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令和2年(2020年)9月18日更新

令和2年第三回都議会定例会 知事所信表明

令和2年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を述べさせていただきます。

都民の皆様のご支持をいただきまして、都知事としての二期目を邁進する中、初めての都議会定例会を迎えました。未曽有の難局の中でありますが、都議会の皆様と力を合わせ、東京の明るい未来を力強く切り拓く決意であります。引き続き都民のため、東京のための議論を尽くしていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

1 新型コロナウイルス感染症への対策

感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けて

まずは、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。
感染拡大防止の徹底と、社会経済活動の推進。ウイルスとの長い闘いの最中にあって、これらを両立させることこそ、私たちが直面している大きな命題であります。そのための取組の一環として、虹のステッカーをシンボルに、都民・事業者双方のお力添えをいただきながら、店舗などにおける感染防止を徹底していく。都内全域で、一日も早くこの実現を図るべく、先般、専決処分により「新型コロナウイルス感染症対策条例」を改正いたしました。同じく、営業時間の短縮要請に応じていただいた飲食店に対し、速やかに協力金を支払うための補正予算についても、専決処分を実施したところであります。この間の都民・事業者の皆様の多大なるご協力に、心より御礼を申し上げます。引き続き皆様と一丸となり、「見えざる敵」に負けることのない持続可能な経済都市を創り上げていきたいと思います。

感染症流行期を見据えた備えを先手で打つ

今後の感染症流行期を控え、危機に対する備えを先手先手で講じていく。その中核となる「東京版CDC」の設置について、準備を加速しております。ここでは、平時より専門家、国、大学などと連携した政策立案・調査分析を行い、有事の際には、医療体制の確保をはじめとする危機管理や、的確な情報収集・発信等を一体的に担います。特に強みとなるのが、常設の「専門家ボード」であり、その知見を最大限に活かした効果的な対策の推進に向け、来月にはこの新たな拠点を立ち上げ、順次体制を整備しながら、早期に本格運用を開始してまいります。
また、医療提供体制のさらなる充実に向けましては、旧都立府中療育センターを活用し、新型コロナウイルス感染症専用の医療施設を開設するとともに、都立・公社病院における専用病床を約1千床まで拡大いたします。さらに、東海大学のご協力をいただき、同大学の付属病院を専用病院として運営いただくなど、都内各地に専用病床を確保し、患者受入の迅速化や治療の効率化を図ってまいります。

対策のさらなる強化を図る補正予算の編成

このほか、秋から冬を見据えまして手を緩めることなく対策を強化するべく、本定例会には、総額3413億円の補正予算案を提案いたしました。医療機関に対する補助により、最大4千床を目指しまして病床を確保するとともに、民間検査機関による機器の導入を支援するなど、検査体制のさらなる充実を図ります。併せて、「防ごう重症化 守ろう高齢者」の観点から、高齢者施設等に対しましてPCR検査の実施経費を補助し、高齢者等につきましては、インフルエンザ予防接種の実費負担を軽減するといった新たな取組を進めてまいります。
さらに、生活福祉資金貸付の推進や中小企業制度融資の拡充によって、引き続き都民・事業者の資金需要を支えるほか、経済活動の安心の確保のため、事業者による感染症対策の実効性を高める取組を盛り込みました。今後のさらなる対策に備えるべく、財政調整基金への決算剰余金の積立ても行うなど、引き続き健全な財政を維持しながら、時機を逸することなく、都民の命と健康、そして社会経済活動を守るための施策を果敢に講じてまいります。

新たな内閣とも連携し、幅広く対策を講じる

同じく本定例会には、「新型コロナウイルス感染症対策条例」のさらなる改正を行う条例案を提案いたしております。都による検査体制・医療提供体制の整備や、都民・事業者による感染拡大防止のための努力義務など、それぞれの具体的な責務を明確にすることにより、対策の実効性を一層高めてまいります。
現在、感染者数につきましては再び増加することへの警戒が必要であり、医療機関への負担が長期化している状況にも変わりはありません。新たな内閣とも連携しながら、引き続き幅広く対策を進めてまいります。都民・事業者の皆様、そして医療従事者の皆様には、長きにわたりご尽力いただいており、改めて感謝を申し上げるとともに、今後とも感染拡大を抑え込むべく、一人ひとりのご協力を心からお願い申し上げます。

