減らすことができるわけですね。
ということで、このことを皆さん、今だいたい0.7段階です。ここで「下がったね」って言うんじゃなくて、これでゲームが終わったわけではなくて、さらにここで皆様方のご協力をいただくことによって、この今の状況がさらに下へと下げることができるということから、この間から、私は「ここは分岐点、分岐点」というふうに申し上げているわけでございまして。分岐点、すなわちゲームオーバーではない。「今が重要」ということを申し上げております。
それからもう一つ数値として残念な数値は、死亡者の数であります。東京都、都内の死亡者、昨日は20人と大変多かったです。皆さん高齢の方でありますけども。この死亡率という考え方もありますが、死亡率については東京は0.87%、全国で言うと1.44%なので、その意味では、東京の死亡率というのは他と比べるとかなり低い水準に留まっていると。これは何かというと一重に、医療機関の献身的な、また進んだ、高度な医療のおかげで、何とか死亡率を全国的に見ますと、抑えられているということでございますが、いずれにせよ、お亡くなりになる方々について、本当にご冥福をお祈りするしかありません。また、そうならないために様々の、皆様方のご協力を得て、感染症をとにかく抑え込んでいきたいというふうに思います。
「ゲームオーバーではとんでもない」ということを言いました。まさに、今、緊急事態宣言期間中であります。その認識、これを、もう一度皆さんに持っていただきたい。このことを今日改めて声を大にしていきたい。そして「医療現場を守って都民の皆様の命を守るんだ。だからここで気を緩めない。そのためにもより一層、人流の抑制、人の流れ、これを抑え込んでいく」と。早い話が都民の皆さんには「ステイホーム」、そして「感染しない、感染させない」、この基本的なあり方、人と人との接触を抑える行動を徹底をお願いを申し上げます。
それから高齢者の方は重症化しやすいという話で、高齢者、高齢者と申し上げますけれども。世代の塊として、やはり20代30代の感染者が多いのは、これは変わりません。そしてまた「若いから平気」ということではなくて、若い方でも重症化することがある。そして、回復しても、いったん回復しても、長期にわたって後遺症に悩まされるケースもあると。実際に感染した方々の中で、色々な経験を話す方、最近増え、多くなって、その経験は大変、若い方々にも、同じ若い者同士でメッセージとして伝わっているかと思います。ですから、「若いから大丈夫」というわけでは全くありません。コロナとの戦いっていうのは、まさしく、この若者の皆さんが鍵を握っているということになりますし、学生の皆さんは、まさにテスト期間。そしてそれが終わったら今度はお休みに入るわけです。春休みであります。こういうときに、追い出しコンパとか、卒業のお祝いとか、高校生、大学生それぞれ、人生の節目でワーっとやりたいところでしょうが、どうぞ、ここはこらえていただいて、みんなで感染を抑えることによって、楽しみは後に置いておくということに、ご協力お願いしたいんです。
それから昨日、モニタリング会議の東京iCDCのメンバーでもいらっしゃいます、東京医学総合研究所の小原先生に、色々とご報告いただきました。大規模な抗体疫学調査を行っておられまして、その中で無症状でも感染している場合があるという、これはもうケースは多いわけですけども、もう一つおっしゃっていたのが、「一度感染した方も、再感染がある」という報告があったわけですね。ですから、「もう1回かかったから、抗体ができて大丈夫だよ」っていうのではないという、これは、本当に報告とすれば、なかなか厳しいご報告をいただいたなあというふうに思うわけであります。ですから都民の皆様方には、このことも念頭において行動をしていただきたいと存じます。
それから改めて事業者の皆様方にお願いをいたしておりますが、特に企業ですね。出勤者の7割削減ということで週3日、社員の6割以上のテレワークの実施をお願いをしてまいりました。テレワーク実施率ですけれども、まだまだ1回目の頃のステイホームなどを申し上げていたし、それから、その後のテレワークの導入ということも、かなり実施率は進んだんですが、さらにここで、テレワークの実施率も皆さんとともに引き上げていきたい。そして様々な場面でテレワークを柔軟に活用していく、その工夫が必要になっていきます。そのため、今回、半日時間単位のテレワークとローテーション勤務の組み合わせ、これをお願いしたいと思います。新たにこれを、「テレハーフ」と名付けることといたします。昔、半ドンという言葉がありましたけれども、もうそういう世代の方も減ってまいりました。これからは「テレハーフ」で、午後から出社をするとか、それによってより効率的に出勤者とその営業、仕事、これをうまく組み合わせて、結果的に出勤者数を全体7割下げるという、そのような工夫をしていただければと思います。このことを「テレハーフ」、これは事業者の皆様に推奨していきたいと思いますし、また、今申し上げた終日のテレワークに加えて、半日もしくは時間単位のテレハーフの取組を広げることで、より多くの従業員の方のテレワーク利用に繋げていきたいと思います。
