小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和7年4月25日)
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知事記者会見
2025年4月25日(金曜)
14時00分~14時26分
知事冒頭発言
【知事】それでは本日はですね、まず3件お伝えするところではございますが、冒頭、旧都立墨田産院での新生児の取り違えに関しまして、調査を命じた判決に対しまして、都としての対応をお伝えしてまいります。まずもちまして、67年前の新生児取り違えによりまして、原告である江藏智さん及び関係者の皆様方に多大なご心痛をおかけいたしましたこと、改めまして都として深くお詫びを申し上げます。今週21日に、東京地方裁判所におきまして、都に対して江藏さんの真実の親を発見する、そのための調査を命じる判決が出されたわけでございます。長年にわたって、江藏さんが苦しんでこられた状況、心情、察するに余りあるところでございます。江藏さんの育てのお母様もご高齢でいらっしゃいます。私は、取り違えを生じさせた都といたしまして、今回の判決を受け入れまして、控訴しないことを決断をいたしました。都はこの判決を尊重いたしまして、調査を実施いたします。調査に当たりましては、対象となる方々の個人情報の取扱いに万全を期すとともに、それぞれの方の心情に配慮をした、丁寧な対応を行ってまいります。この件につきましては、後ほど担当であります保健医療局から説明をいたします。
1 米国関税措置への対策
【知事】次に、関税措置の影響、これに関しての中小企業への支援策についてお知らせさせていただきます。アメリカ合衆国によります関税措置によりまして、中小企業の受注や売り上げの減少など、都内の産業への影響が強く懸念されております。22日(火曜日)には、愛知県の大村知事と共に石破総理と赤澤大臣に直接お会いをいたしました。東京都と愛知県、大変幅広い業種の企業が数多く立地しておりまして、企業数にしますと合計で約62万社、全国のおよそ2割を占めております。アメリカ政府との粘り強い交渉、また事業者への支援、日本経済の発展を見据えました対策につきまして要望を行ったところでございます。都では、いち早く特別の相談窓口開設をするなど、現状の現場の状況をつぶさに把握をしてまいりました。先行き、そして資金繰りへの不安、広がっておりますが、状況は楽観視できないところでございます。そこで、今年度の予算を機動的に活用しまして、今日から新たな対策を行ってまいります。まず関税措置の影響によりまして、売り上げが減少する中小の企業に対しましては、制度融資の保証料の補助を通じて、資金繰りの支援を行ってまいります。また、DXに必要な設備などの導入、新たな販路の開拓に助成を行ってまいりますほか、海外の生産拠点、そして販売計画の見直しに向けまして、専門家によります支援も行ってまいります。ここは先手先手で対策を講じることで、グローバルなサプライチェーンの変化に迅速に対応できますよう、後押しをしてまいります。また先般、都の債券、都債を購入いたします投資家の皆様の判断指標となる格付けにつきまして、S&Pグローバル・レーティングのレポートが更新されております。格付けの方は、A+(シングルエープラス)。国の影響分を除きました都単独での評価の方も更に上にいきまして、aa+(ダブルエープラス)、いずれも維持をいたしております。世界経済、今大きく揺れ動いているわけですね。そして、極めて不確実な経済情勢、その中にありましても、都の堅実な財政運営は評価されているものと考えております。引き続き、これまで培ってまいりました財政基盤、これを生かして、喫緊の課題はもとより、東京ひいては日本全体の成長に資する施策、これを迅速かつ的確に展開をしてまいります。産業労働局と財務局が担当いたしております。
(会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。)
(「米国の関税措置への対応に関する要望」は、こちらをご覧ください。)
(「米国関税措置の影響を受ける中小企業を支援」は、こちらをご覧ください。)
2 SusHi Tech Tokyo 2025