2 「東京大改革2.0」に邁進し、世界から選ばれる都市へ

各国における最新のGDPを見渡しますと、年率換算でアメリカは30%以上、イギリスも60%近くと軒並み大幅に減少し、我が国も28.1%という戦後最大の落ち込みを記録いたしました。その主な要因は、感染拡大による個人消費の冷え込みであり、感染拡大防止と社会経済活動を両立させる「新しい日常」をしっかりと確立しなければ、日本経済は危機的状況から抜け出すことはできません。加えて、スイスのビジネススクールIMDが公表した2020年の世界競争力ランキングにおきまして、我が国は過去最低であった昨年の30位から、34位へとさらに順位を落としました。かつて日本は、このランキングで世界トップを誇ったものの、順位が急落した1997年以降、四半世紀近く低迷が続いております。
感染拡大による経済の停滞を打ち破る。そして、世界と伍していくための競争力を飛躍させる。今こそ、そのための取組を進めなければ、日本は世界から取り残され、都民・国民の幸せを実現することはできません。言語の壁が高く、デジタルの力で新たな価値を創造するデジタルトランスフォーメーションも著しく後れている我が国は、この現実を直視し、世界を見据えた施策を講じることが急務であって、内向きの議論に終始している猶予はないのであります。
こうした危機感の下、首都・東京が力強く推し進めていくべき取組として掲げたのが、「東京の未来は、都民と決める」をスローガンとする「東京大改革2.0」であります。不透明な「ウィズ・コロナ」の時代におきまして、都民の皆様と共に希望ある未来を切り拓くためには、これまでの発想に留まることなく、さらなる改革を大胆に展開していかなければなりません。何よりも大切な都民の命を守り抜く。誰もがいきいきと輝く東京を創り上げる。そして、デジタルトランスフォーメーションを一気に加速し、「世界から選ばれる都市」へと変わっていく。改めて、強い決意を胸に刻んでおります。

3 都民の命を守り「稼ぐ」東京の実現

この新たな大改革の第一の柱は、「都民の命を守り『稼ぐ』東京の実現」であります。「爆速」で進めるデジタル化によりまして東京の経済を「新しい成長」へと導くとともに、持続可能な発展の礎を築く「魅力と強さを兼ね備えたまちづくり」を推進することで、世界における東京の存在感をさらに向上させてまいります。

「爆速」デジタル化により東京の経済を「新しい成長」へ

「スマート東京」確立への先行プロジェクト

デジタルの力で都民生活の向上と経済の活性化を図る「スマート東京」の実現は、東京の経済の「新しい成長」に不可欠な取組であります。その第一歩を踏み出すプロジェクトとして、ここ西新宿において、スマートポールの試行運用を進めております。5Gや高速Wi-Fiといった通信機能をはじめ、混雑状況を把握するセンサーや、行政情報を配信するサイネージを搭載するなど、都民生活の質の向上に繋がる新たなインフラとなるものであり、広く普及を目指してまいります。
そして、同じく先行的に進めているのが、都市から生まれる様々な情報を蓄積・活用して新しい価値を生み出す、「都市OS」と呼ばれるデータ基盤の構築であります。このたび、いわゆる大丸有地区、竹芝、豊洲の3つのエリアにおきまして、「都市OS」を基盤に新たなサービスを展開する民間プロジェクトの支援を開始いたしました。こうした取組をモデルに、官民の力を結集し、「スマート東京」の確立を加速してまいります。