それから、多摩地域のホテルをサテライトオフィスとしてワンコイン、「500円で使えますよ」ということを発表しております。1日に提供できますのは100室でございます。昨日ちょっと間違えました。100室であります。今大変人気で、9割以上に予約が入っておりまして、利用をさらに進んでいるところであります。さらに、TOKYOテレワークアプリっていうのが、これ、ここのQRコードを入れていただきますと、「TOKYOテレワーク」という、そういうアプリで詳しい情報が色々と出てまいります。様々な業種での導入事例、「ああいう小粒の会社でもこんなことやっているんだ」という事例、それから今申し上げた多摩地域などのサテライトオフィスの空きがどこにあるのかとか、テレワークに関する有益な使える情報を発信をしておりますので、ぜひ、ご活用をいただきたいと思います。こんな感じで出ておりますので、活用してください。「テレワーク」「テレハーフ」でございます。
それから飲食店の皆様方、本当にありがとうございます。引き続き、朝5時から20時までの営業時間短縮お願いをしております。都におきましても協力状況の調査をしております。そして対象地区をさらに広げて実施をいたしておりまして、その結果、今まで分かっているのは9割以上の店舗にはご協力をいただいているということであります。中には開いてるお店があるっていうことを、昨日、一昨日知りましたけれども。ぜひお店の方も、利用される方もご協力をお願いしたいと思います。ここは感染症のこらえどころなんです。その点、よろしくお願いを申し上げます。改めてガイドラインを確認していただいて、継続して感染防止対策の点検・徹底、お願いを申し上げます。事業者、お店の方も、利用者の皆さんも、ご利用、ご理解をお願いを申し上げたいと存じます。
それから医療提供体制であります。昨日もモニタリングでまだ真っ赤っか、最高レベルだっていう話でありました。ご覧のように、現在確保している病床、4700床にまで増やしております。このうち、都立と、公社病院ですけれども、1500床になっていますけど、来週、さらに拡充をいたしまして、1700床といたします。コロナ病床を確保するにあたりましては、その分、すでに入院されている方々、通常の医療を行っている病床を転用する必要がございます。そこで医療機関では人員配置なども含めまして、様々な対応をしていただいて、本当にこれも医療機関の皆様方にご協力いただいている、ご尽力に改めて感謝を申し上げます。
それから、宿泊療養施設でありますけれども、昨日、新たに1つ施設を加えております。池袋北口の東横インさん。これで合わせますと12のホテル、宿泊療養施設を確保して約5000室のお部屋がコロナ対策として使えるということで、色々工夫しながら、また保健所の皆さんにもぜひ、病床の確保のために宿泊療養の活用ということで、先日も私、直接行ってお願いを申し上げてきたところであります。これで12施設ですけれども、来週もう1つ、この施設は、宿泊のホテルは開設をいたします。感染状況を踏まえまして、今後とも積極的に整備をしていくということです。
それから、ワクチンでありますけれども、このワクチンの接種については、まず医療従事者への接種を、これは都が中心で実施をすることになるわけであります。対象の医療従事者の方々の名簿を作成したり、それから副反応などに関しての相談センターを立ち上げます。これらは着実に準備を進めてまいります。そして私自身も今週、医師会や保健所に直接伺っているわけでありまして、そこで色々と意見交換も行ってまいりました。その際、私から提案いたしまして、「ワクチンチーム」を作りましょうと、都、医師会、そして区市町村、保健所、これらを結びながら、ワンチームになって、「ワクチンチーム」はワンチームになってやっていきましょうということでお呼びかけをいたしまして、2月3日(水曜日)の午後、キックオフミーティングを行います。基本的にオンラインでの会議という形になります。都民の皆さんが、安全な環境のもとで安心して接種をしていただけますように、都、区市町村、医師会、一丸となって取り組んでまいります。
そして、緊急事態宣言下にあるわけでありますが、今回は、特に東京・埼玉・千葉・神奈川、この一都三県連携して、ワンボイスで感染拡大に向けた取組を進めてきたということであります。緊急事態宣言の発出から3週間が経過しまして、今それぞれの地域ごとの努力も今色々な途中経過も出てきているところでありますので、改めて一都三県でテレビ会議をこの後実施をいたします。引き続き一都三県で緊密な連携を、面的に図っていくことによって効果を出していくということを改めて確認をしたいと思います。
そして、今まさに感染を抑え込めるかどうかの分岐点だと何度も申し上げました。一都三県、そしてまた都民の皆様、事業者の皆様、全ての関係者の皆様というか、全ての方々とこの意識を、皆さんと共有していきたいんです。これをダラダラ続けますか。それともここでもうひと頑張りして、そして早くこの中途半端な状況を脱していくのかということ。これまでの皆さんが努力をしてくださっているからこそ、今3週間目で、「少し、この明かりが見え始めてるのかな」という状況でありますけど、それがみんなで「もういいや、もういいんだ」となると、これまでの努力が水泡に帰してしまうわけですね。改めて、日夜最前線で奮闘されている医療従事者の方々への心遣い、思い、これも共有してまいりましょう。そして感染症なんです、これは。感染症だからこそ、もう一段、人の流れ、人の流れって他人事じゃないんです。皆さんの行動、それ1人ひとりの行動、これが、密にならない、マスクをする、手を洗う、換気をよくするといったこと、これらをもう一度確認していただいて、もう一度自分に言い聞かせていただいて、ご家族でそのことを共有しながら、ウイルスを抑え込んでいくことに、ご協力をお願いを申し上げたいと思います。
以上、今日のまずコロナに関して私からのお伝えでございました。
(詳細は、総務局、福祉保健局、産業労働局、病院経営本部、政策企画局にお聞きください。)