【知事】それから、いよいよ迫ってまいりましたSusHi Tech Tokyo 2025についてのお知らせです。いよいよ来月の8日(木曜日)から3日間にわたりましてSusHi Tech Tokyo 2025、東京ビッグサイトで開催されます。8日(木曜日)と9日(金曜日)のビジネスデイにおきましては、世界からスタートアップ、また投資家の皆さんが集結をいたします。そして130にのぼりますセッションのうちですね、英語でのセッションが8割を占めます。そして、海外からの登壇者も5割ということで、まさにグローバルなイベントになることとしております。海外のパビリオンについては、昨年のパビリオン出展数3倍で16。そして600の出展のうちのスタートアップの海外割合(計600の出展スタートアップのうちの海外割合)ですけれども、6割になります。また話題の生成AIなど、様々なテクノロジー領域の企業が一堂に会することになります。世界最先端のイノベーションに出会いたいビジネスパーソンの皆様方には、ぜひホームページの方からチケットを申し込めますので、ご参加いただきたいと思います。また、4月30日(水曜日)までに早めに申し込んでいただきますと、その分、チケット割引とさせていただきます。最終日が5月10日(土曜日)になりますけれども、この週末の土曜日は、お子様から大人まで誰もが楽しめますパブリックデイといたします。最新のテクノロジー、そして挑戦者のアイデアに触れまして、新しいことに挑戦する喜びを感じていただける、そんなコンテンツを更に追加しました。例えばですね、クイズ動画で人気のグループのQuizKnockの須貝さん、そして鶴崎さん、このお2人によるトークセッション、それからSusHi Techにちなみましたクイズを行ってまいります。さらには6月に実際に月に着陸を予定しております探査車、マイクロローバーのレプリカの操作も体験できるという、そのような準備もしております。こちらはですね、入場無料でございまして、ちょうど連休最後の日になりますので、ぜひ予定に今から組み込んでおいていただきたい。このように思います。スタートアップ戦略推進本部で進めております。
(会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。)
(「SusHi Tech Tokyo 2025 パブリックデイ」は、こちらをご覧ください。)
3 子供政策に関する取組への参加者募集
【知事】それから、子供の日も間近でございます。そこで、子供目線に立ちました3点の取組についてお知らせをさせていただきます。まず一つ目でございますが、「東京都こどもホームページ」のワークショップメンバーを募集をいたします。このホームページですが、前もちょっとご紹介しましたけれども、1日に約5万人の子供たちが利用するのです。年間のですね、閲覧数というのは、年間閲覧数ですね、これが1億ページビューを超えているということで、大人気。成長しております。毎年、子供さんの意見を反映させながら、内容の充実を図っておりまして、今年度も小学生が参加するワークショップを開催するというお知らせでございます。二つ目、こちらはですね、小学生から大きくなりまして今度は中高生のウェブサイト(「中高生Webサイト(仮称)」)、これを作ろうということで、制作メンバーを募集をいたします。先ほどの子供ホームページでございますけれども、小学生を主な対象としているわけですが、こちらの方は「中高生に特化したサイトがほしいんだ」という、そういう声も踏まえまして、今年度新たにユーザー目線を徹底しまして制作をしていこうというものでございます。AIを活用した学習であるとか、中高生目線で情報発信をするなど、それをコンセプトにしまして、ワークショップを開催をいたします。そして中高生の皆さんの斬新なアイデア、取り入れてまいります。先ほど申し上げた(東京都)こどもホームページ、これと合わせまして、今日から5月16日(金曜日)までの募集となりますので、たくさんのご応募、お待ちをいたしております。そして最後にですね、中高生の職業体験にご協力いただく企業や団体を募集をいたします。多くの中高生が将来のために職業体験を求めているという、そういう現状がございますので、今年度新たに、中高生と企業や団体をマッチングする取組を開始をいたします。言うならば、インターンシップと申しましょうか。この取組ですけれども、昨年度も開いた中高生の政策決定参画プロジェクト、このプロジェクトで提案があったもの、これを具現化いたすというものでございます。5月30日の金曜日まで、夏休みの期間に中高生を受け入れていただける企業団体を募集をするというものでございます。こちらの方は子供政策連携室で担当いたしておりますので、ぜひ多くの企業や団体の皆さん、うちで子供さん、中高生を受け入れたいという、そういうご希望をお寄せいただきたいと、このように思います。私からは以上でございますのでお返しします。
(会見で使用したスライド資料は、こちらをご覧ください。)
(「東京都こどもホームページ WSメンバー募集」は、こちらをご覧ください。)
(「中高生Webサイト(仮称) 制作メンバー募集」は、こちらをご覧ください。)
(「中高生の職業体験 受入企業・団体を募集」は、こちらをご覧ください。)
質疑応答
