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令和元年(2019年)9月3日更新
令和元年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対します所信の一端を述べさせていただきます。
先週、九州北部に大きな被害をもたらした大雨により、亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
来る9月20日、世界中の視線が、ここ東京に注がれます。海外から約50万人の観客が訪れるほか、世界で延べ40億人が視聴するとされるラグビーワールドカップ2019TMが、いよいよ東京にて開幕の時を迎えるのであります。先のリオデジャネイロオリンピックから、7人制ラグビーが正式種目として採用され、世界における競技人口も急増するなど、「ラグビー熱」は世界中で高まっています。その中で、アジアで初の開催となることでも注目されます世界最高峰の大会を、日本各地の開催12都市が一丸となって成功へ導く。このことは、我が国のプレゼンスを一層高めるとともに、開幕まで1年を切った東京2020大会を、オールジャパンで成功させることにも繋がるものであります。
このワールドカップ、そして東京2020大会を契機に、私たちは東京を、どのような都市にしていくべきなのか。例えば、多彩な魅力をさらに高め、広く発信することで、世界からヒト、モノ、カネ、情報を常に惹きつける国際都市を実現する。テレワークや時差出勤などの「スムーズビズ」を新たな常識として根付かせ、働きやすく、生産性の高い社会を築く。さらには、バリアフリーの推進やボランティア文化の定着などにより、「人生100年時代」とも言われる長寿社会において、誰もが優しさを感じながらいきいきと活躍する、活力溢れる都市を創り上げる。こうしたレガシーを遺していくことは、激化する国際競争の中で我が国の発展を力強く牽引する「成長」と、誰もが安心して豊かに暮らす「成熟」が両立した都市へと、東京がさらなる進化を遂げるための必須条件と言っても、過言ではありません。令和の幕開けと共に開催する二つの世界的大会は、人口減少と超高齢化が進むこれからの時代において、東京がなお進化していくための基盤を築く、最大にして最後のチャンスであります。改めて、そうした想いを胸に刻み、両大会を必ずや成功させるとともに、大いなるレガシーを創り上げるための取組を着実に推進してまいります。
ラグビーワールドカップ2019につきましては、大会運営、輸送、セキュリティ・医療等の体制を万端整え、誰もが安心して楽しむことのできる大会を実現してまいります。そのために、警視庁及び東京消防庁による特別警戒等の取組により、会場周辺の安全と円滑な移動を確保するとともに、大会の力強い支えとなるボランティア、「TEAM NO-SIDE」の皆さんにも、会場への誘導や空港・駅などにおける交通案内等、大いにご活躍いただきます。また、試合会場が所在し大きく賑わう調布と、都心の有楽町に、誰もが集える「ファンゾーン」を設置し、多様な交流や東京産の食材などを楽しんでいただくほか、SNSにより全国の開催都市の観光情報を発信することで、東京及び日本各地の周遊を促します。国内外から訪れる多くの皆様に、東京・日本での「一生に一度」のラグビーワールドカップを堪能していただく、そのような工夫を凝らし、一人ひとりの心に深く刻まれる大会として成功へと導きたいと思います。
そして、東京2020大会の成功に向けましては、開催1年前を迎えたこの夏、本番を見据えた様々な取組を展開をいたしました。特に、大会期間中の混雑の緩和に向けましては、多くの企業等の皆様のご協力の下、テレワーク、時差ビズ、交通需要マネジメントを一体的に進める「スムーズビズ」の取組を大規模に実施をしたところであります。テレワークや時差出勤の効用を幅広い方々に体感していただいたことは、新たな働き方が広がる大きな契機となるものと確信をいたしております。大会時の混雑緩和はもとより、柔軟な働き方や快適な通勤を可能とし、人材確保や生産性向上にも繋がる多様なワークスタイルがレガシーとして定着するよう、引き続き企業等の皆様と連携して進めてまいります。
併せまして、都心部の交通量を抑制するため、交通需要マネジメントの取組に加え、首都高速道路等における流入調整を試行いたしました。この結果も踏まえまして、先月には、ETC車両につきましての夜間の通行料を割り引く一方、昼間は自家用車等に対して1千円を上乗せするなど、首都高の混雑分散のための料金施策案を公表したところであります。都議会でのご議論や都民の皆様のご意見をいただくとともに、企業等の皆様には、物流の効率化、工事の調整等につき、引き続き丁寧な説明を尽くしまして、一層のご協力を仰ぎながら、「大会時の円滑な輸送」と「経済活動・都民生活」の両立を図ってまいります。また、高速道路の交通の円滑化等に資するETCの利用率100%に向け、普及啓発を促進するとともに、国や高速道路会社に対しまして、取組の加速を働きかけてまいります。