(会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。)(PDF:748KB)

2 令和3年度東京都予算案について

【知事】それからもうひとつ、今日は重要なテーマがございます。来年度予算についてであります。この予算につきましては、令和3年度、厳しい中でのコロナ禍で様々な財政的な課題も出ていますが、それの令和3年度の予算まとめましたので、その概要について、ここで発表させていただきます。
この1年、かつて経験したことのない、「見えない敵」との戦いの中で、何よりも大切な都民の命、そして東京の経済、これを守り抜くために何度にもわたって、補正予算を編成してきたわけです。合わせますと総額2兆円規模になります。この対策、迅速に講じてまいったところであります。
こうした中で、コロナ禍で浮き彫りになったこと。残念ながら我が国、日本が世界の変革のスピードから遅れてきた。大きく遅れてきたという、厳しい現状ではなかったでしょうか。感染拡大による停滞を今こそ打ち破る。そして東京が改めて世界と伍していく。その競争力を飛躍させる、そのためには、今、ここで動いていかなければ、日本が世界から取り残されてしまうんですよ。私はいつかこの国が極東の島国として忘れ去られるんではないかということ、何度もこれまでも色々な機会に申し上げたり、書いてきたりもしました。だから、この強い危機感を持って、今こそ東京の構造改革を一層加速させなければいけないと考えています。
また、今年の夏、開催いたします、東京2020大会ですが、「危機の後の連帯と復興」、これを象徴する大会として、安全・安心に開催できるようにしっかりと取り組む必要がございます。こうした都がなすべき役割を着実に果たす。そしてコロナ禍を乗り越えて、持続可能な回復をめざす「サステナブル・リカバリー」、この理念を実現すべく、積極果敢に臨んでまいります。ただ元に戻ればいいというものではないんです。持続可能な回復を目指すというのが、大きなテーマなんです。それを「サステナブル・リカバリー」という言葉で表しています。
こうした考えのもとで、令和3年度の予算編成に臨んだところでございまして、この間、東京都議会の各会派の皆さん、各区市町村の自治体の皆様方、各種団体の皆様方からのご意見ご要望加えまして、いつも、都民第一に考える都政でございます。都民の皆様方からは、東京の未来を創る様々なアイデア、都民の皆様方から直接、また、大学などから直接アイデアを寄せていただいてきたわけであります。これらを施策に反映しながら練り上げたのが、令和3年度予算でございます。
基本は、「厳しい財政環境の中にあっても、都民の命を守ることを最優先としながら、東京の経済を支え、その先の未来を見据えて、都政に課せられた使命を確実に果たしていく予算」、こういった位置付けといたしまして、一般会計総額7兆4250億円の予算を編成をいたしました。
そして今回は、都税収入、減少するという厳しい状況の中で予算編成をしたわけであります。そういう中にあっても、現下の課題、そして未来に向けた施策に重点的に予算を振り向けるということで、知事査定の中で、議論を重ねてまいりました。また、その中では、例えば公共施設の用地の取得を考えておりましたけれども、これを断念せざるをえないといったような苦渋の決断もせざるを得ない、そういうこともございました。こうしてまとめ上げられました、まとめ上げた令和3年度予算でございますが、持続可能な財政基盤を堅持をしながら、これまで以上にメリハリを効かせることができたと考えております。
予算の裏付けとなります歳入の概要でございますけれども、都税収入は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴いまして、企業業績が悪化しております。これらの影響で、前年度から、ここ黒三角、約4000億円減となります。5兆450億円となります。歳入の根幹をなす都税収入が減少するわけでありますけれども、基金を活用する、そして、これまで都債残高を減らすということで培ってきた財政の対応力、これを活かしまして、グリーンボンドやソーシャルボンド、合計で1000億円発行することになります。これは都債にあたりますけれども、環境、そしてESGに的を絞った債券の発行ということになります。これら都債を積極的に活用することで、必要な財源をしっかりと確保するというものであります。それから持続可能な財政運営に向けた取組でありますけれども、施策の新陳代謝を図る事業評価でありますが、過去最高となる1360件、評価をしまして、項目ごとに。そして、そこで約1110億円の財源をそこから確保することができました。