【記者】どうもありがとうございました。幹事社のジャパンタイムズの井上です。幹事社から1問よろしくお願いいたします。アメリカによる関税措置の影響を受け、都は都内の中小企業への支援として、特別相談窓口を開設されたかと存じます。これまでどのような相談や問い合わせが寄せられているのか、また今後、こうした状況が長期化する可能性も踏まえて、米国関税措置への対策の意気込みを改めて教えてください。すいません、よろしくお願いします。
【知事】4月4日の段階で相談窓口を設けました。そして先行きが不透明だという、その中で、例えば資金繰り、そして活用できる助成金はどういったものがあるのか、開設して、その直後からお声を寄せていただいております。今回のこの関税措置を契機にしまして、産業を取り巻く環境が大きく変化をするということから、DXなどを活用しながら、企業の取組をこの際、アップグレードするということも大切であります。それからかねてから課題になっています事業承継問題ですけれども、企業の存続そのものに関わってくる、発展にも関わるという大きな課題がございます。この難局におきまして、しっかりと新しい流れにつなげていくことが必要でございます。国におきましても本日、緊急対策を発表したということで、五つの柱で報道がされております。前回、大村知事と私と官邸の方にも、また直接トランプ大統領と交渉に当たった赤澤大臣にも要望を出してまいりましたけれども、それらも含んでいる国の対策でございます。国とも連携取りながらですね、この難局をですね、しっかり乗り越えるだけでなく、新しい展開を進めていきたいというふうに感じておりますので、この都内企業への影響注視をいたしまして、この取組を着実に進めていく考えでございます。
【記者】どうもありがとうございました。幹事社からは以上です。質問のある社は挙手の上、知事の指名があってから社名・氏名を名乗って質問してください。よろしくお願いいたします。
【知事】NHKさん。
【記者】すいません。NHKの佐久間です。よろしくお願いします。百日咳について伺います。感染が拡大している百日咳でありますけれども、生まれたばかりの赤ちゃんが亡くなるというケースもありました。ある程度年がいった方々へのですね、ワクチンの接種が感染を抑えるには効果的だと言われていますけれども、保険適用ではなくてですね、非常に高額であります。都として呼びかけは、特にこの妊婦へのワクチンの接種などですね、考えていることはあるのか、教えてください。
【知事】まずは非常にこの百日咳は、飛沫による感染になるわけでございます。特に子供さんに多いということで、長引く咳が特徴となっております。乳児の皆さん、ちっちゃなお子さんが重症化しやすいということで、生後2か月を迎えたら速やかなワクチン接種、ご検討いただきたいと思います。また乳児がおられるご家庭ではまず、マスクなどの咳エチケットや手洗いなど基本的な感染対策を特に心がけていただきたいと思います。まずはそちらの方から進めていきたいと思っております。
【記者】すいません、もう1問なんですけれども。取り違えの件についてお伺いいたしたいと思います。今回の判決を受け入れるということですけれども、この決断に至ったこの背景はどのようものだったのか教えていただければと思います。あと具体的な調査、裁判の中では非常に難しいというふうなことも指摘されていたと思うんですけれども、今後どのようにして調査を行っていくか教えていただければと思います。
【知事】まず今週21日に、都に対しての調査を裁判所として義務付ける判決が下されたわけでございます。そして、この長年にわたって江藏さん、苦しんでこられたという状況、また心情については察するに余りあるところがございます。江藏さんの育てのお母様もご高齢であるということもございます。そこで私は取り違いを生じさせた都といたしまして、今回の判決を受け入れまして、控訴しないということを決断した次第でございます。なお調査ということは難しい問題だと、かねてより言われておりました。出自を知る権利というものはまず重要なものという一方でそういう課題があり、そして、今回は調査という判決が出たこと、この内容を踏まえまして、まず速やかに調査を開始するように担当部署の方に指示をしたところでございます。
【記者】東京新聞の奥野です。今の取り違え訴訟の件なんですけれども、昨日原告の江藏さん、東京都の方に面会にいらっしゃって、昨日の時点では、5月7日の控訴期限までに回答するという都側の回答でした。印象としては、かなり知事が早くご決断された印象なんですけれども、具体的にいつ、控訴しない、調査をするということをお決めになったのでしょうか。
【知事】まず判決そのものは21日に出てきております。そしてその内容について精査をし、また、様々な観点からの精査を行った上で、今回の、控訴をしないという判断をしたところでございます。