世界をリードする国際金融都市へ

再び、アジアナンバーワンの国際金融都市へ。強い決意の下、都はこれまで、我が国初の金融プロモーション組織である「FinCity.Tokyo」の設立や、シティ・オブ・ロンドンとの連携をはじめ、かつてない施策を積み重ねてまいりました。その成果は、最新の国際金融センターランキングにおいて、ニューヨーク、ロンドンに次ぐ世界第3位、アジアでは第1位を獲得するという形で確実に現れております。
不安定な国際情勢の中、ヒト・モノ・カネ・情報が集まり、生活環境や治安の良さなども兼ね備えた東京が、安定した国際金融都市として世界から選ばれ続ける。そのためには、この半年、1年が極めて重要であり、アジア諸都市との競争が益々激化することを念頭に、スピード溢れる施策を進めていかなければなりません。このたび、産学官で外国企業誘致等を加速する体制として「Team Invest Tokyo」を立ち上げるほか、国とも連携しながら、世界をリードする国際金融都市としての地位をさらに確たるものとしたいと思います。

世界に誇るスタートアップ都市を目指す

人々の生活を大きく変革するサービスをグローバルに展開しているアメリカの巨大IT企業も、かつては若い起業家たちが立ち上げた小さな一企業でありました。最先端のニーズを機敏に捉え、新たな製品やサービスを次々と生み出すスタートアップの育成は、東京のさらなる成長に欠かせません。今般、東京は、スタートアップの育成環境を評価する都市ランキングに初めてランクインし、全体で15位、アジアでは北京、上海に次ぐ3番目の評価を受けました。また、東京の集積を活かした連携により、イノベーションの創出を図る「スタートアップ・エコシステム 東京コンソーシアム」が、このたび、国の定める「グローバル拠点都市」に選定されたところであります。これらを追い風に、引き続き、世界に誇るスタートアップ都市を目指した多彩な施策を展開し、「東京発」の新たなビジネスを強力に推し進めてまいります。

「テレワーク東京ルール」の普及に向けて

柔軟な働き方を可能とし、生産性の向上はもとより、感染症対策としても有効なテレワークは、東京の持続的な成長の原動力となります。先日、経営者団体・労働者団体のトップと一堂に会し、そのさらなる定着に向けた「テレワーク東京ルール」の普及につきまして、共に取り組む共同宣言を行いました。今後、このルールに基づき、企業等においてテレワークを経営戦略として位置付け、実効性ある具体的な取組が展開されるよう連携を図ってまいります。

魅力と強さを兼ね備えたまちづくり

災害から都民の命を守る

持続可能な発展の基盤となる「魅力と強さを兼ね備えたまちづくり」に向けて、まず取り組むべきは、災害に強い都市の実現であります。日本各地に記録的な大雨や暴風をもたらし、都内にも深い爪痕を残した相次ぐ台風から約1年。先日も台風10号により、九州地方をはじめ各地で被害が生じました。改めて、亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
都はこれまで、河川監視カメラの増設、樋門等の施設改良、電源確保や物資備蓄の充実、そして島しょ地域を含めた無電柱化の推進など、風水害への備えを幅広く強化してまいりました。命を守る避難の確実な実施に向けては、的確な防災情報の発令のほか、新たな避難先の確保、避難所における生活環境の改善や感染症対策の強化など、コロナ禍との複合災害を防ぐ観点も踏まえ、区市町村を支援する施策をきめ細かく展開してきたところであります。今後、こうした対策を、「地域防災計画」風水害編の見直しにも反映させてまいります。
さらに、防災まちづくりを強力に推し進めるため、国との連絡会議を立ち上げ、具体的な検討を重ねてまいりました。街の高台化や、建物上部への避難スペースの確保といった風水害対策、そして、道路に接しない敷地の解消による不燃化建替えの促進など、木密地域の地震対策につきまして、先日、国と共に具体の方策案を公表したところであります。
このように、ハード・ソフトの両面から災害への備えを不断に固めていく上で、これからはデジタルの活用も大きな鍵となります。最先端技術による防災対策のさらなる進化など、新しい視点に立ちながら、年度末までに防災プランを改定し、災害から都民の命を守る取組を着実に進めてまいります。