こうして確保いたしました財源を、新たな施策の積極的な展開に活用いたします。そのことで430件、総額で800億円の新規事業を立ち上げることといたします。
今回の予算でありますけれども、事例として申し上げますと、例えば結婚から子育てまでをトータルに支援をして、子供を産み育てやすい東京の実現に向けた「結婚・出産・子育て支援」、そしてまた、コロナ禍での困難に直面された方々に寄り添う「雇用対策・就業支援」、そしてテレワークなどの「働き方改革」、さらに東京の経済の早期復活に繋げる「中小企業・地域産業の支援」、世界の大都市の責務として、地球環境に貢献する「ゼロエミッション東京」、これらの実現などに重点的に予算を配分をいたしたところであります。
ここからは令和3年度の予算、主な施策、テーマごとにご紹介をしてまいりたいと思います。まずコロナ禍で、コロナ対策で失われたのは、雇用。雇用を速やかに回復に向ける、その取組が必要であります。感染症の影響によって雇用調整が悪化している中でコロナ禍の状況を踏まえた雇用対策を重点的に事業化をいたしまして、目標2万人の雇用を創出するというものです。積極的な対策を速やかに講じることで、2万人の雇用を創出をしてまいります。
1930年代のアメリカ、「ニューディール政策」っていうのがありました。大恐慌からの脱却に向けて、そして、テネシー川の流域の開発ということで、大規模な公共事業を課すわけですね。それによって雇用を確保して、景気回復へと結びつけたのが、「ニューディール政策」です。そのときの一番大きな事業になったのが、テネシーバレーオーソリティが運営する公共事業だったわけでありますけれども、これを、東京版ニューディール、Tokyo Value-up Action、まさにテネシーバレーオーソリティをTVAと言いますけれども、それに当てはめましてTokyo Value-up Action、価値を加えていくと、そのための計画、作戦として「TVA作戦」と名付けて2万人の雇用を確保するというものであります。コロナ禍で困難に直面する方々に寄り添った緊急雇用対策を軸として、一連の雇用創出、そして未来への投資を展開をしていくというものであります。もちろん、何て言うんでしょうか、ハードだけ、ハードによって雇用策を作るというだけでありません。今も例えばデジタル化などによって雇用必要になっていますよね。そういったところを雇用を創出するという考え方です。
次に、子供の笑顔、子供を産み育てたい人で溢れる社会の実現ということで、こちらは、5762億円の計上といたしております。感染が広がることによって、多くの不安が渦巻いている中で、出生数も大変減少しているということです。このコロナ禍で、妊娠・出産に向かおうとしている方々に寄り添いながら、新しい支援策を実施をするというものであります。具体的には、お子さんお1人あたりで10万円分の育児用品、そしてサービスの利用を提供いたします。これは「東京都出産応援事業~コロナに負けない!~」、これを新たに構築いたしまして、出産をお望みの方、社会全体で応援していくということでございます。もちろんコロナ禍対策ということにおいても、全体としての環境づくりについてはコロナの問題の、この対策が必要であります。
それから教育の分野でありますけれども、学びを取り巻く環境の変化を踏まえて、教育のデジタル化の推進、特別支援教育における体制の強化など、全ての子供たちが将来の希望をもって育っていく、そういう東京を育ててまいる、そのための予算であります。
それから長寿社会です。世界に誇る長寿社会です。その実現に向けては756億円の計上をいたします。新しい日常での介護やフレイル予防の強化、高齢者がスマートフォンなどのデジタル機器を当たり前に使えるようになるための支援など、高齢者の皆さんが、元気にいつまでも活躍できる環境を整えるというための予算であります。