この夏より本格化いたしました各競技のテストイベントにおきましては、大会中にも見込まれる猛暑の中、最新型のミストや扇風機を備えた休憩所の設置、うちわやネッククーラーなどの配布による暑さ対策を試行いたしました。加えて、都市オペレーションセンターやシティキャストの運営、救護所の設置等について、実践的な検証を行ったところであり、これらの結果を最大限に活かして、猛暑の中での大会運営を万全なものとしてまいります。また、マラソンスイミング及びトライアスロンの会場であるお台場海浜公園の水質等の確保に向けましては、組織委員会やIOCなどと協議をして、有効性の確認された三重スクリーンを設置するほか、さらなる対策を全庁を挙げて実施してまいります。
競技会場の整備は着実に進んでおります。この夏も、カヌー・スラロームセンター及び大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場が、それぞれ完成披露式典を迎えました。オリンピック及びパラリンピックの1年前セレモニーでは、それぞれのメダルデザインも発表され、都庁で実施したメダル展示には、大勢の皆様にご来場をいただいたところであります。特にパラリンピックにつきましては、先月、チケットの抽選申込受付も開始となりまして、気運は益々高まってまいりました。引き続き、パラリンピックの成功等に向けました懇談会の皆様のご協力の下、パラスポーツの魅力を広く発信するとともに、海外メディアによる福島・岩手・宮城への取材ツアーなど、復興オリンピック・パラリンピックの取組にも力を入れながら、都民・国民の皆様と共に、大会の成功へと力強く歩んでいきたいと思います。
ラグビーワールドカップ2019及び東京2020大会の成功を跳躍台とし、その先の東京・日本の持続的な発展を成していく。そのために、今こそ、「未来への投資」を果敢に推し進めなければなりません。この投資を真に効果的なものとするべく、7月に策定いたしました「重点政策方針2019」におきまして、7つの戦略的視点を明らかにいたしました。都政への姿勢や理念を示す「Chance」「Change」「Challenge」「Check」、そして、「人」が輝くための施策を示す「Community」「Children」「Choju(長寿)」。この7つの「C」からなる「7C TOKYO」の視点を踏まえまして、2020年に向けて新たな施策を生み出していくとともに、2040年代を見据えて、未来を切り拓く羅針盤となる「長期戦略」の策定を進めてまいります。
この「長期戦略」につきましては、先月、活力ある東京を創り上げるための論点を整理をいたしました。今後、都民の皆様をはじめ、有識者の方々や区市町村、産業界、労働界等から広く意見を伺い、都議会での議論も踏まえながら、年末を目途に、「長期戦略」の土台としての政策の大きな柱などを示します「長期戦略ビジョン(仮称)」を公表してまいります。
都庁の機能強化に向けて進めております「2020改革」は、来年度末に終期を迎えます。その先におきましても、都が、新たな発想を駆使し、高い生産性を発揮しながら、「長期戦略」に掲げる目指すべき将来像に向けた施策を効果的に推し進める。そのためには、「2020改革」を発展させるとともに、2040年代を見据えた新たな改革を進めなければなりません。ICT技術の絶えざる革新や少子化の進行等、変化の激しい時代を常に先取りをし、戦略的に政策を展開していく都庁を実現するべく、昨日開催いたしました都政改革本部会議では、既存の制度の見直しや規制改革の実現等も見据えた課題におきまして、全局を挙げて総点検するように指示をいたしました。都政改革を新たなステージへと進化させる、抜本的な取組を検討してまいります。
先般、公正取引委員会から、いわゆる官製談合防止法に基づく改善措置要求を受けたことにつきましては、知事として深くお詫びを申し上げます。全庁を挙げまして再発防止に万全を期し、都民の皆様の信頼回復に努めてまいります。
東京が、世界から注目を集め、選ばれる都市として「成長」を続け、日本全体の発展を牽引する。そのための取組を加速してまいります。
AIやIoTなど、日進月歩の先端技術が引き起こす変化の波は、日々の生活のあらゆる場面に急速に広がり、私たちの社会に新たな活力と豊かさをもたらします。世界の都市がしのぎを削る中、東京がさらなる成長を遂げるためには、この変化の波を的確に捉え、新たな価値を生み出していかねばなりません。その鍵となる「Society5.0」の実現に向け、未来を輝かせる成長戦略に果敢に踏み出してまいります。