東京の価値を高める築地まちづくり

東京の新たな魅力を生み出す築地のまちづくりにつきましては、早期の賑わい創出に向けた先行整備事業に関し、東京2020大会の延期という状況の変化を踏まえまして、実施方針を見直すこととしていたところであります。事業の早期着手が困難となった中、民間のさらなる創意工夫を引き出し、より効果的にまちづくりを行うべく、先行整備とそれに続く本格整備の事業者を2022年度に一体的に募集する方向で、実施方針を検討していくことといたしました。民間の力を最大限に活用しながら、東京の価値を高め、持続可能な発展へと繋がるまちづくりを推進してまいります。

4 「人」が輝く東京

都市の活力を生み出す「人」が輝いてこそ、東京が輝く。こうした確信の下、知事就任以来一貫して、「人」に焦点を当てた施策を展開してまいりました。こうした姿勢はこれからも変わることなく、「『人』が輝く東京」は、新たな大改革の第二の柱であります。きめ細かな取組により、誰もが持てる力を存分に発揮し、一人ひとりがいきいきと躍動する活気に満ちた都市を創り上げてまいります。

誰もが育児に仕事に活躍できる東京

そのための最重要課題の一つとして取り組んできた待機児童対策は、着実に成果を挙げております。本年4月1日現在の都内の待機児童数は、30年ぶりの2千人台となる2343人まで減少いたしました。認可保育所は、この1年間で259か所、約1万8千人分の定員が整備され、待機児童ゼロを達成した自治体も増えております。引き続き、待機児童の約6割を占める1歳児の受入促進など、区市町村と連携したさらなる対策を展開することで、男性も女性も、育児に仕事にいきいきと活躍できる東京の実現に邁進してまいります。

子供の「伸びる・育つ」のために

新たな「東京型教育モデル」の検討

不確実性が増す時代において、子供たちが自らの力で未来を切り拓く。そのための自立性や主体性、課題解決力を伸ばす教育の推進に向け、新たな「東京型教育モデル」の検討を開始いたしました。誰一人取り残さない視点に立って社会全体で子供たちを支え、一人ひとりに着目した質の高い学びを実現するべく、総合教育会議の場で教育委員会と議論を深め、今年度中に策定する次期「教育施策大綱」へと反映させてまいります。

子供たちの高い語学力と豊かな国際感覚を養う

我が国の国際競争力が凋落する中、高い語学力や豊かな国際感覚を身に着けたグローバル人材を数多く育てなければ、世界との差は広がるばかりであります。令和4年度、立川に、公立として全国で初めて開校する小中高一貫教育校におきましては、義務教育期間における外国語授業を通常よりも1千時間以上多く確保し、高い語学力を育成します。併せて、生徒全員が海外で研究やボランティアに取り組むプログラムを実施するなど、12年間の一貫教育のメリットを最大限に活かしながら、世界を舞台に活躍し、世界から選ばれる東京を支える人材を輩出してまいります。

島しょ地域における特別支援教育の充実

障がいの有無にかかわらず、全ての子供たちの意欲的な学びを後押しするため、島しょ地域で初めて、八丈町に特別支援学校高等部の分教室を設置する検討を進めております。同町の小・中学校において、特別支援学級に在籍する子供たちが増加傾向にある中、分教室の設置を着実に推進し、一人ひとりの学びのさらなる充実へと繋げてまいります。

「こども未来会議」の立ち上げ

こうした福祉や教育の取組をはじめ、子供の目線に立った政策を推し進め、子育ての負担を徹底的にサポートしていく。その先に、「子供が笑顔で子育てが楽しいと思える社会」を創り上げるべく、来週、有識者による「こども未来会議」を立ち上げます。未来を担う子供たちを大切にすることを最優先とし、あらゆる場面で子供や子育てを支える社会を目指して、何を為すべきか。従来の枠組みに囚われることなく幅広い議論をいただいて、子供の笑顔があちこちで咲く、未来への希望に溢れるまちの実現へと繋げてまいります。

ソーシャルファーム創設の促進に向けて

就労に困難を抱える方々が、社会の担い手としていきいきと活躍する場となるソーシャルファームにつきましては、先般定めた基準に基づき認証の取得を目指す事業者の募集を、来月上旬より開始いたします。今後、事業者に対し支援内容を幅広く周知し、今年度中に都が認証したソーシャルファームを誕生させることができますよう、着実に取り組んでまいります。