そして、誰もが自分らしい生き方を選択をする、活躍する、活躍できる社会を実現する、そのために515億円の予算を計上をいたします。例えばテレワークの一層の普及です。時間・空間などにとらわれない多様で柔軟な働き方を浸透させる。
そしてまた、コロナ禍において、社会の変化の影響を受けて様々な悩みを抱えておられる方々の心と命を守るセーフティネット、これを強化をしてまいります。
続きまして、「暮らしの安全・安心の確保」ということで、558億円の計上でございます。この1年は都民の命を守ることに全力を尽くしてきた1年でありました。都民の暮らしの安全・安心の確保っていうのは、わたくし、都知事としては最大の使命であり、役割だということを改めて痛感する1年でありました。感染症の対策において中核をなす東京iCDC、これも動かしつつ専門家の皆様方に適切にアドバイスを賜っているわけでありますけれども、その運営も、色々な意味で、専門的な知識をベースにした対策を講じる、そのためにも役割を果たしていただいて、これも安心・安全を守るための、そういった意味での組織になっているわけであります。
それから発災時、災害様々ありますけれども、発災時の避難所をどうするのか、一時滞在施設への感染症対策物資をどう配備するのか、都民を感染症のリスクから守り抜くための備えを着実に進めていくということであります。災害が重なった場合などについての注意もいただいたということです。
また、医療提供体制の充実でありますが、救急隊を増強いたします。また入院患者さんと患者家族のオンライン相談環境を整備する、命を守る体制、これをさらに強化していくということで558億円です。
それからまた、「災害の脅威から都民を守る都市づくり」でありますけれども、こちらの方を3500億円の計上となります。自然災害として豪雨時の水害、そこから街を守る。そのために令和3年度は、二つの河川で新たに調節地の事業化に着手をいたします。地下深くに、大きな管路を設けることによって、そこに水をためて調節をしていく、文字通り調節池あります。また、震災に強い街づくりを強化する、そのための無電柱化、こちらの方もさらに推し進めてまいります。これによって、この間も豪雪地帯などは雪の関係で電線が断線して、停電して、電気が使えないと。寒い中、気の毒であります。だから無電柱化というのは災害対策として考えるべきであります。そのほか発災時における帰宅困難者の状況の把握、危機回避と適切な避難誘導、これにおけるオペレーションシステムの構築に着手をするということ。
それから「高度な都市機能を備え、便利で快適な東京の実現」、このために3193億円の計上いたします。これは快適で魅力あるみち空間を創出するウォーカブルな通りにしていく、街にしていく、東京ストリートヒューマン1st事業ということや、自転車、このところ自転車も大流行ですよね、コロナの影響もあって。自転車の通行空間を整備をする、鉄道の駅のバリアフリー化の促進、これも前からずっとやっています、ホームドアの整備、これも必要です。道路・鉄道ネットワークのさらなる充実ということで、これらの予算として3933億円。
それから「日本の発展を牽引して、将来にわたって世界をリードする東京」、こちらは4178億円であります。これは東京、そして日本の持続的な成長に向けて世界中からヒト、モノ、金、情報、これが集まる国際金融都市の実現が不可欠ということで、世界の金融人材を呼び込む環境を整えていきます。それから東京グリーンボンド、これは日本のグリーンボンド市場の牽引役を務めましたけれども、さらにESG投資における世界の一大拠点とするためにTokyo Green Finance Market、「東京グリーン・ファイナンス・マーケット」、これを創設をいたします。先日、ダボス会議のオンラインの会議でも申し上げたところであります。世界経済を牽引する東京の実現に向けた施策の展開と、そのベースになります。同時に東京の経済、再び上昇気流に乗せるには、中小企業の元気、そして活力を取り戻すことは不可欠ですね。生産性を向上させるためにデジタル技術の活用など、中小企業の稼ぐ力の向上を後押しをしてまいります。中小企業制度の融資、融資枠しっかりと確保するなど、資金面での下支えも行ってまいります。