キャッシュレス化の促進は、都民や外国人旅行者の利便性向上はもとより、決済データを活用した新たなサービスの創出等に繋がる、重要な成長戦略であります。今年度より開始するモデル事業では、SDGsの推進に貢献された皆様に、民間の決済サービスで利用できる都独自のデジタル通貨を発行し、キャッシュレス決済の拡大に繋げてまいります。
様々な交通手段を乗り継ぐ移動を、一つのサービスとして繋ぐ「MaaS」の社会実装に向けましては、最適な移動を提供する交通サービスの組み合わせを一括で手配できるシステムの構築を目指し、実証実験を行います。将来的には、待ち時間のない移動や、高齢の方々の安全かつ自由な外出など、東京発の次世代の移動サービスを創出してまいりたいと存じます。
ベンチャー企業、投資家、研究機関など、多様な主体が集積・連携し、新たなビジネスモデルを創出する「エコシステム」の形成が、世界の都市で急速に進んでおります。激しさを増す国際的なイノベーション競争に打ち勝つべく、東京においても、丸の内界隈など、「エコシステム」の形成を担う3つのエリアを認定をいたしました。多様な主体を繋ぐ人材の派遣や国内外へのPRなど、集中的な支援を展開をし、イノベーションの好循環を生み出す環境整備をさらに加速してまいります。
また、起業家の裾野を広げる取組として、子供たちへの起業家教育を推進をいたします。都内小中学校での実施に向けた相談窓口の設置や、起業体験イベントの開催等を通じて、起業が将来の選択肢の一つとなるよう、子供たちの関心を高めていきたいと存じます。
国内外において広がりが期待されるeスポーツへの関心を高め、関連産業を手がける中小企業の振興に繋げてまいります。来年1月に開催する「東京eスポーツフェスタ」では、競技大会のほか、商品や技術等の展示会やeスポーツ体験など多彩な企画を実施する予定であり、今後、大会概要を公表し、参加者の募集を始めてまいります。
激しい国際競争の中、日本経済全体の規模を拡大していくためには、東京と他の地域がそれぞれの個性や強みを活かし、共存共栄を図ることが欠かせません。その一例である国産木材の需要拡大につきましては、都の主導により、全国知事会として、その実現に向けた決意と姿勢を発信するとともに、具体の政策提言をとりまとめ、先月、関係大臣に直接、協力要請をいたしました。今後とも、全国自治体と緊密に連携しながら、日本各地の活性化に繋がる取組を推し進めてまいります。
高度な都市機能に加え、豊かな自然や歴史文化など、多様な魅力が織りなす東京のポテンシャルを最大限に引き出し、持続可能な成長へと繋げてまいります。
東京・日本の国際競争力向上や、東京2020大会の円滑な実施に欠かせない羽田空港の機能強化につきましては、都民の皆様や関係自治体の理解がさらに深まるよう、国に対し、騒音・安全対策や情報提供の一層の推進を求めてきたところであります。このたび国は、着陸高度のさらなる引き上げなど、より踏み込んだ対策を示しまして、来年3月から、羽田空港における国際線の発着を年間約3万9千回増加することを決定をいたしました。都といたしましては、引き続き対策の着実な実施と丁寧な情報提供を求めながら、その実現に向けましては積極的に協力をしてまいります。
日本橋周辺の首都高の地下化は、品格ある景観を形成し、東京が成熟度を高める一つの象徴となるものであります。これまで、国などと共に具体的な検討を重ねてきた計画案は、昨日、都市計画審議会にて了承を得るところとなりました。引き続き、伝統と革新が交差する東京の顔・日本橋において、都市の価値を高めるまちづくりを推進してまいります。
豊かな海洋資源や自然環境をはじめ、個性溢れる魅力を有する小笠原諸島。今般、その自立的な発展を推進する「振興開発計画」の素案をまとめました。実現可能な航空路案の検討や老朽化した施設への対応、ゼロエミッションアイランドの実現に向けた取組など、今後5年間で集中的に取り組むべき対策を盛り込んだものであり、都民の皆様のご意見を踏まえながら、11月の策定を目指してまいります。
次に、誰もが安心して暮らし、いきいきと活躍できる、より「成熟」した都市の実現に向けた取組について申し上げます。
一昨日、多摩市におきまして、多摩直下地震を想定した防災訓練を実施をいたしました。いつ起こるとも知れない災害から生命・財産を守るためには、都民の皆様と共に、防災対策の実効性を不断に高めなければなりません。このたび、災害予防及び応急・復旧対策を定める「地域防災計画」の震災編につきまして、最新動向を反映した修正を行いました。近年の大規模地震の教訓を活かした具体的な取組や、女性・外国人等の視点を踏まえた対策など、多面的な観点から見直しを行っております。先般、被災後の迅速かつ計画的な復興に向けまして策定した「都市復興の理念、目標及び基本方針」と併せ、災害予防から復興までの切れ目のない指針の下、東京の防災力の総合的な強化を図ってまいります。