地域の暮らしを向上させ、活発なコミュニティを形成する

「人」と「人」との繋がりこそが、都市の活力を一層高める。そうした確信の下、「『未来の東京』戦略ビジョン」におきましては、「Community」を戦略の核の一つに据えました。来月、新たな政策連携団体である「東京都つながり創生財団」を設立し、外国人が安心して暮らせる多文化共生社会づくりや、人が繋がり助け合う共助社会の確立など、地域コミュニティの活性化に向けた事業を、順次進めてまいります。
また、活発な地域コミュニティの形成には、良好な住環境の整備も欠かせません。住生活を取り巻く状況が大きく変化する中、戦略的に住宅政策のバージョンアップを図るとともに、来年度末には、住宅政策審議会の答申を踏まえた新たな「住宅マスタープラン」を策定をし、人が輝く東京にふさわしい住宅政策を展開してまいります。
さらに、地域における安心な暮らしの確保のためには、地域医療の充実も重要な課題であります。その一翼を担う多摩北部医療センターについて、施設の老朽化を踏まえ、引き続き、地域医療を取り巻く環境変化に対応した安定的な医療提供を図るべく、改築の検討に着手してまいります。

5 これからの政策展開に当たって

構造的な課題に切り込む

「東京が変わる。そのために都政が変わる」。東京が世界から選ばれる都市へと変わっていくためには、制度や仕組みの根本にまで遡った構造改革を強力に進めなければなりません。新たな大改革の第三の柱、「『都民ファースト』の視点での行財政改革・構造改革」であり、国難とも言える危機に直面している今こそ、社会システムの大きな変革を促すべき時であります。デジタル化の加速や産業構造の変化への対応など、「ポスト・コロナ」を見据えた東京と日本のさらなる成長へと繋がる「社会の構造改革」について、先日、有識者を交えた議論を開始したところであり、来月末を目途に意見を取りまとめてまいります。
加えて、「クオリティ・オブ・サービス」、QOS、すなわち都民サービスの質を飛躍的に向上させ、都民の期待を上回る価値を提供する都庁を創り上げるべく、「都政の構造改革」を推進いたします。先端技術を徹底的に活用するとともに、仕事の進め方をゼロベースで見直し、障害となる規制にも切り込むことで、世界に輝く東京を支える強固な組織を築いてまいります。先週には、この改革を牽引する「コア・プロジェクト」を選定いたしました。早期に成果を生み出し、これを突破口に全庁一丸で構造改革に邁進していく。年度末には「構造改革実行プラン(仮称)」を策定をし、その具体的な展開を図ってまいります。

「デジタルファースト」で東京と全国が繋がり、共に栄える

かつて、昭和から平成へと元号が変わった時期、都庁は新宿へ全面的に移転いたしました。このたびの、平成から令和への移り変わりに当たっては、都政を丸ごとデジタルの世界へと移行いたします。先端技術を駆使してより高い価値を創造していく、この「バーチャル都庁構想」をはじめとした構造改革を力強く推し進め、都政をさらに進化させてまいります。
また、本定例会には、都における行政手続のデジタル化を徹底するべく、これまでの「オンライン通則条例」を抜本的に改正する「東京デジタルファースト条例」を提案いたしました。この改正により、書面で行うことを前提としてきた都の行政手続を大きく転換をし、いつでもどこでもデジタルで手続きを完結できる環境を整えてまいります。
そして今後、我が国が持続的に成長していく上でも、デジタルの力は欠かせません。東京と全国が、距離と時間を超えてそれぞれの個性や強みを繋ぎ、新たな価値を生み出していくことこそ、日本全体の発展の大きな鍵であります。まさしく「デジタルファースト」の取組で日本中がいつでも結び付き、東京と全国が共に栄えながら、激化する国際競争にも打ち勝っていく。集中か分散かという議論を超えた、全国各地との「繋がり」の中で、東京が我が国全体の発展を牽引していきたいと思います。