それから「美しく、魅力溢れる都市」には1000億円を計上いたします、世界の大都市である東京の責務であります。ゼロエミッション東京、この実現を推進します。令和3年度を「非ガソリン化 元年」と位置付けまして、ゼロエミッション・ビークル、ZEV、この普及に向けた新たな施策の展開をいたしてまいります。これには環境省とも連携しながら、家庭などで再エネ電力を導入した場合には、ZEV導入補助を現在の倍にするというもの。上乗せをして、それによっての後押し。それからEVバイクですね。この普及に向けて補助単価の増額、新たにバッテリーシェアの実証実験を実施をしてまいります。
それから、練馬城址公園がありますけれども。豊島園のところですけれども、この整備、外堀の水辺の再生に向けた取組など水と緑あふれる都市環境の形成を図る。
次に、「スマート東京」、こちらは224億円。サイバー空間にもう一つの東京を再現しまして様々なシミュレーションを行う「デジタルツイン」実現プロジェクトを進めてまいります。色々な、そうですね、まちづくりの中で、風の流れをどうするとか、そういうことがこのコンピュータ上でわかることによって、色々な想定が可能になってくるというものであります。
それからオンラインで東京の芸術文化に触れる「TOKYOスマート・カルチャー・プロジェクト」の実施ということで、またデジタル技術を行政サービスに実装いたしまして、課題となっていたオンライン申請、キャッシュレス化、これを一層進めまして、都民のQOSクオリティ・オブ・サービスを向上させてまいります。
それから、東京2020大会でありますが、大会開催に向けて着実に整備を進めております。そして、レガシーの創出などで4028億円の計上となっております。コロナをしっかり押さえ込んだ後の安全・安心な大会の開催を迎えるように、新たに講じる感染症対策、そして万全の準備を行うというものであります。そして大会で使用した競技施設などの戦略的な有効活用など、施設にとらわれないスポーツの機会の創出。そしてパラスポーツの練習拠点など、この東京大会でこういったパラスポーツが、2回目ですかね、東京は。オリンピックとパラリンピックが同時に一つの都市として行われるということ、この後世に引き継がれるような、レガシーとなるような、そのような準備をしっかり進めてまいります。
最後に、最後じゃないのかな。「多摩・島しょの振興」で2620億円、こちら多摩都市モノレールの事業化、それから、TOKYO GLOBAL GATEWAYですね。これは、薬屋さんとか、飛行機とか、自分で体験しながら、英語を話せるようにするというTOKYO GLOBAL GATEWAYと同じ特徴を備えた体験型の英語学習施設であります。これを新たに多摩地域にも整備するというものです。それから島しょ地域の観光資源を生かして、滞在型の旅行、2日で帰るんじゃなくてロングステイの観光、そして滞在を推進する新たな取組も開始してまいります。
そして何よりも重要なコロナウイルス感染症対策ですが、医療提供体制の強化などについては、直近の感染状況を踏まえまして、2月中旬を目途に追加補正予算の編成をいたします。また今後も、必要に応じて迅速に対策を講じてまいります。この予算案に盛り込んだ一つひとつの施策を梃子にしまして、東京が将来にわたって成長し続けられるように一歩一歩着実に歩みを進めていきたい。
ここまで説明してきた予算案ですけれども、今日は手短にと言いながら、ずいぶん長くなりました。とにかく東京1400万人、一国家に相当する人口規模及び予算規模でございます。その内容を、都民の皆さんに、分かりやすくお伝えするために「見える化」をいたしまして、東京都の予算情報ダッシュボード化してご覧いただけるようにしています。「TOKYO予算 見える化ボード」という名目で作っております。自分の知りたい情報、簡単な操作で、表・グラフでご覧いただけるようになっています。メリーちゃんとハリーくんが使い方を、メリハリの効いたメリーちゃんとハリーくんが使い方を分かりやすく解説してくれます。ちょっと見てみてください。