【記者】ありがとうございます。もう1点、この先ほども知事のご発言でもありましたけども、この取り違え訴訟では、その出自を知る権利についても注目が集まっています。日本では現在、この権利を明確に定めた法律はありません。一方で先日に墨田区の産科病院が始めた「いのちのバスケット」、いわゆる「赤ちゃんポスト」では都もその出自を知る権利をできるだけ保護しようということで24時間体制で駆けつけて、親とか赤ちゃんに関する情報を聞き取れるような体制を組んでいるというふうに聞いています。この出自を知る権利について、その重要性ですとか、法制化への期待など知事のお考えをお願いします。
【知事】今ご質問にありましたように、出自を知る権利というのは重要なものでございます。一方で、個々の事案について見ますと、様々な事情、そして親、子供、兄弟など関係者のですね、とても複雑な心情などもあるということが考えられるゆえに難しい問題であることも事実です。こうした問題に対してどのように対応していくのか、今ご質問にはありましたけれども、法整備がどうなのか、わが国では実は未だに法整備なされていないのが現状です。よって、国におかれまして、早急にこの点、議論を進めるべきとこのように考えております。それから「いのちのバスケット」墨田区で始められた、墨田区の賛育院(正しくは、賛育会病院)ですか、から始められたものでございますけれども、これらについてもですね、むしろその匿名で受けるということが、預けるハードルを下げているということでもございます。それらもしっかりと整理をしながら進めていく。そして命を守るという観点からも、都として区と連携して行っていきたいと考えております。
【記者】ありがとうございます。
【知事】では毎日さん、朝日さんか。はい。
【記者】朝日新聞の山岸と申します。控訴断念ということですけれども、この短い期間の間で、判決から4日という時間で、例えばその判決に対して事実誤認とか、そういう部分があるという指摘、控訴する理由がないということで今回の判断に至ったのか、それともむしろ小池知事のですね、さきほどおっしゃっていたその思いみたいなところ、そこでのこの4日間での決断だったのか、ちょっとその辺りの検討の経緯を伺えればと思います。
【知事】21日に敗訴ということが決まったわけでございます。そして裁判所の今回の判決についての中身についても、改めてといいますか、判決を精査をしたところでございます。法的な、技術的な話もあります。先ほど申し上げましたように、個人の出自を知る権利というのは重要なものであるという一方で、いかにして個々の事案で、様々な事情、親、子供、兄弟、関係者、色々な心情、複雑な心情もあるということから難しい問題ではございます。こうした問題に対して、今申し上げましたように、国に対してどういった要望していくのかということや、また調査をするにしても、その調査の仕方については、どうしていくのか、この具体的なことにつきましては、担当の部署に指示もしているところでございます。こういった様々な観点から、今回の決断をしたということでございます。新宿新聞さん。
【記者】新宿新聞の喜田です。今の質問に関連してですけれども、出自を知る権利について東京都として調査義務があるという判決が出た後に、60年以上にわたって、ご本人が判決が出るまで苦痛を味わったということで、慰謝料の請求が出てくるんじゃないかと思うんですが、これについて請求された場合には応じるお考えがあるんでしょうか。
【知事】これまでの既に裁判で結論が出ているお尋ねでございますので、よくお調べいただければと思います。毎日新聞さん。
【記者】毎日新聞の柳澤と申します。よろしくお願いします。公立高校の併願について伺います。文部科学省が公立高校の併願について検討を始めるといった報道がなされています。これは高校の無償化によって私立高校の人気が高まることを予想し、公立を選びやすくする狙いがあると言われていますけれども、知事の率直な受け止めをお願いできたらと思います。
【知事】都立高校の持つ様々な優れた魅力をですね、東京の子供たちにもしっかりと理解いただき、またそれに応じて希望する学校に進むということは重要だと思います。そうした生徒たちを、都立高校でしっかりと受け入れるというほか、教育の質を高める取組、着実に進めていると、このように教育委員会の方から聞いております。じゃあ最後です。
【記者】フリーの記者の横田ですけども、今年1月に玉木代表とお会いになってですね、都議選での国民民主との連携を約束したという記事が現代ビジネス3月22日のに出ているんですけど、これは事実でしょうか。現代ビジネスのタイトルは、国民民主党、都民ファ大接近、玉木、小池連合で政界大再編という記事なんですけども。
【知事】急に聞かれても分かりませんが、国民民主党さんとは政策、また都政との関連で意見交換はこれまでも続けてきております。以上です。
※テキスト版については、読みやすさを考慮し、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどの整理や補足説明をしています。
(テキスト版文責 政策企画局戦略広報部企画調整課)