新たな視点としての「サステナブル・リカバリー」

このたびのコロナ禍におきましては、社会経済活動が大きな制約を受ける中、人々の繋がりも分断を余儀なくされました。活気溢れる持続可能な東京への復興を図る上では、デジタルの力で人々が繋がりを取り戻し、新しいコミュニケーションを育みつつ、心豊かな生活を続けられる社会を創る観点が重要であります。感染防止を図りながら、人と人が繋がる場を作り出す。いかなる状況においても、子供たちの学びを止めない。芸術・文化・スポーツ活動を続けられる環境を整える。今後の政策展開にあたりましては、あらゆる場面において人が輝き続ける社会を実現する「サステナブル・リカバリー」を新たな視点に据え、変化に柔軟に対応しながら新しい価値を創り出す、しなやかで強靭な東京を築いてまいります。

新しい羅針盤となる「長期戦略」の策定

「新しい日常」を定着させ、デジタルトランスフォーメーションを推進しながら、一人ひとりの持続可能な生活を実現していく。こうした観点から政策をさらに練り上げるべく、「社会」及び「都政」の構造改革を梃子として、「『未来の東京』戦略ビジョン」のさらなるバージョンアップを図ります。そして、その成果を結実させる形で、都政の新たな羅針盤となる「長期戦略」を年度内に策定をし、都議会の皆様、都民の皆様と共に、「成長」と「成熟」が両立した東京の輝かしい未来を創り上げていきたいと思います。

6 名誉都民の選定

このたび、名誉都民の候補者として、石井幹子さん、瀧澤利夫さん、横尾忠則さんの三名の方々を選定させていただきました。
石井幹子さんは、照明デザイナーの先駆者として都市や建築を光で彩る新たな魅力を開拓し、国内外で人々に希望や活力を与えておられます。
瀧澤利夫さんは、江戸切子職人として最高峰の技を持ち、伝統の継承にも精力的に取り組むなど、その発展に長年にわたり貢献されています。
横尾忠則さんは、日本人ならではの感性を表現した独自の作風で、世界的評価を不動のものとし、美術家として多方面で活躍されておられます。
お三方につきましては、都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いを申し上げます。

7 東京2020大会を成功させ、未来への希望を灯す

先般開催されましたテニス四大大会の一つ、全米オープンでは、大坂なおみ選手、国枝慎吾選手、上地結衣選手、日本人3選手が、優勝する快挙を成し遂げました。ウイルスとの闘いで日々緊張が強いられる中、私たちに大きな勇気と感動を与えてくれた、大変明るいニュースであります。普段とは異なる環境にあっても地道に鍛錬を重ね、栄冠に輝かれた各選手に、心からの敬意を表したいと思います。
この大会では、選手・関係者に定期的なPCR検査を実施し、システム判定の導入によりライン審判の数を減らすなど、安全・安心な運営のための対策と工夫が随所に見られました。入念な準備に支えられ、コロナ禍において、改めてスポーツの力を世界中に示した意義ある大会でありました。
東京2020大会もまた、人類が一丸となって「見えざる敵」に打ち勝ち、その絆をさらに強めた象徴となる、極めて意義の高い大会であります。その主役であるアスリートの方々をはじめ、ボランティアの皆様、子供たち、そして大会を心待ちにしている全ての人々のため、国・組織委員会と共に準備万端整え、未来への希望を灯す祭典として成功させる。菅新総理や森会長と力を合わせまして、新型コロナウイルス感染症対策にも万全を期すことで、大会成功への確かな道のりを歩んでまいります。
東京で開催するオリンピック・パラリンピックにおきまして、都民・国民と感動を分かち合う瞬間を迎える。こうした想いを都議会の皆様と共有をし、希望ある東京の未来のために全力を尽くしてまいります。ご理解、ご協力、よろしくお願いを申し上げます。

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案1件、条例案13件など、合わせて26件の議案を提案いたしております。よろしくご審議のほど、お願いいたします。

以上をもちまして、私の所信表明を終わります。
ご清聴、誠にありがとうございました。

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