(動画放映)

こんな感じで、見える化ボードで東京都の予算がどれぐらい計上されているのか、また1年経てばどうだったのかっていうことも検証できるようになりますので、ぜひこれをご活用いただいて。学校の教材にも使えるのではないかというふうに思います。ということで、東京都の公式ホームページで発信をしてまいりますのでご覧ください。
(詳細は、財務局にお聞きください。)

東京動画ロゴ(会見で使用した動画は、こちらをご覧ください。)
(会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。)(PDF:3,037KB)
(報道発表資料は、こちらをご覧ください。)

ということで、今日はコロナと令和3年度予算案の概要をお伝えをいたしました。長くなりましたが、今日は大変大きな、二つの点についてお伝えをさせていただきました。

質疑応答

【記者】ありがとうございました。それでは質問に移ります。1月幹事の読売新聞の佐藤です。幹事社として1点質問させていただきます。緊急事態宣言が発出されて3週間が過ぎ、期限日が近づいてまいりました。宣言発令後、都内の新規陽性者は減少傾向ですが、西村大臣が目標に掲げた500人には遠く、期間延長すべきだとの声が強くなっています。期間延長の是非について知事のご所見や都としての今後の対策についてお考えのことがあればお聞かせください。

【知事】この後、一都三県の知事との会議がございますので、手短にお答えさせていただきます。まず新規陽性者数は減少しているというのは先ほどお伝えしたとおりですが、依然感染状況、医療提供体制、厳しい、危機的状況だという、そういう認識でございます。宣言をどうするのか、延長については今後の感染状況によることになりますけれども、今のような状況が続く場合は、さらなる対策の強化も選択肢としてある、ありうるというふうに思いますが、そうならないために、皆さんもここは分岐点だと、「だからいいんだ」じゃなくて、「ここで頑張るんだ」という意識を皆さんと共有させていただきたいというふうに考えております。