また、子育て世帯に向け、親子で防災を学ぶための「とうきょうぼうさいえほん」の作成を進めてまいります。子供たちに親しみのあるキャラクターを用い、子供も大人も楽しみながら学べる内容とすることで、家庭における災害への備えをさらに促進してまいりたいと考えます。
台風や豪雨等による土砂災害から命を守る鍵は、迅速な避難であります。万一の際の住民の避難行動に繋げるべく、前倒しで実施してきた土砂災害警戒区域の指定につきましては、今月末までに、都内全域約1万5千か所の指定が完了いたします。「東京マイ・タイムライン」の普及や、土砂災害への備えをテーマとした出前講座の実施などと併せまして、都民の皆様の防災意識のさらなる向上を図ってまいります。
社会問題となっております高齢運転者の安全対策につきましては、関係機関のご協力の下、7月より、安全運転支援装置の取付への補助を開始をいたしました。多くのご相談や申し込みが寄せられておりまして、引き続き大勢の皆様にご活用いただきたいと思います。併せまして、運転免許の自主返納の促進や、区市町村等と連携をした子供の移動経路の安全点検など、痛ましい交通事故を無くしていくための取組を着実に推進してまいります。
自転車利用の安全対策も進めてまいります。近年、都内での自転車による交通事故が増加しておりまして、高額な損害賠償命令が出されるケースも散見されます。今般、専門家からのご意見や都議会の皆様からの提案を踏まえまして、自転車の利用者に損害賠償保険の加入を義務付ける条例改正案を提案をいたしました。自転車利用のルール・マナーの周知をさらに徹底するとともに、万一の事故の際も、被害者の適切な救済が図られる環境を整備してまいります。
犯罪被害に遭われた方やそのご家族に対します支援を一層推進するための「犯罪被害者等支援条例(仮称)」につきましては、有識者懇談会での議論を踏まえまして、先月、構成案を公表いたしました。相談への対応や心身両面でのサポートはもとより、在留外国人や他県・外国からの旅行者への対応など、東京が抱えます特有の課題も見据えながら、引き続き検討を深めてまいります。
誰もがいきいきと活躍できる社会に向けましては、「ソーシャル・インクルージョン」の考えの下、都民の皆様の就労を応援する新たな条例について、有識者の意見を伺いながら精力的に検討を進めております。先月末には、就労を希望する全ての都民を対象といたしました総合的な支援や、障がいのある方をはじめ就労に困難を抱える方を受け入れる社会的企業、いわゆる「ソーシャルファーム」の創設の後押しなど、新条例の基本的な考え方を公表をいたしました。引き続き、就労を希望する方が誰一人取り残されることなく、個性や能力に応じて働くことができます社会の実現に向けまして検討を進め、第四回定例会への提案を目指してまいります。
本年4月1日時点におけます保育サービス利用の児童数でございますが、知事就任時から約4万7千人増加をいたし、待機児童数は約5千人減少をいたしました。こうした成果は、女性を中心として、育児に仕事に活躍する方が大きく増え、東京の活力向上に繋がっていることを示すものでございます。11月には、昨年度実施いたしました女性経営者による会議、「N E W CONFERENCE」を、約1千名規模に拡大して開催をし、第一線で輝く女性の姿を広く発信をいたします。併せまして、全国の女性首長と連携をいたしました新たな会議を立ち上げるなど、女性活躍のムーブメントをさらに加速、拡大をしてまいります。
誰もが認めあう共生社会を実現し、多様性を尊重する都市を創り上げる。昨年度制定いたしました、いわゆる「人権尊重条例」に掲げた理念の下、先月、多様な性の理解促進に向けました「性自認及び性的指向に関する基本計画」の素案を公表いたしました。相談・支援体制の充実や啓発・教育の推進等、4つの施策の柱を立てておりまして、都民の皆様のご意見を踏まえて、年内の策定を目指してまいります。声を上げられない当事者にも寄り添いながら、必要な支援や社会の理解促進に向けた取組を継続的に進めてまいります。
東京2020大会のレガシーとするべきバリアフリー化に向けましては、国内で初めて、宿泊施設におけます一般客室の整備基準を定めた「建築物バリアフリー条例」の改正が、今月から施行となりました。引き続き、事業者への支援やバリアフリー情報の発信等を推し進めて、誰もが利用しやすい宿泊環境を一層充実させてまいります。