【記者】ありがとうございました。幹事社からは以上です。各社の質問に移ります。質問がある社は挙手の上、知事の指名を受けた上で名前と所属を名乗って質問してください。

【知事】じゃあ、NHKさんから。

【記者】NHKの成澤です。都の予算について伺いたいんですけれども、今回の都債の発行額がですね、2000年度以降では多分最多だったと思うんですけれども、その辺の都債の発行額が多くなったことに伴うその財政上の影響とかですね、問題がないのかどうかその認識をお伺いできますでしょうか。

【知事】今回、大変財政状況厳しい中で、バランスを確保していくという点では、正直大変苦労がありました。特に16年ぶりのマイナスシーリングをしたということと、それから、前もやっていましたけれども、色々な事業がありますが、それを一つひとつ確認して、それで役目を終えたものなど、終期と言ってますけれども、終わりの期、ですけれども、これを迎える事業の事後検証を徹底したり、施策を優先順位をつけて、今やらなくちゃいけないのか、「いや、もうちょっと経済回復してからでもいいか」とか、そういったことを考えながらやってまいりました。そういう施策の優先順位をつけながら、今回は、それでも都債を発行しながら、例えば環境、ESG、最近SDGsという言葉がよく使われますけれども、これらが実行できるように都民や皆さんのご協力も得て、それを環境やSDGs対策に使っていくと。都債も、これまでも極力抑えてやってきたことは逆に格付けなどにおいて、高い評価を得てきているものと、これまで我慢してきた分をこういうような非常時の事態にこの都債を出すということを有効に活用できるのではないだろうか、そういうふうに考えたわけです。
じゃあ、最後ですみません、このあと時間ありませんので。

【記者】東京新聞の岡本です。関連で伺います。今後もですね、コロナが長引けば、例えば都税収入だったりとか、それからコロナの対策費にさらにお金がかかる恐れもあると思うんですが、そういうことも踏まえて、今回例えば、より、結果的には4兆2500億で過去2番目の大きさになったわけですけれども、もっとさらにこう切り込むとかですね、そういうことをお考えにならなかったのか。それから今後もし、さらに費用が掛かるような場合に、さらに都債を発行したりですね、どういう形で対応していくお考えなのかお聞かせください。

【知事】はい。大変厳しい状況の中での予算編成であり、また今申し上げましたように土地の取得などについては、断念せざるをえなかったという件も具体的にはございます。それからもっと、これから国際金融の中でも、さらにはハードの事業関係でも、様々進めていきたい部分ありますけれども、それらについては精査をしながら進めていったということです。それから、これまでに補正予算で約2兆円、2兆円超、つぎ込んでまいりました。ここは、さっきから皆さんの改めてのご協力ということを申し上げているのは、コロナ対策費というのは決して、オンライン化するとか、これまでやってこなかったことを、コロナによってあぶり出された分を、「ここでやってしまわないと世界から遅れますよ」という、そういう状況の中で予算を活用した部分がありますが、ただ色々な意味で、ポジティブなお金の使い方だったかっていうと、マイナスの分をどうやって命を守るために抑えてきたかということであります。よって皆様方に改めてお願いでございますけれども、都民の皆さんからの重要なこの予算、財政、これを、そういったネガティブの部分にまた使わざるを得なくなるのは、都民の皆さんにとってもプラスではない。だからこそ、ここを抑えていきましょう。そのためにテレワークも徹底してもう一度やりませんか。そして8時までにこの営業時短、自粛、営業を短縮していただいてる皆さんにもご苦労をかけていますけれども、ここはみんなで抑えていくことによって、より確実に次からの普通の営業、より、なんて言うんでしょうか、飲食などは皆さん楽しみでいらっしゃることも多いかと思います。その楽しみを本当に楽しめるようにするために、今我慢してくださいということでお伝えをしたいと思っています。都政、都の財政をいかに有効に活かしていくかということは、コロナ対策、そしてまたそれを支えていただく都民・事業者の皆様方のご協力如何だということでありますし、共に皆さんと頑張っていきたいと考えております。よろしくお願いします。

※テキスト版については、読みやすさを考慮し、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどの整理や補足説明をしています。

(テキスト版文責 政策企画局政策調整部政策調整課)

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