先月、都営地下鉄において、三田線と大江戸線に続き、新宿線全駅でのホームドアの設置が完了をいたしました。加えまして、鉄道駅のさらなるバリアフリー化に向けて、障がいのある方や学識経験者等からの意見を伺いながら、駅の構造や周辺の特性等を考慮した「優先整備の考え方」の検討を進めておりまして、補助の拡大を図ります。引き続き、ハード・ソフトの両面からバリアフリー化を推進し、障がい者や高齢者、子供連れの方など、誰もが快適に滞在し、スムーズに移動できるまちを実現してまいります。
次代を担う子供たちを育み、明るい未来を紡いでいく。そのための施策も積極的に展開をいたします。先月開催をいたしました総合教育会議におきましては、「Society5.0時代の学校教育」をテーマに、先進事例を共有し、今後の教育におけますICT活用のあり方について議論を深めました。AIやビッグデータの活用が当たり前となる時代を見据え、教育委員会において、先端技術を学校教育に積極的に活用していく「スマート・スクール構想」をさらに加速することで、児童・生徒一人ひとりが持つ力を最大限に伸ばしてまいります。
また、都立高校におきまして、国際的な協力や貢献のあり方を学ぶ機会も充実させてまいります。先週、ボランティア活動推進校の代表生徒17名がベトナムに赴き、現地でのボランティアのほか、伝統文化やパラスポーツ等を通じました交流を体験いたしました。こうした取組を通じまして、豊かな国際感覚と社会貢献に必要な資質・能力を培ってまいります。
子供たちの健やかな成長のためには、居住の安定も欠かせません。若年夫婦や子育て世帯を対象とした都営住宅の期限付き入居制度について、現在10年間としております入居期限を、子供の高校修了期まで延長する条例改正案を、本定例会に提案いたしました。併せまして、ひとり親世帯についても制度の対象に加えるなど、誰もが安心して子供を産み育てられる環境づくりを進めてまいります。
このたび、名誉都民の候補者として、赤松良子さん、さいとう・たかをさん、三宅一生さんの三名の方々を選定させていただきました。
赤松良子さんは、男女雇用機会均等法の成立に尽力されるなど、長きにわたり、女性の社会的地位の向上に大きく貢献してこられました。
さいとう・たかをさんは、劇画の先駆者として、「ゴルゴ13」をはじめ数々の作品を生み出し、世代を越えて多くの方々を魅了しておられます。
三宅一生さんは、日本を代表するデザイナーとして世界中から支持を集め、自由な発想から革新の服づくりを現実化し続けられておられます。
お三方につきまして、都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えておりますのでよろしくお願いを申し上げます。
第7代市長として東京の骨格を築き、1923年に発生した関東大震災後、帝都復興院総裁を務めた後藤新平氏の偉大なる功績は、現在の昭和通り、靖国通り、明治通りなど、主要な幹線道路として遺されております。また、1964年の東京オリンピック・パラリンピックがレガシーとして遺した首都高速道路や東海道新幹線は、高度経済成長の礎となりました。
令和の時代を迎えた今、必要とされるのは、こうした目に見えるハードの道に加え、目に見えない「電波の道」であります。東京は「Society5.0」を実現し、遠隔教育や遠隔診療の推進、金融市場としての競争力の確保などを図るため、現行の100倍とされる速度を持つ大容量の次世代通信規格、「5G」のネットワーク構築をスピーディーに進めなければなりません。
先週、「TOKYO Data Highway基本戦略」として発表いたしました「電波の道」構想は、「通信の超高速道路」の構築を意味いたします。AIやIoTなど、デジタル化の新潮流が凄まじい速さで世界を変えている中、残念ながら我が国は、競争力や生産性の国際比較でずるずると後退しつつあります。今こそ東京は、世界を視野に挑戦を続けることが求められております。持続可能な成長や、長寿社会におけます安心の確保などの課題に、果敢に挑まなければならないのであります。
そのためにも、改めて、「東京大改革」をさらに前へと進める決意です。都議会の皆様、都民の皆様のご理解ご協力をよろしくお願いをいたします。
なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含めまして、条例案38件、契約案4件など、合わせまして46件の議案を提案をいたしております。よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。
以上をもちまして、私の所信表明を終わります。
ご清聴、誠にありがとうございました。
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